JP4086993B2 - 垂直プレキャストコンクリート部材の接合構造 - Google Patents

垂直プレキャストコンクリート部材の接合構造 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プレキャスト鉄筋コンクリート構造物の接合構造に係り、特に、垂直なプレキャストコンクリート部材を固定する接合構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
プレキャスト鉄筋コンクリート構造の技術分野においては、プレキャストコンクリート部材の接合の構造は、構造上重要であるばかりでなく、施工の面でも主要な工事項目の一つとなっている。このため、従来から種々の接合方法、接合構造が提案されている。
【0003】
一般にプレキャストコンクリート部材の接合方法、接合構造には、大きく分けてウェットジョイントとドライジョイントと呼ばれるものがある。
【0004】
ウェットジョイントは、建設現場でプレキャストコンクリート部材の接合部にコンクリートを打設し、コンクリートまたはモルタルそのものによって応力伝達する接合構造である。これに対してドライジョイントは、プレキャストコンクリート部材の鉄筋同士を接合し、鉄筋によって応力伝達できるようにした接合構造である。
【0005】
本願発明は、ドライジョイントに関し、かつ、垂直なプレキャストコンクリート部材を接合する場合のドライジョイント構造に関するので、以下に従来のドライジョイント方式による垂直プレキャストコンクリート部材の接合構造について概略説明する。
【0006】
図3は一般的なドライジョイントによる垂直プレキャストコンクリート部材の接合構造を示している。
【0007】
図3に示した垂直プレキャストコンクリート部材の接合構造は、下方の垂直プレキャストコンクリート部材30と中間の水平プレキャストコンクリート部材31と、上方の垂直プレキャストコンクリート部材32とを接合するものとなっている。
【0008】
この垂直プレキャストコンクリート部材の接合構造は、下方の垂直プレキャストコンクリート部材30の主筋33と上方の垂直プレキャストコンクリート部材32の主筋34とを直接接合することを特徴としている。なお図3における主筋の接合は圧着スリーブ35によっているが、同様の工法において溶接継手等を採用することができる。
【0009】
この垂直プレキャストコンクリート部材の接合構造は、下方の垂直プレキャストコンクリート部材30の上端部に予め凹部36が設けられており、この凹部36には垂直プレキャストコンクリート部材30の主筋33の上端部が突出している。また、凹部36には中間の水平プレキャストコンクリート部材31の端部を支承する平面部分が設けられている。一方、上方の垂直プレキャストコンクリート部材32の下端部にも予め凹部37が設けられており、この凹部37には垂直プレキャストコンクリート部材32の主筋34の下端部が突出している。
【0010】
建設現場において、図3に示すように下方の垂直プレキャストコンクリート部材30と中間の水平プレキャストコンクリート部材31と上方の垂直プレキャストコンクリート部材32とを組み立て、下方の垂直プレキャストコンクリート部材30の主筋33と上方の垂直プレキャストコンクリート部材32の主筋34を互いに突き合わさせ、その突合せ部分に圧着スリーブ35を嵌装する。
【0011】
次に、圧着スリーブ35をその外側から油圧機械の力で主筋表面の凹凸に食い込むように冷間で圧着し、主筋34,35を一体に接合する。
【0012】
最後に、凹部36,37にモルタルやコンクリートを注入する。なお、この間、プレキャストコンクリート部材30,31,32を、倒れないように仮設のサポートによって支持する。
【0013】
この図3の接合構造によれば、建設現場でコンクリートの打設を行う必要がなく、ウェットジョイントに比して作業量を少なくすることができる。
【0014】
次に、図4にモルタル充填式スリーブを利用した垂直プレキャストコンクリート部材の接合構造を示す。
【0015】
この垂直プレキャストコンクリート部材の接合構造は、接合筋とスリーブの間にモルタル、コンクリート等のグラウト材を注入するという点でウェットジョイントとも言える接合構造であるが、スリーブと接合筋によって応力伝達可能にしている点でドライジョイントの一種としてここに挙げる。
【0016】
図4の垂直プレキャストコンクリート部材の接合構造は、下方の垂直プレキャストコンクリート部材40と上方の垂直プレキャストコンクリート部材41とを接合するものとなっている。
【0017】
この垂直プレキャストコンクリート部材の接合構造では、下方の垂直プレキャストコンクリート40の上端は上方の垂直プレキャストコンクリート部材41を載置することができる平面の端面に形成されており、その端面から主筋42の上端部が突出している。一方、上方の垂直プレキャストコンクリート部材41の下端部には、その主筋43の下端部を挿入した中空紡錘形のスリーブ44が予め設けられている。スリーブ44の下端部は上方の垂直プレキャストコンクリート部材41の下端面に開口している。
【0018】
建設現場においては、図4に示すように、下方の垂直プレキャストコンクリート40の主筋42の上端突出部分を、スリーブ44の内部に挿入するように垂直プレキャストコンクリート40,41を組み立てる。
【0019】
次に、図4に示すように、スリーブ44に予め設けられたグラウト材注入口45から、スリーブ44内にモルタル等のグラウト材を注入し、硬化させる。硬化後は、スリーブ44とグラウト材と主筋42,43が一体になり、垂直プレキャストコンクリート40,41が一体に接合される。なお、接合が完了するまでは、プレキャストコンクリート部材40,41を、倒れないように仮設のサポートによって支持する。
【0020】
この図4の接合構造によれば、接合筋の位置がスリーブの内径の中に収まれば、接合が可能であり、プレキャストコンクリート部材の寸法精度の要求をかなり緩和することができる。
【0021】
次に、図5にボルトとナットの締付による垂直プレキャストコンクリート部材の接合構造を示す。
【0022】
図5の垂直プレキャストコンクリート部材の接合構造は、下方の垂直プレキャストコンクリート部材50と、中間の水平プレキャストコンクリート部材51,52と、上方の垂直プレキャストコンクリート部材53とを接合するものとなっている。
【0023】
この垂直プレキャストコンクリート部材の接合構造においては、ボルト・ナットによる締結を行うために、上方の垂直プレキャストコンクリート部材53の下端部に接合段部54が膨設されており、その接合段部54にアンカーボルト貫通孔55が設けられている。
【0024】
一方、下方の垂直プレキャストコンクリート部材50の上端部にはアンカーボルト56が設けられており、そのアンカーボルトの上端部は下方の垂直プレキャストコンクリート部材50の上端面からほぼ垂直に上方に突出している。
【0025】
水平プレキャストコンクリート部材51,52は、突き合わさってアンカーボルト56の貫通孔を形成する溝57,58を有している。
【0026】
建設現場においては、垂直プレキャストコンクリート部材50,53と水平プレキャストコンクリート部材51,52とを図5に示すように組み立てる。
【0027】
すなわち、下方の垂直プレキャストコンクリート部材50上に水平プレキャストコンクリート部材51,52の端部を載せ、上方の垂直プレキャストコンクリート部材のアンカーボルト貫通孔55にアンカーボルト56の突出端を通して上方の垂直プレキャストコンクリート部材53を据え付ける。
【0028】
しかる後に、接合段部54上面に突出したアンカーボルト56の端部に座金59を嵌着し、ナット60を螺着する。
【0029】
その後、防錆・耐火あるいは美観のために、上方の垂直プレキャストコンクリート部材53の接合段部54の上面に、アンカーボルト56の頭部が埋没する程度に、モルタルまたはコンクリートを塗布する。
【0030】
このボルト・ナットの締付による垂直プレキャストコンクリート部材の接合構造によれば、建設現場でボルト・ナット締め込みを行えばプレキャストコンクリート部材の接合を行うことができるので、施工の手間を大幅に簡略化することができる。また、アンカーボルト56の位置ががボルト貫通孔55の半径内に収まれば接合することができるので、工場製造時のプレキャストコンクリート部材の寸法精度の要求をかなり緩和することができる。
【0031】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の垂直プレキャストコンクリート部材の接合構造はそれぞれ解決すべき課題を有していた。
【0032】
まず、図3の圧着スリーブ等による垂直プレキャストコンクリート部材の接合構造は、高い寸法精度のプレキャストコンクリート部材が要求されるという大きな欠点があった。
【0033】
プレキャストコンクリート部材は、プレキャスト工場で多数製作して現場で組み立てる工法を採るため、個々のプレキャストコンクリート部材にわずかな製作誤差が含まれていても、多数組み立てられた構造物上では製作誤差が累積する傾向があり、また、現場寸法が設計とは異なることがあるため、すべてのプレキャストコンクリート部材の接合部分の接合筋が正しく突き合うようにすることはきわめて困難であった。このため、この接合構造による接合が正しく行えないことがあった。
【0034】
また、この接合構造において、圧着スリーブによる接合、溶接による接合、ねじ継手による接合等は、ウェットジョイントのように建設現場でコンクリートを打設することに比べれば作業量が少ないと言えるが、それでも一本一本の接合筋を熟練した作業員によって接合しなければならないので、作業が煩雑であった。また、接合筋の接合後、防錆や耐火のために行うコンクリート等の充填も、接合部の開口部が大きいため作業が大変であった。
【0035】
また、接合が完了するまでプレキャストコンクリート部材を仮設サポート等で支持する必要があり、手間がかかる上に次の工事に取り掛かれない欠点があった。
【0036】
図4に示したモルタル充填式スリーブを用いた垂直プレキャストコンクリート部材の接合構造は、プレキャストコンクリート部材の製作精度が緩和されるものの、垂直コンクリート部材を接合させた後に、スリーブの上端部と下端部に設けられたグラウト材注入口からグラウト材を注入し、このグラウト材が硬化して強度を発揮するまで垂直プレキャストコンクリート部材をサポート等によって支持しておく必要があったので、作業量が多く、また、接合構造が強度を発揮するまでサポートを撤去して次の作業を行うことができない等の欠点があった。
【0037】
また、図5に示したボルトとナットによる垂直プレキャストコンクリート部材の接合構造は、きわめて接合作業が簡単であり、工事を迅速に行うことができるものの、接合段部で接合しているので、締結点が垂直プレキャストコンクリート部材の構造強度の面からずれており、接合部にモーメントがかかるために、接合段部にひびが入りやすく、使用できる強度が制限されていた。
【0038】
また、この接合構造による場合は、施工後も接合段部が床等に突出したままであるため、空間利用効率上、また美観上も好ましくはなかった。
【0039】
さらに、この接合構造によれば、ボルト・ナットの防錆、耐火のために接合段部の上面全体にボルト頭とナットが埋没する程度の厚さにモルタル等を上塗りする必要があった。この作業は、ボルト頭以外の部分にもモルタルを上塗りすることになり、この点合理化すべき課題があった。
【0040】
そこで、本願発明が解決しようとする課題は、ボルト・ナットの締結による施工が容易な利点を有し、かつ、従来のボルト・ナットの接合構造の欠点である強度上の問題を解決し、さらに、施工後は床面等に接合段部の突出がなく、防錆・耐火の施工が簡単な垂直プレキャストコンクリート部材の接合構造を提供することにある。
【0041】
【課題を解決するための手段】
本発明の垂直プレキャストコンクリート部材の接合構造は、
接合端面に対してほぼ垂直に部材内部に向かって設けられたアンカーボルト貫通孔と、前記アンカーボルト貫通孔に連通し部材側面から設けられた凹部または開口部とを有し、前記凹部または開口部の少なくとも両側部と下部に補強筋を配設してなる垂直プレキャストコンクリート部材と、
接合端面に対してほぼ垂直にアンカーボルトを突設したプレキャストコンクリート部材とからなり、
前記垂直プレキャストコンクリートのアンカーボルト貫通孔に前記アンカーボルトを貫挿させ、前記垂直プレキャストコンクリート部材の凹部又は開口部内に突出した前記アンカーボルトの頭部にナットを堅く螺着させ、前記垂直プレキャストコンクリート部材の凹部又は開口部をコンクリートまたはモルタルによって補填したことを特徴とするものである。
【0042】
本発明による接合構造によれば、ボルトとナットの結合によってプレキャストコンクリート部材同士を接合するので、ナットの締付時にプレキャストコンクリート部材を支持できれば足り、工事を迅速に進めることができる。また、芯出しのために仮締め、本締め等を行うことができる。
【0043】
また、本発明の接合構造によれば、ボルト・ナットの位置がプレキャストコンクリート部材の内部になっており、補強筋によって凹部・開口部がプレキャストコンクリート部材と強度的に一体となるように補強されているので、ボルト・ナットの締結部にかかるモーメントが小さく、使用できる強度が従来のボルト・ナット接合に比して大幅に向上することができる。また、ボルト・ナットの位置がプレキャストコンクリート部材の内部になっているので、施工後に接合段部等の突出がなく、空間の利用効率を高くすることができる。
【0044】
最後に、本発明の接合構造によれば、防錆・耐火のためのモルタルやコンクリートは、プレキャストコンクリート部材の側面に開いた凹部または開口部であるので、充填が容易であり、かつ、充填に使用するモルタルやコンクリートの量が少なく、美しい仕上げの外観を得ることができる。
【0045】
【発明の実施の形態】
次に、本発明による「垂直プレキャストコンクリート部材の接合構造」の実施の形態について、添付図面1,2を参照しながら以下に説明する。
【0046】
図1は、本発明による「垂直プレキャストコンクリート部材の接合構造」の一実施形態の縦断面図である。一方、図2は、図1に示した接合構造を図1に示したA−A方向から見たもう一つの縦断面図である。
【0047】
図1,2は、建物のベランダの床部分となる水平なプレキャストコンクリートパネル上に手すりとなる垂直なプレキャストコンクリートパネルを接合する場合の接合構造を示しているが、本発明はこれに限られず、広く垂直なプレキャストコンクリート部材を接合する接合構造、例えば、建物の構造部材となる壁・柱等に適用することができる。
【0048】
このため、図1,2の説明において、特許請求範囲の用語との統一性も考慮し、上記「手すりパネル」と「床パネル」の代わりに、それぞれ「垂直プレキャストコンクリート部材」と「アンカーボルトを突設したプレキャストコンクリート部材」ということにする。
【0049】
図1,2に図示した「垂直プレキャストコンクリート部材の接合構造」は、接合される垂直プレキャストコンクリート部材1と、アンカーボルトを突設したプレキャストコンクリート部材2とからなる。
【0050】
垂直プレキャストコンクリート部材1は、接合端面3に対してほぼ垂直に部材内部、すなわち上方に向って設けられたアンカーボルト貫通孔4と、そのアンカーボルト貫通孔4に連通し、部材側面から設けられた凹部5とを有している。
【0051】
なお、図1の実施形態では、垂直プレキャストコンクリート部材1を貫通しない凹部5になっているが、施工の都合により、垂直プレキャストコンクリート部材1を貫通する開口部になっていてもよい。
【0052】
凹部5(または開口部)の周囲には、図2により明らかに示すように、凹部5を囲い込むように補強筋6が設けられている。
【0053】
補強筋6について、本明細書で「凹部または開口部を囲い込むように設けられた」という表現は、凹部5、特に凹部5の下方のボルト・ナットによって挟持される部分を垂直プレキャストコンクリート部材1の本体と強度的に一体化させる意味である。
【0054】
具体的な補強筋6の配筋の方法は、凹部5に要求される強度に応じて適宜任意の公知の方法とすることができる。
【0055】
本実施形態の補強筋は、凹部5を垂直プレキャストコンクリート部材1の本体部分と強度的に一体化させるべく、文字通り凹部5を囲い込む2本のU字状補強筋と、アンカーボルト貫通孔4に沿ってアンカーボルト貫通孔4と直交する方向に設けられた4本のアンカー補強筋6とからなる。
【0056】
アンカーボルト貫通孔4の上端部、すなわち凹部5との連通部には、後に説明するナットの座金7が設けられている。この座金7は、ボルト・ナットの締付けによるアンカーボルト貫通孔4の損壊を防止するためにも受けられるものである。座金7は、適宜他のものによって代用することができる。
【0057】
アンカーボルト貫通孔4の下端部は、好ましくは図1に示すように下方が拡開した形状になっている。これは、後述するように、垂直プレキャストコンクリート部材1の据付時に、アンカーボルトの頭部を案内することにより、アンカーボルトの挿入を簡単にするためのものである。
【0058】
なお、符号8,9はそれぞれ垂直プレキャストコンクリート部材1の本体を補強する縦筋と横筋を示している。これらの補強筋は、部材の強度の要求により適宜配筋されるものとする。
【0059】
一方、プレキャストコンクリート部材2は、垂直プレキャストコンクリート部材1と接合する接合端面10から、ほぼ垂直にアンカーボルト11を突設させている。
【0060】
アンカーボルト11は、垂直プレキャストコンクリート部材1を支える強度を有するように基部がプレキャストコンクリート部材2に埋設され、あるいは図1に示すようにプレキャストコンクリート部材2の主筋と一体になっている。
【0061】
符号12は、アンカーボルト11の抜けを防止し、プレキャストコンクリート部材2の面強度を維持する押え筋を示している。
【0062】
アンカーボルト11の頭部には、ナット13が螺着されている。ナット13の下部には、ナットの力を受ける第二の座金14が設けられている。
【0063】
なお、図1に示すように、施工後は、凹部5にはコンクリートまたはモルタル15が充填されている。
【0064】
以上が本実施形態による垂直プレキャストコンクリート部材の接合構造の構成であるが、次に本接合構造の施工方法について以下に説明する。
【0065】
本実施形態による垂直プレキャストコンクリート部材の接合構造では、垂直プレキャストコンクリート部材1を起重機等で吊持し、アンカーボルトを突設したプレキャストコンクリート部材2の接合端面10上に降ろし、アンカーボルト11をアンカーボルト貫通孔4に貫挿させる。
【0066】
このときアンカーボルト貫通孔4の下部の拡開部分は、上述したごとくアンカーボルト11の頭部を案内し、アンカーボルト11の挿入を容易にする。
【0067】
垂直プレキャストコンクリート部材1の接合端面3がアンカーボルトを突設したプレキャストコンクリート部材2の接合端面10に接するまで垂直プレキャストコンクリート部材1を降ろすと、アンカーボルト11の頭部は凹部5内に突出する。
【0068】
ここで、垂直プレキャストコンクリート部材1の上端部を起重機等によって引き続き支持し、その間にアンカーボルト11の頭部に座金14を嵌め、ナット13を仮締込みする。この仮締込みにより、垂直プレキャストコンクリート部材1は、自立できる状態になるので起重機のロープ等を取り外すことができる。
【0069】
同様にして他の垂直プレキャストコンクリート部材がある場合は、他の垂直プレキャストコンクリート部材を据え付け、ナットの仮締込みをする。
【0070】
次に、これらの垂直プレキャストコンクリート部材の芯出しを行ない、垂直度等が規定値以内に収まることを確認してナットの本締込みをする。これにより、接合作業が完了する。
【0071】
最後に、防錆や耐火や美観の要求から、凹部5にモルタルやコンクリート15を補填し、アンカーボルト11頭部とナット13等を垂直プレキャストコンクリート部材1中に埋め込むようにする。さらに、必要により、垂直プレキャストコンクリート部材1とプレキャストコンクリート部材2の接合面の溝をシール材16によってシールする。
【0072】
以上で本発明による垂直プレキャストコンクリート部材の接合構造の接合作業は完全に終了する。
【0073】
このように、本発明によれば、垂直プレキャストコンクリート部材1の吊り上げと据え付けが起重機の一連の作業で済み、従来のスリーブや圧着継手による接合構造の場合のように接合作業中の垂直プレキャストコンクリート部材1を支持するためのサポートを別個に用意する必要がない。
【0074】
また、接合作業もナットの締込みだけで済むので、圧着スリーブや溶接等のように熟練工によって作業をする必要もなく、また、モルタル充填式スリーブのような煩雑なグラウト注入作業がなく、作業を極めて迅速に進めることができ、かつ、作業自体は簡単である。
【0075】
さらに、本発明によれば、上述したようにナットを仮締込みし、他の垂直プレキャストコンクリート部材との芯出しや微調整をした後に本締込みの作業を行なうことができるので、微調整ができない従来のウェットジョイントや圧着スリーブ接合やモルタル充填式スリーブ接合とは異なり、手すりや壁のように連続した垂直パネルを据え付ける場合に簡単に美しい並びの手すり・壁を得ることができる。
【0076】
また、本発明の垂直プレキャストコンクリート部材の接合構造によれば、接合後に凹部5にコンクリートまたはモルタル15を詰めるようにすればよく、従来のボルト・ナットによる接合構造のように、広い接合段部上面全体にコンクリートまたはモルタル15を上塗りする必要がない。
【0077】
また、本発明の垂直プレキャストコンクリート部材の接合構造によれば、応力を伝達するボルト・ナットが、垂直プレキャストコンクリート部材1の重量を支承する構造強度の面の内部に位置しており、接合部にモーメントがかかり難い構造となっている。
【0078】
また、凹部または開口部を補強筋によって部材本体と強度的に一体化されているので、従来のボルト・ナットの接合構造に比して、接合段部と部材本体の間にクラック等が入りにくく、高い信頼性の接合構造を得ることができる。
【0079】
また、本発明の垂直プレキャストコンクリート部材の接合構造では、従来のボルト・ナットによる接合構造に比して、接合後に接合段部が室内に突出することがなく、美観上好ましいばかりでなく、空間の利用効率が高く、人がつまずくこともない。
【0080】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の垂直プレキャストコンクリート部材の接合構造は、アンカーボルトの位置がアンカーボルト貫通孔の半径内に収まれば接合することができるので、従来の圧着スリーブ、溶接継手、ねじ継手等の接合構造に比して、プレキャストコンクリート部材の製作精度の要求を大幅に緩和することができる。これにより、建設現場でのトラブルを著しく減少させ、効率的な建設工事を行なうことができる。
【0081】
また、本発明の垂直プレキャストコンクリート部材の接合構造によれば、プレキャストコンクリート部材の吊り上げ、据付け、接合を起重機の一連の動作で行なうことができ、従来の圧着スリーブ等の接合構造あるいはモルタル充填式スリーブのように接合強度を発揮するまで時間がかかることがない。このため、工事を迅速に進めることができ、仮設サポートを設ける等の手間も省略することができる。
【0082】
また、本発明の垂直プレキャストコンクリート部材の接合構造は、ボルト・ナットの締結位置がプレキャストコンクリート部材の内部にあり、ボルト・ナットによって締結される部分が補強筋によってプレキャストコンクリート部材本体と強度的に一体化されているので、従来のボルト・ナットによる接合構造に比して、接合部にモーメントがかかり難い形状を有し、強度上高い信頼性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による垂直プレキャストコンクリート部材の接合構造の縦断面図。
【図2】図1の矢印A−A方向に見た本発明の一実施形態による垂直プレキャストコンクリート部材の接合構造の他の縦断面図。
【図3】圧着スリーブを用いた従来の垂直プレキャストコンクリート部材の接合構造の縦断面図。
【図4】モルタル充填式スリーブを用いた従来の垂直プレキャストコンクリート部材の接合構造の縦断面図。
【図5】ボルト・ナット締結による従来の垂直プレキャストコンクリート部材の接合構造の縦断面図。
【符号の説明】
1 垂直プレキャストコンクリート部材
2 アンカーボルトを突設したプレキャストコンクリート部材
3 接合端面
4 アンカーボルト貫通孔
5 凹部
6 補強筋
7 座金
8 縦筋
9 横筋
10 接合端面
11 アンカーボルト
12 押え筋
13 ナット
14 座金
15 コンクリートまたはモルタル
16 シール材

Claims (1)

  1. 接合端面に対してほぼ垂直に部材内部に向かって設けられたアンカーボルト貫通孔(4)と、前記アンカーボルト貫通孔(4)に連通し部材側面から設けられた凹部または開口部(5)とを有し、前記凹部または開口部(5)の少なくとも両側部と下部に補強筋(6)を配設してなる垂直プレキャストコンクリート部材(1)と、
    接合端面に対してほぼ垂直にアンカーボルト(11)を突設したプレキャストコンクリート部材(2)とからなり、
    前記垂直プレキャストコンクリート(1)のアンカーボルト貫通孔(4)に前記アンカーボルト(11)を貫挿させ、前記垂直プレキャストコンクリート部材(1)の凹部又は開口部(5)内に突出した前記アンカーボルト(11)の頭部にナット(13)を堅く螺着させ、前記垂直プレキャストコンクリート部材(1)の凹部又は開口部(5)をコンクリートまたはモルタルによって補填したことを特徴とする垂直プレキャストコンクリート部材の接合構造。
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