JPH089274Y2 - トンネル覆工用湾曲版によるトンネルの覆工構造 - Google Patents

トンネル覆工用湾曲版によるトンネルの覆工構造

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JPH089274Y2
JPH089274Y2 JP8095590U JP8095590U JPH089274Y2 JP H089274 Y2 JPH089274 Y2 JP H089274Y2 JP 8095590 U JP8095590 U JP 8095590U JP 8095590 U JP8095590 U JP 8095590U JP H089274 Y2 JPH089274 Y2 JP H089274Y2
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勝範 松井
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【考案の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本考案は、たとえば、老朽化した断面円弧状をなす既
設トンネルを補修するにあたり、トンネルの内壁に覆工
用湾曲版を組み付け、かつこの湾曲版とトンネルの内壁
との間にグラウト材を充填してなるトンネル覆工用湾曲
版によるトンネルの覆工構造に関するものである。
[考案がなされた技術背景] たとえば、崩壊の危険があるの既設のトンネルの内壁
を覆工して補修するには、内壁の内側に鉄筋を配筋して
からこの鉄筋の内側に型枠を組んだ後、この型枠内にコ
ンクリートを打設する方法が従来よりある。ところがこ
の方法では、鉄筋と型枠の設置からコンクリートの養生
までの時間が長いことから、補修工期が長引いてトンネ
ルの再活用に遅れをとる欠点がある。
そこで、トンネル内壁に沿った曲率を有し複数に分割
される円弧版状のトンネル覆工用湾曲版を、鉄筋コンク
リートによってあらかじめ製造し、この湾曲版を現場に
運搬してトンネル内壁に沿って組付け、かつ相互に連結
することによりトンネル内壁を覆い、この連結された湾
曲版とトンネル内壁との間の空隙にモルタル等のグラウ
ト材を注入する方法が多く採られるようになってきてい
る。
湾曲板をトンネル内壁に沿って組み付けるにあたって
は、トンネル内壁に近接してグラウト材を注入する所定
の空隙をあけて行うわけであるが、このような組み付け
を、いかなる既設のトンネルに応じても容易かつ短時間
でなし得る構造は従来なく、その技術が望まれているの
が現状である。
[課題を解決するための手段] 本考案は上記事情に鑑みてなされたものであって、断
面円弧状をなすトンネルの内壁に沿って、この内壁との
間にグラウト材充填スペースをあけた状態で複数の円弧
版状のトンネル覆工用湾曲版を相互に連結して組み付け
た後、前記グラウト材充填スペースにグラウト材を充填
してなるトンネル覆工用湾曲版によるトンネルの覆工構
造において、前記内壁に対しトンネルの長さ方向に沿っ
て固定された基準金具に、前記内壁に対する湾曲版の対
向面であって前記基準金具に対応する箇所に固定された
固定金具が固着されることにより、湾曲版が前記内壁に
固定され、また、相互に連結する湾曲版どうしが、その
接合端面に設けられた継手金具がボルト結合されること
により連結されるとともに、双方の湾曲版の継手金具近
傍の内面に設けられたボルト締結用凹所と前記グラウト
材充填スペースとを連通するグラウト材の通路が形成さ
れ、さらに、これら凹所が、前記継手金具に固定された
閉塞板により着脱可能に塞がれた状態で、グラウト材充
填スペースにグラウト材が充填されてなることを特徴と
している。
[作用] 本考案のトンネル覆工用湾曲版によるトンネルの覆工
構造によれば、トンネル内壁に固定された基準金具に、
湾曲版に固定した固定金具を溶接等の手段で固着するだ
けで、湾曲版を、所定のグラウト材充填スペースをあけ
た状態で内壁に沿って組み付けることができる。したが
って、いかなる既設のトンネルに対しても、容易かつ短
時間で湾曲版を組み付けることができ、もって湾曲版に
よる内壁全体を覆工・補修する工期の大幅な短縮化が図
られる。
また、湾曲版の内面に開口するボルト締結用凹所は、
閉塞板により塞がれた状態でグラウト材の通路からグラ
ウト材が充填されることにより、凹所による強度損失が
補償され、さらに、閉塞板が取り外されることにより、
湾曲版による覆工体の内面全体が連続した円弧状の面と
なり外観性の向上が図られる。
[実施例] 第1図の符号1は、断面円弧状の既設のトンネルを示
している。このトンネル1は、地盤G中に堀削された堀
削穴2の内壁2aにコンクリート等の覆工材3が構築され
てできたものであるが、覆工材3は老朽化したものであ
り、第1図は、この老朽化した覆工材3の内壁3aが、ト
ンネル1頂部を境として左右にそれぞれ組み付けられ、
かつ相互に連結された多数の上部湾曲版4および下部湾
曲版5と、これら各湾曲版4、5と内壁3aとの間に形成
された空隙(グラウト材充填スペース)6に注入された
モルタル7とにより覆工され補修がなされた状態を示し
ている。
上部湾曲版4および下部湾曲版5は、鉄筋コンクリー
トにより、トンネル1の断面曲率に沿って湾曲した円弧
版状に成形されたもので、互いに同一の適宜な幅(トン
ネル1の奥行き方向の長さ)を有し、その周方向の長さ
は、トンネル1の底面である基盤1aから頂部にわたる周
方向の長さの約1/2にそれぞれ設定されている。
以下、これら湾曲版4、5の内壁3aに対する組み付け
構造を説明する。
トンネル1両側の基盤1aにおける下部湾曲版5を据え
付ける位置、すなわち基盤1aの幅方向両端であって内壁
3aから所定距離離れて近接する位置には、一定の間隔を
おいてトンネル1の長さ方向に沿ってアンカーボルト8
が打ち込まれており、このアンカーボルト8上に、多数
のガイド突起9が設けられている。
このガイド突起9は、第2図に示すように、断面形状
が上端に向かって狭まる台形状で、型枠10内にモルタル
等の充填固化材11が充填されてなるもので、適宜な長さ
を有しトンネル1の長さ方向に延びている。この場合2
個のアンカーボルト8に対し1つのガイド突起9が設け
られている。
一方、下部湾曲版5のトンネル1の基盤1aに対する接
地端面13には、前記ガイド突起9に嵌合する溝状のガイ
ド凹所12が接地端面13の全長にわたり形成されている。
このガイド凹所12は、ガイド突起9に対応した断面台形
状であって、接地端面13の幅方向中心に接地端面13の長
さ方向に沿って形成されており、ガイド突起9がぴった
り嵌まるようになっている。
そして、このガイド突起9にガイド凹所12が嵌め込ま
れることにより、下部湾曲版5は基盤1aに据え付けられ
ている。
第3図ないし第6図は、本考案に係る下部湾曲版5の
内壁3aに対する組み付け構造ならびに上部湾曲版4と下
部湾曲版5の連結構造を示している。
これら図に示すように、覆工材3における下部湾曲版
5の上端部に近接する箇所には、L字状の基準金具14を
介在させて、地盤Gに達する長さを有するロックボルト
15が一定間隔をおいて複数(下部湾曲版5に対し複数)
打ち込まれナット15aにより固定されている。
基準金具14は、ロックボルト15によって覆工材3の内
壁3aに圧接させられる基板部16と支持板部17とからなる
もので、支持板部17が上に配され、かつ、この支持板部
17が内壁3aの径方向に沿う状態で、ロックボルト15およ
びナット15aにより内壁3aにトンネル1の長さ方向に沿
って固定されている。
また、前述の如くガイド突起9により基盤1aに据え付
けられた状態の下部湾曲版5の外面(内壁3aに対する対
向面)34における前記基準金具14に対応する箇所には、
基準金具14に固定される断面L字状の長尺な固定金具19
が下部湾曲版5の幅方向に延びて取り付けられている。
この固定金具19は、下部湾曲版5の幅全長にわたる長
さを有し、基板部20と固定板部21とからなり、固定板部
21が下に配された状態で、基板部20が、下部湾曲版5に
埋め込まれたインサート金具22に捩込まれたボルト23に
より下部湾曲版5の外面34に固定されている。なお、固
定板部21には、一定の間隔をおいて複数の溶接用孔24が
あけられ、また、基板部20の両面には、帯状のシール材
25が張り付けられている。
固定金具19は、下部湾曲版5が基盤1aに対し、覆工材
3の内壁3aとの間に一定の空隙6があけられて内壁3aに
沿って据え付けられた状態で、固定板部21が前記基準金
具14の支持板部17の上に重なり、固定板部21の溶接用孔
24の内縁と基準金具14の支持板部17とが栓溶接されてい
る。これにより、下部湾曲版5は、基準金具14と固定金
具19との固定を介して内壁3aに組み付けられている。
上部湾曲版4および下部湾曲版5においては、第5図
および第6図等に示すように、互いの接合端面26、27
に、これら接合端面26、27をぴったり合わせた状態で互
いに接合する継手金具28、29がそれぞれ埋め込まれ、さ
らに、これら継手金具28、29の内側には、各湾曲版4、
5の内面30、18に開口するボルト締結作業のための凹所
31、32が設けられているとともに、凹所31、32から外面
33、34に通じるモルタル7の通路35、36がそれぞれ形成
されている。さらに、各接合端面26、27と外面33、34と
の角部の中央には、互いに一致して半球状となる凹所3
7、38がそれぞれ形成されている。
また、第3図、第5図および第6図に示すように、上
部湾曲版4と下部湾曲版5の連結をなす継手金具28、29
の内側の凹所31、32は、事前に閉塞板57によって塞がれ
ている。
この閉塞板57は、継手金具28、29の締結をボルト44・
ナット45で行う際に、あらかじめ継手金具28、29に共締
めされたL字金具58に溶接されて湾曲版4(5)の内側
に突出するねじ59に、ナット60により固定されている。
このように閉塞板57により凹所31、32を塞いだ状態
で、空隙6にモルタル7を注入すると、モルタル7は、
下部湾曲版5の凹所32から外面34に通じる通路36を経て
下部湾曲版5の凹所31、上部湾曲版4の凹所32に充填さ
れ、さらに上部湾曲版4の凹所32から外面33に通じる通
路35に充填される。
そして、モルタル7が固化したら、ナット60を外して
閉塞板57を取り外し、ねじ59の突出部分をカットするこ
とにより、凹所31、32は、上部湾曲版4と下部湾曲版5
の内面30、18と面一の状態でモルタル7が埋め込まれた
状態となる。
一方、トンネル1頂部の連結部となる上部湾曲版4ど
うしの接合端部は、第7図ないし第9図に示すように、
先端が三角形状の左右対称なテーパ状に形成されて2つ
の接合端面39a、39bが設けられている。
これら接合端面39a、39bの厚さ(高さ)方向中央に
は、その長さ方向に沿って断面半円弧状の溝40a、40bが
それぞれ形成されている。また、各接合端面39a、39bと
外面33との角部であって各接合端面39a、39bの長さ方向
中央には、球面状にへこんだ凹部41a、41bが形成されて
いる。
また、前記各接合端面39a、39bが交わる角部に近接し
た箇所には、外面33側からインサート金具42が埋め込ま
れ、このインサート金具42にボルト43が捩込まれてい
る。
以上の構成からなる上部湾曲版4と下部湾曲版5と
は、第3図ないし第6図に示すように、互いの接合端面
26、27が合わせられ、継手金具28、29どうしがボルト44
・ナット45により締結されることにより連結されてい
る。なお、接合端面26、27との間には、凹部37、38にか
かるシール材46が介在されている。
また、上部湾曲版4どうしは、第7図および第9図に
示すように、接合端面39a、39bどうしが突き合わせら
れ、この状態で双方の溝40a、40bが合致することにより
形成される空洞内にキーロッド47が嵌合されている。
そして、前記ボルト43が、インサート金具42から抜け
方向に回転させることにより引き出され、このボルト43
が覆工材3の内壁3aに強く押し付けられた状態となって
いる。これにより、上部湾曲版4は、内壁3aに押し付け
られるボルト43の反力を受け、この反力は上部湾曲版4
・4の接合端面39aならびに39bどうし、上部湾曲版4と
下部湾曲版5の接合端面26、27どうしが互いに圧接する
よう働き、ひいては各湾曲版4、5に対し周方向に圧縮
力(軸力)が働く。なお、第8図に示すように、上部湾
曲版4どうしの接合端面39a、39bの間には、凹部41a、4
1bにかかるシール材48が介在されている。
本実施例では、上部湾曲版4どうしの連結は接合端面
39a、39bどうしを合わせるために、左側の上部湾曲版4
と下部湾曲版5とからなる連結体と右側の上部湾曲版4
と下部湾曲版5とからなる連結体が、湾曲版4(5)の
幅の1/2ずれた状態で基盤1aに据え付けられ、1つの半
円弧状のアーチ49が構成される。そして、このアーチ49
を順に連結していくことにより内壁3a全体が覆工されて
いる。
アーチ49どうしの連結構造は以下のようになってい
る。
第10図に示すように、上部湾曲版4と下部湾曲版5に
は、上記のように内壁3aに組み付けられた際に互いに連
続する適宜な数のボルト通し孔50が、幅方向に沿って貫
通形成されている。このボルト通し孔50の両端開口部に
は、奥に座ぐり部51が形成された凹所52が、ボルト通し
孔50と同軸的に形成されている。
ボルト通し孔50には、湾曲版4(5)の幅よりもやや
短く、両端にねじ部53a、53bが形成された連結棒53が、
両端のねじ部53a、53bを両側の凹所52内に位置する状態
で通されている。そして、連結される一方の湾曲版4
(5)の一端側のねじ部53aに、互いに連結する湾曲版
4(5)双方の凹所52にわたる筒状の連結用ナット54
が、座ぐり部51の座面51aに当てられたワッシャ55を介
して捩込まれている。
また、連結される他方の湾曲版4(5)のボルト通し
孔50に通された連結棒53の他端側のねじ部53bには通常
のナット56が装着されるとともに、このねじ部53bが前
記連結用ナット54に捩込まれている。
このように、ボルト通し孔50に通された連結棒53の一
端側のねじ部53aに連結用ナット54が締結され、この連
結用ナット54に、次に連結する湾曲版4(5)のボルト
通し孔50に通された連結棒53の他端部のねじ部53bが連
結用ナット54に捩込まれ、さらにこれを連続させていく
ことにより、アーチ49どうし、すなわちトンネル1の長
さ方向に隣合う上部湾曲版4どうし、下部湾曲版5どう
しが、互いの接合端面62が合わせられた状態で連結され
ている。
そして、上部湾曲版4および下部湾曲版5と覆工材3
の内壁3aとの間の空隙6に、モルタル7が注入・充填さ
れ最終的に内壁3aの覆工が完了されている。この場合、
モルタル7は、第1図に示すように、第1段階:Aで示す
下部湾曲版5の途中までのレベル、第2段階:Bで示す上
部湾曲版4と下部湾曲版5との連結部のすぐ下までのレ
ベル、第3段階:同連結部のすぐ上のレベル、第4段
階:頂部まで、の順に注入・固化を繰り返していく。な
お、上部湾曲版4と下部湾曲版5との連結部の内側に注
入されるモルタル7(BレベルとCレベルの間)は、上
部湾曲版4と下部湾曲版5との互いの連結強度を図るた
め、通常のモルタルよりも比重の高い無収縮モルタルが
用いられている。
前記のように、BレベルとCレベルの間に注入される
モルタル7は、下部湾曲版5の凹所32から外面34に通じ
る通路36を経て下部湾曲版5の凹所32、上部湾曲版4の
凹所31に充填され、さらに上部湾曲版4の凹所31から外
面33に通じる通路35に充填される。
そして、モルタル7が固化したら、ナット60を外して
閉塞板57を取り外し、ねじ59の突出部分をカットするこ
とにより、凹所31、32は、上部湾曲版4と下部湾曲版5
の内面30、18と面一の状態でモルタル7が埋め込まれた
状態となっている。
以上のようにして、多数の上部湾曲版4、下部湾曲版
5によりトンネル1における覆工材3の内壁3aが覆工さ
れている。
上記本実施例のような下部湾曲版5の覆工材3の内壁
3aに対する組み付け構造ならびに上部湾曲版4と下部湾
曲版5との連結構造によれば、内壁3aにロックボルト15
により基準金具14を固定し、この基準金具14に、下部湾
曲版5にボルト23により固定した固定金具19を溶接する
だけで、下部湾曲版5を、モルタル7を注入する空隙6
をあけて内壁3aに沿って組み付けることができる。した
がって、いかなる既設のトンネルに対しても、容易かつ
短時間で下部湾曲版5を組み付けることができ、もって
上部湾曲版4および下部湾曲版5による内壁3a全体を覆
工・補修する工期の大幅な短縮化が図られる。
また、上部湾曲版4と下部湾曲版5の内面に開口する
各凹所31、32は、閉塞板57により塞がれた状態でモルタ
ル7が充填され、かつ凹所31、32に充填されるモルタル
7は、閉塞板57を取り外すことにより、上部湾曲版4と
下部湾曲版5の内面30、18に沿って面一となる。すなわ
ち、上部湾曲版4と下部湾曲版5による覆工体の内面全
体が連続した円弧状の面が形成されて外観性の向上が図
られる。しかも、凹所31、32にモルタル7が充填される
ことにより、これら凹所31、32による強度損失の補償が
なされる。
次に、上記のように多数の上部湾曲版4、下部湾曲版
5を組み付けていく方法を説明する。
まず、本考案に係る、下部湾曲版5をトンネル1の基
盤1aに据え付ける方法を説明する。
第2図に示すように、ある基準にまで平滑にならした
基盤1aの下部湾曲版5を据え付ける位置に、トンネル1
の長さ方向に一定の間隔をおいて、その頭部6aが基盤1a
上に突出する状態にアンカーボルト6をトンネル1全長
にわたって打ち込む。次いで、断面台形の中空箱状に形
成された前記型枠10をセットしてアンカーボルト8を覆
い、型枠10の上部にあけられた充填固化材11の注入口10
aから型枠10内にモルタル等の充填固化材11を注入し、
型枠10およびその内部の充填固化材11からなるトンネル
1の長さ方向に沿った長尺なガイド突起9を、トンネル
1全長にわたって多数得る。
そして、下部湾曲版5を第1図に示すクレーンKで支
持し、かつその姿勢を覆工材3の内壁3aに沿うよう制御
しながら、トンネル1の一方の出入り口の端部における
覆工材3の内壁3aに近付けていき、接地端面13に形成し
たガイド凹所12を、ガイド突起9に嵌合する。なお、基
盤1aに対するガイド突起9の位置は、ガイド凹所12が嵌
合した際に、内壁3aと下部湾曲版5との間の空隙6が所
定の距離になるようあらかじめ設定しておく。下部湾曲
版5は、基盤1aの左右に配するわけであるが、内壁3aの
端部に揃えて据え付けた左右いずれか一方の下部湾曲版
5に対し、もう一方の下部湾曲版5をその幅の1/2の距
離ずらした位置に配する。
このように基盤1aに据え付けた下部湾曲版5を内壁3a
に固定するには、第3図等に示すように、固定金具19の
固定板部21を複数の基準金具14の支持板部17に重ね合わ
せ、固定板部21の溶接用孔24の内縁と支持板部17とを栓
溶接する。これにより、基準金具14と固定金具21とが固
定され、下部湾曲版5が覆工材3の内壁3aに組み付けら
れる。
次いで、上部湾曲版4をクレーンKで支持し、かつそ
の姿勢を覆工材3の内壁3aに沿うよう制御しながら、内
壁3aの端部側に据え付けた下部湾曲版5の上方の内壁3a
に近付けていき、下部湾曲版5の接合端面27に上部湾曲
版4の接合端面26をぴったり合わせ、継手金具28、29ど
うしをボルト44・ナット45により締結する。このとき、
閉塞板57を固定するためのL字金具58を共締めする。こ
の時点では、まだこの上部湾曲版4はクレーンKで支持
しておく必要がある。
次いで、反対側の下部湾曲版5の上方に上部湾曲版4
を近付け、接合端面26を下部湾曲版5の接合端面27に合
わせるとともに、頂部側の互いの接合端面39a(39b)ど
うしを合わせる。このとき、合わせられる側の既設の上
部湾曲版4の接合端面39a(39b)の溝40a(40b)にキー
ロッド47をあらかじめ嵌めておき、合わせる側の上部湾
曲版4の接合端面39a(39b)の溝40a(40b)をキーロッ
ド47に嵌め込んでおくとともに、接合端面39a(39b)に
シール材48を装着しておく。
そして、上記と同様に継手金具28、29どうしをボルト
44・ナット45で締結して上部湾曲版4と下部湾曲版5を
連結する。また、頂部において接合端面39a(39b)どう
しが互いに突き合わせられることにより、双方が互い支
え合う状態となり、前記ボルト43をインサート金具42か
ら抜け方向に回転させてこのボルト43の頭部を覆工材3
の内壁3aに強く押し付けた状態とする。これにより、前
述のごとく各湾曲版4、5に対し周方向に圧縮力(軸
力)が働き、連結状態が保持される。
このように1つのアーチ49を内壁3aに組み付けたら、
次に組み付ける下部湾曲版5を、既設の下部湾曲版5の
隣に上記と同様にして組み付け、さらに隣合う下部湾曲
版5どうしを連結する。
下部湾曲版5どうしを連結するには、第10図に示すよ
うに、既設の下部湾曲版4のボルト通し孔50に連結棒53
を通し先端側にねじ部53bにナット56を装着し、他端側
のねじ部53aに連結用ナット54を捩込んで連結棒53を固
定する。そして、この連結用ナット54に新たな連結棒53
を捩込んでおき、この連結棒53に、新たに連結する下部
湾曲版5のボルト通し孔50を通していきながらこの下部
湾曲版5を既設の下部湾曲版5に合わせる。次いで、新
たに捩込んだ連結棒53のねじ部53aに連結用ナット54を
ワッシャ55を介して捩込む。この連結用ナット54の締め
付け力により、隣合う下部湾曲版5どうしの連結がなさ
れる。
以上のようにして、基盤1aに対する下部湾曲版5の据
え付けと内壁3への組み付け、下部湾曲版5どうしの連
結、上部湾曲版4の下部湾曲版5に対する連結、および
上部湾曲版4どうしの連結を順次行って、トンネル1に
おける覆工材3の内壁3aを、多数の湾曲版4、5により
覆工する。この覆工が完了したら、第3図等に示すよう
に、凹所31、32を閉塞板57により塞いでから、前述した
ごとく湾曲版4、5と内壁3aとの間の空隙6にモルタル
7を充填していく。モルタル7が固化したら、閉塞板57
を取り外して、最終的に内壁3の覆工が完了する。
このような各湾曲版4、5の組み付け方法によれば、
新たに上部湾曲版4を組み付ける際、既設の上部湾曲版
4によって順次支持させていくから、上部湾曲版4の姿
勢を仮りに保持するための支柱等の機材が必要がなく、
効率的にかつ短期間で各湾曲版4、5を組み付けていく
ことができる。
[考案の効果] 以上説明したように、本考案のトンネル覆工用湾曲版
によるトンネルの覆工構造によれば、トンネル内壁に固
定された基準金具に、湾曲版に固定した固定金具を溶接
等の手段で固着するだけで、湾曲版を、所定のグラウト
材充填スペースをあけた状態で内壁に沿って組み付ける
ことができ、したがって、いかなる既設のトンネルに対
しても、容易かつ短時間で湾曲版を組み付けることが可
能で、もって湾曲版による内壁全体を覆工・補修する工
期の大幅な短縮化が図られる。また、湾曲版の内面に開
口するボルト締結用凹所は、閉塞板により塞がれた状態
でグラウト材の通路からグラウト材が充填されることに
より、凹所による強度損失が補償され、さらに、閉塞板
が取り外されることにより、湾曲版による覆工体の内面
全体が連続した円弧状の面となり外観性の向上が図られ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図ないし第10図は本考案の一実施例を示す図であっ
て、第1図は本考案にもとづいて覆工・補修がなされた
既設トンネルの正断面図、第2図は下部湾曲版の据え付
け構造を示す正断面図、第3図は上部湾曲版と下部湾曲
版の連結構造を示す正断面図、第4図は内壁に対する下
部湾曲版の固定構造を示す要部正断面図、第5図は第3
図のV方向矢視図、第6図は上部湾曲版と下部湾曲版の
連結構造の要部を拡大した正断面図、第7図は上部湾曲
版どうしの連結構造を示す正断面図、第8図は上部湾曲
版の一部斜視図、第9図は第1図のIX方向矢視図、第10
図はトンネルの長さ方向に隣合う上部湾曲版および下部
湾曲版の連結構造を示す断面図である。 1……トンネル、3a……内壁、4……上部湾曲版、5…
…下部湾曲版、6……空隙(グラウト材充填スペー
ス)、7……モルタル(グラウト材)、14……基準金
具、19……固定金具、28、29……継手金具、31、32……
ボルト締結用凹所、34……外面(対向面)、35、36……
グラウト材の通路、57……閉塞板。

Claims (1)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】断面円弧状をなすトンネルの内壁に沿っ
    て、この内壁との間にグラウト材充填スペースをあけた
    状態で複数の円弧版状のトンネル覆工用湾曲版を相互に
    連結して組み付けた後、前記グラウト材充填スペースに
    グラウト材を充填してなるトンネル覆工用湾曲版による
    トンネルの覆工構造において、 前記内壁に対しトンネルの長さ方向に沿って固定された
    基準金具に、前記内壁に対する湾曲版の対向面であって
    前記基準金具に対応する箇所に固定された固定金具が固
    着されることにより、湾曲版が前記内壁に固定され、ま
    た、相互に連結する湾曲版どうしが、その接合端面に設
    けられた継手金具がボルト結合されることにより連結さ
    れるとともに、双方の湾曲版の継手金具近傍の内面に設
    けられたボルト締結用凹所と前記グラウト材充填スペー
    スとを連通するグラウト材の通路が形成され、さらに、
    これら凹所が、前記継手金具に固定された閉塞板により
    着脱可能に塞がれた状態で、グラウト材充填スペースに
    グラウト材が充填されてなることを特徴とするトンネル
    覆工用湾曲版によるトンネルの覆工構造。
JP8095590U 1990-07-30 1990-07-30 トンネル覆工用湾曲版によるトンネルの覆工構造 Expired - Lifetime JPH089274Y2 (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010185508A (ja) * 2009-02-12 2010-08-26 Caterpillar Japan Ltd 建設機械における開閉体の保持具

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