JP4086626B2 - 地盤改良方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、軟質の地盤を硬質の地盤に改良する地盤改良方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
本出願人は、特開2000−1850号公報、同2001−59221号公報及び同2001−182058号公報等において、配電線や電話線等の電柱の支線を支持するのに好適なアンカ(地中アンカ)を提案している。このアンカは、地中に埋設される鋳鉄製の軸棒(支持棒)の先端側に間欠的に螺旋状の掘削刃を一体的に設けて構成されている。
【0003】
また、本出願人は、特願2002−146034号において、電柱を容易に立設することのできるアンカを提案している。このアンカは、電柱の立設される地面に所定深さの穴を掘り、その穴の底部に上述と同様のアンカを埋設し、そのアンカの上部に筒状体を載置するとともに、その筒状体に電柱を挿入して電柱を立設するようにしている。
【0004】
上記提案に係るアンカは、電柱の設置される地盤の性質に合わせてその大きさが選定され、また埋設深さが決められて、支線が所定の張力を得られるように、あるいは電柱を安定して支持できるようにしている。このため、本出願人は、使用するアンカの種類や埋設深さを決定するための資料を得るために、特願2002−23876号において、地盤の軟硬の程度を表わす指標であるN値を簡単に測定できる、全体形状が棒状を呈しているN値測定工具を提案している。なお、このN値は、JISA1219に示されるように、外径5.1cm、内径3.5cm、長さ81.0cmの中空の測定具(サンプラー)を地中へ打ち込む際に生ずる地盤の抵抗から求められるもので、上述の測定具を質量63.5kg(約622.3N)のハンマーを75cmの高さから自由落下させ、その測定具が30cm打ち込むのに必要な打撃数Nから求められるものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、上記提案に係るアンカは、アンカの埋設される地盤を事前に調査し、アンカの種類や埋設深さが決められるが、地盤によってはN値が小さすぎて、つまり軟質過ぎて大型のアンカを必要としたり、あるいは、埋設深さを相当深くしなければならないことがあった。
【0006】
そこで、本発明は、地盤が軟質の場合に、その地盤を簡単に硬質に改良できるようにした地盤改良方法を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る地盤改良方法は、上記目的を達成するために、穴掘建柱車の回転部に取り付けた補助工具に螺旋状の掘削刃を有するアンカを取り付ける第1工程と、前記穴掘建柱車を用い、前記アンカを地盤改良対象地盤に押圧回転して前穴を掘る第2工程と、前記アンカを引き上げた前記前穴に骨材を投入する第3工程と、前記穴掘建柱車の補助工具から前記アンカを取り外すとともに、先端に超硬チップを有する工具を前記補助工具に取り付ける第4工程と、前記穴掘建柱車で前記先端に超硬チップを有する工具を前記前穴に投入された骨材に向けて押圧回転させてその骨材を破砕するとともに、その破砕された骨材を前記前穴の中及び前穴の周囲の地盤に圧入させる第5工程と、前記超硬チップを有する工具を前記前穴から引き上げ、その前穴に骨材を追加投入する第6工程とからなり、第5工程と第6工程を必要回数繰り返すことを特徴としている。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1(a)〜(e)は、一実施の形態に係る地盤改良方法を示す工程図である。以下、工程順に従って説明する。
【0009】
前穴掘り(図1(a)参照)
地盤改良を行う地盤Gに、穴掘工具としてアンカAを用いて所定の深さ、つまり地盤改良を行う必要のある深さまで前穴(下穴)Hを掘る。このアンカAは、本出願人が特開2000−1850号公報、同2001−59221号公報、同2001−182058号公報等において開示したアンカと同一である。
【0010】
このアンカAは、鋳鉄製であり、棒状の軸棒(支持棒)a1 に所定の間隔を保って複数(図示の例では4個)の螺旋状の掘削刃a2 ,a2 …を一体的に有しているので、電柱を立設するときに用いられる周知の穴掘建柱車の回転部を用いて地盤Gの任意の深さに簡単に埋設できる特長があるとともに、任意の深さに埋設されたときに回転を中止してそのまま引き上げるとアンカAの直径に見合う穴を簡単に掘ることができる特長がある。なお、掘削刃a2 ,a2 …は、アンカAの先端(図1において下端)側ほどその径が小さくなるように形成されている。
【0011】
アンカAを用いて地盤Gに所定深さの前穴を掘るには、アンカAの頂部に設けられている角柱部a3 に補助工具(嵌入パイプ)(この補助工具については、本出願に係る特開2001−271345号公報に詳述されている。)Mを嵌め、その補助工具Mを図示しない穴掘建柱車の回転部で地盤G方向に押圧しながら回転させて行われる。
【0012】
骨材挿入(図1(b)参照)
次に、アンカAを前穴から引き上げた後、その前穴に、所定量(少なくとも後述する工具Bを覆うことのできる量)の粒状の骨材としてコークスCを投入する。なお、投入する骨材としては、コークスCの外に、礫やコンクリートの廃材を破砕したものなどでもよく、その大きさは大人の拳大程度のものでよい。コークスCを骨材としたときは、アンカAをアース部材として利用するときに接地抵抗を低下できる効果がある。さらに、コークスCに石灰、酸化アルミナ及び石膏等からなる添加剤を含浸させて接地抵抗をより低下させるようにしてもよい。
【0013】
骨材の破砕,圧入(図1(c)参照)
次に、前穴に投入したコークスCを、工具Bを用いて破砕するとともに、破砕された骨材片を前穴Hの中及び前穴の周囲の地盤に圧入させる。この工具Bは、本出願人が特願2002−18420号で提案しているもので、棒状体b1 の先端及び上部のつば部下部に超硬チップb2 ,b2 をそれぞれ有している。この工具Bを用いたコークス(骨材)Cの破砕,圧入作業に際しては、先ず、上述の補助工具(嵌入パイプ)Mの下端部からアンカAを取り外し、これに代えて、工具Bを、その頂部に設けられている角柱部b3 を補助工具Mの下端部に嵌め込んで取り付ける。そして、その工具Bを図示しない穴掘建柱車の回転部で押圧しながら回転させると、コークスCが破砕されるとともに、その破砕されたコークスCの一部が前穴Hの中及び周囲の地盤Gに圧入される。その結果、前穴Hの下部及びその周囲に大きな堅い塊に形成される(図1(d)参照)。
【0014】
工具BによるコークスCの破砕と圧入の終了後、一旦、その工具Bを引き上げ、前穴Hに再度所定量のコークスCを投入し、工具BによるコークスCの破砕と圧入を再び行う。すなわち、図1(b)〜(d)の工程を繰り返す。なお、最初から前穴Hの上部までコークスCを投入し、その後、工具Bを用いて破砕,圧入を行うこともできるが、コークスCの投入を複数回に分割して行い、各投入の都度、工具Bを用いた破砕,圧入を行うと、作業効率が向上する。
【0015】
改良地盤の完成(図1(e)参照)
上述の(b)〜(d)の工程を前穴Hの上部まで繰り返すと、軟質の地盤GはコークスCで硬質の地盤に改良される。上述の地盤改良方法を実施した地盤Gの側面の地面を掘削して見たところ、1本の太い圧密化された柱状体が地中深く埋設された状態が現れ、あたかも硬質の杭を地盤Gに打ち込んだ状態を呈していることが確認できた。
【0016】
したがって、この改良された地盤に支線支持用のアンカを埋設すれば、支線の張力を十分に得ることができ、あるいは、そのアンカ上に電柱を立設したときは、電柱の安定化を図ることができる。さらに、上述のアンカの打込みではなく、改良された地盤上に建築物を立てたときは、地中に杭を打込んだと同様の効果が得られ、建築物を安定化させることができる。
【0017】
【発明の効果】
本発明の地盤改良方法によれば、穴掘建柱車と、その回転部に取り付けた補助工具とをアンカによる前穴掘りと工具による骨材の破砕・圧入に共通に使用するので、高い作業効率が得られる。また、掘られた前穴に投入した骨材を先端に超硬チップを有する工具を穴掘建柱車の回転部により押圧させながら回転させるから、骨材の破砕と、破砕された骨材の前穴の中及び前穴の周囲の地盤への圧入とを容易に行うことができる。従って、軟質の地盤を簡単に硬質の地盤に改良することができる。さらに、本発明の地盤改良方法は、骨材の前穴への投入を複数回に分割して行い、各投入の都度に工具を用いた骨材の破砕と圧入を行うので、破砕,圧入の作業効率が向上し、地盤改良工事を簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る地盤改良方法を示す工程図である。
【符号の説明】
A アンカ(穴掘工具)
H 前穴(下穴)
B 工具
C コークス(骨材)
Claims (1)
- 穴掘建柱車の回転部に取り付けた補助工具に螺旋状の掘削刃を有するアンカを取り付ける第1工程、
前記穴掘建柱車を用い、前記アンカを地盤改良対象地盤に押圧回転して前穴を掘る第2工程、
前記アンカを引き上げた前記前穴に骨材を投入する第3工程、
前記穴掘建柱車の補助工具から前記アンカを取り外すとともに、先端に超硬チップを有する工具を前記補助工具に取り付ける第4工程、
前記穴掘建柱車で前記先端に超硬チップを有する工具を前記前穴に投入された骨材に向けて押圧回転させてその骨材を破砕するとともに、その破砕された骨材を前記前穴の中及び前穴の周囲の地盤に圧入させる第5工程、
前記超硬チップを有する工具を前記前穴から引き上げ、その前穴に骨材を追加投入する第6工程、
からなり、
第5工程と第6工程を必要回数繰り返すことを特徴とする地盤改良方法。
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