JP4113470B2 - 法面崩落防止工における埋設用アンカーおよび崩落防止工法 - Google Patents

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本発明は法面崩落防止工における埋設用アンカーおよび崩落防止工法に係り、詳しくは、ワイヤロープを張設するなどして法面からの浮き石等の剥落を防止する落石防止工を設置するにあたり、岩盤層打ち込み用アンカーでは大きい引き抜き抵抗を発揮し得ない土砂や砂礫等の脆弱土質層における固定力を強化できるようにした土中埋設用アンカーならびに崩落防止工法に関するものである。
傾斜地に散在する浮き石の落下を防止したり抑止しておくために、例えば特開昭57−209330号公報にも紹介されているように、ワイヤロープが略縦横に張設され、そのワイヤロープでもって傾斜面を押さえつけておくことがしばしば行われる。また、実開昭62−172739号公報に表されているように、風化が進むなどして表層を覆う砂礫や砂岩の崩落を防止しようとする場合には、ワイヤロープの下に金網が予め敷設されたりする。
この種の法面崩落防止工においては、ワイヤロープまたは金網もしくはその両方を地山に密着させておくことが重要であり、多数のアンカーが使用される。アンカーには、ワイヤロープを縦横に張設するため端部を地山に強く固定しておくためのもの、ワイヤロープの交差部を押さえておくもの、ワイヤロープ張設前に金網を敷設した場合にはそれを地山に仮止めしておくもの、金網をワイヤロープと共に最終的に押さえつけておくものなどがある。
もちろん、その使用目的や地盤の状態に応じて適宜のサイズや形のアンカーが採用されることになるが、共通していることは、それが丸棒であれ異形棒鋼であれ、地山に埋設させる部分が原則として真っ直ぐになっていることである。言うまでもないが、それは地山に打ち込んだり、穿孔機によって岩盤に穿った深い孔に差し込んだりする際の利便性からによる。最も力を強く発揮させる必要のあるアンカーでは、特殊な固化材までも使用して穿孔部での引き抜き耐力の増強を図るということもしばしば行われる。
法面崩落防止工の必要となる傾斜地は岩ばかりからなる場合があれば、立ち木の生育も見られる土砂質が混在したり表土の風化が進んでいる場合もある。後者のような傾斜地においては、上記した真直なアンカーではまさしく「糠に釘」となってしまうことが多い。そのような場合、アンカーの打設ピッチを小さくして個々の荷重負担を軽減したり、モルタル等による補強を施し、所望する引き抜き耐力の発現を図ったりする。しかし、足場の悪い傾斜地や深い茂みの奥の急斜面の地形、岩場や風化した不安定な地帯での工事は難航を極める。
土砂質などの脆い土質層にアンカーを打っても、その引き抜き耐力を高く発揮させることができるようにする試みもなされなくはない。例えば、特開平11−350478号公報には、細い平板材を捩じって「捩じり飴」のようにしたスパイラルアンカーが開示されている。捩じれば捩れ面で引き抜き抵抗を増大させることは容易に想像できるところである。
すなわち、地中に孔を掘り、スパイラルアンカーを沈めて土を戻し、それを押し固めれば、真直な棒材に比べて土との接触面積が広くなっている分だけ、アンカーとしての引き抜き耐力は向上しているはずである。しかし、摩擦面積を大きくしたといっても、スパイラル径を丸棒の例えば2倍ないし3倍にした程度であると、脆い地質においては依然として所望する大きな引き抜き耐力を発生させることが難しい。径を大きくすれば穿孔領域が拡大し、埋め戻しの作業負担も増大する。
このスパイラルアンカーの難点は何と言っても自己穿孔による打設に不向きであるということである。すなわち、ドリルは孔をあけるに好適なツールであることから分かるように、回転により進入させる際、在土をその直径分削屑化する。従って、所定の深さまで螺進させたとしても、スパイラルアンカーの通過部分は耕された状態になる。
ドリルやスクリューコンベアのスクリュー羽根と同じく螺進領域の土を排除するように作用するわけであるから、何らの処置も施さずもしくは簡単な土固めで打設作業を終えると、土との摩擦面積が広くなっているとはいえ土側の支持力は著しく落ちる。それゆえ、脆弱土質層部埋設用アンカーとしては十分な機能が発揮されず、手間の要する爾後処理が不可欠となったり、作業性の極めて低い工事が余儀なくされる。
実用新案登録第3081251号公報は、パイプ材の周囲に線材を螺旋状に巻付けた例を提案している。そのパイプ材の土中埋設部がテーパをなし、総じて矢尻状に形成されている。従って、巻き付けられた線材の螺旋径は漸減し、その先端は螺旋から外れて真っ直ぐに延ばされている。まさしくワインのコルク抜きのようなスパイラルコーンに成形される。
パイプ本体が先細形状となっているということは、自己穿孔により埋没できるようにする意図である。ましてや、螺旋を形成する線材の先端がパイプの縦軸に一致して真っ直ぐ延ばされ、穿孔方向の安定を図ろうとしていることからも、伺い知ることができる。しかし、この場合も、穿孔中に異なる径の螺旋体が通過するので在土は攪拌されてしまい、先の例と同じく地盤の弱い土質層部埋設用アンカーとしては致命的な問題を残す。
特開平11−350478号公報 実用新案登録第3081251号公報
法面崩落防止工において脆い地層に適用するアンカーには、棒状もので大きい引き抜き耐力を発揮させることは至難であることが多く、螺旋(スパイラル)を利用した摩擦面積の拡大を狙ったアンカーが指向される。しかし、上記したように、その利便性を阻害する要因の最も大きい点は、自己穿孔による在土の弱状化である。また、螺旋にしたからと言って決して大断面もしくは大摩擦面積を確保できるとは限らず、引き抜き耐力の格段の増強は容易に得られるものでない。
自己穿孔時の脆土化の阻止と引き抜き抵抗面の増大化とは裏腹の関係にあり、一方を満たそうとすれば他方は満たされないという結果になるからである。それゆえ、両問題を一挙に解決することができる理想に近い脆弱土質層部埋設用アンカーの開発が待たれるところである。
ところで、法面崩落防止工を必要とする傾斜地の地質は硬岩質や脆い土質だけとは限らない。すなわち、表層は土質であるが下層は岩盤質であるということがしばしばある。土質の層厚が薄いときはそれを無視して例えば常用される90cm程度の長さの硬岩用棒状アンカーを打設すればよいが、岩盤質に到達するまでに例えば50cmくらいあるという場合は問題を抱える。
すなわち、硬岩用棒状アンカーの上半部は脆弱土質層部分の通過にすぎず、岩盤への刺し込み固定長さが40cm程度といったように短くなり、所定の量が確保されていなければ、硬岩用棒状アンカーとしての引き抜き耐力は十分に発揮されなくなる。一方、脆弱土質層部専用のアンカーを案出し、それを適用したとしても、浅い地層での土中進出量は所望する引き抜き耐力発生に必要な深さを稼ぐことができず、結局は地山への係止力は低いままとなる。
本発明は上記の問題に鑑みなされたもので、その目的は、土中埋設用アンカーのうち脆弱土質層部に適用されるアンカーとして、土砂や砂礫等からなる脆い土質層においても容易に進入させかつ在土の攪拌や耕鋤をきたさないようにすること、地山に対する係止が十分なされ大きな引き抜き耐力が発揮できるようにすること、さらには、脆弱土質層下に岩盤層が存在する場合の引き抜き耐力の発生不足を補うことができ、異硬二層地に対してもアンカーとしての機能を十分に発揮させることができるようにした法面崩落防止工における埋設用アンカーと崩落防止工法を提供しようとするものである。
本発明は、散在する岩や土石が崩落する可能性の高い傾斜地にワイヤロープを略縦横に張りめぐらせ、各ワイヤロープの端末や交差部、さらには前記ワイヤロープ下に金網が敷設されている場合の敷設面の適宜箇所を、地山に固定もしくは密着させるようにした法面崩落防止工で使用される土中埋設用アンカーに適用される。その特徴とするところは、図1および図5を参照して、土中埋設用アンカーは、土中埋没部7aが直径D一定・ピッチp一定のコイルで形成されるコイルアンカー7と、このコイルアンカー内を縦通して打設される棒状アンカー5(図5を参照)とを備える。コイルアンカー7における尖鋭となっている土中埋没部の前記コイルの先端7cは、一定をなす直径Dの円上に位置される。土中埋没部7aの上部にあって地表に現れる表層突出部7bには、地山の起伏に応じて押圧密着を図る押さえ具8(図3を参照)を取り付けるため、コイルから上方へ延びる固定部が設けられる。押さえ具8は、法面と略平行をなす押さえ部8aとこの押さえ部端から地山に向けて延びる差込み部8bとが備えられる。そして、押さえ部8aは、棒状アンカー5の上端部に位置して上方へ延びる表層突端部5b(図5を参照)に形成したねじ5cと固定部に形成したねじ7dとを、それぞれ挿通させた後に出た各ねじにナット17a,9を螺着することにより、コイルアンカー7と棒状アンカー5とを一体化するようにしておくことである。
法面崩落防止工法の発明は、アンカーを打設すべき箇所が、その表層近傍で脆弱土質層をなし、その下方が岩盤層となっている場合、まず脆弱土質層15に対して前記したコイルアンカー7を螺進させる。次に、そのアンカー7のコイル内を通過して岩盤層16に到達するように穿孔する。その空孔16aに棒状アンカー5を挿入して固化材により岩盤層に固定する。棒状アンカー5の上端部に位置して上方へ延びる表層突端部5bに形成したねじ5cとコイルアンカー7の固定部に形成したねじ7dとを、押圧密着用の前記した押さえ具8の押さえ部8aにそれぞれ挿通し、押さえ部から出た各ねじ5c,7dにナット17a,9を螺着して、棒状アンカー5とコイルアンカー7とを一体化させるという手順を採る。
本発明によれば、土中埋設用アンカーのうち脆弱土質層部に適用されるアンカーは、その土中埋没部が直径一定・ピッチ一定のコイルであり、その尖鋭な先端はコイル直径を維持した円の上に位置しているので、土砂や砂礫等の土質層においてコイルの通過軌跡は一定すなわち後続のコイルはコイル先端の削入部をたどるのみとなる。従ってコイル先端が進入しさえすれば後続コイル部が受ける抵抗は極めて少なく、アンカー埋入操作に要するインパクトレンチ等の工具に及ぶ負荷も軽減される。工期の短縮や施工品質の向上も図りやすくなる。
このようにアンカー埋設作業の円滑や操作時間の短縮により、施工の能率が大幅に改善される。もちろん、土中埋没部が進入する在土の攪拌や耕鋤は回避されることになり、コイルアンカーの地山への係止力は向上する。結局は高い引き抜き耐力を発揮すると共に、降雨等による在土とコイルとの密着も早期に図られ、引き抜き力の増進も期待される。
地表に現れる表層突出部には地山の起伏に応じてワイヤロープや金網を押圧密着させる押さえ具を取り付ける固定部が設けられるから、所望する形状やサイズの押さえ具を装備させることができる。コイル形状のみであれば押さえ具との連結や固縛は容易でないが、その固定部がコイルから上方へ延びる形であるから、締結機構や締結構造物を係止させやすくなる。
このように、表層突出部が直線状に形成されていると、ねじ式であれ係合式であれ各種の締結機構等に対応させやすく、最も簡単には先端にねじを刻設しておけば押さえ具の孔に通してからナットを掛けるだけで、ワイヤロープや金網を押さえる金具の固定が簡単になされるようになる。
その押さえ具としては、法面と略平行をなす押さえ部と、その押さえ部端から地山に向けて延びる差込み部とを備えるので、差込み部、押さえ部とアンカーとによって大略逆U字形が形成され、これによってワイヤロープやその交差部、金網さらには金網とワイヤロープとの押さえ込みが図られる。
また、押さえ具を介して表層突出部の固定部がコイル内を縦通して打設された棒状アンカーの上端部とも一体化できるようになっているから、コイルアンカーと棒状アンカーとを同一箇所で同心状に配置して併用することができる。従って、脆弱土質層が深く続かず下方に岩盤や岩質層が存在してコイルアンカーだけでは十分な引き抜き耐力が得られないときでも、硬岩用棒状アンカーの岩盤層への立て込みによって引き抜き耐力の増強を図ることができる。
これは硬さの異なる二層が重畳する箇所では、極めて有効な手だてとなる。言うまでもなく、コイルアンカーの径を大きくすれば内部に硬岩用棒状アンカーのための下穴穿設領域が確保されやすくなること、そのコイルアンカーの内部が攪拌や耕鋤されないので穿孔壁の崩れをきたしにくい状態に保持できることに基づく。
異硬二層地にアンカーを打設するにあたっては、脆弱土質層に対するコイルアンカーの螺進、コイルアンカー内通過による岩盤層の穿孔、空孔への棒状アンカーの挿入と岩盤層への固定、棒状アンカーの表層突端部とコイルアンカーの表層突出部との一体化の工程を踏めば、押圧密着用の押さえ具に与える引き抜き耐力を倍加することができる。コイルアンカーの径は硬岩用棒状アンカーの太さや土質等に応じて選択すればよく、施工対象部位での埋設深さなども柔軟に対応させればよい。
以下に、本発明に係る法面崩落防止工における埋設用アンカーおよび崩落防止工法を、図面に基づいて詳細に説明する。図2は法面崩落防止工1の平面図で、散在する岩や土石が剥落する可能性の高い傾斜地に多数のワイヤロープ2,2が略縦横に張りめぐらされている。そして、各ワイヤロープの端末や交差部、さらにはワイヤロープ下に敷設されている金網3の適宜箇所を地山に固定もしくは密着させて落石の発生を防止するようにしたものである。
金網3は例えば網厚の大きい菱形金網であり、岩石、土砂、砂礫等の崩落を防止すべく法面の傾斜や凹凸に沿って地表を覆う。ワイヤロープのうち縦ワイヤロープ2aは法面崩落防止工全体に掛かる上下方向の荷重を支えて、滑り落ちを阻止する。横ワイヤロープ2bは縦ワイヤロープ2aと共に金網3を押さえ、落石が生じてもその張りを利して阻止しておこうとするものである。
これらのワイヤロープ2,2の交差部は原則的には全ての箇所において交差クリップにより固縛され、張力の発生やその均衡が図られる。なお、交差クリップのうちの一部もしくは全部が通常は交差アンカークリップであり、ワイヤロープ2,2のアンカーによる地山固定が図られ、金網3と共に地表に沿って法面を被覆する。金網はまた結束コイル4を用いるなどして、ワイヤロープ2との一体化が図られる。
このような法面崩落防止工1には、幾種類ものアンカーが使用される。そのうちの代表的なものは硬岩用の棒状アンカーであり、それと併用される補助アンカーもある。前者は大きな力を発揮させる必要のある箇所で使用され、ワイヤロープまたは金網もしくはその両方を地山に強く密着させる。これは、引き抜き耐力を大きく発揮すべく岩盤に孔を穿って立てられ、固化材を使用するなどして固定される。図中に符号5と与えられたものがそれを示す。
後者の補助アンカーは大きな引き抜き耐力の発揮は期待されないとはいえ、地山に対して着実に係止されねばならない。これは図中符号6で示される。この補助アンカーには種々なものがあり、例えばワイヤロープ張設前に敷設された金網を地山に仮止めしておくもの、ワイヤロープ網の浮き箇所を押さえておくもの、金網をワイヤロープと共に押さえつけておくものなどがある。
本発明に係るアンカーは、それらのアンカーのうち脆弱土質層部で埋設するに好適なコイルアンカーである。法面崩落防止工の地質は硬岩層ばかりと限らず、また表土で被覆されたように見えることもあるが、土砂や砂礫からなる脆弱土質層と硬岩層とが混在することが多い。言うまでもないが、脆弱土質層においては真直な形状をした鉄棒等であると引き抜き力が作用したときの抵抗は強く発揮されず、抜け勝手となる。また、ワイヤロープを介して地山に沿った力すなわち水平力が頭部に作用するとアンカーの立て込み姿勢が崩れ、周囲土に偏圧が及んで打込み孔が拡径し、アンカー支持力の急激な低下をきたす。
そのような難点を解消すべく、以下のように構成される。脆弱土質層部に適用される土中埋設用アンカーは、図1に示すように、総じてコイル状を呈したアンカー7となっている。コイル部は土中に進入して埋設状態に置かれる部分であり、上端の非コイル部はコイル部で発揮される引き抜き耐力によって支持される押さえ具を装着する部分である。
詳しく述べると、土中埋没部7aの全てが、直径一定・ピッチ一定のコイルで形成される。線径dはもちろん一定であり、コイル径をDと表し、ピッチをpで表せば、同じ形の繰り返しとなる。そのうえ、土中埋没部のコイル先端7cも一定をなす直径Dの円上に置かれているが、尖鋭な先端に与えられるすくい角は適宜選定される。なお、コイルの蔓巻き方向は特に規定されるところでないので、右巻きコイルであっても左巻きコイルであってもよい。
このようなアンカーにあって、コイル部は土中にくい込む尖鋭な先端7cが削入した経路をたどる。一旦開通したトンネルを通過するのと同じく、コイル部に作用する進入抵抗は主として先端に集中し、コイルの土中埋入時に受ける前進抵抗はおおいに軽減される。在土を攪拌したり耕鋤することもないので、元来脆い地層をさらに弱状化させるというようなことはない。施工後に降雨等があれば在土とコイルとの密着も早期に図られ、引き抜き耐力の助長も進む。
コイルアンカーの地山に対する一体化は増進され、しかもコイルの各背部が在土に押さえられることになって回転を伴わない動きに対しては係止力が高まり、引き抜き耐力の大幅な増強が実現される。なお、コイルアンカーは、インパクトレンチ等の打設器具を用いれば、簡単に螺進させることができる。もちろん、下孔をあけておくことは必要でなく、施工の単純化、迅速化が図られる。施工品質も一定しやすく、信頼性の高い法面崩落防止工を構築することができる。
上記した非コイル部は土中埋没部7aの上部にあって地表に現れる表層突出部7bを形成する。これには、地山の起伏に応じて押圧密着を図るための押さえ具を取りつけることができる。そのため、この表層突出部7bはコイル形状から脱した形の固定部となっている。具体的に述べれば、図1からも分かるように、コイルの一定をなす直径の円上から上方へ延びる直線状に形成される。この部分には例えば図示のごとくねじ7dが刻設され、押さえ具を取りつけてナット9(図5を参照)を掛けることができる。
押さえ具は8は、図3に示すように例えばL形に曲げられた金具でよい。これは法面と略平行をなす押さえ部8aと地山に向けて延びる差込み部8bとを備える。この差込み部8bは、矢尻状に成形された先端を持つ平らな板面をなす。これに連なる押さえ部8aも板状であり、一枚のプレートを曲げ加工するなどすれば簡単に製作される。なお、押さえ部8aにはねじ7dの通る孔が設けられており、差込み部と押さえ部とアンカーとによって大略逆U字形が形成される。ナット9を掛けて強く締めれば、押さえ部8aが金網3を押さえる一方、差込み部8bは金網のずれを阻止する。
このように、表層突出部7bには、地山の起伏に応じてワイヤロープ単体、金網単体、もしくはワイヤロープと金網を一体で押圧して地山に密着を図る押さえ具8を取り付けることができるので、所望する形状やサイズの押さえ具を、適宜装備させることが可能となる。コイル形状のみであれば押さえ具との連結や固縛は簡単でないが、コイル形状から脱した形であるから、緊結機構や締結構造を装着しやすい。
法面崩落防止工には、種々なるアンカーが使用されることを先に述べたが、本コイルアンカーだけでなく、図4に示したように、従前から知られている硬岩用棒状アンカー5や補助アンカーとしてのピンアンカー10の類と併用することも何ら差し支えない。ちなみに、図4中の右にはピンアンカー10の拡大図が参考までに示されている。
ところで、本発明に係る法面崩落防止工における埋設用アンカーは、コイルアンカーと以下に述べる硬岩用棒状アンカーとで構成される。そして、図5に示すように硬岩用棒状アンカー5はコイルアンカー7と同心状に埋設される。
詳しく述べると、法面崩落防止工を必要とする法面には、硬岩質のみならず砂礫等からなる土質層が混在することがある。その場合、両地質が入り乱れたり重畳することも少なくない。すなわち、地山の表層近傍は風化した砂礫層であるがその下部が岩盤であるという異硬二層地である場合には、土質層対応のコイルアンカーの長さが例えば70cmであるとすると、脆弱な土質層の深さが50cmしかないとき、そのサイズのコイルアンカーは最早使用することができなくなる。かと言って、硬岩用棒状アンカーを立てるには、長さに限りがあって岩盤層への立て込み固定量を十分に確保することができず、結局は所望する引き抜き耐力を発揮させ得ない事態が生じる。
このような異硬二層地にアンカーを立てる必要に迫られたときは、やや短いコイルアンカーと通常の長さもしくはそれより少し長い硬岩用棒状アンカーを準備し、それらを図5に示したように重装させる。まず、脆弱土質層15に対してコイルアンカー7を螺進させる。次に、このアンカーのコイル内を通過して岩盤層16に削入するまで穿孔する。その空孔16aに棒状の硬岩用アンカー5を挿入し、固化材を用いて岩盤層に固定する。
硬岩用棒状アンカー5の表層突端部5bとコイルアンカー7の表層突出部7bとに押圧密着用の押さえ具8を取り付ける。このような法面崩落防止工法によれば、表層突出部7bの固定部にコイル内を縦通した硬岩用棒状アンカーの上端部をも押さえ具8を介するなどして一体化しておくことができる。詳しく述べれば、棒状アンカー5の上端部に位置して上方へ延びる表層突端部5bに形成したねじ5cと表層突出部7bに形成したねじ7dとを、押さえ部8aに設けられた孔にそれぞれ挿通し、押さえ部から出た各ねじにナット17a,9を螺着して棒状アンカー5とコイルアンカー7とが一体化されるのである。
図5ではワイヤロープの交差部を固縛するため二枚重ね構造の交差アンカークリップ17が使用された例となっている。ワイヤロープ2a,2bはクリップ17を介して硬岩用棒状アンカー5に固縛され、コイルアンカー7は押さえ具8を介して硬岩用棒状アンカー5と一体化されている。すなわち、押さえ具8は脆弱土質層部15に埋設されたコイルアンカー7と岩盤層16に立てられた硬岩用棒状アンカー5によって保持されることになり、押さえ具8に対する引き抜き耐力は加重された大きさとなる。
このように、異硬二層地に適用するコイルアンカーは硬岩用棒状アンカーを通過させる関係で、単独で使用されるコイルアンカーよりは大径に成形しておくと都合のよいことが多い。もちろん、コイルアンカーの内部は攪拌されたり耕鋤されることはないので穿孔壁は崩壊しにくい状態に保たれ、硬岩用棒状アンカーの施工も円滑となる。
ところで、コイルアンカーの長さを脆弱土質層深さに応じて変えるというわけにもいかないことが多い。深さが少々異なる場合でも使用できるようにするためには、コイルの巻き数を最小不可欠な程度にとどめて表層突出部7bを長くしておき、埋込み量の過不足をその部分で吸収させるようにしてもよい。硬岩用棒状アンカーの径はコイルアンカーの径に応じて選択するようにしてもよく、施工対象の地質に応じて埋設深さなども適宜変更するといったように柔軟に対処させることもできる。
以上述べた本発明は図2に表した法面崩落防止工に関連づけて説明したが、法面崩落防止工としては金網の敷設されない場合にも適用することができる。いずれにしても、本発明は、土中埋設用アンカーのうち脆弱土質層部に適用されるアンカーやそれを利用した崩落防止工法の提案であり、土砂や礫石さらには風化した表土質が存在する地形、さらには異硬二層地での硬岩用棒状アンカーとの併用に好適なものとなっている。
本発明に係る埋設用コイルアンカーの正面、側面、平面、底面を表した形状説明図。 法面崩落防止工の一例を表した平面図。 法面崩落防止工の部分拡大を示し、コイルアンカーによる押さえ具の取付状態を説明した施工断面図。 各種のアンカーを使用した状態を示す法面崩落防止工の部分断面図。 異硬二層地においてコイルアンカーと硬岩用棒状アンカーとの併用を表した土中埋設図。
符号の説明
1…法面崩落防止工、2…ワイヤロープ、3…金網、5…硬岩用棒状アンカー、5b…表層突端部、5c…ねじ、7…コイルアンカー、7a…土中埋没部、7b…表層突出部、7c…コイル先端、7d…ねじ、8…押さえ具、8a…押さえ部、8b…差込み部、9…ナット、15…脆弱土質層、16…岩盤層、16a…空孔、17a…ナット、D…コイル径、p…ピッチ。

Claims (2)

  1. 散在する岩や土石が崩落する可能性の高い傾斜地にワイヤロープを略縦横に張りめぐらせ、各ワイヤロープの端末や交差部、さらには前記ワイヤロープ下に金網が敷設されている場合の敷設面の適宜箇所を、地山に固定もしくは密着させるようにした法面崩落防止工で使用される土中埋設用アンカーにおいて、
    該土中埋設用アンカーは、土中埋没部が直径一定・ピッチ一定のコイルで形成されるコイルアンカーと、該コイルアンカー内を縦通して打設される棒状アンカーとを備え、
    コイルアンカーにおける尖鋭となっている前記土中埋没部の前記コイルの先端は、前記一定をなす直径の円上に位置されており、
    前記土中埋没部の上部にあって地表に現れる表層突出部には、地山の起伏に応じて押圧密着を図る押さえ具を取り付けるため、前記コイルから上方へ延びる固定部が設けられ、 前記押さえ具は、法面と略平行をなす押さえ部と該押さえ部端から地山に向けて延びる差込み部とを備え、
    前記押さえ部は、前記棒状アンカーの上端部に位置して上方へ延びる表層突端部に形成したねじと前記固定部に形成したねじとを、それぞれ挿通させた後に出た各ねじにナットを螺着することにより、前記コイルアンカーと棒状アンカーとを一体化するようにしていることを特徴とする法面崩落防止工における埋設用アンカー。
  2. 散在する岩や土石が崩落する可能性の高い傾斜地にワイヤロープを略縦横に張りめぐらせ、各ワイヤロープの端末や交差部、さらには前記ワイヤロープ下に金網が敷設されている場合の敷設面の適宜箇所を、アンカーを用いて地山に固定および密着させるようにした法面崩落防止工の施工法において、
    アンカーを打設すべき箇所がその表層近傍で脆弱土質層をなしその下方が岩盤層となっている場合、まず脆弱土質層に対して請求項1に記載されたコイルアンカーを螺進させ、次に該アンカーのコイル内を通過して前記岩盤層に到達するように穿孔し、その空孔に棒状アンカーを挿入して固化材により岩盤層に固定し、該棒状アンカーの上端部に位置して上方へ延びる表層突端部に形成したねじとコイルアンカーの前記固定部に形成したねじとを、請求項1に記載された押さえ具の押さえ部にそれぞれ挿通させた後に出た各ねじにナットを螺着し、棒状アンカーとコイルアンカーとを一体化させることを特徴とする法面崩落防止工法。
JP2003273431A 2003-07-11 2003-07-11 法面崩落防止工における埋設用アンカーおよび崩落防止工法 Expired - Lifetime JP4113470B2 (ja)

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