JP3875398B2 - アンカー埋設工法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、法面等に防護施設(ワイヤロープネツト、金網ネツトや防護柵等)を施工する際に設ける各種のアンカー(永久アンカー)や、接地用アンカー等の埋設に適用されるアンカー埋設工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、落石等の恐れがある法面等においては、法面に多数本のワイヤロープを縦横に配置して、法面に打設した多数のアンカー本体(アンカーロツド)の頭部に各ワイヤロープを連結等して張設したワイヤロープネツトや、法面に金網を敷き詰め多数本のワイヤロープを配置し同様にアンカーして張設した金網ネツト、法面に構築した柵本体に複数本のワイヤロープを連結し同様にアンカーして張設した防護柵等の防護施設が施工されている。また、これらの防護施設に適用されている多数のアンカーは、アンカー本体の頭部を適宜の手段で直接的に打撃(必要に応じ回転)して施工する打設工法が一般的に採用されている。また、接地用のアンカー本体を地中に埋設する場合、十字状刃ビツトにワイヤ付きアンカー本体を嵌着して、このビツトを継手に螺合しさらにパイプに連結して、パイプ及び継手を打撃又は回転するなどして掘削した後、パイプ及び継手を逆回転してビツトから外して抜き取り、アンカー本体をビツトとともに掘削孔内に残存させて埋設するアンカー埋設装置及び工法が開発されて提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来、前記のような防護施設用のアンカーにおいて、落石等の恐れがあり岩石や礫等が多数混入した法面に多数のアンカー本体を打設するのは、極めて危険で困難な作業となり、アンカー本体の打設にバラツキが生じ易くアンカー力が十分に確保されないなどの課題がある。また、接地用のアンカーを埋設する前記のアンカー埋設工法は、ワイヤ付きアンカー本体を嵌着した十字状刃ビツトによつて掘削するため、岩石や礫等が多数混入した法面の掘削には必ずしも適切な手段ではなく、残留した掘削土砂等によつてパイプ及び継手の取り外し抜き取りが難しいなど施工に手数、手間がかかつて実用し難い。ビツトさらには継手も回収できずコスト高になるなどの課題がある。
【0004】
本発明は、前記のような課題を解決するために開発されたものであつて、その目的とする処は、リング状ビツト付きパイプによる掘削と土砂排出や基盤残柱を破砕と排出、リング状ビツト付きパイプの引抜及び膨脹性充填材の充填、方向転換部材によるワイヤの方向転換等により、施工性とともに埋設性能、信頼性を向上して施工コストを低減したアンカー埋設工法を提供するにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、パイプを適度の緩速で回転する回転手段と、パイプを加振等の手段で打撃する打撃手段を備えた掘削機を用いてリング状のビット付きパイプを前記打撃手段と回転手段により打撃及び回転し地中を掘削して掘削土砂を排出した後、パイプ内にアンカー本体を挿入しあるいはまたアンカー本体に連結したワイヤを導出し、パイプの上端部からパイプ内に圧気を供給して高圧にするとともに、パイプ及びビットを少し上昇して、ビット下側の掘削孔内に膨脹性充填材を直接的に適量充填し、ビット付きパイプを引き抜きつつ掘削孔内に膨脹性充填材を充填し、ビット付きパイプを抜き取つてアンカー本体あるいはまたワイヤを掘削孔内に膨脹性充填材を介し埋設することを特徴としている。
これによれば、リング状のビット付きパイプの適用と打撃、回転及び土砂排出により、掘削孔を所要深さまで容易に掘削し、パイプ内を高圧としアンカー本体を引き抜きつつ膨脹性充填材をパイプ下側に直接的に注入し、それからビット付きパイプを引き抜きつつ掘削孔内に膨脹性充填材を充填することにより、掘削孔Hの周壁崩壊が防止されて膨脹性充填材に格別な土砂混入がなく、アンカー本体の配置及び膨脹性充填材の充填が孔全長にわたり精度良く行われまた、ビット付きパイプが回収されるので簡単な工程で能率及び精度良く埋設できるなど、優れた施工性及びアンカー性能、信頼性が得られる。
【0006】
また本発明は、パイプを適度の緩速で回転する回転手段と、パイプを加振等の手段で打撃する打撃手段を備えた掘削機を用いてリング状のビット付きパイプを前記打撃手段と回転手段により打撃及び回転し地中の基盤上部内まで掘削して掘削土砂を排出し、パイプ内の基盤残柱を破砕して破砕土砂を排出した後、パイプ内にアンカー本体を挿入しあるいはまたアンカー本体に連結したワイヤを導出し、パイプの上端部からパイプ内に圧気を供給して高圧にするとともに、パイプ及びビットを少し上昇して、ビット下側の掘削孔内に膨脹性充填材を直接的に適量充填し、ビット付きパイプを引き抜きつつ掘削孔内に膨脹性充填材を充填し、ビット付きパイプを抜き取つてアンカー本体あるいはまたワイヤを掘削孔内に膨脹性充填材を介し埋設することを特徴としている。
これによれば、ビット付きパイプの適用と打撃、回転による掘削と基盤残柱の破砕及び土砂排出により、掘削孔を基盤上部内まで容易に掘削でき、破砕土砂を排出した後、パイプ内にアンカー本体を挿入しあるいはまたアンカー本体に連結したワイヤを導出し、パイプの上端部からパイプ内に圧気を供給して高圧にするとともに、パイプ1びビットを少し上昇して、ビット下側の掘削孔内に膨脹性充填材を直接的に適量充填し、ビット付きパイプを引き抜きつつ掘削孔内に膨脹性充填材を充填することにより、掘削孔の崩落、土砂混入を防止してアンカー本体やワイヤの配置及び膨脹性充填材の充填精度を高め、アンカー本体の基盤上部内への埋設によりアンカー力を高め、ビット付きパイプの回収を容易とし、総合的にアンカー本体やワイヤが容易に能率及び精度良く埋設されるなど優れた施工性及びアンカー性能、信頼性が得られる。
【0007】
また、前記のアンカー埋設工法において、ビツト付きパイプを抜き取つてアンカー本体あるいはまたアンカー本体に連結したワイヤを掘削孔内に膨脹性充填材を介し埋設した後、地上に設けた方向変換部材によつて導出したワイヤをガイドし方向変換することに特徴を有し、アンカー本体に負荷される直接的な引抜力を低減するなど、ワイヤ付きアンカーの施工性とともに埋設性能、信頼性を高めている。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1に本発明のアンカー埋設工法の第1実施例、図2に掘削機及びビツト付きパイプの一実施例、図3に第1実施例のアンカーの一例及びその変形例、図4にアンカー埋設工法の第2実施例を示している。図中1はリング状のビツト2付きパイプ、1aは継管、3はパイプの上部に配置した圧力水の供給手段、4はパイプの上部に配置した圧気の供給手段、5,6は基盤残柱の破砕手段、7は膨脹性充填材19の供給管、10は掘削機、20,30,40はアンカー本体、25〜27はアンカー本体20の頭部22に装着するワイヤ(ワイヤロープ)の装着部材、32はワイヤ(ワイヤロープ等)をガイドして方向変換する方向変換部材、R,R1,R2はワイヤ(又はワイヤロープ)、G,G1,G2は地面と表土層及び基盤、G3はパイプ内の基盤残柱、Hは掘削孔、Xはビツト付きパイプの回転、Yはビツト付きパイプの打撃である。
【0009】
図示の実施例は、リング状のビツト2付きパイプ1を打撃Y及び回転Xし地中を掘削して掘削土砂を排出した後、パイプ1内にアンカー本体20,30,40を挿入しあるいはまたアンカー本体30,40に連結したワイヤR1,R2を導出し、ビツト付きパイプ1を引き抜きつつ掘削孔H内に膨脹性充填材19を充填して、ビツト付きパイプを抜き取つてアンカー本体20,30,40あるいはまたワイヤR1,R2を掘削孔内に膨脹性充填材19を介し埋設することを特徴とするアンカー埋設工法になつている。
【0010】
第2実施例は、リング状のビツト2付きパイプ1を打撃Y及び回転Xし地中の基盤G2上部内まで掘削して掘削土砂を排出し、パイプ1内の基盤残柱G3を破砕して破砕土砂を排出した後、パイプ1内にアンカー本体20,30,40を挿入しあるいはまたはアンカー本体30,40に連結したワイヤR1,R2を導出し、ビツト付きパイプ1を引き抜きつつ掘削孔H内に膨脹性充填材19を充填して、ビツト付きパイプを抜き取つてアンカー本体あるいはまたはワイヤを掘削孔H内に膨脹性充填材19を介し埋設することを特徴とするアンカー埋設工法になつている。
【0011】
また、前記のアンカー埋設工法において、ビツト2付きパイプ1を抜き取つてアンカー本体30,40あるいはまたアンカー本体に連結したワイヤR1,R2を掘削孔H内に膨脹性充填材19を介し埋設した後、地上に設けた方向変換部材32によつてワイヤR1,R2をガイドし方向変換することを特徴とするアンカー埋設工法になつている。
【0012】
さらに詳述すると、パイプ1は、図1、図2B及び図4に示すように先端部にリング状のビツト2を付設したビツト2付きパイプとし、例えば鋼管製になつている。図2Aに示すような掘削機10等により打撃Y及び回転Xして地中を容易に能率良く掘削可能とし、必要に応じ継管1aして基盤G2上部内まで達する所望深さの掘削孔Hを掘削する。また、膨脹性充填材19を充填する際に、掘削機10の回転手段13に装着するなどの適宜の手段でビツト2とともに抜き取る。パイプ1の上端部に圧力水の供給手段3や圧気の供給手段4を設け、パイプ1内に上供給管7を挿通して、内部の掘削土砂や破砕土砂の排出し膨脹性充填材19を充填する。
【0013】
図示の掘削機10は、図2Aに示すようにサポート11a付きの支柱11と、支柱の前面に付設したガイドレール12と、ガイドレールに上下可能に装着しパイプ1に嵌装して適度の緩速で回転Xする回転手段13と、ガイドレールに上下可能に装着しパイプ1を加振等の手段で打撃Yする打撃手段14と、支柱の上部に設けたガイドローラ15及び支柱に固設してロープ16を介し打撃手段14や回転手段13を吊支して上下動する上下手段17等からなっている。図2Aに示すように地面Gに設置して、パイプ1の上部を回転手段13に嵌装し上端部に打撃手段14を配置するなどして、パイプ1を打撃Y及び回転Xして所望深さの掘削孔Hを掘穴した後、パイプをビット2とともに抜き取る構造になつている。
【0014】
また、供給手段3は、図1Aに示すようにパイプ1の上部に配置し、圧力水を矢示のようにパイプ内に圧入して掘削土砂や破砕土砂等をパイプの外周から排出する。供給手段4は、図1Cに示すようにパイプ1の上部に配置し、圧気を矢示のようにパイプ内に圧入して膨脹充填材19の充填精度を高める。また、供給管7は、膨脹充填材19をパイプ1の下部内に充填する。この膨脹系充填材は、掘削孔H内に直接的に充填してアンカーロツド20,30やアンカー40を掘削孔内で強力に固定しアンカー力を効果的に高める。供給手段3、4及び7は、地上に配置した適宜の供給手段(ポンプ等,図示省略)に連結して使用する。
【0015】
破砕手段5,6は、例えば図示のように下端部に十字状刃5aを備えたビツト5及びビツトに継手を介して連結した操作用ロツド6等からなり、操作用ロツド6を介し例えば図2Aに示す掘削機10の回転手段13や打撃手段14により打撃及び回転するなどして、ビツト2付きパイプ1を打ち込んだ後に残存している基盤残柱G3を破砕する構造になつている。図示例に限らず各種機構の破砕手段の適用が可能であり、比較的に容易に破砕される。また、破砕土砂の排出は、前記の供給手段3等で同様に排出する(図示省略)。
【0016】
防護ネツトや防護柵等の防護施設用のアンカーの場合は(第1実施例)、例えば図1及び図3A,Bに示すように上部に鍔21及びボルト部22即ち頭部22を備えたアンカー本体20,30を適用し、アンカー本体20の場合は、そのボルト部22に支持板25や、座金26,26及びナツト27からなる定着部材22〜27を装着して、ワイヤ(ワイヤロープ)Rを金具28等で定着して連結する構造になつている。アンカー本体30の場合は、ワイヤ(ワイヤロープ)R1端部の連結金具31をボルト部22に螺合するなどして連結する構造になつている。また、接地用のアンカーの場合(第2実施例)は、図4に示すようにワイヤR2に連結したアンカー本体40を埋設する場合に適用される。図示例に限らず各種構造のアンカー本体の埋設に適用される。
【0017】
図1ないし図3Aに示す第1実施例は、法面G等に施工される防護施設(防護ネツトや防護柵等)に適用するワイヤ(具体的には各種のワイヤロープ)のアンカー(永久アンカー)に関する実施例である。図示のように掘削機10でリング状のビツト2付きパイプ1を打撃Y及び回転Xして、好ましくは地中の基盤G2上部内まで達するまで打ち込み掘削孔Hを掘削するとともに、パイプの上部に設けた適宜の供給手段3で圧力水をパイプ1内に圧入して充満せしめ、掘削土砂をパイプの外周から排出した後(図1A,図2参照)、次に、パイプ1に破砕手段5,6を挿入して、パイプ奥部に残存している基盤残柱G3を破砕し、同様な手段(図示省略)で圧力水を圧入して充満せしめ、破砕土砂を同様な手段で排出する(図1B参照)。
【0018】
パイプ1を所要深さ打ち込み掘削孔Hを掘削すると、図1Cに示すようにパイプ内にアンカー本体20及び供給管7を挿入し(1aは供給管の挿入部)、好ましくはパイプの上端部に供給手段4を設けてパイプ1内に圧気を供給し高圧にするとともに、パイプ1及びビツト2を少し上昇して、ビツト2下側の掘削孔H内に膨脹性充填材19を供給管7で直接的に適量充填し、必要に応じ膨脹性充填材を適度に硬化させた後、ビツト2付きパイプ1を引き抜きつつ膨脹性充填材19の充填を続け、掘削孔H内からビツト2付きパイプ1を抜き取つて孔内にアンカー本体20のみを残置し膨脹性充填材19を充填する。
【0019】
さらに、充填した膨脹性充填材19が適度に硬化すると、図1Dや図3Aに示すようにアンカー本体20の先端部が適宜の長さ(好ましくは先端部が基盤G2の上部内まで)埋設され、アンカー本体20が膨脹性充填材19を介し強力に固着されて優れたアンカー力が得られる。好ましくは先端部を基盤G2の上部内まで埋設することによりアンカー力、即ちアンカー性能、信頼性がさらに高められる。法面G上に突出した頭部22に、支持板25と座金26を嵌装し、ワイヤRの端部に金具28で形成した環部及び座金26を嵌装してナツト27で締め込み、各種の防護施設等のワイヤR(ワイヤロープ)を連結する。
【0020】
図1ないし図3Aに示す第1実施例は、前記のようにリング状のビツト2付きパイプ1の適用と打撃Y及び回転Xにより、岩石や礫などが混入している地表層G1あるいはまた基盤G2の上部内まで容易に能率良くパイプ1を打ち込んで所要深さの掘削孔Hが得られ、掘削孔内の基盤残柱G3は短く適宜の削岩機5,6により比較的に簡単に破砕できる。また、パイプ1内に圧力水を充填することにより、掘削土砂や破砕土砂がパイプの外周から容易に排出されるとともに、掘削孔Hの崩壊が防止されビツト2付きパイプ1の引き抜きが容易に遂行される。前記のように法面Gにおいて掘削孔を容易に能率良く安全に掘削できる。また、掘削孔内にアンカー本体20(又は30)を挿入し、ビツト2付きパイプ1を適度に上昇してビツト2下側の掘削孔H内に膨脹性充填材19を直接に注入し、さらに、パイプ1内を高圧としアンカー本体を引き抜きつつ膨脹性充填材19をパイプ下側に直接的に注入することにより、掘削孔Hの周壁崩壊が防止されて膨脹性充填材19に格別な土砂混入がないなど、アンカー本体の配置及び膨脹性充填材19の充填が孔全長にわたり精度良く行われる。必要に応じ基盤G2の上部内まで容易に埋設されてアンカー力が高められ信頼性が得られる。
【0021】
ビツト2付きパイプ1の打ち込みと掘削土砂の排出工程、基盤残柱G3の破砕と破砕土砂の排出工程、及びアンカー本体の引き抜きと膨脹性充填材19の充填工程からなる比較的に簡単な工程でアンカー本体を容易に高能率で埋設される。ビツト付きパイプ1を抜き取つて回収し孔内にはアンカー本体20と膨脹性充填材19のみが埋設されて、施工コストが著しく低減されるなど、総合的に優れた施工性とともにアンカー性能、信頼性が得られる。
【0022】
図4に示す第2実施例は、地面Gに接地用のアンカー40を埋設する施工例であつて、図4A,Bに示すように掘削機10等によりリング状のビツト2付きパイプ1を打撃Y及び回転Xし、好ましくは地中の基盤G2上部内まで達するように打ち込み掘削孔Hを掘削し、供給管3でパイプ内に圧力水を圧入して掘削土砂をパイプ内外から排出する。図1Bに示すように破砕手段5,6及び供給管4で基盤残柱G3を破砕しながら同様に圧力水を圧入して破砕土砂をパイプ内外から排出する。
【0023】
次に、図4Cのようにパイプ1内にワイヤR2(ワイヤロープ等)に連結したアンカー本体40及び供給管7を挿入してワイヤR2を導出し、ビツト付きパイプ1を少し上昇し、供給管7によりビツト2下側に膨脹性充填材19を適量充填して、必要に応じ膨脹性充填材を硬化させた後、ビツト付きパイプ1を引き抜きつつ膨脹性充填材の充填を続け、掘削孔H内からビツト付きパイプ1を抜き取つて掘削孔内に膨脹性充填材19を充填する。膨脹性充填材19は、必ずしも図示のように掘削孔の全長にわたつて充填する必要はなく、少なくともアンカー本体40の周囲及び上側のみに充填し上部は掘削土砂等を充填することもできる。
【0024】
膨脹性充填材19が適度に硬化すると、図4Dに示すように好ましくはアンカー本体40が基盤G2の上部内まで適宜の長さ埋設される。さらに、掘削孔Hの上部に方向変換部材32を配置して、ワイヤR2をその方向変換部材でガイドして方向変換することにより、ワイヤによるアンカー本体40の直接的な引抜力が低減してアンカーの信頼性を高める。
【0025】
図4に示す第2実施例は、前記のように施工され第1実施例に比べるとワイヤR1に連結した接地用のアンカー本体40を挿入して埋設し、導出しているワイヤR1を方向変換部材32でガイドして方向変換する点に特徴を有し、比較的に短い接地用のアンカー本体40でも容易に所望の深さまで、必要に応じ基盤G2の上部内にも容易に強力に埋設でき、方向変換部材32によるワイヤR1のガイドと方向変換により、アンカー本体40に負荷される直接的な引抜力が効果的に低減されてアンカーの信頼性がさらに高められる。基本的には第1実施例と同様な作用、効果が得られる。
【0026】
また、図3Bに示すように第1実施例のアンカー本体20に比べ短いアンカー本体30をパイプ1内に挿入して埋設する場合には、地面近くの頭部22にワイヤR1付き金具31を螺合等の手段で連結して、掘削孔Hの上部にもうけた方向変換部材32によつてこの導出されたワイヤR1をガイドし方向変換することにより、ワイヤR1によるアンカー本体30の直接的な引抜力を低減して、アンカーの信頼性をさらに高めることができる。
【0027】
本発明のアンカー埋設工法において、図示例の掘削機や破砕手段、アンカー本体やその頭部、ワイヤの定着部材等は、図示例に限らず多様な構造を適用可能である。また、防護柵等の支柱下部の埋設等にも適用可能である。
【0028】
【発明の効果】
請求項1によれば、パイプ1を適度の緩速で回転Xする回転手段13と、パイプ1を加振等の手段で打撃Yする打撃手段14を備えた掘削機10を用いてリング状のビット付きパイプ1を前記打撃手段14と回転手段13により打撃及び回転させるので、掘削孔を地中の所要深くまで容易に掘削でき、パイプ内にアンカー本体を挿入しあるいはまたアンカー本体に連結したワイヤを導出し、パイプの上端部からパイプ1内に圧気を供給して高圧にするとともに、パイプ1及びビット2を少し上昇して、ビット2下側の掘削孔H内に膨脹性充填材19を直接的に適量充填し、ビット2付きパイプ1を引き抜きつつ掘削孔内に膨脹性充填材19を充填するので、掘削孔の崩落や土砂混入を防止してアンカー本体やワイヤの配置及び膨脹性充填材の充填精度を高めることができ、また、ビット付きパイプの回収も容易で、比較的に簡単な工程で容易に能率、精度良く施工されるなど、施工性とともにアンカー性能、信頼性が著しく向上している。
【0029】
請求項2によれば、パイプ1を適度の緩速で回転Xする回転手段13と、パイプ1を加振等の手段で打撃Yする打撃手段14を備えた掘削機10を用いてリング状のビット付きパイプ1を前記打撃手段14と回転手段13により打撃及び回転させ、かつ、基盤残柱の破砕及び排出により、掘削孔を排出基盤上部内まで容易に掘削でき、パイプ内にアンカー本体を挿入しあるいはまたアンカー本体に連結したワイヤを導出し、パイプの上端部からパイプ1内に圧気を供給して高圧にするとともに、パイプ1及びビット2を少し上昇して、ビット2下側の掘削孔H内に膨脹性充填材19を直接的に適量充填し、ビット2付きパイプ1を引き抜きつつ掘削孔内に膨脹性充填材19を充填するので、掘削孔の崩落や土砂混入を防止してアンカー本体やワイヤの配置及び膨脹性充填材の充填精度を高めることができ、アンカー本体の基盤上部内への埋設によりアンカー力を高め、ビット付きパイプの回収を容易とし、比較的に簡単な工程で容易に能率、精度良く施工されるなど、施工性とともにアンカー性能、信頼性をさらに向上している。
【0030】
さらに、ビツト付きパイプを抜き取つてアンカー本体あるいはまたアンカー本体に連結したワイヤを掘削孔内に膨脹性充填材を介し埋設した後、地上に設けた方向変換部材により導出したワイヤをガイドして方向変換することにより、アンカー本体の直接的な引抜力を効果的に低減するなど、アンカー性能、信頼性をさらに向上している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す各工程縦断面図(A),(B),(C),(D)
【図2】掘削機の一例を示す側視図(A)及びビツト付き鋼管と削岩機の要部拡大断面図(B)
【図3】第1実施例のアンカーを示す縦断面図(A)及び変形例の縦断面図(B)
【図4】第2実施例を示す各工程縦断面図(A),(B),(C),(D)である。
【符号の説明】
1 パイプ
2 ビツト
19 膨脹性充填材
20,30,40 アンカー本体
32 方向変換部材
G2 基盤
G3 基盤残柱
R1,R2 ワイヤ
H 掘削孔
X 回転
Y 打撃
Claims (3)
- パイプを適度の緩速で回転する回転手段と、パイプを加振等の手段で打撃する打撃手段を備えた掘削機を用いてリング状のビット付きパイプを前記打撃手段と回転手段により打撃及び回転し地中を掘削して掘削土砂を排出した後、パイプ内にアンカー本体を挿入しあるいはまたアンカー本体に連結したワイヤを導出し、パイプの上端部からパイプ内に圧気を供給して高圧にするとともに、パイプ及びビットを少し上昇して、ビット下側の掘削孔内に膨脹性充填材を直接的に適量充填し、ビット付きパイプを引き抜きつつ掘削孔内に膨脹性充填材を充填し、ビット付きパイプを抜き取つてアンカー本体あるいはまたワイヤを掘削孔内に膨脹性充填材を介し埋設することを特徴とするアンカー埋設工法。
- パイプを適度の緩速で回転する回転手段と、パイプを加振等の手段で打撃する打撃手段を備えた掘削機を用いてリング状のビット付きパイプを前記打撃手段と回転手段により打撃及び回転し地中の基盤上部内まで掘削して掘削土砂を排出し、パイプ内の基盤残柱を破砕して破砕土砂を排出した後、パイプ内にアンカー本体を挿入しあるいはまたアンカー本体に連結したワイヤを導出し、パイプの上端部からパイプ内に圧気を供給して高圧にするとともに、パイプ及びビットを少し上昇して、ビット下側の掘削孔H内に膨脹性充填材を直接的に適量充填し、ビット付きパイプを引き抜きつつ掘削孔内に膨脹性充填材を充填し、ビット付きパイプを抜き取つてアンカー本体あるいはまたワイヤを掘削孔内に膨脹性充填材を介し埋設することを特徴とするアンカー埋設工法。
- 請求項1又は請求項2記載のアンカー埋設工法において、ビット付きパイプを抜き取つてアンカー本体あるいはまたアンカー本体に連結したワイヤを掘削孔内に膨脹性充填材を介し埋設した後、地上に設けた方向変換部材によつて導出したワイヤをガイドし方向変換することを特徴とするアンカー埋設工法。
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1998
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