JP4086039B2 - トナーの製造方法およびトナー製造装置 - Google Patents
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Description
特に、非磁性1成分現像剤として用いる場合には、トナー粒子としては球形のものほど高い帯電性が得られるのだが、現像領域への搬送性およびクリーニング性との関係から、許容される形状の範囲が極めて狭くなる。
更に、生産性を高めつつ、炭酸ガスの排出量を抑制することのできる製造方法が求められている。
本発明の他の目的は、エネルギー消費効率が高く、炭酸ガス排出量を制御することができるトナーの製造方法およびトナー製造装置を提供することにある。
また、ゾーンごとに設定温度を保てばよいことから、反応装置(反応釜)のジャケット加熱のように、装置自身を加熱と冷却のサイクルにさらさなくてすむので、省エネルギー化を図ることが可能である。
本発明のトナーの製造方法は、水系媒体中においてトナー粒子の形状を調整するための形状制御処理領域を有し、当該形状制御処理領域に2個以上のゾーンコントロールを行うことのできる温度制御手段が設けられているトナー用流路において、トナー粒子の形状制御を行う形状制御工程を有することを特徴とする。
また、「トナー粒子の形状制御」とは、トナー粒子が原形を形成し、粒子径変化が実質的になくなった時点より、球形化あるいは異形化を進める工程をいう。具体的には、樹脂粒子が凝集したのち、あるいは凝集と融着が進行した後、トナー粒子の形状を調整する操作工程をいう。
すなわち、異形に凝集した粒子に熱を一定時間加えることで、表面張力の作用で球形に近づける。通常は、完全な球形をとる前に、冷却し形状の変化を停止し固定する。あるいは、トナー粒子に熱と撹拌エネルギーを加え、比較的球形にあったものを異形に近づける。ここでいう撹拌とは、撹拌部材でトナー粒子に水系媒体ごとせん弾力を加える操作をいうが、トナー粒子を狭い流路に高速で通過させて変形させる操作も含む。
具体的には、配管、雨どい状の形態をとる。
ゾーンコントロールとは、トナー粒子分散液の流路を分割して、分割された領域を独立した温度設定に加熱もしくは冷却し温度を制御することをいう。ゾーンの数は、温度勾配に応じ、任意に設定できるが、流路10000mmあたり、2〜200個設置することが好ましい。温度勾配をつけたくない場合は、隣接するゾーンの温度設定を同一にしてもよい。以下、ゾーンコントロールの具体的な形態として、好ましくは、例えば図1に示すように、熱媒入口12Aおよび熱媒出口12Bを介して熱媒を周囲に流通させることのできる構成の配管11が好ましい。更に好ましくは、熱交換率を上げるため、図2のように、熱媒13を周囲に流通させることができると共に、配管11が並列に配置された複数の流路11Aに分岐されている構成を有するものであることが好ましい。あるいは、トナー用流路としては、図3に示すような、螺旋状に求心方向に向かって伸び、遠心方向に向かって伸びる離間板を介して隣接する、熱媒を通過させるための流路と二重渦巻状に配設された、出口と入口とを有する熱交換器流路として構成されているものを用いることができる。
この装置には、一方の鏡板15の外縁側部に、第1の流路18Aに通じる入口孔19Aおよび第2の流路18Bに通じる入口孔19Bが形成されており、また、他方の鏡板15の中央側部に、第1の流路18Aに通じる出口孔17Aおよび第2の流路18Bに通じる出口孔17Bが形成されている。
また、配管の全長は、当該配管の内径および厚み、トナー材料の種類、トナー材料の供給速度および供給量などに応じて適宜の長さとされるが、具体的に、形状制御処理領域の全長は、10000〜120000mmであることが好ましく、また、会合処理を行うための領域(以下、「会合処理領域」ともいう。)の全長は、10000〜95000mmであることが好ましく、重合処理領域の全長は、10000〜60000mmであることが好ましい。
具体的に、図2の例においては、各々、熱媒入口12Aおよび熱媒出口12Bを有する、3個の独立したゾーンが示されている。
混合手段としては、例えば高速剪断型分散機、静止型管内混合器などの装置を用いることができ、これらの装置を2種以上併用することもできる。
このような高速剪断型分散機20においては、当該高速剪断型分散機20に導入されたトナー材料は、先ず、第1の液体剪断機構に流れ込み、この第1の液体剪断機構を構成するステーターおよびローターの各々のスリットを順次通り抜け、次いで、第2の液体剪断機構および第3の液体剪断機構にこの順に流れ込んでステーターおよびローターの各々のスリットを順次通り抜ける過程において分散処理が施され、最終的には出口通路を介して排出される。
このような静止型管内混合器24においては、管の一端から導入されたトナー材料は、交互に配置されている2種類の案内板を通過する過程において、分断および旋回を繰り返すことによって混合処理され、最終的には当該管の他端から排出される。
(2)得られた単量体溶液の水系分散物に必要に応じて水溶性重合体開始剤を加え、重合することにより、樹脂粒子の分散液(ラテックス)を調製する重合工程
(3)得られた樹脂粒子を水系媒体中で凝集・融着させたトナー粒子(会合粒子)を得る会合工程
(4)トナー粒子の形状を制御する形状制御工程
具体的には、凝集と融着がほぼ完了したのちも、継続してを加熱撹拌することで、形状を制御することができる。通常は、前述したように表面張力の作用で球形に近づける。しだいにトナー粒子は球形に近づくわけだが、所望の形状(円形度)になった時点で、冷却し形状の変化を停止し固定する。あるいは、トナー粒子に熱と撹拌エネルギーを加え、比較的球形にあったものを異形に近づける。
(5)トナー粒子の形状が整った後、遠心脱水機などを用いて固液分離処理を行うと共に、洗浄を行い、その後、乾燥処理を行うことによってドライな粉末、すなわち乾式トナー粒子を得る固液分離・乾燥工程
(6)乾式トナー粒子に外添剤を添加する外添剤添加工程
具体的には、シリカ、無機酸化物粒子を添加し、ヘンシェルミキサーなどで外添剤を添加混合し、所望の流動性を付与する。
また、アクリル酸、メタクリル酸などイオン性解離基を有する化合物を1〜10質量%含有させることが好ましく、更に、公知の架橋剤、ジビニルベンゼンなどを用いてもよい。
着色剤の好ましい具体例は、カーボンブラック、モノアゾイエロー、ビスアゾイエロー、キナクリドンレッド、ローダミンレッド、カーミン系顔料、ナフトール系顔料、フタロシアニン顔料などである。
図6は、本発明のトナーの製造方法に用いられるトナー製造装置の構成の一例を示す説明用概略図であって、詳しくは、重合工程と着色剤を分散水系媒体中に分散させる着色剤分散工程を従来の設備で行い、会合処理領域と形状制御処理領域としてトナー用流路、具体的には2個以上のゾーンコントロールを行うことのできる温度制御手段が設けられている流路において行う構成を有する装置の模式図である。
このトナー製造装置によれば、第1の手法によって会合型トナーが製造される。
トナー用流路30は反応釜31そのものでなく、樹脂粒子分散液のタンクに接続してもよく、溶剤を含んだ樹脂溶液粒子のタンクと接続してもよい。ただし、この場合は溶剤を水系媒体中で留去する液中乾燥装置を固液分離装置34に導入する以前に、設置することが好ましい。
一方、撹拌混合装置33では、着色剤を界面活性剤水溶液に分散させる。樹脂粒子同様、タンク32Aから希釈水を導入して適宜希釈したのち、樹脂粒子分散液の流路と着色剤分散液の流路は合流する。合流点には、高速剪断型分散機20を配置し、着色剤粒子と樹脂粒子との混合を図る。更に、タンク32Bから凝集剤を添加する。具体的には、2価あるいは3価の金属塩の水溶液などを用いる。
引き続いて、トナー用流路30は形状制御処理領域に入る。形状制御工程の工程温度は、トナーの軟化点が105℃以上なら、85〜98℃が適当である。
トナーの軟化点が105℃未満なら、トナー軟化点より20〜30℃低い温度が好ましい。トナーの軟化点は、樹脂粒子をサンプリングし、測定することで予測が可能である。 トナー用流路30が固液分離装置34に入る時点までに所望の形状とし、常温まで冷却を行うことでトナーの形状は固定しておく。
固液分離装置34は複数用いてもよいが、例えば、フィルターを設置した遠心脱水機でトナー粒子分散液の水系媒体を取り除き、引き続き脱水機内部のタンク34Aから洗浄水をシャワーして洗浄を完結させる。
固液分離処理が終了すると、トナー粒子は、トナーケーキあるいは湿潤ペーストと言われる水分10〜30%を含んだ固形物となるから、これを乾燥機35に流入させる。乾燥処理は、水分量が2.0%未満、好ましくは1.0%未満になるまで行い、粉体回収装置36で粉体タンク37に回収する。
その後、必要に応じて、図示しない外添剤添加工程に送り、外添剤を付着、あるいは固着する。
図7は、本発明のトナーの製造方法に用いられるトナー製造装置の構成の他の例を示す説明用概略図であって、詳しくは、図1のトナー製造装置を改良したもので、重合処理領域を2個以上のゾーンコントロールを行うことのできる温度制御手段が設けられている、形状制御処理領域の上流に位置するトナー用流路の重合処理領域において行い、途中、着色剤分散液を添加し、無論、会合処理領域と形状制御処理領域を、2個以上のゾーンコントロールを行うことのできる温度制御手段が設けられているトナー用流路において行う構成を有する装置の模式図である。
このトナー製造装置によれば、第2の手法によって会合型トナーが製造される。
必要に応じて、定着助剤として可塑剤を添加してもよい。図7には、図示されていないが、水系媒体と重合性単量体の合流点には、高速剪断型分散機20を設置し、乳化を図ることが好ましい。次いで、各々、タンク38D、タンク38Eから連鎖移動剤、開始剤を添加する。重合性単量体と連鎖移動剤、開始剤の添加順序は、反応形に合わせて適宜選択すればよく、図7の順序に限定されないことはいうまでもない。
次に、重合性単量体の液滴は、重合可能な温度、例えば65〜80℃程度に昇温し、 反応が完結したら、ガラス転移点以下に冷却する。
重合工程が完結したら、トナー用流路30に、各々、タンク38F、タンク38Gから着色剤分散液と離型剤分散液を導入し、次にタンク38Hから凝集剤水溶液を添加する。ここでも、流路の合流点に高速剪断型分散機20または静止型管内混合器24を設置することが好ましい。
次いで、トナー粒子表面を被覆、あるいは修飾するために、タンク38Iから樹脂粒子分散液を再び添加することが好ましい。その目的は、トナー表面に存在する、着色剤粒子、あるいは離型剤粒子を隠蔽し、帯電性を向上することが一つにある。さらには、荷電制御性のある樹脂粒子により修飾する方法、耐熱保存性の高い(ガラス転移点が5℃〜50℃高い)粒子により、トナー粒子表面を改質するのが目的である。
この後、トナー用流路は形状制御工程に入り、2個以上のゾーンコントロール可能な温度制御手段が設けられている形状制御処理領域に至る。このとき、形状制御工程は、ガラス転移点以上の温度に昇温し、比較的緩やかに凝集していた粒子を融合させる機能も有する。
形状制御工程では、トナー粒子の粒径および形状係数を測定するためのサンプリング手段が設けられており、粒径および形状係数の測定結果に基づいて温度制御手段によるトナー用流路の温度制御がなされることが好ましく、この例においては、サンプリング流路を設置し、形状と粒径をモニターすることが好ましい。所望の粒子系に達したら、先に重合した樹脂粒子のガラス転移点以下まで冷却し、その後は図6のトナー製造装置と同様に、固液分離、洗浄、乾燥、さらに必要に応じて外添剤混合を行う。
具体的に、図8に、会合工程を有さないケミカルトナーの製造方法において形状制御を行うためのトナー製造装置の構成の一例を示す。
この例においては、懸濁重合法を例にとるが、溶剤を用いた樹脂溶液を用いる溶解懸濁法のトナーにも応用できる。
先ず、燐酸カルシウムなど水不溶のコロイドを分散した水系媒体タンク41をトナー用流路30に接続する。
次に、タンク42内に重合性単量体に着色剤、離型剤など必要な内部添加剤を分散した重合性単量体溶液を準備し、トナー用流路30に導入すると共に、タンク43から重合開始剤溶液を導入する。それと同時に高速剪断型分散機20で示すような撹拌装置を通過させ、トナー粒子程度の大きさの液滴を形成させ、重合反応を進行させる。重合添加率が20%以上を目安に、トナー用流路30には静止型管内混合器24のごとき、撹拌部材を設置する。トナー用流路30には熱と、撹拌によるせん断力がかかるため、トナー粒子は、長径、短径をもち、真球とは異なる形状になる。そして、トナー用流路30にタンク44から塩酸を導入して反応を停止させ、所望の形状となってからは、図6および図7のトナー製造装置と同様に処理する。
「個数平均粒径、個数粒度分布および個数変動係数」は、「コールターカウンターTA−II」あるいは「コールターマルチサイザー」(コールター社製)で測定されるものである。本発明においてはコールターマルチサイザーを用い、粒度分布を出力するインターフェース(日科機製)、パーソナルコンピューターを接続して使用した。前記コールターマルチサイザーにおいて使用するアパーチャーとしては30μmのものを用いて、1μm以上のトナー粒子の体積、個数を測定して粒度分布および平均粒径を算出した。個数粒度分布とは、粒子径に対するトナー粒子の相対度数を表すものであり、個数平均粒径とは、個数粒度分布におけるメジアン径を表すものである。トナーの「個数粒度分布における個数変動係数」は下記式から算出される。
ここに、「円形度」とは、下記式で示される値である。下記式において、相当円とは、トナー粒子投影像と同じ面積を有する円のことであり、円相当径とは、該相当円の直径のことである。
なお、上記円形度の測定方法としては、「FPIA−2000」(シスメック社製)により測定することができる。
=2π×(粒子の投影面積/π)1/2 /(トナー粒子投影像の周囲長)
「離型剤の融点」とは、示差走査熱量測定装置(DSC)より測定され、パーキンエルマー社製の示差走査熱量測定装置「DSC7」を使用し、0〜100℃まで昇温し、一端冷却した後のセカンドヒート測定における最大吸熱ピークの温度をいう。
実施例1において、図6の構成を有するトナー製造装置を用いて会合型トナーを製造した。
(1)核粒子の形成(第1段重合)
ドデシル硫酸ナトリウム7.08質量部をイオン交換水3010質量部に溶解させた界面活性剤溶液(水系媒体)を仕込み、撹拌翼を230rpmの速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。
この界面活性剤溶液に、重合開始剤(過硫酸カリウム:KPS)9.2質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた開始剤溶液を添加し、温度を75℃とした後、スチレン70.1質量部、n−ブチルアクリレート19.9質量部、メタクリル酸10.9質量部からなる単量体混合液を1時間かけて滴下し、この系を75℃で2時間にわたり加熱・撹拌することにより、重合反応(第1段重合に係る反応)を行い、高分子量樹脂よりなる樹脂粒子の分散液(以下、「樹脂粒子(1H)」ともいう。)を調製した。
離型剤としてペンタエリスリトールテトラステアリン酸エステル(融点73.0℃)98.0質量部を、定着助剤としてポリn−ブチルアクリレートオリゴマー「アルフォン1021」(東亞合成社製)66.0質量部、スチレン105.6質量部、n−ブチルアクリレート30.0質量部、メタクリル酸6.2質量部およびn−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル5.6質量部からなる単量体混合液に添加し、90℃に加温し溶解させて単量体溶液を調製した。
上記の単量体溶液を、反応釜内の樹脂粒子(1H)に、固形分換算で28質量部添加し、撹拌速度460rpmで撹拌を続けた。
次いで、この分散液(乳化液)に、重合開始剤(KPS)5.1質量部をイオン交換水240質量部に溶解させた開始剤溶液と、イオン交換水750質量部とを添加し、この系を98℃にて12時間にわたり加熱・撹拌することにより重合反応(第2段重合に係る反応)を行い、高分子量樹脂からなる樹脂粒子の表面が離型剤を含有する中間分子量樹脂により被覆されてなる構造の複合樹脂粒子の分散液(以下、「樹脂粒子(1HM)」ともいう。)を調製した。
得られた樹脂粒子(1HM)が仕込まれた反応釜に重合開始剤(KPS)7.4質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた開始剤溶液を添加し、温度を80℃に保った状態で、スチレン300質量部、n−ブチルアクリレート95質量部、メタクリル酸15.3質量部およびn−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル10.4質量部からなる単量体混合液を1時間かけて滴下し、この系を80℃で2時間にわたり加熱・撹拌することによって重合反応(第3段重合に係る反応)を行い、その後、この系を28℃まで冷却することにより、高分子量樹脂からなる樹脂粒子の表面が中間分子量樹脂により被覆されてなり、更に、当該中間分子量樹脂よりなる中間層の表面が低分子量樹脂により被覆されてなる構造の複合樹脂粒子の分散液樹脂粒子(以下、「樹脂粒子(1H質量部)」ともいう。)を調製した。
「樹脂粒子(1H質量部)」を乾燥させ、軟化点を測定したところ、89.5℃、離型剤の融点に当たりピークは、73.0℃であった。
ドデシル硫酸ナトリウム(アニオン系界面活性剤)59.0質量部をイオン交換水1600質量部に撹拌溶解した。この溶液を撹拌しながら、着色剤としてカーボンブラック「リーガル330R」(キャボット社製)420.0質量部を徐々に添加し、次いで、機械式分散機「クレアミックス」(エム・テクニック(株)製)を用いて分散処理することにより、着色剤粒子の分散液(以下、「着色剤分散液(1)」という。)を調製した。
得られた着色剤分散液(1)における着色剤粒子の粒子径を、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)を用いて測定したところ、重量平均粒子径で89nmであった。
反応釜、着色剤分散液を凝集剤溶液投入口の直下にて、それぞれ合流するようトナー用流路への導入を開始した。反応釜下流の希釈水タンクから、水酸化ナトリウム水溶液を樹脂粒子分散液の流量に対し2倍の速度で添加し、pH10に添加した。この時点での流速は0.010m/sであった。凝集剤溶液投入口に直前の樹脂粒子分散液流量は、固形分換算で樹脂粒子分散液が0.89質量部/s、着色剤分散液が0.11質量部/sとした。
凝集剤溶液タンクには、あらかじめ塩化マグネシウム・6水和物12.1質量部をイオン交換水1000質量部に溶解した水溶液を用意し、樹脂粒子分散液と着色剤分散液との混合液に対し、0.67質量部/sの速度で滴下を続けた。
停止剤溶液タンク手前までに、4つの加熱ゾーンを設置し、第1のゾーン(6m)は30℃に設定、第2(6m)のゾーンは60℃に設定、第3のゾーン(6m)および第4のゾーン(6m)は90℃に設定した。第4のゾーン通過後に分散液のサンプルを「コールターカウンターTA−II」にて会合粒子の粒径を測定し、個数平均粒径が5.2μmになったことを確認した。
停止剤溶液タンクには、あらかじめ塩化ナトリウム80.4質量部をイオン交換水1
質量部に溶解した水溶液を準備し、0.43質量部/sの速度で滴下を続けた。
形状制御処理領域では、6mのゾーンを30個連結した。始めはすべて95℃に設定し流路を通過させた。この時点でのトナー粒子分散液の流速は0.020m/sとなるよう、図示しないバルブで調整した。目標とする円形度は、0.9605〜0.9614であったが、サンプル液のモニター結果では、第26ゾーンで目標円形度に達していたので、第27のゾーンは60℃設定、第28〜第30は、30℃の設定した。なお、温度が安定するまでに通過したトナー分散液は、図示しないドレインからタンク抜き取り、廃棄した。
遠心脱水機を用い35℃のイオン交換水で繰り返し洗浄し、その後、40℃の温風で乾燥して着色粒子(以下、「着色粒子(K1)」ともいう。)を得た。
乾燥した着色粒子100質量部に対し、一次平均粒子径12nm、ヘキサメチルジシラザンで表面を被覆したシリカ0.6質量部、一次平均粒子径100nm、n−オクチルシランで表面を被覆した二酸化チタン0.8質量部を添加し、ヘンシェルミキサーの回転撹拌翼の周速を35m/秒とし、15分間混合し、外添剤添加処理を行った。得られたトナーを「トナー(1)」とする。
「離型剤の融点」とは、示差走査熱量測定装置(DSC)より測定され、パーキンエルマー社製の示差走査熱量測定装置「DSC7」を使用し、0〜100℃まで昇温し、一端冷却した後のセカンドヒート測定における最大吸熱ピークの温度をいう。
「個数平均粒径、個数粒度分布および個数変動係数」は、「コールターカウンターTA−II」あるいは「コールターマルチサイザー」(コールター社製)で測定されるものである。本発明においてはコールターマルチサイザーを用い、粒度分布を出力するインターフェース(日科機製)、パーソナルコンピューターを接続して使用した。前記コールターマルチサイザーにおいて使用するアパーチャーとしては30μmのものを用いて、1μm以上のトナー粒子の体積、個数を測定して粒度分布および平均粒径を算出した。個数粒度分布とは、粒子径に対するトナー粒子の相対度数を表すものであり、個数平均粒径とは、個数粒度分布におけるメジアン径を表すものである。トナーの「個数粒度分布における個数変動係数」は下記式から算出される。
温度センサー、冷却管、窒素導入装置、撹拌装置を取り付けた反応容器(四つ口フラスコ)に、ラテックス(1H質量部)420.7質量部(固形分換算)と、イオン交換水900質量部と、着色剤分散液(1)166質量部とを仕込み、内温を30℃に調整した後、この分散液混合溶液に5Nの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを10.0に調整した。次いで、塩化マグネシウム・6水和物12.1質量部をイオン交換水1000質量部に溶解した水溶液を、撹拌下、30℃にて10分間かけて添加した。3分間放置した後に昇温を開始し、この会合系を10分間かけて90℃まで昇温した。その状態で「コールターカウンターTA−II」にて会合粒子の粒径を測定し、個数平均粒径が5.2μmになった時点で、塩化ナトリウム80.4質量部をイオン交換水1000質量部に溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させ、さらに、液温度95℃の温度にて5時間以上にわたり加熱撹拌し、定期的なサンプリングを実施し、目標とする円形度が0.9605〜0.9614となるよう見込んで形状制御を行った後、この系を30℃まで冷却し、撹拌を停止した。生成した粒子を濾過し、45℃のイオン交換水で繰り返し洗浄し、その後、40℃の温風で乾燥して着色粒子を得た。そして、実施例1と同様の手法により、外添剤添処理を行うことにより、比較用トナー(1)を得た。
ハイライトの再現性およびクリーニング性の確認は、電子写真式複写機「bizhub PRO01050」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)を用いて評価し、クリーニング性の確認に関しては、ブレードとして1枚の「bizhuub PRO1050」を用いて評価を行った。
なお、上記円形度の測定方法としては、「FPIA−2000」(シスメック社製)により測定することができる。
=2π×(粒子の投影面積/π)1/2 /(トナー粒子投影像の周囲長)
ここに、最大値と最小値との差異が0.0004を超え、0.0007以下であり、円形度が0.9605〜0.9614の範囲にあれば、転写が忠実に行われ、トナーのロットが切り換わっても画質の差が検知しがたい。また、クリーニング性が安定し、クリーニング部材の耐用が高まる。
11A 流路
12A 熱媒入口
12B 熱媒出口
13 熱媒
14 保護層
15 鏡板
16 離間板
17A、17B 出口孔
18A 第1の流路
18B 第2の流路
19A、19B 入口孔
20 高速剪断型分散機
21 ハウジング
22 液体剪断機構
23A ステーター
23B ローター
24 静止型管内混合器
25A、25B 案内板
30 トナー用流路
31 撹拌槽型反応器(反応釜)
31A ポンプ
32A、32B、32C タンク
33 撹拌混合装置
34 固液分離装置
34A タンク
35 乾燥機
36 粉体回収装置
37 粉体タンク
38A、38B、38C、38D、38E、38F、38G、38H、38I タンク41 水系媒体タンク
42 タンク
43 タンク
44 タンク
Claims (7)
- 水系媒体中においてトナー粒子の形状を調整するための形状制御処理領域を有し、当該形状制御処理領域に2個以上のゾーンコントロールを行うことのできる温度制御手段が設けられているトナー用流路において、トナー粒子の形状制御を行う形状制御工程を有することを特徴とするトナーの製造方法。
- トナー用流路における形状制御処理領域よりも上流側に設けられた、水系媒体中において樹脂粒子を会合してトナー粒子を形成するための領域であって2個以上のゾーンコントロールを行うことのできる温度制御手段が設けられている会合処理領域において、トナー粒子の形成を行う会合工程を有し、この会合工程において形成されたトナー粒子の形状が形状制御工程において調整されることを特徴とする請求項1に記載のトナーの製造方法。
- トナー用流路における形状制御処理領域よりも上流側に設けられた重合反応を行うための重合処理領域に重合性単量体および着色剤を連続的に供給して重合反応を行う重合工程を有し、この重合工程を経て行われる形状制御工程において得られたトナー粒子分散液を、トナー用流路から取り出すことを特徴とする請求項1に記載のトナーの製造方法。
- トナー用流路が、並列に配置された複数の流路に分岐し、これらの分岐路が必要に応じて合流するものであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- トナー用流路が、螺旋状に求心方向に向かって伸び、遠心方向に向かって伸びる離間板を介して隣接する、熱媒を通過させるための流路と二重渦巻状に配設されていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- トナー用流路の形状制御処理領域には、トナー粒子の粒径および形状係数を測定するためのサンプリング手段が設けられており、粒径および形状係数の測定結果に基づいて温度制御手段によるトナー用流路の温度制御がなされることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- 水系媒体中のトナー粒子の流路が設置され、前記流路においてトナー粒子の形状を制御するための形状制御処理領域を有し、当該形状制御処理領域に2個以上のゾーンコントロールを行うことのできる温度制御手段が設けられていることを特徴とするトナー製造装置。
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