JP5617975B2 - 静電荷像現像用トナー及び液温調節装置 - Google Patents
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Description
特許文献1では、重合体一次粒子を粒子凝集体とし、粒子凝集体中の重合体一次粒子どうしを融着させて静電荷像現像用トナーを製造する際の反応液の加熱方法として ジャケット付き容器を用い、該ジャケット内に、減圧下で高圧水蒸気を供給して加熱する方法が提案されている。 しかし、特許文献1では、反応液を減圧下で高圧水蒸気を供給して加熱する際、反応液温度が目標反応温度をオーバーシュートし、設定温度に収束するまでに時間を要するため、凝集体粒子が肥大化し、求める粒径のトナーを得ることが困難であった。さらに、製造規模を大きくした場合に、反応液全体の温度にばらつきを生じさせ、局部的な粗粒、微粒を発生させていた。
即ち、本発明の要旨は、以下の通りである。
(1)樹脂粒子を含む溶液を用いる静電荷現像用トナーの製造方法において、樹脂粒子を含む溶液を反応させる工程の反応容器の伝熱面積/反応容器の体積が100(1/m)以下であり、該樹脂粒子を含む溶液の反応工程における反応温度を、10分間以上、目標反応温度±1.0℃に保つことを特徴とする静電荷現像用トナーの製造方法。
(2)目標反応温度がトナー粒子のガラス転移点Tg−20℃以上、Tg以下であることを特徴とする前記(1)に記載の静電荷現像用トナーの製造方法。
(3)トナーの製造方法が湿式重合法であることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の静電荷現像用トナーの製造方法。
(4)樹脂粒子を含む溶液を反応させる工程における溶液の温度を、10分間以上、目標反応温度±1.0℃に保つ工程が、トナーの凝集工程であることを特徴とする前記(1)乃至(3)に記載の静電荷現像用トナーの製造方法。
(5)前記(1)乃至(4)に記載の方法で製造されることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
(6)トナーの体積平均粒径Dvと個数平均粒径Dnが、Dv/Dn≦1.1であることを特徴とする前記(5)に記載の静電荷像現像用トナー。
(7)ジャケット付き反応容器を用い、該反応容器が攪拌手段を備え、該反応容器の伝熱面積/該反応容器の体積が100(1/m)以下であり、該反応容器がジャケット内に減圧下で高圧水蒸気を供給することにより加熱される手段及び/又はジャケット内に減圧下で水を
供給することにより冷却される手段とを備えて、その手段により反応容器内の液温を制御することを特徴とする装置。
(8)反応容器の総括伝熱係数が300W/m2 ℃以上である前記(7)に記載の装置。
(9)反応容器の肉厚/反応容器材質の熱伝導率が8×10−4m2℃/W以下である前
記(7)に記載の装置。
(10)前記(7)乃至(9)に記載の装置で製造されることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
(11)トナーの体積平均粒径Dvと個数平均粒径Dnが、Dv/Dn≦1.1であることを特徴とする前記(10)に記載の静電荷像現像用トナー。
本発明で用いられる装置は、ジャケット付き反応容器を用い、該反応容器が攪拌手段を備え、該反応容器の伝熱面積/体積が100(1/m)以下であり、該反応容器がジャケット内に減圧下で高圧水蒸気を供給することにより加熱する手段及び/又はジャケット内に減圧
下で水を供給することにより冷却する手段とを備えている。
本発明は、加温する手段として減圧下で高圧水蒸気及び/又は、冷却する手段として減圧
下で水を用いることにより、加熱及び冷却速度が速く、ある目標反応温度に液温を保持することができ、粗粒が少なく、粒度分布がシャープなトナーを得ることができるのである。
本発明において「樹脂粒子を含む溶液」とは、トナーを製造する工程において、トナーの構成要件の一つであるバインダー樹脂が水系の溶液に分散又は凝集等し、溶液中に存在する状態であることを指す。
本発明の方法及び装置は、スケールの大きな反応においても温度コントロールすることができるため、特に産業上のメリットがある。本発明の方法及び装置は、反応容器の伝熱面積/反応容器の体積が100(1/m)以下のスケールである場合に特に好適である。
本発明のバインダー樹脂は、従来公知のものを含む広い範囲から選択できる。バインダー樹脂の製造に用いられる原料の重合性モノマーとしては特に限定はないが、具体的には例えば、スチレン;p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン等のスチレン誘導体;(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリルアミド;N−アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド誘導体;塩化ビニル、酢酸ビニル等のビニル化合物;無水マレイン酸;アクリロニトリル;プロピレン、ブタジエン等のアルケン化合物等が好ましい。ここで、「(メタ)アクリル」等の記載は、「アクリル」及び/又は「メタアクリル」を意味し以下同様である。また以下、スチレン及び/又はスチレン誘導体を、単に「スチレン(誘導体)」と略記する。
更に、重合性モノマーとして、架橋をさせるために、多官能性モノマーを使用することもできる。多官能性モノマーとしては、例えば、ジビニルベンゼン;ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート類;ジアリルフタレート等が好ましいものとして挙げられる。また、架橋をさせるための重合性モノマーとしては、反応性基をペンダントに有する重合性モノマー、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチロール(メタ)アクリルアミド、アクロレイン等を用いることも可能である。これらは、単独で用いても複数を混合して用いてもよい。
本発明において、重合性モノマーを重合せしめる際に必要であれば、重合開始剤を用いることができる。本発明においては、公知の重合開始剤を、1種又は2種以上組み合わせて使用することができる。
該重合開始剤の添加量は目的とする重合度により変化するが、重合性単量体100重量部に対し0.1重量部以上、20重量部以下であることが好ましい。
例えば無機系酸化物であるリン酸三カルシウム,リン酸マグネシウム,リン酸アルミニウム,リン酸亜鉛,炭酸カルシウム,炭酸マグネシウム,水酸化カルシウム,水酸化マグネシウム,水酸化アルミニウム,メタケイ酸カルシウム,硫酸カルシウム,硫酸バリウム
,ベントナイト,シリカ,アルミナ,チタニア等が挙げられる。有機系化合物としては例えばポリビニルアルコール,ゼラチン,メチルセルロース,メチルヒドロキシプロピルセルロース,エチルセルロース,カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩,デンプン等が挙げられる。分散安定剤は、重合性単量体100質量部に対して0.2〜10.0質量部を使用することが好ましい。
本発明の製造方法及び装置によって得られるトナーには、帯電量や帯電安定性付与のため、帯電制御剤を含有させてもよい。帯電制御剤としては、従来公知の化合物が使用される。例えば、ヒドロキシカルボン酸の金属錯体、アゾ化合物の金属錯体、ナフトール系化合物、ナフトール系化合物の金属化合物、ニグロシン系染料、第4級アンモニウム塩、又は、これらの混合物が挙げられる。
本発明の製造方法及び装置によって得られるトナーには、離型性付与のため、ワックスを含有させることが好ましい。ワックスとしては、離型性を有するものであればいかなるものも使用可能である。
場合があり、一方、融点が高すぎると低温での定着性が劣る場合がある。
トナー中のワックスの含有量は、バインダー樹脂100重量部に対して、0.1重量部以上が好ましく、さらに1重量部以上、さらには5重量部以上、特に7重量部以上であることが好ましい。また、40重量部以下が好ましく、さらには35重量部以下、特に30重量部以下であることが好ましい。
乳化重合凝集法によりトナー母粒子を製造する場合、通常、重合工程、混合工程、凝集工程、熟成工程、洗浄・乾燥工程を有する。
すなわち、乳化重合により得た重合体一次粒子を含む分散液に、着色剤、帯電制御剤、ワックス等の各粒子の分散液を混合し、この分散液中の一次粒子を凝集させて、好ましくは体積平均粒径(Dv)が3μm〜12μm程度、特に好ましくは3μm〜8μm程度の粒子凝集体とし、必要に応じて、これに樹脂微粒子等を付着させ、その後、粒子凝集体あるいは樹脂微粒子が付着した粒子凝集体を融着させ、こうして得られた粒子を洗浄、乾燥してトナー母粒子を得る。更に、要すれば外添をして製品のトナーを得る。
[重合体一次粒子]
乳化重合凝集法に用いられる重合体一次粒子としては、好ましくはガラス転移温度が40℃〜80℃であり、より好ましくは45℃〜65℃である。また、平均粒径(Mv)は、好ましくは0.02μm〜3μmである。この重合体一次粒子は、モノマーを乳化重合することにより得られる。
カチオン界面活性剤の具体例としては、ドデシルアンモニウムクロライド、ドデシルアンモニウムブロマイド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ドデシルピリジニウムクロライド、ドデシルピリジニウムブロマイド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウ
ムブロマイド等が挙げられる。
また、ノニオン界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリオキシエチレンヘキサデシルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアートエーテル、モノデカノイルショ糖等が挙げられる。
これらの界面活性剤の内、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸のアルカリ金属塩が特に好ましい。
また、これら極性基を有するモノマーは、それぞれ、対イオンを伴って塩として存在していてもよい。
極性基を有するモノマーとしては、酸性基を有するモノマーが好ましく、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボキシル基を有するモノマーが特に好ましい。カルボキシル基を有するモノマーの割合は、重合体一次粒子を構成する全モノマー中、3質量%以下であることが好ましく、2質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることが特に好ましく、0.5質量%以下であることが更に好ましい。
また、分散剤を添加しながら昇温することによって、トナーの種々の性能を悪化させる「極性基を有するモノマー」の量を減らしても、熟成工程において、粒子凝集体同士が互いに会合して大粒径の粒子を形成することがなく、粒子凝集体の粒径を安定させることができる。
、N−プロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジプロピルアクリルアミド、N,N−ジブチルアクリルアミド、アクリル酸アミド等の(メタ)アクリルアミド類等を挙げることができる。この中でも、スチレン又はブチルアクリレートが特に好ましい。
このような、多官能性モノマーのモノマー混合物中の配合率は、モノマー全体に対して、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、特に好ましくは0.3質量%以上であり、また、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、特に好ましくは1質量%以下である。
乳化重合に際しては、必要に応じて公知の連鎖移動剤を使用することができるが、その様な連鎖移動剤の具体的な例としては、t―ドデシルメルカプタン、2−メルカプトエタノール、ジイソプロピルキサントゲン、四塩化炭素、トリクロロブロモメタン等が挙げられる。連鎖移動剤は単独又は2種類以上の併用でもよく、重合性単量体に対して0質量%以上、5質量%以下用いられる。
こうして得られた重合体一次粒子の平均粒径(Mv)は、0.02μm以上が好ましく、0.03μm以上、さらに0.05μm以上、特に0.1μm以上が好ましい。また、3μm以下が好ましく、2.5μm以下、さらに2μm以下、特に1μm以下が好ましい。重合体一次粒子等の平均粒径(Mv)は、実施例に記載の方法で測定され定義される。粒径が0.02μmより小さくなると凝集速度の制御が困難となる場合がある。また、3μmより大きいと凝集して得られるトナー粒径が大きくなりやすく、3μm〜8μmのトナーを製造するには不適当である。
乳化重合凝集法では、重合体一次粒子の分散液と着色剤粒子を混合し、混合分散液とした後、これを凝集させて粒子凝集体とするが、着色剤は、乳化剤(前述の界面活性剤)の存在下で水中に乳化させエマルションの状態で用いるのが好ましく、着色剤粒子の平均粒
径(Mv)としては、0.01μm〜3μmが好ましい。着色剤の使用量は、通常、重合体一次粒子100重量部に対して1重量部以上が好ましく、3重量部以上であることが更に好ましい。また、25重量部以下であることが好ましく、さらに好ましくは20重量部以下である。
乳化重合凝集法において、ワックスは、予め乳化剤(前記の界面活性剤)の存在下に分散してエマルジョン化したワックス微粒子分散液としたものを用いるのが好ましい。ワックスは、凝集工程に存在させるが、これには、ワックス微粒子分散液を重合体一次粒子及び着色剤粒子と共凝集させる場合と、ワックス微粒子分散液の存在化にモノマーをシード乳化重合させてワックスを内包した重合体一次粒子を作成し、これと着色剤粒子を凝集させる場合とがある。このうち、ワックスをトナー中に均一に分散させるには、ワックス微粒子分散液を上記の重合体一次粒子の作成時、すなわちモノマーの重合時に存在させるのが好ましい。
乳化重合凝集法において帯電制御剤を含有させる方法として、重合体一次粒子を得る際に、帯電制御剤をワックスと同時にシードとして用いたり、帯電制御剤をモノマー又はワックスに溶解又は分散させて用いたり、重合体一次粒子及び着色剤と同時に帯電制御剤を凝集させて粒子凝集体を形成したり、重合体一次粒子及び着色剤を凝集させて、ほぼトナーとして適当な粒径となった後に、帯電制御剤一次粒子を加えて凝集させることもできる。この場合帯電制御剤も乳化剤(前述の界面活性剤)を用いて水中で分散し、平均粒径0.01〜3μmのエマルション(帯電制御剤一次粒子)として使用することが好ましい。
本発明の製造法の凝集工程においては、上述の、重合体一次粒子、着色剤粒子、必要に応じて帯電制御剤、ワックス等の配合成分の粒子は、同時にあるいは逐次に混合して分散するが、予めそれぞれの成分の分散液、すなわち、重合体一次粒子分散液、着色剤粒子分散液、必要に応じ帯電制御剤分散液、ワックス微粒子分散液を調製しておき、これらを混合して混合分散液を得ることが好ましい。
上記の各粒子の混合分散液を凝集工程で凝集して粒子凝集体を作成するが、この凝集工程においては、加熱して凝集を行う方法がある。必要に応じて、後述のような電解質を加えて凝集してもよい。
加熱して凝集を行う場合に、目標反応温度である凝集温度としては具体的には、(Tg−20)℃以上、Tg以下の温度範囲(但し、「Tg」はトナー粒子のガラス転移温度を示す)が好ましい。下限温度としては、(Tg−17.5℃)以上がより好ましく、(T
g−15℃)以上が特に好ましい。上限温度としては、(Tg−2.5℃)以下がより好ましく、(Tg−5℃)以下が特に好ましい。
所望のトナー粒径に凝集させるためには、凝集液を上記範囲内で設定した凝集温度に精密にコントロールする必要がある。
設定した目標反応温度である凝集温度に対して過熱されると、凝集液凝集や融着に用いる容器内壁への固形物付着が著しく多くなる。そのため、付着した固形物を容器内壁から取り除くのに多大の時間を要し、生産性が損なわれている。また、粒子凝集体の形成や融着は分散液の温度を制御して行われるが、容器内壁に固形物が付着すると分散液と熱媒や冷媒との熱伝達が阻害され効率的な温度制御を行う上で好ましくない。
凝集目標反応温度までは一定速度で昇温してもよいし、ステップワイズに昇温してもよい。目標反応温度での保持時間は、トナー粒子のガラス転移点をTgとすると、(Tg−20℃)〜Tgの範囲で30分以上8時間以下が好ましく、1時間以上4時間以下が更に好ましい。このようにすることによって、粒度分布のシャープなトナーを得ることができる。
に減圧下で水溶液を供給することにより冷却する手段を用いる。この手段により、精密な凝集液の温度コントロールを可能とし、特に一定以上のスケールで凝集を行う場合に精密な凝集液の温度コントロールが可能となる。
W/m2 ℃以上、特に400W/m2 ℃以上であることが好ましい。
上記範囲であると、熱伝導が良くなり効率的な温度制御ができ、粗粒、微粒の少ない粒度分布がシャープなトナーを得ることができる。
総括伝熱係数の上限は特に限定されず、熱伝導が高いほうが好ましい。
総括伝熱係数は下記式で求めることができる。
下であることが好ましい。さらに6m×10−4m2℃/W以下、特に4.5×10−4
m2℃/W以下であることが好ましい。上記範囲であると熱伝導が良くなり、効率的な温
度制御ができ、粗粒、微粒の少ない粒度分布がシャープなトナーを得ることができる。反応容器の肉厚は、反応容器本体の胴板の値である。
熱伝導率はレーザーフラッシュ法等で求めることができる。
また、凝集工程に引き続いて熟成工程を行う場合には、凝集工程と熟成工程が連続的に行われ、その境界は曖昧となる場合があるが、トナー粒子のガラス転移点をTgとすると、(Tg−20℃)〜Tgの温度範囲に少なくとも30分間保持する工程があれば、これを凝集工程とみなす。
本発明において、凝集工程で得られた粒子凝集体(トナー母粒子)の表面に、必要に応じて樹脂微粒子を被覆(付着又は固着)することができる。表面に被覆させる樹脂微粒子は、ワックスがトナー表面に露出しやすくなるため帯電性や耐熱性が悪化する場合があるため、ワックスを含有しない樹脂微粒子で被覆することが好ましい。
の表面を被覆する樹脂微粒子を構成するモノマーとしては、重合体一次粒子を構成するモノマーの箇所で記載したものと同様のものが挙げられる。
該樹脂微粒子を構成するモノマー中、極性基を有するモノマーの割合は、該樹脂微粒子を構成するモノマー全体に対して、それらの合計で3質量%以下であることが好ましく、2質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることが特に好ましく、0.5質量%以下であることが更に好ましい。また、極性基を有するモノマーが0質量%、すなわち、極性基を有するモノマーを含まなくても、本発明を用いれば凝集工程で得られた粒子凝集体(トナー母粒子)の調製が可能であるので、0質量%が、帯電性、保存安定性、トナー母粒子の形状の制御の点から特に好ましい。
極性基を有するモノマーとしては、酸性基を有するモノマーが好ましく、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボキシル基を有するモノマーが特に好ましい。カルボキシル基を有するモノマーの割合は、樹脂微粒子を構成する全モノマー中、3質量%以下であることが好ましく、2質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることが特に好ましく、0.5質量%以下であることが更に好ましい。また、カルボキシル基を有するモノマーが0質量%、すなわちカルボキシル基を有するモノマーを含まなくても、本発明を用いればトナー母粒子の調製が可能であるので、0質量%が、帯電性、保存安定性、トナー母粒子の形状の制御の点から特に好ましい。
乳化重合凝集法においては、凝集工程で得られた粒子凝集体(トナー母粒子)の安定性を増すために、凝集工程の温度(凝集工程から熟成工程へ温度を変化させるときは凝集工程の最後の温度)から、「(Tg+10℃)〜(Tg+80℃)(但し、Tgはトナー粒子のガラス転移温度)の範囲」の温度まで昇温しつつ、凝集した粒子間の融着を起こす熟成工程を加える。なお、以下、「粒子間の融着が起きる最低温度」から、「(Tg+10℃)〜(Tg+80℃)の範囲の温度」までの温度範囲を「熟成工程の温度範囲」と略記する。熟成工程における昇温速度は、粒子凝集体の粒径を制御する観点から、好ましくは10℃/分以下であり、より好ましくは5℃/分以下、特に好ましくは3℃/分以下である。また、途中で昇温を止め、一定時間保持した後に再び昇温を開始してもよい。
かかる分散剤としては乳化剤が好ましい。その乳化剤としては、重合体一次粒子の製造の箇所で記載したものと同じ界面活性剤が好ましいものとして挙げられる。なかでも、重合体一次粒子製造時と同じ界面活性剤の使用が好ましい。乳化剤は、1種又は2種以上の併用系で用いられる。
酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、酢酸ナトリウム、アンモニア水、アミン化合物等、又は、これらのナトリウム塩をカリウム塩等のアルカリ金属塩に変更したもの等が挙げられる。
大量の分散剤を添加する場合は、熟成工程でトナー母粒子の形状制御に長い時間を要する場合がある。また、大量な分散剤を除去する必要があるため、トナー母粒子の洗浄工程で大量の洗浄水が必要となり、その廃水により環境への負担が増加したり、廃水処理に高いコストがかかったりする場合がある。
分散剤を分段的に添加する場合、毎回同じ添加量でもよいし、毎回違う添加量でもよい。分散剤を連続的に添加する場合、分散剤の添加速度については、均一速度添加でもよいし、速度変動添加でもよい。分散剤の添加量や添加速度は、粒子凝集体の安定性により決めることが好ましい。分散剤がpH調整剤の場合には、熟成工程の間のpHが常に好適範囲に入っているように、連続的に添加又は分段的に添加することが好ましい。
に1回の割合がより好ましく、5分以下に1回の割合が特に好ましく、連続に添加することが更に好ましい。
終温度又は最高温度で一定時間保持することが好ましい。かかる一定時間には特に限定はないが、30分〜24時間が好ましく、1時間〜10時間が特に好ましい。かかる操作を加えることにより、トナー粒子の形状も球状に近いものとすることができ、形状制御も可能になる。
熟成工程前の粒子凝集体は、一次粒子の静電的あるいはその他の物理凝集による集合体であると考えられるが、熟成工程後は、粒子凝集体を構成する重合体一次粒子は、互いに融着しており、好ましくはほぼ球形となっている。なお、この様なトナーの製造方法によれば、一次粒子が凝集した状態の葡萄型、融着が半ばまで進んだジャガイモ型、更に融着が進んだ球状等、目的に応じて様々な形状のトナーを製造することができる。
上記の各工程を経ることにより得た粒子凝集体は、公知の方法に従って固液分離し、粒子凝集体を回収し、次いで、これを必要に応じて、洗浄した後、乾燥することにより目的とするトナー粒子を得ることができる。
本発明のトナーは、流動性や現像性を制御する為にトナー母粒子表面に公知の外添剤が配合されたものであってもよい。外添剤としては、アルミナ、シリカ、チタニア、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、タルク、ハイドロタルサイト等の金属酸化物や水酸化物、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等のチタン酸金属塩、窒化チタン、窒化珪素等の窒化物、炭化チタン、炭化珪素等の炭化物、アクリル系樹脂やメラミン樹脂等の有機粒子等が挙げられ、複数組み合わせることが可能である。中でも、シリカ、チタニア、アルミナが好ましく、また、例えばシランカップリング剤やシリコーンオイル等で表面処理されたものがより好ましい。その平均一次粒子径は1nm以上が好ましく、5nm以上がさらに好ましい。また、500nm以下が好ましく、100nm以下が更に好ましい。また、前記粒径範囲において小粒径のものと大粒径のものとを併用することも好ましい。外添剤の配合量の総量は、トナー母粒子100重量部に対して0.05重量部以上が好ましく、0.1重量部以上が更に好ましい。また、10重量部以下が好ましく、5重量部以下がさらに好ましい。
トナーの円形度としては、平均円形度が0.9以上が好ましく、さらに0.93以上、特に0.94以上が好ましい。また、1以下が好ましく、さらに0.98以下、特に0.98以下が好ましい。円形度が前記範囲未満では、転写効率が悪くドット再現性が低下する場合があり、前記範囲超過では、感光体上に残った未転写トナーがブレードで完全に掻き取られずに画像欠陥を引き起こす場合がある。
均一になり、ライフ後半まで帯電量が保持されることで、高画質及び高速化を達成することができる。また、本発明のトナーは、分布がシャープであり、粗粒が少ないためトナー消費量を少なくすることもできる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。以下の例で「部」とあるのは「重量部」を意味する。
日機装株式会社製、型式:Microtrac Nanotrac 150(以下、「ナノトラック」と略記する)を用いて、ナノトラックの取り扱い説明書に従い、同社解析ソフトMicrotrac Particle Analyzer Ver10.1.2.-019EEを用い、電気伝導度が0.5μS/cmのイオン交
換水を分散媒に用い、下記の条件で又は下記の条件を入力し、取り扱い説明書に記載された方法で測定した。
・溶媒屈折率:1.333
・測定時間 :100秒
・測定回数 :1回
・粒子屈折率:1.59
・透過性 :透過
・形状 :真球形
・密度 :1.04
以下の条件でゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定する。
装置:東ソー社製GPC装置 HLC−8020
カラム:ポリマーラボラトリー 社製 PL−gel Mixed−B 10μ
リファレンスカラム:東ソー社製 TSKgel GMH
溶媒:THF
試料濃度:0.1重量%
検量線:標準ポリスチレン
ケット科学研究所社製 固形分濃度測定機INFRARED MOISTURE DETERMINATIONBALANCE 型式FD−100を用い、固形分を含んだ試料1.00gを天秤上に精秤し、ヒーター温度300℃、加熱時間90分の条件で固形分濃度を測定した。
ベックマン・コールター社製マルチサイザーII(アパーチャー径100μm、以下マルチ
サイザーと略す)を用い、分散媒には同社アイソトンIIを用い分散質濃度0.03%になるように分散させて測定した。
本発明における「平均円形度」は、トナー母粒子を分散媒(アイソトンII、ベックマンコールター社製)に、5720〜7140個/μLの範囲になるように分散させ、フロー式粒子像分析装置(シスメックス社(旧東亜医用電子社)製、FPIA2100)を用いて、以下の装置条件にて測定を行い、その値を「平均円形度」と定義する。本発明においては、同様の測定を3回行い、3個の「平均円形度」の相加平均値を、「平均円形度」として採用する。
・モード :HPF
・HPF分析量 :0.35μL
・HPF検出個数:2000〜2500個
以下は、上記装置で測定され、上記装置内で自動的に計算されて表示されるものである
が、「円形度」は下記式で定義される。
そして、HPF検出個数である2000〜2500個を測定し、この個々の粒子の円形度の算術平均(相加平均)が「平均円形度」として装置に表示される。
導電率計(横河電機社製パーソナルSCメータモデルSC72、検出器SC72SN−11)を用いて、取り扱い説明書通り常法に従って行った。
得られた定着画像の画像濃度(ID)は分光側色濃度計(日本平版機材社製X−rite938)を用いて、C光源、受光角2度の設定とし、ベタ画像の先端、中間、後端において、各左端、中間、右端の計9箇所について測定し、その平均値とした。
現像槽内のスリーブ上に付着したトナーを、q/mメーターModel121OHS(トレックジャパン社製)にて吸引法で電荷量を測定した。吸引されたトナー重量とから単位重量あたりの帯電量を求めた。
本示差走査熱量計(セイコー電子工業社製 DSC220)において、サンプル量10mgを、雰囲気を空気とし、30℃より昇温速度10℃/分で110℃迄昇温し、1分保持後20℃/分で30℃迄降温、3分保持後再び10℃/分で110℃迄昇温する条件で測定した曲線の転移(変曲)開始部に接線を引き、2つの接線の交点の温度として求めた。
パラフィンワックス(日本精鑞社製HNP−9)27部、ステアリルアクリレート(東京化成社製)2.8部、20質量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液(第一工業製薬社製(以下、「20%DBS水溶液」と略記する)1.9部、脱塩水68.3部を90℃に加熱して、10分間攪拌した。
次いでこの分散液を90℃に加熱し25MPaの加圧条件で循環乳化を開始し、ナノトラックで粒子径を測定し平均粒径(Mv)が250nmになるまで分散して、ワックス・長鎖重合性単量体分散液A1を作製した。
攪拌装置(3枚翼)、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた反応器に、上記ワックス・長鎖重合性単量体分散液A1 35.6部、脱塩水259部を仕込み、攪拌しながら窒素気流下で90℃に昇温した。
スチレン 76.8部
アクリル酸ブチル 23.2部
アクリル酸 1.5部
ヘキサンジオールジアクリレート 0.7部
トリクロロブロモメタン 1.0部
[乳化剤水溶液]
20%DBS水溶液 1.0部
脱塩水 67.1部
[開始剤水溶液]
8質量%過酸化水素水溶液 15.5部
8質量%L(+)−アスコルビン酸水溶液 15.5部
[追加開始剤水溶液]
8質量%L(+)−アスコルビン酸水溶液 14.2部
重合反応終了後冷却し、乳白色の重合体一次粒子分散液A1を得た。重合体一次粒子分散液A1の平均粒径(Mv)は280nmであり、固形分濃度は21.1質量%であった。
攪拌装置(3枚翼)、加熱冷却装置、濃縮装置及び各原料・助剤仕込み装置を備えた反応器に、20質量%DBS水溶液1.0部、脱塩水312部を仕込み、窒素気流下で90℃に昇温し、攪拌しながら8質量%過酸化水素水溶液3.2部、8質量%L(+)−アスコルビン酸水溶液3.2部を一括添加した。これらを一括添加した時から5分後の時点を「重合開始」とする。
スチレン 92.5部
アクリル酸ブチル 7.5部
アクリル酸 0.5部
トリクロロブロモメタン 0.5部
[乳化剤水溶液]
20%DBS水溶液 1.5部
脱塩水 66.0部
[開始剤水溶液]
8質量%過酸化水素水溶液 18.9部
8質量%L(+)−アスコルビン酸水溶液 18.9部
重合反応終了後冷却し、乳白色の重合体一次粒子分散液A2を得た。重合体一次粒子分散液A2の平均粒径(Mv)は290nmであり、固形分濃度は19.0質量%であった。
攪拌機(プロペラ翼)を備えた容器に、トルエン抽出液の紫外線吸光度が0.02であり、真密度が1.8g/cm3のファーネス法で製造されたカーボンブラック(三菱化学社製、三菱カーボンブラックMA100S)20部、20%DBS水溶液1部、非イオン界面活性剤(花王社製、エマルゲン120)4部、電気伝導度が2μS/cmのイオン交換水75部を加えて予備分散して顔料プレミックス液を得た。ナノトラックで測定した顔料プレミックス後の分散液中カーボンブラックの平均粒径(Mv)は90μmであった。
上記顔料プレミックス液を原料スラリーとして湿式ビーズミルに供給し、ワンパス分散
を行い、黒色の着色剤分散体Aを得た。着色剤分散体Aをナノトラックで測定した平均粒径(Mv)は150nmであり、固形分濃度は24.2質量%であった。
下記の各成分を用いて、以下の凝集工程(コア材凝集工程・シェル被覆工程)・熟成工程・洗浄工程・乾燥工程を実施することによりトナー母粒子Aを製造した。
重合体一次粒子分散液A1 固形分として95部
重合体一次粒子分散液A2 固形分として5部
着色剤分散液A 着色剤固形分として6部
20%DBS水溶液 コア材凝集工程では、固形分として0.2部
20%DBS水溶液 円形化工程では、固形分として6部
本工程に用いる装置は、ジャケット付き反応容器であり、反応容器の接液部がステンレス(SUS316L)と厚さ15mmの鉄(SM400B)を貼り合わせた部材で、ステンレス面を内側にした反応容器を用いた。本装置を図1に示す。図1において、ジャケット(9)付き反応容器(11)を用い、攪拌手段(10)を備えている。減圧下で高圧蒸気が、調節弁(3)を通り、ジャケットに供給されることで反応容器内の反応液(12)を加熱する。調節弁は、温度計(6,7)で測定された温度より蒸気量をコントロールしている。また、減圧下で水溶液を気化し、ジャケット内にスプレー(5)から供給することで、反応液を冷却する。反応容器の伝熱面積/体積は3.32(1/m)、(反応容器の肉厚)/(反応容器材質の熱伝導率)が3.8×10−4m2℃/W、総括伝熱係数は5
22W/m2℃である。
その後、液温55℃のまま、重合体一次粒子分散液A2を添加してそのまま60分保持した。
○熟成工程
続いて、20%DBS水溶液(固形分として6部)を添加し、その後30分かけて81℃に昇温して、平均円形度が0.943になるまで、攪拌を続けた。その後30℃まで冷却し、トナー母粒子分散液Aを得た。
さを評価すると、Dv/Dn=1.08とシャープな分布であった。また、円形度は0.
96、ピーク分子量(Mp)は4.4万であった。
また、トナー母粒子分散液Aを除去した後の反応容器内面を観察したところ、付着物が殆どないことが確認された。
得られたトナー母粒子分散液Aを抜き出し、ろ紙を用いてアスピレーターにより吸引ろ過をした。ろ紙上に残ったケーキを、攪拌機(プロペラ翼)を備えた容器に移し、電気伝導度が1μS/cmのイオン交換水を加え50rpmで攪拌する事により均一に分散させ、その後30分間攪拌したままとした。 この工程を5回繰り返したところ、ろ液の電気
伝導度は2μS/cmとなった。
次に容器内を密閉して、1.9kg/cm2に加圧後、濾盤下にある排水コックを開き加圧下で濾過を行った。この時、容器内の攪拌翼は液面より上に移動させておき、濾過の進捗に伴いケーキ面が現れて来たら、5rpmで回転させながら攪拌翼をケーキ面に押しつけて水を押し切った。
次いで、フィルタードライヤーに予熱器で40℃に加熱したN2ガスを流入し、トナー母粒子Aを11時間乾燥した。この時のトナー母粒子Aの含水率は0.5%であった。
トナー母粒子Aの体積平均粒径は7.1μm、25μm以上の体積分率は0.01%、15μm以上の体積分率は0.04%であり、円形度が0.96であった。
トナー母粒子Aの乾燥品に、疎水化処理したシリカ(Wacker−Chemie HmbH社製、商品名「Wacker HDK H30TD」;平均粒子径0.008μm)0.1部(トナー母粒子に対し0.4部)を添加し、ヘンシェルミキサーで混合することにより静電荷像現像用トナーAを得た。
得られた静電荷像現像用トナーAの体積平均粒径は7.1μm、25μm以上の体積分率は0.02%、15μm以上の体積分率は0.04%、円形度は0.95であり、洗浄処理前とほぼ同一の粒径、粒径分布、形状であった。また、トナー粒子のガラス転移点Tgは62℃であった。
得られた静電荷像現像用トナーAについて、印刷速度200mm/s、非磁性一成分で現像ゴムローラー、金属ブレード、帯電ローラー(PCR)で帯電する有機感光体、ベルト転写、熱定着方式を用いたベルト定着機を搭載したフルカラープリンターを用い印字率5%にて連続実写試験を行った。得られた定着画像の画像濃度(ID)、トナーの帯電量、トナーの消費量を測定した。それぞれ、印刷初期及び5千枚印刷時において測定した。
また、画像を評価したところ、ブロードな粒度分布によって引き起こされる不具合(かぶり、黒芯、白芯、白スジ、トナー飛散、ぼた落ち等)は一切見られなかった。
凝集、熟成工程において、昇温し、目標反応温度に最初に到達した後の目標反応温度と
の偏差(オーバーシュート)は最大で+0.5℃であった。目標反応温度に最初に到達した後、反応液の温度が目標反応温度に対して±0.5℃になるまでに要した時間は8分であった。その後、保持した際の目標反応温度55℃からの分散液温度の振れ幅は、目標反応温度に対して、0℃〜+0.5℃であった。反応液の温度変化を図3に示す。
また、トナー母粒子分散液の体積平均粒径は7.1μm、25μm以上の体積分率は0.01%、15μm以上の体積分率は0.05%であった。体積平均粒径Dv÷個数平均粒径(Dn)で粒度分布のシャープさを評価すると、Dv/Dn=1.09であった。
初期のIDは1.6、帯電量はー14.5μC/g、トナー消費量は27g、5千枚印刷後におけるIDは1.5、帯電量はー13.2μC/m、トナー消費量は30gであり、1万枚後も安定した特性、良好な画質が形成された。
また、画像を評価したところ、ブロードな粒度分布によって引き起こされる不具合(かぶり、黒芯、白芯、白スジ、トナー飛散、ぼた落ち等)は一切見られなかった。
凝集、熟成工程において、昇温し、目標反応温度に最初に到達した後の目標反応温度との偏差(オーバーシュート)は最大で+0.3℃であった。目標反応温度に最初に到達した後、反応液の温度が目標反応温度に対して±0.5℃になるまでに要した時間は5分であった。その後、保持した際の目標反応温度55℃からの分散液温度の振れ幅は、目標反応温度に対して−0.3℃〜+0℃であった。反応液の温度変化を図4に示す。
また、トナー母粒子分散液の体積平均粒径は7.2μm、25μm以上の体積分率は0.03%、15μm以上の体積分率は0.05%であった。体積平均粒径(Dv)÷個数平均粒径(Dn)で粒度分布のシャープさを評価すると、Dv/Dn=1.09であった
。
初期のIDは1.6、帯電量は−15.0μC/g、トナー消費量は26g、5千枚印刷後におけるIDは1.5、帯電量はー13.7μC/m、トナー消費量は29gであり、1万枚後も安定した特性、良好な画質が形成された。
また、画像を評価したところ、ブロードな粒度分布によって引き起こされる不具合(かぶり、黒芯、白芯、白スジ、トナー飛散、ぼた落ち等)は一切見られなかった。
反応容器の材質をステンレス(SUS316L)のみとし,実施例1の反応容器と同じ強度を持たせる為厚さは25mmとし、加熱源に温水、冷却源には冷水を用いた以外は実施例1と同様にして静電荷像現像用トナーを得た。
反応容器の熱伝熱面積/体積は3.32(1/m)、(反応容器の肉厚)/(反応容器材質の熱伝導率)が15.3×10−4m2℃/W、総括伝熱係数は130W/m2℃である。
の偏差(オーバーシュート)は最大で+3℃であった。目標反応温度に最初に到達した後、反応液の温度が目標反応温度に対して±0.5℃に安定せず、±1℃に安定するまでに要した時間は30分であった。その後、保持した際の目標反応温度55℃からの分散液温度の振れ幅は、目標反応温度に対して−1℃〜+1℃であった。反応液の温度変化を図5に示す。
また、トナー母粒子分散液の体積平均粒径は7.1μm、25μm以上の体積分率は1.5%、15μm以上の体積分率は0.25%であった。体積平均粒径(Dv)÷個数平均粒径(Dn)で粒度分布のシャープさを評価すると、Dv/Dn=・BR>P.21であっ
た。
初期のIDは1.4、帯電量は−13.1μC/g、トナー消費量は35g、5千枚印刷後におけるIDは1.3、帯電量はー11.7μC/m、トナー消費量は39.2gであった。
また、実施例1と同様の方法で実写試験を行ったところ、粗粒群が原因と思われる黒芯、白芯、白スジ、トナー飛散等の不具合が見られた。
2 ポンプ
3 調節弁
4 ラインミキサー
5 スプレー
6 温度計(ジャケット)
7 温度計(反応液)
8 冷却水タンク
9 ジャケット
10 攪拌翼
11 反応容器
12 反応液
Claims (2)
- ジャケット付き反応容器を用い、該反応容器が攪拌手段を備え、
該反応容器の伝熱面積/該反応容器の体積が3.32(1/m)以下であり、
該反応容器がジャケット内に減圧下で高圧水蒸気を供給することにより加熱される手段及び/又はジャケット内に減圧下で水を供給することにより冷却される手段とを備え、
且つ該反応容器の総括伝熱係数が300W/(m 2 ・℃)以上であり、
且つ該反応容器の肉厚/反応容器材質の熱伝導率が8×10−4 m 2 ・℃/W以下であ
ることを特徴とする装置。 - 請求項1に記載の装置で製造されることを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
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