JP4085493B2 - 高品質焼結鉱の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
最近、高炉の操業においては、溶銑の製造コストを削減するために、高価なコークス使用量を減らして微粉炭を高炉に吹き込む技術や、次工程の製鋼工程での精錬負荷を減らして溶鋼の製造コストを削減するために、高炉原料である焼結鉱の品質向上技術に対する要請が強い。この発明は、焼結鉱の品質向上を図ると共に、焼結鉱の製造コスト低減に寄与し得る、高品質焼結鉱の製造技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
焼結鉱の品質特性の内、重要なものとして高炉内における還元性、還元粉化性及び強度がある。焼結鉱は通常次の工程で製造される。先ず、本船から荷揚げされた鉄鉱石を銘柄ごとに粉鉱ヤードに山積みする。この後、山積みされた各種粉鉱石、含CaO副原料、含SiO2 副原料、ダスト及び炭材等を予め設定している割合でベッディング法により混合し、ブレンディング粉とする。このブレンディング粉、石灰石及び/又は生石灰、珪石及び/又は蛇紋岩、粉コークス及び/又は無煙炭、並びに返し鉱と、場合によっては、更に単味の鉱石等の各原料をそれぞれ別の配合槽に入れ、それぞれの配合槽から各原料を所定量連続的に切り出す。そして切り出された原料に適量の水分を添加して混合、造粒する。このようにして造粒された擬似粒子形態の焼結原料をホッパーより無端移動グレート式焼結機(ドワイトロイド式焼結機)のパレット上に連続的に500〜700mm程度の高さの層厚さに供給する。次いで点火炉にて表層部中の炭材に点火し、下方に向けて強制的に空気を吸引しながら炭材を燃焼させて、この時発生する燃焼熱によって配合原料を焼結、塊成化する。こうして焼成された焼結ケーキを冷却後、破砕し、整粒して3〜5mm以上の粒子を成品焼結鉱として高炉に装入する。破砕・整粒過程で発生した3〜5mm以下の粉焼結鉱は、返し鉱として再度焼結鉱原料として使用される。
【0003】
上述した通り製造された焼結鉱の品質特性としては、冷間強度、還元性及び還元粉化性等があり、これらが高炉の安定且つ高効率操業に大きく影響する。従って、上記これら品質特性は特に厳しく管理されている。一方、焼結鉱の製造コスト面からは、炭材、ガス、電力等の消費エネルギー原単位が低く、且つ高生産率、高歩留が要請される。更に最近では、環境対策及び省エネルギーへの対応から、高炉発生の副産物であるスラグを極力低減することに対する要請が強くなってきた。上記背景から、焼結鉱の品質や、生産率及び歩留向上に関する技術が多数提案されている。一般に、焼結鉱の還元性や高温性状を改善する方法としては、焼結鉱中のスラグ量、従ってSiO2 含有率を低減することが効果的であることが知られている。但し、冷間強度、歩留及び還元粉化性は悪化するという、互いに相反する関係にあり、両者を改善するためには多くの困難を伴う。
【0004】
上記焼結鉱は高炉操業における主原料として使用され、溶銑が製造される。高炉による溶銑の製造においては、炉頂から鉄原料である鉄鉱石( 焼結鉱を主体とする) 、燃料であるコークス、及び副原料である石灰石等を装入し、炉下部羽口から熱風を吹き込んでコークスを燃焼させ、生成したCO主体の還元性ガスと熱エネルギーとにより鉄鉱石を還元する。こうして鉄鉱石中の鉄分は溶銑の主成分となり、一方、鉄鉱石中の脈石やコークス中の灰分は石灰石等と共にスラグとなり、いずれも炉下部の出銑口から定期的に排出される。このように、高炉の炉内においては、原料と還元性ガスとの高温反応プロセスにより溶銑を製造する。このような高炉の操業においては、主要な操業特性が良好な状態に維持された定常状態を継続すること、即ち、高炉の安定操業が望まれる。ここで、主要な操業特性を良好な状態に至らしめるためには、良好な炉熱制御と炉内の通気性及び通液性の確保が必要である。そして、この炉内の通気性及び通液性を良好な状態で維持し、高生産率を維持していくためには、炉内装入物の物質収支バランス及び炉内熱収支バランスを保つことに加えて更に、焼結鉱が特に高還元性及び低還元粉化性を備えていることが重要である。
【0005】
高還元性焼結鉱及び低還元粉化性焼結鉱の従来の製造技術はそれぞれ次の通りであり、従来技術によれば、両特性を同時に満足することは下記の通り理論的に不可能である。
【0006】
(1)高還元性焼結鉱の従来製造技術
従来、高還元性焼結鉱は、成品焼結鉱中のシリカ含有率を通常5%以下になるように原料を配合し、そしてコークス比を通常43kg/t−焼結鉱以下という原燃料条件で製造することにより目的の焼結鉱を得る。この場合、高還元性の焼結鉱とするために、成品中のマグネタイト含有率を減らすことを意図し、FeO含有率を7%以下にする。このように、難還元性であるマグネタイト含有率を減らす結果、ヘマタイト含有率が上昇する。ところがヘマタイトは、高炉内において500〜600℃の温度範囲において還元されてマグネタイトに変化する際結晶構造が変化するが、この変化に際し発生する応力歪みにより結晶が崩壊し、いわゆる鉱石の還元崩壊が生じて高炉内における通気性を悪くする。このように、成品焼結鉱の高炉内における高還元性を得るために、難還元性であるマグネタイトを減らしてヘマタイトにすると、その焼結鉱は高炉内において還元粉化が進行する方向に向かい、高炉内通気性を悪化させて、高炉操業を不安定にさせる。従って、このような焼結鉱を大量に使用する高炉操業の場合、焼結鉱中のスラグ量が少ないので高炉下部での通気性・通液性は良好であるから、高微粉炭吹込み操業には適し、また、高被還元性ゆえに残留FeOを介する低融点スラグの生成が抑制され、その結果、高炉融着帯の幅とレベルとが低下するから、低シリコン操業にも適する。しかしながら、高炉における低燃料比操業を行なおうとしても、500〜600℃の高炉内低温領域の拡大により還元粉化性が一層悪化して高炉の通気性が確保されず、安定操業が著しく困難となる。
【0007】
(2)低還元粉化性焼結鉱の従来製造技術
これに対して、高炉内において焼結鉱が還元粉化し難いものの従来製造方法は次の通りである。従来、低還元粉化性焼結鉱は上述した高還元性焼結鉱とは反対に、成品焼結鉱中のシリカ含有率を通常5%以上になるように原料を配合し、そしてコークス比を通常43kg/t−焼結鉱以上という原燃料条件で製造することにより目的の焼結鉱を得る。この場合、低還元粉化性の焼結鉱とするために、成品中のマグネタイト含有率を増やすことにより、ヘマタイトからマグネタイトへの結晶構造変化による応力歪みを緩和し、且つ焼結鉱組織を緻密な溶融組織に形成させて低還元粉化性を確保しようとしている。ところが、このように、焼結鉱成品中のシリカ含有率を増やし、緻密な組織にし、マグネタイト含有率を増やすことにより、高炉内における焼結鉱の還元粉化は抑制されるが、還元性については逆に、焼結鉱組織が緻密な溶融組織となっているので低下する。従って、このような焼結鉱を大量に使用する高炉操業の場合には、高炉シャフト部での通気性は改善されるが、焼結鉱の還元性は悪化し、また焼結鉱中の生成スラグ量の増加により、高炉下部での通気性及び通液性は悪化する。その結果、高微粉炭吹込み操業は不安定になる。また、低融点スラグ生成により融着帯レベルが上がり、低シリコン操業も不安定になる。こうして、現在安定操業技術の確立が強く要請されている高微粉炭吹込み操業と低シリコン溶銑操業を安定して継続することが極めて困難となる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来の焼結鉱製造技術では、高還元性と低還元粉化性とが両立した焼結鉱を製造することは理論的に不可能である。そこで、本発明者等は、高還元性と低還元粉化性とを両立させるために焼結鉱が備えるべき新しい条件について検討した。その結果、
▲1▼ 焼結鉱は高還元性を維持するために、焼結鉱組織としてミクロポアが組織全域に分散分布するものであって、構成鉱物が拡散型ヘマタイト、拡散型マグネタイト及びカルシウムフェライトを主体とするものであること、そして、焼結鉱中スラグ成分量は焼結鉱組織の強度維持に必要且つ十分な範囲内に留められているものであることが必要であり、そして、
▲2▼ 上記▲1▼項の焼結鉱組織が形成され且つスラグ成分を有し、所期目的が達成され得る焼結鉱を製造するための原燃料条件及び製造プロセス条件を確立することが必要であるとの着想を得た。
【0009】
この発明は上記課題を解決することにより、高還元性及び低還元粉化性を同時に備えた焼結鉱の製造技術を開発し、これを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上述した観点から、高品質焼結鉱の製造技術を開発すべく鋭意研究を重ねた。一般に、高還元性( 高RI) 且つ低還元粉化性(低RDI)の焼結鉱を得るためには、組織中のマグネタイトの量と形態の制御が重要である。通常の焼結鉱製造プロセスでは、粉コークスの燃焼熱によって組織形成が行なわれる。この際、焼結鉱原料中のスラグ成分及び粉コークスの含有率が通常水準よりも高い場合には、焼結鉱組織中には緻密スラグ相が形成され、更に、還元粉化性は良好であるが還元性に劣る特性を有するマグネタイト相の生成割合が必然的に多くなる。従って、高RIの達成は不可能となる。
【0011】
そこで、本発明者等は従来の焼結鉱製造プロセスの考え方を抜本的に見直した。そして、前述した高RI焼結鉱製造時の原燃料条件を前提としながらも、ここで生成したヘマタイトを、それが有する多孔質形態を保持させたまま焼結機上でマグネタイトまで還元するというマグネタイトの形態制御をすることにより、高RI且つ低RDIの焼結鉱製造方法を着想した。即ち、高RI焼結鉱製造時の原燃料条件で焼結を行ない、グレート前半領域においては酸素富化空気の供給による高酸素ポテンシャル雰囲気での焼結を行なわせ、これに対してグレート後半領域においては酸素ポテンシャルの低い雰囲気で焼結を行なわせる。このような方法により、グレート前半領域で生成したヘマタイトをグレート後半領域でマグネタイトに還元し、多孔質を保持させたマグネタイトを得ることにより、高RIを維持しつつその鉱物組織は還元粉化を伴わないマグネタイトに変態させることが可能である。
【0012】
この発明は、上述した知見に基づきなされたものであって、請求項1記載の高品質焼結鉱の製造方法は、焼結原料中のSiO2含有率を5mass%以下とし、粉コークス比を43kg/t以下として、グレート式塊成鉱製造設備を用い、グレート前半領域に平均酸素含有率が25〜50vol%の範囲内の酸素富化空気を吹き込み、グレート前半領域においては、高RI焼結鉱の製造条件設定によりマグネタイトを減らしてヘマタイトを増やす反応を進行させ、グレート後半領域に前記塊成鉱製造設備から発生する循環排ガスのうち、平均酸素含有率が13〜18vol%の範囲内の循環排ガスを吹き込み、グレート後半領域においては、前記へマタイトをマグネタイトに還元することにより、還元率RIが70%超え、還元粉化率RDIが40%未満である焼結鉱を製造することに特徴を有するものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
次に、この発明を、図面を参照しながら説明する。
図1は、この発明の一つの実施態様を説明する無端移動床型焼結機の概略構成図である。図1において、10は無端移動床型焼結機本体(以下、「焼結機本体」という)であり無端移動床型火格子(グレートという)11とウィンドボックス12とからなっている。焼結原料供給槽1からグレート11へ装入された粉状の焼結原料7は、点火炉2で着火された後、上方の酸素富化空気供給フード8および循環排ガス吹込みフード9から供給されるガス、並びにこれらフードから漏引された空気の各ガス中酸素により焼結原料中の粉コークスが燃焼して焼結が進行する。一方、焼結原料層から発生する排ガスが下部のウィンドボックス12により下方に吸引・排風される。そして焼成が完了したケーキ状焼結鉱7’は破砕され、篩にかけられて成品焼結鉱が製造される。なお、グレート11を図1に示すように、原料装入側から排鉱側に向かって順に原料装入領域13、点火領域14、前半領域15及び後半領域16に区分する。
【0015】
上記焼結鉱の製造工程において焼結鉱の原燃料、即ち鉱石等の主原料、粉コークス等の炭材、並びにSiO2 含有物質やCaO含有物質等の副原料の配合割合を、高RI焼結鉱の製造条件に調整する。高RI焼結鉱の原燃料条件としては、成品中SiO2 含有率が5.0mass%以下となるように、そして粉コークス比を43kg/t以下にするのが望ましい。グレート前半領域15に供給する酸素富化空気中の酸素含有率は、21vol%超えであって50vol%以下にし、生産率を特別に上げる必要がない場合は通常30vol%以下に設定して、安定操業するのが望ましい。なお、所要生産率に応じて上記範囲内で酸素富化率を上げる。このように前半領域においては酸素ポテンシャルの高い空気を供給するのに対して、グレート後半領域16に供給するガスとしては、酸素ポテンシャルの低いガスに制限する必要がある。そこで、ウィンドボックス12から吸引された焼結機の循環排ガスを活用するのが望ましい。後半領域16に供給する循環排ガス中の酸素含有率は、13vol%から20vol%の範囲内にし、通常の生産率での焼結機操業では、その酸素含有率は18vol%以下に制限するのが安定操業上望ましい。この場合、どのグレート領域からの循環排ガスをグレート後半領域に供給するかについては、後半領域に供給されるガス中の平均酸素濃度が上記濃度を満たすように調整すればよく、特に制限しない。
【0016】
この発明におけるグレート前半領域及び後半領域の定義について、焼結原料層内において上述した焼結反応が行なわれる条件下にあることが必要であり、この観点からグレート前半領域としては、点火領域14を除く有効焼成グレート領域の前部0〜10%から0〜60%までの範囲内が適している。そして、後半領域とは上記前半領域を差し引いた残部グレート領域である。
【0017】
次に、焼結原料層へ供給するガス中酸素含有率を上述した条件にするのは、グレート前半領域においては、高RI焼結鉱の製造条件設定によりマグネタイト量を減らしてヘマタイト量を増やす反応を進行させ、グレート後半領域においては、このヘマタイトをマグネタイトに還元するためである。この還元によっても、ヘマタイトのミクロポアは消滅することなくマグネタイトに引き継がれて保持される。このマグネタイトはミクロポアを有するので、還元性が良好であり、また、500〜600℃におけるヘマタイトからマグネタイトへの変態が起こらないので、還元粉化が発生しない。この還元粉化を発生させない効果を上記マグネタイトに果たさせることにより、焼結原料中のSiO2含有率を5mass%以下に制限したための低スラグ含有率による焼結鉱の還元粉化を補償している。
【0018】
この発明の重要な特徴は、高還元性焼結鉱を製造する場合の原燃料条件で焼結工程の前半を処理されて生成した多孔質ヘマタイトを、焼結工程の後半においてその所要割合だけを低酸素ポテンシャルガスの燃焼下で還元して、多孔質マグネタイトを生成させる点にある。この発明の条件を満たして製造された焼結鉱は、焼結鉱組織としてミクロポアが組織全域に分散分布するものであって、構成鉱物が拡散型ヘマタイト、拡散型マグネタイト及びカルシウムフェライトを主体とするものが得られ、焼結鉱組織のマグネタイトの量と形態が制御される。即ち、焼結鉱の構成鉱物成分が拡散型ヘマタイト、拡散型マグネタイト及びカルシウムフェライトを主体とし、その組成として、拡散型ヘマタイト:40〜60%、拡散型マグネタイト:10〜30%そしてカルシウムフェライト(CaO・2Fe2 O3 ):20〜40%であって、スラグ:3〜10%の範囲内にあることが望ましい。ここで、高炉内における焼結鉱中の拡散型ヘマタイト及び拡散型マグネタイトの作用・効果は既述の通りであり、またカルシウムフェライトは、600℃以下の低温域での還元は進行しないため、還元粉化を抑制する効果を発揮する。
【0019】
こうして製造された焼結鉱は、高還元性と低還元粉化性の両方に優れ、冷間強度にも優れた焼結鉱が得られる。即ち、還元率RIが70%超え、還元粉化率RDIが40%未満、且つ冷間強度TI+10mm が67%以上となる良好な品質水準を備えたものとなる。還元率RIが70%を超えると、未還元状態で高炉の下部へくることがなくなるので還元負荷が軽減され、還元粉化率RDIが40%未満であると、特に高炉炉頂部低温域での還元粉化が少なく、高炉シャフト部での通気性が良好であるから、安定した高炉操業が行なわれる。また、このように上記品質を有する焼結鉱を用いることは、高炉操業の安定化を図ることに寄与する。冷間強度TI+10mm が67%を超えると、焼結鉱搬送過程での崩壊がなく歩留りがよく、また高炉炉頂から落下装入した場合にも崩壊しないので高炉操業が安定する。高炉原料としてこのように高品質焼結鉱を使用することにより、高微粉炭吹込み操業、低シリコン溶銑操業及び低燃料比操業を安定して行なうことができる。
【0020】
【実施例】
次に、この発明を実施例によって更に詳細に説明する。
図1 に示した焼結鉱製造設備を用い、本発明範囲内の製造方法により高品質焼結鉱を製造した。また比較例として、従来技術による高RI焼結鉱及び低RDI焼結鉱の製造条件によりそれぞれ焼結鉱を製造した。グレート面積450m2 の焼結機で生産率1.65〜1.98t/m2 ・hの試験操業を行なった。表1 に試験条件の概要を示し、表2にその結果を示す。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】
実施例の試験操業条件は、原燃料配合割合その他の原燃料条件を、従来技術の低シリカ・低コークス比焼結鉱の製造条件に準じるものとし、点火領域以後のグレートの入側0〜25%の前半領域に酸素含有率25〜30%の範囲内の酸素富化空気を供給し、一方、残部グレートの75〜100%の後半領域に平均酸素含有率17〜20%の範囲内の循環排ガスを供給した。これに対して、従来技術による比較例1及び2においては、常法に従い、グレート後半領域への供給ガス中酸素含有率が21.0%の空気を供給した。
【0024】
得られた焼結鉱成品の諸特性は次の通りである。
実施例:実施例では焼結鉱のSiO2 含有率は低く、塩基度も所定値であり、目標通りのスラグ成分のものが得られた。焼結鉱の鉱物組織及び粒子表面に開口しているミクロポアを画像処理で分析した。その結果、実施例においては、マグネタイト相が比較例1の高RI焼結鉱の4.3%から17.9%まで大幅に増加している。但し、ミクロポアの分布量は比較例1 と同じ水準に保持されている。一方、上記マグネタイト相の増加に伴い実施例のヘマタイト相は、58.9%に大幅に減少して、比較例2の低RDI焼結鉱の63.1%よりも更に小さくなっている。
そして、カルシウムフェライト相は高水準に維持されている。更に、実施例においてはスラグ量は比較例1の高RI焼結鉱と同じ低水準を維持している。
【0025】
以上より、高RIを達成するための条件を比較例1の高RI焼結鉱の特性を基準にして検討すると、実施例においては、SiO2 含有率が低く、スラグ量が少なく維持されていること、及び多孔質に変化したことが有利な条件になっている。しかしながら、マグネタイト相が増加したことは不利な条件になっている。従って、多孔質への変化による向上度とマグネタイト相の増加による劣化度との総合的影響により実施例焼結鉱の還元性の水準がきまる。JIS−RI値の測定結果によれば、実施例では比較例1 と同水準の高RI焼結鉱が得られていることがわかる。
【0026】
同様に、実施例における低RDIを達成するための条件を比較例2の低RDI焼結鉱の特性を基準にして検討すると、スラグ量が減少したしたことは不利な条件になっている。しかしながら、マグネタイト相が増加したことは有利な条件になっている。従って、スラグ量減少による劣化度とマグネタイト相増加による向上度との総合的影響により、実施例焼結鉱の還元粉化性の水準がきまる。所定RDI値の測定結果によれば、実施例では比較例2と同水準の低RDI焼結鉱が得られていることがわかる。
【0027】
また、実施例の焼結鉱は上記成分組成、及び鉱物組織等の性状を備えているので、冷間強度TI+10mm も従来の高品質焼結鉱の水準を維持している。
上述した通り、本発明の方法により製造された本発明焼結鉱の最大の特徴は、鉱物組織中のマグネタイトの量とその形態が適切に制御されていることにあり、その結果、本発明の所期目標が達成されている。
【0028】
比較例:これに対して、従来技術の方法により製造された本発明範囲外の焼結鉱においては、比較例1では還元性に重点をおいた従来の高品質焼結鉱が得られ、また、比較例2では還元粉化性に重点をおいた従来の高品質焼結鉱が得られているが、還元性と還元粉化性の両方が十分に満たされる焼結鉱は得られなかった。
【0029】
次に、上述した実施例により製造された高品質焼結鉱を実高炉における製鉄原料として溶銑製造の操業試験を行なった。その結果、下記事項が確認された。即ち、高微粉炭吹込み操業、低シリコン溶銑製造操業、及び低燃料比操業が長期間にわたり安定して行なわれることがわかった。
【0030】
【発明の効果】
以上述べたように、この発明によれば、従来達成することが不可能であった高RI且つ低RDI焼結鉱を低コストで製造することが可能であり、またその結果、高炉操業において高微粉炭吹込み操業、低シリコン溶銑製造操業、及び低燃料比操業の安定操業が可能である高炉装入用原料である、高品質焼結鉱の製造方法を提供することができ、工業上有用な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の高品質焼結鉱を製造する実施態様例を説明する無端移動床型焼結機の構成図である。
【符号の説明】
1 焼結原料供給槽
2 点火炉
3 酸素富化空気ライン
4 排ガス循環ライン
5 送風機
6 集塵機
7 焼結原料
7’ ケーキ状焼結鉱
8 酸素富化空気供給フード
9 循環排ガス吹込みフード
10 焼結機本体
11 グレート
12 ウィンドボックス
13 原料装入領域
14 点火領域
15 前半領域
16 後半領域
17 煙突
18 主排風機
Claims (1)
- 焼結原料中のSiO2含有率を5mass%以下とし、粉コークス比を43kg/t以下として、グレート式塊成鉱製造設備を用い、グレート前半領域に平均酸素含有率が25〜50vol%の範囲内の酸素富化空気を吹き込み、グレート前半領域においては、高RI焼結鉱の製造条件設定によりマグネタイトを減らしてヘマタイトを増やす反応を進行させ、グレート後半領域に前記塊成鉱製造設備から発生する循環排ガスのうち、平均酸素含有率が13〜18vol%の範囲内の循環排ガスを吹き込み、グレート後半領域においては、前記へマタイトをマグネタイトに還元することにより、還元率RIが70%超え、還元粉化率RDIが40%未満である焼結鉱を製造することを特徴とする高品質焼結鉱の製造方法。
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