JP3879408B2 - 焼結鉱の製造方法および焼結鉱 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高炉原料として使用される焼結鉱の製造方法およびそれによって得られる焼結鉱に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から高炉原料として、焼結原料である粉鉄鉱石、媒溶材、および粉炭材等を混合し、造粒した後、焼結することにより得られる焼結鉱が用いられている。
【0003】
このような焼結鉱に関して、従来、原料配合や造粒工程を調整して通気性を改善することや、擬似粒子の表面に粉コークスを付着させて燃焼性を良好にすること、配合原料や擬似粒子の構造を調整して燃料効率を高めること等、種々の試みがなされている。
【0004】
特に、高炉燃料比低減等の高炉操業の改善を考慮して、高炉の還元の機能を一部系外に求めた部分還元焼結鉱が注目されている。例えば、特開平4−210432号公報には、粉鉱石に粉コークス・無煙炭を配合造粒して内層とし、また、粉鉱石、副原料および粉炭材・無煙炭を混合コーティングして外層として2層構造の擬似粒子を形成し、この擬似粒子を焼結原料の一部として混合・造粒したのち焼結機で焼結して焼結鉱を製造する技術が開示されており、この焼結過程で擬似粒子の外層から生成する融液と内層の粉炭材や無煙炭中の固形炭素との直接還元により焼結鉱の一部が還元される。
【0005】
しかしながら、このような部分還元焼結鉱においては、より高い還元率および金属化率を効率良く得ることが望ましいが、この公報に記載された半還元焼結鉱の製造方法では、外層に燃料用の粉コークス・無煙炭を配合する際に、燃料の粉コークス・無煙炭が粉鉱石や副原料と混合した状態で配合されるため、燃焼性が悪く、その結果高い還元率および金属化率を得難く、生産性も悪い。
【0006】
これに対して、特開2000−192153号公報には、核、内層、最外層の3層構造からなる擬似粒子において、燃料である微粉コークスを最外層に配合することで粉コークスの燃焼効率を高め、核として配合される粗粒粉コークスとの量比を適切に定める焼結鉱の製造方法が示されており、これにより到達還元率の制御性が格段に高まり、20〜90%の間の任意の還元率に制御することができると記載されている。
【0007】
しかしながら、この公報に記載された技術では、擬似粒子の還元効率が十分とはいえず、高い還元率および金属化率を得るためには、コークス等の炭材の量を多くする必要があり、焼結機の炭材原単位が高くなってしまう。また、生産性も十分とはいえない。
【0008】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、低い炭材原単位で高い還元率および金属化率の焼結鉱を得ることができ、しかも生産性が高い焼結鉱の製造方法および焼結鉱を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、焼結原料に対して、媒溶材と粒子径が実質的に3mm未満に調整された炭材とを混合して造粒する一次造粒工程と、前記一次造粒工程で得られた造粒物の外側に粉状の炭材を被覆して擬似粒子とする二次造粒工程と、該擬似粒子を無端移動グレート式焼結機で焼成して粉鉄鉱石が部分的に予備還元された焼結鉱を得る工程とを具備することを特徴とする焼結鉱の製造方法を提供する。
【0010】
また、焼結原料に対して、媒溶材と粒子径が実質的に3mm未満に調整された炭材とを混合して造粒する一次造粒工程と、前記一次造粒工程で得られた造粒物の外側に粉状の炭材を被覆して擬似粒子とする二次造粒工程と、該擬似粒子を無端移動グレート式焼結機で焼成して粉鉄鉱石を部分的に予備還元された焼結鉱を得る工程とによって製造された焼結鉱を提供する。
【0011】
本発明によれば、一次造粒工程において粉鉄鉱石を主体とする焼結原料に媒溶材と粒子径が実質的に3mm未満に調整されたコークス等の炭材とを混合して造粒し、その外側に粉炭材を被覆して2層構造の擬似粒子を形成し、内層の炭材により主に還元を行い、外層の炭材により主に焼結を行うが、主に還元に用いられる内層の炭材として3mm未満と細かいものを用い擬似粒子内に均一に分散させるため、焼結原料との反応性が高く、少ない炭材原単位で高い還元率(予備還元率)および金属化率を得ることができる。また、このように炭材原単位を少なくすることができるので炭材の反応時間は短縮され生産性が高い。
【0012】
上記焼結鉱の製造方法において、無端移動グレート式焼結機で擬似粒子を焼成する工程は、擬似粒子のベッド層の層厚を200mm以下にして行うことが好ましい。このようにベッド層の層厚を従来よりも薄くすることにより、ベッドの通気性が良くなり、一層生産性を向上させることができる。
【0013】
また、無端移動グレート式焼結機で擬似粒子を焼成する工程は、焼結の際に排出される排ガスを循環させながら行うことが好ましい。このように排ガスを循環させることにより系内の酸素分圧を下げることができ、生成還元組織の再酸化を抑制して焼結および還元を進行させることができ、一層生産性を向上させることができる。
【0014】
さらに、前記無端移動グレート式焼結機で擬似粒子を焼成する工程は、焼結鉱の平均還元率が30%以上になるように行われることが好ましい。このように高い還元率を達成することにより、高炉における燃料比を実質的に低下させることができるとともに、高炉よりも還元効率の高い焼結機で鉄鉱石の還元の一部を行うためトータル的なCO2発生量を低減することが可能となる。また、焼結鉱の平均金属化率が6%以上となるように行われることが好ましい。同じ平均還元率でも部分的に金属化しているほうが高炉において還元平衡の観点から燃料比を低下させやすく、平均金属化率が6%以上で燃料比低下効果が特に大きくなる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について具体的に説明する。
図1は、本発明の方法を実施するための設備の一例を示す概略構成図である。この設備は、擬似粒子製造設備100と、下方吸引式無端移動型焼結機200とを備えている。
【0016】
擬似粒子製造設備100は、粉鉄鉱石を貯留する粉鉄鉱石ホッパ1と、返鉱を貯留する返鉱ホッパ2と、媒溶剤を貯留する媒溶剤ホッパ3と、内層用の粉コークスを貯留する内層用粉コークスホッパ4と、一次ドラムミキサ5と、ディスクペレタイザ6と、外層用の粉コークスを貯留する外層用粉コークスホッパ7と、二次ドラムミキサ8とを備えている。なお、粉鉄鉱石ホッパ1から供給される粉鉄鉱石と返鉱ホッパ2から供給される返鉱が焼結原料を構成する。
【0017】
下方吸引式無端移動型焼結機200は、無端移動式の移動グレート11を有しており、その移動グレート11上に、装入システム10により上記擬似粒子が供給され、層状のベッド13aが形成されるようになっている。
【0018】
移動グレート11の移動経路には点火炉12が設けられており、移動グレート11上の擬似粒子がその点火炉12を通過する際に点火されてベッド13aの焼結が開始され、焼結ベッド13bが形成される。移動グレート11の出口側には、図示しない塊砕機が設けられており、この塊砕機により移動グレート11から落下した焼結鉱が粉砕されてコンベア14に供給され、高炉へ供給される。
【0019】
移動グレート11の直下には、移動グレート11の進行方向に沿って、複数の風箱15が配列されており、各風箱15には垂直ダクト16が接続されている。これら垂直ダクト16は、水平に配置された主排ガスダクト17に接続され、排ガスが主排ガスダクト17を経て排出されるようになっている。主排ガスダクト17には排ガス循環路18が設けられており、この排ガス循環路18は焼結ベッド13bの上方のガス供給部19に接続されており、焼結の際に排ガスが循環されるようになっている。排ガスは、メインブロア31により、主排ガスダクト17から電気集塵機30等を経て煙突32から排出される。
【0020】
このように構成される設備において、まず、擬似粒子製造設備100の各ホッパから焼結原料としての粉鉄鉱石および返鉱、媒溶剤ならびに粉コークスを所定量切り出し一次ドラムミキサ5に供給し、水を添加しながら混合する。つづいて、前記混合原料をディスクペレタイザ6に供給し、水を添加しながら造粒する。この時、粉コークスは粒径が3mmアンダーのものを用いる。これにより、粉鉱石中に粉コークスが分散した状態の生ペレットが形成される。次に、ディスクペレタイザ6で造粒した生ペレットを二次ドラムミキサ8に供給し、水および外層用粉コークスホッパ7から切り出した粉コークスを添加しながら混合する。この際、生ペレットの水分が高い場合には水分添加は不要となる。その結果、生ペレットの表面に粉コークスが被覆され、擬似粒子が製造される。なお、原料条件に応じ一次ドラムミキサ5で造粒が充分行われる場合は、ディスクペレタイザ6による造粒工程を省略しても良い。
【0021】
このようにして製造された擬似粒子は、図2に示すように、焼結原料21中に粒径が3mmアンダーの粉コークス22が分散した状態の内層23と粉コークスからなる外層24との2層構造を有し、粒径が2〜20mmである。
【0022】
次に、このような構造の擬似粒子を装入システム10を介して下方吸引式無端移動型焼結機200の無端移動式の移動グレート11上に供給し、擬似粒子のベッド13aを形成する。そして、点火炉12によりベッド13a表面に点火し、風箱15を介して下向きに空気を吸引しながら焼成し、焼結鉱の集合体である焼結ベッド13bを形成する。このようにして焼結された後、上述したように移動グレート11から焼結鉱が落下し、出口側の塊砕機により落下した焼結鉱が粉砕されてコンベア14に供給され、高炉へ供給される。
【0023】
このとき、ベッド13aの厚さは200mm以下とすることが好ましい。このようにベッド13aの厚さを従来よりも薄くすることにより、通気性が良好となってグレートの速度を上昇することが可能となり、生産性を向上させることができる。また、このような焼結処理の際に排ガス循環路18およびガス供給部19を介して排ガスを循環させることが好ましい。このように排ガスを循環させることにより系内の酸素分圧を下げることができ、炭材の燃焼を抑制しつつ焼結および還元を進行させることができ高還元性焼結鉱の生産性を向上させることができる。
【0024】
次に、擬似粒子の焼結および還元(予備還元)プロセスについて説明する。ここでは、擬似粒子は上述したように焼結原料21中に粉コークス22が分散した内層23と粉コークスからなる外層24との2層構造であり、このような構造のため、焼結機200中において内層23の焼結原料21中に分散した粉コークス22が主に焼結原料の還元に寄与し、外層24を構成する粉コークスが主に焼結に寄与する。すなわち、内層の粉コークスと外層の粉コークスとで機能が分離され、還元と焼結とが同時に進行する。
【0025】
本発明者等の検討結果によれば、内層23での還元反応では、気・固反応よりもむしろ固・固反応が主体となって進行し、このような場合、還元反応は粉コークス22の粒子径に依存し、粒径が小さいほど還元反応が生じやすくなることが判明した。具体的には、内層のコークスとして粒径が3mmよりも粗いコークスを使用した場合には、還元反応が抑制され、コークスが内層23内に残留するが、3mmアンダーのコークスを用いることにより、コークスがほぼ還元反応に消費された。
【0026】
このように擬似粒子として3mmアンダーの粉コークス22が分散した状態の内層23と粉コークスからなる外層24との2層構造のものを用いることにより、内層23において粉コークス22と焼結原料21との反応性が高く、少ない炭材原単位で高い還元率(予備還元率)および金属化率を得ることができる。また、このように炭材原単位を少なくすることができるので高還元性焼結鉱の生産性が高い。
【0027】
次に、このような焼結原料の還元率と高炉操業との関係について説明する。
図3は高炉内部のガス温度分布を示す図である。図3では、高炉内部のガス温度は炉頂部で約150〜200℃、羽口先で2000〜2400℃である。また、シャフト部にはいわゆる熱保存帯と称するほぼ1000℃一定の温度領域が存在する。この熱保存帯では酸化鉄はFeO〜Fe還元平衡から僅かにずれたガス組成および還元段階で存在する。
【0028】
図4の上段は高炉内ガス酸化度と酸化鉄酸化度との関係を示す図である。横軸は高炉のガスの酸化度(換言すれば、炭素原子に対する酸素原子比O/C)であり、ガスの酸化度は高炉下部でガス組成がCOのみの場合は1、ガスが酸化鉄を還元しながら上部に移行して最終的に全量CO2(+N2)となった場合は2である。この結果はガス中にH2およびH2Oが含有されても還元平衡図に多少の変化が現れる以外は基本的な考え方は同じである。一方、縦軸は鉄原子に対する酸素原子比(O/Fe)であり、最も酸化度の高いFe2O3の酸化度は1.5であり、Fe3O4では1.33、FeOでは1.05である。
【0029】
図4の下段は酸化鉄のCOによる還元平衡図である。横軸は上述と同様ガスの酸化度を表し、縦軸は還元平衡温度を表す。図3より熱保存帯の温度を1000℃とした場合、この図4の下段よりこの温度におけるFe〜FeO還元平衡時のガス酸化度(O/C)が求められる。鉱石(FeO)の酸化度が1.05であるから図4の上段のW点が求まる。
【0030】
一方、酸化度1.5の鉱石を炉頂より装入した場合、直線PT−PB(以下操作線と称す)に沿って鉱石の酸化度およびガスの酸化度が変化する。高炉の燃料比はこの直線の勾配(C/Fe)で決定される。高炉の操業が理想的に行われ、還元平衡に到達している場合には、この直線はW点に接しており燃料比は最小値をとるが、実際の高炉では酸化鉄の還元は平衡よりずれるため操作線はW点を通らず、例えばP1点を通る。ここで直線P0−Wと直線P0−P1の長さの比(P0−W)/(P0−P1)は高炉の還元平衡到達度を表し、シャフト効率と称される指数である。通常、高炉のシャフト効率は0.90〜0.95程度である。
【0031】
高炉原料として本発明の部分還元焼結鉱を使用した場合、高炉装入時の酸化鉄の酸化度は1.5より低いから、図4のPTに代わってPT″になる。これにより、ガス組成(酸化度)も低下し、その結果ガス発熱量が上昇する。ここで焼結鉱の部分還元率が30%を超える場合は、W点の縦座標は1.05より低いW′点に移行する。シャフト効率一定と仮定すると、操作線はシャフト効率(P0−P1′/P0−W′)が一定となるP1′点を通ることになり、その結果操作線の勾配は小さくなり燃料比は低下する。ただし、この場合はガスの酸化度の低下はないので高炉発生ガス発熱量は変化しないと推察される。
【0032】
すなわち、部分還元率が30%以上(FeOと一部金属鉄が存在する還元段階)では予備還元率に応じ高炉の燃料比を低減させることが可能となる。また、高炉よりも還元効率の高い焼結機において焼結鉱を部分的に還元することができ、この部分還元焼結鉱により高炉での燃料比を低減させることができるため、コークス炉、焼結機、高炉のトータル的なエネルギー消費量が削減され、以て炭酸ガス発生量を抑制することができる。このとき、平均的には同じ還元率であっても、金属化している部分が多いほど、すなわち平均金属化率が高いほど燃料比を低くすることができ、その効果は平均金属化率6%以上でより大きなものとなる。ここで、上述したように擬似粒子の内層の粉コークスの粒径を3mmアンダーと微粉にすることにより、焼結原料との反応性が高く、少ないコークス量で高い還元率と金属化率とを得ることができ、より効率的に部分還元率30%以上とすることができるため、コークスの量自体を低減させることができ、トータル的な炭酸ガス発生量をより一層少なくすることができる。
【0033】
ここで、擬似粒子の配合原料中のSiO2含有量を5mass%以下に調整することが好ましい。これは、配合原料中に5mass%を超えるSiO2が含有されていると焼成過程で多量のファイヤライトが生成するが、このファイヤライトは高炉内で1000℃以下の塊伏帯では難還元性を示して還元停滞を引き起こし、また、1000℃以上の軟化・溶融帯では多量の低融点スラグを発生して軟化・溶融帯の溶け落ち性伏を悪化させ、高炉燃料比低減の障害となるからである。
【0034】
上記媒溶剤としては、通常生石灰が望ましいが、消石灰、ベントナイトの他、微粉末スラグ、ポルトランドセメント等でもよい。外層用の粉コークスは上述したように焼結に必要な熱量を供給するためのものであり、擬似粒子表層部に均一かつ強固な被覆層を形成することが重要である。また、その量の変化が発熱量に直接反映されるため熱量コントロール性に優れる。擬似粒子への被覆効果を高めるためには、外層用の粉コークスの粒径は小さい程よく、その粒径は5mm以下が望ましく、1mm以下とすることがより望ましい。炭材として粉コークスを用いたが、無煙炭、石炭、チャー、石油コークス等でも代替が可能である。
【0035】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。
(実施例1)
焼結原料として粉鉄鉱石(−0.125mmが28.96%(平均粒径2.08mm))と返鉱(平均粒径1.4mm)を合計で92mass%、媒溶剤として石灰石4.5mass%+生石灰3.5%を用い、外層用の粉コークスとして粒径が1mmアンダーのものを用い、内層用の粉コークスとして、粒径が3mmアンダーのもの(3mmコークス)、3〜5mmのもの(5mmコークス)、5〜8mmのもの(8mmコークス)の3種類を用いた。まず、焼結原料、媒溶剤、内層用の粉コークスを混合・加湿後、1.2mの実験用ディスクペレタイザで5〜10mmφのペレットを製造し、次いでこのペレットに外層用粉コークスを所定量被覆させ、擬似粒子を製造した。
【0036】
次に、この擬似粒子を、上記無端移動グレート式焼結機を模擬した内径300mm、深さ500mmの円筒形ポットに所定量充填し、着火し焼結を行った。この際の吸引負圧は1000mmaq、焼結後半部でポット上部よりN2を吹き込み吸引酸素の濃度を15%となるように制御した。これは還元焼結鉱の再酸化を防止するためで実機では排ガス循環を模擬する。この際に、ベッド層厚に相当するポット内の原料高さを変化させた。
【0037】
焼結終了後、焼結時間、製品からの生産率、歩留まり等の一連の操業状況を評価するとともに、成品焼結ブロックを解体し各部の試料サンプリングにより還元焼結鉱の予備還元率や金属化率等の性状を評価した。
【0038】
図5は、横軸に炭材総添加量をとり、縦軸に平均予備還元率をとって、各内層用粉コークスの粒度におけるこれらの関係を示す図である。この図から、内層用粉コークスが3mmコークスの場合に炭材総添加量が11mass%で予備還元率が30%以上であるのに対し、5mmコークスおよび8mmコークスではその程度の炭材総添加量では予備還元率が30%未満であり、30%以上の予備還元率を得るためにはより多くの炭材量が必要であることがわかる。すなわち、内層用粉コークスとして3mmコークス(3mmアンダー)を用いることにより少ない炭材で効率良く30%以上の予備還元率が得られることが確認された。
【0039】
図6は、横軸に炭材総添加量をとり、縦軸に平均金属化率をとって、各内層用粉コークスの粒度におけるこれらの関係を示す図である。この図から、内層用粉コークスが3mmコークスの場合に炭材総添加量が11mass%で平均金属化率が6%以上であるのに対し、5mmコークスでは炭材総添加量が11mass%で3%未満であり、8mmコークスでは13mass%でも1%未満であり、低い金属化率しか示さないことがわかる。すなわち、内層用粉コークスとして3mmコークス(3mmアンダー)を用いることにより少ない炭材で効率良く6%以上の予備還元率が得られることが確認された。
【0040】
図7は、横軸にベッド層厚をとり、縦軸に生産率をとって、これらの関係を示す図である。この図に示すようにベッド層厚が薄くなるほど生産率が上昇し、特に200mm以下が良好であることが確認された。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、一次造粒工程において粉鉄鉱石を主体とする焼結原料に媒溶材と粒子径が実質的に3mm未満に調整されたコークス等の炭材とを混合して造粒して2層構造の擬似粒子を形成し、内層の炭材により主に還元を行い、外層の炭材により主に焼結を行うが、主に還元に用いられる内層の炭材として3mm未満と細かいものを用い擬似粒子内に均一に分散させるため焼結原料との反応性が高く、少ない炭材原単位で高い還元率および金属化率を得ることができる。また、このように炭材原単位を少なくすることができるので炭材の反応時間は短縮され生産性が高い。
【0042】
また、無端移動グレート式焼結機で擬似粒子を焼成する工程を擬似粒子のベッド層の層厚を200mm以下にして行うことにより、ベッドの通気性が良くなり、一層生産性を向上させることができる。さらに、無端移動グレート式焼結機で擬似粒子を焼成する工程を焼結の際に排出される排ガスを循環させながら行うことにより系内の酸素分圧を下げることができ、炭材の燃焼を抑制しつつ焼結および還元を進行させることができ、一層生産性を向上させることができる。
【0043】
無端移動グレート式焼結機で擬似粒子を焼成する工程を、焼結鉱の平均還元率が30%以上になるように行うことにより、高炉における燃料比を実質的に低下させることができるとともに、高炉よりも還元効率の高い焼結機で鉄鉱石の還元の一部を行うためトータル的なCO2発生量を低減することが可能となる。また、同じ平均還元率でも部分的に金属化しているほうが高炉において燃料比を低下させやすく、平均金属化率が6%以上で燃料比低下効果を特に大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法を実施するための設備の一例を示す概略構成図。
【図2】本発明の一実施形態によって得られた2層構造の擬似粒子を示す断面図。
【図3】高炉内のガス温度分布を示す図。
【図4】高炉内ガス酸化度と酸化鉄酸化度の関係、および酸化鉄の還元平衡を示す図。
【図5】各内層用粉コークスの粒度における炭材総添加量と平均予備還元率との関係を示す図。
【図6】各内層用粉コークスの粒度における炭材総添加量と平均金属化率との関係を示す図。
【図7】ベッド層厚と生産率との関係を示す図。
【符号の説明】
1……粉鉄鉱石ホッパ
2……返鉱ホッパ
3……媒溶剤ホッパ
4……内層用粉コークスホッパ
5……一次ドラムミキサ
6……ディスクペレタイザ
7……外層用粉コークスホッパ
8……二次ドラムミキサ
10……装入システム
11……移動グレート
12……点火炉
13a……ベッド
13b……焼結ベッド
18……排ガス循環路
100……擬似粒子製造設備
200……下方吸引式無端移動型焼結機
Claims (8)
- 焼結原料に対して、媒溶材と粒子径が実質的に3mm未満に調整された炭材とを混合して造粒する一次造粒工程と、前記一次造粒工程で得られた造粒物の外側に粉状の炭材を被覆して擬似粒子とする二次造粒工程と、該擬似粒子を無端移動グレート式焼結機で焼成して粉鉄鉱石が部分的に予備還元された焼結鉱を得る工程とを具備することを特徴とする焼結鉱の製造方法。
- 前記無端移動グレート式焼結機で擬似粒子を焼成する工程は、擬似粒子のベッド層の層厚を200mm以下にして行うことを特徴とする請求項1に記載の焼結鉱の製造方法。
- 前記無端移動グレート式焼結機で擬似粒子を焼成する工程は、焼結の際に排出される排ガスを循環させながら行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の焼結鉱の製造方法。
- 前記無端移動グレート式焼結機で擬似粒子を焼成する工程は、焼結鉱の平均金属化率が6%以上となるように行われることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の焼結鉱の製造方法。
- 前記無端移動グレート式焼結機で擬似粒子を焼成する工程は、焼結鉱の平均還元率が30%以上になるように行われることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の焼結鉱の製造方法。
- 焼結原料に対して、媒溶材と粒子径が実質的に3mm未満に調整された炭材とを混合して造粒する一次造粒工程と、前記一次造粒工程で得られた造粒物の外側に粉状の炭材を被覆して擬似粒子とする二次造粒工程と、該擬似粒子を無端移動グレート式焼結機で焼成して粉鉄鉱石を部分的に予備還元された焼結鉱を得る工程とによって製造された焼結鉱。
- 平均金属化率が6%以上であることを特徴とする請求項6に記載の焼結鉱。
- 平均還元率が30%以上であることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の焼結鉱。
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