JP3900721B2 - 高品質低SiO2 焼結鉱の製造方法 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
この発明は、高生産率且つ高歩留で還元性(RI)及び還元粉化性(RDI)に優れた低SiO2 焼結鉱の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高炉原料として使用される焼結鉱は、一般に、次の方法により製造される。
先ず、本船から荷揚げされた鉄鉱石を銘柄ごとに粉鉱ヤードに山積みする。この後、山積みされた各種粉鉱石、含CaO副原料、含SiO2 副原料、ダスト及び炭材等を予め設定している割合でベッディング法により混合し、ブレンディング粉とする。このブレンディング粉、石灰石及び/又は生石灰、珪石及び/又は蛇紋岩、粉コークス及び/又は無煙炭、並びに返し鉱と、場合によっては、更に単味の鉱石等の各原料をそれぞれ別の配合槽に入れ、それぞれの配合槽から各原料を所定量連続的に切り出す。そして切り出された原料に適量の水分を添加して混合、造粒する。
【0003】
このようにして造粒された擬似粒子形態の焼結原料をホッパーより無端移動グレート式焼結機(ドワイトロイド式焼結機)のパレット上に連続的に500〜700mm程度の高さの層厚さに供給する。次いで点火炉にて表層部中の炭材に点火し、下方に向けて強制的に空気を吸引しながら炭材を燃焼させて、この時発生する燃焼熱によって配合原料を焼結、塊成化する。こうして焼成された焼結ケーキを冷却後、破砕し、整粒して3〜5mm以上の粒子を成品焼結鉱として高炉に装入する。破砕・整粒過程で発生した3〜5mm以下の粉焼結鉱は、返し鉱として再度焼結鉱原料として使用される。
【0004】
上述した通り製造された焼結鉱の品質特性としては、冷間強度、還元性及び
還元粉化性等があり、これらが高炉の安定且つ高効率操業に大きく影響する。従って、上記これら品質特性は特に厳しく管理されている。一方、焼結鉱の製造コスト面からは、炭材、ガス、電力等の消費エネルギー原単位が低く、且つ高生産率、高歩留が要請される。更に最近では、環境対策及び省エネルギーへの対応から、高炉発生の副産物であるスラグを極力低減することに対する要請が強くなってきた。上記背景から、焼結鉱の品質や、生産率及び歩留向上に関する技術が多数提案されている。
【0005】
一般に、焼結鉱の還元性や高温性状を改善する方法としては、焼結鉱中のスラグ量、従ってSiO2 含有率を低減することが効果的であることが知られている。但し、冷間強度、歩留及び還元粉化性は悪化するという、互いに相反する関係にあり、両者を改善するためには多くの困難を伴う。
【0006】
焼結鉱中SiO2 含有率を減らす方法として、一般に、▲1▼SiO2 含有率の低い鉄鉱石を使用して調整する方法と、▲2▼珪石や蛇紋岩等のSiO2 含有副原料を減らして調整する方法が行なわれている。前者の方法では高品位の鉱石を使用しなければならないので、長期的に安定して焼結鉱を製造するのは困難であり、コスト高となるため、後者の方法が多く採用されている。例えば、特公昭58−1180号公報には、焼結鉱中に添加する珪石を1mm未満に粒度調整する方法が開示されており(先行技術1という)、また、特公昭52−721号公報には、擬似粒子の調整原料として、微粉ニッケルスラグを添加する方法が開示されている(先行技術2という)。しかし、これらの方法では、本来不要な造滓剤の調達・調整が必要となり、究極的な低SiO2 焼結鉱の製造方法とはなり得ない。
【0007】
一方、焼結鉱中のSiO2 含有率低減のための方法として、蛇紋岩等のMgO・SiO2 系副原料の配合を減らすと、焼結鉱中のMgO含有率を確保することができなくなり、高炉炉内における焼結鉱の高温性状が悪化することが知られている。また、高炉炉内でのスラグ粘性調整のため、蛇紋岩等の含MgO副原料を別途高炉へ装入しなくてはならず、高炉操業におけるスラグ比(溶銑1t の生産により発生するスラグ量)の低減を図ることができないという問題がある。そこで、従来、SiO2 含有率を低く抑えつつ焼結鉱中MgO含有率を確保するために、ドロマイトや軽焼ドロマイト等のMgO・CaO系副原料を用いる方法が、例えば特開平9−143580号公報で提案され、これら副原料の粒度調整と攪拌ミキサーとを組み合わせた製造法方法が開示されている(先行技術3という)。しかしながら、MgO・CaO系副原料を用いる低SiO2 焼結鉱の製造方法では、焼成中のMgO滓化性が悪いので、融液生成に欠かせないフリーCaOが減少してしまい、所詮、生産率の低下は避けられない。
【0008】
以上のように、現状では、焼結生産率を低下させずに、焼結鉱中MgO含有率を確保し、且つ、還元性、還元粉化性及び高温性状を向上させる汎用的な低SiO2 焼結鉱の製造技術は見当らない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
高炉原料としての焼結鉱には、炉内における高温性状を確保し、還元粉化性を確保するために、適切な量のMgOを含有していることが必要である。ところが、上述した通り、焼結鉱製造では、品質面において還元性及び高温性状を確保し、操業面において生産率及び歩留を確保すると共に、高炉から発生するスラグ比を増加させないためには、所定含有率のMgOを確保する方法として、従来MgO源として使用している蛇紋岩やドロマイトを使用するのは適切でない。また、配合珪石中の有効に作用するSiO2 の比率を高めて珪石使用量を減らすための粒度微細化調整等、副原料予備処理にはコストがかかる。
【0010】
そこで、この発明では、高炉操業でのスラグ中MgOの成分調整が不要であり、一方、焼結工程での生産率及び歩留を低下させずに、焼結鉱中SiO2 含有率を所定値まで低めて、還元性、還元粉化性及び高温性状に優れた焼結鉱の製造方法を開発することを課題とする。ここで、焼結鉱中SiO2 含有率の上限は、後述する理由により4.6%とした。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上述した観点から、高品質焼結鉱の製造方法を開発すべく、上記問題を解決するために有効な、焼結鉱へのMgO添加源として適した物質を調査、試験した。その結果、次の知見を得た。
【0012】
焼結鉱中MgO成分の添加源物質として、MgO含有率が高く、特にSiO2 含有率が低く、そして、スラグ成分として有害な成分を実質的に含まないか、または含んでいても実害のないものとして、マグネサイト及びブルースタイトがこれに該当する。即ち、マグネサイト及びブルースタイトはいずれも、主成分として炭酸マグネシウムMgCO3 を多量に含み、SiO2 、Al2 O3 、及びCaO等の含有率は低い。従って、強熱残留分はMgOが主体で、強熱減量(イグニッション ロス)が全体の2分の1から3分の1を占め、強熱減量分は焼結鉱の焼成過程において除去される。しかも、マグネサイト及びブルースタイトはいずれも従来のMgO源物質と比べて安価であり、埋蔵量も多く、需給も安定している。従って、マグネサイト及び/又はブルースタイトを焼結鉱中のMgO源物質として使用し、しかも、蛇紋岩のようなSiO2 ・MgO系副原料及びドロマイトのようなCaO・MgO系副原料のいずれをも用いなければ、上述した問題点をすべて解決し得る。
【0013】
この発明の低SiO2 焼結鉱の製造方法は上記知見に基づきなされたものであり、下記内容を要旨とするものである。
請求項1記載の高品質低SiO2 焼結鉱の製造方法は、高炉への装入原料である焼結鉱であって、成品中SiO2 含有率が4.6%以下、塩基度が1.0〜3.0の範囲内、且つMgO含有率が0.5%を超える焼結鉱を製造する方法において、MgO添加源副原料としてマグネサイト及びブルースタイトの内の一方、又はそれらの両方を用い、蛇紋岩及びドロマイトのいずれをも用いず、しかも、前記マグネサイト及びブルースタイトとして、その粒度構成がいずれも、径1mm以下の粒子が30%未満のもの用いて、前記焼結鉱成品中のスラグ成分組成を調整することに特徴を有するものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、この発明の望ましい実施形態の例を説明する。
表1に、本発明法による焼結鉱製造用の代表的原料とその成分組成例を示す。参考のため、ドロマイト及び蛇紋岩についても成分組成例を併記する。また図1に、焼結鉱製造工程の概略フローを示す。
【0016】
【表1】
【0017】
主原料としてベッディング法により混合された混合粉1、鉱石及び返し鉱4を、又は、混合粉1及び返し鉱4を使用し、固体燃料として粉コークス7を使用する。そして副原料として、CaO成分添加源の石灰石2及び/又は生石灰3を、そしてスラグ成分のうちMgO成分添加用としてマグネサイト5及び/又はブルースタイト6を所定割合で配合し、SiO2 含有率が4.6%以下、塩基度CaO%/SiO2 %が1.0〜3.0の範囲内、且つMgO含有率が0.5%超えとなるように配合する。こうして得られた配合原料に水分8’を添加し、ドラムミキサー8で混合・調湿8し、次いで更にドラムミキサー9で造粒するか又はディスクぺレタイザ10で造粒し、適宜粉コークス7’を外装して擬似粒子を調製する。擬似粒子に調製された焼結原料を焼成炉のグレーティング上に層状に装入し、次いで上層表面に点火し、下方吸引にて粉コークスを燃焼させて焼成を行ない、焼結鉱を製造する。
【0018】
・マグネサイト、ブルースタイト、MgOについて
高炉内における高温性状を確保し、特に還元粉化性を良好にするためには、焼結鉱成品中に所定含有率以上のMgO成分を確保することが重要である。しかし、MgO含有率が0.5%以下では、上記MgOの作用効果が、焼結鉱成品中の他成分組成の変動を考慮すると必ずしも十分には発揮されない。一方、MgO含有率を2.0%程度まで増加させると、焼結過程において焼結原料中のスラグの滓化が悪化し、焼結鉱生産率が低下する。MgO含有率は1.5%程度確保されればその作用、効果は十分発揮される。また、MgO添加材のコスト低減上それは少ない方が有利である。従って、MgO成分添加のメリットとデメリットとのバランスから、その含有率の上限は限定するに及ばない。以上により、焼結鉱成品中のMgO含有率は、0.5%超えに限定する。
【0019】
ここで、MgO源副原料として使用するマグネサイト5及び/又はブルースタイト6の粒子径は、所定値以下に制限するのが望ましく、また細粒側の粒径分布については、1mm以下の粒子の割合を30%未満に制限する必要がある。その理由は下記の通りである。即ち、その粒子径が粗すぎると、上記混合、造粒工程でその粒子の分散が不均一となり、MgO添加の作用が十分に発揮されず、特に還元粉化性等の品質改善効果が十分に行なわれない。一方、粒子径が細かすぎると、あるいは細かい粒子径の割合が多すぎると、焼結反応過程でスラグ融点が上昇し、融体生成量が減少して、生産率及び歩留並びに焼結鉱強度が低下する。本発明者等の試験によれば、これら副原料粒子径の上限は、概ね他の鉱石原料と同一の10mm程度以下の場合に、混合、造粒工程でその粒子分散が一層均一となり、MgO添加の作用が一層十分に発揮されることがわかった。また、同粒子径の下限については、特に、1mm以下の粒子の割合を30%未満に制限することにより、前記生産率及び歩留が向上すると共に、焼結鉱強度が向上することがわかったからである。なお、従来、マグネサイト及びブルースタイトは粒径が8mm以上の塊は他の成品として使用されているが、8mm未満のものは有効利用先がないので、利用先としても望ましい。
【0020】
・SiO2 について
焼結鉱中のSiO2 は、高炉内において焼結鉱中のスラグ融液量を増大させ、特に、還元性や高温性状に悪影響を与えるので、高炉におけるスラグ組成の制約、例えば、Al2 O3 含有率の上限範囲等が設定されていない操業条件下では、できるだけ低くすることが望ましい。しかしながら、前述したように、高品位鉄鉱石原料の使用によるSiO2 含有率の低下調整方法では、需給上及びコスト上の制約により、長期安定の実施が難しい。従って、製鉄所内リサイクル原料の使用に起源するSiO2 の混入は容認し、その他のSiO2 混入源となる造滓剤は使用せずに、所定の品質水準を満たすことが必要である。ここで所定の品質水準は、焼結機及び高炉操業条件によって差はあるが、概ね、JIS還元率RIが70%程度以上、還元粉化指数RDIが40以下、そしてタンブラー強度TIが70以上の高水準を確保することを目標として、SiO2 含有率を4.6%以下に制限した。このように、焼結鉱中SiO2 含有率を低減することにより、ファイヤライト(2FeO・SiO2 )のような難還元性物質の発生を抑制し、還元性を向上させる効果もある。
【0021】
・塩基度、コークス比について
また、塩基度は焼結鉱の強度確保上及び高炉装入物としての実用的な範囲である1・0〜3.0の間にすべきである。
【0022】
粉コークスの配合割合は、造粒方法及び添加方法により適正範囲は変化するが、生産率及び歩留維持の観点、並びに還元性及び還元粉化性向上のための過溶融防止の観点から、凡そ35〜45kg/t−成品が適当である。
【0023】
【実施例】
次に、この発明を実施例によって更に詳細に説明する。
表1に示した化学成分組成の原料を適宜用い、図1に示した焼結鉱製造フローに従って、本発明範囲内の方法である実施例1〜3、並びに本発明範囲外の方法である従来法1、2及び比較例1〜3によりそれぞれ焼結鉱を製造した。但し、従来法及び比較例においては、図1の製造フローにおいて、副原料として蛇紋岩(図示せず)及びドロマイト(図示せず)を適宜使用した。表2並びに表3のそれぞれに、従来法及び比較例、並びに実施例における原料配合を示す。また、表4に、比較例及び実施例において使用したマグネサイト、ブルースタイト及びこれらの混合粉の粒度分布を示す。
【0024】
【表2】
【0025】
【表3】
【0026】
【表4】
【0027】
上記条件で焼結鉱を製造した。そして、各焼結鉱成品の化学成分を分析すると共に、焼結鉱製造の操業成績を調査し、そして焼結鉱の品質試験を行なった。表5並びに表6のそれぞれに、従来法及び比較例、並びに実施例で製造された焼結鉱成品の化学成分組成及び塩基度(C/S≡CaO%/SiO2 %)を示す。また、図2に、従来法及び比較例で製造された焼結鉱の各種品質試験結果及び操業成績を、そして図3に、実施例で製造された焼結鉱の品質試験結果及び操業成績を示す。焼結鉱の品質評価は、冷間強度をJIS法タンブラー強度TIで、還元性をJIS還元率RIで、そして還元粉化性を日本鉄鋼協会製銑部会法の還元粉化指数RDIで評価した。
【0028】
【表5】
【0029】
【表6】
【0030】
表1に示した鉄鉱石のハマスレー−F(粉)及び混合粉は、特別な配合調整を行なわずに通常の焼結プロセスで日常的に使用している原料である。
従来法1では、原料配合において、焼結鉱中MgO含有率が成品において望ましい目標値1.5%となるように、MgO源として蛇紋岩を使用して成分を調整した。蛇紋岩には、MgOとほぼ同じ高含有率のSiO2 も含まれているので、MgO含有率の調整に伴い、焼結鉱成品中のSiO2 含有率が5.3%と上昇し、本発明のSiO2 含有率上限値である4.6%を超えるものとなった。その結果、焼結鉱成品のRIとしては高値が得られず、還元性の良好なものとはならなかった。
【0031】
従来法2では、原料配合において、焼結鉱中MgO含有率が成品において望ましい目標値1.5%となるように、MgO源としてドロマイトを使用して成分を調整し、SiO2 含有率も本発明品の上限値である4.6%以下の4.5%となるように調整し、塩基度CaO%/SiO2 を2.0と望ましい値に調整した。しかしながら、MgO・CaO系副原料のドロマイトを用いたために、焼成中にMgOの滓化性が悪く、融液生成に欠かせないフリーCaOが減少したので、生産率及び歩留りの低下は避けられなかった。
【0032】
比較例1〜3では、マグネサイト又は/及びブルースタイトをした。
比較例1では、原料配合において、MgO源としてマグネサイトを用い、焼結鉱中MgO含有率を成品において望ましい目標値1.5%となるように調整し、SiO2 含有率も本発明品の範囲内である4.5%となるように調整し、且つ塩基度CaO%/SiO2 も2.0と望ましい値に調整した。しかしながら、使用したマグネサイトの粒度分布は1mm以下の細粒部分の比率が本発明の上限値である30%未満を超えて45%と高過ぎた。そのために焼結反応過程でスラグ融点が上昇し、融体生成量が減少して、生産率及び歩留並びに焼結鉱強度が向上しなかった。
【0033】
比較例2ではMgO源としてブルースタイトを用い、また比較例3ではMgO源としてマグネサイトとブルースタイトとの両方を用い、いずれにおいてもMgO含有率、SiO2 含有率及び塩基度のすべてについて、比較例1と同じように本発明の範囲内に調整した。しかしながら、比較例2及び比較例3のいずれにおいても、比較例1と同様、使用したブルースタイト、並びに、マグネサイトとブルースタイトとの混合粉の粒度分布は1mm以下の細粒部分の比率がそれぞれ33%並びに38%程度であり、本発明の上限値である30%未満を超えていた。そのために焼結反応過程でスラグ融点が上昇し、融体生成量が減少して、生産率及び歩留並びに焼結鉱強度に低下がみられた。
【0034】
これに対して、実施例の試験条件及び結果は次の通りである。
実施例における焼結鉱の製造条件はその原料配合を次の通り行なった。即ち、鉱石としてハマスレー−F(粉)及び混合粉とを用いた。前述した通り、これらのSiO2 含有率はいずれも特別な原料配合をしたものではなく汎用的レベルのものであり、原料鉱石については、上述した従来法及び比較例と同じものを同じ割合で配合した。また、MgO源副原料として、従来の蛇紋岩あるいはドロマイトを用いず、マグネサイト又は/及びブルースタイトを用いた。MgO源用副原料以外の粉コークス、返し鉱、生石灰及び石灰石とその配合も従来法及び比較例と同一にした。
【0035】
実施例1では、原料配合において、MgO源としてマグネサイトを用い、焼結鉱中MgO含有率を成品において望ましい目標値1.5%となるように調整し、SiO2 含有率も本発明品の範囲内である4.5%となるように調整し、且つ塩基度CaO%/SiO2 も2.0と望ましい値に調整した。この条件は比較例1と同一レベルとした。しかしながら、マグネサイトの1mm以下の細粒部分の比率を実施例1では、本発明の範囲内の29%に抑えた。
【0036】
実施例2ではMgO源としてブルースタイトを用い、また実施例3ではMgO源としてマグネサイトとブルースタイトとの両方を用い、MgO含有率、SiO2 含有率及び塩基度のすべてについての実施例2及び実施例3の条件は、それぞれ比較例2及び比較例3と同一レベルとした。しかしながら、実施例2ではブルースタイトの1mm以下の細粒部分の比率を21%とし、そして実施例3ではマグネサイトとブルースタイトとの混合粉の1mm以下の細粒部分の比率を24%としてそのレベルを変化させた。
【0037】
上記条件下での焼結鉱製造操業で、実施例1〜実施例3のいずれにおいても、生産率及び歩留り並びに焼結鉱成品の強度を従来の良好なレベルに維持したまま、焼結鉱成品の還元性及び還元粉化性が共に大幅に向上した。
【0038】
上記実施例で製造された焼結鉱はいずれも、焼結鉱成品中のSiO2 含有率が低く、MgO含有率が所定値に確保されて、その品質が還元性、還元粉化性及び冷間強度に優れているだけでなく、焼結鉱の生産率及び成品歩留のいずれにおいても優れている。これは、焼結鉱の原料配合におけるMgO含有率の調整方法として、蛇紋岩のようなSiO2 ・MgO系副原料及びドロマイトあるいは軽焼ドロマイトのようなCaO・MgO系副原料を使用する代わりに、マグネサイト及び/又はブルースタイトを使用し、且つこれらの粒径分布が適切なものを使用したことにより、SiO2 含有率の上昇を抑制し、MgOの滓化不良を回避することが可能となるからである。
【0039】
【発明の効果】
以上述べたように、この発明によれば、MgO含有率を調整するために、蛇紋岩で代表されるSiO2 ・MgO系副原料や、ドロマイト及び軽焼ドロマイトで代表されるCaO・MgO系副原料を添加せずに、SiO2 含有率が4.6%以下で且つMgO含有率が0.5%超えの低シリカ焼結鉱を製造することができる。この焼結鉱の使用により、高炉操業でのスラグ中MgOの成分調整が不要であり、一方、焼結工程での生産率及び成品歩留を従来の良好な水準に維持しつつ、焼結鉱中SiO2 含有率を低めて、還元性、還元粉化性及び高温性状に優れた焼結鉱を安価に安定して製造できるようになる。その結果、高炉の燃料比及びスラグ比の低減、あるいはまた、高微粉炭吹込み操業などの達成が可能となる。このような高品質焼結鉱の製造方法を提供することができ、工業上有用な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施に適した焼結鉱製造工程の一例を示す概略フロー図である。
【図2】従来法及び比較例で製造された焼結鉱の品質試験結果及び操業成績を示すグラフである。
【図3】実施例で製造された焼結鉱の品質試験結果及び操業成績を示すグラフである。
【符号の説明】
1 混合粉
2 石灰石
3 生石灰
4 返し鉱
5 マグネサイト
6 ブルースタイト
7、7’ 粉コークス
8 ドラムミキサー
8’ 水分
9 造粒機
10 ディスクぺレタイザ
11 コーティングミキサー
12 焼結機
13 ブロワー
Claims (1)
- 高炉への装入原料である焼結鉱であって、成品中SiO2 含有率が4.6%以下、塩基度が1.0〜3.0の範囲内、且つMgO含有率が0.5%を超える焼結鉱を製造する方法において、MgO添加源副原料としてマグネサイト及びブルースタイトの内の一方、又はそれらの両方を用い、蛇紋岩及びドロマイトのいずれをも用いず、しかも、前記マグネサイト及びブルースタイトとして、その粒度構成がいずれも、径1mm以下の粒子が30%未満のもの用いて、前記焼結鉱成品中のスラグ成分組成を調整することを特徴とする、高品質低SiO2 焼結鉱の製造方法。
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