JP2001294945A - 高炉用高品質低SiO2焼結鉱の製造方法 - Google Patents

高炉用高品質低SiO2焼結鉱の製造方法

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JP2001294945A
JP2001294945A JP2000115979A JP2000115979A JP2001294945A JP 2001294945 A JP2001294945 A JP 2001294945A JP 2000115979 A JP2000115979 A JP 2000115979A JP 2000115979 A JP2000115979 A JP 2000115979A JP 2001294945 A JP2001294945 A JP 2001294945A
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Hidetoshi Noda
英俊 野田
Koichi Ichikawa
孝一 市川
Shoichi Mutsukawa
庄一 六川
Satoshi Machida
智 町田
Hideaki Sato
秀明 佐藤
Takeshi Hashimoto
健 橋本
Yoshinori Watanabe
芳典 渡辺
Noboru Sakamoto
登 坂本
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NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 結晶水を5.0wt%以上含む高結晶水鉱石
を混合原料中の25wt%以上に使用する焼結鉱の製造
において、高生産率且つ高歩留で還元性、耐還元粉化
性、強度並びに高温性状等に優れた焼結鉱を安定して製
造する。 【解決手段】 焼結鉱成品中SiO2含有率が4.6w
t%以下、CaO/SiO2含有率がwt%比で1.0
〜3.0、且つMgO含有率が0.5wt%を超える焼
結鉱を製造し、その際含MgO副原料としてマグネサイ
ト及びブルースタイトの一方又は両方を用い、SiO2
・MgO系副原料及びCaO・MgO系副原料のいずれ
をも用いずに、焼結鉱成品中のスラグ成分組成を調整す
る。SiO 2・MgO系副原料として蛇紋岩を、CaO
・MgO系副原料としてドロマイトを用いないこと。

Description

【発明の詳細な説明】
この発明は、高炉製銑法において使用する焼結鉱原料と
して高結晶水鉱石を多量に使用し、高生産率且つ高歩留
で還元性、耐還元粉化性、強度並びに高温性状等に優れ
た高品質の低SiO2焼結鉱を安定して製造する方法に
関するものである。
【0001】
【従来の技術】高炉原料として使用される焼結鉱は、一
般に、次の方法により製造される。先ず、本船から荷揚
げされた鉄鉱石を銘柄ごとに粉鉱ヤードに山積みする。
この後、山積みされた各種粉鉱石、含CaO副原料、含
SiO2副原料、ダスト及び炭材等を予め設定している
割合でベッディング法により混合し、ブレンディング粉
とする。このブレンディング粉、石灰石及び/又は生石
灰、珪石及び/又は蛇紋岩、粉コークス及び/又は無煙
炭、並びに返し鉱と、場合によっては、更に単味の鉱石
等の各原料をそれぞれ別の配合槽に入れ、それぞれの配
合槽から各原料を所定量連続的に切り出す。そして切り
出された原料に適量の水分を添加して混合、造粒する。
【0002】このようにして造粒された擬似粒子形態の
焼結原料をホッパーより無端移動グレート式焼結機(ド
ワイトロイド式焼結機)のパレット上に連続的に500
〜700mm程度の高さの層厚に供給して、充填層の形
態の焼結原料層を形成する。次いで点火炉にて表層部中
の炭材に点火し、下方に向けて強制的に空気を吸引しな
がら焼結原料層中の炭材を燃焼させ、この燃焼熱によっ
て焼結原料層を構成する擬似粒子形態の焼結原料を焼
結、塊成化する。こうして焼成された焼結ケーキを冷却
後、破砕し、整粒して3〜5mm以上の粒子を成品焼結
鉱として高炉に装入する。破砕・整粒過程で発生した3
〜5mm以下の粉焼結鉱は、返鉱として再度焼結鉱原料
として使用される。
【0003】こうして製造される高炉用原料として使用
される焼結鉱の品質は、高炉操業における炉内荷下がり
状態の安定性や通気性及び通液性、還元効率及び高温性
状等に対して大きな影響を及ぼす。従って、焼結鉱の製
造においては、焼結鉱の高品質が要求され、厳しい品質
管理が行なわれると共に、またその製造コスト低減のた
めに、焼結鉱の成品歩留向上が要請され、更に、焼結鉱
製造ラインの効率化のため、生産性確保が要請される。
ここで、焼結鉱の成品歩留は、焼結ケーキの重量に対す
る「成品焼結鉱」重量の割合、即ち、成品焼結鉱/焼結
ケーキで表わされる。
【0004】一方、鉄鉱石の供給面において、近年特に
赤鉄鉱(Fe23、ヘマタイト)や磁鉄鉱(Fe34
マグネタイト)等の良質な鉄鉱石が減少し、これに伴い
ゲーサイト(Fe23・H2O)を多く含むピソライト
鉱石あるいはマラマンバ鉱石のように結晶水含有量が高
い、所謂高結晶水鉱石が増加している。結晶水の鉱石中
含有率は高いものでは10wt%程度に達する。このよ
うな高結晶水鉱石を高炉用焼結鉱として大量に、有利に
使用する技術が強く要請されるに至った。
【0005】ところが、上述した高結晶水鉱石には、焼
結鉱製造原料として使用するに際し、下記問題がある。
【0006】第1の問題点は、高結晶水鉱石が有する元
来の多孔質性状のために、上述した原料配合後の混合・
造粒工程で通常よりも添加水分量を多く、しかも適正量
添加する必要がある。一般に、配合原料の混合・造粒工
程における水分添加は、バインダーとして過不足なく適
正量の水分が添加されることが要求される。配合原料中
の高結晶水鉱石に対しては、添加した水分の一部が当該
高結晶水鉱石が有する多孔質部分に吸収されるので、造
粒バインダーとして当初適正量添加された水分が不足す
る傾向が生ずる。そのために、原料への添加水分量を通
常よりも多くしなければならない。その結果、原料中の
含有水分量が上がり、焼成過程で多量の燃料が必要にな
る。従って、炭材を多量に添加しなければならなくな
り、焼成が不安定となる。そして、焼結鉱の歩留及び生
産性の低下をきたす。
【0007】第2の問題点は、高結晶水鉱石は、約40
0〜500℃に加熱すると、結晶水が分解・脱水して気
孔や亀裂が発生し、多孔質となる。そのために高結晶水
鉱石は、焼結過程における反応性が高く、1200℃近
傍においてカルシウム・フェライトを主体とした低融点
融液が局部的に過剰に生成して、焼結過程での通気性悪
化や不均一な気孔残留を発生させ、その結果焼結鉱強度
を劣化させる。そのため成品焼結鉱の歩留を悪化させた
り、生産率の低下を招く。
【0008】即ち、焼結鉱の製造に当たり高結晶水鉱石
を多配合すると、焼結工程において結晶水を除去するた
めに多量の熱量を消費し、更に、この水分の分解・離脱
時に粗大気孔や亀裂が発生し、多孔質的な性状が付加さ
れる。次いで、1200℃程度の高温領域では、焼結原
料中のCaOとヘマタイトとの反応により生成するカル
シウム・フェライト(CaO・Fe23,CaO・2F
23等)系融液が上記気孔や亀裂に侵入すると、鉄鉱
石の酸化鉄粒子同士が急速に分断されて、その一部がこ
の融液に溶け込み、即ち同化反応を起こし、融液の侵入
が速いために気孔や亀裂内のガスが融液中に残留する。
かくして、冷却後の焼結鉱は、多量の粒状ヘマタイト粒
子と、非晶質シリケートあるいはカルシウム・フェライ
トとが混在した結合層と多量の粗大気孔とが混在する組
織となる。
【0009】焼結鉱原料中に高結晶水鉱石を多配合する
と、このような多量の粒状ヘマタイト粒子と、多量の粗
大気孔との存在によって耐還元粉化性が劣化し、また多
量の粗大気孔の存在によって、焼結鉱の冷間強度は劣化
し、歩留は低下する。更に、同化反応が速いので、溶融
焼結反応において融液生成帯の空隙が急速に閉塞され
て、焼結機ベッド内における通気性が悪化し、その結果
コークス等炭材の燃焼遅れが発生し、焼結鉱の生産性が
低下する。そこで、従来、高結晶水鉱石の混合原料中の
鉄鉱石中に占める割合は20〜25wt%未満に制限さ
れることが多い。
【0010】以上のように、焼結鉱製造時の高結晶水鉱
石の多量配合操業における技術的課題は、造粒時の水分
多量添加による燃料コスト上昇と、焼結鉱の歩留及び生
産性低下の問題と、高結晶水鉱石の焼結ベッドにおける
溶融焼結反応制御の困難性の問題との2点に大別され
る。いずれの問題に関してもその解決のための提案が多
数なされている。特に、第2の問題点である溶融焼結反
応を適切に調節することにより、高結晶水鉱石を多配合
しても、焼結鉱品質を劣化させず、焼結鉱の歩留や生産
性を維持しつつ焼結鉱を製造しようとする方法に関し、
下記技術が提案されている。
【0011】例えば、特公平5−83620号公報に
は、下記技術が提案されている。粗粒の高結晶水鉱石の
周囲に、高結晶水鉱石粉と蛇紋岩等の含MgO−SiO
2系副原料粉と適量の微粉コークス等の固体炭素粉とか
らなる被覆層を形成させた予備造粒物を調製する。核で
ある高結晶水鉱石を主体するこの予備造粒物を、その他
の残部原料(これは原料配合のバランス上から高CaO
/SiO2原料となる)と混合し、当該予備造粒物の表
面に付着させて擬似粒子を調製する。このように事前処
理をすることにより、上記擬似粒子の外層部を構成する
高CaO/SiO 2原料からは、1200℃近辺におい
てCaO−Fe23系融液が生成する。このCaO−F
23系融液は、上記予備造粒物表層の被覆層を構成す
る含MgO・SiO2系副原料と反応すると、この融液
の融点は上昇して流動性が低下するので、当該融液は予
備造粒物の内部へ侵入し難くなる。こうして、焼結過程
における粗粒高結晶水鉱石と上記CaO−Fe23系融
液との接触を抑制し、その間の高温において、核を構成
する粗粒高結晶水鉱石の組織の緻密化が粉コークスの燃
焼により促進されて、融液による高結晶水鉱石の同化反
応を阻止する。このようにして、上述した多量の粗大気
孔の生成による耐還元粉化性の劣化を防止し、焼結機ベ
ッド内における通気性を確保して成品焼結鉱の歩留向上
及び焼結鉱の生産性維持を図るというものである(以
下、先行技術1という)。
【0012】一方、焼結鉱の製造において、溶融同化性
の良好な高結晶水鉱石を多配合しても、焼結鉱中のスラ
グ成分組成を特定の範囲内に限定するだけの方法によ
り、焼結工程における局部的過溶融に起因して融液生成
帯の空隙が急速に閉塞され、その結果、焼結機ベッド内
における通気性悪化による炭材の燃焼遅れが発生して焼
結鉱の生産性が低下するのを抑制し、また成品焼結鉱の
歩留向上を図ろうとするものが、特開平8−23972
0号公報に開示されている。同公報の方法は、成品焼結
鉱中のスラグ成分が、SiO2:4.0〜4.8wt
%、MgO:1.2〜2.4wt%、及びCaO:6.
0〜9.0wt%を満たすように原料及び造滓材を調整
するというものである(以下、先行技術2という)。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】最近における鉄鉱石採
掘の動向の特徴は、ピソライト鉱石等高結晶水鉱石の採
掘量が著しく増加しつつあることである。そこで、この
発明の目的は先ず第一に、焼結鉱の製造工程において高
結晶水鉱石を使用するに際して上記問題があるにもかか
わらず、これを多量に使用しても、高炉用原料としての
焼結鉱の品質水準を良好に確保することにより高炉の安
定操業に寄与すると共に、成品焼結鉱の歩留を高水準に
維持し、その生産性を高水準に維持しようとするもので
あり、この点においては、先行技術1及び先行技術2に
開示された従来技術における高結晶水鉱石の多配合条件
下での焼結鉱製造技術の目的と同じである。ところが、
本発明者等は、焼結鉱製造において上記最近の鉄鉱石需
給動向に鑑み、高結晶水鉱石を多量に使用することを前
提条件とし、(イ)「上述した焼結鉱の品質、歩留及び
生産性のいずれをも確保する」ことに加え、更に、
(ロ)「成品焼結鉱中のSiO2含有率をできるだけ低
く抑えることにより、高炉操業におけるスラグ比の低減
による燃料消費原単位の低減及びスラグ処理費用の削
減、高炉装入物の通気性を一層改善することによる高炉
安定操業への寄与、並びに、高炉における低シリコン溶
銑を製造するための操業条件の優位性を確保する」こと
を、この発明の目的に追加した。
【0014】この発明の上記目的に対して、先行技術1
は、本発明者等が目指す上記(イ)項については有効で
あるが、上記(ロ)項については、焼結鉱中のSiO2
含有率を低く抑えるべき技術的開示がなく、同先行技術
の実施例1〜3を参照しても、「焼結鉱中目標SiO2
=5.1〜5.6wt%」の記載があるに留まり、Si
2含有率の低減手段についての記載はなく、また、そ
の低減を重視する記述も見当たらない。
【0015】一方、先行技術2は、成品焼結鉱中のスラ
グ成分中、SiO2、MgO及びCaOの3成分の組成
を、上述した通りの範囲内に入るように、また、望まし
くは、更にAl23含有率:2.0wt%以上を満たす
ように、焼結鉱製造原料及び造滓材を調整することによ
り、本発明者等が目指す上記(イ)を満たすことが可能
であるとしている。また、上記(ロ)についても、成品
焼結鉱中のSiO2含有率を、4.0〜4.8wt%と
いう低水準の範囲内に限定することを提案している。
【0016】ところが、高結晶水鉱石を多量に使用する
ことを前提条件とした技術において、先行技術2におけ
る最大の特徴は、下記点にあると理解される。即ち、そ
れ以前の技術はCaOとSiO2含有率が低下すると、
焼成過程における溶融同化反応が進まず、また焼結ベッ
ドの通気性悪化により焼結鉱の生産性が悪化するので、
CaOとSiO2含有率をペアで比較的高い値に確保す
る必要があった。例えば、SiO2=5.4wt%且つ
CaO=10.0wt%程度の成分組成が必要とされて
いた。ところが、溶融同化性の良好な高結晶水鉱石が多
配合されるので、それまでよりもCaOとSiO2含有
率をペアで低めることにより、適切な溶融同化反応量を
得ることが可能であるとの着眼により、CaOとSiO
2含有率、及び滓化性を下げるMgO含有率を変化させ
た多数の実験を行ない、その結果より、CaO=6.0
〜9.0wt%、SiO2=4.0〜4.8wt%と限
定することにより、焼成過程における溶融同化反応を調
節でき、また焼結ベッドの通気性改善をはかることがで
き、焼結鉱の生産性が向上するとしている。
【0017】このように、先行技術2では、成品焼結鉱
中のSiO2含有率の下限値が4.0wt%に制限され
ているので、本発明者等が目指す上記(ロ)項における
目的である、成品焼結鉱中のSiO2含有率をできるだ
け低く抑えることにより、高炉操業でスラグ比を低減す
るための目的である、 (ロ)−1:高炉の燃料消費原単位を減らし、スラグ処
理費用を削減すること、 (ロ)−2:高炉装入物の通気性を一層よくして高炉の
安定操業に寄与すること、及び、 (ロ)−3:高炉における低シリコン操業を行ない易く
すること、 を実現することは困難である。
【0018】従って、この発明の目的は、上述した従来
技術の現状に鑑み、焼結鉱製造における高結晶水鉱石の
多配合要請に応えるべく、下記技術を開発することを目
的とした。即ち、高結晶水鉱石を多量に使用しても、焼
結機パレット上に充填された焼結原料層におけるカルシ
ウム・フェライト(CaO・Fe23,CaO・2Fe
23等)系融液の生成をできるだけ均一に且つ適量に調
節すると共に、高結晶水鉱石の組織の緻密化を図ること
により、ベッド内通気性を良好に保持する。その結果、
還元性、還元粉化性、冷間強度及び高温性状の焼結鉱品
質を良好に維持し、焼結鉱の歩留と生産性を高水準に維
持する。更に、このような焼結鉱を高炉原料とすること
により、高炉におけるスラグ比の低下を図ることが可能
となり、それにより高炉の燃料消費原単位及びスラグ処
理費用の低減、高炉装入物の通気性の改善と高炉操業の
安定化、並びに高炉の低シリコン操業を行ない易くする
こと等に寄与する。そして、焼結鉱製造から溶銑製造工
程に至るコスト低減に寄与し得る。このような高炉用高
品質焼結鉱の製造方法を提供することをこの発明の目的
とした。
【0019】
【課題を解決するための手段】先ず、上述したこの発明
の目的を達成するために不可欠な要件として、高結晶水
鉱石の溶融焼結反応の支配要因として、この反応に関与
するスラグ成分組成が適切でなければならないことに着
眼した。即ち、焼結鉱の生産性及び歩留の向上支配要因
である原料の溶融同化反応の調節、及びその融液の流動
性の調節、並びに焼結ベッド内における均一な通気性の
確保に対しては、適切なスラグ成分組成を選定すること
が必要であること、また、高炉スラグ比の低下支配要因
である焼結鉱中のSiO2含有率をできるだけ低めるこ
とが必要であることに着眼した。更にその際、低コスト
を実現できる方法を課題とした。
【0020】本発明者等は、上述した目的及び着眼のも
とに、鋭意研究を重ねた。その結果、下記知見を得た。
焼結鉱中の成分組成として、SiO2含有率をできるだ
け低めた所定含有率以下にすることを前提とした。
【0021】(1)焼結鉱の高温性状を確保し、還元粉
化性を確保すると共に溶融焼結時の生成融液の流動性を
確保するために適切量のMgO含有率を選定し、且つそ
の融液の生成量を調節するために、CaO及びSiO2
含有率のそれぞれを個別に制約するのではなく、SiO
2含有率を所定値以下に低めた状態においてCaO/S
iO2重量比を適切な範囲内に選定することが、上述し
たこの発明の問題点を解決するために必要であるとの知
見を得た。
【0022】(2)更に、このようにSiO2含有率を
低め、且つ適切量のMgO含有率を確保するためには、
MgO添加源として従来用いられている蛇紋岩等のMg
O・SiO2系副原料を使用したのでは、SiO2成分の
混入量が多くなるので、焼結鉱中のスラグを本発明者の
目指す成分組成に調整することは殆ど不可能である。そ
こで本発明者等は、焼結鉱中MgO成分の添加源物質と
して、MgO含有率が高く、特にSiO2含有率が低
く、そして、スラグ成分として有害な成分を実質的に含
まないか、又は含んでいても実害のないもので、焼結鉱
へのMgO添加源として適した物質を調査、試験した。
その結果、マグネサイト及びブルースタイトがこれに該
当することを見出した。即ち、マグネサイト及びブルー
スタイトはいずれも、主成分として炭酸マグネシウムM
gCO3あるいは水酸化マグネシウムMg(OH)2を多量
に含み、SiO2、Al23、及びCaO等の含有率は
低い。従って、強熱残留分はMgOが主体で、強熱減量
(イグニッション ロス)が全体の2分の1から3分の
1を占め、強熱減量分は焼結鉱の焼成過程において除去
される。しかも、マグネサイト及びブルースタイトはい
ずれも従来のMgO源物質と比べて安価であり、埋蔵量
も多く、需給も安定している。従って、マグネサイトあ
るいはブルースタイトを焼結鉱中のMgO添加源物質と
して使用し、しかも、蛇紋岩のようなSiO2・MgO
系副原料、及びドロマイトのようなCaO・MgO系副
原料のいずれをも用いなければ、上記問題点を解決し得
ることを知見した。
【0023】(3)また、上記低SiO2含有率という
条件下でMgO含有率を確保し、且つCaO/SiO2
重量比を適切に選定するためには、MgO及びCaO添
加源として従来用いられているドロマイト等のCaO・
MgO系副原料を使用したり、あるいはこれを併用した
のでは、MgOと化学結合しているCaO成分の添加量
が多くなるので、例え焼結用混合原料中の全CaO成分
の含有率が見かけ上は十分に確保されていても、本発明
者の目指す適切量のカルシウム・フェライト(CaO・
Fe23,CaO・2Fe23等)系融液の生成に必要
なフリーCaOの添加量が確保されなくなり、その融液
生成量が過少となる。本発明者等は、このような問題を
解決するためには、MgO添加源としてブルースタイ
ト、あるいはマグネサイトを選定することが極めて効果
的であることを知見した。
【0024】この発明は、上記知見に基づきなされたも
のでり、その要旨は次の通りである。即ち、この発明に
係る高炉用高品質低SiO2焼結鉱の製造方法は、その
製造工程において、焼結用混合原料中の25wt%以上
に、結晶水を5.0wt%以上含む高結晶水鉱石を用
い、焼結鉱の成品中SiO2含有率が4.6%以下、C
aO含有率/SiO2含有率のwt%比が1.0〜3.
0の範囲内、且つMgO含有率が0.5%を超える焼結
鉱を製造する。この際、MgO添加副原料としてマグネ
サイト及びブルースタイトの内の一方又は両方を用い、
SiO2・MgO系副原料及びCaO・MgO系副原料
のいずれをも用いずに、焼結鉱の成品中スラグ成分組成
を上記の通り調整することに特徴を有するものである。
そして、上記SiO2・MgO系副原料として蛇紋岩
を、また上記CaO・MgO系副原料としてドロマイト
を、いずれも使用しないことが望ましい。
【0025】
【発明の実施の形態】次に、この発明の望ましい実施形
態の例を説明する。図1に、この発明における焼結鉱製
造工程の概略フローを示す。
【0026】主原料として通常鉱石1がベッディング2
により混合された混合粉3、ローブリバー鉱石やマラマ
ンバ鉱石等の高結晶水鉱石4、及び返鉱5を使用し、固
体燃料として粉コークス6を使用する。ここで、高結晶
水鉱石4とは、結晶水を5.0wt%以上含む鉄鉱石を
指す。そして副原料としては、CaO成分添加源の石灰
石7及び/又は生石灰8を、そしてMgO成分添加源と
してマグネサイト9とブルースタイト10の内少なくと
も一方を使用する。これら主原料、副原料及び固体燃料
等の原料を各原料配合槽11から所定の割合で切り出
す。混合粉3と高結晶水鉱石4との配合原料(混合原
料)中の25wt%以上に、高結晶水鉱石を用い、配合
原料に水分12を添加し、ドラムミキサー13で調湿・
混合し、次いで更にドラムミキサー14で造粒するか又
はディスクぺレタイザー15で造粒し、適宜粉コークス
16をコーティングミキサー17で外装して、焼結原料
としての擬似粒子を調製する。なお、コーティングミキ
サー17を通さずにドラムミキサー14又はディスクぺ
レタイザー15で処理し、擬似粒子を調製してもよい。
この場合は、外装粉コークスの当量を原料配合段階で添
加する。こうして調製された焼結鉱原料を火格子移動式
焼結機18のパレットに層状に充填装入し、次いで上層
表面に点火し、下方吸引にて粉コークスを燃焼させて焼
成を行ない、焼結鉱19を製造する。焼成された焼結ケ
ーキを破砕・整粒して焼結鉱成品20を得て高炉21へ
原料として搬送する。また、3〜5mm程度の所定粒度
以下の焼結鉱は返鉱5として所定の原料配合槽11へリ
ターンする。
【0027】上記工程において、原料配合層11からの
各種原料等の配合は、焼結鉱成品20においてその成分
組成が、SiO2含有率が4.6wt%以下、CaO含
有率/SiO2含有率がwt%比で1.0〜3.0の範
囲内、且つMgO含有率が0.5wt%を超えるように
調整する。
【0028】上記成分組成の調整において、MgO添加
源としてマグネサイト及びブルースタイトの内の一方又
は両方を用い、含MgO・SiO2系副原料や含CaO
・MgO系副原料を用いないので、SiO2含有率を目
標値通り低めることが可能となり、しかも、CaO含有
率のうち、MgOと化学結合したCaOの混入を排除す
ることができる。
【0029】この発明において焼結鉱中のSiO2含有
率を、4.6wt%以下に制限する理由は次の通りであ
る。一般に、焼結鉱の還元性や高温性状を改善する方法
としては、焼結鉱中のスラグ量、従ってSiO2含有率
を低減することが効果的であることが知られている。但
し、冷間強度、歩留及び還元粉化性は悪化するという、
互いに相反する関係にあり、両者を改善するためには多
くの困難を伴う。この発明においては、SiO2成分は
高炉内において、焼結鉱中のスラグ融液量を増大させ、
特に、還元性や高温性状に悪影響を与えるので、また、
高炉でのスラグ比低減のために、高炉におけるスラグ組
成の制約、例えば焼結鉱中Al23含有率の上限が特に
低く設定されていない操業条件下では、できるだけ低く
することが望ましい。
【0030】焼結鉱中SiO2含有率を減らす方法とし
て、一般に、SiO2含有率の低い鉄鉱石を使用して
調整する方法と、珪石や蛇紋岩等のSiO2含有副原
料を減らして調整する方法が行なわれている。前者の高
品位鉄鉱石原料の使用によるSiO2含有率の低下調整
方法では、長期的に安定して焼結鉱を製造するのは困難
であり、コスト高となるため、後者の方法が多く採用さ
れている。しかしながら、後者の珪石や蛇紋岩等のSi
2含有副原料を減らす方法の内、珪石を減らしてもM
gO含有率を所定値以上に確保しようとして蛇紋岩を所
定量使用する限り、これからのSiO2成分の混入が加
わってSiO2成分を低く制限することが困難である。
また、このように、蛇紋岩等のMgO・SiO2系副原
料の配合を減らすと、焼結鉱中のMgO含有率を確保す
ることができなくなり、高炉炉内における焼結鉱の高温
性状が悪化する。また、高炉スラグの流動性確保の観点
から、焼結鉱で不足したMgO成分を高炉で補填しなけ
ればならず、結局、高炉に蛇紋岩等の副原料を投入する
ことになるため、高炉スラグ比を減らすことができな
い。
【0031】従って、製鉄所内リサイクル原料の使用に
起源するSiO2の混入は容認し、その他のSiO2混入
源となる造滓剤は使用せずに、所定の品質水準を満たす
ことが必要である。ここで所定の品質水準は、焼結機及
び高炉操業条件によって差はあるが、概ね、JIS還元
率RIが70%程度以上、還元粉化指数RDIが40以
下、そしてタンブラー強度TIが70%以上の高水準を
確保することを目標として、SiO2含有率を4.6%
以下に制限した。このように、焼結鉱中SiO2含有率
を低減することにより、ファイヤライト(2FeO・S
iO2 )のような難還元性物質の発生を抑制し、還元
性を向上させる効果もある。
【0032】一方、焼結鉱成品中のSiO2含有率の下
限値は、鉱石、返鉱、粉コークス及び上述した製鉄所内
リサイクル原料の使用等に起源する、原料供給上及び製
鉄所の工程上・経済性から不可避的に混入するSiO2
分から決まる水準とする。かかる観点から各工場毎に相
違するが、本発明におけるように、MgO添加源として
マグネサイトあるいはブルースタイトを用いた場合に、
例えば3.5wt%前後がSiO2含有率の実用的な下
限値となる。
【0033】また、この発明において、CaO含有率/
SiO2含有率のwt%比、即ち塩基度を、1.0〜
3.0の範囲内に限定する理由は、焼結鉱の強度を確保
するため、及び高炉装入物としての実用的な範囲である
1・0〜3.0の間に設定したものである。ここで留意
すべきは、焼結鉱中CaOの添加源として、ドロマイト
のようなCaO・MgO系副原料を用いた場合には、こ
のCaO成分はフリーCaOとしての作用効果を発揮し
ないので、CaO含有率をSiO2含有率との関係のみ
に依存させた制約の仕方では律することが困難となる。
即ち、この発明においては、SiO2含有率が4.6w
t%以下に限定した上で、しかも塩基度(CaO含有率
/SiO2含有率のwt%比)を1.0〜3.0の範囲
内に制限することに意義がある。
【0034】この発明において、焼結鉱成品中のMgO
含有率を0.5wt%以上に制限するのは、次の理由に
よる。即ち、高炉内における高温性状を確保し、特に耐
還元粉化性を良好にするためには、焼結鉱成品中に所定
含有率以上のMgO成分を確保することが重要である。
その際、「MgO含有率が0.5%以下では、MgOの
上記作用効果が、焼結鉱成品中の他成分組成の変動を考
慮すると、必ずしも十分には発揮されない。一方、Mg
O含有率を2.0%程度まで増加させると、焼結過程に
おいて焼結原料中のスラグの滓化が悪化し、焼結鉱生産
率が低下する。MgO含有率は1.5%程度確保されれ
ばその作用、効果は十分発揮される。また、MgO添加
剤のコスト低減上、それは少ない方が有利である。従っ
て、MgO成分添加のメリットとデメリットとのバラン
スから、その含有率の上限はそのときの周辺条件により
適宜制限すべきである。以上より、焼結鉱成品中のMg
O含有率は、0.5%超えに限定し、望ましくはその上
限値を2.0wt%、更に望ましくは1.5wt%に設
定する。
【0035】なお、マグネサイト9及びブルースタイト
10の粒子径は、焼結用鉱石等残部原料及び副原料と同
じ程度であれば、混合、造粒工程でその粒子分散が一層
均一となり、MgO添加の作用が一層十分に発揮され、
特に還元粉化性等の品質改善効果が大きくなる。粒径が
10mm程度以上のマグネサイト及びブルースタイトは
他の工業成品として使用されているが、それより細粒の
ものは有効利用先がないので、本発明の焼結鉱製造で使
用すれば一層望ましい。
【0036】粉コークスの配合割合は、造粒方法及び添
加方法により適正範囲は変化するが、生産率及び歩留維
持の観点、並びに還元性及び還元粉化性向上のために、
過溶融防止の観点から、凡そ35〜45kg/t−成品
が適当である。
【0037】
【実施例】次に、この発明を実施例によって更に詳細に
説明する。図1に示した焼結鉱製造フローに従い、下記
焼結鉱の製造試験を行なった。表1に、この試験で用い
た原料の成分組成を示す。
【0038】
【表1】
【0039】本発明範囲内の方法である実施例1〜1
0、並びに、本発明範囲外の方法である従来法1〜4及
び比較例1〜10によりそれぞれ焼結鉱を製造した。本
発明の範囲外の方法である、従来法1〜4においては、
混合原料(混合粉−A、−B、−C+高結晶水鉱石−マ
ラマンバ、−ローブリバー)中の高結晶水鉱石の使用比
率が25wt%未満であって、MgO添加源物質として
蛇紋岩又はドロマイト(いずれも図示せず)を用いたの
に対して、比較例1〜10においては、高結晶水鉱石4
の使用比率が25wt%以上であって、その内比較例1
〜8においては、MgO添加源物質として蛇紋岩又はド
ロマイトを用い、比較例9及び10においては、MgO
添加源物質としてマグネサイト9とブルースタイト10
を用いた。
【0040】詳細には、使用した鉄鉱石に関して、従
来法1及び2においては、混合原料中の20wt%は高
結晶水鉱石を、残部は混合粉を用い、従来法3及び4に
おいては、混合粉のみを用いたのに対して、比較例1〜
10及び実施例1〜10においては、混合原料中の35
wt%は高結晶水鉱石を、残部は混合粉を用いた。ま
た、使用したMgO添加源物質に関して、従来法1〜
4及び比較例1〜8においては、蛇紋岩又はドロマイト
のみを用い、比較例9及び10においては、マグネサイ
ト9及びブルースタイト10のみを用いた。
【0041】表2、表3及び表4のそれぞれに、実施
例、従来法及び比較例の原料配合を示し、表5に、比較
例9及び比較例10並びに実施例1〜10で使用したマ
グネサイト及びブルースタイトの粒度分布を示す。な
お、同表には混合粉の粒度分布を併記した。
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【0044】
【表4】
【0045】
【表5】
【0046】上記配合条件で焼結鉱を製造した。そし
て、各焼結鉱成品の化学成分を分析すると共に、焼結鉱
製造の操業成績を調査し、焼結鉱の品質試験を行なっ
た。表6、表7及び表8のそれぞれに、実施例、従来法
及び比較例で製造された焼結鉱成品の化学成分組成及び
塩基度(C/S≡CaOwt%/SiO2wt%)を示
す。
【0047】
【表6】
【0048】
【表7】
【0049】
【表8】
【0050】また、図2、図3及び図4のそれぞれに、
実施例、従来法及び比較例で製造された焼結鉱の品質試
験結果及び操業成績を示す。焼結鉱の品質評価は、冷間
強度をJIS法タンブラー強度TIで、還元性をJIS
還元率RIで、そして還元粉化性を日本鉄鋼協会製銑部
会法の還元粉化指数RDIで評価した。
【0051】次に、上記試験で得られた焼結鉱製造にお
ける原料配合条件及び焼結鉱成品の分析結果と、焼結鉱
成品品質と焼結操業成績との関係の特徴について述べ
る。
【0052】(1)実施例1〜10 実施例における原料配合ではいずれも、混合原料とし
て、混合粉−A、−B、−Cの内いずれかを65wt%
と、マラマンバ鉱石10wt%及びローブリバー鉱石2
5wt%で高結晶水鉱石35wt%を配合した。MgO
添加源物質として、マグネサイト又はブルースタイトの
いずれか一方又は両方を用い、目標MgO含有率1.5
wt%及び1.0wt%の2水準、目標SiO2含有率
3.8wt%、4.0wt%及び4.5wt%の3水準
とした。これらの低SiO2含有率は、MgO添加源と
して蛇紋岩及びドロマイトのいずれをも用いないことに
より、比較的安価に達成された。そして、塩基度はいず
れも2.0を目標とした。
【0053】上記実施例1〜10で製造された焼結鉱は
いずれも、焼結鉱成品中のSiO2含有率、MgO含有
率及び塩基度が本発明の制限条件を満たすものであっ
た。そして、焼結鉱成品の品質は還元性、還元粉化性及
び冷間強度に優れている。また、焼結鉱の生産率及び成
品歩留のいずれにおいても高水準が確保されている。こ
れは、焼結鉱の原料配合におけるMgO含有率の調整方
法として、マグネサイト又はブルースタイトを使用した
ことにより、SiO2含有率を4.6wt%以下に抑え
つつ、MgO含有率を0.5wt%以上に確保できたこ
と、及び、蛇紋岩及びドロマイトあるいは軽焼ドロマイ
トを使用しなかったことにより、高結晶水鉱石の溶融焼
結を適切に制御することができ、焼結機パレット上の層
状焼結鉱原料に対する局部的過溶融や、通気性悪化に起
因する炭材燃焼遅れを防止することができ、溶融―焼結
による焼成を均一且つ速やかに行なわせることができた
ためであると考えられる。
【0054】(2)従来法1〜4、比較例1〜10 ●従来法1及び2においては、高結晶水鉱石の配合割合
が20wt%と比較的小さいので、MgO添加源物質と
して、それぞれMgO−SiO2系である蛇紋岩、及び
MgO−CaO系であるドロマイトを用いることによ
り、MgO含有率1.0wt%及び1.5wt%水準の
原料配合を行なっているが、低SiO2焼結鉱製造操業
により、成品品質及び操業成績が良好に維持されてい
る。●また、従来法3及び4においては更に、高結晶水
鉱石を用いず、上記従来法1及び2に準じたMgO添加
と低SiO2焼結鉱製造操業を行なうことにより、成品
品質及び操業成績が良好に維持されている。
【0055】これに対して、比較例1〜10においては
いずれも、高結晶水鉱石を35wt%の高水準配合とし
ているので、MgO添加源物質として蛇紋岩又はドロマ
イトを用いた(比較例1〜8)か、又は塩基度もしくは
MgO含有率が本発明の制限範囲よりも低かった(それ
ぞれ比較例9及び10)かによって、焼結鉱の成品品質
又は操業成績に低下が見られた。具体的所見は次の通り
である。
【0056】●比較例1〜3においては、MgO添加源
物質として蛇紋岩を用いたので、焼結鉱成品のSiO2
含有率を4.6wt%以下に下げられなかったので、焼
結鉱成品の還元率RIが低下した。●比較例4〜6は、
MgO添加源物質としてMgO−CaO系であるドロマ
イトを用いた場合である。焼結鉱成品のSiO2含有率
は4.6wt%以下に下げることができたが、ドロマイ
トを用いたので、フリーCaO成分が不足して滓化性が
悪化した。そのために焼成時の融液生成が不十分とな
り、焼結鉱の生産率及び歩留が低下した。なお、比較例
5においては、SiO2含有率が3.03wt%という
低SiO2混合粉−Bを用いて、焼結鉱成品のSiO2
有率を3.84wt%まで低めたので、焼結鉱成品の還
元率RIに改善効果ががみられたに留まった。●比較例
7及び8においては、低SiO2混合粉−Bを用い、且
つ、それぞれMgO添加源としての蛇紋岩及びドロマイ
トの配合割合を下げることにより、焼結鉱の生産率及び
歩留改善を試みたが、目立った効果顕われなかった。な
お、低SiO2混合粉−Bを大量に用いる操業は、原料
コスト及び原料需給上望ましくない。●比較例9及び1
0は、MgO添加源としてマグネサイト及びブルースタ
イトを用いた場合である。比較例9は、塩基度が本発明
の下限値(1.0)未満である0.79と低値の場合で
ある。もともと低SiO2操業条件下にあるので、フリ
ーライム量が不足して焼成時の融液生成量が不足したの
で、焼結鉱成品の冷間強度が低く、更に生産率及び歩留
が低い。比較例9においては、マグネサイト及びブルー
スタイトの粒度分布が小さい方に偏っている(表5参
照)ことも、上記結果を劣化させている。比較例10
は、焼結鉱製品中のMgO含有率が0.41wt%と低
いことだけが、本発明の制限条件の範囲外である。Mg
O含有率が低いので、耐還元粉化性がRDI=49.5
と劣っている。
【0057】
【発明の効果】以上述べたように、この発明によれば、
高炉用焼結鉱の配合原料として、高結晶水鉱石を多量に
使用した場合でも、MgO含有率を確保するために、蛇
紋岩で代表されるSiO2・MgO系副原料や、ドロマ
イト及び軽焼ドロマイトで代表されるCaO・MgO系
副原料を添加せずに、マグネサイトあるいはブルースタ
イトを用いて、SiO2含有率が4.6%以下でSiO2
/CaOがwt%比で1.0〜3.0の範囲内で、且つ
MgO含有率が0.5%超えの低シリカ焼結鉱を製造す
ることができる。この焼結鉱の使用により、高炉操業で
のスラグ中MgOの成分調整が不要であり、一方、焼結
工程での生産率及び成品歩留を従来の良好な水準に維持
しつつ、焼結鉱中SiO2含有率を低めて、還元性、還
元粉化性及び高温性状に優れた焼結鉱を安価に安定して
製造できるようになる。その結果、高炉の燃料比及びス
ラグ比の低減、あるいはまた、高微粉炭吹込み操業など
の達成が可能となる。このような高炉用高品質低SiO
2焼結鉱の製造方法を提供することができ、工業上有用
な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態を説明する焼結鉱製造工程
の概略フロー図である。
【図2】実施例で製造された焼結鉱の品質試験結果及び
操業成績を示すグラフである。
【図3】従来法で製造された焼結鉱の品質試験結果及び
操業成績を示すグラフである。
【図4】比較例で製造された焼結鉱の品質試験結果及び
操業成績を示すグラフである。
【符号の説明】
1 通常鉱石 2 ベッディング 3 混合粉 4 高結晶水鉱石 5 返鉱 6 コークス粉 7 石灰石 8 生石灰 9 マグネサイト 10 ブルースタイト 11 原料配合槽 12 水分 13 ドラムミキサー 14 ドラムミキサー 15 ディスクペレタイザー 16 粉コークス 17 コーティングミキサー 18 火格子移動式焼結機 19 焼結鉱 20 焼結鉱成品 21 高炉 22 溶銑滓
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 六川 庄一 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 町田 智 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 佐藤 秀明 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 橋本 健 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 渡辺 芳典 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 坂本 登 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 4K001 AA10 BA02 CA33

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高炉への装入原料である焼結鉱を製造す
    る工程において、焼結用混合原料中の25wt%以上
    に、結晶水を5.0wt%以上含む高結晶水鉱石を用
    い、前記焼結鉱の成品中SiO2含有率が4.6wt%
    以下、CaO含有率/SiO2含有率がwt%比で1.
    0〜3.0の範囲内、且つMgO含有率が0.5wt%
    を超える焼結鉱を製造するに際して、含MgO副原料と
    してマグネサイト及びブルースタイトの内の一方又は両
    方を用い、SiO2・MgO系副原料及びCaO・Mg
    O系副原料のいずれをも用いずに、前記焼結鉱の成品中
    スラグ成分組成を調整することを特徴とする高炉用高品
    質低SiO2焼結鉱の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記SiO2・MgO系副原料は蛇紋岩
    であり、前記CaO・MgO系副原料はドロマイトであ
    る、請求項1記載の高炉用高品質低SiO2焼結鉱の製
    造方法。
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