JP2016194114A - 焼結鉱の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】焼結鉱の被還元性の向上と還元粉化性の抑制を同時に可能とする。【解決手段】混合・造粒開始後の所定時間の経過後に炭材の一部又は全部を添加する炭材後添加法を用いた焼結鉱の製造方法において、混合・造粒開始から全混合・造粒時間の50%以上経過後に、炭材全量の75質量%以上の炭材を添加し、焼結鉱のMgO含有量を1.5質量%以上2.0質量%以下とすることを特徴とする焼結鉱の製造方法である。【選択図】図8

Description

本発明は、被還元性と耐還元粉化性に優れる焼結鉱の製造方法に関する。
通常の焼結鉱の製造方法は、概略以下のように製造される。つまり、先ず、焼結原料をドラムミキサーやデイスクペレタイザーなどの造粒機で水分を調節しながら混合、造粒して擬似粒子化した後、焼結機の焼結パレットに層状に装入し、焼結原料表層中の炭材に着火し、焼結原料の上から下の厚み方向に吸引通風することによって、焼結原料の燃焼点を順次下層側に移行させ、焼結反応を進行させることにより行なわれる。
焼成後の焼結パレット内の焼結ケーキは、高炉用焼結鉱として適した所定粒径となるように解砕、整粒される。この際、所定粒径より小さい焼結鉱や、高炉までの搬送中の崩壊により発生じた焼結粉は、それぞれ、焼結返鉱、焼結篩下粉と呼ばれ、再度、焼結原料中に配合し使用される。
焼結原料は、主原料である約10mm以下の鉄鉱石粉及び製鉄ダスト(製鉄ダスト、製鋼ダスト、スケール等)などからなる鉄含有原料に、焼結反応と成分調整のために必要である石灰石、ドロマイト、転炉スラグ、蛇紋岩、珪石及び橄欖岩などからなる副原料と、熱源であるコークス粉及び無煙炭などからなる炭材と、上記焼結返鉱及び焼結篩下粉を、それぞれ所定の割合で配合して構成されている。
焼結鉱は、高炉で溶銑を製造する際の主要原料であり、高炉の操業や溶銑品質及び生産性を良好に維持するために、特に、冷間強度(タンブラー強度TIで73%以上)、被還元性(JIS−RI)、耐還元粉化特性(RDI)、及び、高温溶融特性(滴下開始温度が1410〜1430℃)などの品質が要求される。また、これら焼結鉱の品質及び焼結鉱製造時の生産性や、成品歩留は焼結原料の主要原料である鉄鉱石などの鉄含有原料に大きく左右される。
高炉においては、炉頂から鉄系原料(酸化鉄を含む原料、主として、焼結鉱)及びコークスを層状に装入し、高炉下部の羽口から熱風を送風する。これにより、高炉内を降下する酸化鉄を加熱するともに、主としてCOからなる還元ガスにより還元する。すなわち、銑鉄を製造する。
このような高炉操業において、省エネルギーなどの観点から還元材比を低減する技術について検討が重ねられている。ここで、還元材比は、高炉に導入される全ての還元材の原単位、すなわちコークスの原単位及び羽口から吹き込まれる微粉炭の原単位の総和として示される。
高炉の還元材比を低減させるには、装入原料の反応特性を改善することが必要であり、主な反応特性として被還元性があげられる。一方で高炉の安定的な操業のためには炉内通気性の確保も必要であり、焼結鉱の強度、粉率、還元粉化性も重要な性状であり操業上管理されている。すなわち、高炉の低還元材比操業を達成するためには、特定のひとつの性状だけではなく、還元および通気に関する複数の性状が満足されなければならない。
焼結原料の混合、造粒工程において、炭材(粉コークス、無煙炭)の添加位置を変化させて、焼結反応を制御し、焼結鉱品質を改善する技術(炭材後添加法)が開示されている。また、石灰石と炭材系粉原料をドラムキサーの下流側から所定の滞留時間となるようにして、原料の外装部に付着・形成することを特徴とする被還元性に優れ冷間強度の高い焼結鉱の製造方法が開示されている
下方吸引のドワイトロイド式焼結機を用いて高炉用焼結鉱を製造するプロセスの事前処理として、鉄鉱石、SiO2 含有原料、石灰石系粉原料および炭材系粉原料からなる焼結原料をドラムミキサーを用いて造粒するに際し、前記ドラムミキサーの装入口から石灰石系粉原料および炭材系粉原料を除く焼結原料を装入して造粒すると共に該焼結原料が前記ドラムミキサーの排出口に到達するまでの滞留時間が10〜90秒範囲となる下流側途中に設定した領域で石灰石系粉原料および炭材系粉原料を添加し、排出口に至る間に石灰石系粉原料と炭材系粉原料を焼結原料の外装部に付着・形成する、被還元性に優れ冷間強度の高い焼結鉱の製造方法が開示されている(特許文献1)。
焼結鉱製造用の炭材を分級して、1mm以下の含有量が73.0質量%以上の篩下炭材と、篩上炭材を得る工程と、前記篩下炭材に1mm以下の含有量が70質量%以上であるCa含有原料を、前記篩下炭材と前記Ca含有原料の合計に対してCaで5質量%以上50%以下配合し、混合・造粒して微粉造粒炭材を製造する工程と、鉄鉱石、返鉱及び副原料を含む原料を混合・造粒する合計の時間に対して、前記混合・造粒を開始してから50%を超える時間が経過した時点で、前記篩上炭材と前記微粉造粒炭材を添加して、前記鉄鉱石、返鉱及び副原料を含む原料、前記篩上炭材及び前記造粒炭材を混合・造粒する工程とを実施することを特徴とする、高い生産性向上効果の発現とNOx抑制の両立を可能とする微粉造粒炭材を用いた焼結鉱の製造方法が開示されている(特許文献2)。
また、還元粉化性を改善させる方法として、焼結鉱のMgO成分を増加させる方法が知られている。焼結鉱は、塊鉱石やペレットに比べて高炉シャフト部の500℃付近の低温域で粉化を起こしやすく、これを還元粉化といわれる(非特許文献1)。
還元粉化性が高い焼結鉱は、高炉のシャフト上部の500℃付近で粉化し、高炉操業にとって好ましくない。
特開2003−138319号公報 特開2013−216938号公報
一般社団法人、日本鉄鋼協会鉄鋼便覧 第5版(2014年) 第1巻(製銑・製鋼), p.60。4
前記特許文献1に記載の発明は、焼結原料のドラムミキサーの混合・造粒の後半に、石灰石系粉原料および炭材系粉原料を添加する(炭材および石灰の後添加法)ことにより、冷間強度が高く、被還元性の高い焼結鉱を製造するものであり、還元粉化性についての記載がない。
前記特許文献2に記載の発明は、炭材および石灰の後添加法炭材により、焼結排煙中のNOxの低減を課題とするものである。
特許文献1又は特許文献2に記載の炭材後添加炭材法では、焼結鉱の被還元性を向上させることができるが、その反面、還元粉化性が悪化するという問題がある。従来、この2つの性質を両立させる焼結鉱の製造方法は知られていなかった。
非特許文献1には、焼結鉱のMgO含有量の増加により耐還元粉化性の向上が可能であるという記載がある。しかし、高炉操業をより効率良く改善することができる燒結鉱の品質とその成分条件については知られていなかった。
焼結鉱の成分条件としては、焼結鉱のFeO含有量は、焼結鉱の還元粉化性と被還元性と密接に関連する。焼結鉱のFeO含有量を低下させると、焼結鉱の被還元性は向上するが、還元粉化性は悪化する。
本発明の目的は、焼結鉱の被還元性の向上と還元粉化性の抑制を同時に可能とする焼結鉱の製造方法を提供することである。
本発明者は、(1)混合・造粒開始後の所定時間の経過後に炭材の一部又は全部を添加する炭材後添加法において、炭材の添加位置と添加量を最適化すること、合せて(2)焼結鉱のMgO含有量をコントロールすることにより、還元粉化性の向上と還元粉化性の抑制を両立させることができることを見出した。
本発明の要旨は以下の通りである。
混合・造粒開始後の所定時間の経過後に炭材の一部又は全部を添加する炭材後添加法を用いる焼結鉱の製造方法において、混合・造粒開始から全混合・造粒時間の50%以上経過後に、炭材全量の75質量%以上の炭材を添加し、合せて、焼結鉱のMgO含有量を1.5質量%以上2.0質量%以下とする。
さらに、副原料中の含MgO原料は、粒径0.25mm以下の割合が25質量%未満で、かつ、粒径5mm以上の割合が10質量%未満であることが好ましい。
焼結鉱の被還元性の向上と還元粉化性の抑制を同時に可能とする燒結鉱の製造方法を提供することができる。
焼結プロセスの概要と炭材の添加位置を説明する図。 炭材の添加位置と添加量を説明する図。 炭材の添加位置、添加量と焼結鉱JIS−RIの関係を説明する図。 炭材の添加位置、添加量と焼結鉱FeOの関係を説明する図。 炭材の添加位置、添加量と焼結鉱RDIの関係を説明する図。 焼結鉱MgOとRDIの関係を示す図。 焼結鉱MgOとJIS−RIの関係を示す図。 本発明による効果(JIS−RIとRDI)を示す図。
発明の実施の一態様を説明する。
図1は、焼結プロセスの概要と炭材の添加位置を説明する図である。
本発明が前提とする炭材後添加法とは、熱源である炭材(粉コークス、無煙炭)の添加位置を、全混合・造粒時間の50%以上経過後とし、後添加される炭材の比率が炭材全量対して75質量%以上とする。
これは、後添加用のコークス槽1を1次ドラムミキサーと二次ドラムミキサーの間、または二次ドラムミキサーの下流側に設け、そこでの切り出し量を前添加用のコークス槽2の切り出し量との合計量に対して75質量%以上とすることで達成できる。
同時に、焼結鉱のMgO含有量を1.5質量%以上2.0質量%以下と調整する。
これは、副原料のひとつである、蛇紋岩、橄欖岩、Niスラグなどの含MgO原料の配合量を調整することで達成できる。
(炭材の添加位置の変更について)
焼結原料をドラムミキサーにより混合・造粒する際に、炭材の添加位置を変更し、擬似粒子を作成した。作成した擬似粒子を鍋試験により、焼結鉱を製造する試験を実施した。
焼結原料は、7種類の鉄鉱石を一般的な条件の混合比で配合し、新原料(副原料と、返鉱、粉コークスを除く鉄含有原料との合計)に対して、返鉱を20質量%、粉コークスを5質量%の割合で配合した。焼結鉱の成分が、一般的な成分である、CaO=10.04質量%、SiO2=5.24質量%、MgO=1.11質量%、Al=1.80質量%となるように、鉄鉱石と石灰石、珪石などの副原料の配合割合を調整した。
得られた焼結鉱については、強度(TIタンブラー強度)、還元粉化性(RDI)、被還元性(JIS−RI)を測定した。
なお、焼結鉱の還元粉化性(RDI)は、JIS M8720に準じて測定する。16−20mmに篩い分けた500gの焼結鉱試料を、550℃のもとで、COを30%、N2を70%含む還元ガスで30分間還元し、その後に、回転ドラム内に充填し、900回転させた後、篩い分け、−2.83mmの割合で表示する。
また、焼結鉱の被還元性(JIS−RI)は、JIS M8713に準じて測定する。19.0−22.4mmに篩い分けた500gの焼結鉱試料を、900℃のもとで、COを30%、N2を70%含む還元ガスで180分間還元した後、還元前の被還元酸素量に対する還元酸素量の割合で表示する。
ここでは、ドラムミキサーを2台直列で連続的に使用する実機工程を想定した。実機によっては、1台のみ、もしくは3台直列という例もあるが、取り扱い方は同じである。
図2は、炭材の添加位置と添加量を説明する図である。
添加位置Xは、造粒工程である1次ドラムミキサー前を0%、2次ドラムキサー後を100%とし、任意でXを変化させた。また添加量について、炭材全量(粉コークスと無煙炭の合計)を100%として、1次ドラムミキサー以降に添加する量をY(%)と定義した。
図3は、炭材の添加位置、添加量と焼結鉱JIS−RIの関係を説明する図である。XおよびYと、焼結して得られる焼結鉱の被還元性JIS−RIの関係から、Xが大きいほど、かつYが大きいほど、JIS−RIが向上することを見出した。
図4は、炭材の添加位置、添加量と焼結鉱FeOの関係を説明する図である。XおよびYと、焼結して得られる焼結鉱のFeOの関係から、Xが大きいほど、かつYが大きいほど、焼結鉱のFeOが低下することを見出した。
焼結鉱のFeOが低下することによる被還元性JIS−RIの向上は、ヘマタイト量の増加に起因すると考えられる。即ち、図3、図4で、Xが大きいほど、かつYが大きいほど(即ち、炭材のドラムミキサーへの添加が遅いほど)、炭材の擬似粒子中の配置が外装化(擬似粒子の核の周囲に、粉の炭材が付着すること)していき、(1)燃焼中の酸素との接触が良好となり、燃焼が活発となり最高温度が上昇する。(2)燃焼が活発化する結果、擬似粒子周辺のCO/CO比率が上昇し、より酸化性雰囲気となる、(3)燃焼が活発化する結果、融液量が増大してマクロ空隙の再配列が促され、気孔が大きくなり、焼結充填層のガス流れが均一化して、冷却過程で酸素が均一供給されヘマタイト量が増加する、ためであると考えられる。
そして、X≧50%、かつ、Y≧75%で、JIS−RIの向上効果が大きくなることを見出した。
Xが50%未満、かつ、Yが75%未満では、擬似粒子中に炭材が埋没してしまい、大きな被還元性向上の効果を得ることが難しい。
図5は、炭材の添加位置、添加量と焼結鉱RDIの関係を説明する図である。
図5で、Xが大きいほど、かつYが大きいほど(即ち、炭材のドラムミキサーへの添加が遅いほど)焼結鉱RDIが大きくなり、悪化する。この原因は、炭材のドラムミキサーへの添加が遅くなることで、炭材の擬似粒子中の配置が外装化(擬似粒子の核の周囲に、炭材が付着すること)していき、燃焼が活発となり最高温度が上昇するが、カーボンと酸化鉄(へマタイト)の反応により生成されたマグネタイトが、焼結の冷却過程で、一部、再酸化へマタイト(2次ヘマタイト)となり、該2次へマタイトが、高炉内での還元で粉化すると考えられる。即ち、還元粉化は、高炉内でのヘマタイトのマグネタイトへの還元時の体積膨張が主原因であり、常温強度とは必ずしも対応しない。よって、還元粉化は、焼結鉱中に含有するヘマタイト量や、ヘマタイトの結晶形態差、歪みや基質強度などに左右される。特に、還元粉化の原因としては、焼結鉱中に存在する2次ヘマタイトの1種である骸晶状菱形ヘマタイトや巨晶ヘマタイトなどの特異組織、アルミナ固溶ヘマタイトの結晶歪などが知られている(鉄と鋼、62(1976)、S419)。
炭材のドラムミキサーへの添加が遅くなることで、焼結鉱RDIが悪化することに対し、焼結鉱のMgOを増加させた。
図6は、焼結鉱MgOとRDIの関係を示す図であり、図7は、焼結鉱MgOと焼結鉱JIS−RIの関係を示す図である。焼結鉱のMgOを1.5質量%〜2質量%にすることにより。RDIを35%以下、JIS−RIを60%以上に確保することができた。
炭材の後添加条件では、従来の前添加よりも、炭材の外装化で焼成温度が高くなるためにMgO含有原料の反応率が高められた結果、マグネタイトが増加してRDIの改善効果が大きい。一方で、マグネタイトの一部は、冷却過程でヘマタイト化するので、被還元性は高位を保つことができる。MgO含有原料の配合量を調整することにより、被還元性にすぐれ、かつ、還元粉化性の少ない燒結鉱の生産が可能となる。
ここで、含MgO原料の粒度の影響について述べる。MgO成分は焼結系のスラグ成分との滓化性が悪いことがよく知られている。特に高温保持時間が数分と限定される焼結工程においては、使用する含MgO原料の粒度によって、MgO成分のスラグへの滓化性が左右され、その結果、焼結鉱の品質も影響を受ける。焼結鉱製造工程では、含MgO原料の粒度は2つの因子で制約される。細粒の場合、RDIの改善効果が大きく発揮される一方で、過度に細粒化するとMgO成分は主要融液源であるカルシウムフェライト系融液の融点を上げるので、融液生成量が減少し、反応性を高め過ぎると逆に強度と歩留の低下を招く。例えば、含MgO原料である蛇紋岩を細粒化することでRDI(還元粉化性)が低下、改善される例が開示されている(鉄と鋼、70(1984)、S18)。
一方、粗粒の場合は、強度及び歩留は改善傾向となるが、過度に粗粒化すると、MgOの反応を抑制することになる。その結果、マグネタイトは不安定化し、再酸化ヘマタイトへ変化する量が増えて、組織全体としてマグネタイトの減少、ヘマタイトの増加となり、RDI悪化を招き、RDIの改善効果そのものが得られなくなる。
以上より、前記MgOを得るための含MgO原料として、粒径0.25mm以下の割合が25質量%未満で、かつ、粒径5mm以上の割合が10質量%未満である粒度分布を有する原料を配合することが好ましい。
図8は、本発明による効果(JIS−RIとRDI)を示す図である。図3.5.6、7を整理したものである。
図中のAは、X:0.Y;100(焼結原料の造粒開始と同時に炭材の全部を添加)であり、RDIは小さいが、JIS−RIが低い。Bは、X:75.Y;100(焼結原料の造粒時間の75%経過後に、炭材の全部を添加)であり、JIS−RIは、66%に上昇するがRDIも39%に上昇する。Cは、X:100.Y;100(焼結原料の造粒時間の経過後に、炭材の全部を添加)であり、JIS−RIは、70%に上昇するがRDIは45%に悪化する。A,B.Cは、焼結鉱のMgOは、1.1質量%である。
RDIの悪化に対し、焼結鉱のMgOを、1.5質量%に上昇させた。本発明であるDは、X:75.Y;100(焼結原料の混合・造粒時間の75%経過後に、炭材の全部を添加)であり、JIS−RIは、65%で高めに維持しつつ、RDIは34%に低下することができた。本発明で、JIS−RIは高く、RDIは低い焼結鉱の製造が可能となる。
次に、本発明の実施例について説明するが、実施例での条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件の例であり、本発明は、この一条件の例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
実機で、炭材の添加位置と添加量、および焼結鉱成分を変更して、異なる性状を有する焼結鉱を製造し、高炉使用時の通気性と還元材比を比較した。
焼結鉱は80%の割合でペレット及び塊鉱石とともに高炉に装入し、1ヶ月間の操業結果を平均値で評価した。MgO含有原料として橄欖岩を使用した。
実施結果を表1に示す。
比較例1(ベース操業)は、炭材を全量1次ドラムキサーの造粒前で添加し、焼結MgOを1.11%とした従来のベース操業である。
RDIは33%で良好であったが、JIS−RIは66.6%で低く、その結果、高炉の還元材比は505kg/tで高目であった。
比較例2は、比較例1(ベース操業)に対し、炭材の全量を混合・造粒過程の50%位置に変更した。その結果、JIS−RIは72.0%と大幅に改善された。しかし、RDIが45.0%と大幅に悪化した。高炉使用の結果、還元諸元は良好であったもののシャフト上部の通気が悪化して安定せず、結果、還元材比は改善されず、比較例1と同程度であった。
比較例3は、比較例2と同じ炭材の添加方法であり、焼結鉱のMgO成分を2.01%まで増加させた。RDIは33%まで回復し、JIS−RIも69.0%と高位を維持したものの、強度(TI)の低下が顕著であった。その結果、高炉の還元材比は510kg/tとむしろ悪化した。
比較例4は、比較例1(ベース操業)と同じ炭材の添加方法で、焼結鉱のMgO成分を1.52%まで増加させた。RDIは32%と低いが、JIS−RIは65.0%と低下した。その結果、高炉の還元材比は515kg/tとむしろ悪化した。
発明例1では、比較例2と同じ炭材の添加方法で、焼結鉱のMgO成分を1.52%まで増加させた。RDIは35%まで回復し、JIS−RIも70.0%と高位を維持した。その結果、高炉の還元材比は480kg/tまで低減した。
発明例2では、炭材の全量を造粒過程の100%位置で添加し、焼結鉱のMgO成分を1.52%まで増加させた。RDIは35.5%と若干悪化するものの、JIS−RIは72.0%と更に高位となった。その結果、高炉の還元材比は475kg/tまで低減可能であった。
発明例3では、炭材の75%を造粒過程の100%位置で添加し、焼結鉱のMgO成分を1.52%まで増加させた。RDIは35.0%と比較的良好であり、JIS−RIは70.0%と高位であった。その結果、高炉の還元材比は480kg/tまで低減可能であった。
発明例4は、含MgO原料の粒度を細粒化する実験を行った。
発明例1と同じ炭材の添加方法、同じ焼結鉱のMgO成分とし、含MgO原料の粒度を−0.25mmが増加するように細粒化させた。RDIは34.0%と良好となり、JIS−RIも69.0%と高位を維持するものの、強度指標TIが若干悪化した。その結果、高炉の還元材比は500kg/tに留まり大幅な削減には至らなかった。
発明例5では、発明例1と同じ炭材の添加方法、同じ焼結鉱のMgO成分とし、含MgO原料の粒度を+5mmが増加するように粗粒化させた。JIS−RIは70.0%と高位を維持したものの、RDIは37.0%と若干、悪化した。その結果、高炉の還元材比は500kg/tに留まり大幅な削減には至らなかった。
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
焼結鉱の被還元性の向上と還元粉化性の抑制を同時に可能とする燒結鉱の操業方法およびそれを用いた高炉操業に利用することができる。
1:後添加用のコークス槽、2:前添加用のコークス槽。

Claims (2)

  1. 混合・造粒開始後の所定時間の経過後に炭材の一部又は全部を添加する炭材後添加法を用いた焼結鉱の製造方法において、
    混合・造粒開始から全混合・造粒時間の50%以上経過後に、炭材全量の75質量%以上の炭材を添加し、
    焼結鉱のMgO含有量を1.5質量%以上2.0質量%以下とすることを特徴とする焼結鉱の製造方法。
  2. 副原料中の含MgO原料は、粒径0.25mm以下の割合が25質量%未満で、かつ、粒径5mm以上の割合が10質量%未満であることを特徴とする請求項1に記載の焼結鉱の製造方法。
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