JP2003138319A - 焼結用原料の製造方法 - Google Patents

焼結用原料の製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 被還元性に優れ冷間強度の高い焼結鉱を製造
する。 【解決手段】 下方吸引のドワイトロイド式焼結機を用
いて高炉用焼結鉱を製造するプロセスの事前処理とし
て、鉄鉱石、SiO2 含有原料、石灰石系粉原料および
固体燃料系粉原料からなる焼結原料をドラムミキサーを
用いて造粒するに際し、前記ドラムミキサーの装入口か
ら石灰石系粉原料および固体燃料系粉原料を除く焼結原
料を装入して造粒すると共に該焼結原料が前記ドラムミ
キサーの排出口に到達するまでの滞留時間が10〜90
秒範囲となる下流側途中に設定した領域で石灰石系粉原
料および固体燃料系粉原料を添加し、排出口に至る間に
石灰石系粉原料と固体燃料系粉原料を焼結原料の外装部
に付着・形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【発明の属する技術分野】本発明は、下方吸引のドワイ
トロイド式焼結機を用いて高炉用焼結鉱を製造する際に
用いる焼結用原料の製造方法に関するものである。
【従来の技術】高炉用原料として用いられる焼結鉱は、
一般的に次のような焼結原料の処理方法を経て製造され
ている。図1に示すように、まず、粒径が10mm以下
の鉄鉱石1、および珪石、蛇紋岩または、ニッケルスラ
グなどからなるSiO2 含有原料2、石灰石などのCa
Oを含有する石灰石系粉原料3、および粉コークスまた
は無煙炭などの熱源となる固体燃料系粉原料4をドラム
ミキサー5を用いて、これに適当量の水分を添加して混
合、造粒して擬似粒子と呼ばれる造粒物を形成する。こ
の造粒物からなる配合原料は、ドワイトロイド式焼結機
のパレット上に適当な厚さ例えば500〜700mmに
なるように装入して表層部の固体燃料に着火し、着火後
は下方に向けて空気を吸引しながら固体燃料を燃焼さ
せ、その燃焼熱によって配合した焼結原料を焼結させて
焼結ケーキとする。この焼結ケーキは破砕、整粒され、
一定の粒径以上の焼結鉱を得る。一方、それ未満の粒径
を有するものは返鉱となり、焼結原料として再利用され
る。このように製造された成品焼結鉱の被還元性は、従
来から指摘されているように、とくに高炉の操業を大き
く左右する因子となる。通常、焼結鉱の被還元性はJI
SM8713で定義されており、ここでは、焼結鉱の被
還元性をJIS−RIと記す。図2に示すように、焼結
鉱の被還元性(JIS−RI)と高炉でのガス利用率
(ηco)との間には正の相関があり、また、図3に示す
ように、高炉でのガス利用率(ηco)と燃料比との間に
は負の相関がある。このため、焼結鉱の被還元性(JI
S−RI)は、高炉でのガス利用率(ηco)を介して燃
料比と良好な負の相関があり、焼結鉱の被還元性を向上
させると、高炉での燃料比は低下する。なお、ガス利用
率(ηco)と燃料比は、下記のとおり定義される。 ガス利用率(ηco)= CO2(%)/〔CO(%)+ CO
2 (%)〕 ここで、CO2(%) 、CO(%)は、いずれも高炉の炉頂ガ
ス中の体積%である。 燃料比=(石炭+コークス)の使用量(kg)/銑鉄
(1ton ) さらに、製造された成品焼結鉱の冷間強度も高炉での通
気性を確保する上での重要な因子であり、各々の高炉で
は、冷間強度の下限基準を設けて、操業を行っている。
したがって、高炉にとって望ましい焼結鉱とは、被還元
性に優れ、冷間強度が高いものであると言える。表1に
焼結鉱を形成する主要鉱物組織であるカルシウムフェラ
イト(CF):nCaO・Fe2 3 、ヘマタイト(H
e):Fe2 3 、カルシウムシリケート(CS):C
aO・SiO2 、マグネタイト(Mg):Fe3 4
4つの被還元性、引張強度を表1に示す。表1に示すよ
うに、被還元性の高いものはヘマタイト(He)であ
り、引張強度の高いものはカルシウムフェライト(C
F)である。
【表1】 本発明が目的とする望ましい焼結鉱組織とは、図4に示
すように、塊表面に強度の高いカルシウムフェライト
(CF)を、塊内部に向かっては被還元性の高いヘマタ
イト(He)を選択的に生成させたものであり、被還元
性や強度が低いカルシウムシリケート(CS)は可能な
限り生成させないようにすべきである。しかし、従来
は、前述したように鉄鉱石、SiO2 含有原料、石灰石
系粉原料、固体燃料系粉原料を同時に混合・造粒してい
るため、図5に示すように、擬似粒子構造では粗粒の核
鉱石の周囲に粉鉱石、石灰、コークスが混在しており、
焼結により得られた焼結鉱構造ではヘマタイト(H
e)、カルシウムフェライト(CF)、カルシウムシリ
ケート(CS)、マグネタイト(Mg)の4つの鉱物組
織が混在することになる。そこで、これまでにカルシウ
ムフェライト(CF)とヘマタイト(He)を多く生成
する方法が試みられてきた。例えば、カルシウムシリケ
ート(CS)は高温で焼結した場合に多く生成すること
から、特開昭63−149331号公報では粉状の鉄鉱
石にバインダや石灰石を加えて造粒した後に、熱源であ
る粉コークスを表面に被覆することでコークスの燃焼性
を改善し、低温で焼結させて被還元性を向上する技術が
提案されている。しかしながら、前記特開昭63−14
9331号公報に提案された従来方法では、CaOと鉄
系原料中のSiO2 やSiO2 系原料が近接しているた
め、どうしてもカルシウムシリケート(CS)が多く生
成してしまい、カルシウムフェライト(CF)とヘマタ
イト(He)を主体とする構造には必ずしもならない場
合も多かった。特開平11-241124 号公報には、 鉄鉱石
粉、返鉱、生石灰と石灰石の一部または全量およびSiO
2 源原料の一部または全量を1次ミキサーで混合造粒し
た後、 別の系統から切り出した粉コークスおよび造滓源
を前記混合造粒した原料に添加し、2次ミキサーで造粒
して造粒粒子の表層部に粉コークスおよび造滓源の層を
形成させた原料を焼結することを特徴とする低SiO2
結鉱の製造方法が開示されている。しかしながら特開平
11-241124 号公報に開示された技術では、造粒粒子(す
なわち本発明の擬似粒子に相当)の外装部に低SiO2
含有した原料が入る可能性があり、表1に示すように、
焼結鉱の構成鉱物の中で、最も引張強度が低いカルシウ
ムシリケート(CS)が形成されてしまい、冷間強度で
あるシャッター強度もしくはタンブラー強度が低下す
る。さらに造粒粒子内に一部石灰石を含有した原料が入
ってしまうため、焼結鉱の内部には高被還元性のヘマタ
イト(He)だけでなく、ヘマタイト(He)よりは被
還元性が劣るカルシウムフェライト(CF)や著しく被
還元性が悪いカルシウムシリケート(CS)を形成して
しまい、飛躍的な被還元性の向上効果が得られないとい
う問題がある。また特開昭61-163220 号公報には、粉コ
ークスを配合せずペレットフィードを混合した焼結原料
を1次ミキサーで調湿混合し、 次いでこの調湿造粒物に
粉コークスを添加して2次ミキサーで転動造粒すること
を特徴とする焼結原料の事前処理方法が開示されてい
る。しかしながら特開昭61-163220 号公報に開示された
技術では、擬似粒子内に石灰石を含有した原料が入って
しまうため、焼結鉱の内部には高被還元性のヘマタイト
(He)だけでなく、ヘマタイト(He)よりは被還元
性が劣るカルシウムフェライト(CF)や著しく被還元
性が悪いカルシウムシリケート(CS)を形成してしま
い、飛躍的な被還元性の向上効果が得られないだけでな
く、冷間強度を確保しなければならないはずの焼結鉱の
外側において、焼結鉱の構成鉱物の中で、最も引張強度
が低いカルシウムシリケート(CS)が形成されてしま
い、冷間強度であるシャッター強度もしくはタンブラー
強度が低下するという問題がある。なお、特開昭61-163
220 号公報,特開平11-241124 号公報に開示されている
ように、1次ミキサー,2次ミキサーを保有して混合・
造粒を行なう焼結原料の予備処理方法あるいは焼結原料
の製造方法では、基本的には1次ミキサーで焼結原料の
混合を主体とする混合・造粒を行ない、 その後、 2次ミ
キサーで造粒が行なわれる。このように1次ミキサーと
2次ミキサーを有する(合計2台のミキサーを有する)
場合、一般的には、 焼結原料の1次ミキサーにおける混
合・造粒時間は 120秒程度を確保しており、2次ミキサ
ーにおける造粒時間は 180秒程度を確保することが通常
行なわれる。
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来の
問題点を解決するため、焼結鉱を製造するプロセスの事
前処理として膨大な設備を必要とせず、鉄鉱石とSiO
2 含有原料を、石灰石系原料と固体燃料系原料から分離
して段階的に擬似粒子にすることにより、塊表面には強
度の高いカルシウムフエライト(CF)を、一方、塊内
部に向かっては被還元性の高いヘマタイト(He)を選
択的に生成させた構造の焼結鉱を製造し、冷間強度を向
上させ、かつ、焼結鉱の被還元性を改善することができ
る焼結用原料の製造方法を提供することを目的とするも
のである。
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
の請求項1記載の本発明は、下方吸引のドワイトロイド
式焼結機を用いて高炉用焼結鉱を製造するプロセスの事
前処理として、鉄鉱石、SiO2 含有原料、石灰石系粉
原料および固体燃料系粉原料からなる焼結原料をドラム
ミキサーを用いて造粒するに際し、前記ドラムミキサー
の装入口から石灰石系粉原料および固体燃料系粉原料を
除く焼結原料を装入して造粒すると共に該焼結原料が前
記ドラムミキサーの排出口に到達するまでの滞留時間が
10〜90秒範囲となる下流側途中に設定した領域で石
灰石系粉原料および固体燃料系粉原料を添加し、排出口
に至る間に石灰石系粉原料と固体燃料系粉原料を焼結原
料の外装部に付着・形成することを特徴とする焼結用原
料の製造方法である。請求項2記載の本発明は、下方吸
引のドワイトロイド式焼結機を用いて高炉用焼結鉱を製
造するプロセスの事前処理として、鉄鉱石、SiO2
有原料、石灰石系粉原料および固体燃料系粉原料からな
る焼結原料をドラムミキサーを用いて造粒するに際し、
前記ドラムミキサーの装入口から石灰石系粉原料および
固体燃料系粉原料を除く焼結原料を装入して造粒すると
共に該焼結原料が前記ドラムミキサーの排出口に到達す
るまでの滞留時間が10〜90秒範囲となる下流側途中
に設定した領域において、石灰石系粉原料を添加した
後、固体燃料系粉原料を添加し、排出口に至る間に焼結
原料の外装部に、石灰石系粉原料、固体燃料系粉原料の
順で、付着・形成することを特徴とする焼結用原料の製
造方法である。請求項3記載の本発明は、前記ドラムミ
キサーを複数に分割したドラムミキサーとして、最終の
ドラムミキサーを装入口から排出口に到達するまでの滞
留時間が10〜90秒範囲に設定されたドラムミキサー
長さとしたことを特徴とする請求項1または2記載の焼
結用原料の製造方法である。
【発明の実施の形態】以下に、本発明を完成するに至っ
た経緯および本発明の具体的な実施の概要を図面に基づ
き詳細に説明する。本発明者が種々の検討を重ねた結
果、SiO2 を多く含有する鉄鉱石やSiO2 含有原料
を、石灰石系粉原料と固体燃料系粉原料から分離して造
粒すること、及び石灰石系粉原料と固体燃料系粉原料を
造粒の後半の過程で添加してさらに造粒することで、石
灰石系粉原料と固体燃料系粉原料を焼結原料の外装部に
付着・形成させCaOとSiO2 の反応を遅らせ、被還
元性が悪く、冷間強度も低いカルシウムシリケート(C
S)の生成を抑制する。これにより焼結鉱表面に強度の
高いカルシウムフェライト(CF)を、焼結鉱内部に向
かっては被還元性の高いヘマタイト(He)を選択的に
生成させた焼結鉱が形成されることを見出した。しか
し、石灰石系粉原料と固体燃料系粉原料を焼結原料の外
装部に付着・形成させるために添加する時間の設定、す
なわち、造粒されつつある焼結原料に対し石灰石系粉原
料と固体燃料系粉原料を添加した後、該焼結原料がドラ
ムミキサーの排出口に到達するまでの添加後の滞留時
間、所謂石灰石系粉原料と固体燃料系粉原料を焼結原料
の外装部に付着・形成させるための添加後の造粒時間
(以降、単に外装時間と呼ぶ)の設定によって、大きく
効果が異なることを見出した。そして、図6に示すよう
に、石灰石系粉原料および固体燃料系粉原料を除く焼結
原料の造粒時間を一定として、石灰石系粉原料および固
体燃料系粉原料の外装時間を60秒から360秒で変化
させた実験を実施した。その結果、図7のように、外装
時間が長くなるとともに、被還元性の向上に有効な 0.5
mm以下の微細気孔が減少し、被還元性が低下すること
が分かり、石灰外装時間は90秒以下が望ましいことが
分かった。また、別の実験より、外装時間が10秒を下
回ると、外装時間不足により、添加した石灰石系粉原料
および固体燃料系粉原料が原料中の一部分に偏析を起こ
し、均一な焼結状態が得られず、本発明の効果が発揮さ
れないこととなった。ここで、外装時間が10秒から9
0秒と言う外装領域は、ドラムミキサー内での焼結原料
の転動回数でいえば、2回転から36回転に相当する。図
8に電子線マイクロアナライザー(以下単にEPMAと
呼ぶ)による焼結原料の擬似粒子中のCaとFeの分布
状況を調査した結果を示す。これより、適切な外装時間
(本例は60秒)をとると、Caの分布が外輪状とな
り、外装化が達成されていることが確認できるが、一
方、外装時間を長くすると、ドラムミキサー内で粒子が
壊れ、石灰石が擬似粒子内に取り込まれる結果、Caは
全体に分布して、従来法と変化が無くなっていることが
確認された。つまり、ドラムミキサー内では、造粒だけ
でなく、擬似粒子の破壊も同時に進行していることか
ら、外装時間を長くとりすぎると外装のために添加した
石灰石系粉原料および固体燃料系粉原料が擬似粒子の破
壊により内部に取り込まれて、内外装ともに存在するこ
とになり、塊表面には強度の高いカルシウムフエライト
(CF)を、一方、塊内部に向かっては被還元性の高い
ヘマタイト(He)を選択的に生成させた構造の焼結鉱
を得ることができないことが確認でき、外装時間の適正
な選定が重要であることが判った。また、前記したよう
に、外装時間を短くしすぎては、添加した石灰石系粉原
料および固体燃料系粉原料が焼結原料の中で、偏析して
しまい、焼結機上でのムラ焼けの原因となる。そこで、
本発明者が調査した結果、偏析しないためには、外装時
間は10秒以上は必要と分かった。すなわち、外装時間
は厳密な条件下にあり、単に後半部分においての添加で
は内装化されてしまう欠点があった。本発明での前記外
装時間の条件を満たすことにより、石灰石系粉原料およ
び固体燃料系粉原料が内部に取り込まれることなく、初
めて外装化されることになり、SiO2 含有原料を、石
灰石系粉原料から分離した、石灰石のない状態で焼結用
原料を製造することが達成されるのである。これによ
り、CaOとSiO2 の反応を遅らせ、被還元性が悪
く、冷間強度も低いカルシウムシリケート(CS)の生
成を抑制することができる。そして、本発明では、外装
化された石灰石系粉原料と鉄鉱石の界面でカルシウムフ
エライト(CF)系融液を生成させ、鉄鉱石の周囲を覆
うことにより、十分な冷間強度を発揮させるのである。
この焼結用原料を用いて焼結することにより、塊表面に
強度の高いカルシウムフェライト(CF)を、塊内部に
向かっては被還元性の高いヘマタイト(He)を選択的
に生成させた焼結鉱が形成されることになる。本発明に
なる造粒フロー例(方法A)を図9および図10に示
す。図9に示すように、ドラムミキサーの装入側から
は、石灰石系粉原料3および固体燃料系粉原料4である
石灰石、粉コークスを除く焼結原料が装入され、また、
外装時間を制御するため、前記石灰石、粉コークスは、
ドラムミキサーの排出側から添加される。図10はその
具体例であって、焼結用原料が排出口に到達するまでの
滞留時間が10〜90秒範囲となるドラムミキサー5の
下流側途中に設定した外装領域に合わせて、下流側排出
口からドラムミキサー5内の長手方向に進退自在に配置
したベルトコンベヤ6の先端位置を、例えば10秒〜9
0秒範囲の中の60秒に相当する外装領域の中間位置に
調整する。そして、ベルトコンベヤ6を介して石灰石系
粉原料3(例えば粉石灰石)および固体燃料系粉原料4
(例えば粉コークス)を所定領域(ここでは外装領域の
中間位置)に添加し、ドラムミキサー5内で外装領域に
達するまでに造粒により形成された擬似粒子の周囲に、
石灰石系粉原料3および固体燃料系粉原料4を付着・形
成させた外装部分を有する擬似粒子を造粒する。石灰石
系粉原料3および固体燃料系粉原料4は、平均粒径が
1.5mm以下、好ましくは 1.0mm以下とすることによ
り外装部分に付着し易くなり、その外表面を覆うことが
できる。この方法Aは、単一のドラムミキサーを使用す
るケースである。また、図11に、別の本発明の望まし
い擬似粒子構造を製造するための造粒フロー例(方法
B)を示す。造粒フロー例(方法B)は、前記図10に
示すドラムミキサー5を長手方向に複数に分割して使用
する例で、本例では2分割タイプを示す。図11(A)
では、石灰石系粉原料および固体燃料系粉原料を除く焼
結原料を装入して造粒し擬似粒子を得る第一ドラムミキ
サー5Aと、第一ドラムミキサー5Aで造粒された擬似
粒子の周囲に石灰石系粉原料3と固体燃料系粉原料4を
付着させた外装部分を有する擬似粒子を造粒する第二ド
ラムミキサー5Bとを直列に配置する。第一ドラムミキ
サー5Aは、擬似粒子が造粒できる長さに設定され、ま
た第二ドラムミキサー5Bは、擬似粒子の外周に石灰石
系粉原料および熱源となる固体燃料系粉原料を外装・付
着できる長さ、すなわち第二ドラムミキサー5Bの長さ
は、装入口から排出口に到達するまでの擬似粒子の滞留
時間が、10〜90秒範囲になるような外装領域に相当
する寸法に設定される。この場合において、第一ドラム
ミキサー5Aの装入口から鉄鉱石1とSiO2含有原料
2(珪石、蛇紋岩、Niスラグ等のSiO2 を比較的に
多く含有する原料)とを装入する。第一ドラムミキサー
5Aの装入口から排出口に到達するまでの過程で造粒と
崩壊を繰り返しながら粗粒の鉄鉱石1を核として、その
周囲に細粒の鉄鉱石やSiO2 含有原料2を付着させて
擬似粒子が造粒される。その後、該擬似粒子が第二ドラ
ムミキサー5Bの装入口の装入される時に、石灰石系粉
原料3と熱源となる固体燃料系粉原料4を、第二ドラム
ミキサー5Bの装入口に供給する。これにより第二ドラ
ムミキサー5B内で擬似粒子の周囲に石灰石系粉原料3
および固体燃料系粉原料4を外装・付着させる造粒が行
われる。図11(B)では、既存ドラムミキサーが2分
割タイプである場合の本発明の適用例を示したもので、
後半部分のドラムミキサー5Bの長さが、外装時間が90
秒に相当する長さより長い場合は、図10の例と同じく
後半部分のドラムミキサー5Bの排出側からベルトコン
ベア6によって外装領域に石灰石系粉原料と熱源となる
固体燃料系粉原料を供給、添加する。また、図12は、
滞留時間が10〜90秒範囲となる下流側途中に設定し
た外装領域において、石灰石系粉原料を添加した後、固
体燃料系粉原料を添加し、排出口に至る間に焼結原料の
擬似粒子の外装部に、石灰石系粉原料、固体燃料系粉原
料の順で、付着・形成することを特徴とする焼結用原料
の製造方法(方法C)の具体例であって、図12(A)
は、単一のドラムミキサー5の排出側から外装領域にベ
ルトコンベア6A によって石灰石系粉原料、ベルトコン
ベア6Bによって熱源となる固体燃料系粉原料を供給、
添加する形態を示す。さらに、図12(B)は、2分割
タイプである場合の具体例を示すもので、10〜90秒
範囲になるような外装領域に相当する寸法に設定された
ドラムミキサー5Bの装入側で石灰石系粉原料を供給、
添加し、ドラムミキサー5Bの排出側から外装領域にベ
ルトコンベア6によって、熱源となる固体燃料系粉原料
を供給、添加する形態を示す。外装領域に添加すること
により、擬似粒子の外装部に、石灰石系粉原料に続いて
固体燃料系粉原料が付着・形成されることになる。この
添加形態では、石灰石系粉原料の添加後、10秒以上の
時間差を有す位置で固体燃料系粉原料を添加することに
より、擬似粒子の外装部に、石灰石系粉原料付着層が形
成された後、固体燃料系粉原料が、さらに付着・形成さ
れることになる。本発明の(方法A)または(方法B)
によれば、粗粒の鉄鉱石1を核として、その周囲に細粒
の鉄鉱石やSiO2 含有原料2が付着し、さらにその周
囲に石灰石系粉原料3と熱源である固体燃料系粉原料4
(コークス)を外装部に付着・形成させることができ
る。さらに本発明の(方法C)によれば、石灰石系粉原
料3と熱源である固体燃料系粉原料4(コークス)を外
装部に付着・形成させる際に、熱源となる固体燃料系粉
原料を最外装部に付着・形成させることができる。これ
により、本発明になる、ドラムミキサーの装入口から石
灰石系粉原料および固体燃料系粉原料を除く焼結原料を
装入して造粒すると共に該焼結原料が前記ドラムミキサ
ーの排出口に到達するまでの滞留時間が10〜90秒範
囲となる下流側途中に設定した領域で石灰石系粉原料お
よび固体燃料系粉原料を添加し、排出口に至る間に石灰
石系粉原料と固体燃料系粉原料を焼結原料の外装部に付
着・形成することを特徴とする焼結用原料の製造方法で
は、焼結用原料の焼結過程でCaOとSiO2 の反応が
遅れ、冷間強度の低いカルシウムシリケート(CS)の
生成が抑制され、塊表面に強度の高いカルシウムフェラ
イト(CF)を、塊内部に向かっては被還元性の高いヘ
マタイト(He)が選択的に生成され、微細気孔が多
く、被還元性に優れ冷間強度の高い焼結鉱が安定して製
造可能になるのである。また、下方吸引のドワイトロイ
ド式焼結機を用いて高炉用焼結鉱を製造するプロセスの
事前処理として、鉄鉱石、SiO2 含有原料、石灰石系
粉原料および固体燃料系粉原料からなる焼結原料をドラ
ムミキサーを用いて造粒するに際し、前記ドラムミキサ
ーの装入口から石灰石系粉原料および固体燃料系粉原料
を除く焼結原料を装入して造粒すると共に該焼結原料が
前記ドラムミキサーの排出口に到達するまでの滞留時間
が10〜90秒範囲となる下流側途中に設定した領域に
おいて、石灰石系粉原料を添加した後、固体燃料系粉原
料を添加し、排出口に至る間に焼結原料の外装部に、石
灰石系粉原料、固体燃料系粉原料の順で、付着・形成す
ることを特徴とする焼結用原料の製造方法では、前記の
ごとく塊内部に向かっては被還元性の高いヘマタイト
(He)が選択的に生成され、微細気孔が多く、被還元
性に優れ冷間強度の高い焼結鉱が安定して製造可能とな
る他、熱源となる固体燃料系粉原料を最外装部に付着・
形成させることができ、添加した固体燃料系粉原料の燃
焼性の向上を図ることができる。
【実施例】表2に示す配合割合の焼結原料を用いて、本
発明の造粒フロー(方法A)にて造粒した擬似粒子をド
ワイトロイド焼結機に輸送し、パレット上に装入した。
比較のため鉄鉱石、SiO2 含有原料、石灰石系原料、
コークス粉を同時に混合する処理方法にて造拉した擬似
粒子をドワイトロイド焼結機に輸送し、パレット上に装
入する操業を行った。その後、パレット上で焼結を行
い、鉱物組成、比表面積、被還元性を測定した。本発明
法および従来法での測定結果を表3に示した。
【表2】
【表3】 表3に示すように、本発明の造粒フローを採用すること
で、鉱物組成では被還元性の高いヘマタイト(He)が
増加し、被還元性が低いカルシウムシリケート(CS)
が減少し、また、図13に示すように、ヘマタイト(H
e)に由来する微細気孔の増加によって、従来法に比べ
て被還元性は5%向上した。また、本発明の造粒フロー
(方法B)を用いて製造した擬似粒子を同様に、ドワイ
トロイド焼結機に供給し、焼結を行った結果も同様であ
った。また、本発明および従来法による擬似粒子の焼結
体の断面をEPMAにより測定した結果を図14に示
す。従来法ではCa(黒い部分)が全体に分布している
に対し、本発明法では外装部分に限ってみられ、本発明
法による石灰石の外装化適用により、焼結鉱の塊内部に
へマタイトが残り、その周囲にカルシウムフェライトが
生成していることが確認でき、前記図4に示すような塊
表面に強度の高いカルシウムフェライト(CF)を、塊
内部に向かっては被還元性の高いヘマタイト(He)を
選択的に生成した焼結構造が得られたことが確認でき
た。また、本発明の造粒フロー(方法C)を用いて製造
した擬似粒子を同様に、ドワイトロイド焼結機に供給
し、焼結を行った結果もEPMAによる測定結果も同様
であった。図15に、被還元性(JIS−RI)、歩
留、生産率を測定した結果を示す。本発明法では、従来
法に比較して被還元性JIS−RIで約5%の増加、歩
留で0.5%、生産率で約18%の向上が得られた。
【発明の効果】本発明の焼結原料の製造方法によれば、
擬似粒子がドラムミキサーの排出口に到達するまでの下
流側途中に設定した外装領域で石灰石系粉原料および熱
源となる固体燃料系粉原料を添加することにより、石灰
石系粉原料および熱源となる固体燃料系粉原料を擬似粒
子の外装部分に付着・形成した焼結用擬似粒子原料を製
造することができる。このため、ドワイトロイド焼結機
による焼結過程で、冷間強度の低いカルシウムシリケー
ト(CS)の生成が抑制され、塊表面に強度の高いカル
シウムフェライト(CF)を、塊内部に向かっては被還
元性の高いヘマタイト(He)が選択的に生成され、微
細気孔が多く、被還元性に優れ冷間強度の高い焼結鉱が
生産性よく製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来例に係る焼結原料の混合、造粒の系統図で
ある。
【図2】高炉における焼結鉱の被還元性とガス利用率と
の関係図である。
【図3】高炉におけるガス利用率と燃料比との関係図で
ある。
【図4】望ましい焼結鉱の組織構造を説明する図であ
る。
【図5】従来例に係る擬似粒子構造と焼結鉱の組織構造
を説明する図である。
【図6】石灰石系粉原料と固体燃料系粉原料の外装実験
方法を説明する図である。
【図7】外装時間と焼結鉱の被還元性の関係を示す特性
図である。
【図8】外装時間を変化させた場合の擬似粒子中のCa
とFeの分布状況を示す図である。
【図9】本発明例の実施形態を概略的に説明する図であ
る。
【図10】本発明における実施形態を示す図である。
【図11】本発明における別の実施形態を示す図であ
る。
【図12】本発明における別の実施形態を示す図であ
る。
【図13】本発明に係る焼結鉱中の気孔分布状況を従来
例と比較して示す図である。
【図14】本発明に係る焼結鉱中に塊中心にヘマタイト
が、周辺にカルシウムフェライトが生成している効果を
示す図である。
【図15】本発明に係る被還元性、歩留、生産率を従来
例と比較して示す図である。
【符号の説明】
1 鉄鉱石 2 SiO2 含有原料 3 石灰石系粉原料 4 固体燃料系粉原料
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成13年11月15日(2001.11.
15)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 焼結用原料の製造方法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、下方吸引のドワイ
トロイド式焼結機を用いて高炉用焼結鉱を製造する際に
用いる焼結用原料の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】高炉用原料として用いられる焼結鉱は、
一般的に次のような焼結原料の処理方法を経て製造され
ている。図1に示すように、まず、粒径が10mm以下
の鉄鉱石1、および珪石、蛇紋岩または、ニッケルスラ
グなどからなるSiO2 含有原料2、石灰石などのCa
Oを含有する石灰石系粉原料3、および粉コークスまた
は無煙炭などの熱源となる固体燃料系粉原料4をドラム
ミキサー5を用いて、これに適当量の水分を添加して混
合、造粒して擬似粒子と呼ばれる造粒物を形成する。こ
の造粒物からなる配合原料は、ドワイトロイド式焼結機
のパレット上に適当な厚さ例えば500〜700mmに
なるように装入して表層部の固体燃料に着火し、着火後
は下方に向けて空気を吸引しながら固体燃料を燃焼さ
せ、その燃焼熱によって配合した焼結原料を焼結させて
焼結ケーキとする。この焼結ケーキは破砕、整粒され、
一定の粒径以上の焼結鉱を得る。一方、それ未満の粒径
を有するものは返鉱となり、焼結原料として再利用され
る。
【0003】このように製造された成品焼結鉱の被還元
性は、従来から指摘されているように、とくに高炉の操
業を大きく左右する因子となる。通常、焼結鉱の被還元
性はJISM8713で定義されており、ここでは、焼
結鉱の被還元性をJIS−RIと記す。図2に示すよう
に、焼結鉱の被還元性(JIS−RI)と高炉でのガス
利用率(ηco)との間には正の相関があり、また、図3
に示すように、高炉でのガス利用率(ηco)と燃料比と
の間には負の相関がある。このため、焼結鉱の被還元性
(JIS−RI)は、高炉でのガス利用率(ηco)を介
して燃料比と良好な負の相関があり、焼結鉱の被還元性
を向上させると、高炉での燃料比は低下する。
【0004】なお、ガス利用率(ηco)と燃料比は、下
記のとおり定義される。 ガス利用率(ηco)= CO2(%)/〔CO(%)+ CO
2 (%)〕 ここで、CO2(%) 、CO(%)は、いずれも高炉の炉頂ガ
ス中の体積%である。 燃料比=(石炭+コークス)の使用量(kg)/銑鉄
(1ton ) さらに、製造された成品焼結鉱の冷間強度も高炉での通
気性を確保する上での重要な因子であり、各々の高炉で
は、冷間強度の下限基準を設けて、操業を行っている。
したがって、高炉にとって望ましい焼結鉱とは、被還元
性に優れ、冷間強度が高いものであると言える。表1に
焼結鉱を形成する主要鉱物組織であるカルシウムフェラ
イト(CF):nCaO・Fe2 3 、ヘマタイト(H
e):Fe2 3 、カルシウムシリケート(CS):C
aO・SiO2 、マグネタイト(Mg):Fe3 4
4つの被還元性、引張強度を表1に示す。表1に示すよ
うに、被還元性の高いものはヘマタイト(He)であ
り、引張強度の高いものはカルシウムフェライト(C
F)である。
【0005】
【表1】
【0006】本発明が目的とする望ましい焼結鉱組織と
は、図4に示すように、塊表面に強度の高いカルシウム
フェライト(CF)を、塊内部に向かっては被還元性の
高いヘマタイト(He)を選択的に生成させたものであ
り、被還元性や強度が低いカルシウムシリケート(C
S)は可能な限り生成させないようにすべきである。し
かし、従来は、前述したように鉄鉱石、SiO2 含有原
料、石灰石系粉原料、固体燃料系粉原料を同時に混合・
造粒しているため、図5に示すように、擬似粒子構造で
は粗粒の核鉱石の周囲に粉鉱石、石灰、コークスが混在
しており、焼結により得られた焼結鉱構造ではヘマタイ
ト(He)、カルシウムフェライト(CF)、カルシウ
ムシリケート(CS)、マグネタイト(Mg)の4つの
鉱物組織が混在することになる。
【0007】そこで、これまでにカルシウムフェライト
(CF)とヘマタイト(He)を多く生成する方法が試
みられてきた。例えば、カルシウムシリケート(CS)
は高温で焼結した場合に多く生成することから、特開昭
63−149331号公報では粉状の鉄鉱石にバインダ
や石灰石を加えて造粒した後に、熱源である粉コークス
を表面に被覆することでコークスの燃焼性を改善し、低
温で焼結させて被還元性を向上する技術が提案されてい
る。
【0008】しかしながら、前記特開昭63−1493
31号公報に提案された従来方法では、CaOと鉄系原
料中のSiO2 やSiO2 系原料が近接しているため、
どうしてもカルシウムシリケート(CS)が多く生成し
てしまい、カルシウムフェライト(CF)とヘマタイト
(He)を主体とする構造には必ずしもならない場合も
多かった。
【0009】特開平11-241124 号公報には、 鉄鉱石粉、
返鉱、生石灰と石灰石の一部または全量およびSiO2
原料の一部または全量を1次ミキサーで混合造粒した
後、 別の系統から切り出した粉コークスおよび造滓源を
前記混合造粒した原料に添加し、2次ミキサーで造粒し
て造粒粒子の表層部に粉コークスおよび造滓源の層を形
成させた原料を焼結することを特徴とする低SiO2 焼結
鉱の製造方法が開示されている。
【0010】しかしながら特開平11-241124 号公報に開
示された技術では、造粒粒子(すなわち本発明の擬似粒
子に相当)の外装部に低SiO2 を含有した原料が入る可
能性があり、表1に示すように、焼結鉱の構成鉱物の中
で、最も引張強度が低いカルシウムシリケート(CS)
が形成されてしまい、冷間強度であるシャッター強度も
しくはタンブラー強度が低下する。さらに造粒粒子内に
一部石灰石を含有した原料が入ってしまうため、焼結鉱
の内部には高被還元性のヘマタイト(He)だけでな
く、ヘマタイト(He)よりは被還元性が劣るカルシウ
ムフェライト(CF)や著しく被還元性が悪いカルシウ
ムシリケート(CS)を形成してしまい、飛躍的な被還
元性の向上効果が得られないという問題がある。
【0011】また特開昭61-163220 号公報には、粉コー
クスを配合せずペレットフィードを混合した焼結原料を
1次ミキサーで調湿混合し、 次いでこの調湿造粒物に粉
コークスを添加して2次ミキサーで転動造粒することを
特徴とする焼結原料の事前処理方法が開示されている。
しかしながら特開昭61-163220 号公報に開示された技術
では、擬似粒子内に石灰石を含有した原料が入ってしま
うため、焼結鉱の内部には高被還元性のヘマタイト(H
e)だけでなく、ヘマタイト(He)よりは被還元性が
劣るカルシウムフェライト(CF)や著しく被還元性が
悪いカルシウムシリケート(CS)を形成してしまい、
飛躍的な被還元性の向上効果が得られないだけでなく、
冷間強度を確保しなければならないはずの焼結鉱の外側
において、焼結鉱の構成鉱物の中で、最も引張強度が低
いカルシウムシリケート(CS)が形成されてしまい、
冷間強度であるシャッター強度もしくはタンブラー強度
が低下するという問題がある。
【0012】なお、特開昭61-163220 号公報,特開平11
-241124 号公報に開示されているように、1次ミキサ
ー,2次ミキサーを保有して混合・造粒を行なう焼結原
料の予備処理方法あるいは焼結原料の製造方法では、基
本的には1次ミキサーで焼結原料の混合を主体とする混
合・造粒を行ない、 その後、 2次ミキサーで造粒が行な
われる。このように1次ミキサーと2次ミキサーを有す
る(合計2台のミキサーを有する)場合、一般的には、
焼結原料の1次ミキサーにおける混合・造粒時間は 120
秒程度を確保しており、2次ミキサーにおける造粒時間
は 180秒程度を確保することが通常行なわれる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来の
問題点を解決するため、焼結鉱を製造するプロセスの事
前処理として膨大な設備を必要とせず、鉄鉱石とSiO
2 含有原料を、石灰石系原料と固体燃料系原料から分離
して段階的に擬似粒子にすることにより、塊表面には強
度の高いカルシウムフエライト(CF)を、一方、塊内
部に向かっては被還元性の高いヘマタイト(He)を選
択的に生成させた構造の焼結鉱を製造し、冷間強度を向
上させ、かつ、焼結鉱の被還元性を改善することができ
る焼結用原料の製造方法を提供することを目的とするも
のである。
【0014】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
の請求項1記載の本発明は、下方吸引のドワイトロイド
式焼結機を用いて高炉用焼結鉱を製造するプロセスの事
前処理として、鉄鉱石、SiO2 含有原料、石灰石系粉
原料および固体燃料系粉原料からなる焼結原料をドラム
ミキサーを用いて造粒するに際し、前記ドラムミキサー
の装入口から石灰石系粉原料および固体燃料系粉原料を
除く焼結原料を装入して造粒すると共に該焼結原料が前
記ドラムミキサーの排出口に到達するまでの滞留時間が
10〜90秒範囲となる下流側途中に設定した領域で石
灰石系粉原料および固体燃料系粉原料を添加し、排出口
に至る間に石灰石系粉原料と固体燃料系粉原料を焼結原
料の外装部に付着・形成することを特徴とする焼結用原
料の製造方法である。
【0015】請求項2記載の本発明は、下方吸引のドワ
イトロイド式焼結機を用いて高炉用焼結鉱を製造するプ
ロセスの事前処理として、鉄鉱石、SiO2 含有原料、
石灰石系粉原料および固体燃料系粉原料からなる焼結原
料をドラムミキサーを用いて造粒するに際し、前記ドラ
ムミキサーの装入口から石灰石系粉原料および固体燃料
系粉原料を除く焼結原料を装入して造粒すると共に該焼
結原料が前記ドラムミキサーの排出口に到達するまでの
滞留時間が10〜90秒範囲となる下流側途中に設定し
た領域において、石灰石系粉原料を添加した後、固体燃
料系粉原料を添加し、排出口に至る間に焼結原料の外装
部に、石灰石系粉原料、固体燃料系粉原料の順で、付着
・形成することを特徴とする焼結用原料の製造方法であ
る。
【0016】請求項3記載の本発明は、前記ドラムミキ
サーを複数に分割したドラムミキサーとして、最終のド
ラムミキサーを装入口から排出口に到達するまでの滞留
時間が10〜90秒範囲に設定されたドラムミキサー長
さとしたことを特徴とする請求項1または2記載の焼結
用原料の製造方法である。
【0017】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を完成するに至っ
た経緯および本発明の具体的な実施の概要を図面に基づ
き詳細に説明する。本発明者が種々の検討を重ねた結
果、SiO2 を多く含有する鉄鉱石やSiO2 含有原料
を、石灰石系粉原料と固体燃料系粉原料から分離して造
粒すること、及び石灰石系粉原料と固体燃料系粉原料を
造粒の後半の過程で添加してさらに造粒することで、石
灰石系粉原料と固体燃料系粉原料を焼結原料の外装部に
付着・形成させCaOとSiO2 の反応を遅らせ、被還
元性が悪く、冷間強度も低いカルシウムシリケート(C
S)の生成を抑制する。これにより焼結鉱表面に強度の
高いカルシウムフェライト(CF)を、焼結鉱内部に向
かっては被還元性の高いヘマタイト(He)を選択的に
生成させた焼結鉱が形成されることを見出した。
【0018】しかし、石灰石系粉原料と固体燃料系粉原
料を焼結原料の外装部に付着・形成させるために添加す
る時間の設定、すなわち、造粒されつつある焼結原料に
対し石灰石系粉原料と固体燃料系粉原料を添加した後、
該焼結原料がドラムミキサーの排出口に到達するまでの
添加後の滞留時間、所謂石灰石系粉原料と固体燃料系粉
原料を焼結原料の外装部に付着・形成させるための添加
後の造粒時間(以降、単に外装時間と呼ぶ)の設定によ
って、大きく効果が異なることを見出した。
【0019】そして、図6に示すように、石灰石系粉原
料および固体燃料系粉原料を除く焼結原料の造粒時間を
一定として、石灰石系粉原料および固体燃料系粉原料の
外装時間を60秒から360秒で変化させた実験を実施
した。その結果、図7のように、外装時間が長くなると
ともに、被還元性の向上に有効な 0.5mm以下の微細気
孔が減少し、被還元性が低下することが分かり、石灰外
装時間は90秒以下が望ましいことが分かった。また、
別の実験より、外装時間が10秒を下回ると、外装時間
不足により、添加した石灰石系粉原料および固体燃料系
粉原料が原料中の一部分に偏析を起こし、均一な焼結状
態が得られず、本発明の効果が発揮されないこととなっ
た。
【0020】ここで、外装時間が10秒から90秒と言
う外装領域は、ドラムミキサー内での焼結原料の転動回
数でいえば、2回転から36回転に相当する。図8に電子
線マイクロアナライザー(以下単にEPMAと呼ぶ)に
よる焼結原料の擬似粒子中のCaとFeの分布状況を調
査した結果を示す。これより、適切な外装時間(本例は
60秒)をとると、Caの分布が外輪状となり、外装化
が達成されていることが確認できるが、一方、外装時間
を長くすると、ドラムミキサー内で粒子が壊れ、石灰石
が擬似粒子内に取り込まれる結果、Caは全体に分布し
て、従来法と変化が無くなっていることが確認された。
【0021】つまり、ドラムミキサー内では、造粒だけ
でなく、擬似粒子の破壊も同時に進行していることか
ら、外装時間を長くとりすぎると外装のために添加した
石灰石系粉原料および固体燃料系粉原料が擬似粒子の破
壊により内部に取り込まれて、内外装ともに存在するこ
とになり、塊表面には強度の高いカルシウムフエライト
(CF)を、一方、塊内部に向かっては被還元性の高い
ヘマタイト(He)を選択的に生成させた構造の焼結鉱
を得ることができないことが確認でき、外装時間の適正
な選定が重要であることが判った。
【0022】また、前記したように、外装時間を短くし
すぎては、添加した石灰石系粉原料および固体燃料系粉
原料が焼結原料の中で、偏析してしまい、焼結機上での
ムラ焼けの原因となる。そこで、本発明者が調査した結
果、偏析しないためには、外装時間は10秒以上は必要
と分かった。すなわち、外装時間は厳密な条件下にあ
り、単に後半部分においての添加では内装化されてしま
う欠点があった。
【0023】本発明での前記外装時間の条件を満たすこ
とにより、石灰石系粉原料および固体燃料系粉原料が内
部に取り込まれることなく、初めて外装化されることに
なり、SiO2 含有原料を、石灰石系粉原料から分離し
た、石灰石のない状態で焼結用原料を製造することが達
成されるのである。これにより、CaOとSiO2 の反
応を遅らせ、被還元性が悪く、冷間強度も低いカルシウ
ムシリケート(CS)の生成を抑制することができる。
【0024】そして、本発明では、外装化された石灰石
系粉原料と鉄鉱石の界面でカルシウムフエライト(C
F)系融液を生成させ、鉄鉱石の周囲を覆うことによ
り、十分な冷間強度を発揮させるのである。この焼結用
原料を用いて焼結することにより、塊表面に強度の高い
カルシウムフェライト(CF)を、塊内部に向かっては
被還元性の高いヘマタイト(He)を選択的に生成させ
た焼結鉱が形成されることになる。
【0025】本発明になる造粒フロー例(方法A)を図
9および図10に示す。図9に示すように、ドラムミキ
サーの装入側からは、石灰石系粉原料3および固体燃料
系粉原料4である石灰石、粉コークスを除く焼結原料が
装入され、また、外装時間を制御するため、前記石灰
石、粉コークスは、ドラムミキサーの排出側から添加さ
れる。図10はその具体例であって、焼結用原料が排出
口に到達するまでの滞留時間が10〜90秒範囲となる
ドラムミキサー5の下流側途中に設定した外装領域に合
わせて、下流側排出口からドラムミキサー5内の長手方
向に進退自在に配置したベルトコンベヤ6の先端位置
を、例えば10秒〜90秒範囲の中の60秒に相当する
外装領域の中間位置に調整する。
【0026】そして、ベルトコンベヤ6を介して石灰石
系粉原料3(例えば粉石灰石)および固体燃料系粉原料
4(例えば粉コークス)を所定領域(ここでは外装領域
の中間位置)に添加し、ドラムミキサー5内で外装領域
に達するまでに造粒により形成された擬似粒子の周囲
に、石灰石系粉原料3および固体燃料系粉原料4を付着
・形成させた外装部分を有する擬似粒子を造粒する。石
灰石系粉原料3および固体燃料系粉原料4は、平均粒径
が 1.5mm以下、好ましくは 1.0mm以下とすることに
より外装部分に付着し易くなり、その外表面を覆うこと
ができる。この方法Aは、単一のドラムミキサーを使用
するケースである。
【0027】また、図11に、別の本発明の望ましい擬
似粒子構造を製造するための造粒フロー例(方法B)を
示す。造粒フロー例(方法B)は、前記図10に示すド
ラムミキサー5を長手方向に複数に分割して使用する例
で、本例では2分割タイプを示す。図11(A)では、
石灰石系粉原料および固体燃料系粉原料を除く焼結原料
を装入して造粒し擬似粒子を得る第一ドラムミキサー5
Aと、第一ドラムミキサー5Aで造粒された擬似粒子の
周囲に石灰石系粉原料3と固体燃料系粉原料4を付着さ
せた外装部分を有する擬似粒子を造粒する第二ドラムミ
キサー5Bとを直列に配置する。第一ドラムミキサー5
Aは、擬似粒子が造粒できる長さに設定され、また第二
ドラムミキサー5Bは、擬似粒子の外周に石灰石系粉原
料および熱源となる固体燃料系粉原料を外装・付着でき
る長さ、すなわち第二ドラムミキサー5Bの長さは、装
入口から排出口に到達するまでの擬似粒子の滞留時間
が、10〜90秒範囲になるような外装領域に相当する
寸法に設定される。
【0028】この場合において、第一ドラムミキサー5
Aの装入口から鉄鉱石1とSiO2含有原料2(珪石、
蛇紋岩、Niスラグ等のSiO2 を比較的に多く含有す
る原料)とを装入する。第一ドラムミキサー5Aの装入
口から排出口に到達するまでの過程で造粒と崩壊を繰り
返しながら粗粒の鉄鉱石1を核として、その周囲に細粒
の鉄鉱石やSiO2 含有原料2を付着させて擬似粒子が
造粒される。その後、該擬似粒子が第二ドラムミキサー
5Bの装入口の装入される時に、石灰石系粉原料3と熱
源となる固体燃料系粉原料4を、第二ドラムミキサー5
Bの装入口に供給する。これにより第二ドラムミキサー
5B内で擬似粒子の周囲に石灰石系粉原料3および固体
燃料系粉原料4を外装・付着させる造粒が行われる。
【0029】図11(B)では、既存ドラムミキサーが
2分割タイプである場合の本発明の適用例を示したもの
で、後半部分のドラムミキサー5Bの長さが、外装時間
が90秒に相当する長さより長い場合は、図10の例と同
じく後半部分のドラムミキサー5Bの排出側からベルト
コンベア6によって外装領域に石灰石系粉原料と熱源と
なる固体燃料系粉原料を供給、添加する。
【0030】また、図12は、滞留時間が10〜90秒
範囲となる下流側途中に設定した外装領域において、石
灰石系粉原料を添加した後、固体燃料系粉原料を添加
し、排出口に至る間に焼結原料の擬似粒子の外装部に、
石灰石系粉原料、固体燃料系粉原料の順で、付着・形成
することを特徴とする焼結用原料の製造方法(方法C)
の具体例であって、図12(A)は、単一のドラムミキ
サー5の排出側から外装領域にベルトコンベア6A によ
って石灰石系粉原料、ベルトコンベア6Bによって熱源
となる固体燃料系粉原料を供給、添加する形態を示す。
さらに、図12(B)は、2分割タイプである場合の具
体例を示すもので、10〜90秒範囲になるような外装
領域に相当する寸法に設定されたドラムミキサー5Bの
装入側で石灰石系粉原料を供給、添加し、ドラムミキサ
ー5Bの排出側から外装領域にベルトコンベア6によっ
て、熱源となる固体燃料系粉原料を供給、添加する形態
を示す。外装領域に添加することにより、擬似粒子の外
装部に、石灰石系粉原料に続いて固体燃料系粉原料が付
着・形成されることになる。この添加形態では、石灰石
系粉原料の添加後、10秒以上の時間差を有す位置で固
体燃料系粉原料を添加することにより、擬似粒子の外装
部に、石灰石系粉原料付着層が形成された後、固体燃料
系粉原料が、さらに付着・形成されることになる。
【0031】本発明の(方法A)または(方法B)によ
れば、粗粒の鉄鉱石1を核として、その周囲に細粒の鉄
鉱石やSiO2 含有原料2が付着し、さらにその周囲に
石灰石系粉原料3と熱源である固体燃料系粉原料4(コ
ークス)を外装部に付着・形成させることができる。さ
らに本発明の(方法C)によれば、石灰石系粉原料3と
熱源である固体燃料系粉原料4(コークス)を外装部に
付着・形成させる際に、熱源となる固体燃料系粉原料を
最外装部に付着・形成させることができる。
【0032】これにより、本発明になる、ドラムミキサ
ーの装入口から石灰石系粉原料および固体燃料系粉原料
を除く焼結原料を装入して造粒すると共に該焼結原料が
前記ドラムミキサーの排出口に到達するまでの滞留時間
が10〜90秒範囲となる下流側途中に設定した領域で
石灰石系粉原料および固体燃料系粉原料を添加し、排出
口に至る間に石灰石系粉原料と固体燃料系粉原料を焼結
原料の外装部に付着・形成することを特徴とする焼結用
原料の製造方法では、焼結用原料の焼結過程でCaOと
SiO2 の反応が遅れ、冷間強度の低いカルシウムシリ
ケート(CS)の生成が抑制され、塊表面に強度の高い
カルシウムフェライト(CF)を、塊内部に向かっては
被還元性の高いヘマタイト(He)が選択的に生成さ
れ、微細気孔が多く、被還元性に優れ冷間強度の高い焼
結鉱が安定して製造可能になるのである。
【0033】また、下方吸引のドワイトロイド式焼結機
を用いて高炉用焼結鉱を製造するプロセスの事前処理と
して、鉄鉱石、SiO2 含有原料、石灰石系粉原料およ
び固体燃料系粉原料からなる焼結原料をドラムミキサー
を用いて造粒するに際し、前記ドラムミキサーの装入口
から石灰石系粉原料および固体燃料系粉原料を除く焼結
原料を装入して造粒すると共に該焼結原料が前記ドラム
ミキサーの排出口に到達するまでの滞留時間が10〜9
0秒範囲となる下流側途中に設定した領域において、石
灰石系粉原料を添加した後、固体燃料系粉原料を添加
し、排出口に至る間に焼結原料の外装部に、石灰石系粉
原料、固体燃料系粉原料の順で、付着・形成することを
特徴とする焼結用原料の製造方法では、前記のごとく塊
内部に向かっては被還元性の高いヘマタイト(He)が
選択的に生成され、微細気孔が多く、被還元性に優れ冷
間強度の高い焼結鉱が安定して製造可能となる他、熱源
となる固体燃料系粉原料を最外装部に付着・形成させる
ことができ、添加した固体燃料系粉原料の燃焼性の向上
を図ることができる。
【0034】
【実施例】表2に示す配合割合の焼結原料を用いて、本
発明の造粒フロー(方法A)にて造粒した擬似粒子をド
ワイトロイド焼結機に輸送し、パレット上に装入した。
比較のため鉄鉱石、SiO2 含有原料、石灰石系原料、
コークス粉を同時に混合する処理方法にて造拉した擬似
粒子をドワイトロイド焼結機に輸送し、パレット上に装
入する操業を行った。その後、パレット上で焼結を行
い、鉱物組成、比表面積、被還元性を測定した。本発明
法および従来法での測定結果を表3に示した。
【0035】
【表2】
【0036】
【表3】
【0037】表3に示すように、本発明の造粒フローを
採用することで、鉱物組成では被還元性の高いヘマタイ
ト(He)が増加し、被還元性が低いカルシウムシリケ
ート(CS)が減少し、また、図13に示すように、ヘ
マタイト(He)に由来する微細気孔の増加によって、
従来法に比べて被還元性は5%向上した。また、本発明
の造粒フロー(方法B)を用いて製造した擬似粒子を同
様に、ドワイトロイド焼結機に供給し、焼結を行った結
果も同様であった。
【0038】また、本発明および従来法による擬似粒子
の焼結体の断面をEPMAにより測定した結果を図14
に示す。従来法ではCa(黒い部分)が全体に分布して
いるに対し、本発明法では外装部分に限ってみられ、本
発明法による石灰石の外装化適用により、焼結鉱の塊内
部にへマタイトが残り、その周囲にカルシウムフェライ
トが生成していることが確認でき、前記図4に示すよう
な塊表面に強度の高いカルシウムフェライト(CF)
を、塊内部に向かっては被還元性の高いヘマタイト(H
e)を選択的に生成した焼結構造が得られたことが確認
できた。
【0039】また、本発明の造粒フロー(方法C)を用
いて製造した擬似粒子を同様に、ドワイトロイド焼結機
に供給し、焼結を行った結果もEPMAによる測定結果
も同様であった。図15に、被還元性(JIS−R
I)、歩留、生産率を測定した結果を示す。本発明法で
は、従来法に比較して被還元性JIS−RIで約5%の
増加、歩留で0.5%、生産率で約18%の向上が得られ
た。
【0040】
【発明の効果】本発明の焼結原料の製造方法によれば、
擬似粒子がドラムミキサーの排出口に到達するまでの下
流側途中に設定した外装領域で石灰石系粉原料および熱
源となる固体燃料系粉原料を添加することにより、石灰
石系粉原料および熱源となる固体燃料系粉原料を擬似粒
子の外装部分に付着・形成した焼結用擬似粒子原料を製
造することができる。このため、ドワイトロイド焼結機
による焼結過程で、冷間強度の低いカルシウムシリケー
ト(CS)の生成が抑制され、塊表面に強度の高いカル
シウムフェライト(CF)を、塊内部に向かっては被還
元性の高いヘマタイト(He)が選択的に生成され、微
細気孔が多く、被還元性に優れ冷間強度の高い焼結鉱が
生産性よく製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来例に係る焼結原料の混合、造粒の系統図で
ある。
【図2】高炉における焼結鉱の被還元性とガス利用率と
の関係図である。
【図3】高炉におけるガス利用率と燃料比との関係図で
ある。
【図4】望ましい焼結鉱の組織構造を説明する図であ
る。
【図5】従来例に係る擬似粒子構造と焼結鉱の組織構造
を説明する図である。
【図6】石灰石系粉原料と固体燃料系粉原料の外装実験
方法を説明する図である。
【図7】外装時間と焼結鉱の被還元性の関係を示す特性
図である。
【図8】外装時間を変化させた場合の擬似粒子中のCa
とFeの分布状況を示す図である。
【図9】本発明例の実施形態を概略的に説明する図であ
る。
【図10】本発明における実施形態を示す図である。
【図11】本発明における別の実施形態を示す図であ
る。
【図12】本発明における別の実施形態を示す図であ
る。
【図13】本発明に係る焼結鉱中の気孔分布状況を従来
例と比較して示す図である。
【図14】本発明に係る焼結鉱中に塊中心にヘマタイト
が、周辺にカルシウムフェライトが生成している効果を
示す図である。
【図15】本発明に係る被還元性、歩留、生産率を従来
例と比較して示す図である。
【符号の説明】 1 鉄鉱石 2 SiO2 含有原料 3 石灰石系粉原料 4 固体燃料系粉原料

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下方吸引のドワイトロイド式焼結機を用
    いて高炉用焼結鉱を製造するプロセスの事前処理とし
    て、鉄鉱石、SiO2 含有原料、石灰石系粉原料および
    固体燃料系粉原料からなる焼結原料をドラムミキサーを
    用いて造粒するに際し、前記ドラムミキサーの装入口か
    ら石灰石系粉原料および固体燃料系粉原料を除く焼結原
    料を装入して造粒すると共に該焼結原料が前記ドラムミ
    キサーの排出口に到達するまでの滞留時間が10〜90
    秒範囲となる下流側途中に設定した領域で石灰石系粉原
    料および固体燃料系粉原料を添加し、排出口に至る間に
    石灰石系粉原料と固体燃料系粉原料を焼結原料の外装部
    に付着・形成することを特徴とする焼結用原料の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 下方吸引のドワイトロイド式焼結機を用
    いて高炉用焼結鉱を製造するプロセスの事前処理とし
    て、鉄鉱石、SiO2 含有原料、石灰石系粉原料および
    固体燃料系粉原料からなる焼結原料をドラムミキサーを
    用いて造粒するに際し、前記ドラムミキサーの装入口か
    ら石灰石系粉原料および固体燃料系粉原料を除く焼結原
    料を装入して造粒すると共に該焼結原料が前記ドラムミ
    キサーの排出口に到達するまでの滞留時間が10〜90
    秒範囲となる下流側途中に設定した領域において、石灰
    石系粉原料を添加した後、固体燃料系粉原料を添加し、
    排出口に至る間に焼結原料の外装部に、石灰石系粉原
    料、固体燃料系粉原料の順で、付着・形成することを特
    徴とする焼結用原料の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記ドラムミキサーを複数に分割したド
    ラムミキサーとして、最終のドラムミキサーを装入口か
    ら排出口に到達するまでの滞留時間が10〜90秒範囲
    に設定されたドラムミキサー長さとしたことを特徴とす
    る請求項1または2記載の焼結用原料の製造方法。
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