JP4085402B2 - オイルクーラとラジエータタンクとの接合方法 - Google Patents

オイルクーラとラジエータタンクとの接合方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用アルミニューム製ラジエータであって、オイルクーラを内蔵したものの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のオイルクーラ内蔵アルミニューム製ラジエータは、先ずアルミニューム製オイルクーラのオイル出入口にボス部をティグ溶接により接合し、そのボス部とオイルパイプ及びボス部とラジエータタンク本体の貫通孔との間を、夫々ティグ溶接により固定していた。そしてその後に、ラジエータタンク本体とチューブプレートとの間を一体にろう付け固定していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ラジエータタンクのろう付け工程と、オイルクーラのそれとを同時に行うことのできる接合方法が望まれていた。
そこで本発明は、係る課題を解決するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明のオイルクーラとラジエータタンクとの接合方法は、ラジエータタンク1に穿設されたオイルパイプ貫通孔2と、
その貫通孔2の内径より大なる外径の環状膨出部3が先端部外周に形成されたオイルパイプ4と、
オイルクーラ5のオイル出入口6の孔縁部と前記パイプ貫通孔2の孔縁部との間に介装される環状のボス部7とを有し、
前記オイルクーラ5を前記ラジエータタンク1内に位置させて、前記オイルパイプ4の先端を、前記ボス部7またはオイルクーラ5の前記オイル出入口6に圧入すると共に、そのオイルパイプ4の前記環状膨出部3を前記ラジエータタンク1の前記オイルパイプ貫通孔2の孔縁に圧接し、
前記ボス部7の端部を前記オイル出入口6に圧入し、または前記オイルパイプ4の先端をそのオイル出入口6に圧入することにより、そのボス部7とオイルパイプ4とオイルクーラ5との間を互いに保持し、
その状態で、全体を炉内に挿入して各部品間のろう材を溶融させ、次いでそれを固化することにより、各部品間を液密にろう付け固定したものである。
【0005】
このオイルクーラとラジエータタンクとの接合方法は、オイルパイプ4とラジエータタンク1とボス部7とオイルクーラ5とが互いに圧接保持された状態で、全体が炉内でろう付け固定されるものであるから、ろう付け用の特別な治具を要することなく、ラジエータタンク内にオイルクーラを内蔵することができる。それにより、量産性の高いオイルクーラ内蔵型ラジエータを提供できる。
【0006】
次に請求項2記載の本発明は、請求項1記載の発明において、オイルパイプ4の先端の外周に、その半径方向に少なくとも一対の爪部8を一体に突設し、夫々の爪部8に整合する少なくとも一対の欠切部9を前記オイル出入口6の孔縁部に設け、
そのオイルパイプ4の先端の夫々の前記爪部8をそのオイル出入口6の前記欠切部9から挿入して適宜角度回転させることにより、そのオイルパイプ4の先端をオイル出入口6に圧着係止させることとしたオイルクーラとラジエータタンクとの接合方法である。
このオイルクーラとラジエータタンクとの接合方法は、オイルパイプ4の先端の爪部8をオイルクーラ5のオイル出入口6に係止させるものであるから、確実にオイルパイプ4とラジエータタンク1とボス部7とオイルクーラ5との間を保持させた状態で、各部品間を一体的にろう付けすることができる。
【0007】
請求項3記載の本発明は、請求項1の発明において、前記ボス部7のオイルクーラ5側に前記オイル出入口6の内径より僅かに大なる外形の嵌着凸部10を形成し、その嵌着凸部10をオイル出入口6に圧入したオイルクーラとラジエータタンクとの接合方法である。
このオイルクーラとラジエータタンクとの接合方法は、ボス部7の嵌着凸部10をオイルクーラ5のオイル出入口6に圧入したものであるから、オイルクーラ5とボス部7との間を確実に保持させた状態で、各部品間を一体的にろう付けすることができる。
【0008】
次に請求項4記載の本発明は、前記請求項3記載の発明において、前記オイルパイプ4の先端部外周に外ネジ11を形成し、前記ボス部7の内周にその外ネジ11に整合する内ネジ12を形成し、
前記オイルパイプ4の先端部を前記ボス部7に螺着締結するようにしたオイルクーラとラジエータタンクとの接合方法である。
このオイルクーラとラジエータタンクとの接合方法は、オイルパイプ4の先端の外ネジ11をボス部7の内ネジ12に螺着締結するように構成したから、ろう付けの際にオイルパイプ4とラジエータタンク1とボス部7との間をより確実に保持し得る。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に、図面に基づいて本発明の各実施の形態につき説明する。
図1は本発明の第1の接合方法を示す要部分解説明図、図2は同組立状態を示す要部縦断面図である。
この例のオイルクーラ5は二重管型のものであり、略同一長さのインナーパイプ14とアウターパイプ15との間にインナーフィン16が介装され、インナーパイプ14の両端部が拡開されてアウターパイプ15に密着されている。そして少なくともインナーパイプ14,アウターパイプ15の内面側、並びにアウターパイプ15外面側にはろう材が被覆されたアルミニューム管が用いられる。そしてアウターパイプ15の長手方向両端部にはオイル出入口6が穿設され、オイル出入口6の孔縁部にその直径線上に一対の欠切部9が形成される。さらにオイル出入口6の孔縁部は環状の平坦面とされ、そこに環状のボス部7が載置される。
【0010】
次に、ラジエータタンク1は箱状に形成され、その側面に一対のオイルパイプ貫通孔2(一方側を省略)が形成される。また、そのオイルパイプ貫通孔2に貫通されるオイルパイプ4は、先端部に環状膨出部3が形成される。この環状膨出部3の外直径は、オイルパイプ貫通孔2の内直径よりも大に形成される。さらにオイルパイプ4の先端縁が一体的にL字状に、一対の爪部8の直径線上で外方に突設形成される。
而して、ボス部7をオイルクーラ5のオイル出入口6の孔縁部に配置すると共に、それらをラジエータタンク1に内装し、オイルパイプ4をラジエータタンク1の外面側から挿入して、その爪部8がオイルクーラ5のオイル出入口6のボス部7に整合するようにして挿入する。次いで、オイルパイプ4を回転させ、図2に示す如く、爪部8をオイル出入口6の孔縁部に係止させる。
次いで、多数のチューブとフィンが組立てられたチューブプレートを箱状のラジエータタンク1の開口に被嵌し、全体を高温の炉内に挿入する。
【0011】
なお、互いに接触する各部品の少なくとも一方には予めろう材が被覆されたアルミニューム材を用いる。そして炉内でろう材を溶融させ、次いでそれを固化することより、各部品間を一体的に且つ液密にろう付け固定し、オイルクーラ内蔵のラジエータを完成する。
また、この例ではオイルクーラ5として二重管型のものを用いたが、それに代えて多板型のオイルクーラとすることもできる。即ち、両端部にオイル出入口が設けられた細長い多数の皿状プレートを互いに逆向きに重ね合わせてエレメントを構成し、それを積層した積層タイプのオイルクーラにおいて、そのオイル出入口に取付られるオイルパイプ、ボス部をこの発明に適用することも可能である。
【0012】
次に、図3は本発明の他の実施の形態を示す要部縦断面図である。
この例は、オイルクーラ5の外面のオイル出入口6にボス部7が圧入されると共に、オイルパイプ4の先端がボス部7の内周に圧入されるものである。そのために、ボス部7のオイルクーラ5側先端には嵌着凸部10が形成され、その嵌着凸部10の外直径がオイル出入口6の内直径よりも僅かに大に形成される。そして、その嵌着凸部10がオイル出入口6に圧入される。なお、ボス部7のラジエータタンク1側の表面もこの例では段付に形成され、そこに環状のろう材13が配置される。さらに、ボス部7の中心孔はラジエータタンク1側に拡開する段付に形成されている。そして、その開口の直径よりもオイルパイプ4の先端部外直径が僅かに大に形成され、それがボス部7の開口に圧入される。それにより、オイルパイプ4とラジエータタンク1とボス部7とオイルクーラ5との間が一体的に保持される。その状態で全体が高温の炉内に挿入され、各部品間に被覆または配置されたろう材により、一体的に且つ液密に各部品間がろう付け固定される。
【0013】
次に、図4は本発明のさらに他の実施の形態を示す分解説明図であり、図5はその組立状態を示す要部縦断面図である。
この例は、オイルパイプ4の先端に設けた外ネジ11がボス部7の内周の内ネジ12に螺着締結されるものである。また、ボス部7の嵌着凸部10がオイルクーラ5のオイル出入口6に圧入される。そして他の構成は、図3におけるそれと同様である。
【0014】
【発明の作用・効果】
本発明のオイルクーラとラジエータタンクとの接合方法は、オイルパイプ4とラジエータタンク1とボス部7とオイルクーラ5とが互いに圧接保持された状態で、全体が炉内でろう付け固定されるものであるから、ろう付け用の特別な治具を要することなく、ラジエータタンク内にオイルクーラを内蔵することができる。それにより、ラジエータのろう付け工程と、オイルクーラのそれとを同時に行なうことができ、量産性の高いオイルクーラ内蔵型ラジエータを提供できる。
次に、請求項2記載の本発明は、オイルパイプ4の先端の爪部8をオイルクーラ5のオイル出入口6に係止させるものであるから、確実にオイルパイプ4とラジエータタンク1とボス部7とオイルクーラ5との間を保持させた状態で、各部品間を一体的にろう付けすることができる。
【0015】
次に、請求項3記載の本発明は、ボス部7の嵌着凸部10をオイルクーラ5のオイル出入口6に圧入したものであるから、オイルクーラ5とボス部7との間を確実に保持し得る。
次に、請求項4記載の本発明は、オイルパイプ4の先端の外ネジ11をボス部7の内ネジ12に螺着締結するように構成したから、ろう付けの際にオイルパイプ4とラジエータタンク1とボス部7との間をより確実に保持し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の接合方法を示す要部分解説明図。
【図2】同方法による組立状態を示す要部縦断面図。
【図3】本発明の接合方法の他の実施の形態を示す要部縦断面図。
【図4】本発明の接合方法のさらに他の実施の形態を示す分解説明図。
【図5】同方法による組立状態を示す要部縦断面図。
【符号の説明】
1 ラジエータタンク
2 オイルパイプ貫通孔
3 環状膨出部
4 オイルパイプ
5 オイルクーラ
6 オイル出入口
7 ボス部
8 爪部
9 欠切部
10 嵌着凸部
11 外ネジ
12 内ネジ
13 ろう材
14 インナーパイプ
15 アウターパイプ
16 インナーフィン

Claims (4)

  1. ラジエータタンク1に穿設されたオイルパイプ貫通孔2と、
    その貫通孔2の内径より大なる外径の環状膨出部3が先端部外周に形成されたオイルパイプ4と、
    オイルクーラ5のオイル出入口6の孔縁部と前記パイプ貫通孔2の孔縁部との間に介装される環状のボス部7とを有し、
    前記オイルクーラ5を前記ラジエータタンク1内に位置させて、前記オイルパイプ4の先端を、前記ボス部7またはオイルクーラ5の前記オイル出入口6に圧入すると共に、そのオイルパイプ4の前記環状膨出部3を前記ラジエータタンク1の前記オイルパイプ貫通孔2の孔縁に圧接し、
    前記ボス部7の端部を前記オイル出入口6に圧入し、または前記オイルパイプ4の先端をそのオイル出入口6に圧入することにより、そのボス部7とオイルパイプ4とオイルクーラ5との間を互いに保持し、
    その状態で、全体を炉内に挿入して各部品間のろう材を溶融させ、次いでそれを固化することにより、各部品間を液密にろう付け固定したオイルクーラとラジエータタンクとの接合方法。
  2. 請求項1において、
    オイルパイプ4の先端の外周に、その半径方向に少なくとも一対の爪部8を一体に突設し、夫々の爪部8に整合する少なくとも一対の欠切部9を前記オイル出入口6の孔縁部に設け、
    そのオイルパイプ4の先端の夫々の前記爪部8をそのオイル出入口6の前記欠切部9から挿入して適宜角度回転させることにより、そのオイルパイプ4の先端をオイル出入口6に圧着係止させることとしたオイルクーラとラジエータタンクとの接合方法。
  3. 請求項1において、
    前記ボス部7のオイルクーラ5側に、前記オイル出入口6の内径より僅かに大なる外形の嵌着凸部10を形成し、その嵌着凸部10をオイル出入口6に圧入したオイルクーラとラジエータタンクとの接合方法。
  4. 請求項3において、前記オイルパイプ4の先端部外周に外ネジ11を形成し、前記ボス部7の内周にその外ネジ11に整合する内ネジ12を形成し、
    前記オイルパイプ4の先端部を前記ボス部7に螺着締結するようにしたオイルクーラとラジエータタンクとの接合方法。
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