JP4084895B2 - 排気管支持構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、原動機等の振動発生源に接続された排気管を車体等の被支持体に対し吊り下げ支持する排気管支持構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、この種の排気管支持構造として、支持装置本体に対しその外側に隣接するように規制部材を配設して左右方向の振れ量を所定量に規制するものが知られている(例えば、実開昭59−123613号公報参照、実開昭61−38340号公報参照または実開昭61−179320号公報参照)。上記各公報に記載された支持装置本体は、その上端に車体からの支持部材が挿入される第1取付孔を有する第1取付部とその下端に排気管からの支持部材が挿入される第2取付孔を有する第2取付部とを一対の主ばね部により互いに連結することにより構成されている。
【0003】
そして、実開昭59−123613号公報に記載されたものでは、支持装置本体の上側部分を覆う規制部材としての上側カバー部材が配設されており、上記支持装置本体に対し左右方向の振動が入力されて上記支持装置本体が左右方向に変位すると、この支持装置本体の外周囲と上記上側カバー部材とが当接することになり、振れ量を所定量に規制するようになっている。
【0004】
また、上記実開昭61−38340号公報に記載されたものでは、上記の支持装置本体の外周囲を取り囲むように規制部材としてのリング部材が配設されており、上記のように左右方向の振動が入力されると上記支持装置本体の外周囲が上記リング部材に当接することになり、振れ量を所定量に規制するようになっている。
【0005】
さらに、上記実開昭61−179320号公報に記載されたものでは、上記の支持装置本体の左右両外側に規制部材としての壁部材が配設されており、上記のように左右方向の振動が入力されると上記支持装置本体の左右両側の外側面が上記壁部材に当接することになり、上記排気管の振れを所定量に規制するようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来の排気管支持構造においては、いずれも規制部材が別部材であるため、支持装置本体、車体及び排気管から延びる支持部材及び規制部材の4つの部材が必要となり、部品点数が増加することによりコストが増大してしまうという不都合がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、排気管の左右方向の振れ量を規制可能な排気管支持構造において、そのコストの低減化を図ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明者は、被支持体及び排気管の内の一方から延びる支持部材自体を変形させれば部品点数を増加させなくても上記支持装置本体の振れを規制できる点に着目して本発明を完成するに至った。
【0009】
具体的に、第1の発明は、排気管を被支持体に対し吊り下げ支持する排気管支持構造を対象とするものであり、このものにおいて、上記被支持体及び排気管の内の一方から延びる支持部材が挿入される第1取付孔を有する第1取付部と、上記被支持体及び排気管の内の他方から延びる支持部材が挿入される第2取付孔を有し、上記第1取付部に対し上下方向に互いに離されて配設された第2取付部と、上記第1取付部と第2取付部との間に掛け渡されて上記第1及び第2取付部を互いに連結する一対の主ばね部とがゴム弾性体によって一体に形成され、上記第1及び第2取付部間に上記一対の主ばね部により区画された空所が形成された支持装置本体を備え、上記被支持体及び排気管の内の一方から延びる支持部材を、上記被支持体または排気管から延びる基部とこの基部に対し互いに離された位置に相対向して延びる先端屈曲部とを有するように略コ字状に折り曲げて形成し、上記支持部材における先端屈曲部を、上記第1取付孔又は空所に挿入するようにして組み付けることで、上記基部を上記第1取付孔及び空所の内の一方に挿入し、上記先端屈曲部を上記第1取付孔及び空所の内の他方に挿入した状態にすることを特定事項とするものである。ここで、排気管としては、振動源である原動機に接続されてこの原動機からの振動が伝達されるものであり、排気管本体の他にこの排気管本体に連通される消音器等も含むものである。また、「基部」とは、上記被支持体または排気管と上記支持部材との接続部分から延びる部分といい、「先端屈曲部」とは、上記基部から2つの折り曲げ部分を経て上記基部に対し平行となるように延びる部分をいう。
【0010】
この場合、第1及び第2取付部を結ぶ上下方向に直交する左右方向の振動が支持装置本体に入力してこの支持装置本体が左右方向に振れた場合には、先端屈曲部及び基部の内の空所内に挿入された方と主ばね部の内壁とが当接することになる。このため、上記支持装置本体が上記の当接した状態よりも更に振れることが防止され、上記支持装置本体の振れ量が所定量に規制される。その結果、排気管の左右方向の振れ量が所定量に規制される。このように、支持部材を屈曲させることのみで部品点数を増加させることなく支持装置本体の左右方向の振れ量を所定量に規制することが可能になり、コストの低減化が図られる。また、上下方向の振動が入力した場合には、上記先端屈曲部及び基部の内の空所内に挿入された方と、上記空所の上壁及び下壁を構成する上記第1及び第2取付部とが当接することになり、上記排気管の上下方向の振れ量が所定量に規制される。
【0011】
そして、上記略コ字状に形成する支持部材としては、被支持体から延びる支持部材を略コ字状にしてもよく、排気管から延びる支持部材を略コ字状にしてもよい。また、その支持部材の基部を第1取付孔内に挿入して、先端屈曲部を空所内に挿入してもよいし、逆に基部を空所内に挿入して、先端屈曲部を第1取付孔内に挿入してもよい。
【0012】
そして、第2の発明は、排気管を被支持体に対し吊り下げ支持する排気管支持構造を対象とし、このものにおいて、上記被支持体及び排気管の内の一方から延びる支持部材が挿入される第1取付孔を有する第1取付部と、上記被支持体及び排気管の内の他方から延びる支持部材が挿入される第2取付孔を有し、上記第1取付部に対し上下方向に互いに離されて配設された第2取付部と、上記第1取付部と第2取付部との間に掛け渡されて上記第1及び第2取付部を互いに連結する一対の主ばね部とをゴム弾性体によって一体に形成し、上記第1及び第2取付部間に上記一対の主ばね部により区画された空所が形成された支持装置本体を備え、上記被支持体及び排気管の内の一方から延びる支持部材を、上記被支持体または排気管から延びる基部とこの基部に対し互いに離された位置に相対向して延びる先端屈曲部とを有するように略コ字状に折り曲げられて形成し、上記基部を第1取付孔内に挿入し、上記先端屈曲部を上記支持装置本体の第1及び第2取付部を結ぶ上下方向に直交する左右方向のいずれか一側の外側位置に配設することを特定事項とするものである。ここで、支持装置本体の左右方向のいずれか一側の外側位置に配設する先端屈曲部または基部は、上記支持装置の外側部に当接していてもよいし、あるいは、その外側部に対し外方に所定間隔だけ互いに離された状態にしていてもよい。また、その支持部材の基部を第1取付孔内に挿入して、先端屈曲部を支持装置本体の左右方向のいずれか一側の外側位置に配設してもよいし、逆に基部を支持装置本体の左右方向のいずれか一側の外側位置に配設して、先端屈曲部を第1取付孔内に挿入してもよい。この場合、左右方向の振動が入力した場合には、先端屈曲部及び基部の内の支持装置本体の外側位置に配設された方と、上記支持装置本体の外側面とが当接するようになり、上記排気管の左右方向のいずれか一側の振れ量が所定量に規制される。
【0013】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の発明における排気管支持構造によれば、左右方向の振動が入力した場合には、先端屈曲部及び基部の内の空所内に挿入された方が主ばね部の内壁に当接してその振れ量を所定量に規制することができ、部品点数を増加させることなく排気管の振れを所定量に規制することができ、コストの低減化を図ることができる。
【0014】
請求項2記載の発明によれば、左右方向の振動が入力した場合には、排気管の左右方向のいずれか一側の振れ量を所定量に規制することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基いて説明する。
【0016】
図1〜図3は、本発明の実施形態に係る排気管支持構造を示し、1は均一なゴム弾性体により一定厚みを有し上下方向に長い略楕円にまたは略長円形状に形成された支持装置本体である。この支持装置本体1は、その上端部に第1取付孔2aが形成された第1取付部11と、下端部に第2取付孔2bが形成された第2取付部12とを有している。そして、上記第1及び第2取付部11,12を互いに連結する一対の主ばね部13,13が形成されている。上記第1取付部11と第2取付部12との間は肉厚方向に貫通する空所14とされている。
【0017】
そして、被支持体としての車体3から延びる支持部材3aは、その先端部分が略コ字状に屈曲されており、上側に位置する基部3bと下側に位置する先端屈曲部3cとが互いに平行になるように形成されている。そして、上記基部3bが上記第1取付孔2a内に挿入される一方、先端屈曲部3cが空所14内に挿入されるようになっている。また、上記第2取付孔2b内には排気管4からの支持部材4aが挿入されている。
【0018】
そして、上記第1取付部11の下端は下方に突出するストッパー部11aとされ、同じく上記第2取付部12の上端は上方に突出するストッパー部12aとされている。このため、排気管支持装置1に対し上下方向の荷重が入力された際に、上記ストッパー部11a,12aと、上記先端屈曲部3cとが当接するようになり、上下方向の変位が所定量に規制されるようになっている。
【0019】
つぎに、上記支持装置本体の取付方法について説明する。
【0020】
図4に示すように、まず、第1取付孔2a内に上記支持部材3aの先端を挿入する(同図の第1工程P1参照)。そして、上記支持装置本体1を上記支持部材3aに沿って移動させて(同図の第2工程P2参照)、上記支持部材3aの基部3bに位置させる。次いで、上記支持装置本体1を支持部材3a回りに回転させる(同図の第3工程P3参照)。この状態で、上記支持装置本体1を支持部材3aの先端側に移動させれば(同図の第4工程P4参照)、上記空所14内に支持部材3aの先端屈曲部3cが挿入され、かつ、第1取付孔14内に基部3bが挿入された状態になる(同図の第5工程P5参照)。
【0021】
つぎに、上記実施形態の作用・効果を説明する。
【0022】
支持装置本体1に対し左右方向の振動が入力して、この支持装置本体1が左右方向に振れた場合には、支持部材3aの先端屈曲部3cと主ばね部13,13の内壁とが当接するようになり、上記支持装置本体1の振れ量を所定量に規制することができるようになる(図3の一点鎖線参照)。このため、排気管4の左右方向の振れ量を所定量に規制することができるようになる。
【0023】
このように、支持部材3aを屈曲させることのみで部品点数を増加させることなく排気管4の左右方向の振れ量を所定量に規制することができるようになり、コストの低減化を図ることができるようになる。
【0024】
<他の実施形態>
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の実施形態を包含するものである。すなわち、上記実施形態では、支持装置本体1の空所14に対し支持部材3aの先端屈曲部3cを挿入するようにしているが、これに限らず、例えば図5または図6に示すように、上記空所14内に基部3bを挿入し、第1取付孔2a内に先端屈曲部3cを挿入するようにしてもよい。この場合であっても、支持装置本体1に対し左右方向の振動が入力した場合には、上記主ばね部13,13の内壁と基部3cとが当接するようになり、その振れ量を所定量に規制することができるようになる。そして、この場合の支持装置本体1の取付方法は、図7に示すように、空所14内に上記先端屈曲部3cの先端を挿入する(同図の第1工程P11参照)。そして、上記支持装置本体1を上記支持部材3aに沿って移動させて(同図の第2工程P12参照)、基部3bに位置させる。次いで、上記支持装置本体1を支持部材3a回りに回転させる(同図の第3工程P13参照)。この状態で上記支持装置本体1を支持部材3aの先端側に移動させれば(同図の第4工程P14参照)、上記第1取付孔2a内に先端屈曲部3cが挿入され、かつ、空所14内に基部3bが挿入された状態になる(同図の第5工程P15参照)。
【0025】
上記実施形態では、先端屈曲部3cを空所14内に挿入しているが、これに限らず、例えば図8に示すように、上記先端屈曲部3cを支持装置本体1の外側に位置させるようにしてもよい。この場合には、上記支持装置本体1の左右方向の一側側(同図の右手前側)の振れ量を所定量に規制することができるようになり、排気管4の左右方向一側側の振れ量を所定量に規制することができるようになる。
【0026】
上記実施形態では、車体3からの支持部材3aを略コ字状にして第1取付孔2a内と空所14内とに挿入するようにしているが、これに限らず、例えば排気管4からの支持部材4aを略コ字状にして、その基部と先端屈曲部とを空所14と、第1及び第2取付孔2a,2bの内の一方とに挿入するようにしてもよい。この場合でも、上記支持装置本体1に対しては上記車体3と排気管4との相対変位が作用するため、主ばね部13,13と、上記支持部材4aとが当接して上記排気管4の左右方向の振れ量を所定量に規制することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示す斜視図である。
【図2】図3のA−A断面を示す断面説明図である。
【図3】支持装置本体が左右方向に振れた状態を示す正面説明図である。
【図4】支持装置本体の取付方法を示す説明図である。
【図5】他の実施形態に係る排気管支持構造を示す図1対応図である。
【図6】他の実施形態に係る排気管支持構造を示す図2対応図である。
【図7】図5に示す他の実施形態に係る排気管支持構造における支持装置本体の取付方法を示す図4対応図である。
【図8】図5とは異なる他の実施形態に係る排気管支持構造を示す図1対応図である。
【符号の説明】
1 支持装置本体
3 車体(被支持体)
4 排気管
11 第1取付部
12 第2取付部
13,13 主ばね部
14 空所
2a 第1取付孔
2b 第2取付孔
3a 支持部材(被支持体)
3b 基部
3c 先端屈曲部
4a 支持部材(排気管)

Claims (2)

  1. 排気管を被支持体に対し吊り下げ支持する排気管支持構造において、
    上記被支持体及び排気管の内の一方から延びる支持部材が挿入される第1取付孔を有する第1取付部と、上記被支持体及び排気管の内の他方から延びる支持部材が挿入される第2取付孔を有し、上記第1取付部に対し上下方向に互いに離されて配設された第2取付部と、上記第1取付部と第2取付部との間に掛け渡されて上記第1及び第2取付部を互いに連結する一対の主ばね部とがゴム弾性体によって一体に形成され、上記第1及び第2取付部間に上記一対の主ばね部により区画された空所が形成された支持装置本体を備え、
    上記被支持体及び排気管の内の一方から延びる支持部材が、上記被支持体または排気管から延びる基部とこの基部に対し互いに離された位置に相対向して延びる先端屈曲部とを有するように略コ字状に折り曲げられて形成され、
    上記支持部材における先端屈曲部を、上記第1取付孔又は空所に挿入するようにして組み付けることで、上記基部が上記第1取付孔及び空所の内の一方に挿入され、上記先端屈曲部が上記第1取付孔及び空所の内の他方に挿入された状態にされている
    ことを特徴とする排気管支持構造。
  2. 排気管を被支持体に対し吊り下げ支持する排気管支持構造において、
    上記被支持体及び排気管の内の一方から延びる支持部材が挿入される第1取付孔を有する第1取付部と、上記被支持体及び排気管の内の他方から延びる支持部材が挿入される第2取付孔を有し、上記第1取付部に対し上下方向に互いに離されて配設された第2取付部と、上記第1取付部と第2取付部との間に掛け渡されて上記第1及び第2取付部を互いに連結する一対の主ばね部とがゴム弾性体によって一体に形成され、上記第1及び第2取付部間に上記一対の主ばね部により区画された空所が形成された支持装置本体を備え、
    上記被支持体及び排気管の内の一方から延びる支持部材が、上記被支持体または排気管から延びる基部とこの基部に対し互いに離された位置に相対向して延びる先端屈曲部とを有するように略コ字状に折り曲げられて形成され、
    記基部が第1取付孔内に挿入され、
    上記先端屈曲部が上記支持装置本体の第1及び第2取付部を結ぶ上下方向に直交する左右方向のいずれか一側の外側位置に配設されている
    ことを特徴とする排気管支持構造。
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