JP4084751B2 - 高濃度の炭酸カルシウムを含有する産業副産物から沈降炭酸カルシウムを生成する方法 - Google Patents

高濃度の炭酸カルシウムを含有する産業副産物から沈降炭酸カルシウムを生成する方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、工業プロセス、特に肥料産業におけるニトロフォスフェートプラントにおいて生成される高濃度の炭酸カルシウムを含有する副産物から沈降炭酸カルシウムを生成する方法に関するものである。
【0002】
沈降炭酸カルシウムは、高濃度の炭酸カルシウムを含有する副産物から生石灰をキルンによって焼成し、次いでこれを消和又は水和して消石灰を得、次いでそれを炭酸化することによって生成される。
【0003】
沈降炭酸カルシウムは、紙、ゴム、プラスチック、ガラス、織物、パテ、チョーク、シール材、接着剤、ペイント、インク、ニス、食品、化粧品、デントリファイス(dentrifice)、薬品及び医薬品の製造のような種々の商業的な用途が発見されている。
【0004】
【背景技術】
沈降炭酸カルシウムの商業的な使用には、明確な粉末特性、特に狭い粒径分布で、均一な形状及び結晶性の微粒子が必要とされる。マレンテッテ ジェイ.エム等(Marentette J. M. et al.)の「PEOブロック−PMAA共重合体の存在下における炭酸カルシウムの結晶化」Adv.Mater、9,647,1997年は、それらの特性が製品の特性に重要な役割を果たしており、それらの制御は、工業的に有用な製品の調製のために重要であることを明らかにしている。また、沈降炭酸カルシウムは、種々の商業的な用途のために実質的に不純物を含まないことが必要である。
【0005】
炭酸カルシウムを含有する固形廃棄物を処理するための物理的及び化学的処理がいくつか報告されている。物理的処理は、乾燥や不純物が篩いわけ、分級、磁気分離、ハイドロサイクロン及び浮遊分離により除去出来る細かさに粉砕することが必要となる。これらの物理的な方法の問題点は、特別な機械/装置及びその保守を必要とすることである。プロセス効率が予測不能であること、多量の不純物除去の結果生じる変化及びこうした物理的技術を用いることに関連した出費は、もう一つの問題点である。高濃度の炭酸カルシウムを含有する廃棄物の浄化のための化学的処理は、特別の試薬を用いた不純物の浸出及び脱色を含んでいる。これらの方法の問題点は、処理を行うために多数の単位操作が必要であることである。さらに、全ての不純物を除去するためには単一の薬品では不十分である。処理後に余分の薬品を除去、分離しなければならないことが他の問題点である。
【0006】
高濃度の炭酸カルシウムを含有する廃棄物処理のための公知で、広く用いられている他の方法は、キルン中で再燃焼させ、冷却後にこれを取り出して紙パルプ製造におけるかせい化処理に再使用される酸化カルシウムを得るか、若しくはこれを水和処理し、次いで炭酸化により沈降炭酸カルシウムを生成することである。
【0007】
Richard Derek Anthony Woodeに付与されたアメリカ特許第4,018,877号(1977)を参照すれば、25℃の水酸化カルシウムの水性懸濁液が活発に攪拌され、空気と二酸化炭素の混合物と反応させられる。15分後(「一次核生成段階」に続いて)、生成される炭酸カルシウムの重量に基づいて0.001乃至5重量%、特に0.03乃至0.2重量%の濃度の、オキシカルボン酸、特にヒドロキシポリカルボン酸(hydroxy poly-calboxylic acid)(例えば、クエン酸及びリンゴ酸)等のカルシウムイオンに対する錯生成剤が添加される。さらに約50分経過後に、反応混合物がちょうどフェノールフラレイン指示薬としての酸となった時に、炭酸化が停止される。混合物は、20分間にわたり85℃に加熱され、30分間にわたって熟成を可能とする。炭酸化は、非常に低い割合で再開され、温度を85℃に保持し、20乃至40分後にバッチのpHは8.0未満となる。この段階で、アンモニア溶液中の0.8%のステアリン酸が添加され、混合物は85℃で約3時間攪拌される。懸濁液は濾過され、フィルタケーキは5/16インチ径の孔を通して押し出されて「顆粒」を得、これを炉内のガーゼトレイ上で130℃で一晩乾燥されて、顆粒の硬度に対して0.72の硬度を持ち0.07ミクロンの柔らかい感触の最終的粒子サイズの炭酸カルシウムを生成する。この方法の欠点は、全バッチ/生成時間は5時間を超えるものとなり、その間温度は4時間の間85℃に保持して、130℃で生成物を一晩乾燥させる。これは、この方法のエネルギ消費を大きくして、魅力的でないものとする。
【0008】
Hiroji Shibazaki等に付与されたアメリカ特許第4,133,894号(1979)には、炭酸化反応ステップを反復することによって、均一な粒子サイズの沈降物を連続的に生成することが出来ることが開示されている。この方法の第一のステップにおいて、0.1乃至10重量%の固形物濃度で、15乃至30℃の温度を有する水酸化カルシウムの懸濁液は、約0.2乃至1.0mmの液滴の形で10乃至40体積%の、約0.02乃至0.5m/secの表面ガス速度で流通する二酸化炭素を含有するガスに対して逆向きに噴霧して、これにより5乃至15%の二酸化炭素を炭酸カルシウムに変換する。この方法の第二のステップにおいて、第一のステップから得られた懸濁液は、約1.0乃至1.5mm径の液滴の形で、約1.5乃至2.5m/secの表面ガス速度のカラムを通して上向きに流通する15乃至35体積%の二酸化炭素を含有するガスに対して噴霧して、結晶の成長を達成する。この方法の第三のステップにおいて第二のステップから得られた懸濁液は、30℃までの温度で約1.5乃至2.0mmの液滴の形で、約1.5乃至3.0m/secの表面ガス速度の向流のカラムに噴霧されて、炭酸化が完了される。従って、約0.1乃至3.0ミクロン未満の平均粒径を有する超微粒炭酸カルシウムが生成される。この発明の主な欠点は、三つのカラムの時点で、固体濃度、液滴サイズ、懸濁液の温度、二酸化炭素含有ガスの流速等の多数のパラメータを制御する必要がある。もう一つの欠点は、単段の炭酸化に比べてカラム及びポンプに多大の設備投資を必要とするとともに運転コストがかかる多段階の炭酸化の使用である。
【0009】
Bleakley, Ian S.等に付与されたアメリカ特許第5,342,600号(1994)は、生石灰を水性媒体内で消和し、その媒体を消和中に連続的に攪拌し、消和後に得られた水酸化カルシウムの懸濁液を40乃至70ミクロンの孔を有する篩いにかけ、懸濁液を40乃至70m/secの周速を有するインペラによる高エネルギ、高剪断力で攪拌して高度に分散された水酸化カルシウムを得、高エネルギ、高剪断力の攪拌を停止し、高度に分散された消石灰を生成し、この懸濁液を懸濁液のpHの中和を生じさせるのに十分な二酸化炭素から成るガスに流通させて炭酸化し、この炭酸化ステップ中に、200乃至700cm/secの速度のインペラによって連続的に攪拌して懸濁を維持し、形成された沈降炭酸カルシウムを分離する。この方法に関連した問題点は、消和及び炭酸化中に高エネルギ及び高剪断力の攪拌を発生させることを必要する点である。幾つかの特許において、形状及び粒子サイズを制御するための添加物の使用が推奨されている。Bleakley Ian S.等に付与されたアメリカ特許第5,558,850号(1996)に関して、0.1乃至20重量%の一以上の水素原子を有する試薬、例えば多価アルコール又はフェノール、が、生石灰が消和された生成媒体に添加される。Chapnerkar Vasant D.等に付与されたアメリカ特許第5,332,564号(1994)に関して、生石灰が約10.1乃至2.0重量%の砂糖を含有する水性溶液に溶解して斜方晶形状の沈降炭酸カルシウムを生成され、Bleakley Ian S.等に付与されたアメリカ特許第5,232,678号(1993)に関して、紙充填材又は紙被覆顔料として使用したときに良好な光散乱特性を有する炭酸カルシウムのクラスタを調製するための0.01乃至1.5重量%のトリエタノールアミン、マンニトール、モルホリン及び固形ボロヘプトネート(solid boroheptonate)が示されている。Vanderheiden, Denis B.に付与されたアメリカ特許第4,714,603号(1987)は、艶消し被覆紙に使用するのに適した実質的に球形形状の沈降方解石を得るために0.1乃至1.0重量%の量のポリリン酸塩の使用に言及している。これらの全ての方法に関連した問題点は、生産コストを増加させる特別の試薬を必要とする。
【0010】
Bleakley Ian S.等に付与されたアメリカ特許第5,833,747号(1998)は、紙コーティング組成物の顔料として使用するために沈降炭酸カルシウムを調製する方法を開示している。この方法は、石灰を含有する水性媒体の炭酸化し、5乃至10MPaの圧力で動作する加圧フィルタ装置を使用して懸濁液を含有する沈降炭酸カルシウムの少なくとも一部を脱水し、懸濁液を含有する沈降炭酸カルシウムを0.1乃至4.0mmの範囲の中間粒径を有するシリカ砂等の摩擦研磨媒体により高剪断力の摩擦研磨により粉砕するステップで構成される。生成品は、主にあられ石状(aragonitic)又はスカレノヘドロン状(scalenohedral)の結晶で構成される。この方法の問題点は、処理中に分離されない特別の研磨媒体によって高剪断力の摩擦研磨のための装置及び懸濁液を含有する沈降炭酸カルシウムを脱水するための加圧フィルタを必要とする点である。
【0011】
Kroc Vicki J. 等に付与されたアメリカ特許第5,695,733号(1997)に開示された方法は、あられ石状炭酸カルシウムのスカレノヘドロン粒子の種子材料を含有する反応混合物を形成し、二酸化炭素を同時に導入しながら、反応混合物に石灰スラリを添加するステップで構成される。石灰スラリを二酸化炭素の流量を調整して反応混合物の溶液の導電性を2乃至4ミリシーメンスに制御して、方解石粒子のクラスタを形成する。この方法の問題点は、石灰スラリと二酸化炭素を同時に添加して溶液の導電性を維持する点である。さらに、液相及び気相の反応物質の流量を同時に制御することは管理者には困難である。
【0012】
0.1乃至1.0ミクロンの平均サイズを有する炭酸カルシウム粒子の生成方法は、You Kyu Jaeに付与されたアメリカ特許第5,811,070号(1998)に開示されている。この方法は、グルタミン酸ソーダ、砂糖及びその混合物等の第一の試薬を含有する石灰の乳液に二酸化炭素を、石灰の乳液に最初から存在する水酸化カルシウム100部に対して0.1乃至2.0部の範囲で導入して、平均サイズ0.4ミクロンの炭酸カルシウム粒子を含有する水性懸濁液を調製し、石灰の乳液を上記の水性懸濁液に添加し、最初に存在する水酸化カルシウム100部あたり0.1乃至5.0部の範囲で、ポリアクリレートナトリウム(sodium polyacrylate)及び重炭酸塩の少なくとも一方を含む第二の試薬を含む炭酸溶液を水性懸濁液と連続的に反応させる。この方法による炭酸カルシウム粒子は、接着剤の充填材、ペイント、インク、紙及びプラスチック、特にポリエチレン透明フィルムとして適当である。この方法に関連した問題点は、二つの段階における試薬の添加であり、これらの双方は異なるタイプである。これは、処理を複雑にし、魅力的ではないものにする。
【0013】
Vanderheiden Dennis B.に付与されたアメリカ特許第4,367,207号(1983)は、7℃よりも高く、18℃よりも低い温度において開始される炭酸化により陰イオンの有機ポリリン酸高分子電解質を含有する水性水酸化カルシウムスラリに二酸化炭素を導入する超微粒子沈降方解石を調製する方法に関するものである。この方法の問題点は、陰イオン高分子電解質を必要とするため製造コストを増加させる。もう一つの問題点は、反応温度が大気温度よりも低く保持され、低温プラントを必要とし、それによるエネルギ消費である。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の主な目的は、上記に詳細に説明した問題点を解消して、化学処理産業において発生する高濃度の炭酸カルシウムを含有する副産物から沈降炭酸カルシウムを生成する方法を提供することにある。
【0015】
本発明のもう一つの目的は、商業的な用途において有用な沈降炭酸カルシウムの調製のために石灰石の代換供給源を開発することである。
【0016】
本発明のさらにもう一つの目的は、20乃至150ミクロンの範囲の粒径を持つ高濃度の炭酸カルシウムを含有する副産物の浄化、焼成、消和及び炭酸化して20ミクロン未満の粒径の沈降炭酸カルシウムを生成する方法を開発することにある。
【0017】
本発明のさらにもう一つの目的は、固形廃棄物を最小化するためにニトロフォスフェート肥料プラントからの高濃度の炭酸カルシウムを含有する副産物を浄化するための連続処理を提供することにある。
【0018】
本発明のさらにもう一つの目的は、ニトロフォスフェート肥料プラントによって発生する高濃度の炭酸カルシウムを含有する副産物を使用することによってニトロフォスフェート肥料プラントにおける汚染減少対策を提供することにある。
【0019】
本発明のさらにもう一つの目的は、ニトロフォスフェート肥料プラントにおいて発生する高濃度の炭酸カルシウムを含有する副産物からペイント、プラスチック、ゴム、塩化ポリビニル(PCV)及び紙の充填材として有用な高価な超微粒状の沈降炭酸カルシウムを生成することにある。
【0020】
これらの本発明の目的は、詳細な説明において与えられる説明により明らかとなろう。
【0021】
【問題を解決するための手段】
本発明は、工業的プロセスにおいて、特に肥料産業のニトロフォスフェートプラントから発生する高濃度の炭酸カルシウムを含有する副産物から沈降炭酸カルシウムを製造する方法に関するものである。方法のステップは、
−25%の含水量を持ち、粒径が20乃至150ミクロンの範囲のニトロフォスフェート肥料プラントで発生する高濃度の炭酸カルシウムを含有する副産物を回転焼成器により5乃至20kg/hの一定の供給量で約850℃よりも高く約950℃よりも低い焼成温度で滞留時間60乃至90分間焼成して75乃至88%の使用可能な酸化カルシウムを有する焼成された材料を得、
−ブロア及びスクラバを用いた焼成中に水蒸気、揮発性物質、アンモニア、NOx及び二酸化炭素を除去し、
−15乃至23重量%の範囲の固相濃度を有する消石灰スラリを生成するために120RPMで回転する攪拌機を設けた消和器内で酸化カルシウムを消和し、
−60乃至100メッシュの篩いを通して湿式篩いによって重く、粗い粒子を除去し、
−スラリを、10乃至20重量%の範囲の所望の固相濃度に希釈し、
−石灰スラリを炭酸化塔に投入し、25体積%の二酸化炭素を含有する二酸化炭素−空気混合物を10乃至15cm/secの表層ガス速度で流通させ、スラリのpHが中性近くになるまで温度を25乃至45℃に保持し、
−公知の方法で形成された沈降物を分離し、乾燥し、固形分を粉砕して沈降炭酸カルシウムを得、
−付加的に、ステアリン酸又はステアリン酸ナトリウム等の脂肪酸又はその塩による濾過前に、生成されたスラリを95℃で2乃至3.5%の濃度範囲に処理してゴム、プラスチック、ペイント及びPVC等の多くの用途において工業的に使用可能な被覆された沈降炭酸カルシウムを得るステップで構成される。
【0022】
本発明は、さらに約4乃至6ミクロンの平均粒径を持ち、100%の粒子が20ミクロン未満であり、炭酸カルシウムの重量パーセントが97以上である沈降炭酸カルシウム製品に関する。
【0023】
説明された方法は、ニトロフォスフェート肥料プラントにより発生される高濃度の炭酸カルシウムを含有する副産物を大幅に浄化して沈降炭酸カルシウムを得る。
【0024】
本明細書に添付した図1は、ニトロフォスフェート肥料プラントにおいて発生された高濃度の炭酸カルシウムを含有する副産物から沈降炭酸カルシウムを焼成及び生成するために使用するユニットの機械/装置を示している。ユニットは以下の装置を実施する。
M−パドルミキサ付きスクリューフィーダ、S1−間接回転乾燥機、S2−間接回転焼成器、S3−ジャケット付きクーラ、P1−ジョークラッシャ、T1−スラリタンク、T2−石灰消和器、T3−沈降タンク、C−噴霧器付き炭酸化塔、F−濾過ユニット、圧力又は回転負圧タイプ、D−フラッシュ乾燥機。図1の参照符号1乃至9は以下の構成要素を示す、
1.高濃度の炭酸カルシウムを含有する副産物、即ち供給材料
2.水
3.コーティング剤溶液
4.蒸気
5.ろ液
6.生成物
7.燃料ガス
8.排気ガス
9.グリット/沈殿物
【0025】
本発明によれば、工業的プロセス、特にニトロフォスフェート肥料プラントから発生する高濃度の炭酸カルシウムを含有する副産物から沈降炭酸カルシウムを生成する方法は、25%以下の水分を含み、20乃至150ミクロンの範囲の粒径を有する湿潤状態の高濃度の炭酸カルシウムを含有する副産物を850℃よりも高く950℃よりも低い温度に維持される焼成器内に、1.08度の傾斜角度でシェル回転速度0.5乃至2RPMの範囲として、5乃至20kg/hの供給量で連続的に供給するとともに、排気ガス中に含まれる自由水蒸気、二酸化炭素、アンモニア及びNOxをアンモニア及びNOxが水で浄化される気体洗浄器に除去する装置が設けられ、30乃至90分の滞留時間後に焼成器の排出材料を2.0乃至6kg/hでクラッシャに通し焼成された材料を適当なクラッシャ(例えば、ジョークラッシャ)を用いて小さな塊に粉砕し、材料冷却器により小さな塊を温度範囲40乃至50℃まで冷却し、攪拌機が設けられた消和器で水で消和して15乃至23重量%の濃度を持つ消石灰スラリを生成し、次いで沈降及び/または60乃至100メッシュの篩いによる湿式篩い分けにより重く、粗い粒子を除去し、該スラリを10乃至20重量%の範囲の所望の濃度に希釈し、それを炭酸化反応器にとり、10乃至20重量%のスラリを炭酸化反応器に投入し、25体積%の二酸化炭素を含有する二酸化炭素−空気混合物を10乃至15cm/secの表面ガス速度で通過させて、スラリのpHが中性近くになるまで炭酸化温度を25乃至45℃に維持し、公知の方法により沈降材料を分離し、固形物を乾燥、粉砕して沈殿炭酸カルシウムを得、付加的に、濃度範囲2.0乃至3.5重量%で10分間、95℃のステアリン酸ナトリウム等の脂肪酸誘導体で濾過する前にスラリを処理して、連続的に撹拌して50℃より下に冷却され、被覆炭酸カルシウムを得、次いで公知の方法を用いて固形分を分離し、固形分を乾燥、粉砕して被覆炭酸カルシウムを得るプロセスが提供される。
【0026】
本発明の実施例によれば、25%以下の含水量を持つ高濃度の炭酸カルシウムを含有する副産物を出発材料として用いることが出来る。これは、サイロを長期間使用するためにニトロフォスフェート肥料プラントにおいて発生する高濃度の炭酸カルシウムを含有する副産物の利用を可能とする特別な利点を奏する。従って、本発明により提供される方法は、ニトロフォスフェート肥料プラントとリンクされ連続される。
【0027】
本発明の他の実施例によれば、ニトロフォスフェート肥料プラントにおいて発生する高濃度の炭酸カルシウムを含有する副産物を連続的に利用して、商業的に使用可能な生石灰、消石灰及び/又は次いで沈降炭酸カルシウムを得ることが出来る。
【0028】
本発明のさらにもう一つの実施例によれば、白色度/輝度、明るさ、微細度、油吸収性、アルカリ度、純度が本発明によって改良される。
【0029】
本発明のさらにもう一つの実施例によれば、高濃度の炭酸カルシウムを含有する副産物中に存在する25%以下の水分、7乃至8%の揮発性物質、0.1乃至0.3%の(アンモニア態窒素としての)アンモニア化合物が除去される。
【0030】
本発明のもう一つの実施例によれば、0.05乃至0.1%の硝酸塩不純物(硝酸性窒素として)を、肥料プラントにおいて発生する高濃度の炭酸カルシウムを含有する副産物から除去することが出来る。
【0031】
本発明のもう一つの実施例によれば、焼成器から排出される材料は、傾斜角度1.08で0.5乃至2RPMの回転速度で変化させることによって2乃至6kg/hに調整される。
【0032】
本発明のさらにもう一つの実施例によれば、高濃度の炭酸カルシウムを含有する副産物の焼成は、850℃よりも高く、950℃よりも低い温度で行われて、75乃至88%の使用可能なCaOを持つ焼成材料が得られる。
【0033】
本発明のさらに、もう一つの実施例によれば、冷却され、粉砕された焼成された材料は、水中に消和して懸濁液中に15乃至23%の固形分を持つ消石灰スラリが得られる。
【0034】
本発明のさらにもう一つの実施例によれば、消石灰スラリは、10乃至20重量%の範囲の所望の濃度に希釈して、固形で湿潤の60乃至100メッシュの篩いによりグリット粒子が除去される。
【0035】
本発明のさらにもう一つの実施例によれば、消石灰スラリは適当な噴霧器を備えた気泡塔反応器内において25体積%の二酸化炭素濃度の二酸化炭素−空気混合物を用いて炭酸化される。
【0036】
本発明のさらにもう一つの実施例によれば、炭酸化は、混合ガスを10乃至15cm/secの流量で流通させ、温度を25乃至45℃に維持して、約60乃至140分内で中性のpHが得られる。
【0037】
本発明のもう一つの実施例によれば、形成された沈降炭酸カルシウムを脂肪酸誘導体により被覆して最終生成物中に合計2乃至3%の脂肪質を得ることが出来る。
【0038】
本発明のもう一つの実施例によれば、高濃度の炭酸カルシウムを含有する副産物の純度は、沈降炭酸カルシウムを生成することにより88乃至90%から97乃至99%に改善することが出来る。
【0039】
【発明の実施の態様】
工業的プロセス、特にニトロフォスフェート肥料プラントにおいて発生する高濃度の炭酸カルシウムを含有する副産物は、88乃至90%のCaCO3、0.2乃至0.4%の合計窒素、0.1乃至0.3%のアンモニア態窒素(ammonical nitrogen)、0.05乃至0.1%の硝酸態窒素、1.0乃至1.5%のP25としてのリン酸塩、0.2乃至0.25%のFとしてのフッ化物、3.5乃至4.0%の混合酸化物(アンモニア、鉄、リン酸及びHCl中において不溶性の物質)、7乃至8%の揮発性物質、43乃至45%の強熱減量、0.1乃至0.15のNa2Oとしての溶解性アルカリ及び1.0乃至1.2%の酸不溶性物質を含んでいる。さらに、5%水性懸濁液のpHは9乃至9.3であり、タップされたかさ密度は1.30乃至1.35g/mlであり、輝度/白色度は85%であり、及び粒径は20乃至150ミクロンである。
【0040】
従来技術において公知の方法により高濃度の炭酸カルシウムを含有する副産物の浄化を試みた。篩いわけ、浮上分離、沈降、ハイドロサイクロン分離等の物理的方法は、従来の原材料の石灰石の場合と同様に高濃度の炭酸カルシウムを含有する副産物中に存在する不純物は、材料と一体のものであり、物理的に分離できないものであると信じられていた。従来の化学的処理もまた、使用される薬品が捕捉された不純物を濾過することが出来ないため適当なものではないことが判明した。
【0041】
従って、酸化カルシウムを得るために高濃度の炭酸カルシウムを含有する副産物を焼成することが決定された。高濃度の炭酸カルシウムを含有する副産物が900℃で1時間加熱されると、損失重量パーセントは、47.1重量%であり、またX線回折分析により酸化カルシウムのみの存在が示された。従って、高濃度の炭酸カルシウムを含有する副産物を焼成することによりいくらかの不純物を除去されるものと推定され、沈降炭酸カルシウムを得るために高濃度の炭酸カルシウムを含有する副産物は水和及び炭酸化することが出来る。
【0042】
従って、本発明においては、工業的プロセス、特にニトロフォスフェート肥料プラントから発生される高濃度の炭酸カルシウムを含有する副産物から沈降炭酸カルシウムを生成する方法が開発され、その方法は、25%以下の水分を含み、20乃至150ミクロンの範囲の粒径を有する湿潤状態の高濃度の炭酸カルシウムを含有する副産物を連続的に850℃よりも高く950℃よりも低い温度に維持された焼成器に5乃至20kg/hの供給量で供給することを含んでいる。焼成器内での材料の滞留時間は、1.08度の傾斜角度で回転速度を0.5乃至2RPMで回転速度を変化させることによって30乃至90分の間で変化される。焼成器には、排気ガス中に含まれる排出された水蒸気、二酸化炭素、アンモニア及びNOxを気体洗浄器に除去する装置が設けられており、気体洗浄器においてアンモニア及びNOxは水により洗浄される。焼成された材料の排出速度は、2乃至10kg/hで変化する。排出される焼成塊は、大きな塊の形となる。従って、焼成塊は、焼成器と材料冷却器の間に取り付けられたジョークラッシャを通過して、小さな塊に粉砕される。クラッシャから排出される材料は、水循環ジャケット付きスクリューコンベア型材料冷却器を通過して、小さな塊を大気温度付近(40乃至50℃)まで冷却する。材料冷却器から得られた焼成された材料の消和は、120RPMで回転する攪拌機を備えた消和器内で水により1時間行われて15乃至23重量%の濃度を有する消石灰スラリを生成する。重く、粗い粒子の形の不純物は、沈降及び/又は60乃至100メッシュの篩いを通して湿潤で篩い分けすることによって除去される。スラリは10乃至20重量%の範囲の所望の濃度に希釈され、噴霧器を備えた炭酸化反応器に搬送される。炭酸化は、25体積%の二酸化炭素を含有する二酸化炭素−空気混合物を、スラリのpHが中性近傍になるまで温度を25乃至45℃の範囲の温度に維持して、10乃至15cm/secのガス流速で流通させることによって行われ、周知の方法によって形成された沈降した材料を分離する。固形物を乾燥、粉砕させることにより沈降炭酸カルシウムが得られる。付加的に、生成物のスラリは、脂肪酸誘導体エマルジョン又は水溶液により95℃で処理されて、被覆された炭酸カルシウム内に合計2乃至3.5重量%の脂肪質を得る。固形物は、濾過、乾燥及び粉砕の公知の方法によって回収されて、被覆された炭酸カルシウムが得られる。沈降炭酸カルシウム及び被覆された沈降炭酸カルシウムの特性は、表1に示されており、ペイント、プラスチック、ゴム及びPVCの充填材として有用であることが示される。
【0043】
【表1】
Figure 0004084751
【0044】
焼成された材料中の使用可能なCaOのパーセントは、シュガー法によって決定され、15%の砂糖溶液中に既知の重量のサンプルを添加し、3時間サンプルを溶解させ、次いで溶液を濾過して非溶解固形物を除去し、等分の濾液をスタンダードアシッド(standard acid)とともに滴下する。
【0045】
製品の特性、以下に説明する方法により判定される。製品の炭酸カルシウム含有量は、既知の体積のスタンダードアシッド内の正確に秤量された約2gのサンプルを添加し、完全に反応することを許容し、未使用の酸を標準アルカリ溶液(standard alkali solution)とともに滴下することによって判定される。混合された酸化物は、サンプルの酸性溶液から水酸化物を沈降させ、次いで水酸化物の燃焼及び酸化物として秤量することによって決定される。リン酸塩は、分光光度方法によって判定する。アンモニア態窒素、硝酸態窒素及びフッ化物は、イオン選択性電極によって判定する。タップされたかさ密度(tapped bulk density)は、メモリ付きシリンダに既知の重量のサンプルを50回タッピングした後に材料の体積を求めることにより測定される。白色度/輝度は、サンプルの反射率を測定し、炭酸マグネシウムの反射率(100%の白色度と考える)及びカーボンブラックの反射率(0%の白色度と考える)と比較することによって測定される。粒径は、乾燥粉末としての粒径分析器であるMastersizer−2000(Malvern、英国)を用いて決定される。合計脂肪質は、無水アルコールにより被覆された材料を抽出し、これを分離し、残留物として被覆された材料を得るための溶液を蒸発させることによって決定される。
【0046】
本発明による沈降炭酸カルシウムの生成のための方法は、従来使用されなかった、20乃至150ミクロンの範囲の粒径を持ち、従来用いられる原材料−石灰石には通常見られない種々の不純物を含有するニトロフォスフェート肥料プラントにおいて発生される副産物である新しい種類の原材料を使用する。高濃度の炭酸カルシウムを含有する副産物に存在する不純物のタイプに関する化学的な知識を考えると、分解及び昇華温度に関するこうした材料のデータを発見することが可能であり、以下に説明する。
【0047】
水分は、十分な時間105乃至110℃で材料を乾燥させることによって除去される。炭酸アンモニウムは、58℃で分解し、重炭酸アンモニウムは、36乃至60℃で分解し、昇華硝安は210℃で分解し、塩化アンモニウム及びフッ化アンモニウムは335℃で昇華する。
【0048】
硝酸カルシウム(無水)は、561℃で溶融し、硝酸カルシウムの三水和物は51.5℃で溶融し、硝酸カルシウムの四水和物は132℃で分解する。リン酸カルシウム(calcium monophosphate)及び二リン酸カルシウム(calcium diphosphate)は205℃以下で分解するが、三リン酸カルシウム(calcium triphosphate)、ピロリン酸カルシウム(calcium pyrophosphate)は、約1200℃で溶融し、水酸化カルシウムは、580℃乃至600℃の間でCaOと水に変換される。
【0049】
アラゴナイトタイプの炭酸カルシウムは、825℃で分解するが、方解石タイプは約895℃で酸化カルシウムと二酸化炭素に分解する。炭酸カルシウムが1000℃よりも高い温度に加熱されると、硬焼/不活性酸化カルシウム及び離生二酸化炭素を形成する。また、活性酸化カルシウムは、消和されて消石灰を得、これをさらに炭酸化して沈降炭酸カルシウムが得られる。
【0050】
本発明の方法に含まれるステップは、
−予備乾燥、予備粉砕することなく原材料を用い、
−処理中全体に亘って材料を自由浮遊状態に保持し、
−焼成中に化学的不純物を除去し、
−如何なる特別な試薬を用いることなく輝度を改良し、
−ダストを最小として、超微粒子(20乃至150ミクロン)で高密度(かさ密度1.3乃至1.35g/ml)の粒子を焼成し、
−焼成温度を1000℃未満に制限することによって、焼成器の構成に特別なタイプの材料を必要とせず、
−硬焼石灰を形成することなく不純物の焼成効果を制限し、
−周囲の環境の汚染を防止するために自由ガスを洗浄するための装置
である。
【0051】
以下の実施例は例示することを目的としているため、本発明の範囲を限定するものであると解釈されるべきではない。
【0052】
実施例1
12%の水分を含有するニトロフォスフェート(nitrophosphate)肥料プラントで生成される高濃度の炭酸カルシウムを含有する副産物は、ロータリドライヤで含水量1%未満に乾燥され、傾斜角1.08、シェル回転速度1.5RPMで875℃に予熱された回転焼成器内に速度10kg/hで搬送された。ホールドアップ時間は35分であって、排出速度は5.2kg/hであった。材料は、不完全な焼成を示す37重量%の使用可能なCaOを含有することが分かった。
【0053】
実施例2
12%の水分を有するニトロフォスフェート肥料プラントで生成される高濃度の炭酸カルシウムを含有する副産物は、ロータリドライヤで含水量1%未満に乾燥され、傾斜角1.08、シェル回転速度0.75RPMで875℃に予熱された回転焼成器内に速度10kg/hで搬送された。焼成器での材料のホールドアップ時間は60分であって、排出速度は5.10kg/hであった。得られた焼成塊は、75%の使用可能なCaOを含有することが分かった。押し砕いて小さな塊にした後の焼成材料は、約20重量%の固体を含有する懸濁液が得られるように消和器で一時間消和される。グリット粒子を除去するために100メッシュのふるいを通して湿式篩い分けされて、希釈されて約10%の固体スラリが得られた。このスラリは、約12.5cm/sec.の表面ガス速度で25体積%の二酸化炭素を含有する二酸化炭素−空気混合物を通過させて、懸濁液のpHが中性に近づくまで25−45℃の範囲で温度を維持することによって炭酸化される。約90分以内で炭酸化を完了した。その後、生産物を公知な方法によって回収した。生産物は約80%の炭酸カルシウムを含有し、約0.50g/mlのかさ比重と、約10ミクロンの平均粒径を有するものであった。
【0054】
実施例3
12%の水分を含有するニトロフォスフェート肥料プラントで生成される高濃度の炭酸カルシウムを含有する副産物は、ロータリドライヤで含水量1%未満に乾燥され、傾斜角1.08、シェル回転速度0.50RPMで950℃に予熱された回転焼成器内に速度5kg/hで搬送された。ホールドアップ時間は90分であって、排出速度は1.7kg/hであった。得られた焼成塊は、88%の使用可能なCaOを含有することが分かった。押し砕いて小さな塊にした後の焼成材料は、約20重量%の固体を含有する懸濁液が得られるように消和器で一時間消和される。グリット粒子を除去するために100メッシュのふるいを通して湿式篩い分けされて、希釈されて約10%の固体スラリが得られた。このスラリは、約12.5cm/sec.の表面ガス速度で25体積%の二酸化炭素を含有する二酸化炭素−空気混合物を通過させて、懸濁液のpHが中性になるまで25−45℃の範囲で温度を維持することによって炭酸化される。約90分以内で炭酸化を完了した。その後、生産物を公知な方法によって回収した。生産物は約98%の炭酸カルシウムを含有し、約0.42g/mlのかさ比重と、100%の粒子が20ミクロン未満であって約6ミクロンの平均粒径を有するものであった。
【0055】
実施例4
12%の水分を含有するニトロフォスフェート肥料プラントで生成される高濃度の炭酸カルシウムを含有するむ副産物は、ロータリドライヤで含水量1%未満に乾燥され、傾斜角1.08、シェル回転速度0.50RPMで950℃に予熱された回転焼成器内に速度10kg/hで搬送された。ホールドアップ時間は90分であって、排出速度は4.08kg/hであった。得られた焼成塊は、88%の使用可能なCaOを含有することが分かった。焼成材料は、押し砕いて小さな塊にした後に約20重量%の固体を含有する懸濁液が得られるように消和器で一時間消和される。グリット粒子を除去するために100メッシュのふるいを通して湿式篩い分けされて、希釈されて約10%の固体スラリが得られた。このスラリは、約12.5cm/sec.の表面ガス速度で25体積%の二酸化炭素を含有する二酸化炭素−空気混合物を通過させて、懸濁液のpHが中性になるまで25−45℃の範囲で温度を維持することによって炭酸化される。約90分以内で炭酸化を完了した。その後、生産物を公知な方法によって回収した。生産物は約98%の炭酸カルシウムを含有し、約0.42g/mlのかさ比重と、100%の粒子が20ミクロン未満であって約6ミクロンの平均粒径を有するものであった。
【0056】
実施例5
23%の水分を含有するニトロフォスフェート肥料プラントで生成される高濃度の炭酸カルシウムを含有する副産物は、ロータリドライヤで含水量1%未満に乾燥され、傾斜角1.08、シェル回転速度0.50RPMで950℃に予熱された回転焼成器内に速度10kg/hで搬送された。ホールドアップ時間は90分であって、排出速度は4.18kg/hrであった。得られた焼成塊は、88%の使用可能なCaOを含有することが分かった。焼成材料は、押し砕いて小さな塊にした後に約20重量%の固体を含有する懸濁液が得られるように消和器で一時間消和される。グリット粒子を除去するために100メッシュのふるいを通して湿式篩い分けされて、希釈されて約10%の固体スラリが得られた。このスラリは、約12.5cm/sec.の表面ガス速度で25体積%の二酸化炭素を含有する二酸化炭素−空気混合物を通過させて、懸濁液のpHが中性になるまで25−45℃の範囲で温度を維持することによって炭酸化される。約90分以内で炭酸化を完了した。その後、生産物を公知な方法によって回収した。生産物は約98%の炭酸カルシウムを含有し、約0.42g/mlのかさ比重と、100%の粒子が20ミクロン未満であって約6ミクロンの平均粒径を有するものであった。
【0057】
実施例6
20−150ミクロンの範囲の粒径と、1%未満の含水量を有する乾燥前の高濃度の炭酸カルシウムを含有する副産物は、速度10kg/hで流動床焼成器内に導入された。流動床は、約100cm/sec.のより低いガス速度でタワーを貫通して熱風を通過させることによって形成された。制御速度で燃料を注入することによって、焼成温度を約950℃で維持した。60分以内で、88%の使用可能なCaOを含有する所望の焼成塊が排出速度5.7kg/hで得られる。焼成材料は、約20重量%の固体を含有する懸濁液が得られるように消和器で一時間消和される。グリット粒子を除去するために100メッシュのふるいを通して湿式篩い分けされて、希釈されて約10%の固体スラリが得られた。このスラリは、約12.5cm/sec.の表面ガス速度で25体積%の二酸化炭素を含有する二酸化炭素−空気混合物を通過させて、懸濁液のpHが中性になるまで25−45℃の範囲で温度を維持することによって炭酸化される。約90分以内で炭酸化を完了した。その後、生産物を公知な方法によって回収した。生産物は約98%の炭酸カルシウムを含有し、約0.42g/mlのかさ比重と、100%の粒子が20ミクロン未満であって約6ミクロンの平均粒径を有するものであった。
【0058】
実施例7
1%の水分を含有する炭酸カルシウム副産物が回転焼成器で950℃で90分間焼成され、ジョークラッシャを用いて小さな塊に押し砕かれ、水循環ジャケット付きスクリューコンベア型材料冷却器を用いて50℃より下に冷却された88%の活性酸化カルシウムが得られた。最高速度120RPMで操作される櫂形攪拌機が設けられた50リットル容量の消和器に入れられた35リットルの水に、この材料を7kg.加え、20重量%の体積のスラリを得た。反応は、最大上昇が約40℃の温度の発熱反応であることが分かった。酸化カルシウムを消石灰に完全に反応させるように、スラリを一時間連続的に攪拌した。このスラリは、約12.5cm/sec.の表面ガス速度で25体積%の二酸化炭素を含有する二酸化炭素−空気混合物を通過させて、懸濁液のpHが中性となるまで25−45℃の範囲で温度を維持することによって炭酸化される。約90分以内で炭酸化を完了した。その後、生産物を公知な方法によって回収した。生産物は約98%の炭酸カルシウムを含有し、約0.42g/mlのかさ比重と、100%の粒子が20ミクロン未満であって約6ミクロンの平均粒径を有するものであった。
【0059】
実施例8
1%の水分を含有する炭酸カルシウム副産物が回転焼成器で950℃で90分間焼成され、ジョークラッシャを用いて小さな塊に押し砕かれ、水循環ジャケット付きスクリューコンベア型材料冷却器を用いて50℃より下に冷却された88%の活性酸化カルシウムが得られた。さらに、‐150メッシュパウダまで粉砕した。最高速度120RPMで操作される櫂形攪拌機が設けられた50リットル容量の消和器に入れられた35リットルの水に、この材料を7kg.加え、20重量%の体積のスラリを得た。酸化カルシウムを消石灰に完全に反応させるように、スラリを一時間連続的に攪拌した。反応は、最大上昇が約40℃の温度の発熱反応であることが分かった。このスラリは、約12.5cm/sec.の表面ガス速度で25体積%の二酸化炭素を含有する二酸化炭素−空気混合物を通過させて、懸濁液のpHが中性となるまで25−45℃の範囲で温度を維持することによって炭酸化される。約90分以内で炭酸化を完了した。その後、生産物を公知な方法によって回収した。生産物は約98%の炭酸カルシウムを含有し、約0.42g/mlのかさ比重と、100%の粒子が20ミクロン未満であって約6ミクロンの平均粒径を有するものであった。これは、消和プロセスにおける塊と比較すると、粉末焼成塊を使用することに利点がなかったことを示していた。
【0060】
実施例9
実施例7に記載されているのと同様の条件で調製された約20%の固体を含有する70リットルの消石灰スラリは、塔内での連続的な混合に十分な乱気流を引き起こすために特別に設計された噴霧器が設けられた気泡塔と、反応温度およびpHを監視する装置と、設けられたジャケットを使用する冷却/加熱装置で構成されているジャケット付き炭酸化反応器に搬送される。約12.5cm/secの表面ガス速度で空気とCO2との混合物を通過させて、25−45℃の範囲で温度を維持することによって、90分以内で炭酸化を完了した。ここで、混合ガスは25体積%のCO2を含み、残りは空気であった。スラリのpHを中性に導くために、十分な量のガス混合物が通過された。7以上のpHにおいてさらなる増加が観察されなかった時に、炭酸化が終了された。その後、生成された沈降炭酸カルシウムは、濾過と洗浄と乾燥と粉砕によって分離された。生産物は約98%の純度と、0.40−0.45g/mlの範囲のかさ比重と、100%の粒子が20ミクロン未満であって約6ミクロンの平均粒径を有している。
【0061】
実施例10
実施例7により得られた沈殿炭酸カルシウムのスラリは、連続的に攪拌されて95℃まで加熱された。これに、3.5重量%の量で炭酸カルシウムが生成されるようにステアリン酸等の脂肪酸誘導体の苛性ソーダとのエマルジョンを添加した。スラリは攪拌しながら40−45℃まで冷却可能であって、濾過と洗浄と乾燥と粉砕によって分離される被覆生産物が得られた。この被覆沈殿炭酸カルシウムの特性は、表1に示されている。
【0062】
実施例11
実施例7により得られた沈殿炭酸カルシウムのスラリは、連続的に攪拌されて95℃まで加熱された。これに、2.0重量%の量で炭酸カルシウムが生成されるようにステアリン酸等の脂肪酸誘導体の苛性ソーダとのエマルジョンを添加した。スラリは攪拌しながら40−45℃まで冷却可能であって、濾過と洗浄と乾燥と粉砕によって分離される被覆生産物が得られた。被覆生産物中の脂肪質の全含有量は、1.6重量%であった。生産物の他の特性は、表1に示されたものと同様のものであった。
【0063】
実施例12
1%の水分を含有する炭酸カルシウム副産物が回転焼成器で950℃で90分間焼成され、ジョークラッシャを用いて小さな塊に押し砕かれ、水循環ジャケット付きスクリューコンベア型材料冷却器を用いて50℃より下に冷却された88%の活性酸化カルシウムが得られた。最高速度120RPMで操作される櫂形攪拌機が設けられた50リットル容量の消和器に入れられた35リットルの水に、この材料を7kg.加え、20重量%の体積のスラリを得た。反応は、最大上昇が約40℃の温度の発熱反応であることが分かった。酸化カルシウムを消石灰に完全に反応させるように、スラリを一時間連続的に攪拌した。このスラリは、約15.0cm/sec.の表面ガス速度で25体積%の二酸化炭素を含有する二酸化炭素−空気混合物を通過させて、懸濁液のpHが中性となるまで25−45℃の範囲で温度を維持することによって炭酸化される。75分以内で炭酸化を完了した。その後、生産物を公知な方法によって回収した。生産物は約97%の炭酸カルシウムを含有し、約0.45g/mlのかさ比重と、100%の粒子が25ミクロン未満であって約7ミクロンの平均粒径を有するものであった。
【0064】
実施例13
1%の水分を含有する炭酸カルシウム副産物が回転焼成器で950℃で90分間焼成され、ジョークラッシャを用いて小さな塊に押し砕かれ、水循環ジャケット付きスクリューコンベア型材料冷却器を用いて50℃より下に冷却された88%の活性酸化カルシウムが得られた。最高速度120RPMで操作される櫂形攪拌機が設けられた50リットル容量の消和器に入れられた35リットルの水に、この材料を7kg.加え、20重量%の体積のスラリを得た。反応は、最大上昇が約40℃の温度の発熱反応であることが分かった。酸化カルシウムを消石灰に最大限反応させるように、スラリを一時間連続的に攪拌した。このスラリは、約10.0cm/sec.の表面ガス速度で25体積%の二酸化炭素を含有する二酸化炭素−空気混合物を通過させて、懸濁液のpHが中性となるまで25−45℃の範囲で温度を維持することによって炭酸化される。140分以内で炭酸化を完了した。その後、生産物を公知な方法によって回収した。生産物は約97%の炭酸カルシウムを含有し、約0.45g/mlのかさ比重と、100%の粒子が25ミクロン未満であって約7ミクロンの平均粒径を有するものであった。
【0065】
実施例14
実施例7で得られた消石灰スラリは、10重量%の体積(wt/vol.)のCaOに希釈され、約2の高さ/直径を有する攪拌機が備え付けられた継続的に攪拌されるタンク形反応器に入れられた。100RPMでスラリを連続的に攪拌しつづけ、比率30:70のCO2と空気との混合物が常温で空間速度2cm/secで導入された。pH反応は、50分以内で炭酸化の完了に向かって中性に近づくことが分かった。ガスの流れを停止した時に、pHは8.0まで増加した。7.0の安定したpHを得るために、炭酸化がさらに10分間継続された。固体生産物は、沈殿炭酸カルシウムを得るために分離、乾燥、粉砕され、実施例10に記載したように被覆された。このようにして得られた被覆沈殿炭酸カルシウムの特性は、表1に示したものと同じのものである。
【0066】
本発明の主な利点
1.工業的プロセス、特にニトロフォスフェート肥料プラントにおいて発生した高濃度の炭酸カルシウムを含有する副産物を、従来より使用されている機械を用いて焼成、消和及び炭酸化により沈降炭酸カルシウムに変換する。
2.高濃度の炭酸カルシウムを含有する副産物が、ゴム、ペイント、PVC及びプラスチックの生産に使用するのに適した付加価値を与えた材料に変換される。
3. 商業的に使用可能な沈降炭酸カルシウムを製造するための石灰石の他の供給源が見出される。
4.20乃至150ミクロンの超微粒径の高濃度の炭酸カルシウムを含有する副産物は、塵埃により通常微粉末に関連して生じる汚染を生じることなく、うまく処理する。
5.本発明によれば高濃度の炭酸カルシウムを含有する副産物を生じるプラントにリンク可能な連続処理が開発される。従って、こうした副産物によって生じる固形廃棄物汚染を最小化し、ニトロフォスフェート肥料プラントの環境品質を改良する。
6.高濃度の炭酸カルシウムを含有する副産物の焼成温度が約950℃であり、焼成器の構成に特別なタイプの材料を必要としない。
7.焼成は、全ての主要な不純物を同時に除去するとともに高濃度の炭酸カルシウムを含有する副産物を活性酸化カルシウムに変換する特別な利点を提供する。従って、浄化処理に多くのユニットを必要としない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ニトロフォスフェート肥料プラントにおいて発生された高濃度の炭酸カルシウムを含有する副産物から沈降炭酸カルシウムを焼成及び生成するために使用するユニットの機械/装置を示す図である。

Claims (12)

  1. 工業的プロセス、特にニトロフォスフェート肥料プラントから発生する高濃度の炭酸カルシウムを含有する副産物から石灰石の代換供給源として沈降炭酸カルシウムを生成し、固形廃棄物を工業的に有用な製品に変換することによってニトロフォスフェート肥料プラントの汚染を軽減する方法において
    (a)25%以下の水分を含み、20乃至150ミクロンの範囲の粒径を有する湿潤状態の高濃度の炭酸カルシウムを含有する副産物を連続的に850℃よりも高く950℃よりも低い温度に焼成器で維持され、1.08度の傾斜角度でシェル回転速度0.5乃至2.0RPMの範囲として、5乃至20kg/hの供給量で供給するとともに、排気ガス中に含まれる自由水蒸気、二酸化炭素、アンモニア及びNOxをアンモニア及びNOxガスが水で洗浄される気体洗浄器に除去する装置が設けられ、
    (b)焼成器に30乃至90分の滞留時間後に焼成器の排出材料を2.0乃至6.0kg/hでクラッシャに通し、焼成された材料を適当なクラッシャを用いて小さな塊に粉砕し、
    (c)材料冷却器により小さな塊を大気温度近く(40乃至50℃)まで冷却し、
    (d)120RPMで回転する攪拌機を設けた消和器内において水に消和させて15乃至23重量%の濃度を持つ消石灰スラリを生成し、次いで
    (e)沈降及び60乃至100メッシュの篩いによる湿式篩い分けにより重く、粗い粒子を除去し、該スラリを10乃至20重量%の範囲の濃度に希釈し、
    (f)10乃至20重量%のスラリを炭酸化反応器に投入し、25乃至75体積%の二酸化炭素を含有する二酸化炭素−空気混合物を10乃至15cm/secの表面ガス速度で通過させて、75乃至140分を要するスラリのpHが中性近くになるまで炭酸化温度を25乃至45℃に維持し、
    (g)沈降材料を分離し、
    (h)固形物を乾燥、粉砕して97%を超える純度で、96%を超える輝度を持ち平均粒径が5乃至7ミクロンであり、100%の粒子が20ミクロン未満であり、かさ密度が0.40乃至0.45g/mlである沈降炭酸カルシウムを得ことを特徴とする方法。
  2. ステップ(a)において、湿潤廃棄物を予め850℃乃至950℃の範囲の温度に加熱された回転焼成器に投入して乾燥とともに付随する不純物を除去する請求項1に記載の方法。
  3. ステップ(b)において、焼成された材料は、クラッシャに送られ、大きな塊が破砕される請求項1に記載の方法。
  4. ステップ(c)において、塊が40乃至50℃に冷却される請求項1に記載の方法。
  5. ステップ(d)において、冷却器から排出される材料は、最大120RPMで1時間以内連続的に撹拌して水に消和して15乃至23重量%のスラリを得て、酸化カルシウムを水酸化カルシウムに変換する請求項1に記載の方法。
  6. ステップ(f)において、前記消石灰スラリは、パージャを備えた炭酸化反応器内において十分な量の25%の二酸化炭素を含有する空気を流通させることにより懸濁液のpHを略中性に調整することによって炭酸化される請求項1に記載の方法。
  7. ステップ(f)において、炭酸化温度は、30乃至45℃の範囲である請求項1に記載の方法。
  8. ステップ(f)において、前記炭酸化ガスは、10乃至15cm/secの範囲の空間速度を与えるために消石灰の懸濁液に導入される請求項1に記載の方法。
  9. ステップ(g)において、沈降材料は、濾過又は遠心分離により分離される請求項1に記載の方法。
  10. ステップ(h)において、最終製品が乾燥され、粉砕されて、96%の純度と、97%の輝度と5乃至20ミクロンの範囲の粒径と0.40乃至0.65g/mlのかさ密度を得る請求項1に記載の方法。
  11. 製品のスラリは、さらに脂肪酸誘導体のエマルジョンにより処理されて工業的利用性を持つ製品を得るために被覆される請求項1に記載の方法。
  12. ステップ(h)の後、製品のスラリは、下記ステップ(i)によって処理される請求項11に記載の方法。
    (i)生成する炭酸カルシウムの2.0乃至3.5重量%で、95℃の脂肪酸誘導体エマルジョンで、濾過する前のスラリを処理し、次いで固形分を分離し、固形分を乾燥、粉砕して被覆炭酸カルシウムを得る。
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