JP4084550B2 - ナビゲーション装置 - Google Patents

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  • Traffic Control Systems (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種の情報(例えば、交差点における進路や施設情報など)を音声により案内するナビゲーション装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、車載用のナビゲーション装置は、車両位置の周辺などの地図を画面上に表示する地図表示機能や、利用者により指定される目的地や経由地までの経路を探索する経路探索機能、経路探索によって求められた経路に沿って車両の走行を誘導する経路誘導機能、あるいは、各種施設に関連する情報を検索し、表示する等の処理を行う施設検索機能などの各種機能を備えている。
【0003】
また多くのナビゲーション装置では、各種の案内を音声出力する機能が搭載されている。例えば、経路誘導時には、進路変更を行う交差点において、車両の進路が示された進路案内図を表示する処理と並行して、「この先右方向です。○○方面です。」というような案内文の音声出力が行われる。また、各種施設に関する情報を検索した際に、施設の名称や所在地などの情報を含んだ案内文が音声出力される場合もある。
【0004】
また、従来のナビゲーション装置の中には、欧州など所定地域内で多数の言語が使用される場合などを考慮し、複数種類の言語を使い分けて地図画像等の表示や各種案内音声の出力などを行っているものものも存在する。
例えば、交差点における進路案内を行う際に、車両位置の属する国や地域の使用言語(あるいは方言等)を用いて進路案内を音声出力するナビゲーション装置が知られている。また、地図や進路案内図などの表示を行う際に、車両位置の属する国の言語(現地語)のみ、あるいは現地語と利用者が指定した言語(母国語)とを用いて文字の表示を行い、案内文の音声出力については母国語のみを用いて行うナビゲーション装置も知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来のナビゲーション装置において、音声出力の動作に着目すると、(1)車両位置に基づいて特定した現地語のみを用いるか、または(2)利用者の指定した母国語のみを用いて案内文が作成され、音声出力が行われていた。
【0006】
しかし、上記(1)の場合には、地名、施設名称などを現地語のみで読み上げられても、その内容を把握することが容易ではないことが多く不便であるという問題がある。また、上記(2)の場合には、母国語により施設名称等が読み上げられるので、その内容を理解しやすいという点では都合がよいが、現地語による読み方が提示されないため、例えば、現地で車を降りて所望の施設を探すために現地の人と会話する場合などに、施設名称などを現地語で伝えることができず不便な場合がある。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、音声案内の利便性を向上させることができるナビゲーション装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、本発明のナビゲーション装置は、音声案内の対象となる単語を単語特定手段によって特定し、音声案内を行うタイミングを案内タイミング判定手段によって判定しており、案内タイミング判定手段によって判定された音声案内のタイミングにおいて、単語特定手段によって特定された単語に複数の読み方が対応しているときに、これら複数の読み方を用いて音声案内する文章を案内文設定手段によって設定し、設定された文章を音声出力手段によって音声出力している。音声案内の対象となる単語が複数の読み方(例えば、母国語と現地語、標準語と方言など)を有している場合に、そのような単語について複数の読み方を用いて音声案内の文章を設定しているので、音声案内の利便性を向上させることができる。
【0009】
また、所定の条件下で目的地までの車両の走行経路を探索する経路探索手段をさらに備えておき、この経路探索手段によって探索された走行経路に沿った車両の進路を音声案内する文章を案内文設定手段によって設定することが望ましい。これにより、進路に関係する交差点名、地名、道路名称などを複数の読み方で把握することができるので、進路案内の内容をより的確に把握することができるようになる。
【0010】
また、各種施設に関する情報を検索する施設情報検索手段をさらに備えておき、この施設情報検索手段によって検索された情報に関する音声案内を行う文章を案内文設定手段によって設定することが望ましい。これにより、施設名称や所在地などの情報を複数の読み方で把握することができるので、例えば、目的の施設を探すために現地の人と会話する際などに便利であり、施設情報を検索する際の利便性を向上させることができる。
【0011】
また、利用者の操作指示を受け付ける操作手段をさらに備えておき、この操作手段を用いて行われた操作内容を確認する文章を案内文設定手段によって設定することが望ましい。これにより、各種の操作指示を行った際にその操作内容に関する単語を複数の読み方で確認することができるので、所望する操作指示を確実に行うことができる。
【0012】
また、利用者の指示に応じて、所定の単語に対する複数の読み方の中で優先順位を設定する優先順位設定手段をさらに備えておき、音声出力手段は、優先順位設定手段によって設定された優先順位の高い読み方に対応する文章順に、複数の読み方を用いた音声出力を行うことが望ましい。これにより、利用者が自分の希望に沿って、単語に対する複数の読み方の優先順位を自由に設定することができる。
【0013】
また、音声案内が終了するまでの許容時間の長短を判定する案内時間判定手段をさらに備えておき、音声出力手段は、案内時間判定手段によって判定された許容時間が短い場合であって、複数の読み方のそれぞれに異なる優先順位がついている場合に、優先順位が高い読み方を用いた音声出力を行い、優先順位が低い音声出力を省略することが望ましい。
【0014】
例えば、交差点における進路案内を行う場合などにおいては、車両が交差点を通過するよりも以前に案内を完了する必要があるので、車両位置と交差点との距離などに応じて、音声案内が終了するまでの許容時間が変動すると考えられる。したがって、許容時間が短い場合には、優先順位が低い読み方を省略して優先順位が高い読み方を用いることにより、進路案内に最低限必要な情報を確実に提供することができる。反対に、許容時間が長い場合には、優先順位の低い読み方も含めた音声案内を行うことにより、音声案内の内容を充実させることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した一実施形態のナビゲーション装置について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態のナビゲーション装置の構成を示す図である。図1に示すナビゲーション装置は、ナビゲーションコントローラ1、DVD2、ディスク読取装置3、リモートコントロール(リモコン)ユニット4、車両位置検出部5、ディスプレイ装置6、スピーカ7を含んで構成されている。
【0016】
ナビゲーションコントローラ1は、ナビゲーション装置の全体動作を制御するものである。このナビゲーションコントローラ1は、CPU、ROM、RAM等を用いて所定の動作プログラムを実行することによりその機能が実現される。ナビゲーションコントローラ1の詳細構成については後述する。
【0017】
DVD2は、地図表示や経路探索などに必要な地図データが格納されている情報記憶媒体である。またDVD2には、各種の音声案内や画像表示を多言語に対応して行うために、多数の言語に対応した所定の言語データが格納されている。具体的には、この言語データには、地名や各種施設の名称など各種の単語について、世界の主要言語(例えば、英語、フランス語、ドイツ語、日本語等)に対応して、画像表示用の文字データや音声出力用のデータなどが含まれている。
【0018】
ディスク読取装置3は、1枚あるいは複数枚のDVD2が装填可能であり、ナビゲーションコントローラ1の制御によっていずれかのDVD2から地図データ等の読み出しを行う。なお、装填されるディスクは必ずしもDVDでなくてもよく、CDでもよい。また、DVDとCDの双方を選択的に装填可能としてもよい。
【0019】
リモコンユニット4は、上下左右の方向を指定するジョイスティック、テンキー、各種の設定などを確定する決定キーなど各種の操作キーを備えており、操作内容に応じた信号をナビゲーションコントローラ1に出力する。
車両位置検出部5は、例えば、GPS受信機、方位センサ、距離センサなどを備えており、所定のタイミングで自車位置(経度、緯度)の検出を行い、検出結果を出力する。
【0020】
ディスプレイ装置6は、ナビゲーションコントローラ1から出力される描画データに基づいて、自車周辺の地図情報や交差点情報等の各種画像を表示する。
スピーカ7は、ナビゲーションコントローラ1から出力される音声信号に基づいて、交差点における進路を案内する音声などを出力する。
【0021】
次に、図1に示したナビゲーションコントローラ1の詳細構成について説明する。ナビゲーションコントローラ1は、地図バッファ10、地図読出制御部12、地図描画部14、VRAM16、画像合成部18、車両位置計算部20、経路探索処理部22、経路メモリ24、誘導経路描画部26、入力処理部28、優先順位設定部30、交差点案内部32、施設情報案内部34、案内指示部36、案内文設定部40、音声合成部42を含んで構成されている。
【0022】
地図バッファ10は、ディスク読取装置3によってDVD2から読み出された地図データ等を一時的に格納するものである。地図読出制御部12は、車両位置計算部20によって算出される自車位置や入力処理部28からの要求等に基づき、所定範囲の地図データの読み出し要求をディスク読取装置3に出力する。
【0023】
地図描画部14は、地図バッファ10に格納された地図データに基づいて、表示に必要な地図描画データを作成するものである。VRAM16は、地図描画部14によって作成された地図描画データや誘導経路描画部26によって作成された誘導経路描画データを格納する。
【0024】
画像合成部18は、自車位置等に対応してVRAM16から読み出した地図描画データや、交差点案内部32、施設情報案内部34のそれぞれから出力される描画データを重ねて画像合成を行い、合成描画データをディスプレイ装置6に出力する。
【0025】
車両位置計算部20は、車両位置検出部5から出力される検出データに基づいて自車位置を計算するとともに、計算した自車位置が地図データの道路上にない場合には、自車位置を修正するマップマッチング処理を行う。
経路探索処理部22は、あらかじめ設定された目的地と出発地との間を所定の条件下で結ぶ走行経路を探索する。例えば、距離最短、時間最短等の各種の条件下で、コストが最小となる走行経路が誘導経路として設定される。このようにして経路探索処理部22によって設定された誘導経路のデータは、経路メモリ24に記憶される。
【0026】
誘導経路描画部26は、経路探索処理部22によって設定されて経路メモリ24に記憶された誘導経路のデータの中から、その時点でVRAM16に描画された地図エリアに含まれるものを選び出し、誘導経路を地図画像上に重ねて表示するための描画データを作成する。
【0027】
入力処理部28は、リモコンユニット4から入力される各種操作指示に対応する動作を行うための命令をナビゲーションコントローラ1内の各部に向けて出力する。
優先順位設定部30は、案内文の設定に用いる複数の言語について、各言語の優先順位を設定する。具体的には、優先順位設定部30は、利用者が日常的に使用する言語(以後、「母国語」と称する)を判断し、この母国語を優先順位が最も高い言語に設定する。なお、母国語の設定方法については、(1)利用者によって予め登録される個人情報(例えば、国籍、住所等)や自宅位置の座標(緯度・経度)などに基づいて判断する方法や、(2)どの言語を母国語として使用するかを利用者に設定させておく方法などが考えられる。
【0028】
また、優先順位設定部30は、利用者による設定、または車両位置の属する国などに応じて、母国語以外の言語についての優先順位を設定する。例えば、車両位置の属する国がA国であり、対応する言語が言語aである場合には、優先順位設定部30はこの言語aを優先順位が2番目に高い言語として設定する。同様に、利用者によってある言語bが指定されている場合には、優先順位設定部30はこの言語bを優先順位が2番目に高い言語として設定する。
【0029】
交差点案内部32は、自車が接近中の交差点における進路案内を行うための案内画像(進路案内図)を生成し、画像合成部18に出力する。また、交差点案内部32は、進路案内の音声出力を行うために必要な単語、例えば、交差点名、進行方向、交差点通過後の行き先を示す地名(○○方面等)などを特定し、案内文設定部40に出力する。
【0030】
施設情報案内部34は、利用者の操作指示に応じて、各種施設に関する情報を検索し、検索結果を示す案内画像を生成して画像合成部18に出力する。また、施設情報案内部34は、施設情報案内の音声出力を行うために必要な単語、例えば、施設名称や施設の所在地などを特定し、案内文設定部40に出力する。なお、本実施形態では、施設情報案内部34による検索対象の施設には、個人宅も含まれているものとする。
【0031】
案内指示部36は、各種の案内を行うタイミングを判定する。具体的には、案内指示部36は、誘導経路上に存在し、進路変更を行う交差点まで所定距離以内に車両位置が接近した場合に、進路案内を行うタイミングであると判定し、その旨を交差点案内部32および案内文設定部40に通知する。
【0032】
また案内指示部36は、リモコンユニット4を用いて、地図上に表示された各種施設の位置がカーソルにより指定された場合や、住所や電話番号などに基づいた施設検索が指示された場合に、施設情報の案内を行うタイミングであると判定し、その旨を施設情報案内部34および案内文設定部40に通知する。
【0033】
また案内指示部36は、進路案内を完了するまでの許容時間の長短を判定する処理も行っている。具体的には、進路案内を完了するまでの許容時間については、車両位置と交差点との距離や車速などに応じて交差点への到達予想時間を算出することにより、その長短を判定することができる。
【0034】
案内文設定部40は、交差点案内部32から出力される単語に基づいて交差点における進路案内を行う案内文を設定する処理や、施設情報案内部34から出力される単語に基づいて施設情報の案内を行う案内文を設定する処理などを行う。本実施形態の案内文設定部40は、優先順位設定部30によって設定された各言語の優先順位に基づいて、複数の言語を用いて案内文の設定を行っている。
【0035】
また、本実施形態の案内文設定部40は、案内指示部36から通知される許容時間に基づいて、許容時間が短い場合には、優先順位の高い言語のみを用いて案内文を設定している。なお、案内文設定部40によって設定される案内文の具体例については後述する。
【0036】
音声合成部42は、案内文設定部40によって設定された案内文を音声出力するための音声信号を生成し、スピーカ7に出力する。
上述した交差点案内部32、施設情報案内部34が単語特定手段に、案内指示部36が案内タイミング判定手段および案内時間判定手段に、案内文設定部40が案内文設定手段に、スピーカ7、音声合成部42が音声出力手段にそれぞれ対応している。また、経路探索処理部22が経路探索手段に、施設情報案内部34が施設情報検索手段に、優先順位設定部30が優先順位設定手段に、リモコンユニット4、入力処理部28が操作手段にそれぞれ対応している。
【0037】
本実施形態のナビゲーション装置はこのような構成を有しており、次にその動作を説明する。
(a)進路案内を行う際の動作
図2は、誘導経路上の交差点において進路案内を行う際のナビゲーション装置の動作手順を示す流れ図である。
【0038】
案内指示部36は、交差点における進路案内を行うタイミングとなったか否かを判定する(ステップ100)。進路案内のタイミングとなっていない場合には否定判断が行われ、ステップ100の判定処理が繰り返される。
進路案内のタイミングとなった場合には、ステップ100で肯定判断が行われ、その旨が案内指示部36から交差点案内部32に通知される。通知を受けた交差点案内部32は、自車が接近中の交差点における進路を案内する進路案内図を生成し、画像合成部18に出力する。これにより、ディスプレイ装置6の画面上に所定の進路案内図が表示される(ステップ101)。
【0039】
また案内指示部36は、進路案内を完了するまでの許容時間が所定値t1(例えば30秒間)よりも短いか否かを判定する(ステップ102)。
許容時間が所定値t1よりも長い場合には、ステップ102で否定判断が行われ、案内指示部36は、許容時間が所定値t2(t1<t2であって、例えば60秒間)よりも短いか否かを判定する(ステップ103)。
【0040】
許容時間が所定値t2よりも長い場合には、ステップ103で否定判断が行われ、案内指示部36は、進路案内のタイミングである旨と許容時間の判定結果を案内文設定部40に通知する。
通知を受けた案内文設定部40は、進路案内に必要な所定の単語(交差点名、進行方向、交差点通過後の行き先を示す地名など)を交差点案内部32から取得し、母国語(優先順位が最も高い言語)を用いて進路案内文を設定する。案内文設定部40によって設定された案内文に基づいて音声合成部42により音声信号が生成されてスピーカ7に入力され、進路案内文が音声出力される(ステップ104)。
【0041】
次に案内文設定部40は、地名など、複数の読み方が対応している単語を現地語(優先順位が2番目の言語)に置き換えて進路案内文を設定する。案内文設定部40によって設定された案内文に基づいて音声合成部42により音声信号が生成されてスピーカ7に入力され、進路案内文が音声出力される(ステップ105)。
【0042】
以下に、上述したステップ104、105において音声出力される案内文の具体例を説明する。例えば、母国語がドイツ語に設定されており、現地語がフランス語である場合に、「この先右方向です。Strasbourg方面です。」といった内容の案内文を音声出力する場合を考える。
【0043】
この場合に、1回目の案内文では「Strasbourg」の部分がドイツ語の読み方に対応して「ストラスブルグ」に設定され、「この先右方向です。ストラスブルグ方面です。」といった音声出力が行われる。また、2回目の案内文では「Strasbourg」の部分がフランス語の読み方に対応して「ストラスブール」に設定され、「この先右方向です。ストラスブール方面です。」といった音声出力が行われる。なお、説明の便宜上、案内文は日本語により示されているが、実際には母国語(ドイツ語)を用いて案内文が設定されているものとする。
【0044】
このように本実施形態では、許容時間が所定値t2よりも長い場合、すなわち許容時間に十分な余裕がある場合には、母国語を用いた案内文と、地名などを現地語に置き換えた案内文の2つを音声出力することにより、音声案内の内容を充実させ、利便性を向上させることができる。
【0045】
また、進路案内を完了するまでの許容時間が所定値t1よりも短い場合には、上述したステップ102で肯定判断が行われ、案内指示部36は、進路案内のタイミングである旨と許容時間の判定結果を案内文設定部40に通知する。
通知を受けた案内文設定部40は、進路案内に必要な所定の単語を交差点案内部32から取得し、母国語を用いて進路案内文を設定する。案内文設定部40によって設定された案内文に基づいて音声合成部42により音声信号が生成されてスピーカ7に入力され、進路案内文が音声出力される(ステップ106)。
【0046】
このように本実施形態では、許容時間が所定値t1よりも短い場合、すなわち許容時間にあまり余裕がない場合には、母国語を用いた案内文のみが案内される。なお、案内文の具体例は、上述したステップ104の場合と同様であるため、ここでは省略する。このように、許容時間が短い場合には、優先順位が低い現地語の読み方を省略し、優先順位が高い母国語の読み方のみを用いることにより、短い時間で進路案内に最低限必要な情報を確実に提供することができる
また、進路案内を完了するまでの許容時間が所定値t1よりも長く、所定値t2よりも短い場合には、上述したステップ103で肯定判断が行われ、案内指示部36は、進路案内のタイミングである旨と許容時間の判定結果を案内文設定部40に通知する。
【0047】
通知を受けた案内文設定部40は、進路案内に必要な所定の単語を交差点案内部32から取得し、地名などの複数の読み方が対応している単語について、母国語と現地語を併記した進路案内文を設定する。案内文設定部40によって設定された案内文に基づいて音声合成部42により音声信号が生成されてスピーカ7に入力され、進路案内文が音声出力される(ステップ107)。
【0048】
以下に、上述したステップ107において音声出力される案内文の具体例を説明する。上述した例と同様に、母国語がドイツ語、現地語がフランス語であり、「この先右方向です。Strasbourg方面です」といった内容の案内文を音声出力する場合を考える。この場合には、「この先右方向です。ストラスブルグ、ストラスブール方面です」というように、「Strasbourg」の部分を「ストラスブルグ、ストラスブール」と併記した案内文が設定される。なお、説明の便宜上、案内文は日本語により示されているが、実際には母国語(この場合ドイツ語)を用いて案内文が設定されているものとする。
【0049】
このように本実施形態では、許容時間が所定値t1よりも長く、所定値t2よりも短い場合、すなわち許容時間にいくらかの余裕がある場合には、地名などを母国語と現地語で併記した1つの案内文が設定される。これにより、2つの案内文を音声出力する場合に比べて短い時間で母国語と現地語の両方を用いて地名等を案内することができる。
【0050】
(2)施設情報を案内する際の動作
図3は、各種の施設を指定し、その施設に関する詳細情報の案内を行う際のナビゲーション装置の動作手順を示す流れ図である。
案内指示部36は、施設情報の案内を行うタイミングとなったか否かを判定する(ステップ200)。上述したように案内指示部36は、リモコンユニット4を用いて、地図上に表示された各種施設の位置がカーソルにより指定され、あるいは、住所や電話番号などに基づいた施設検索処理が指示された場合などに、施設情報の案内を行うタイミングであると判定している。施設情報の案内タイミングとなっていない場合には否定判断が行われ、ステップ200の判定処理が繰り返される。
【0051】
施設情報の案内タイミングとなった場合には、ステップ200で肯定判断が行われ、施設情報案内部34は、カーソルにより指定された地点の座標(緯度・経度)、あるいは電話番号等に基づいて、案内対象となる施設を特定する(ステップ201)。
【0052】
また、優先順位設定部30は、施設の所在地に対応する地域での使用言語を調べることにより、現地語(2番目に優先順位の高い言語)を検索する(ステップ202)。
次に、施設情報案内部34は、特定された施設に関する詳細情報(施設の名称、所在地、電話番号等)を案内する案内図を生成し、画像合成部18に出力する。これにより、ディスプレイ装置6の画面上に所定の施設情報案内図が表示される(ステップ203)。
【0053】
また案内指示部36は、施設情報の案内タイミングである旨を案内文設定部40に通知する。通知を受けた案内文設定部40は、施設情報の案内に必要な所定の単語(施設の名称や所在地など)を施設情報案内部34から取得し、母国語を用いて施設情報の案内文を設定する。案内文設定部40によって設定された案内文に基づいて音声合成部42により音声信号が生成されてスピーカ7に入力され、施設情報の案内文が音声出力される(ステップ204)。
【0054】
次に案内文設定部40は、施設名称や地名など、複数の読み方が対応している単語を現地語に置き換えて施設情報の案内文を設定する。案内文設定部40によって設定された案内文に基づいて音声合成部42により音声信号が生成されてスピーカ7に入力され、施設情報の案内文が音声出力される(ステップ205)。
【0055】
以下に、上述した一連の手順により音声出力される案内文の具体例を説明する。例えば、母国語が日本語に設定されており、現地語がドイツ語である場合に、喫茶店の名称を案内する「施設名称は、Cafe・ABCです。」という案内文を音声出力する場合を考える。
【0056】
この場合に、1回目の案内文では「Cafe・ABC」の部分が日本語に対応して「カフェ・エービーシー」に設定され、「施設名称は、カフェ・エービーシーです。」といった音声出力が行われる。また、2回目の案内文では「Cafe・ABC」の部分がドイツ語に対応して「カフェ・アーベーツェー」に設定され、「施設名称は、カフェ・アーベーツェーです。」といった音声出力が行われる。
【0057】
このように本実施形態では、施設検索処理によって案内対象の施設が特定された場合には、母国語を用いた案内文と、施設名称や地名などを現地語に置き換えた案内文の2つが続けて案内される。これにより、施設名称を母国語と現地語の両方の読み方で把握することができるので、車両を離れてこの喫茶店「Cafe・ABC」を探すために現地の人と会話する際などに便利であり、施設情報を検索する際の利便性を向上させることができる。
【0058】
(3)操作内容を確認する際の動作
図4は、各種の操作指示を行った際に、その操作内容を確認する案内文を音声出力する際のナビゲーション装置の動作手順を示す流れ図である。一例として、電話番号に基づいて個人宅が検索され、この個人宅を経路探索の目的地として設定する操作指示が行われた場合に、その操作内容を確認する案内文を音声出力する場合を想定して、その動作手順を説明する。
【0059】
案内指示部36は、操作内容を確認する案内を行うタイミングとなったか否かを判定する(ステップ300)。具体的には、案内指示部36は、電話番号に基づく個人宅の検索が行われた後に、この個人宅を目的地に設定する旨の操作指示がリモコンユニット4を用いて行われた場合に、操作内容を確認する案内を行うタイミングであると判定している。案内タイミングとなっていない場合には否定判断が行われ、ステップ300の判定処理が繰り返される。
【0060】
案内タイミングとなった場合には、ステップ300で肯定判断が行われ、案内指示部36は、案内タイミングである旨を案内文設定部40に通知する。
通知を受けた案内文設定部40は、操作内容を確認する案内文の作成に必要な所定の単語を施設情報案内部34から取得する(ステップ301)。上述した例では、目的地として設定される個人宅に対応する個人名などが所定の単語として取得される。
【0061】
次に案内文設定部40は、母国語を用いて操作内容を確認する案内文を設定する。案内文設定部40によって設定された案内文に基づいて音声合成部42により音声信号が生成されてスピーカ7に入力され、案内文が音声出力される(ステップ302)。
【0062】
次に案内文設定部40は、施設情報案内部34から取得した単語(上述した例では、世帯主の名前)を現地語に置き換えて施設情報の案内文を設定する。案内文設定部40によって設定された案内文に基づいて音声合成部42により音声信号が生成されてスピーカ7に入力され、案内文が音声出力される(ステップ303)。
【0063】
以下に、上述した一連の手順により音声出力される案内文の具体例を説明する。母国語が日本語に設定されており、ドイツ国内に存在するシュミット氏(Herr Schmidt)の個人宅の所在地を経路探索の目的地に設定する場合に、操作内容を確認する案内文を音声出力する場合を考える。
【0064】
この場合に、1回目の案内文では「Herr Schmidt」の部分が日本語に対応して「シュミットさん」に設定され、「シュミットさん宅を目的地に設定します。」といった音声出力が行われる。また、2回目の案内文では、「Herr Schmidt」の部分がドイツ語に対応して「ヘァ・シュミット」に設定され、「ヘァ・シュミット宅を目的地に設定します。」といった音声出力が行われる。このように、操作内容を確認する案内文を音声出力する際に、母国語を用いた案内文と、名前などの所定の単語を現地語に置き換えた案内文の2つを続けて案内することにより、名前を母国語と現地語の両方の読み方で把握することが可能となり、所望する操作指示を確実に行うことができる。
【0065】
このように、本実施形態のナビゲーション装置は、誘導経路上の交差点における進路案内や施設詳細情報の案内などの音声出力を行う際に、所定の単語について、母国語と現地語に対応した複数の読み方を用いて案内文を設定しているので、利用者にとって理解しやすい母国語による読み方と、現地語による読み方の双方を知ることが可能となり、音声案内の利便性を向上させることができる。
【0066】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。例えば、上述した実施形態では、所定の単語について、利用者の使用する母国語と車両位置等に対応する現地語の双方による読み方を用いて案内文を設定し、音声出力を行っていたが、これ以外にも、標準語と方言、正式名称と通称(または略称、俗称等)などの組み合わせを考慮して、複数の読み方を用いた案内文を設定することができる。
【0067】
具体的には、標準語と方言の組み合わせを考えた場合には、最も優先順位の高い言語として標準語を設定しておき、現在の車両位置が属する地方(東北地方、北陸地方等)を特定し、その地方に応じた方言を現地語(2番目に優先順位の高い言語)として、所定の単語について、標準語と方言の双方による読み方を用いて進路案内などの案内文を設定すればよい。また、正式名称と通称等の組み合わせを考えた場合には、例えば、道路の名称について「国道○○号線」といった正式名称と、「××街道」や「△△通り」というような通称の双方を用いて案内文を設定するなどの例が考えられる。
【0068】
また上述した実施形態では、案内文の設定に用いる複数の言語について、利用者の母国語を優先順位が最も高い言語に設定し、車両位置の属する国などに応じた現地語を優先順位が2番目に高い言語として設定していたが、優先順位の設定方法はこれに限定されるものではなく、種々の変形例が考えられる。
【0069】
具体的には、案内文の設定に用いる言語として3つ以上の言語を設定するようにしてもよい。例えば、車両の運転者と同乗者とがそれぞれ別の母国語を希望しているような場合には、運転者に対応する母国語の優先順位を1番目、同乗者に対応する母国語の優先順位を2番目、車両位置に応じた現地語の優先順位を3番目に設定しておけば、各利用者に都合のよい言語による案内と、車両位置に対応した現地語による案内とを行うことができる。また、複数の公用語を有する国(例えば、スイス等)の領内に車両位置が存在する場合などにおいては、利用者に対応する母国語の優先順位を1番目、第1の公用語の優先順位を2番目、第2の公用語の優先順位を3番目、…、というように、案内文の設定に用いる言語の優先順位を設定すればよい。
【0070】
上述した実施形態では、交差点における進路案内を行う際に、進路案内を完了するまでの許容時間の長短を判定し、許容時間が短い場合には優先順位の低い言語を用いた案内文を省略するなど、許容時間に応じて案内文の内容を変更していたが、同様の処理を施設情報の案内時や操作内容の確認案内時に行うようにしてもよい。
【0071】
具体的には、施設情報の案内や操作内容の確認案内などを音声出力する際に、1回の案内があまり長くなりすぎるとその内容を把握しづらくなることが考えられる。したがって、このような場合に、1回の案内を完了するまでの許容時間(例えば、20秒間など)を予め設定しておき、案内対象となる単語(複数の読み方に対応する単語)の文字数などに基づいて、案内文の音声出力に要する時間を判定し、所定の許容時間を超える場合には、優先順位の高い単語のみを用いた案内文に切り替えるという処理を行えばよい。
【0072】
また上述した実施形態では、操作内容を確認する案内文を音声出力する場合の一例として、電話番号に基づいて個人宅が検索され、この個人宅を経路探索の目的地として設定する操作指示が行われたときにその操作内容を確認する場合を想定して説明を行っていたが、操作内容はこれに限定されるものではない。
【0073】
また、案内文を音声出力する際に、複数の読み方のそれぞれに対応して音声の調子(声質)を変更してもよい。例えば、母国語の読み方を用いた案内文については“男声”を用いて音声出力を行い、現地語の読み方を用いた案内文については“女声”を用いて音声出力を行うなどの方法が考えられる。また、一の案内文の中で母国語の読み方と現地語の読み方を併記する場合には、案内文の全体と、現地語の読み方の部分とで声質を変更すればよい。このように、複数の読み方に対応して音声の調子を変更することにより、複数の読み方が提供されている部分が明確になり、聞き逃しを少なくすることができる利点がある。
【0074】
【発明の効果】
上述したように、本発明によれば、音声案内の対象となる単語が複数の読み方を有している場合に、そのような単語について複数の読み方を用いて音声案内の文章が設定されるので、音声案内の利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態のナビゲーション装置の構成を示す図である。
【図2】誘導経路上の交差点において進路案内を行う際のナビゲーション装置の動作手順を示す流れ図である。
【図3】各種の施設を指定し、その施設に関する詳細情報の案内を行う際のナビゲーション装置の動作手順を示す流れ図である。
【図4】各種の操作指示を行った際に、その操作内容を確認する案内文を音声出力する際のナビゲーション装置の動作手順を示す流れ図である。
【符号の説明】
1 ナビゲーションコントローラ
2 DVD
4 リモートコントロール(リモコン)ユニット
5 車両位置検出部
6 ディスプレイ装置
7 スピーカ
10 地図バッファ
14 地図描画部
16 VRAM
18 画像合成部
20 車両位置計算部
22 経路探索処理部
24 経路メモリ
30 優先順位設定部
32 交差点案内部
34 施設情報案内部
36 案内指示部
40 案内文設定部
42 音声合成部

Claims (1)

  1. 所定の条件下で目的地までの車両の走行経路を探索する経路探索手段と、
    音声案内の対象となる単語を特定する単語特定手段と、
    音声案内を行うタイミングを判定する案内タイミング判定手段と、
    前記案内タイミング判定手段によって判定された音声案内のタイミングにおいて、前記単語特定手段によって特定された前記単語に複数の読み方が対応しているときに、これら複数の読み方を用いて音声案内する文章を設定する案内文設定手段と、
    前記案内文設定手段によって設定された前記文章を音声出力する音声出力手段と、
    音声案内が終了するまでの許容時間の長短を判定する案内時間判定手段と、を備え、
    前記案内文設定手段は、前記単語特定手段によって特定された単語が含まれる文章であって、前記経路探索手段によって探索された前記走行経路に沿った車両の進路を音声案内する文章を設定し、
    前記案内文設定手段は、前記案内時間判定手段によって判定された前記許容時間が所定値t1より短い場合には前記単語に優先順位が高い読み方を対応させた前記文章を設定し、前記許容時間がt1よりも大きい所定値t2よりも長い場合には前記単語に対応する複数の読み方のそれぞれに対応した複数の前記文章を設定し、前記許容時間が所定値t1より長く所定値t2より短い場合には前記単語に複数の読み方を対応させて連続させた単一の前記文章を設定することを特徴とするナビゲーション装置。
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