JP4084183B2 - ポリマー碍子の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はポリマー碍子の製造方法およびポリマー碍子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
架空送電線の新たな碍子として海外において適用が広まりつつあるノンセラミック型のポリマー碍子は、近年、わが国においても、その高強度性と軽量性等の利点が認識され、主として相間スペーサ等に広く利用されている。また、一部で送電線用の碍子として試用が開始されている。上記したようなポリマー碍子は送電線用として使用される場合、電気的な諸特性はもとより、信頼性、経済性、施工性、保守性等が従来広く使用されている磁器製の碍子に比べて優位であることが重要視される。従来、このようなポリマー碍子を製造する方法としては次のような製造方法が提案されている。
【0003】
ロッド状の絶縁性心材の両端末に端末金具を嵌着し、そのかしめ部をかしめて取り付けた後、端末金具の一部を含めて絶縁性心材の外周に有機絶縁材を碍子形状にモールド成形して外被絶縁体を形成し、その後、再度前記端末金具のかしめ部をかしめることにより、モールド成形時の高温による絶縁性心材の軟化によるかしめ強度の低下を防止するようにしたポリマー碍子の製造方法である(特許文献1参照)。
【0004】
また、絶縁性心材の外周に両端末を残して有機絶縁材を胴部と笠部からなる碍子形状にモールド成形して外被絶縁体を形成した後、絶縁性心材の両端末に端末金具を取り付け、課電側における外被絶縁体の胴部と端末金具との境界部位に半導電性部材を介挿したポリマー碍子の製造方法である(特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平6−283060号公報(特許請求の範囲(請求項3)、図1)
【特許文献2】
特開2001−325843号公報(発明の詳細な説明の段落0010乃至0012、図1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の特許文献1に記載されたポリマー碍子の製造方法は、有機絶縁材をモールド成形する前後で端末金具のかしめ部を2度かしめる必要があるため、端末金具のかしめ部の長さが長くなってポリマー碍子の全長が長くなるほか、碍子の製造作業が煩雑になり、ポリマー碍子のコストが高くなる問題がある。また、かしめ部を2度かしめるため、絶縁性心材をかしめ過ぎてクラック等の損傷が生じ易く、碍子の機械的強度が低下する問題がある。
【0007】
また、特許文献2に記載されたポリマー碍子の製造方法は、外被絶縁体の胴部と端末金具との境界部位の隙間から外被絶縁体と絶縁性心材の界面に雨水等が侵入し易く、該界面に沿った沿面絶縁強度が外被絶縁体外面に沿った沿面絶縁強度よりも低くなって、碍子本来の絶縁強度を保持することが難しい問題がある。
【0008】
本発明は上記の問題を解決し、碍子全長が長くならず、また、製造が容易でコストを低減させることができ、更に碍子の機械的強度の向上及び絶縁強度の保持を可能にするポリマー碍子の製造方法およびポリマー碍子を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載された発明は、絶縁性心材と、絶縁性心材の外周に有機絶縁材をモールド成形して形成された胴部と笠部を有する外被絶縁体と、絶縁性心材の両端末に取り付けられた端末金具とを備えたポリマー碍子の製造方法において、前記絶縁性心材の外周に両端末から所定長残してミラブル型の有機絶縁材をモールド成形して一次外被絶縁体を形成し、その後、絶縁性心材の両端末に端末金具を取り付け、次いで、絶縁性心材の両端末近傍における非モールド成形部分の外周に低温加硫型の有機絶縁材を一次外被絶縁体と端末金具に跨るようにモールド成形して二次外被絶縁体を形成したことを特徴とするものである。また、本発明の請求項4に記載された発明は、絶縁性心材と、前記絶縁性心材の外周に形成された胴部と笠部を有する外被絶縁体と、前記絶縁性心材の両端末に取り付けられた端末金具とを有し、
前記絶縁性心材の両端末近傍を除く前記外被絶縁体はミラブル型の有機絶縁材からなる一次外被絶縁体が露出しており、前記絶縁性心材の両端末近傍の前記外被絶縁体は低温加硫型の有機絶縁材からなる二次外被絶縁体が前記一次外被絶縁体と前記端末金具に跨るように形成されていることを特徴とするポリマー碍子である。
【0010】
このようなポリマー碍子の製造方法およびポリマー碍子は、絶縁性心材に端末金具を取り付ける前に、絶縁性心材の外周に安価なミラブル型の有機絶縁材をモールド成形して一次外被絶縁体を形成するので、一次外被絶縁体のモールド成形、高温加硫時に、従来のような端末金具の取り付けられた絶縁性心材が軟化して端末金具の固着力が低下するような不都合が生じないほか、絶縁性心材の両端末から所定長残して一次外被絶縁体が形成されるので、該絶縁体のモールド成形時に、絶縁性心材の両端末部分に熱変形、歪み等が生じず、両端末に端末金具を確実、容易に取り付けることができる。
【0011】
また、絶縁性心材の両端末に端末金具を取り付けた後に、絶縁性心材の両端末近傍における非モールド成形部分の外周に低温加硫型の有機絶縁材をモールド成形して二次外被絶縁体を形成するので、二次外被絶縁体のモールド成形、加硫時の温度が一次外被絶縁体のモールド成形、加硫時の温度よりも低くなり、その成形、加硫時に、絶縁性心材が軟化して端末金具の固着力が低下するようなこともない。
【0012】
従って、絶縁性心材に端末金具を取り付ける際、端末金具を2度かしめる必要がなくなるので、端末金具の長さ、即ち、ポリマー碍子の全長が長くなることがなく、施工性が向上するほか、碍子の製造が簡単になって製造能率が向上し、更に材料費の安価なミラブル型の有機絶縁材を使用することが可能になって、碍子のコストを低減させることができ、特に、碍子が長大化するほど大幅なコストダウンを実現することができる。また、端末金具のかしめ過ぎで絶縁性心材を損傷させることもなくなり、碍子の機械的強度を向上させることができる。
【0013】
更に、絶縁性心材の両端末近傍における非モールド成形部分の外周に低温加硫型の有機絶縁材を一次外被絶縁体と端末金具に跨るように二次外被絶縁体を形成するので、一次外被絶縁体と絶縁性心材の界面に雨水等が侵入し難くなり、該界面に沿った絶縁破壊を防止でき、碍子本来の絶縁強度を保持することができる。
【0014】
本発明の請求項2に記載された発明は、請求項1記載のポリマー碍子の製造方法において、前記絶縁性心材の外周にミラブル型の有機絶縁材をモールド成形して一次外被絶縁体を形成する際、少なくとも課電側における一次外被絶縁体の端部に端末金具に向けて先細るテーパ部を形成し、絶縁性心材の非モールド成形部分の外周に低温加硫型の有機絶縁材をモールド成形して二次外被絶縁体を形成する際、一次外被絶縁体の前記テーパ部の外周に、そのテーパ部の先端が二次外被絶縁体の笠部のある位置の内側に位置するように、二次外被絶縁体の一部を重合させながら、二次外被絶縁体を形成することを特徴とするものである。また、本発明の請求項5に記載された発明は、請求項4記載の前記一次外被絶縁体は、少なくとも課電側における端部において、前記端末金具に向けて先細るテーパ部を有することを特徴とするものである。
【0015】
このように、一次外被絶縁体の端部に形成されたテーパ部の外周に一部が重合するように二次外被絶縁体を形成することにより、両外被絶縁体同士を良好に接合するためのバリ処理作業の手間を省略でき、碍子のコストを更に低減させることができるほか、該接合部分がテーパ面になるため、該部分の接触面積が大きくなって密着性が増し、一次外被絶縁体と絶縁性心材の界面に雨水等が侵入するのを防止するシール性が向上して碍子の絶縁不良をなくし、碍子の長寿命化を達成することができる。
【0016】
本発明の請求項3に記載された発明は、請求項1又は2記載のポリマー碍子の製造方法において、前記二次外被絶縁体を形成する低温加硫型の有機絶縁材として半導電性の有機絶縁材を使用することを特徴とするものである。
【0017】
このようにすると、二次外被絶縁体が半導電性になり、導電性汚損物質が碍子表面に付着して湿潤状態になっても、表面に微弱な漏洩電流が流れて絶縁性の碍子表面よりも速く乾燥状態になって絶縁性を回復し易くなり、碍子端末近傍の電気的劣化を防止することができる。また、半導電性にするために二次外被絶縁体にカーボンブラック等の導電材料が混入されるので、碍子の耐候性等を向上させることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面により詳細に説明する。図1は、本発明により製造されたポリマー碍子1の一部欠截右半部断面正面図、図2は図1の端末金具近傍を拡大して示す右半部断面概要図である。
【0019】
このポリマー碍子1は、図1に示すように、ロッド(棒)状の絶縁性心材3と、絶縁性心材3の外周に形成された一次外被絶縁体5と、絶縁性心材の両端末に圧着(かしめ)により取り付けられた端末金具7と、絶縁性心材3の両端末近傍における一次外被絶縁体5の端部と端末金具7の口元7a間の非モールド成形部分3aの外周に一次外被絶縁体5と端末金具7に跨るように形成された二次外被絶縁体9とを備えて構成される。
【0020】
更に具体的に説明すると、絶縁性心材3は、例えば、中実又は中空円形状のFRP等の軽くて引張強度の大きな絶縁材料を成形加工して形成される。一次外被絶縁体5は、円筒状の胴部11と、その外周面に胴部長手方向に所定間隔をおいて突設された複数の笠部13を有し、絶縁性心材3の外周に両端末から所定長残してミラブル型、即ち、熱加硫型(HTV型)の有機絶縁材、例えば、高粘度のシリコーンゴムコンパウンドに硬化剤である加硫剤その他の添加剤を配合してなる有機絶縁材をモールド成形し、加熱して加硫硬化させることにより形成される。
【0021】
なお、一次外被絶縁体5はシリコーンゴムのほかにEVA(エチレン・酢酸ビニル共重合体)、EPDM(エチレン・プロピレン・ジエン共重合体)等の有機絶縁材を使用することができる。端末金具7は銅、アルミニウム材(これらの合金を含む)の良導電性金属材料からなり、絶縁性心材3の課電側と接地側の両端末に取り付けられる。
【0022】
二次外被絶縁体9は円筒状の胴部15と、その外周面に胴部長手方向に所定間隔をおいて突設された1又は複数の笠部17を有し、絶縁性心材3の前記非モールド成形部分3aの外周に、低温加硫型の有機絶縁材、例えば、低粘度の液状シリコーンゴムコンパウンドに硬化剤である加硫剤、カーボンブラック等の導電材料その他の添加剤を配合してなる半導電性の有機絶縁材をモールド成形し、加熱して加硫硬化させることにより形成される。
【0023】
また、図1、2に示すように、一次外被絶縁体5の胴部11の両端部は、端末金具7に向けて先細るテーパ部5aが形成され、そのテーパ部5aの外周に、そのテーパ部5aの先端が二次外被絶縁体9の笠部13がある位置の内側に位置するようにして、二次外被絶縁体9の一部が重合されて接合されている。
【0024】
このようなポリマー碍子1の製造方法の一実施形態を図3等により詳細に説明する。先ず、FRPロッド等からなる絶縁性心材3と一次外被絶縁体5との接着性を良好にするために、一次外被絶縁体5が形成される絶縁性心材3の外周面にプライマー等を塗布して乾燥させる。
【0025】
次に、その絶縁性心材3を未加硫の安価なミラブル型の有機絶縁材である、例えば、高粘度のシリコーンゴムコンパウンド等からなるシートで挟み込み、図3に示すような2分割可能で内部に一次外被絶縁体3の胴部11と笠部13を形成するためのキャビティを有する金型19内に配設する。
【0026】
次に、金型19に設けられた誘導、通電、電熱等の加熱手段(図示せず)により金型19を150〜200℃程度の高温度で加熱し、前記シートを略同一温度に加熱しながら前記絶縁性心材3の外周に両端末から所定長残し、且つ、両端部に端末金具7に向けて先細るテーパ部5aが形成されるように、モールド成形すると共に、該シート(シリコーンゴムコンパウンド等)を金型19で外側から加圧しながら前記高温度で加硫硬化させて、円筒状の胴部11と、その外周面に胴部長手方向に所定間隔をおいて突設された複数の笠部13を有する一次外被絶縁体5を形成する(図3参照)。
【0027】
次に、絶縁性心材3及び一次外被絶縁体5から金型19を2分割して取り除き、絶縁性心材3の両端末に端末金具7を圧縮工具等でかしめて取り付ける。
【0028】
このように、絶縁性心材3に端末金具7を取り付ける前に、絶縁性心材3の外周に安価なミラブル型の有機絶縁材をモールド成形して一次外被絶縁体5を形成するので、一次外被絶縁体5のモールド成形の際、従来のような高温加硫時に端末金具7の取り付けられた絶縁性心材3が軟化して端末金具7の固着力が低下するような不都合が生じないほか、絶縁性心材3の両端末から所定長残して一次外被絶縁体5が形成されるので、該絶縁体5のモールド成形時に、絶縁性心材3の両端末部分に熱変形、歪み等が生じず、両端末に端末金具7を確実、容易に取り付けることができる。
【0029】
次に、一次外被絶縁体5が形成され、端末金具7が取り付けられた絶縁性心材3を別の金型(図示せず)内に配設して、そのキャビティに低温加硫型の有機絶縁材である、例えば、低粘度の液状シリコーンゴムコンパウンドに硬化剤である加硫剤、カーボンブラック等の導電材料その他の添加剤を配合してなる半導電性の有機絶縁材を充填する。
【0030】
次いで、金型を80〜120℃程度と前記ミラブル型の有機絶縁材を加熱したときよりも温度が降下した低温度で加熱し、前記半導電性の有機絶縁材を略同一温度に加熱しながら、図2に示すように、絶縁性心材3の両端末近傍における一次外被絶縁体5の端部と端末金具7の口元7a間の非モールド成形部分3aの外周に、一次外被絶縁体5と端末金具7に跨るように、且つ、一次外被絶縁体5の前記テーパ部5aの外周に、そのテーパ部5aの先端が二次外被絶縁体5の笠部13のある位置の内側に位置するように、二次外被絶縁体9の一部を重合させてモールド成形する。これと同時に、該有機絶縁材を加圧しながら前記低温度で加硫硬化させて、円筒状の胴部15と、その外周面に胴部長手方向に所定間隔をおいて突設された複数の笠部17を有する二次外被絶縁体9を形成する。図2に示すように、絶縁性心材3の非モールド成形部分3aの位置に二次外被絶縁体9の胴部15が来るように、また、一次外被絶縁体5の笠部13と二次外被絶縁体9の笠部17の間隔が一次外被絶縁体5の笠部13のピッチ(笠部13間の間隔)と等しくなるように、二次外被絶縁体9を配置することが望ましい。
【0031】
このように、絶縁性心材3の両端末に端末金具7を取り付けた後に、絶縁性心材3の両端末近傍における非モールド成形部分3aの外周に低温加硫型の有機絶縁材をモールド成形して二次外被絶縁体9を形成するので、二次外被絶縁体9のモールド成形、加硫時の温度が一次外被絶縁体5のモールド成形、加硫時の温度よりも低くなり、その成形、加硫時に、絶縁性心材3が軟化して端末金具7の固着力が低下するようなことがない。
【0032】
また、絶縁性心材3の両端末近傍における非モールド成形部分3aの外周に低温加硫型の有機絶縁材を一次外被絶縁体5と端末金具7に跨るように二次外被絶縁体9を形成するので、一次外被絶縁体5と絶縁性心材3の界面に雨水等が侵入し難くなり、該界面に沿った絶縁破壊を防止でき、碍子本来の絶縁強度を保持することができる。
【0033】
また、本実施形態のように、前記絶縁性心材3の外周にミラブル型の有機絶縁材をモールド成形して一次外被絶縁体5を形成する際、一次外被絶縁体5の端部に端末金具7に向けて先細るテーパ部5aを形成し、絶縁性心材3の非モールド成形部分3aの外周に低温加硫型の有機絶縁材をモールド成形して二次外被絶縁体9を形成する際、一次外被絶縁体5の前記テーパ部5aの外周に、そのテーパ部5aの先端が二次外被絶縁体9の笠部13のある位置の内側に位置するように、二次外被絶縁体9の一部を重合させながら、二次外被絶縁体9を形成すると、両外被絶縁体5、9同士を良好に接合するためのバリ処理作業の手間を省略でき、碍子のコストを更に低減させることができるほか、該接合部分がテーパ面になるため、該部分の接触面積が大きくなって密着性が増し、一次外被絶縁体5と絶縁性心材3の界面に雨水等が侵入するのを防止するシール性が向上する。なお、前記テーパ部5aは一次外被絶縁体6の課電側における一次外被絶縁体5の端部だけを成形するようにしてもほぼ同等の効果を奏する。
【0034】
更に、二次外被絶縁体9が半導電性になると、導電性汚損物質が碍子表面に付着して湿潤状態になっても、表面に微弱な漏洩電流が流れて絶縁性の碍子表面よりも速く乾燥状態になって絶縁性を回復し易くなり、碍子端末近傍の電気的劣化を防止することができる。
【0035】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の請求項1に記載されたポリマー碍子の製造方法および請求項4に記載されたポリマー碍子によると、絶縁性心材に端末金具を取り付ける前に、絶縁性心材の外周に安価なミラブル型の有機絶縁材をモールド成形して一次外被絶縁体を形成するので、一次外被絶縁体のモールド成形の際、従来のような高温加硫時に端末金具の取り付けられた絶縁性心材が軟化して端末金具の固着力が低下するような不都合が生じないほか、絶縁性心材の両端末から所定長残して一次外被絶縁体が形成されるので、該絶縁体のモールド成形時に、絶縁性心材の両端末部分に熱変形、歪み等が生じず、両端末に端末金具を確実、容易に取り付けることができる。
【0036】
また、絶縁性心材の両端末に端末金具を取り付けた後に、絶縁性心材の両端末近傍における非モールド成形部分の外周に低温加硫型の有機絶縁材をモールド成形して二次外被絶縁体を形成するので、二次外被絶縁体のモールド成形、加硫時の温度が一次外被絶縁体のモールド成形、加硫時の温度よりも低くなり、その成形、加硫時に、絶縁性心材が軟化して端末金具の固着力が低下するようなこともない。
【0037】
従って、絶縁性心材に端末金具を取り付ける際、端末金具を2度かしめる必要がなくなるので、端末金具の長さ、即ち、ポリマー碍子の全長が長くなることがなく、施工性が向上するほか、碍子の製造が簡単になって製造能率が向上し、更に材料費の安価なミラブル型の有機絶縁材を使用することが可能になって、碍子のコストを低減させることができ、特に、碍子が長大化するほど大幅なコストダウンを実現することができる。また、端末金具のかしめ過ぎで絶縁性心材を損傷させることもなくなり、碍子の機械的強度を向上させることができる。
【0038】
更に、絶縁性心材の両端末近傍における非モールド成形部分の外周に低温加硫型の有機絶縁材を一次外被絶縁体と端末金具に跨るように二次外被絶縁体を形成するので、一次外被絶縁体と絶縁性心材の界面に雨水等が侵入し難くなり、該界面に沿った絶縁破壊を防止でき、碍子本来の絶縁強度を保持することができる。
【0039】
本発明の請求項2に記載されたポリマー碍子の製造方法および請求項5に記載されたポリマー碍子によると、前記絶縁性心材の外周にミラブル型の有機絶縁材をモールド成形して一次外被絶縁体を形成する際、少なくとも課電側における一次外被絶縁体の端部に端末金具に向けて先細るテーパ部を形成し、絶縁性心材の非モールド成形部分の外周に低温加硫型の有機絶縁材をモールド成形して二次外被絶縁体を形成する際、一次外被絶縁体の前記テーパ部の外周に、そのテーパ部の先端が二次外被絶縁体の笠部のある位置の内側に位置するように、二次外被絶縁体の一部を重合させながら、二次外被絶縁体を形成するので、両外被絶縁体同士を良好に接合するためのバリ処理作業の手間を省略でき、碍子のコストを更に低減させることができるほか、該接合部分がテーパ面になるため、該部分の接触面積が大きくなって密着性が増し、一次外被絶縁体と絶縁性心材の界面に雨水等が侵入するのを防止するシール性が向上して碍子の絶縁不良をなくし、碍子の長寿命化を達成することができる。
【0040】
本発明の請求項3に記載されたポリマー碍子の製造方法によると、前記二次外被絶縁体を形成する低温加硫型の有機絶縁材として半導電性の有機絶縁材を使用するので、二次外被絶縁体が半導電性になり、導電性汚損物質が碍子表面に付着して湿潤状態になっても、表面に微弱な漏洩電流が流れて絶縁性の碍子表面よりも速く乾燥状態になって絶縁性を回復し易くなり、碍子端末近傍の電気的劣化を防止することができる。また、半導電性にするために二次外被絶縁体にカーボンブラック等の導電材料が混入されるので、碍子の耐候性等を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明により製造されたポリマー碍子の一部欠截右半部断面正面図である。
【図2】図1の端末金具近傍を拡大して示す右半部断面概要図である。
【図3】図1のポリマー碍子を製造する際、金型内に絶縁性心材を配設して絶縁性心材の外周に一次外被絶縁体を形成した状態を示す一部欠截縦断面図である。
【符号の説明】
1 ポリマー碍子
3 絶縁性心材
3a 非モールド成形部分
5 一次外被絶縁体
5a テーパ部
7 端末金具
7a 口元
9 二次外被絶縁体
11 胴部
13 笠部
15 胴部
17 笠部
19 金型
Claims (5)
- 絶縁性心材と、絶縁性心材の外周に有機絶縁材をモールド成形して形成された胴部と笠部を有する外被絶縁体と、絶縁性心材の両端末に取り付けられた端末金具とを備えたポリマー碍子の製造方法において、前記絶縁性心材の外周に両端末から所定長残してミラブル型の有機絶縁材をモールド成形して一次外被絶縁体を形成し、その後、絶縁性心材の両端末に端末金具を取り付け、次いで、絶縁性心材の両端末近傍における非モールド成形部分の外周に低温加硫型の有機絶縁材を一次外被絶縁体と端末金具に跨るように絶縁性心材の両端末部分においてのみモールド成形して二次外被絶縁体を形成したことを特徴とするポリマー碍子の製造方法。
- 前記絶縁性心材の外周にミラブル型の有機絶縁材をモールド成形して一次外被絶縁体を形成する際、少なくとも課電側における一次外被絶縁体の端部に端末金具に向けて先細るテーパ部を形成し、絶縁性心材の非モールド成形部分の外周に低温加硫型の有機絶縁材をモールド成形して二次外被絶縁体を形成する際、一次外被絶縁体の前記テーパ部の外周に、そのテーパ部の先端が二次外被絶縁体の笠部のある位置の内側に位置するように、二次外被絶縁体の一部を重合させながら、二次外被絶縁体を形成することを特徴とする請求項1記載のポリマー碍子の製造方法。
- 前記二次外被絶縁体を形成する低温加硫型の有機絶縁材として半導電性の有機絶縁材を使用することを特徴とする請求項1 又は2 記載のポリマー碍子の製造方法。
- 絶縁性心材と、
前記絶縁性心材の外周に形成された胴部と笠部を有する外被絶縁体と、
前記絶縁性心材の両端末に取り付けられた端末金具とを有し、
前記絶縁性心材の両端末近傍を除く前記外被絶縁体はミラブル型の有機絶縁材からなる一次外被絶縁体が露出しており、
前記絶縁性心材の両端末近傍の前記外被絶縁体は低温加硫型の有機絶縁材からなる二次外被絶縁体が前記一次外被絶縁体と前記端末金具に跨るように形成されていることを特徴とするポリマー碍子。 - 前記一次外被絶縁体は、少なくとも課電側における端部において、前記端末金具に向けて先細るテーパ部を有することを特徴とする請求項4に記載のポリマー碍子。
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