JP4083784B2 - 膜電極接合体、その製造方法及び高分子電解質形燃料電池 - Google Patents

膜電極接合体、その製造方法及び高分子電解質形燃料電池 Download PDF

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Description

本発明は、燃料電池に用いる膜電極接合体、その製造方法、さらには、膜電極接合体を用いた高分子電解質形燃料電池に関する。
高分子電解質形燃料電池は、陽イオン(水素イオン)を選択的に輸送する水素イオン伝導性を有する高分子電解質膜を用い、水素などの燃料ガスおよび空気などの酸化剤ガス(反応ガス)を、電極触媒(例えば白金など)を含む触媒層を有するガス拡散電極で電気化学的に反応させ、電気と熱を同時に発生させるものである。このような高分子電解質形燃料電池の一般的な構成を図8に示す。
この高分子電解質形燃料電池200において、高分子電解質膜101の両面には、電極触媒(例えば白金金属)を担持したカーボン粉末を主成分とする触媒層102A、102Bが密着して配置され、さらに触媒層102A、102Bの外面には、繊維状基材104A、104Bと撥水カーボン層(被覆層)103A、103Bとで構成された一対のガス拡散層111A、111Bが密着して配置されている。撥水カーボン層103A、103Bは集電作用、ガス透過性および撥水性を有し、触媒層102A、102Bおよびガス拡散層111A、111Bが、ガス拡散電極を構成する。また、高分子電解質膜101、触媒層102A、102B、およびガス拡散層111A、111Bが、膜電極接合体(membrane electrode assembly、MEA)105を構成する。
このMEA105を機械的に接合するとともに、隣接するMEA105同士を互いに電気的に直列に接続するために、導電性を有するセパレータ板106A、106BがMEA105間に挿入される。セパレータ板106A、106Bは、一方の面に、それぞれ燃料極側および酸化剤極側の触媒層に、燃料ガスおよび酸化剤ガスを供給するガス流路107A、107Bを有し、他方の面に、MEA105を冷却するための冷却水用の流路108を有する。また、反応ガスが外部に漏れることを防ぐためにシール材109が配置されている。
このようにしてMEA105と一組のセパレータ板106A、106Bとが単電池を構成し、単電池が複数個積層されて電池積層体(スタック)が構成される。この電池積層体は、燃料ガスや酸化剤ガスがリークしないように、また電池積層体内の接触抵抗を減らすために、締結ボルト110によって所定の締結圧で積層方向に締結される。したがって、MEA105とセパレータ板106A、106Bとは所定の圧力のもとで面接触している。
一般に、触媒層の反応面積を有効利用し、高い電池出力を得るために、あるいはMEA組み立て時の作業性を良くするために、図8のように、ガス拡散層111A、111Bの主面の面積が、触媒層102A、102Bの主面の面積よりも一回り大きく、ガス拡散層111A、111Bの中央部分に触媒層102A、102Bが位置し、ガス拡散層111A、111Bの外周(周辺部分)が触媒層102A、102Bの主面より外側に位置するように構成される(例えば特許文献1)。
しかしながら、上記のような従来の技術によれば、燃料極側および空気極側の両方において、ガス拡散層111A、111Bの周辺部分が、高分子電解質膜101に直接接するため、当該ガス拡散層111A、111Bの周辺部分の表面の凹凸が、特に長期の運転において、高分子電解質膜101に損傷を与え易いという問題がある。ガス拡散層111A、111Bの周辺部分の表面の凹凸は、繊維状基材104A、104Bの構造や形状に起因するが、上記のような問題は、撥水カーボン層103A、103Bの有無に関わらず生じるものである。
さらに、従来の高分子電解質形燃料電池の電池積層体は、膜電極接合体105の面に対して均一に圧力がかかって接触抵抗が低減されるように、締結ボルト110、ナット(図示せず)および締結板などを用いた4点支持によって積層方向に締結されている。ところが、4点における締結では膜電極接合体の面に対して完全に均一に圧力をかけることは困難であり、どうしても締結ボルト110が位置する部分、即ちガス拡散層111A、111Bの周辺部分に印加される圧力が、中央部分に印加される圧力に比べて強くなってしまう。そのため、燃料極側および空気極側の両方において、ガス拡散層111A、111Bの周辺部分が、高分子電解質膜101に直接かつ強く接し、先に述べた高分子電解質膜101が損傷し易いという問題はより顕著にあらわれる傾向にある。
高分子電解質膜101が損傷すると、反応ガスがリークするほどの貫通孔が生じた場合には、燃料ガス中に酸化剤ガスが混入したり、または、酸化剤ガス中に燃料ガスが混入したりすることがある。このリークによって生じる混合ガスが電極触媒の触媒作用によって反応すると、その反応熱によって高分子電解質膜101にさらに大きな破損を与えてしまう。このような場合、出力電圧の低下や運転停止を引き起こしかねない。また、反応ガスがリークしないほどの損傷であっても、燃料極と空気極との間で電気的短絡を引き起こすことも考えられる。この場合も、出力電圧が低下してしまうという問題が生じる。
これに対し、例えば特許文献2および3においては、触媒層の周辺部分に厚さ数十μmの薄いフィルム状の樹脂膜を設けることによって高分子電解質膜をガス拡散層から保護し、上記のような問題を解消することを意図した方法が提案されている。
また、特許文献4では、高分子電解質膜の中央部分、即ち触媒層と接する部分(電極反応部)の厚さに比べて、周辺部分の厚さを大きくし、当該電極反応部でのプロトン伝導性を維持しつつ、周辺部分での損傷を防止することを意図した技術が提案されている。
さらに、特許文献5においては、水素イオン伝導性を有する材料で高分子電解質膜の中央部分を構成し、水素イオン伝導性を有さずせん断応力や熱に強い材料で高分子電解質膜の外周部を構成する技術も提案されている。
特開2002−208413号公報 特開平5−174845号公報 特開平8−185872号公報 特開平8−185881号公報 特開2000−215903号公報
しかしながら、上記の特許文献2および3において提案されている技術では、膜電極接合体の作製時に、厚さ数十μmの薄いフィルム状の樹脂膜を触媒層の周辺部分に隙間無く設けることが困難であり、位置がずれて、樹脂膜と触媒層との間に空隙が生じることがある。このような場合、この空隙から高分子電解質膜の損傷が生じてしまい、樹脂膜の効果が得られにくいという問題がある。
また、特許文献4によって提案されている技術では、高分子電解質膜を作製する時点で、その中央部分および周辺部分の厚さにムラが生じ易い。そのため、薄くすべき高分子電解質膜の中央部分に厚い島状部分が生じてイオン伝導性が低下してしまったり、また、厚くすべき高分子電解質膜の周辺部分に薄い箇所が部分的に生じて高分子電解質膜の損傷が大きくなってしまったりするという問題がある。また、高分子電解質膜の周辺部分が厚いため、高分子電解質膜の中心部分と触媒層との間で十分な締結圧が得られず、接触抵抗が高くなるという問題もある。
さらに特許文献5において提案されている技術では、高分子電解質膜の周辺部分の強度を得るために、ポリエチレンテレフタレート(PTFE)で作製されたペーパーからなる基材に水素イオン伝導性を有する溶液を含浸させて高分子電解質膜が作製されているため、十分なプロトン伝導性が得られにくいという問題がある。
以上のような問題点に鑑み、本発明は、繊維状基材を用いたガス拡散層を有しても高分子電解質膜の損傷を生じにくく、当該損傷に起因する電池出力の低下を起こしにくい高分子電解質形燃料電池を容易且つ確実に構成することが可能な膜電極接合体を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、繊維状基材を用いたガス拡散層を有しても高分子電解質膜の損傷を生じにくい膜電極接合体を用い、長期にわたる運転を行っても電池出力の低下を招きにくい高分子電解質形燃料電池を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、繊維状基材を含むガス拡散層を有する膜電極接合体を具備する電池積層体からなる燃料電池を長期にわたって運転する場合、電池積層体の締結時にガス拡散層を構成する繊維状基材の凹凸が高分子電解質膜に損傷を与えて電池出力を低下させる原因の一つになっていることを見出した。そして、本発明者らは、特に繊維状基材の主面の面積が触媒層の主面の面積よりも大きい場合、繊維状基材の周辺部分の凹凸が高分子電解質膜に損傷を与えないように、当該周辺部分の厚さと、触媒層に対応する中央部分の厚さとを調節することが、上述の目的を達成する上で極めて有効であることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、上記の課題を解決すべく、本発明は、
水素イオン伝導性を有する高分子電解質膜と、高分子電解質膜の両面に配置された一対の触媒層と、触媒層の外側に配置された繊維状基材を含む一対のガス拡散層と、を具備し、ガス拡散層が、繊維状基材の触媒層側の主面に撥水カーボン層を有する膜電極接合体であって、
繊維状基材において、触媒層に面する中央部分の厚さTAと、中央部分の周辺部分の厚さTBとが、下記式(1)で示される関係を有すること、を特徴とする膜電極接合体を提供する。
0.7≦TB/TA≦0.9 ・・・(1)
ここで、繊維状基材の主面とは、繊維状基材のうち高分子電解質膜側の面のことをいい、また、触媒層の主面とは、触媒層のうち繊維状基材側および高分子電解質膜側の面のことをいう。従来からの高分子電解質形燃料電池と同様に、本発明の膜電極接合体においても繊維状基材の主面の面積は触媒層の主面の面積よりも大きく、さらに高分子電解質膜の面積は、繊維状基材の主面の面積よりも大きい。
また、繊維状基材の中央部分とは、繊維状基材の主面の中央に触媒層を配置したときに、当該触媒層に面する(接する)部分をいう。そして、繊維状基材の周辺部分とは、上述の中央部分の周辺に位置する部分であって、触媒層と接していない部分をいう。
上述のように、繊維状基材の主面の面積を触媒層の主面の面積よりも大きくし、繊維状基材において、触媒層に面する中央部分の厚さTAと、中央部分の周辺部分の厚さTBとが、下記式(1)で示される関係を満たすように設定すること{即ち、式(1)の値が0.7以上で0.9以下となるように設定すること}により、電池積層体の締結時にガス拡散層を構成する繊維状基材の凹凸が高分子電解質膜に損傷を与えることを防止することができ、高分子電解質膜の損傷に起因する電池出力の低下を防止することができる、膜電極接合体を容易且つ確実に構成することができる。更に、この膜電極接合体を高分子電解質形燃料電池に採用することにより、長期の運転を行っても電池出力の低下を十分に防止することができる。
式(1)の値{TB/TA}が0.9を超えると、電池積層体の締結時に繊維状基材の周辺部分が高分子電解質膜に強く接触し過ぎてしまい、高分子電解質膜の損傷を防止するという本発明の効果が十分に得られない。また、式(1)の値{TB/TA}が0.7未満であると、繊維状基材の周辺部分が中央部分よりも薄過ぎることとなり、発電時に周辺部分の接触抵抗が大きくなって発電性能が低下してしまい、さらに、電池積層体の締結時に中央部分にかかる圧力が大きくなって、高分子電解質膜の劣化を促進してしまうことになる。なお、式(1)の値{TB/TA}を求める際には、TA及びTBの値は、それぞれの単位が同一となるようにそろえた値を使用する。
ここで、本発明の膜電極接合体における繊維状基材の中央部分TAの厚さ及び周辺部分の厚さTBは、JIS L 1096(一般織物試験方法)に基づく厚さ測定によって測定することができる。JIS L 1096(一般織物試験方法)によれば、各種燃料電池のガス拡散層に用いられる各種基材の厚さを正確に測定することができる。より詳しくは、本発明の膜電極接合体における繊維状基材の中央部分の厚さTA及び周辺部分の厚さTBは、繊維状基材に対して以下の圧力が印加された状態で測定される値である。そのため、本発明の膜電極接合体における繊維状基材の中央部分TAの厚さ及び周辺部分の厚さTBは、繊維状基材からガス拡散層の、触媒層に面する中央部分TAの厚さ及び当該中央部分の周辺部分の厚さTBにそれぞれ等しい値となる。
即ち、具体的には、繊維状基材をポンチを用いて打ち抜いて得た直径50mmの寸法の円状の試験片を、それより大きな2つのレファレンスプレートの間に置き、1MPaの圧力を加え続ける。そして、圧力を印加しながら30秒経過後に、厚さゲージを用いてレファレンスプレート間の目盛を読み取り(圧力を印加したまま目盛を読み取り)、読み取った値が繊維状基材の厚さを示す。本発明においては、このようにして、繊維状基材の中央部分の厚さTAと周辺部分の厚さTBとを測定する。なお、TAは中央部分の5箇所以上の箇所で測定される厚さの測定値の相加平均値であり、TBは周辺部分の5箇所以上の箇所で測定される厚さの測定値の相加平均値である。
また、本発明の膜電極接合体であるか否かの分析は、MEAを分解してガス拡散層を取り出し、上述した状態と同一の圧力が印加された状態のもとでその中央部分の厚さTAと周辺部分の厚さTBを測定することにより確認できる。または、上述した状態と同一の圧力が印加された状態のもとで、MEAの断層をEPMAにより観察し、ガス拡散層の中央部分の厚さTAと周辺部分の厚さTBを測定することにより確認できる。
更に、本発明は、先に述べた本発明の膜電極接合体と、膜電極接合体の両面に配置された、ガス流路を有する一対の導電性セパレータと、を具備する高分子電解質形燃料電池を提供する。
本発明の高分子電解質形燃料電池は、先に述べた本発明の膜電極接合体を用いているため、電池積層体の締結時にガス拡散層を構成する繊維状基材の凹凸が高分子電解質膜に損傷を与えることを防止することができ、高分子電解質膜の損傷に起因する電池出力の低下を防止することができる。特に長期の運転を行っても電池出力の低下を十分に防止することができる。
更にまた、本発明は、先に述べた本発明の膜電極接合体の製造方法であって、
繊維状基材において、触媒層に面する中央部分の厚さTAと、中央部分の周辺部分の厚さTBとが、下記式(1)で示される関係を有するように、上記繊維状基材を作製する工程を含むこと、を特徴とする膜電極接合体の製造方法を提供する。
0.7≦TB/TA≦0.9 ・・・(1)
本発明の膜電極接合体の製造方法によれば、電池積層体の締結時にガス拡散層を構成する繊維状基材の凹凸が高分子電解質膜に損傷を与えることを防止することができ、高分子電解質膜の損傷に起因する電池出力の低下を防止することができる。特に長期の運転を行っても電池出力の低下を十分に防止することができる、膜電極接合体及びこれを用いた高分子電解質形燃料電池を、より確実に実現することができる。
なお、本発明は、上記のようにガス拡散層基材の中央部分と周辺部分の厚さで規定したが、別の規定方法として、一定の厚さまで圧縮した場合の反発力で定義することができる。このときの測定方法は、まず、0.01MPaの圧力を加えたときの、ガス拡散層の中央部分TAの厚さを測定する。そして、その厚さの75%の厚さとなるまで、ガス拡散層を圧縮する。圧縮して30秒後の中央部分の反発応力と周辺部分の反発応力を測定した。
以上のように、本発明によれば、繊維状基材の主面の面積が触媒層の主面の面積よりも大きくても、繊維状基材の中央部分および周辺部分の厚さを調節することによって、電池積層体の締結時に繊維状基材の凹凸が高分子電解質膜に損傷を与えることを防止し、当該損傷に起因する電池出力の低下を低減させた信頼性の高い高分子電解質形燃料電池を容易且つ確実に実現する膜電極接合体を提供することができる。また、本発明によれば、高分子電解質膜の損傷に起因する電池出力の低下が抑制され、長期にわたって安定した運転が行える信頼性の高い高分子電解質形燃料電池を提供することができる。
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明する。なお、以下の説明では、同一または相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略することもある。
[第一実施形態]
図1は、本発明の高分子電解質形燃料電池の一実施形態の構成を示す概略断面図である。この高分子電解質形燃料電池100において、陽イオン(水素イオン)伝導性を有する高分子電解質膜1の両面には、電極触媒(例えば白金金属)を担持したカーボン粉末を主成分とする触媒層2A、2Bが密着して配置され、さらに触媒層2A、2Bの外面には、繊維状基材4A、4Bと撥水カーボン層(被覆層)3A、3Bとで構成された一対のガス拡散層11A、11Bが密着して配置されている。
撥水カーボン層3A、3Bは集電作用、ガス透過性および撥水性を有し、ガス拡散層からの排水効果を高めるために設けてもよいが、省略することもできる。即ち、本発明におけるガス拡散層11A、11Bは、繊維状基材4A、4Bだけで構成されてもよく、繊維状基材4A、4Bと撥水カーボン層3A、3Bとで構成されてもよい。また、繊維状基材4A、4Bは、後述するように撥水処理されていてもよい。このように撥水カーボン層を設ける場合には、触媒層とガス拡散層との、接着性が向上する、電気的な接触抵抗が低減できる、及び、ガス拡散層の構成材料の繊維が触媒層に貫入するのをより確実に防止できる、といった効果を得ることができる。
そして、触媒層2A、2Bおよびガス拡散層11A、11Bが、ガス拡散電極を構成し、また、高分子電解質膜1、触媒層2A、2B、およびガス拡散層11A、11Bが、膜電極接合体(membrane electrode assembly、MEA)5を構成する。
本発明の高分子電解質形燃料電池においては、このMEA5を機械的に接合するとともに、隣接するMEA5同士を互いに電気的に直列に接続するために、導電性を有するセパレータ板6A、6BがMEA5間に挿入される。セパレータ板6A、6Bは、一方の面に、それぞれ燃料極側および酸化剤極側の触媒層に、燃料ガスおよび酸化剤ガスを供給するガス流路7A、7Bを有し、他方の面に、MEA5を冷却するための冷却水用の流路8を有する。また、反応ガスが外部に漏れることを防ぐためにシール材9が配置されている。
このようにしてMEA5と一組のセパレータ板6A、6Bとが単電池を構成し、単電池が複数個積層されて電池積層体(スタック)が構成される。この電池積層体は、燃料ガスや酸化剤ガスがリークしないように、また電池積層体内の接触抵抗を減らすために、締結ボルト10によって所定の締結圧で積層方向に締結される。したがって、MEA5とセパレータ板6A、6Bとは所定の圧力のもとで面接触している。
本発明における触媒層2A、2Bは、貴金属からなる電極触媒を担持した導電性炭素粒子と、陽イオン(水素イオン)伝導性を有する高分子電解質と、分散媒と、を含む分散液からなる触媒層形成用インクを用いて、当該分野で公知の方法により形成することができる。なお、「高分子電解質を含む分散液」は、高分子電解質が分散された状態の液の他に、高分子電解質が一部溶解し、他の一部が溶解せずに分散されている状態の液も含む。また、「分散媒」とは、使用される高分子電解質を分散可能な液体であってもよく、高分子電解質を溶解可能な液体であってもよく、高分子電解質を一部溶解可能で、他の一部は分散可能な液体であってもよい。
本発明の高分子電解質形燃料電池のMEA5は、上記のような高分子電解質膜1、触媒層2A、2B、および後述する繊維状基材を用いたガス拡散層11A、11Bから、当該分野で公知の技術によって作製することができる。
そして、MEA5においては、従来と同様に、触媒層の反応面積を有効利用して高い電池出力を得るために、またMEA5の組み立て時の作業性を良くするために、ガス拡散層11A、11Bの主面の面積を、触媒層2A、2Bの主面の面積よりも一回り大きくし、ガス拡散層11A、11Bの中央部分に触媒層2A、2Bを配置させ、ガス拡散層11A、11Bの外周(周辺部分)が触媒層2A、2Bの主面より外側に位置するように構成する。
ここで、図8を用いて上述したように、従来の高分子電解質形燃料電池の膜電極接合体においては、ガス拡散層111A、111Bの周辺部分が、高分子電解質膜101に直接接し、ガス拡散層111A、111Bの周辺部分の表面の凹凸が、高分子電解質膜101に損傷を与え易いという問題がある。更に、締結ボルト110、ナット(図示せず)および締結板などを用いた4点支持によって積層方向に締結されていることから、ガス拡散層111A、111Bの周辺部分に印加される圧力が、中央部分に印加される圧力に比べて強くなってしまい、ガス拡散層111A、111Bの周辺部分が、高分子電解質膜101に直接かつ強く接し、高分子電解質膜101がより損傷し易くなる。
そこで、本発明の膜電極接合体においては、ガス拡散層を構成する繊維状基材の主面の面積を触媒層の主面の面積よりも大きくするとともに、繊維状基材が、触媒層に対応する中央部分{即ち、繊維状基材の面に対して垂直な方向において、触媒層を繊維状基材に投影させたときに、触媒層の影が位置する部分}の厚さTAと、中央部分の外側の周辺部分の厚さTBとを、下記式(1)を満たすように設定する。
0.7≦TB/TA≦0.9 ・・・(1)
以下に、本発明の膜電極接合体の第一の実施形態において上記式(1)を満たす繊維状基材について説明する。図2は本発明の第一実施形態における繊維状基材21の概略正面図である。本発明の第一実施形態における繊維状基材21は織布で構成され、周辺部分22の糸径DBと、中央部分23の糸径DAとが、下記式(2)で示される関係を有することを特徴とする。
B<DA ・・・(2)
この繊維状基材においては、周辺部分22の糸径DBだけを細くすることで、周辺部分22の厚さだけを薄くすることが可能となり、電池積層体の締結時に高分子電解質膜の周辺部分にかかる応力(厚さ方向への反発力)を緩和し、高分子電解質膜の劣化を抑制することができる。なお、式(2)において、DA及びDBの値は、それぞれの単位が同一となるようにそろえた値を使用する。
第一実施形態における繊維状基材である織布の糸を構成する繊維としては、ポリアクリロニトリル(PAN)系、ピッチ系、セルロース系、ポリノジック系、その他公知の任意の炭素繊維などを用いることができる。なかでも、機械的強度が高いことや不純物が少ないことから、ポリアクリロニトリル系を用いるのが好ましい。炭素繊維の単繊維の直径は通常3〜70μmあるが、特に7〜10μmのものを用いるのが好ましい。
繊維状基材の中央部分23に用いる糸としては、上記の単繊維を10〜600本撚り合わせて得られる単糸を用いることができる。この際、所望する単糸の太さに合わせて単繊維の本数を適宜調整すればよい。さらに、この単糸を2本撚り合わせて得られる双糸、または単糸を3本撚り合わせて得られる3本撚糸を用いてもよい。すなわち、上述の糸としては、単糸、双糸および撚糸のいずれを用いてもよい。なかでも、双糸の方が、単糸より糸の引張強度が大きいという点から、双糸を用いるのが好ましい。
一方、繊維状基材の周辺部分22に用いる糸としては、中央部分23よりも単繊維を5〜500本の範囲でかつ中央部分23の場合よりも減らして撚り合わせて得られる単糸を用いる。また、中央部分と同様に、周辺部分の糸にも双糸を用いるほうが好ましい。
上記のような単糸または双糸を用いて、通常の織機を用いて織布を作製する。
織布の織り方は平織が好ましいが、斜文織、朱子織その他任意の組織であっても差し支えない。この場合、中央部分23に位置する部位に糸径DBの太い糸を、周辺部分22に位置する部位に糸径DAの細い糸を配置して織ることで、周辺部分22の厚さが薄い繊維状基材を作製することができる。
また、上記の糸を織機で平織にする場合の経緯密度(単位面積あたりの縦糸および横糸の本数)は、100〜500本/10cm2であればよく、なかでも150〜300本/10cm2であるのが好ましい。経緯密度が小さすぎると、糸の歪みやほつれ、しわが生じやすくなり、強度も低下する。経緯密度が大きすぎると、密に詰まった状態になり、ガス拡散性や透湿性が低下して、電池性能に影響を及ぼす。また、織布とした場合に厚さのむらが大きくなり易い。
以上のような織布を黒鉛化処理することによって、本発明における繊維状基材を得ることができる。例えば、上記の織布を窒素雰囲気中、900℃で加熱して炭化処理したのち、アルゴン雰囲気中で2000℃に加熱して黒鉛化処理を行う。このようにして、本発明の第一実施形態における繊維状基材を作製することができる。
[第二実施形態]
次に、本発明の高分子電解質形燃料電池の第二実施形態について説明する。この第二実施形態の高分子電解質形燃料電池(図示せず)は、図1に示した第一実施形態の高分子電解質形燃料電池100に於ける繊維状基材4A、4Bを異なる構成に代えたものであり、繊維状基材4A、4B以外の構成は第一実施形態の高分子電解質形燃料電池100と同様である。
以下、第二実施形態の高分子電解質形燃料電池に備えられる繊維状基材(本発明の繊維状基材の第二実施形態)について説明する。図3は、第二実施形態の高分子電解質形燃料電池に備えられる繊維状基材の概略正面図である。
本発明の第二実施形態における繊維状基材31は、上記式(1)で示される関係を満たすとともに、織布で構成され、周辺部分32の単位面積あたりの縦糸および横糸の打ち込み本数NBと、中央部分33の単位面積あたりの縦糸および横糸の打ち込み本数NAとが、下記式(3)で示される関係を有することを特徴とする。
B<NA ・・・(3)
この繊維状基材は、周辺部分32の単位面積あたりの縦糸および横糸の打ち込み本数が、中央部分33に比べて少ないため、周辺部分32が中央部分33に比べ疎な構造となる。この構造により、電池積層体を所定の圧力で締結した場合に、周辺部分32の厚さだけを薄くすることが可能となり、電池積層体の締結時に高分子電解質膜の周辺部分にかかる応力(厚さ方向への反発力)を緩和し、高分子電解質膜の劣化を抑制することができる。
なお、式(3)において、NA及びNBの値は、それぞれの単位が同一となるようにそろえた値を使用する。単位面積あたりの縦糸および横糸の打ち込み本数の単位としては、たとえば[本/cm2]を用いることができる。
第二実施形態における繊維状基材は、第一実施形態における繊維状基材と同様の材料および方法を用いて作製することができる。
ただし、MEAを構成したときに、繊維状基材の中央部分33の経緯密度(単位面積あたりの縦糸および横糸の本数)は、100〜500本/10cm2、なかでも150〜300本/10cm2が好ましい。また、周辺部分32の経緯密度は、中央部分33よりも10〜200本/10cm2小さくして作製すればよい。
また、第二実施形態における繊維状基材は、先に述べた織布の他に、不織布を用いて作製することも可能である。不織布(構造)には、作製方法の違いから、ペーパーとフェルトがある。例えば、燃料電池用にはカーボンペーパー及びカーボンフェルトが挙げられる。
ペーパーの作製方法は、例えば接着剤としての樹脂(例えば、ポリビニルアルコール)を含む水溶液中に炭素繊維を浸透させ、すくい上げることで作製することができる(抄紙法、湿式法)。一方、フェルトはペーパーに比べ、比較的少量の樹脂を接着剤に使用し、空気中で炭素繊維を圧縮することで作製できる(乾式法)。しかし、フェルトの場合、樹脂が少量であること、繊維が3次元に配向していることより、繊維ほつれ(毛羽立ち)を抑制することができず、膜への突き刺しによる微小ショートが発生しやすくなる。
第二実施形態における繊維状基材であるペーパー、フェルトを構成する繊維としては、先に述べた織布と同様に、ポリアクリロニトリル系、ピッチ系、セルロース系、ポリノジック系、その他公知の任意の炭素繊維などを用いることができる。なかでも、機械的強度が高いことや不純物が少ないことから、ポリアクリロニトリル系を用いるのが好ましい。
不織布(ペーパー、フェルト)は上記の炭素繊維の短繊維を常法によって結合させて作製することができる。この場合、炭素繊維の短繊維の繊維径は2〜25μmであるのが好ましく、特に4〜15μmとすることが、繊維状基材の強度を高くするためにより好ましい。
短繊維の長さは2〜30mm程度とすることが好ましく、5〜20mm程度とするのが製造の容易さ、および繊維状基材の強度を高くするためにさらに好ましい。
ただし、このようにして作製したペーパーは1枚の単体では薄く強度が不足しがちであるため、ペーパーを複数枚を貼り合わせて得られる積層体を第二実施形態における繊維状基材として用いることも可能である。例えば、図4に示すように、触媒層の主面と同じ面積を有するペーパー42の両面を、さらに大きな面積を有する2枚のペーパー43で挟み、得られる積層体41を繊維状基材として用いる。図4は、本発明の第二実施形態におけるペーパーからなる繊維状基材の概略断面図である。
ペーパー42とペーパー43との間は、例えばポリビニルアルコール、ポリエステルなどの熱可塑性樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フラン樹脂、メラミン樹脂、ピッチなどの熱硬化性樹脂で接着すればよい。
[第三実施形態]
次に、本発明の高分子電解質形燃料電池の第三実施形態について説明する。この第三実施形態の高分子電解質形燃料電池(図示せず)は、図1に示した第一実施形態の高分子電解質形燃料電池100に於ける繊維状基材4A、4Bを異なる構成に代えたものであり、繊維状基材4A、4B以外の構成は第一実施形態の高分子電解質形燃料電池100と同様である。
以下、第三実施形態の高分子電解質形燃料電池に備えられる繊維状基材(本発明の繊維状基材の第三実施形態)について説明する。図5は、第三実施形態の高分子電解質形燃料電池に備えられる繊維状基材の概略断面図である。
本発明の第三実施形態における繊維状基材51は、上記式(1)で示される関係を満たしていれば、織布およびペーパーのいずれで構成されていてもよく、周辺部分52がプレス処理されていることを特徴とする。
この繊維状基材は、プレス処理することで、中央部分53に比べて周辺部分52だけが薄く構成されているため、電池積層体を所定の圧力で締結した際に、周辺部分52における応力(厚さ方向への反発力)も小さくなる。したがって、電池積層体の締結時に高分子電解質膜の周辺部分への機械的な損傷を低減させることができ、高分子電解質膜の劣化を抑制することができる。
プレス処理の方法としては、例えば、室温での油圧プレス、ホットプレス、ロールプレスなどが挙げられる。プレス圧としては、発電中の締結圧よりも高いことが望ましく、具体的には、20kg/cm2以上、1000kg/cm2以下が好ましい。20kg/cm2以上であれば、本発明の効果を十分に得ることができ、1000kg/cm2以下であれば繊維状基材を破壊してしまうことがない。プレスする手段としては、室温から1000℃以下の温度範囲においてプレス可能であれば、任意のプレス機を使用することができる。
また、プレス処理を行うのは、織布またはペーパーを焼成して炭化処理および黒鉛化処理を施す前であっても後であってもよい。また、炭化処理と黒鉛化処理の間に行ってもよい。
[第四実施形態]
次に、本発明の高分子電解質形燃料電池の第四実施形態について説明する。この第四実施形態の高分子電解質形燃料電池(図示せず)は、図1に示した第一実施形態の高分子電解質形燃料電池100に於ける繊維状基材4A、4Bを異なる構成に代えたものであり、繊維状基材4A、4B以外の構成は第一実施形態の高分子電解質形燃料電池100と同様である。
以下、第四実施形態の高分子電解質形燃料電池に備えられる繊維状基材(本発明の繊維状基材の第四実施形態)について説明する。図6は、第四実施形態の高分子電解質形燃料電池に備えられる繊維状基材の概略断面図である。
本発明の第四実施形態における繊維状基材61は、第三実施形態における繊維状基材において併せて行うことが望ましく、上記式(1)で示される関係を満たすとともに、織布およびペーパーのいずれで構成されていてもよく、撥水材64を含み、周辺部分62における撥水材64の濃度HBと、中央部分63における撥水材64の濃度HAとが、下記式(4)で示される関係を有することを特徴とする。
B>HA ・・・(4)
この繊維状基材では、所定の方法にて撥水材64を基材周辺部に多く添加した後、プレス処理することにより、撥水材樹脂粒子が、炭素繊維からなる糸65の隙間に熱融着する。電池積層体に締結圧を加えた際の膜電極接合体においては、熱融着している撥水材64が多いほど、プレス時の厚さが薄くなったまま、形状を保持しやすくなる。従って、高分子電解質膜に与える機械的な損傷を防止することができる。
なお、式(4)において、HA及びHBの値は、それぞれの単位が同一となるようにそろえた値を使用する。
撥水材64としては、化学的安定性の観点からフッ素樹脂を用いるのが好ましいが、そのなかでも、特に耐久性、耐熱性、耐候性に優れたポリテトラフロオロエチレン(PTFE)または、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)を用いるのがより好ましい。
撥水材64の量に関しては、繊維状基材の中央部分63においては、塗布・乾燥後の撥水材64の含有量が5〜30質量%となるように調節するのが好ましい。撥水材64の含有量が5質量%未満であると、得られるガス拡散層に十分な撥水性能を付与することができない。撥水材64の含有量が30質量%超であると、得られるガス拡散層の気孔率が低下し、ガス拡散能が低下し、反応ガスの拡散律速となって電圧が低下する。
第四実施形態における繊維状基材を作製する場合は、まず繊維状基材全体に撥水処理を施した後、さらに繊維状基材の周辺部分62にのみ撥水処理を施し、3〜15質量%多くの撥水材64を添加する。撥水材64を添加する方法としては、撥水処理液が繊維状基材に十分含浸させることができれば特に制限はなく、当業者であれば適宜選択することができる。
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
さらに、本発明の第一実施形態〜第四実施形態における繊維状基材においては、周辺部分22、32、52、62の厚さTBのばらつき(最大値と最小値の差)が10μm以下であることが好ましい。このように最大値と最小値の差が10μm以下であると、周辺部分22、32、52、62の表面の凹凸形状が顕著となりにくく、電池積層体の締結時に高分子電解質膜の全体に均等に締結圧がかかり、高分子電解質膜に機械的な損傷を与えにくい。
以下に、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明は、これらのみに限定されるものではない。
《実施例1》
本実施例においては、図1に示す構造を有する本発明の第一実施形態の高分子電解質形燃料電池を作製した。まず、単繊維としてポリアクリロニトリル系の炭素繊維(東レ株式会社製のトレカT300(商品名)、直径7μm)を用い、図2に示す本発明の第一実施形態における繊維状基材(織布)を作製した。
繊維状基材の中央部分23に用いる糸としては、単繊維300本を撚り合わせて単糸を得、この単糸2本を撚り合わせて得た双糸を用いた。また、周辺部分22(高分子電解質膜とガス拡散層が直接接する部分)に用いる糸としては、単繊維150本を撚り合わせて単糸を作製し、この単糸2本を撚り合わせて得た双糸を用いた。これら2種類の双糸を、通常の織機を用いて平織りによって織布を作製した。なお、このときの経緯密度は、200本/10cm2とした。
この織布を、窒素雰囲気中、900℃で加熱して炭化処理したのち、アルゴン雰囲気中で2000℃に加熱して黒鉛化処理を行い、本発明における繊維状基材を得た。このようにして作製した繊維状基材の中央部分の厚さTAと周辺部分の厚さTBとを、上述したようにJIS L 1096(一般織物試験方法)に基づいて測定した。中央部分の厚さTAと周辺部分の厚さTBとの比TB/TA及び厚さTBのバラツキ(最大値と最小値の差)を表1に示した。
上記のように作製した繊維状基材に、導電性粒子を有する撥水カーボン層を設けて、ガス拡散層を得た。導電性粒子を有する撥水カーボン層は、アセチレンブラック、水、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、および界面活性剤(TritonX−100)を15:80:4:1の質量比で混合して、カーボンインクを調製し、ドクターブレードを用いて当該カーボンインクを繊維状基材上に塗布し、325℃で1時間焼成することによりガス拡散層を作製した。
このガス拡散層を用いて以下の手順で単電池を形成し、電池運転試験を行い、寿命特性を調べた。アセチレンブラック系カーボン粉末に、平均粒径約30Åの白金粒子を担持させた触媒体(25質量%がPt)を電極触媒として用いた。この電極触媒をイソプロパノールに分散させて得られる分散液に、パーフルオロカーボンスルホン酸の粉末をエチルアルコールに分散させた分散液を混合し、ペースト状の触媒層形成用インクを得た。
この触媒層形成用インクを、スクリーン印刷法を用いて、高分子電解質膜(ジャパンゴアテックス社製のゴアセレクト膜、膜厚30μm)の両面に塗布し、触媒層を形成した。形成後の触媒層中に含まれる白金量は0.5mg/cm2、パーフルオロカーボンスルホン酸の量は1.2mg/cm2となるよう調整した。
次に、触媒層を両面に塗布した高分子電解質膜の両面に、上記のように作製したガス拡散層を、撥水カーボン層が高分子電解質膜と接するように配置し、ホットプレスで接合して膜電極接合体を作製した。
燃料ガスや酸化剤ガスをシールするために、MEAにおけるガス拡散層と触媒層とからなる電極の周囲に、シリコーン樹脂製のガスケットを配置した。そして、隣接するMEA同士を互いに電気的に直列に接続し、電極に反応ガスを供給しかつ反応により発生した水や余剰のガスを運び去るためのガス流路を形成した導電性を有する一対のセパレータ板を、MEAの両面に配置した。これらを10kgf/cm2の圧力で締結し、単電池1個からなる本発明の高分子電解質形燃料電池を得た。
得られた高分子電解質形燃料電池の電池運転条件としては、燃料極側に水素を、酸化剤極側に空気を流し、フル加湿運転とした。すなわち、電池温度を80℃に保持し、水素ガスは80℃の露点を有するように加湿し、空気も80℃の露点を有するように加湿した。そして、燃料利用率80%、空気利用率50%、電流密度0.35A/cm2で運転した。この電池運転条件下における、経過時間と電池電圧との関係を図7に示した。
また、本実施例で作製したガス拡散層を、先に記した方法にて、中央部分の反発応力と周辺部分の反発応力を測定した。その結果、中央部分は、0.8MPaの応力であったのに対して、周辺部分は、0.1MPaであった。したがって、中央部分は応力が大きく、触媒層や高分子膜に機械的ダメージを与えやすいのに対して、周辺部分は、そのような懸念が小さく、本発明の効果が得られていると考えられる。
《実施例2》
本実施例においては、図1に示す構造を有する本発明の第二実施形態の高分子電解質形燃料電池を作製した。具体的には、単繊維としてポリアクリロニトリル系の炭素繊維(東レ株式会社製のトレカT300(商品名)、直径7μm)を用いて作製した、図3に示す本発明の第二実施形態における繊維状基材(織布)を用いた他は、実施例1と同様にして本発明の高分子電解質形燃料電池を作製した。
繊維状基材の中央部分33に用いる糸としては、単繊維300本を撚り合わせて単糸を得、この単糸2本を撚り合わせて得た双糸を用いた。この双糸を用い、周辺部分32と中央部分33とで縦糸および横糸の打ち込み本数を変え、通常の織機を用いて平織りによって織布を作製した。なお、このときの中央部分33の経緯密度は200本/10cm2となるようにし、周辺部分32の経緯密度は、120本/10cm2となるようにして、織布を作製した。
この織布を、窒素雰囲気中、900℃で加熱して炭化処理したのち、アルゴン雰囲気中で2000℃に加熱して黒鉛化処理を行い、本発明の第二実施形態による繊維状基材を得た。得られた繊維状基材の中央部分の厚さTAと周辺部分の厚さTBとの比TB/TA及び厚さTBのバラツキ(最大値と最小値の差)を実施例1と同様の方法で測定し、表1に示した。さらに、当該繊維状基材を用いて実施例1と同様にして単電池からなる高分子電解質形燃料電池を作製し、電池試験を行った。その電池試験の結果を図7に示した。
また、本実施例で作製したガス拡散層を、実施例1と同様の方法にて、中央部分の反発応力と周辺部分の反発応力を測定したところ、中央部分は、0.8MPaの応力であったのに対して、周辺部分は、0.06MPaであった。
《実施例3》
本実施例においては、図1に示す構造を有する本発明の第二実施形態の高分子電解質形燃料電池を作製した。具体的には、単繊維としてポリアクリロニトリル系の炭素繊維(東レ(株)製のトレカT300(商品名)、直径7μm)を用いて作製した、図3および4に示す本発明の第二実施形態における繊維状基材(ペーパー)を用いた他は、実施例1と同様にして本発明の高分子電解質形燃料電池を作製した。
上記の単繊維を長さ20mmに切断して短繊維を得、抄紙法により、薄いペーパーを3枚作製した。3枚のうち1枚のペーパーを触媒層の主面の面積よりも一回り小さい5cm角に切断し、残りの2枚のペーパーは触媒層と同様に6cm角に切断した。幅1cmの周辺部が形成されるように6cm角のペーパー2枚の中央に5cm角のペーパーを位置させて挟み、ペーパー間にフェノール樹脂を塗布し、室温で15kg/cm2の圧力でプレス機によりプレスして接着し、ペーパー積層体を得た。
このペーパー積層体を、窒素雰囲気中、900℃で加熱して炭化処理したのち、アルゴン雰囲気中で2000℃に加熱して黒鉛化処理を行い、本発明の第二実施形態による繊維状基材を得た。得られた繊維状基材の中央部分の厚さTAと周辺部分の厚さTBとの比TB/TA及び厚さTBのバラツキ(最大値と最小値の差)を実施例1と同様の方法で測定し、表1に示した。さらに、当該繊維状基材を用いて実施例1と同様にして単電池からなる高分子電解質形燃料電池を作製し、電池試験を行った。その電池試験の結果を図7に示した。
また、本実施例で作製したガス拡散層を、実施例1と同様の方法にて、中央部分の反発応力と周辺部分の反発応力を測定したところ、中央部分は、0.8MPaの応力であったのに対して、周辺部分は、0.08MPaであった。
《実施例4》
本実施例においては、図1に示す構造を有する本発明の第三実施形態の高分子電解質形燃料電池を作製した。具体的には、市販のペーパー(東レ(株)製のTGP−H−120、厚さ360μm、6cm角)を用いて作製した、図5に示す本発明の第三実施形態における繊維状基材を用いた他は、実施例1と同様にして本発明の高分子電解質形燃料電池を作製した。
上記の織布を、窒素雰囲気中、900℃で加熱して炭化処理したのち、アルゴン雰囲気中で2000℃に加熱して黒鉛化処理を行い、その後、周辺部分(幅5mm)52に、室温で100kg/cm2の油圧プレスを施し、本発明の第三実施形態による繊維状基材を得た。得られた繊維状基材の中央部分の厚さTAと周辺部分の厚さTBとの比TB/TA及び厚さTBのバラツキ(最大値と最小値の差)を実施例1と同様の方法で測定し、表1に示した。さらに、当該繊維状基材を用いて実施例1と同様にして単電池からなる高分子電解質形燃料電池を作製し、電池試験を行った。その電池試験の結果を図7に示した。
また、本実施例で作製したガス拡散層を、実施例1と同様の方法にて、中央部分の反発応力と周辺部分の反発応力を測定したところ、中央部分は、0.8MPaの応力であったのに対して、周辺部分は、0.06MPaであった。
《実施例5》
本実施例においては、図1に示す構造を有する本発明の第四実施形態の高分子電解質形燃料電池を作製した。具体的には、市販の織布(日本カーボン(株)製のGF−20−31E)を用いて作製した、図6に示す本発明の第四実施形態における繊維状基材を用いた他は、実施例1と同様にして本発明の高分子電解質形燃料電池を作製した。
まず、ポリテトラフロオロエチレン(PTFE)の水性ディスパージョン(ダイキン工業(株)製のD−1)と水を、水性ディスパージョンと水との体積比が1:20となるように混合して第一の撥水処理液を調製した。そして、上記の織布をこの第一の撥水処理液中に、室温、大気中で1分間浸漬させた。1分経過後、浸漬させた織布を取り出し、270℃で2時間焼成を行い、水分および界面活性剤などを取り除いた。ここで、第一の撥水処理後の織布における撥水材の量を、浸漬前後の織布の質量に基づいて計算したところ、第一の撥水処理前の織布の10質量%に相当する量の撥水材が添加されていた。
ついで、第一の撥水処理後の織布の周辺部分62に二度目の撥水処理(第二の撥水処理)を行った。このとき、ポリテトラフロオロエチレン(PTFE)の水性ディスパージョン(ダイキン工業(株)製のD−1)と水を、水性ディスパージョンと水との体積比が1:10となるように混合して第二の撥水処理液を調製した。周辺部分62のみを、第二の撥水処理液中に室温、大気中で1分間浸漬させ、1分経過後、織布を取り出し、350℃で2時間焼成を行い、水分および界面活性剤などを取り除いて本発明の繊維状基材を得た。
ここで、再度の撥水処理後のペーパーの周辺部分62における撥水材の量を、浸漬前後の織布の質量に基づいて計算したところ、第二の撥水処理前の織布の5質量%に相当する量の撥水材が添加されていた。すなわち、周辺部分62においては、第一の撥水処理および第二の撥水処理の前の周辺部分の15質量%に相当する量の撥水材が添加されていた。
撥水処理終了後、プレス処理を行った。プレス方法は、周辺部分(幅5mm)52に、室温で50kg/cm2の油圧プレスを施し、本発明の第四実施形態による繊維状基材を得た。
上記のようにして得られた繊維状基材の中央部分の厚さTAと周辺部分の厚さTBとの比TB/TA及び厚さTBのバラツキ(最大値と最小値の差)を実施例1と同様の方法で測定し、表1に示した。さらに、当該繊維状基材を用いて実施例1と同様にして単電池からなる高分子電解質形燃料電池を作製し、電池試験を行った。その電池試験の結果を図7に示した。
また、本実施例で作製したガス拡散層を、実施例1と同様の方法にて、中央部分の反発応力と周辺部分の反発応力を測定したところ、中央部分は、0.8MPaの応力であったのに対して、周辺部分は、0.15MPaであった。
《実施例6》
本実施例においては、図1に示す構造を有する本発明の第四実施形態の高分子電解質形燃料電池を作製した。具体的には、市販のペーパー(東レ(株)製のTGP−H−120、厚さ360μm、6cm角)を用いて作製した、本発明の第四実施形態における繊維状基材を用いた他は、実施例1と同様にして本発明の高分子電解質形燃料電池を作製した。
まず、実施例5と同じ方法で、第一の撥水処理液を調製し、ペーパーをこの第一の撥水処理液中に、室温、大気中で1分間浸漬させた。1分経過後、浸漬させた織布を取り出し、350℃で3時間焼成を行い、水分および界面活性剤などを取り除いた。ここで、第一の撥水処理後のペーパーにおける撥水材の量を、浸漬前後の織布の質量に基づいて計算したところ、第一の撥水処理前の織布の12質量%に相当する量の撥水材が添加されていた。
ついで、第一の撥水処理後のペーパーの周辺部分62に実施例5と同様の方法で、二度目の撥水処理(第二の撥水処理)を行い、本発明の繊維状基材を得た。
ここで、再度の撥水処理後のペーパーの周辺部分62における撥水材の量を、浸漬前後のペーパーの質量に基づいて計算したところ、第二の撥水処理前のペーパーの6質量%に相当する量の撥水材が添加されていた。すなわち、周辺部分62においては、第一の撥水処理および第二の撥水処理の前の周辺部分の18質量%に相当する量の撥水材が添加されていた。
撥水処理終了後、プレス処理を行った。プレス方法は、周辺部分(幅5mm)52に、室温で50kg/cm2の油圧プレスを施し、本発明の第四実施形態による繊維状基材を得た。
上記のようにして得られた繊維状基材の中央部分の厚さTAと周辺部分の厚さTBとの比TB/TA及び厚さTBのバラツキ(最大値と最小値の差)を実施例1と同様の方法で測定し、表1に示した。さらに、当該繊維状基材を用いて実施例1と同様にして単電池からなる高分子電解質形燃料電池を作製し、電池試験を行った。その電池試験の結果を図7に示した。
また、本実施例で作製したガス拡散層を、実施例1と同様の方法にて、中央部分の反発応力と周辺部分の反発応力を測定したところ、中央部分は、0.8MPaの応力であったのに対して、周辺部分は、0.1MPaであった。
《比較例1》
本比較例においては、市販のペーパー(東レ(株)製のTGP−H−120、厚さ360μm)をそのまま繊維状基材として用いた。この繊維状基材の中央部分の厚さと周辺部分の厚さとの比及び厚さのバラツキ(最大値と最小値の差)を実施例1と同様の方法で測定し、表1に示した。また、当該繊維状基材を用いた他は、実施例1と同様にして単電池からなる高分子電解質形燃料電池を作製し、電池試験を行った。その電池試験の結果を図7に示した。
また、本比較例で作製したガス拡散層を、実施例1と同様の方法にて、中央部分の反発応力と周辺部分の反発応力を測定したところ、中央部分は、0.8MPaの応力であったのに対して、周辺部分は、0.7MPaであった。
《比較例2》
本比較例においては、市販の織布(日本カーボン(株)製のGF−20−31E)を、ポリテトラフロオロエチレン(PTFE)の水性ディスパージョン(ダイキン工業(株)製のD−1)と水とを、水性ディスパージョンと水の体積比が1:20となるように混合して得た撥水処理液中に、室温、大気中で1分間浸漬させた。1分経過後、浸漬させた織布を取り出し、270℃で2時間焼成を行い、水分および界面活性剤などを取り除いて繊維状基材を得た。
ここで、撥水処理後の織布全体における撥水材の量を、浸漬前後の織布の質量に基づいて計算したところ、撥水処理前の織布の10質量%に相当する量の撥水材が添加されていた。
この繊維状基材の中央部分の厚さと周辺部分の厚さとの比及び厚さのバラツキ(最大値と最小値の差)を実施例1と同様の方法で測定し、表1に示した。また、当該繊維状基材を用いた他は、実施例1と同様にして単電池からなる高分子電解質形燃料電池を作製し、電池試験を行った。その電池試験の結果を図7に示した。
また、本実施例で作製したガス拡散層を、実施例1と同様の方法にて、中央部分の反発応力と周辺部分の反発応力を測定したところ、中央部分は、0.8MPaの応力であったのに対して、周辺部分は、0.7MPaであった。
《比較例3》
市販のペーパー(東レ(株)製のTGP−H−120、厚さ360μm、6cm角)の周辺部分(幅5mm)だけ、室温で油圧プレスを行った。プレス圧は50kg/cm2とした。この織布はすでに炭化処理および黒鉛化処理が施されていた。
この繊維状基材の中央部分の厚さと周辺部分の厚さとの比及び厚さのバラツキ(最大値と最小値の差)を実施例1と同様の方法で測定し、表1に示した。また、当該繊維状基材を用いた他は、実施例1と同様にして単電池からなる高分子電解質形燃料電池を作製し、電池試験を行った。その電池試験の結果を図7に示した。
Figure 0004083784
表1および図1から、本発明によれば、繊維状基材の主面の面積が触媒層の主面の面積よりも大きくても、繊維状基材の中央部分および周辺部分の厚さを調節することによって、電池積層体の締結時に繊維状基材の凹凸が高分子電解質膜に損傷を与えることを防止し、当該損傷に起因する電池出力の低下を低減させた信頼性の高い高分子電解質形燃料電池を容易且つ確実に実現することができることがわかる。
本発明の膜電極接合体は、高分子電解質形燃料電池の他、液体燃料電池、燐酸型燃料電池など各種の燃料電池に有用である。また、本発明の膜電極接合体は、酸素、オゾン、水素などのガス発生機やガス精製機、および酸素センサ、アルコールセンサなどの各種ガスセンサなどにも適用が可能である。さらに、本発明の膜電極接合体は、定置用や自動車用、モバイル用の高分子電解質形燃料電池に使用すると特に好適である。
本発明の高分子電解質形燃料電池の一実施形態の構成を示す概略断面図である。 本発明の第一実施形態における繊維状基材21の概略正面図である。 本発明の第二実施形態における繊維状基材31の概略正面図である。 本発明の第二実施形態における繊維状基材41の概略断面図である。 本発明の第三実施形態における繊維状基材51の概略断面図である。 本発明の第四実施形態における繊維状基材61の概略断面図である。 本発明および比較例で作製した高分子電解質形燃料電池の運転開始後の経過時間と電池電圧の関係を示すグラフである。 従来の高分子電解質形燃料電池の一実施形態の構成を示す概略断面図である。

Claims (11)

  1. 水素イオン伝導性を有する高分子電解質膜と、前記高分子電解質膜の両面に配置された一対の触媒層と、前記触媒層の外側に配置された繊維状基材を含む一対のガス拡散層と、を具備し、前記ガス拡散層が、前記繊維状基材の前記触媒層側の主面に撥水カーボン層を有する膜電極接合体であって、
    前記繊維状基材において、前記触媒層に面する中央部分の厚さTAと、前記中央部分の周辺部分の厚さTBとが、下記式(1)で示される関係を有すること、を特徴とする膜電極接合体。
    0.7≦TB/TA≦0.9 ・・・(1)
  2. 前記繊維状基材において、前記中央部分の糸径DAと、前記周辺部分の糸径DBとが、下記式(2)で示される関係を有すること、を特徴とする請求項1に記載の膜電極接合体。
    B<DA ・・・(2)
  3. 前記繊維状基材において、前記周辺部分の単位面積あたりの縦糸および横糸の打ち込み本数NBと、前記中央部分の単位面積あたりの縦糸および横糸の打ち込み本数NAとが、下記式(3)で示される関係を有すること、を特徴とする請求項1に記載の膜電極接合体。
    B<NA ・・・(3)
  4. 前記繊維状基材において、前記周辺部分がプレス処理されていること、を特徴とする請求項1に記載の膜電極接合体。
  5. 前記繊維状基材が撥水材を含み、前記周辺部分における撥水材の濃度HBと、前記中央部分における撥水材の濃度HAとが、下記式(4)で示される関係を有すること、を特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の膜電極接合体。
    B>HA ・・・(4)
  6. 前記周辺部分の厚さTAのばらつきが10μm以下であること、を特徴とする請求項1〜5のうちのいずれかに記載の膜電極接合体。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の膜電極接合体と、前記膜電極接合体の両面に配置された、ガス流路を有する一対の導電性セパレータと、を具備する高分子電解質形燃料電池。
  8. 水素イオン伝導性を有する高分子電解質膜と、前記高分子電解質膜の両面に配置された一対の触媒層と、前記触媒層の外側に配置された繊維状基材を含む一対のガス拡散層と、を具備する膜電極接合体の製造方法であって、
    前記繊維状基材において、前記触媒層に面する中央部分の厚さTAと、前記中央部分の周辺部分の厚さTBとが、下記式(1)で示される関係を有するように、
    前記中央部分の糸径DAと、前記周辺部分の糸径DBとが、下記式(2)で示される関係を有する前記繊維状基材を作製する工程を含むこと、
    を特徴とする膜電極接合体の製造方法。
    0.7≦TB/TA≦0.9 ・・・(1)
    B<DA ・・・(2)
  9. 水素イオン伝導性を有する高分子電解質膜と、前記高分子電解質膜の両面に配置された一対の触媒層と、前記触媒層の外側に配置された繊維状基材を含む一対のガス拡散層と、を具備する膜電極接合体の製造方法であって、
    前記繊維状基材において、前記触媒層に面する中央部分の厚さTAと、前記中央部分の周辺部分の厚さTBとが、下記式(1)で示される関係を有するように、
    前記周辺部分の単位面積あたりの縦糸および横糸の打ち込み本数NBと、前記中央部分の単位面積あたりの縦糸および横糸の打ち込み本数NAとが、下記式(3)で示される関係を有する前記繊維状基材を作製する工程を含むこと、
    を特徴とする膜電極接合体の製造方法。
    0.7≦TB/TA≦0.9 ・・・(1)
    B<NA ・・・(3)
  10. 水素イオン伝導性を有する高分子電解質膜と、前記高分子電解質膜の両面に配置された一対の触媒層と、前記触媒層の外側に配置された繊維状基材を含む一対のガス拡散層と、を具備し、前記ガス拡散層が、前記繊維状基材の前記触媒層側の主面に撥水カーボン層を有する膜電極接合体の製造方法であって、
    前記繊維状基材において、前記触媒層に面する中央部分の厚さTAと、前記中央部分の周辺部分の厚さTBとが、下記式(1)で示される関係を有するように、
    前記周辺部分をプレス処理することによって前記繊維状基材を作製する工程を含むこと、
    を特徴とする膜電極接合体の製造方法。
    0.7≦TB/TA≦0.9 ・・・(1)
  11. 水素イオン伝導性を有する高分子電解質膜と、前記高分子電解質膜の両面に配置された一対の触媒層と、前記触媒層の外側に配置された繊維状基材を含む一対のガス拡散層と、を具備する膜電極接合体の製造方法であって、
    前記繊維状基材において、前記触媒層に面する中央部分の厚さTAと、前記中央部分の周辺部分の厚さTBとが、下記式(1)で示される関係を有するように、
    前記繊維状基材に撥水材を含ませ、前記周辺部分における撥水材の濃度HBと、前記中央部分における撥水材の濃度HAとが、下記式(4)で示される関係を有する前記繊維状基材を作製する工程を含むこと、
    を特徴とする膜電極接合体の製造方法。
    0.7≦TB/TA≦0.9 ・・・(1)
    B>HA ・・・(4)
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