JP4082482B2 - 記憶システムおよびデータ処理システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、半導体記憶技術さらには情報を電気的に書込み、消去可能な不揮発性メモリを用いたシステムに適用して有効な技術に関し、例えばフラッシュメモリを用いたシステムに利用して有効な技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
フラッシュメモリは、コントロールゲートおよびフローティングゲートを有する2層ゲート構造のMOSFETからなる不揮発性記憶素子をメモリセルに使用しており、フローティングゲートの固定電荷量を変えることでMOSFETのしきい値電圧を変化させ情報を記憶することができる。
【0003】
かかるフラッシュメモリにおいては、メモリセルへの書込み・消去動作によるしきい値の変化が、メモリセル同士はもちろん同一メモリセルであっても動作毎にばらつきを有するため、書込み・消去後のメモリセルのしきい値はある範囲に分布するようになる。また、一回の書込み・消去動作では所望のレベルまでメモリセルのしきい値を変化させることができないメモリセルが存在することもある。そこで、フラッシュメモリでは一般に、内部にステータスレジスタを備え、書込みや消去が正常に行なえなかった場合に書込みエラーや消去エラーとして記憶するように構成されることが多い。
【0004】
そして、フラッシュメモリに書込み、消去の指示を与えるCPUの側では前記ステータスレジスタを参照して、エラーのあったメモリセルを含むセクタを不良セクタとして登録し、以後データの有効記憶領域から除外するなどの処理を行なっていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記エラーの発生したメモリセルには、何度書込み、消去を行なっても所望のレベルまでしきい値を変化させることができないものもあるが、一度消去状態としてから再度書込みを行なうと正常に書込みが行なえるもの(以下、これを偶発的な不良と称する)も多い。特に、1つのメモリセルに2ビット以上のデータを記憶させる多値のフラッシュメモリにおいては、各記憶情報に対応されるしきい値の範囲が2値の場合に比べて狭いため、前記のような偶発的な不良が発生し易い。
【0006】
しかるに、従来のフラッシュメモリにおいては、書込みエラーが発生したビットを有するセクタの詳しいエラー状態がステータスレジスタに反映されていなかった。そのため、エラーの発生したセクタは全て不良セクタとして登録され、有効記憶領域から外されメモリ全体としての記憶容量が少なくなってしまう。また、書込みエラーが発生すると他のセクタと入れかえる代替セクタ処理が行なわれるため、トータルの書込み所要時間が長くなるという課題があることが明らかとなった。
【0007】
この発明の目的は、フラッシュメモリのような電気的に書込み、消去可能な不揮発性半導体記憶装置を用いたシステムにおいて、偶発的な書込みエラーによって有効な記憶容量が減少するのを防止し、システムとして利用できる記憶容量を増大させることにある。
【0008】
この発明の他の目的は、フラッシュメモリのような電気的に書込み、消去可能な不揮発性半導体記憶装置を用いたシステムにおいて、代替セクタ処理が行なわれる回数を減らし、トータルの書込み所要時間を短縮できるようにすることにある。
【0009】
この発明の前記ならびにほかの目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本願において開示される発明のうち代表的なものを概要を簡単に説明すれば、下記のとおりである。
【0011】
すなわち、不揮発性半導体記憶装置チップ内部のステータスレジスタに、再度書込みを実行することで正常に書込みが行なえる可能性があるか否かを示すビットを設け、該不揮発性半導体装置に対する書込みの指令を行なう制御装置は前記ステータスレジスタの前記ビットの状態に応じて再度同一の領域に対する書込み指令を行なうようにしたものである。
【0012】
より具体的には、複数の不揮発性メモリセルからなる記憶領域と内部状態を示すステータスレジスタと該ステータスレジスタの少なくとも一部の内容を出力可能な外部端子とを備えた不揮発性半導体記憶装置と、該不揮発性半導体記憶装置に対する書込みの指令および書込み不良の領域の処理を行なう制御装置とを含む記憶システムにおいて、前記ステータスレジスタには、再度書込みを実行することで正常に書込みが行なえる可能性があるか否かを示す第1のビットを設け、前記制御装置は前記第1のビットの状態に応じて再度同一の領域に対する書込み指令を行なうように構成した。
【0013】
前記した手段によれば、ステータスレジスタの内容を読み出してビットの状態に応じて再書込みを行なうことで一度異常を示したメモリセルであっても正常な書込みが行なえるチャンスが増加し、これによって偶発的な書込みエラーにより有効な記憶容量が減少するのを防止できるようになる。
【0014】
また、前記ステータスレジスタには、書込みが正常に終了したか否かを示す第2のビットを設け、前記制御装置は前記第2のビットが書込みが正常に終了していないことを示している場合に前記第1のビットの状態に応じた再度の書込み指令を行なうようにする。これにより、書込みが正常に終了している場合には、再度書込みを実行することで正常に書込みが行なえる可能性があるか否かを示す第1のビットをチェックすることなく直ちに書込みを終了することができる。
【0015】
さらに、前記ステータスレジスタには、チップの外部からアクセスが可能か否かを示す第3のビットを設け、前記制御装置は前記第3のビットが外部からのアクセスが可能であることを示している場合に前記第1のビットの状態に応じた再度の書込み指令を行なうする。これにより、ステータスレジスタの内容を読み出すことにより不揮発性半導体記憶装置がアクセスが可能に状態にあるか否かを正確に知ることができる。
【0016】
また、前記ステータスレジスタはチップの外部からアクセスが可能か否かを示す第3のビットを有し、前記不揮発性半導体記憶装置は前記第3のビットの状態を反映する外部端子を備え、前記制御装置は前記外部端子の信号が外部からのアクセスが可能であることを示している場合に前記第1のビットの状態に応じた再度の書込み指令を行なうようにする。これにより、制御装置は外部端子の信号を監視することによって、ステータスレジスタの内容を読み出すことなく不揮発性半導体装置内での書込み動作が終了したことを知ることができ、無駄な待ち時間を減らしてトータルの書込み時間を短縮することができる。
【0017】
また、前記制御装置は、前記書込みが正常に行なえなかった記憶領域を他の記憶領域で置き換える処理を行なう機能を備え、前記第1のビットの状態に基づく再書込みによって正常書込みができなかった場合に当該正常書込みができなかった記憶領域を他の記憶領域で置き換える処理を行なうようにする。これによって偶発的な書込みエラーにより有効な記憶容量が減少するのを防止できるとともに、再書込みによっても正常書込みが行なえなかった記憶領域は不良記憶領域として他の正常な記憶領域と置き替えることができるようになる。
【0018】
さらに、前記制御装置は、前記書込みが正常に行なえなかった記憶領域を他の記憶領域で置き換える処理を行なう機能を備え、前記第1のビットが第1状態にされていることに基づいて行なわれた再書込みによって正常書込みができなかった場合および前記第2のビットが書込みが正常に終了していないことを示しかつ前記第1のビットが第2状態にある場合に、当該正常書込みができなかった記憶領域を他の記憶領域で置き換える処理を行なようにする。これによって偶発的な書込みエラーと偶発的でない書込みエラーを区別することができ、偶発的でない書込みエラーの際には直ちに他の正常な記憶領域と置き替えることができるようになり、トータルの書込み時間が短縮される。
【0019】
さらに、前記制御装置は、前記書込みが正常に行なえなかった記憶領域を他の記憶領域で置き換える際に、前記書込みが正常に行なえなかった記憶領域の一部に不良記憶領域であることを表わす情報を書き込むようにする。これにより、誤った情報の読出しを回避できるとともに不良解析にも利用することができる。
【0020】
さらに、前記制御装置は、前記書込みが正常に行なえなかった記憶領域を他の記憶領域で置き換える際に、前記他の記憶領域に記憶されている情報を読み出して不良記憶領域であるか否かを判定して置き換えを行なうようにする。これにより、無駄な書込み動作を省略することができ、トータルの書込み時間を短縮することができるとともに、無駄な消費電力も減らすことができる。
【0021】
また、前記制御装置は、前記第1のビットの状態に応じた再度の書込み指令を所定回数行なっても書込みが正常に行なえなかった場合に当該記憶領域を他の記憶領域で置き換える処理を行なうことようにする。これにより、誤って偶発的書込みエラーと判定されて再書込み動作を繰り返す無限ループに入ったり、書込み所要時間が異常に長くなってしまうのを回避することができる。
【0022】
さらに、前記ステータスレジスタの内容は、前記制御装置から供給される複数の制御信号が所定の組合せにされたときに、外部端子へ出力されるようにする。これにより、制御装置は制御信号の出力という簡単な処理を行なうだけでいち早くステータスレジスタの内容を知ることができる。
【0023】
本願の第2の発明は、複数の不揮発性メモリセルからなる記憶領域と内部状態を示すステータスレジスタと該ステータスレジスタの少なくとも一部の内容を出力可能な外部端子とを備えた不揮発性半導体記憶装置と、該不揮発性半導体記憶装置に対するアクセスを行なう制御装置とを含むデータ処理システムにおいて、前記ステータスレジスタには、再度書込みを実行することで正常に書込みが行なえる可能性があるか否かを示す第1のビットを有し、前記制御装置は前記第1のビットの状態に応じて再度同一の領域に対する書込み指令を行なうようにしたものである。
【0024】
前記した手段によれば、制御装置がステータスレジスタの内容を読み出してビットの状態に応じて再書込みの指令を行なうことで一度異常を示した記憶領域であっても正常な書込みが行なえるチャンスが増加し、これによって偶発的な書込みエラーによりシステムの有効な記憶容量が減少するのを防止できるようになる。
【0025】
本願の第3の発明は、複数の不揮発性メモリセルからなる記憶領域と内部状態を示すステータスレジスタと該ステータスレジスタの少なくとも一部の内容を出力可能な端子とを備えた不揮発性半導体記憶回路と、該不揮発性半導体記憶回路に対する書込みの指令および書込み不良の領域の処理を行なう制御回路とを含む記憶装置と、該記憶装置に対するアクセスを行なうデータ処理装置とを含むデータ処理システムにおいて、前記ステータスレジスタには、再度書込みを実行することで正常に書込みが行なえる可能性があるか否かを示す第1のビットを設け、前記制御回路は前記第1のビットの状態に応じて再度同一の領域に対する書込み指令を行なうようにしたものである。
【0026】
前記した手段によれば、制御回路がステータスレジスタの内容を読み出してビットの状態に応じて再書込みを行なうことで一度異常を示した記憶領域であっても正常な書込みが行なえるチャンスが増加し、これによって偶発的な書込みエラーによりシステムの有効な記憶容量が減少するのを防止できるとともに、データ処理装置の負担が少なくて済むようになる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を、図面を用いて説明する。
【0028】
図1は、本発明の記憶システムに用いられる不揮発性半導体記憶装置としてのフラッシュメモリの一例のブロック図を示す。特に制限されないが、図1のフラッシュメモリは1つのメモリセルに2ビットのデータを記憶可能な多値メモリとして構成され、単結晶シリコンのような1個の半導体チップ上に形成される。図1のフラッシュメモリの特徴は、書込み動作により偶発的な不良が発生した場合、そのことがステータスレジスタに反映されるように構成されている点にある。以下、この点を含めて、実施例のフラッシュメモリの構成を説明する。
【0029】
特に制限されるものでないが、図1のフラッシュメモリでは、メモリアレイが2つのマットで構成され、2つのマット間に各マット内のビット線BLに接続され読出し信号の増幅およびラッチを行なうセンス&ラッチ回路(以下センスラッチと称し、図にはSLTと記す)が配置されている。また、マットの外側すなわちビット線BLを挟んでセンス&ラッチ回路SLTと反対側にそれぞれ書込み、読出しデータを一時保持するためのラッチ回路が配置されている。以下、このラッチ回路をデータラッチと称し、図にはDLTと記す。
【0030】
図1において、10は2つのメモリマットMAT−U,MAT−Dで構成されたメモリアレイ、11はメモリマットMAT−U,MAT−D間に配置されたセンス&ラッチ回路(以下センスラッチと称し、図にはSLTと記す)である。メモリマットMAT−U,MAT−Dにはそれぞれ、フローティングゲートとコントロールゲートとを有する2重ゲート構造のMOSFETにより構成されたメモリセルがマトリックス状に配置され、同一行のメモリセルのコントロールゲートは連続して形成されてワード線WLを構成し、同一列のメモリセルのドレインは共通のビット線BLに接続可能にされている。
【0031】
メモリアレイ10には、各メモリマットMAT−U,MAT−Dに対応してそれぞれX系のアドレスデコーダ(ワードデコーダ)13a,13bが設けられている。該デコーダ13a,13bにはデコード結果に従って各メモリマット内の1本のワード線WLを選択レベルに駆動するワードドライブ回路が含まれる。
【0032】
21は4値すなわちメモリセルのしきい値を4段階に変えて情報を記憶する場合に外部から入力された書込みデータを2ビットごとに4値データ(3ビット)に変換するデータ変換回路である。前記データ変換回路21で変換された書込みデータやメモリセルからの読出しデータを保持するデータラッチ列(DLT)12a,12bがメモリマットの外側(図では上下)にそれぞれ配置されている。4値記憶の場合にデータ変換回路20で変換された3ビットの書込みデータはデータラッチ列12a,12bとセンスラッチ列(STL)11とに振り分けて保持される。読出し時には、メモリセルから読み出されたデータはデータラッチ列12a,12bとセンスラッチ11に保持され、適宜論理演算されることで2ビットのデータに逆変換される。
【0033】
Y系のアドレスデコーダ回路およびこのデコーダによって選択的にオン、オフされて前記データ変換回路21からのデータを対応するセンスラッチに転送させるカラムスイッチは、データラッチ列12a,12bと一体的に構成されている。図1では、このY系デコーダ回路とカラムスイッチとデータラッチ回路とが、1つの機能ブロック(DLT)で示されている。
【0034】
図1のフラッシュメモリは、特に制限されないが、外部のコントロール装置から与えられるコマンド(命令)を解釈し当該コマンドに対応した処理を実行すべくメモリ内部の各回路に対する制御信号を順次形成して出力する制御回路(シーケンサ)30を備えており、コマンドが与えられるとそれを解読して自動的に対応する処理を実行するように構成されている。前記制御回路30は、例えばコマンドを実行するのに必要な一連のマイクロ命令群が格納されたROM(リード・オンリ・メモリ)31を備え、マイクロ命令が順次実行されてチップ内部の各回路に対する制御信号を形成するように構成される。さらに、制御回路30は、内部の状態を反映するステータスレジスタ32を備えている。
【0035】
また、図1の多値フラッシュメモリには、書込みまたは消去に使用される高電圧を発生する内部電源回路22や、メモリアレイ10から読み出された信号を増幅するメインアンプ回路23a,23b、外部から入力される書込みデータ信号およびコマンドを取り込む入力バッファ回路24、メモリアレイから読み出されたデータ信号および前記ステータスレジスタ32の内容を外部へ出力するための出力バッファ回路25、外部から入力されるアドレス信号を取り込むアドレスバッファ回路26、入力されるアドレス信号を取り込んでカウントアップ動作しY系のアドレスを発生するアドレスカウンタ27等が設けられている。前記入力バッファ回路24、出力バッファ回路25およびアドレスバッファ回路26は、切換えスイッチ28を介して共通の入出力端子I/O0〜I/O7に接続されており、時分割でデータやコマンド、アドレス信号を入出力するように構成されている。
【0036】
前記内部電源回路22は、書込み電圧等の基準となる電圧を発生する基準電源発生回路や外部から供給される電源電圧Vccに基づいて書込み電圧、消去電圧、読出し電圧、ベリファイ電圧等チップ内部で必要とされる電圧を発生する内部電源発生回路、メモリの動作状態に応じてこれらの電圧の中から所望の電圧を選択してワードデコーダ13a,13b等に供給する電源切り替え回路、これらの回路を制御する電源制御回路等からなる。なお、図1において、41は外部から電源電圧Vccが印加される電源電圧端子、42は同じく接地電位Vssが印加される電源電圧端子(グランド端子)である。
【0037】
外部のコントロール装置から前記フラッシュメモリに入力される制御信号としては、例えばリセット信号RESやチップ選択信号CE、書込み制御信号WE、出力制御信号OE、コマンドもしくはデータ入力かアドレス入力かを示すためのコマンドイネーブル信号CDE、システムクロックSC等がある。コマンドとアドレスはコマンドイネーブル信号CDEと書込み制御信号WEとに従って、入力バッファ回路25とアドレスバッファ回路27にそれぞれ取り込まれ、書込みデータはコマンドイネーブル信号CDEがコマンドもしくはデータ入力を示しているときに、システムクロックSCが入力されることでこのクロックに同期して入力バッファ回路25に取り込まれる。さらに、前記フラッシュメモリには、メモリ内部の状態を反映するステータスレジスタ32の所定のビットに応じて、外部からアクセスが可能か否かを示すレディ・ビジィ信号R/Bを外部端子43へ出力する出力バッファ29が設けられている。
【0038】
図2は、前記フラッシュメモリのメモリアレイ10の概略構成を示す。メモリアレイ10内には複数のメモリセルMCはマトリックス状に配置され、同一行のメモリセルのコントロールゲートが接続されたワード線WLと、同一列のメモリセルのドレインが接続されたビット線BLとは交差する方向に配設され、各メモリセルのソースは、接地電位を与える共通ソース線SLに接続されている。ソース線SLにはスイッチSWが設けられており、書込み時にメモリセルのソースをオープン状態にできるようにされている。
【0039】
各ビット線BLの一端にはビット線の電位を増幅するセンスアンプ機能とデータの保持機能を有するセンスラッチ回路11がビット線毎に接続され、各ビット線BLの他端にはデータの保持機能を有するデータラッチ回路12a(12b)がビット線毎に接続されている。このデータラッチ回路12a(12b)は、多値メモリとして動作するときに選択メモリセルのしきい値を段階的に変化させるためのデータを保持するのに使用される。
【0040】
また、センスラッチ回路11やデータラッチ回路12a(12b)は、対応するビット線と電気的に接続したり切り離すためのスイッチ素子やビット線をディスチャージする手段を備える。センスラッチ回路11には、ビット線上のデータの論理を反転するための反転回路が設けられていても良い。かかるスイッチ素子や反転回路を備えることにより、4値記憶の場合に、メモリセルから読出しレベルを変えて読み出されたデータ同士をビット線上でワイヤード演算することによりメモリアレイ内で2ビットデータへのデータ変換を行なうことができる。
【0041】
特に制限されるものでないが、前記フラッシュメモリは、各メモリセルに2値のデータを記憶したり、4値のデータを記憶できるように構成されている。図3(a),(b)はそれぞれメモリセルに2値のデータを記憶する場合と、4値のデータを記憶する場合のしきい値の分布が示されている。2値データを記憶する場合、記憶データ“1”に対応するメモリセルのしきい値は例えば4.3V±0.7Vのような範囲に入るようにベリファイ電圧Vwvh,Vwvlが設定される。また、記憶データ“0”に対応するメモリセルのしきい値は例えば1.5V±0.7Vのような範囲に入るようにベリファイ電圧Vevh,Vevlが設定される。そして、読出し電圧Vrは、中間の2.9Vのようなレベルとされる。
【0042】
4値データを記憶する場合、記憶データ“11”に対応するメモリセルのしきい値は例えば4.8V以上となるように書込みベリファイ電圧VWV4が設定される。また、記憶データ“10”に対応するメモリセルのしきい値は例えば3.6V±0.4V、記憶データ“01”に対応するメモリセルのしきい値は例えば2.2V±0.4V、記憶データ“00”に対応するメモリセルのしきい値は例えば1.0V±0.4Vのような範囲にそれぞれ入るように書込みベリファイ電圧VWE3,VWV3、VWE2,VWV2、VWE1,VWV1が設定される。そして、4値の読出し電圧Vr1,Vr2,Vr3はそれぞれ1.5V,2.9V,3.8Vのようなレベルとされる。
【0043】
特に制限されないが、前記フラッシュメモリにおいては、書込み時にワード線WL(コントロールゲート)に正の高電圧(例えば+16V)を印加してFNトンネル現象を利用してメモリセルのフローティングゲートに負の電荷を注入してそのしきい値を高くする。そのため、ビット線BLには書込みデータに応じて、しきい値を高くしたいメモリセル(例えばデータ“1”)が接続されたビット線はプリチャージされない、つまり0Vにされる。一方、しきい値を高くしたくないメモリセル(例えばデータ“0”)が接続されたビット線BLは5.5Vにプリチャージされる。なお、書込みの際、各選択メモリセルのソースはフローティング(オープン)にされる。データ消去時には、ワード線WL(コントロールゲート)に負の高電圧(例えば−16V)を印加するとともにビット線BLおよびソース線SLに0Vを印加してFNトンネル現象によりメモリセルのフローティングゲートから負の電荷を引き抜いてそのしきい値を低くするように構成されている。
【0044】
表1に、前記フラッシュメモリにおけるステータスレジスタ32の構成例を示す。
【0045】
【表1】
Figure 0004082482
【0046】
表1に示されているように、ステータスレジスタ32はビットB7〜ビットB0の8ビットで構成されており、このうちビットB7はチップの内部制御状態を示すビット(以下、R/Bビットと記す)、ビットB6は再書込みを行なったか否かを示すビット(以下、リトライチェックビットと称する)、ビットB5は消去結果を示すビット(以下、消去チェックビットと称する)、ビットB4は書込み結果を示すビット(以下、書込みチェックビットと称する)、ビットB3〜ビットB0は予備のビットである。
【0047】
具体的には、ビットB7が論理“0”のときはチップが動作状態にあり外部からのアクセスが不能であることを、またビットB7が“1”のときはチップ内部が待機状態にあって、外部からのアクセスが可能であることを表わしている。また、ビットB6が論理“0”のときは再書込みを行なわなかったことを、ビットB6が“1”のときは再書込みを行なったことを表わしている。さらに、ビットB5が論理“0”のときは正常に消去が終了したことを、ビットB5が“1”のときは正常に消去が終了しなかったことを表わしている。また、ビットB4が論理“0”のときは正常に書込みが終了したことを、ビットB4が“1”のときは正常に書込みが終了しなかったことを表わしている。
【0048】
前記ステータスレジスタ32のビットB7〜B0のうちR/BビットB7の状態は常時バッファ29により外部端子43へ出力されるとともに、例えば図4に示すように、外部から供給されるチップイネーブル信号/CEとアウトイネーブル信号/OEがロウレベルにアサートされるとビットB7〜B0のすべての状態が入出力端子I/O7〜I/O0より出力される。また、ステータスレジスタ32の各ビットB7〜B0の設定は、制御回路30によって各制御状況に応じて逐次設定される。次に、前記ステータスレジスタ32の各ビットB7〜B0へのビットの具体的な設定手順を、書込みを例にとって図5を参照しながら説明する。
【0049】
図5のフローチャートは、外部のコントロール装置からフラッシュメモリに対して書込みコマンドが入力されることで開始される。制御回路30は、入力されたコマンドを解読して書込みコマンドであることを認知すると、書込みアドレスおよび書込みデータの取込み等の準備処理(ステップS1)を行なった後、図6(a)に示すように書込み対象のセクタ(以下、選択セクタと称する)のメモリセルをすべて一旦消去状態(データ“00”に対応した最もしきい値の低い状態)にする(ステップS2)。前記ステータスレジスタ32のR/BビットB7の論理“0”の設定は、前記ステップS1の書込み準備処理の中で行なわれる。
【0050】
次に、選択セクタ内のすべてのメモリセルのしきい値Vthが消去ベリファイ電圧VWE1よりも低くなっているか判定する(ステップS3)。そして、1つでもVWE1よりも高いしきい値のメモリセルがあるときはステップS18へジャンプして書込みチェックビットを論理“1”に設定し、さらにステップS20でR/BビットB7を論理“1”に設定して書込み処理を終了する。
【0051】
一方、ステップS3ですべてのメモリセルのしきい値VthがVWE1よりも低くなっていると判定したときは、ステップS4へ移行して弱い書込みを行なってしきい値の下がり過ぎたメモリセルのしきい値を上げてやる。次いで、選択セクタ内のすべてのメモリセルのしきい値Vthが書込みベリファイ電圧VWV1よりも高くなっているか判定する(ステップS5)。そして、1つでもVWV1よりも低いしきい値のメモリセルがあるときはステップS18へジャンプして書込みチェックビットを論理“1”に設定し、さらにステップS20でR/BビットB7を論理“1”に設定して書込み処理を終了する。
【0052】
前記ステップ5ですべてのメモリセルのしきい値Vthがベリファイ電圧VWV1よりも高くなっていると判定するとステップS6へ進み、再度すべてのメモリセルのしきい値Vthが消去ベリファイ電圧VWE1よりも低くなっているか判定し1つでもVWV1よりも低いしきい値のメモリセルがあるときはステップS18へジャンプして書込みチェックビットを論理“1”に設定し、さらにステップS20でR/BビットB7を論理“1”に設定して書込み処理を終了する。
【0053】
一方、ステップS6ですべてのメモリセルのしきい値VthがVWE1よりも低くなっていると判定したときは、ステップS7へ移行して図6(b)のようにデータ“11”を書込むメモリセルすなわちしきい値を最も高くしたいメモリセルを対象とした書込み(レベル4の書込みと称する)を行なう。かかる選択的な書込みはしきい値を上げたいメモリセルが接続されたビット線は0Vにプリチャージし、しきい値を上げたくないメモリセルが接続されたビット線は5.5Vのような電位にプリチャージしてから選択ワード線に高電圧を印加することで可能である。次いで、選択セクタ内のすべてのメモリセルのしきい値Vthが書込みベリファイ電圧VWV4よりも高くなっているか判定する(ステップS8)。そして、1つでもVWV4よりも低いしきい値のメモリセルがあるときはステップS18へジャンプして書込みチェックビットを論理“1”に設定し、さらにステップS20でR/BビットB7を論理“1”に設定して書込み処理を終了する。
【0054】
前記ステップS8ですべてのメモリセルのしきい値VthがVWE4よりも高くなっていると判定したときは、ステップS9へ移行して図6(c)のようにデータ“10”を書込むメモリセルすなわちしきい値を2番目に高くしたいメモリセルを対象とした書込み(レベル3の書込みと称する)を行なう。次いで、選択セクタ内のすべてのメモリセルのしきい値Vthが書込みベリファイ電圧VWV3よりも高くなっているか判定する(ステップS10)。そして、1つでもVWV3よりも低いしきい値のメモリセルがあるときはステップS18へジャンプして書込みチェックビットを論理“1”に設定し、さらにステップS20でR/BビットB7を論理“1”に設定して書込み処理を終了する。
【0055】
前記ステップS10ですべてのメモリセルのしきい値VthがVWE3よりも高くなっていると判定したときは、ステップS11へ移行して図6(d)のようにデータ“01”を書込むメモリセルすなわちしきい値を3番目に高くしたいメモリセルを対象とした書込み(レベル2の書込みと称する)を行なう。次いで、選択セクタ内のすべてのメモリセルのしきい値Vthが書込みベリファイ電圧VWV2よりも高くなっているか判定する(ステップS12)。そして、1つでもVWV2よりも低いしきい値のメモリセルがあるときはステップS18へジャンプして書込みチェックビットB4を論理“1”に設定し、ステップS20でR/BビットB7を論理“1”に設定して書込み処理を終了する。
【0056】
前記ステップS12ですべてのメモリセルのしきい値VthがVWE2よりも高くなっていると判定したときは、ステップS13〜S15へ移行して図6(e)のように、レベル3の書込みを行なったメモリセルのしきい値がベリファイ電圧VWE3よりも低くなっているか、レベル2の書込みを行なったメモリセルのしきい値がベリファイ電圧VWE2よりも低くなっているか、書込みを行なわなかったメモリセルのしきい値がベリファイ電圧VWE1よりも低くなっているか、それぞれ判定する。かかる判定は、データラッチ回路に保持されている書込みデータを利用してビット線をプリチャージしてから読出し動作を行なうことで可能である。
【0057】
そして、ステップS13〜S15の判定ですべてベリファイ電圧を満足しているときはステップS16へ移行して書込みチェックビットを“0”に設定してからステップS20でR/BビットB7を論理“1”に設定して書込み処理を終了する。一方、ステップS13〜S15の判定で1つでもベリファイ電圧を満足していないメモリセルがあったときは、ステップS17へジャンプして書込み処理回数が「n」(nは0又は正の整数で、一般には「1」にされる)以下か否か判定し、「n」以下のときはステップS2へ戻って前記動作を繰り返して再書込み処理を行なう。また、再書込みを行なってもステップS13〜S15の判定で1つでもベリファイ電圧を満足していないメモリセルがあったときは、ステップS17からステップS19へジャンプしてリトライチェックビットB6を論理“1”に設定し、さらにステップS20でR/BビットB7を論理“1”に設定して書込み処理を終了する。nを「0」にして再書込み処理を行なわずにリトライチェックビットB6を論理“1”に設定するようにしてもよい。
【0058】
図7は図1のフラッシュメモリのメモリアレイに4値ではなく通常の2値のデータを書き込む場合の手順を示す。この場合にもステータスレジスタ32の各ビットB7〜B0の意味する内容は同じであり、表1に示されているとおりである。
【0059】
図7のフローチャートと図5のフローチャートとの違いは、図7のフローチャートでは図5のフローチャートにおけるステップS9〜S14,S23〜S26が省略されている点と、ステップS8におけるベリファイ電圧VWV4'とステップS15におけるベリファイ電圧VWE1'が多値の場合の図5のフローチャートに比べて緩くなっている(VWV4<VWV4',VWE1<VWE1')点である。
【0060】
以上説明したように、前記フラッシュメモリはステータスレジスタ32にリトライチェックビットB6が設けられ、そのビットの状態を外部より知ることができるように構成されているため、外部のコントロール装置はリトライチェックビットB6を読み出してそれが“1”すなわちリトライ状態を示しているときは再度書込みコマンドとアドレス、データを与えて再書込みを行なうことで、従来は不良セクタとして登録して有効記憶領域から外していたセクタを有効に利用できるようになる。
【0061】
すなわち、前述のような書込み、消去方式をとるフラッシュメモリでは書込み後のベリファイ動作でしきい値分布の下限判定(Vth>VWV)で不良と判定される場合は再現性のある不良であることが多いのに対し、書込み後のベリファイ動作でしきい値分布の上限判定(Vth<VWE)で不良と判定される場合は再現性のない偶発的不良であることが多いことが経験的に分かっている。そして、このような場合、前記実施例ではリトライチェックビットB6に“1”がセットされるため、書込みエラーが発生してもビットB6がリトライ状態を示すような場合には、再度書込みを行なえばエラーを起こすことがなく書込みを終了できる確率がかなり高いので、そのような疑似不良セクタを不良セクタとせずに良セクタとして扱うことができ有効記憶容量を大きくすることができる。
【0062】
図8には、前記フラッシュメモリを用いた記憶システムの一実施例が示されている。
【0063】
この実施例のシステムは、特に制限されるものでないが、3個のフラッシュメモリFLM1,FLM2,FLM3とこれらのフラッシュメモリに対する書込みや読出しなどの制御を行なうフラッシュコントローラF−CNTとにより構成されている。3個のフラッシュメモリFLM1,FLM2,FLM3は、それぞれ上述したような構成を有し、フラッシュコントローラF−CNTから出力されるチップイネーブル信号CE、ライトイネーブル信号WE、アウトイネーブル信号OE、コマンドイネーブル信号CDEにより制御されるとともに、バスBUSを介してデータの送受信が可能に接続がされる。
【0064】
また、フラッシュコントローラF−CNTからフラッシュメモリFLM1,FLM2,FLM3へは同期用のクロック信号SCも供給される。さらに、フラッシュコントローラF−CNTは図示しないホストCPUと通信可能に接続される。このようなシステムとしては、例えばコンパクトフラッシュのようなメモリカードが考えられる。ただし、フラッシュメモリを使用するシステムは図8のような例に限られるものでなく、例えば1個のフラッシュメモリがCPUと1:1の関係で搭載されている携帯電話のような電子機器であってもよい。
【0065】
前記フラッシュコントローラF−CNTは、ホストCPUから与えられる命令を解釈し当該命令に対応した処理を実行すべくフラッシュメモリに対する制御信号を順次形成して出力する制御回路(シーケンサ)40を備え、命令が与えられるとそれを解読して自動的に対応する処理を実行するように構成されている。前記制御回路40は、例えばコマンドを実行するのに必要な一連のマイクロ命令群が格納されたROM(リード・オンリ・メモリ)41を備え、マイクロ命令が順次実行されてチップ内部の各回路に対する制御信号を形成するように構成される。また、フラッシュコントローラF−CNTには、RAM42が設けられ、このRAM内には不良セクタを管理するテーブル(以下、MGMテーブルと称する)が格納される。
【0066】
次に、前記フラッシュコントローラF−CNTによる前記リトライチェックビットを利用した書込み動作の手順を、図9のフローチャートおよび図10〜図14のタイミングチャートを用いて説明する。
【0067】
図9のフローチャートに従った書込み制御は、ホストCPUからフラッシュコントローラF−CNTに書込み命令が入力されることで開始される。フラッシュコントローラF−CNTは、書込み制御を開始すると、先ず図8の3個のフラッシュメモリFLM1〜FLM3のうち1つを選択するために各チップに対応したチップイネーブル信号CE1〜CE3の中のいずれか1つをロウレベルのような選択レベルにアサートする(図9のステップS101,図10のタイミングt1)。
【0068】
次に、ファーストコマンド(10H)と書込みアドレス(SA1,SA)および書込みデータ(D1,D2,……Dn)を生成してバスBUS上に順次出力するとともに、これと並行して書込みを示すライトイネーブル信号WEやコマンドかアドレスかを示すコマンドイネーブル信号CDEも出力する(図9のステップS102,図10の期間T1)。それから、ライトイネーブル信号WEを立ち下げるとともに書込み開始コマンド(40H)を出力する(図9のステップS103,図10のタイミングt2)。これによって、選択されたフラッシュメモリでは、図5または図7のフローチャートに従って書込み処理が行なわれる。
【0069】
フラッシュコントローラF−CNTは、書込み開始コマンド出力後、例えば内部のタイマを起動して所定時間待った後に、アウトイネーブル信号OE1〜OE3の中の前記CE1〜CE3に対応したいずれか1つをロウレベルのような選択レベルにアサートして、ステータスレジスタの読出しのためアウトイネーブル信号OEの立ち下げを行なう。ただし、コマンドイネーブル信号CDEはハイレベルのままとする(図9のステップS104,図10のタイミングt3)。
【0070】
この実施例で使用されるフラッシュメモリは図4に示されているようにチップイネーブル信号CEとアウトイネーブル信号OEがロウレベルにアサートされるだけでステータスレジスタの内容が入出力端子I/Oより出力されるように構成されているので、図10のような信号によりステータスレジスタのコード読出しを行なうことができる。そして、読み出されたコードの書込みチェックビットB4を見て正常に書込みが終了したか判定し、正常に書込みが終了していれば処理を終了する(ステップS105)。
【0071】
なお、タイマを用いてフラッシュメモリで書込みが終了するのを待つ代わりに、フラッシュメモリから出力されるレディ・ビジィ信号R/Bを周期的に読みに行って、レディー状態に変化したらステータスレジスタを読み出すようにしても良いし、周期的にステータスレジスタを読みに行くようにしても良い。また、ステップS104ではステータスレジスタ全体を読みに行っているが、書込みチェックビットB4のみを読み出すようにしても良い。
【0072】
ステップS105で正常に終了していないと判定するとステップS106へ移行して、ステップS104で読み込んだステータスレジスタのリトライチェックビットB6を見てリトライ状態になっているか判定する。そして、リトライ状態になっていればステップS107で2回目か判定し2回目でないすなわち1回目であればステップS103へ戻って書込み開始コマンドをフラッシュメモリへ再送して再度書込みを行なわせる(図11参照)。図11にも示されているように、再書込みの際には書込みアドレスや書込みデータはすでに送信済みであるため、前回のアドレスとデータを使用することを指示するコマンド(1FH)と書込み開始コマンド(40H)が、フラッシュコントローラF−CNTから選択フラッシュメモリへ送信される。
【0073】
ステップS106でリトライ状態でないと判定したときあるいはステップS107で2回目のリトライ状態と判定したときはステップS108へ移行する。ステップS108ではセクタ管理用のMGMテーブルを見て代替セクタがあるか否か判定し、代替セクタがないときは異常として終了する。代替セクタがあるときはMGMテーブルを書き換えるとともに、消去コマンド(20H)と最初に書込みを行なおうとしてセクタを示すアドレスをフラッシュメモリへ送ってその管理領域に書き込まれている良セクタか否かを示すデータ(MGMコード)を消去する(図9のステップS109,図12の期間T2)。そして、内部のタイマを起動して所定時間待った後に、ステータスレジスタの消去チェックビットB5の読出しコマンド(80H)を出力して消去チェックビットB5を読み出す(図9のステップS110,図12のタイミングt4)。それから、読み出されたビットをチェックして正常に消去されているか判定し、正常に消去されていなければ異常終了する(ステップS111)。
【0074】
一方、ステップS111で正常に消去されていればステップS112へ移行してアウトイネーブル信号OE1〜OE3の中の前記CE1〜CE3に対応したいずれか1つをロウレベルのような選択レベルにアサートして、セクタのデータの読出しコマンド(00H)とアドレスを出力する(図13の期間T3)。そして、所定時間待機した後、次のステップS113で、読み出されたセクタのMGMコードをチェックして良セクタか否か判定する。
【0075】
そして、良セクタであればステップS102へ戻ってファーストコマンド(10H)と書込みアドレス(SA1,SA)および書込みデータ(D1,D2,……Dn)を出力し、さらに書込み開始コマンドをフラッシュメモリへ送って当該代替セクタへデータの書込みを行なわせる(図14の期間T4)。また、ステップS113でMGMコードが不良セクタを示しているときはステップS114へ移行して代替セクタがあるか判定し、ある場合はステップS112へ戻って前記処理を繰り返す。また、代替セクタがないときは異常終了とする。
【0076】
なお、代替セクタへの書込みの際には、既にステップS112で代替セクタの読出しのためにアドレスを送っており、また書込みデータもステップS102で送っているので、図9に破線で示すようにステップS113からステップS103へ戻るようにすることも可能である。あるいは、ステップS102へ戻ったときに代替セクタアドレスは送信せずに所定の書込みコマンドと書込みデータのみを送信するようにしても良い。
【0077】
図15には、前記フラッシュメモリを用いた記憶システムの他の実施例が示されている。このうち(A)は図8に示されているフラッシュコントローラF−CNTが、CPUが形成された半導体チップと同一のチップ上に形成されている場合のシステム例、(B)はCPUが図8に示されているフラッシュコントローラF−CNTの機能をソフトウェアで実現するように構成された場合のシステム例、(C)は図8に示されているフラッシュコントローラF−CNTとフラッシュメモリFLMとが同一の半導体チップ上に形成された場合のシステム例である。
【0078】
これらのシステムにおいても、フラッシュメモリ内のステータスレジスタのリトライチェックビットを利用することで有効セクタ数を多くして記憶容量の低下を防止できるとともに、代替セクタの管理のための処理を減らすことができるため、トータルの書込み時間を短縮することができる。
【0079】
以上本発明者によってなされた発明を実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。例えば、実施例においては、消去によりメモリセルのしきい値を下げ書込みによりメモリセルのしきい値を上げる方式のフラッシュメモリを用いたシステムについて説明したが、本発明は消去によりメモリセルのしきい値を上げ書込みによりメモリセルのしきい値を下げる方式のフラッシュメモリを用いたシステムに対しても適用することができる。
【0080】
また、実施例においては、外部からフラッシュメモリに入力される制御信号のうちチップイネーブル信号CEとアウトイネーブル信号OEとの状態によってステータスレジスタ32の内容を入出力端子I/O0〜I/O7より出力するように構成しているが、他の制御信号の組合せによって出力させたり、レディ・ビジィ信号R/Bがレディー状態を示すハイレベルのときは常時ステータスレジスタ32の内容を入出力端子I/O0〜I/O7より出力させたり、ステータスレジスタ32にアドレスを割り付けるとともにデコーダを設け外部からアドレスを与えることでステータスレジスタの内容を読み出せるように構成されていても良い。
【0081】
また、前記実施例においては、フローティングゲートを有する記憶素子への書込みと消去をそれぞれFNトンネル現象を利用して行なうように構成されたフラッシュメモリを用いたシステムについて説明したが、書込みはドレイン電流を流して発生したホットエレクトロンで行ない、消去はFNトンネル現象を利用して行なうように構成されたフラッシュメモリを用いたシステムに対しても適用することができる。
【0082】
以上の説明では主として本発明者によってなされた発明をその背景となった利用分野であるフラッシュメモリを用いたシステムに適用した場合について説明したが、この発明はそれに限定されるものでなく、本発明は、電圧を印加してしきい値を変化させて情報の記憶を行なう不揮発性半導体メモリを用いたシステムに広く利用することができる。
【0083】
【発明の効果】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば下記のとおりである。
【0084】
すなわち、本発明に従うと、フラッシュメモリのような電気的に書込み、消去可能な不揮発性半導体記憶装置を用いたシステムにおいて、偶発的な書込みエラーによって有効な記憶容量が減少するのを防止し、システムとして利用できる記憶容量を増大させるとともに、代替セクタ処理が行なわれる回数を減らし、トータルの書込み所要時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の記憶システムに用いられる不揮発性半導体記憶装置としてのフラッシュメモリの一例を示すブロック図である。
【図2】実施例のフラッシュメモリのメモリアレイの概略構成を示す回路構成図である。
【図3】メモリセルに2値のデータを記憶する場合と、4値のデータを記憶する場合のしきい値の分布を示す説明図である。
【図4】図1のフラッシュメモリにおけるステータスレジスタの内容の出力タイミングを示すタイミングチャートである。
【図5】実施例のフラッシュメモリにおける書込み処理およびステータスレジスタの各ビットの具体的な設定の手順を示すフローチャートである。
【図6】図5のフローチャートに従った書込み処理におけるメモリセルしきい値の変化とベリファイ電圧との関係を示す説明図である。
【図7】図1のフラッシュメモリにおいて2値のデータを書き込む場合における書込み処理およびステータスレジスタの各ビットの具体的な設定の手順を示すフローチャートである。
【図8】図1のフラッシュメモリを用いた本発明に係る記憶システムの一実施例を示すブロック図である。
【図9】図8の記憶システムにおいてフラッシュコントローラによりフラッシュメモリにデータを書き込む場合における書込み制御の具体的な手順の一例を示すフローチャートである。
【図10】フラッシュコントローラによりフラッシュメモリに書込み指令を入力する際の信号のタイミングを示すタイミングチャートである。
【図11】フラッシュコントローラによりフラッシュメモリに再書込み指令を入力する際の信号のタイミングを示すタイミングチャートである。
【図12】フラッシュコントローラによりフラッシュメモリの管理領域に書き込まれているデータ(MGMコード)を消去する指令を入力する際の信号のタイミングを示すタイミングチャートである。
【図13】フラッシュコントローラによりフラッシュメモリの代替セクタの管理領域に書き込まれているデータを読み出す指令を入力する際の信号のタイミングを示すタイミングチャートである。
【図14】フラッシュコントローラによりフラッシュメモリの代替セクタの管理領域にデータを書き込む指令を入力する際の信号のタイミングを示すタイミングチャートである。
【図15】フラッシュメモリを用いた本発明に係る記憶システムの他の実施例を示すブロック図である。
【符号の説明】
10 メモリアレイ
11 センスラッチ
12a,12b データラッチ
13a,13b Xデコーダ
21 データ変換回路
22 内部電源回路
23 a,23b メインアンプ回路
24 入力バッファ回路
25 出力バッファ回路
26 アドレスバッファ回路
27 アドレスカウンタ
28 入出力切換えスイッチ
29 R/B信号出力バッファ
30 制御回路
FLM フラッシュメモリ
F−CNT フラッシュコントローラ

Claims (20)

  1. 複数の不揮発性メモリセルからなる記憶領域と内部状態を示すステータスレジスタと該ステータスレジスタの少なくとも一部の内容を出力可能な外部端子とを備えた不揮発性半導体記憶装置と、該不揮発性半導体記憶装置に対する書込みの指令を行なう制御装置とを含む記憶システムであって、
    前記不揮発性半導体記憶装置は書込みアドレスと書込みデータを伴う書込みコマンドが入力されたことに応じた書込み処理において、書込対象となる不揮発性メモリセルに書き込まれるべき書込みデータに応じて、離散的に定められた複数の電圧範囲の何れか1に含まれるようにしきい値電圧を制御し、しきい値電圧が第1の電圧範囲に含まれる状態から第2の電圧範囲に含まれる状態へ遷移される場合に、遷移された不揮発性メモリセルのしきい値電圧が前記第2の電圧範囲に含まれる正常状態と、前記第2の電圧範囲にまでしきい値電圧が変化しない第1のエラー状態と前記第2の電圧範囲を超えてしきい値電圧が変化する第2のエラー状態とのいずれの状態かを識別し、
    前記ステータスレジスタは、前記書込対象の不揮発性メモリセルが再度書込みを実行することで正常に書込みが行なえる可能性がある前記第2のエラー状態にあることを示す第1のビットを有し、
    前記制御装置は前記第1のビットの状態が前記第2のエラー状態にある不揮発性メモリセルの存在を示していることに応じて、前記不揮発性半導体記憶装置に再度同一の領域に対する書込みを行わせるために、書込みアドレスと書込みデータとを伴わない書込みコマンドを前記不揮発性半導体記憶装置に出力し、かかる書込み動作によっても前記第2のエラー状態を生じる場合は、別の不揮発性メモリセルへ当該書込みデータを書き込ませるために当該別の不揮発性メモリセルを指定するための書込みアドレスと書込みデータとを伴う前記書込みコマンドを出力する制御を行なうことを特徴とする記憶システム。
  2. 前記ステータスレジスタは、書込みが正常に終了したか否かを示す第2のビットを有し、前記制御装置は前記第2のビットが書込みが正常に終了していないことを示している場合に前記第1のビットの状態に応じた再度の書込み指令を行なうことを特徴とする請求項1に記載の記憶システム。
  3. 前記ステータスレジスタは、チップの外部からアクセスが可能か否かを示す第3のビットを有し、前記制御装置は前記第3のビットが外部からのアクセスが可能であることを示している場合に前記第1のビットの状態に応じた再度の書込み指令を行なうことを特徴とする請求項1に記載の記憶システム。
  4. 前記ステータスレジスタはチップの外部からアクセスが可能か否かを示す第3のビットを有し、前記不揮発性半導体記憶装置は前記第3のビットの状態を反映する外部端子を備え、前記制御装置は前記外部端子の信号が外部からのアクセスが可能であることを示している場合に前記第1のビットの状態に応じた再度の書込み指令を行なうことを特徴とする請求項1に記載の記憶システム。
  5. 前記制御装置は、前記書込みが正常に行なえなかった記憶領域を他の記憶領域で置き換える処理を行なう機能を備え、前記第1のビットの状態に基づく再書込みによって正常書込みができなかった場合に当該正常書込みができなかった記憶領域を他の記憶領域で置き換える処理を行なうことを特徴とする請求項1に記載の記憶システム。
  6. 前記制御装置は、前記書込みが正常に行なえなかった記憶領域を他の記憶領域で置き換える処理を行なう機能を備え、前記第1のビットが第1状態にされていることに基づいて行なわれた再書込みによって正常書込みができなかった場合および前記第2のビットが書込みが正常に終了していないことを示しかつ前記第1のビットが第2状態にある場合に、当該正常書込みができなかった記憶領域を他の記憶領域で置き換える処理を行なうことを特徴とする請求項2に記載の記憶システム。
  7. 前記制御装置は、前記書込みが正常に行なえなかった記憶領域を他の記憶領域で置き換える際に、前記書込みが正常に行なえなかった記憶領域の一部に不良記憶領域であることを表わす情報を書き込むことを特徴とする請求項5または6のいずれかに記載の記憶システム。
  8. 前記制御装置は、前記書込みが正常に行なえなかった記憶領域を他の記憶領域で置き換える際に、前記他の記憶領域に記憶されている情報を読み出して不良記憶領域であるか否かを判定して置き換え処理を行なうことを特徴とする請求項7に記載の記憶システム。
  9. 前記制御装置は、前記第1のビットの状態に応じた再度の書込み指令を所定回数行なっても書込みが正常に行なえなかった場合に当該記憶領域を他の記憶領域で置き換える処理を行なうことを特徴とする請求項4〜8のいずれかに記載の記憶システム。
  10. 前記ステータスレジスタの内容は、前記制御装置から供給される複数の制御信号が所定の組合せにされたときに、外部端子へ出力されることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の記憶システム。
  11. 前記制御装置は書込み不良の領域の管理を行なうことを特徴とする請求項1〜10の何れかに記載の記憶システム
  12. 前記不揮発性半導体記憶装置は、前記制御装置からの前記書込みの指令および書込み不良の領域の処理を行なう制御回路を含むことを特徴とする請求項1〜10の何れかに記載の記憶システム
  13. 不揮発性半導体メモリと、不揮発性半導体メモリへのアクセスを制御する制御装置を有し、
    上記不揮発性半導体メモリは、複数のメモリセルを有し、上記メモリセルへのデータの書込み不良にかかる不揮発性半導体メモリの内部状態を出力可能であり、
    上記制御装置からの書込みアドレスと書込みデータとを伴う書込みコマンドの発行に応じて、上記書込みアドレスに対応したメモリセルへ上記書込みデータを書き込む書込み処理を行い、上記メモリセルは上記書込みデータに応じて離散的に定められた複数の電圧範囲の何れか1に含まれるようにしきい値電圧が制御され、しきい値電圧が第1の電圧範囲に含まれる状態から第2の電圧範囲に含まれる状態へ遷移される場合に、遷移されたメモリセルのしきい値電圧が上記第2の電圧範囲に含まれる正常状態と、上記第2の電圧範囲にまでしきい値電圧が変化しない第1のエラー状態と、上記第2の電圧範囲を超えてしきい値電圧が変化する第2のエラー状態とのいずれの状態かを識別してその結果を上記内部状態として出力し、
    上記制御装置は、上記不揮発性半導体メモリの内部状態が第2のエラー状態を示す場合、当該メモリセルへの書込みを再度指示可能なように書込みアドレスと書込みデータとを伴わない書込みコマンドの発行を制御し、
    上記不揮発性半導体メモリの内部状態が第1のエラー状態を示す場合又は上記第2のエラー状態を示すことに応じた当該メモリセルへの書込みを所定の回数を超えて指示した場合、当該メモリセルへの書込みを禁止して別のメモリセルへ書込みを行なうように当該別のメモリセルを指定する書込みアドレスと書込みデータとを伴う書込みコマンドを出力するように制御することを特徴とする半導体記憶システム。
  14. 上記メモリセルは、フローティングゲートを有するMOSトランジスタ構造を有し、上記フローティングゲートに蓄積される電荷量の違いにより生じるしきい値電圧の違いを利用してデータを格納可能とするものであり、
    上記第1状態は、フローティングゲートに格納すべきデータに対応する蓄積すべき電荷量を超えて電荷が蓄積された状態を示すことを特徴とする請求項13に記載の半導体記憶システム。
  15. 上記第2状態は、当該メモリセルにアクセスすべき場合に、他のメモリセルを代替してアクセスするように制御することを特徴とする請求項14に記載の半導体システム。
  16. 上記メモリセルに格納すべきデータは、1ビットのバイナリデータとして表現可能である事を特徴とする請求項15に記載の半導体システム。
  17. 上記メモリセルに格納すべきデータは、2ビット以上のバイナリデータとして表現可能であることを特徴とする請求項15に記載の半導体システム。
  18. 不揮発性半導体メモリと、不揮発性半導体メモリへのアクセスを制御する制御装置を有し、
    上記不揮発性半導体メモリは、複数のメモリセルを有し、それぞれのメモリセルはフローティングゲートを有するMOSトランジスタ構造であり、前記制御回路から書込みアドレスと書込みデータとを伴う書込みコマンドの入力に応じてフローティングゲートに電荷を蓄積又は引抜く書込み処理を行なうことでしきい値電圧の変化を生じ、しきい値電圧の違いを利用してデータを格納可能とし、上記フローティングゲートへの電荷の蓄積又は引抜き動作にかかる内部状態を出力可能であり、
    上記内部状態は、上記フローティングゲートへの電荷の蓄積又は引抜き動作により、上記メモリセルに格納すべきデータに対応するしきい値電圧に応じた電荷量を超えて、上記フローティングゲートに電荷が蓄積され又は引き抜きが行われたことを示す第1状態を有し、
    上記制御装置は、上記不揮発性半導体メモリの内部状態が上記第1状態を示す場合に、当該メモリセルへの電荷の蓄積又は引抜き動作を再度指示可能なように書込みアドレスと書込みデータとを伴わない書込みコマンドを上記不揮発性半導体メモリへ出力し、所定回数を超えて上記第1状態を示す場合は当該メモリセルへの電荷の蓄積又は引き抜き動作を禁止し別のメモリセルへの電荷の蓄積又は引き抜き動作を行なうように当該別のメモリセルを指定する書込みアドレスと書込みデータとを伴う書込みコマンドを出力する制御を行うことを特徴とする半導体システム。
  19. 上記メモリセルに格納すべきデータは、1ビットのバイナリデータとして表現可能である事を特徴とする請求項18に記載の半導体システム。
  20. 上記メモリセルに格納すべきデータは、2ビット以上のバイナリデータとして表現可能である事を特徴とする請求項18に記載の半導体システム。
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