JP4081413B2 - シリコン鋳造用鋳型およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はシリコン鋳造用鋳型およびその形成方法に関し、特に太陽電池などを形成するための多結晶シリコン鋳造用鋳型およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から太陽電池を形成するための半導体基板の一種として多結晶シリコンが用いられている。このような多結晶シリコンは、通常、分割可能な黒鉛製の容器の内表面に刷毛もしくはへらを使用して離型材を塗布した鋳型内に、高温度で加熱溶融させたシリコン融液を注湯して凝固させることによって形成したり、鋳型内に入れたシリコン原料を一旦溶解した後、再び凝固させることによって形成している。
【0003】
一般に、窒化珪素、炭化珪素、酸化珪素等の粉末を、適当なバインダーと溶剤とから構成される溶液中に混合・攪拌してスラリーとし、これを容器の内壁に塗布若しくはスプレー等の手段でコーティングする事が公知の技術として知られている。(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
ところが、窒化珪素を黒鉛製鋳型の内表面に上記手段で塗布しシリコンを鋳造する場合、窒化珪素膜は脆弱であることから、シリコン融液を注湯する際に、またその後の凝固の際に、窒化珪素膜が破損して鋳型にシリコン融液が接触し、鋳型がシリコンの鋳塊に付着して脱型する際にシリコンの鋳塊に欠けが発生するという問題があった。また、鋳型内に入れたシリコン原料を溶解する際に、窒化珪素膜が破損するという問題があった。
【0005】
また、二酸化珪素を黒鉛製鋳型の内表面に塗布してシリコンを鋳造することも提案されているが、二酸化珪素を離型材として用いる場合、二酸化珪素は黒鉛と付着性がよく、また二酸化珪素とシリコンの鋳塊も付着性がよいために、二酸化珪素が鋳型に付着して鋳型の再使用ができなくなったり、鋳型が離型材を介してシリコンの鋳塊に付着し、脱型するときにシリコンの鋳塊の一部に欠けが発生するという問題があった。
【0006】
このような問題を解決するために、一層目に二酸化珪素を塗布して付着性を確保し、二層目に二酸化珪素と窒化珪素の混合物を塗布し、さらに三層目に窒化珪素を塗布することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。ところが、このように離型材を三層構造に塗布すると、それぞれの層に対応する離型材を調合して塗布しなければならず、離型材の塗布と調合に手間が掛かるという問題がある。
【0007】
又、スラリー状の離型材を作製し鋳型に塗布する為には、水やアルコール等の溶剤と塗布成形用バインダー更には流動性を高める為の添加材等を、適宜、混合・攪拌するのが普通である。成形用バインダーの中で最も利用されている物質としてPVA(ポリビニルアルコール)がある。PVAは接着性に優れる事から粉体の接着・結合に適している。
【0008】
成形(塗布)後は、その後の加熱や融液との接触中に熱分解生成物が融液中に混入するのを防ぐ為に、酸化雰囲気中で600℃程度の温度で脱脂する事が通常行われている。PVAは300℃付近で急激に熱分解を起こしてCO等にガス化する結果、90%程度までは急速に除去することが出来るが、残り10%は500℃以上の温度に加熱してもなかなか除去されず、カーボン残査として残ってしまうことが多い。
【0009】
又、離型材をカーボン系鋳型材に塗布した場合、酸化雰囲気中で高温脱脂を行うと、鋳型材が酸化する為消耗が進む結果耐久性が落ち、結果的にシリコンインゴット製作コストを増大させてしまう問題がある。
【0010】
一方、脱脂を不活性雰囲気中で実施すると、有機高分子の熱分解反応が急速に進行する結果、水素原子が引き抜かれてCHが直線状に並び、それが環状になってベンゼンその他環状化合物になる。更に脱水素反応を繰り返して大きく縮合し炭素の多い煤へと成長してしまう。一旦、煤として安定化してしまうと熱分解で除去する事は困難である為、離型材中や離型材表面に付着したままシリコン融液と接触することになる。融液と接触した煤或いは融液中に溶け込んだ炭素は、太陽電池特性を低下させるばかりでなく、析出してインゴットを切断・スライスする際に加工不良を生む原因となる場合が多い。
【0011】
PVAに代わる有機バインダーは種々存在するが、塗布性・接着性を兼ね備えた物は無いのが実状である。
【0012】
上記事情から、本発明者らは、鋳型の内表面に離型材を塗布してシリコン融液を注湯するシリコンの鋳造法において、窒化珪素と二酸化珪素粉末を混合したものをプラズマ溶射機を用いてコーティングすることにより、鋳型がシリコンの鋳塊に付着することによって発生するシリコンの欠けを防止することができると共に、従来使用していた有機バインダーを除去する脱バインダー工程を省略することができ、シリコンインゴット製作コストを削減することが出来るシリコンの鋳造法を提案した(特許文献2参照)。
【0013】
【特許文献1】
特開平7−206419号公報
【0014】
【特許文献2】
特開2002−292449号公報
【0015】
【特許文献3】
特開2003−41357号公報
【0016】
【非特許文献1】
15TH PHOTOVOLTAIC SPESIALISTS CONF. (1981), P576〜P580, "A NEW DIRECTIONAL SOLIDIFICATION TECHNIQUEFOR POLYCRYSTALLINE SOLAR GRADE SILICON"
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、プラズマ溶射機による溶射は、コーティング材料を加熱により溶融もしくは軟化させ、微粒子状にして加速し被覆対象物表面に衝突させて扁平に潰れた粒子を凝固・堆積させることにより皮膜を形成するコーティング技術であり、刷毛塗り若しくはスプレー塗布により形成した離型材層に比べ、より緻密な層の形成が可能ではあるが、形成された溶射皮膜層密度が高過ぎることに起因して、被溶射材である側部および底部用鋳型材との熱膨張係数の違いから来る溶射離型材層剥離が起きる場合があるという問題があった。
【0018】
また、窒化珪素および酸化珪素からなる溶射粉体を溶射する場合、窒化珪素は液相を持たない為、前記2粉体を結合させている駆動力は、1000℃付近という低温で軟化し液相を形成する酸化珪素が、溶射中に軟化・液相化して窒化珪素を内含しながら凝固するという物理的な結合力のみであり、鋳型内でのシリコン凝固中の高温環境下で再度酸化珪素が軟化することによる結合力低下に伴い、離型材層粉体が脱落し融液中に混入し易くなるという問題があった。この問題に対し、金属シリコン、窒化珪素、酸化珪素からなるシリコン系複合サーメット溶射皮膜を被覆する手法が提案されている(特許文献3参照)が、溶射皮膜中に内含した金属シリコンが、鋳型内でのシリコン凝固中に再溶解し離型材層から脱離して溶射離型材層中に空隙を形成し、離型材強度を低下させてしまうという問題があることが判った。
【0019】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、離型材に起因するシリコンインゴットの特性や歩留まりの低下を招くことのないシリコン鋳造用鋳型を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明のシリコン鋳造用鋳型は、容器と、
前記容器の内表面に形成されており、窒化珪素、酸化珪素、若しくは窒化珪素と酸化珪素との混合物に金属シリコンを含み50μm〜200μmの厚みの下地層と、窒化珪素、酸化珪素、若しくは窒化珪素と酸化珪素との混合物からなり5μm以上の厚みの表面層と、を有する離型材と、を備え、前記下地層中の前記金属シリコンの含有量が5〜50重量%である。
【0021】
本発明の請求項2に係るシリコン鋳造用鋳型では、前記窒化珪素、酸化珪素、若しくは窒化珪素と酸化珪素との混合物及び金属シリコンはそれぞれ粉末状であることを特徴とする。
【0022】
また、前記離型材はプラズマ溶射機による溶射法で成されたことを特徴とする。
【0023】
このとき離型材における窒化珪素と酸化珪素の混合比が1:9〜9:1であった方が良い。
【0024】
また、金属シリコン粉末は、φ0.1〜2μmの平均粒径を持つものであった方が良い。
【0025】
また金属シリコン粉末の添加量は溶射層粉体全量に対し5〜50重量%であったほうがよい。
【0026】
また、前記下地層の密度が2g/cm3以下であることを特徴とする。また、前記容器がシリカからなることを特徴とする。また、前記容器の底部と側部とが一体であることを特徴とする。
【0027】
また、前記表面層の密度が2〜3g/cm3であることを特徴とする。
【0028】
容器は黒鉛からなっていたほうがよい。
【0029】
また、本発明のシリコン鋳造用鋳型の製造方法は、容器を準備する工程と、窒化珪素、酸化珪素、若しくは窒化珪素と酸化珪素を混合した粉体からなり、全体に対して5〜50重量%の金属シリコン粉末を有する第 1 の粉体を準備する工程と、窒化珪素、酸化珪素、若しくは窒化珪素と酸化珪素からなる第 2 の粉体を準備する工程と、前記容器の内表面に前記第 1 の粉体を溶射し、厚さ50μm〜200μmの下地層を形成する工程と、前記下地層の上に前記第2の粉体を溶射し、厚さ5μm以上の表面層を形成する工程と、を有する。
【0030】
このとき離型材における窒化珪素と酸化珪素の混合比が1:9〜9:1であった方が良い。
【0031】
また、金属シリコン粉末は、φ0.1〜2μmの平均粒径を持つものであった方が良い。
【0032】
また金属シリコン粉末の添加量は溶射層粉体全量に対し5〜50重量%であったほうがよい。
【0033】
また、前記下地層の密度が2g/cm3以下であることを特徴とする。
【0034】
前記表面層の密度が2〜3g/cm3であることを特徴とする。
【0035】
また、前記容器がシリカであることを特徴とする。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を添付図面に基づき説明する。図1は、本発明に係るシリコンの鋳造法に用いられる鋳型の一例の斜視図を示すものである。鋳型1はコストなどの観点から黒鉛などから成り、一つの底部材1aと四つの側部材1bを組み合わせた分割と組み立てが可能な分割型鋳型などで構成される。なお、底部材1aと側部材1bは、ボルト(不図示)などで固定することによって分割可能に組み立てられたり、底部材1aと側部材1bが丁度嵌まる枠部材(不図示)で固定することによって分割可能に組み立てられる。鋳型1の材質としては、黒鉛以外にも石英などを用いてもよい。この場合には、底部材1aと側部材1bを一体で成形したものを用いたほうがよい。また黒鉛でも特に炭素強化繊維材料を用いてもよい。
【0037】
鋳型1の内表面は、離型材で被覆する。その後この中にシリコン融液を入れ、冷却し凝固させた後、脱型しシリコンインゴットを得る。脱型した後鋳型は再度離型材で被覆し、複数回繰り返し使用する。
【0038】
このとき本発明によれば、窒化珪素若しくは酸化珪素若しくは窒化珪素と酸化珪素を混合したものに金属シリコンを添加した混合材料を下地層として塗布し、さらにその上に、窒化珪素若しくは酸化珪素若しくは窒化珪素と酸化珪素を混合したものを重ねてコーティングした2層構造の離型材となっている。また、離型材は窒化珪素と二酸化珪素の混合比が1:9〜9:1であったほうがよい。このようにすることにより、脱型しやすくかつシリコン融液への溶けこみや混入を防ぐことができる。
【0039】
以下、窒化珪素若しくは酸化珪素若しくは窒化珪素と酸化珪素を混合したもの及び金属シリコンはそれぞれ粉末状の材料であって、コーティング方法はプラズマ溶射機により溶射法である場合における本発明の実施形態について詳しく説明する。
【0040】
窒化珪素若しくは酸化珪素若しくは窒化珪素と酸化珪素を混合した溶射層形成用粉体中に金属シリコン粉末を添加して造粒した粉体(第 1 の粉体)を下地層としてプラズマ溶射機により溶射し、その上に、窒化珪素若しくは酸化珪素若しくは窒化珪素と酸化珪素を混合し造粒して作製した粉体(第2の粉体)を表面層として重ねてプラズマ溶射機により溶射した2層構造の離型材にすれば、離型材の密度を高めることができ、脱型しやすくかつシリコン融液への溶けこみや混入を防ぐ一層の効果が得られる。このときも、離型材は窒化珪素と二酸化珪素の混合比が1:9〜9:1であったほうがよい。このようにすることにより、脱型しやすくかつシリコン融液への溶けこみや混入を防ぐ効果をさらに高めることができる。
【0041】
金属シリコンは、φ0.1〜2μmの平均粒径を持つ粉末状のものであった方が良い。このようにすることにより、窒化珪素粒子や酸化珪素粒子との混合比率が高まり、均一に配合されるようになるため、側板と離型材下地層の接触界面全体に均一な結合力を得ることが出来るようになる。φ1μm未満のものは、空中に飛散・浮遊するなど取り扱いが極めて困難であり、逆にφ2μmを越えるものについては造粒工程が必要となりコストが増大し、本発明の効果が薄れる(表1参照)。
【0042】
【表1】
【0043】
表1により、金属シリコンの添加量は下地層粉体全量に対し5〜50重量%であったほうがよい。このようにすることにより、離型材がシリコン融液に溶けこんだり、混入したりすることを充分に抑制することができる。金属シリコン粉末の添加量が5重量%未満の場合は、金属シリコン粉末の絶対量が不足し均一に離型材と側板との界面に存在することが出来ないために、離型材と側板との間に十分な結合力を得ることが出来ない。逆に50重量%以上も内含させてしまうと、金属シリコン液層中を粉体が泳ぐ状態になってしまい、下地離型材としての強度を保持することが出来なくなる為、表面溶射層の強度も落ちてしまい、離型材としての機能を有することが出来なくなる(表1参照)。
【0044】
図2は本発明に係るシリコン鋳造用鋳型のシリコン融液側層の離型材密度における実験結果を示す。
【0045】
離型材の前記シリコン融液と接している部分は密度が2〜3g/cm3であるとともに厚みが5μm以上であった方がよい。このようにすることにより、離型材がシリコン融液に溶けこんだり、混入したりすることを充分に抑制することができる。離型材のシリコン融液と接する部分の密度が2g/cm3以下の場合、離型材がポーラスであり、離型材がシリコン融液に溶けこんだり、混入したりすることを充分に抑制するという目的を充分に果たすことができない。逆に3g/cm3以上の密度にするためには、1500℃を超える高温に加熱する必要があるため、形成上不向きである(図2参照)。
【0046】
図3は本発明に係るシリコン鋳造用鋳型の容器側層の離型材密度における実験結果を示す。
【0047】
離型材の前記容器と接している下地層の密度が2g/cm3以下であるとともに、その部分の厚みが50〜200μmであった方がよい。このようにすることにより、離型材の鋳型からの剥離を抑止するとともに、脱型しやすい鋳型を得ることができる。このとき離型材の容器である鋳型と接している下地層の密度が2g/cm3以上であれば、脱型しにくくなるため不向きである(図3参照)。
【0048】
これらのシリコン鋳造用鋳型を形成するには、プラズマ溶射機等の装置を使用する。プラズマ溶射機は、プラズマ流中に各種粉末材料を送り溶融噴射して皮膜を形成する装置である。溶射温度は32000°Kに及ぶプラズマ気流中の10000℃前後の温度帯を使用し溶融粒子の噴射速度はマッハ1に達しており、この結果極めて高品質で緻密な皮膜層が形成される。しかしながら、窒化珪素は約1900℃(1atm,in N2)で昇華分解してしまうため、単体では液相を作らず溶射による皮膜層を形成することが出来ない。そこで、比較的低温でガラス層を形成する二酸化珪素を焼結助剤として混合することにより、窒化珪素粉体は溶融した二酸化珪素中に溶け込んだ状態で基材に融着し急速に冷却されることにより固着される。
【0049】
このとき本発明によれば、窒化珪素若しくは酸化珪素若しくは窒化珪素と酸化珪素を混合した溶射層形成用粉体中に金属シリコン粉末を添加して造粒した粉体を下地層として溶射し、その上に、窒化珪素若しくは酸化珪素若しくは窒化珪素と酸化珪素を混合し造粒して作製した粉体を溶射する。このようにすることにより、下地層中に内含した金属シリコン粉末が鋳型内でのシリコン凝固中に部分的に再溶解して側板と離型材下地層間の界面に拡散し側板表面に食い付き、溶射層と側板間の結合力が増加し、凝固中に離型材が側板から剥離し難くなりシリコン融液中への離型材の脱落が抑制される。
【0050】
本発明者らは、本発明に至る条件出しを行う際に、離型材密度を指標とすることとした。容器と接する溶射層厚み、シリコン融液と接する溶射層厚み、金属シリコン粉末の粒径,添加量を変化させて形成した離型材層の密度を測定することにより、離型材層全体の強度を最適化した。その結果、容器と接する溶射層厚み150μm、シリコン融液と接する溶射層厚み10〜25μm、金属シリコン粉末粒径1μm、金属シリコン粉末含有量25重量%にした時に最も良い結果が得られた(表1、2、図2、3参照)。
【0051】
【表2】
【0052】
プラズマ溶射機による溶射皮膜形成時には、高々200℃程度で分解する有機バインダーは一気に分解が進行し、実質的に下地層中には有機バインダー成分は残らないというメリットもあることが判った。
【0053】
図4は本発明に係るシリコンの鋳造法に用いられる鋳型の一例の概略断面図を示すものである。
【0054】
シリコン融液の注湯と凝固は、既述の方法で鋳型の内面に下地離型材層3、溶射離型材層4をコーティングした後に、鋳型1を7.0〜90torrに減圧したアルゴン(Ar)雰囲気中に置き、鋳型1をシリコン融液と同程度か若干低い温度で加熱してシリコン融液を注湯する。また鋳型内にシリコン原料を入れ直接溶解してもよい。しかる後、鋳型1の底部から徐々に降温させてシリコン融液を鋳型の底部から徐々に凝固させる。最後に鋳型を分割してシリコンのインゴットを取り出すことにより完成する。
【0055】
【実施例】
平均粒径0.5μmの窒化珪素粉末と平均粒径20μmの二酸化珪素粉末を秤量し混合重量比にして1:9〜9:1の間の比率で作製した粉末に、金属シリコン粉末添加量を0、5、10、25、50、75重量%と6水準振り、更に各々で金属シリコン粉末粒径を0.1μm、0.5μm、1μm、2μmと4水準振った。更に、各々の条件で溶射厚みを各々5〜300μmの間で変化させた。鋳型を80torrに減圧したアルゴン雰囲気中に置き、黒鉛ヒータを使って1000℃に加熱した状態で鋳型内にシリコン融液70kgを注湯して7時間かけて徐々に凝固させた。冷却後固化したシリコンの鋳塊を鋳型から取り出し、離型材と鋳型の付着の有無、シリコンの鋳塊と鋳型の付着の有無について調べた。その結果を表1、2に示す。
【0056】
表2において、シリコン融液と接する溶射層の厚みが5μm以上で、且つ、容器と接する溶射層の厚みが50〜200μmの範囲で良好な領域が見つかった。容器と接する溶射層の厚みが200μmを超えると、内含した金属シリコン粉末の再溶解により容器からの離型材層の除去が困難になることが判った。また、50μm以下では十分な付着強度が得られないことが判った。一方、シリコン融液と接する溶射層の厚みが5μm未満では下地層に内含する金属シリコン粉末がシリコン融液側に拡散し、鋳造後のブロックには多くの離型材が付着することから、厚みが十分でないことが判った。以上の実験結果から、シリコン融液と接する溶射層の厚みが5μm以上で、且つ、容器と接する溶射層の厚みが50〜200μmとする組合せにおいて、目的が達成されることが判った。また、容器と接する溶射層厚み150μm,シリコン融液と接する溶射層厚み10〜25μmにした時が最もよい結果が得られた。これは離型材強度を表す指標である離型材層密度データでも裏付けられる結果であった。
【0057】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係るシリコンの鋳造法によれば、鋳型がシリコンの鋳塊に付着することによって発生するシリコンの欠けを防止することができると共に、離型材の強度の向上させることが出来るために凝固中の離型材脱離に伴うシリコン融液中への離型材混入を防止することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るシリコンの鋳造法に用いられる鋳型の一例を示す斜視図。
【図2】本発明に係るシリコン鋳造用鋳型のシリコン融液側層の離型材密度における実験結果を示すグラフ。
【図3】本発明に係るシリコン鋳造用鋳型の容器側層の離型材密度における実験結果を示すグラフ。
【図4】本発明に係るシリコンの鋳造法に用いられる鋳型の一例を示す概略断面図。
【符号の説明】
1・・・鋳型
1a・・・底部材
1b・・・側部材
3・・・下地離型材層
4・・・表面離型材層
Claims (15)
- 容器と、
前記容器の内表面に形成されており、窒化珪素、酸化珪素、若しくは窒化珪素と酸化珪素との混合物に金属シリコンを含み50μm〜200μmの厚みの下地層と、窒化珪素、酸化珪素、若しくは窒化珪素と酸化珪素との混合物からなり5μm以上の厚みの表面層と、を有する離型材と、を備え、
前記下地層中の前記金属シリコンの含有量が5〜50重量%であるシリコン鋳造用鋳型。 - 前記窒化珪素、酸化珪素、若しくは窒化珪素と酸化珪素との混合物及び金属シリコンはそれぞれ粉末状であることを特徴とする請求項1に記載のシリコン鋳造用鋳型。
- 前記離型材はプラズマ溶射機による溶射法で成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載のシリコン鋳造用鋳型。
- 前記離型材の前記下地層と前記表面層は、窒化珪素と酸化珪素との混合物からなり、窒化珪素と酸化珪素の混合比が1:9〜9:1であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のシリコン鋳造用鋳型。
- 前記金属シリコンは、φ0.1〜2μmの平均粒径の粉体であることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載のシリコン鋳造用鋳型。
- 前記下地層の密度が2g/cm3以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のシリコン鋳造用鋳型。
- 前記容器がシリカからなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のシリコン鋳造用鋳型。
- 前記容器の底部と側部とが一体であることを特徴とする請求項7に記載のシリコン鋳造用鋳型。
- 前記表面層の密度が2〜3g/cm3であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のシリコン鋳造用鋳型。
- 容器を準備する工程と、
窒化珪素、酸化珪素、若しくは窒化珪素と酸化珪素を混合した粉体からなり、全体に対して5〜50重量%の金属シリコン粉末を有する第 1 の粉体を準備する工程と、
窒化珪素、酸化珪素、若しくは窒化珪素と酸化珪素からなる第 2 の粉体を準備する工程と、
前記容器の内表面に前記第 1 の粉体を溶射し、厚さ50μm〜200μmの下地層を形成する工程と、
前記下地層の上に前記第2の粉体を溶射し、厚さ5μm以上の表面層を形成する工程と、を有するシリコン鋳造用鋳型の製造方法。 - 前記下地層と前記表面層は、窒化珪素と酸化珪素との混合物からなり、窒化珪素と酸化珪素の混合比が1:9〜9:1であることを特徴とする請求項10に記載のシリコン鋳造用鋳型の製造方法。
- 前記金属シリコン粉末は、φ0.1〜2μmの平均粒径を持つものを使用することを特徴とする請求項10又は11に記載のシリコン鋳造用鋳型の製造方法。
- 前記下地層の密度が2g/cm3以下であることを特徴とする請求項10〜12のいずれかに記載のシリコン鋳造用鋳型の製造方法。
- 前記表面層の密度が2〜3g/cm3であることを特徴とする請求項10〜13のいずれかに記載のシリコン鋳造用鋳型の製造方法。
- 前記容器がシリカであることを特徴とする請求項10〜14のいずれかに記載のシリコン鋳造用鋳型の製造方法。
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