JP4080243B2 - 流体動圧軸受モータ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転軸と動圧軸受部材を備え、回転軸と動圧軸受部材とが互いに非接触で相対回転することができる流体動圧軸受モータに関するもので、たとえば磁気ディスク、光ディスク等のディスク駆動用モータとして、その他、高い回転精度が要求される各種装置の駆動モータとして用いることができるものである。
【0002】
【従来の技術】
高い回転精度が要求される各種装置の駆動モータとして流体動圧軸受モータが用いられている。たとえば、ハードディスク駆動装置においては、ハードディスクの記録密度が月日を追って高くなっており、これに伴って、ディスクの回転速度および回転精度がますます高くなっている。ディスクの高回転速度化および高回転精度化の要求に応えるには、流体動圧軸受モータ、例えばオイル動圧モータを用いることが適している。
【0003】
流体動圧軸受モータの高回転速度化および高回転精度化を図るためには、接合部材相互の接合長さを長くし、また、動圧軸受の剛性を高めるために、ラジアル動圧軸受による軸受範囲を軸方向に長く確保することが有効である。一方、オイル動圧モータにおいては、寿命を長く維持するために十分な量の潤滑オイルを封入することができるように工夫することが望まれ、また、潤滑オイルの流出を防止するためのシール装置を、空間的余裕をもって配置できることが望ましい。
【0004】
上記のような要求に応える動圧軸受装置に関して本出願人は先に特許出願した。特開2001−65552公報に記載されている発明はその例である。この公報記載の動圧軸受装置は、回転軸とこの回転軸を支持する動圧軸受部材としてのスリーブとの間にラジアル軸受を構成し、回転軸と一体の回転体であるハブの裏面とスリーブ端面との間でスラスト軸受を構成したものである。ラジアル軸受とスラスト軸受内には潤滑オイルが充填されている。スラスト軸受は軸方向において1面のみに形成され、停止時は、駆動マグネットとその軸方向端面と対向して配置された磁気吸引板との間に発生する磁気吸引力で、回転軸およびこれと一体のハブの動圧軸受部材に対する軸方向の位置が所定位置に決められるようになっている。スラスト軸受に形成されている動圧発生用スパイラル溝は、ハブが回転することで軸受内圧が上がるような形状に形成されている。内圧が上がることでハブはスリーブ端面から浮上し、スリーブに非接触で回転軸およびこれと一体のハブが回転する。
【0005】
この種の動圧軸受装置ないしは流体動圧軸受モータによって回転駆動される磁気ディスクは、その材料として、アルミ合金、ガラス、樹脂などが用いられている。この磁気ディスクを載置して一体回転するハブの材料としては、磁気ディスク材料とほぼ同等の熱膨張係数を有する材料を選定する。その理由は、温度変化でディスクが反ることを防止するためである。通常、アルミ合金製ディスクにはアルミ合金製ハブを、ガラス製ディスクにはフェライト系ステンレス鋼製ハブなどが用いられる。
【0006】
一般的に、ガラス製ディスクよりもアルミ合金製ディスクの方が安価である。しかし、アルミ合金製ディスクに適合するアルミ合金製ハブは比較的柔らかく、これに回転軸を接合したときの強度が充分でなく、構造上の工夫が必要である。そこで本出願人の出願にかかる特開2000−134881公報に記載されているように、アルミ合金製ハブの内周側と回転軸の外周側との間に硬質の環状連結体を介在させ、これらを一体に接合したモータが提案されている。アルミ合金製ハブの内周側に硬質の環状連結体を一体に嵌めることにより、アルミ合金製ハブと硬質の環状連結体との接合部の直径を大きくして接合面積を大きくし、比較的柔らかい材料であるアルミ合金製ハブと回転軸との接合強度を高めることを狙ったものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来の流体動圧軸受モータにおいて、動圧軸受部材としてのスリーブの材料として、一般的にはリン青銅などの銅合金、あるいはフェライト系ステンレス鋼などの鉄系合金を使用している。アルミ合金製のディスクを使用する場合、ハブの材料も前述のようにアルミ合金を使用しなければならない。しかし、スラスト軸受を構成するハブがアルミ合金では、硬度が充分でないため、スラスト軸受を構成する上記ハブの裏面と動圧軸受部材としてのスリーブの端面とが、スタート、ストップ時に接触することによってハブの裏面の摩耗が早くなり、動圧軸受としての寿命が短いという難点がある。
【0008】
本発明は以上のような従来の問題点に鑑みてなされたもので、アルミ系材料からなるハブを回転部材としたものにおいて、スタート、ストップ時にハブと動圧軸受部材とが接触しても、ハブの摩耗を抑制して、寿命を延ばすことができる流体動圧軸受モータを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、
動圧軸受部材と、
この動圧軸受部材に対して回転する回転軸と、
上記回転軸と動圧軸受部材との間に介在している流体と、
上記回転軸と一体に回転駆動される回転部材と、
上記動圧軸受部材の軸方向端面と上記回転部材の軸方向端面との軸方向対向領域に設けられたスラスト動圧軸受と、
を有し、
動圧軸受部材は、
軸方向端部を半径方向外側に向かって拡径した拡径部を有し、
上記回転部材は、
ディスク載置部を有しアルミ系材料で形成されたハブと、
このハブに設けられると共に鉄系材料から形成され、上記スラスト動圧軸受を構成するスラストプレートと、
上記スラストプレートの軸方向端面に当接し、上記拡径部を前記スラストプレートとの間で軸方向に挟み込む脱落阻止部材と、
を有することを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、拡径部の軸方向端面とスラストプレートの軸方向端面との軸方向対向領域にスラスト動圧軸受が形成されていることを特徴とする。
【0011】
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、スラストプレートの内周側に回転軸が一体に嵌められ、スラストプレートの外周側に回転部材が一体に嵌められていることを特徴とする。
【0013】
請求項記載の発明は、
動圧軸受部材と、
この動圧軸受部材に対して回転する回転軸と、
上記回転軸と動圧軸受部材との間に介在している流体と、
上記回転軸と一体に回転駆動される回転部材と、
上記動圧軸受部材の軸方向端面と上記回転部材の軸方向端面との軸方向対向領域に設けられたスラスト動圧軸受と、
を有し、
上記回転部材は、
ディスク載置部を有しアルミ系材料で形成されたハブと、
このハブに設けられると共に鉄系材料からなっていて上記スラスト動圧軸受を構成するスラストプレートとを含み、
上記スラストプレートの内周面に上記回転軸が一体に嵌められ、
上記スラスト動圧軸受を構成する上記軸方向対向領域は、上記動圧軸受部材の軸方向端面と上記スラストプレートの軸方向端面とから構成される、
を特徴とする。
【0014】
請求項記載の発明は、請求項1乃至のいずれかに記載の発明において、回転軸と動圧軸受部材との半径方向の対向面にラジアル動圧軸受が形成され、ラジアル動圧軸受とスラスト動圧軸受には潤滑オイルが充填されていることを特徴とする。
【0015】
請求項記載の発明は、請求項1乃至のいずれかに記載の発明において、動圧軸受部材の外周面とこれに対向する脱落阻止部材の内周面との間隔が軸方向外側に向かって徐々に拡大するテーパー部が上記スラスト動圧軸受より軸方向外側に設けられ、このテーパー部により潤滑オイルの流出を防止する毛細管シール部が構成されていることを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明にかかる流体動圧軸受モータの実施形態について説明する。この実施形態は、ハードディスク等のディスクを回転駆動するディスク駆動装置として構成されている。
【0017】
図1において、符号16は回転軸を、符号14は動圧軸受部材をそれぞれ示している。動圧軸受部材14はスリーブ状になっていて、その中心孔には微小な間隙をおいて回転軸16が嵌められている。回転軸16には動圧軸受部材14の上端から突出した部分に回転部材20が圧入等によって接合されている。この例では、回転部材20はディスクを載置して回転するハブで、外周の軸方向中間部に段部を有し、この段部の上面がディスク載置部21となっている。回転軸16と回転部材20との接合部は、動圧を発生するための流体としての潤滑オイルが上記接合部から外部に漏れないように、全周が溶接され、またはシール材によってシールされている。回転部材20はアルミ合金など、アルミ系材料からなる。
【0018】
上記動圧軸受部材14は、ラジアル動圧軸受26、26を形成するための円筒部と、この円筒部の外周側に形成されたスラスト動圧軸受34形成用の拡径部28とを有してなる。この拡径部28は、上記円筒部の一端部(図において上端部)に、フランジ状に形成されている。上記回転部材20の裏面すなわち天井部にはリング状のスラストプレート32が埋め込まれている。スラストプレート32の下面と回転部材20の天井面はほぼ同一面になっている。回転部材20の天井面は動圧軸受部材14の上端面と微小な間隙をおいて対向し、スラストプレート32の下面は半径方向内側のほぼ半分が動圧軸受部材14の上記拡径部28の上面と微小な間隙をおいて対向している。動圧軸受部材14の上記拡径部28の上面にはスラスト方向の動圧力を発生するスパイラル溝が形成されて、上記拡径部28とスラストプレート32との間にスラスト動圧軸受34が形成されている。動圧軸受部材14と回転部材20との対向面間およびスラスト動圧軸受34には潤滑流体としての潤滑オイルが介在している。スラストプレート32は鉄系材料からなる。
【0019】
上記スラストプレート32の下面には、半径方向外側のほぼ半分に脱落阻止部材30が接合されている。脱落阻止部材30は、上端部の大径部とそれ以外の小径部とからなっていて、上記大径部と小径部との間の外周側顎部付近において回転部材20がかしめられることにより、脱落阻止部材30がスラストプレート32に接合された状態で回転部材20に固着されている。脱落阻止部材30の内周側には、上記大径部と小径部との間に段部が形成されていて、この段部が上記拡径部28の下面と微小な間隙をおいて対向している。このように、動圧軸受部材14の拡径部28を、実質一体の回転部材20と脱落阻止部材30とで微小な間隙をおいて挟み込んでいて、回転部材20と一体の回転軸16が動圧軸受部材14から脱落するのを阻止している。
【0020】
動圧軸受部材14の上記円筒部内周面には、軸方向両端近くにおいてラジアル動圧発生用溝が形成されている。上記ラジアル動圧発生用溝は、動圧軸受部材14の円筒部内周面の上下2箇所に、全周にわたって形成され、動圧軸受部材14と回転軸16との間でラジアル動圧軸受26が形成されている。上記スラスト動圧発生用溝も、拡径部28の上面の全周にわたって形成されている。これらの動圧発生用溝は、回転軸16が動圧軸受部材14に対して回転することにより、回転軸16および動圧軸受部材14相互間の潤滑オイルに動圧力を発生させ、回転軸16を動圧軸受部材14などに非接触で回転自在に支持する。
【0021】
動圧軸受部材14の下端には全周にわたる同心円形の周溝が形成され、この周溝には、偏平なキャップ状のカバー22の周壁が落とし込まれ、動圧軸受部材14の下端開口がカバー22で塞がれている。カバー22の外周部は上記動圧軸受部材14の下端周溝内において接着剤で封止されている。
【0022】
脱落防止部材30の内周面とこれに対向する動圧軸受部材14の外周面との間、脱落防止部材30の大径部内周面とこれに対向する動圧軸受部材14の拡径部28の外周面との間、スラストプレート32の内周側約半分の下面とこれに対向する上記拡径部28の上面との間すなわちスラスト動圧軸受34の部分、回転部材20の天井面とこれに対向する動圧軸受部材14の上面との間、ラジアル軸受26、26を含む動圧軸受部材14の内周面と回転軸16の外周面との間、および上記カバー22と回転軸16の下端面との間には隙間が形成されている。これらの隙間は互いに上記の順に連通していて、この隙間には前記潤滑オイルが充填されている。脱落防止部材30の内周面とこれに対向する上記動圧軸受部材14の外周面との間の隙間は下に向かって開放している。また、脱落防止部材30の内周面に対向する上記動圧軸受部材14の外周面は、下に向かって外径が小さくなる向きのテーパー部となっていて、上記脱落防止部材30の内周面と動圧軸受部材14の外周面との間の隙間は、その間隔が下に向かって徐々に拡大する毛細管シール部となっている。この毛細管シール部から上記隙間に潤滑オイルが注入され、毛細管シール部に、潤滑オイルの液面が位置している。
【0023】
図1に示すように、動圧軸受部材14の外周は、ベースプレート10の中心部に形成された円筒部12の内周側に嵌合され固定されている。ベースプレート10の上記円筒部12は脱落防止部材30近くまで延びている。ベースプレート10の上記円筒部12の外周側にステータ60が固定されている。ステータ60は、コア48と、このコア48が一体に有している複数の突極に巻き回された駆動コイル50とを有し、コア48の内周面が上記円筒部12の外周面に固定されている。上記複数の突極先端は半径方向外側に向いている。
【0024】
回転部材20は円筒形の周壁44を有していて、この周壁44の内周面にはリング状バックヨーク40の介在のもとにリング状の駆動マグネット42が取り付けられている。この駆動マグネット42と、回転部材20と、回転軸16とでモータのロータを構成している。上記ステータ60を構成するコア48の突極先端面は、上記駆動マグネット42の内周面と適宜の間隙をおいて対向していて、駆動コイル50への通電を切り替えることによってロータが回転駆動されるようになっている。このように、図1に示す実施形態は、アウターロータ形の流体動圧軸受モータになっている。
【0025】
図1に示すように、ベースプレート10には、上記駆動マグネット42の下端面と対向する位置に、リング状の磁性板52が固定されている。磁性板52は、駆動マグネット42の下端面と適宜の間隔をおいて対向していて、磁性板52と駆動マグネット42との間にはスラスト方向の磁気吸引力が発生する。この磁気吸引力は、回転部材20の回転によりスラスト動圧軸受34に発生するスラスト方向の動圧力に対して反対向きの力となる。回転部材20の回転によりスラスト動圧軸受34で発生するスラスト方向の力と、上記スラスト方向の磁気吸引力とのバランスによって、回転部材20の軸方向の位置が精度良く保たれるようになっている。
【0026】
上記流体動圧軸受モータの駆動コイル50への通電を、駆動マグネットの回転位置に応じて切り替え制御することにより、ステータコア48の突極と、ロータの駆動マグネット42との磁気的吸引反発力で、駆動マグネット42、回転部材20と回転軸16を含むロータが回転駆動される。このロータの回転によって、スラスト動圧軸受34に存在する潤滑オイルにスラスト動圧力が発生し、また、ラジアル動圧軸受26、26に存在する潤滑オイルにラジアル動圧力が発生し、回転軸16、回転部材20およびスラストプレート32が動圧軸受部材14に対し非接触状態を保持したままで相対回転する。
【0027】
以上説明した実施形態は、回転部材20であるハブの材料が、耐磨耗性の低いアルミ系材料である。このハブに直接スラスト動圧軸受を形成したとすると、従来の問題点のように、スタート、ストップ時に動圧軸受部材14と接触して急速に摩耗する。しかし、回転部材20に、鉄系材料からなるスラストプレート32を埋め込み、このスラストプレート32と回転部材20の拡径部28との軸方向対向領域にスラスト動圧軸受34を形成したため、スタート、ストップ時に動圧軸受部材14とスラストプレート32とが接触したとしても、スラストプレート32は耐磨耗性が高いため摩耗が遅く、流体動圧軸受モータの寿命を長くすることができる。
【0028】
スラストプレート32は動圧軸受部材14の拡径部28とハブとで挟まれているため、外れることはない。鉄系材料からなるスラストプレート32と、アルミ系材料からなるハブとでは熱膨張係数に差があり、単にスラストプレート32をハブに接合しただけでは、温度変化によりスラストプレート32が剥がれるおそれがある。その点、上記のようにスラストプレート32を挟み込んだ構造によれば、温度変化によりスラストプレート32が剥がれることを防止することができる。
【0029】
ラジアル動圧軸受26およびスラスト動圧軸受34を構成する動圧溝の例を図2、図3に示す。図2(a)(b)に示すように、動圧軸受部材14の拡径部28の上面にはスラスト動圧軸受34を構成するスパイラル溝56が形成されている。また、動圧軸受部材14の軸方向両端部内周面にはラジアル動圧軸受26を構成するヘリングボーン状の動圧溝54、55が形成されている。いずれの溝も、動圧軸受部材14の全周にわたって形成されている。図3(a)(b)に示す動圧溝の例も、図2(a)(b)に示す例とほぼ同様の構成になっているが、図2(a)(b)に示す例では、スラスト動圧軸受34を構成するスパイラル溝56が動圧軸受部材14の外周側と内周側ともに連通しているのに対し、図3(a)(b)に示す例ではスラスト動圧軸受34を構成するスパイラル溝57が動圧軸受部材14の内周側において止まっている点が異なる。
【0030】
図2、図3のいずれの例にせよ、ハブと共にスラストプレート32が回転することにより、動圧軸受内部の潤滑オイルがそれぞれの動圧溝で加圧され、ハブと共にスラストプレート32が動圧軸受部材14から浮上する。動圧軸受部材14の軸方向端面で、スラスト動圧軸受34よりも内周側にある潤滑オイル、すなわち毛細管シール部にある潤滑オイルは遠心力で外部に流出しやすくなる。ただし、遠心力で移動する潤滑オイルの量よりもスパイラル動圧溝で発生するポンピング力で移動する潤滑オイルの量が多ければ、潤滑油は漏れない。さらに、所定のポンピング力で軸受内部を加圧することにより、動圧軸受部材14から回転部材20を効率的に浮上させる。
【0031】
上記実施形態にかかる流体動圧軸受モータの組立手順を、図4、図5を参照しながら説明する。図4(a)は、回転軸16と、ハブである回転部材20と、スラストプレート32とが一体化された状態で上下反転された状態を示している。図4(b)は、一端がカバー22で塞がれた動圧軸受部材14を、上下反転した状態で示している。図4(c)に示すように、上記動圧軸受部材14を上記回転軸16の外周側から挿入する。次に、図4(d)に示す脱落阻止部材30を、図4(e)に示すように、上記動圧軸受部材14の外周側から挿入し、脱落阻止部材30の端面をスラストプレート32の外周側約半分に接合させる。さらに、回転部材20をかしめ、図4(f)に示すように、脱落阻止部材30と回転部材20を一体化する。回転部材20と脱落阻止部材30とのかしめ部および接合部を樹脂で封止し、次に述べる潤滑オイルの流出を防止する。図4(f)に示す姿勢で、脱落阻止部材30の内周面と動圧軸受部材14の外周側との間に形成されている毛細管シール部から潤滑オイルを注入し、軸受組とする。
【0032】
次に、図5に進んで、(g)に示す駆動マグネット42を(h)に示すバックヨーク40の内周面に沿って挿入し、(i)に示すように駆動マグネット42とバックヨーク40とを固着する。図5(f)に示すように、図4(f)に示す軸受組を上下反転して正規の姿勢すなわち動圧軸受部材14、回転軸16が回転部材20から下に延びた姿勢にし、この姿勢で、図5(j)に示すように、上記駆動マグネット42を固着したバックヨーク40を、回転部材20の周壁内周面に挿入し固着する。
【0033】
図5(k)に示すように、予めコア48の各突極に駆動コイル50が巻き回されてなるステータ60がベースプレート10に固定されて、ステータ・ベース部組が構成されている。このステータ・ベース部組を構成するベースプレート10の円筒部12の内周側に、図5(j)に示す軸受・ロータ組の動圧軸受部材14が挿入され、圧入などの適宜の固着手段によって固着され、図5(j)に示すように流体動圧軸受モータが完成する。
【0034】
以上説明した実施形態では、回転部材20に固着されたスラストプレート32に脱落阻止部材30が接合されていたが、脱落阻止部材30は回転部材20に直接接合されていてもよく、これによっても脱落阻止機能を持つことができる。図6に示す参考例はその例で、回転部材20に脱落阻止部材30の上端面が直接接合されている。
【0035】
ただ、この参考例によれば、スラストプレート32の厚さ寸法のばらつきが直接スラスト方向の隙間寸法のばらつきとなって表れる難点がある。図6の(a)と(b)はこのことを比較して示している。図6(a)はスラストプレート32の厚さ寸法がT1の場合、図6(b)はスラストプレート32の厚さ寸法がT2の場合であって、T1<T2の関係になっている場合を示している。上記T1の場合は前記動圧軸受部材14の拡径部28の顎部と脱落阻止部材30の段部とのスラスト方向の隙間寸法がH1、上記T2の場合は上記スラスト方向の隙間寸法がH2で、H1>H2となり、スラスト方向の隙間寸法Hのばらつきが大きい。
【0036】
その点、図1ないし図5について説明した実施形態によれば、スラストプレート32の厚さ寸法がばらついても、動圧軸受部材14の拡径部28の顎部と脱落阻止部材30の段部とのスラスト方向の隙間寸法Hのばらつきは生じない。図7はこの理由を説明している。図7(a)はスラストプレート32の厚さ寸法がT3の場合、図6(b)はスラストプレート32の厚さ寸法がT4の場合であって、T3<T4の関係になっている。スラストプレート32には、半径方向外側の約半分の下面に脱落阻止部材30の上端面が接合した状態で脱落阻止部材30が回転部材20の固着されている。動圧軸受部材14の拡径部28とスラストプレート32の半径方向内側約半分の下面との間でスラスト動圧軸受34が構成され、この動圧力で相互間の間隙は一定に保たれる。そのため、スラスト動圧軸受34部分のスラスト方向間隙の基準位置と脱落阻止部材30のスラスト方向基準位置とがともにスラストプレート32の下面であり、動圧軸受部材14の拡径部28の顎部と脱落阻止部材30の段部とのスラスト方向の隙間寸法は図7の(a)(b)の場合ともにH3で変わりがない。
【0037】
仮に、スラスト方向の隙間が広くなったとすると、振動や衝撃などで、ハブに載置されている磁気ディスクが磁気ヘッドのランプロード部に接触するなどの不具合が発生する。逆に、スラスト方向の隙間が狭くなると、ロストルクが増大して駆動電流値が増え、また、拡径部28の顎部と脱落防止部材30の段部とが接触するという難点がある。その点、図1、図7に示すような構成にしておけば、スラスト方向の動圧力が安定し、動圧力のばらつきによる不具合を解消することができる。
【0038】
次に、図8に示す実施形態について前記実施形態と異なる部分を重点的に説明する。図8に示す実施形態が前記実施形態と異なる部分は、スラストプレートの形状ないしは構造である。図8において、符号33はスラストプレートを示しており、スラストプレート33は、円筒部と、軸方向一端部の外径を拡張した鍔部35とを有してなる。スラストプレート33の上記円筒部内周側に回転軸16が一体に嵌められ、スラストプレート33の上記鍔部35の外周側にディスクを載置するハブである回転部材20が一体に嵌められている。上記鍔部35の下面は動圧軸受部材14の上端面と微小間隙をおいて対向すると共に、動圧軸受部材14の上端面よりも外周側にはみ出した上記鍔部35の下面には脱落阻止部材30の上端面が接合されている。動圧軸受部材14の拡径部28の上面にはスラスト方向の動圧力を発生するためのスパイラル溝が形成され、上記スラストプレート33の鍔部35の下面と動圧軸受部材14の拡径部28との間でスラスト動圧軸受34が形成されている。回転部材20はアルミ系材料で形成され、スラストプレート33は鉄系材料で形成されている。
【0039】
図8に示す実施形態によれば、回転軸16と回転部材20との間に鉄系材料からなるスラストプレート33が介在しているので、回転軸16とスラストプレート33との結合強度を高めることができると共に、スラストプレート33の外周側で回転部材20と結合しているので、結合面積を大きくしてスラストプレート33と回転部材20との結合強度を高めることができ、結果として、回転軸16と回転部材20との結合強度を高めることができる。前にも述べたとおり、アルミ系材料からなるハブと回転軸との結合強度を高めるため、ハブと回転軸との間に鉄系リングを介在させたものはあったが、図8に示す実施形態では、スラストプレート33が上記鉄系リングを兼ねており、この点が従来技術とは異なっている。また、スラストプレート33と上記鉄系リングとを一つの部材で形成することができる利点がある。
【0040】
図示の実施形態はいずれもアウターロータ型であったが、本発明はインナーロータ型にも適用することができる。本発明は、動圧発生用流体として潤滑オイルを使用したオイル動圧モータに限らず、動圧発生用流体として空気を利用した空気動圧モータにも適用可能である。本発明にかかる流体動圧軸受モータは、ディスク駆動モータだけでなく、各種回転体の駆動モータとして用いることができる。
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、回転軸と一体に回転駆動される回転部材は、アルミ形材料で形成されたハブと、このハブに設けられ鉄系材料で形成されたスラストプレートとを含み、このスラストプレートと動圧軸受部材との間でスラスト動圧軸受を構成しているため、スタート、ストップ時にハブと動圧軸受部材とが接触しても、ハブの摩耗を抑制して、寿命を延ばすことができる。
【0042】
また、本発明のように、動圧軸受部材に拡径部を設けてこの拡径部にスラスト動圧軸受を形成すると共に、上記拡系部を回転部材と脱落阻止部材とで挟み込むことにより、動圧軸受部材と回転部材とが互いに脱落することを防止することができる。
【0043】
本発明のように、脱落阻止部材をスラストプレートに当接させることにより、流体が介在する隙間であってスラスト方向の隙間が安定し、スラスト方向の動圧力のばらつきを低減することができる。
【0044】
本発明によれば、アルミ系材料からなるハブと回転軸との結合強度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる流体動圧軸受モータの実施形態を示す断面図である。
【図2】上記実施形態に用いることができる動圧軸受部材の例を示すもので、(a)は平面図、(b)は縦断面図である。
【図3】上記実施形態に用いることができる動圧軸受部材の別の例を示すもので、(a)は平面図、(b)は縦断面図である。
【図4】上記実施形態にかかる流体動圧軸受モータの組立手順を示す断面図である。
【図5】図4に示す組立手順に続く組立手順を示す断面図である。
【図6】参考例にかかる流体動圧軸受モータを示す要部断面図で、(a)と(b)はそれぞれスラストプレートの厚さ寸法が異なる場合を示している。
【図7】図1に示す流体動圧軸受モータの実施形態を示す要部断面図で、(a)と(b)はそれぞれスラストプレートの厚さ寸法が異なる場合を示している。
【図8】本発明にかかる流体動圧軸受モータのさらに別の実施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
14 動圧軸受部材
16 回転軸
20 回転部材としてのハブ
21 ディスク載置部
26 ラジアル動圧軸受
28 拡径部
30 脱落防止部材
32 スラストプレート
33 スラストプレート
34 スラスト動圧軸受

Claims (6)

  1. 動圧軸受部材と、
    この動圧軸受部材に対して回転する回転軸と、
    上記回転軸と動圧軸受部材との間に介在している流体と、
    上記回転軸と一体に回転駆動される回転部材と、
    上記動圧軸受部材の軸方向端面と上記回転部材の軸方向端面との軸方向対向領域に設けられたスラスト動圧軸受と、
    を有し、
    動圧軸受部材は、
    軸方向端部を半径方向外側に向かって拡径した拡径部を有し、
    上記回転部材は、
    ディスク載置部を有しアルミ系材料で形成されたハブと、
    このハブに設けられると共に鉄系材料から形成され、上記スラスト動圧軸受を構成するスラストプレートと、
    上記スラストプレートの軸方向端面に当接し、上記拡径部を前記スラストプレートとの間で軸方向に挟み込む脱落阻止部材と、
    を有することを特徴とする流体動圧軸受モータ。
  2. 拡径部の軸方向端面とスラストプレートの軸方向端面との軸方向対向領域にスラスト動圧軸受が形成されている請求項1記載の流体動圧軸受モータ。
  3. スラストプレートの内周側に回転軸が一体に嵌められ、スラストプレートの外周側に回転部材が一体に嵌められている請求項1又は2に記載の流体動圧軸受モータ。
  4. 動圧軸受部材と、
    この動圧軸受部材に対して回転する回転軸と、
    上記回転軸と動圧軸受部材との間に介在している流体と、
    上記回転軸と一体に回転駆動される回転部材と、
    上記動圧軸受部材の軸方向端面と上記回転部材の軸方向端面との軸方向対向領域に設けられたスラスト動圧軸受と、
    を有し、
    上記回転部材は、
    ディスク載置部を有しアルミ系材料で形成されたハブと、
    このハブに設けられると共に鉄系材料からなっていて上記スラスト動圧軸受を構成するスラストプレートとを含み、
    上記スラストプレートの内周面に上記回転軸が一体に嵌められ、
    上記スラスト動圧軸受を構成する上記軸方向対向領域は、上記動圧軸受部材の軸方向端面と上記スラストプレートの軸方向端面とから構成される、
    ことを特徴とする流体動圧軸受モータ。
  5. 回転軸と動圧軸受部材との半径方向の対向面にラジアル動圧軸受が形成され、ラジアル動圧軸受とスラスト動圧軸受には潤滑オイルが充填されている請求項1乃至4のいずれかに記載の流体動圧軸受モータ。
  6. 動圧軸受部材の外周面とこれに対向する脱落阻止部材の内周面との間隔が軸方向外側に向かって徐々に拡大するテーパー部が上記スラスト動圧軸受より軸方向外側に設けられ、このテーパー部により潤滑オイルの流出を防止する毛細管シール部が構成されている請求項1乃至5のいずれかに記載の流体動圧軸受モータ。
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