JP2004044789A - オイル動圧軸受モータ - Google Patents
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Abstract
【課題】回転軸と回転部材との接合長さ、脱落防止部材の厚さ、毛細管シール部の長さ、動圧軸受部材とベースプレートとの接合部の長さを充分に確保することができるオイル動圧軸受モータを得る。
【解決手段】回転軸16の周面に嵌められ回転軸16と一体に回転駆動される回転部材20と、動圧軸受部材14に形成された拡径部28と、回転部材20に設けられ動圧軸受部材14の拡径部28と軸方向に重合して回転軸16の脱落を防止する脱落防止部材30と、脱落防止部材30と拡径部28との軸方向対向面の外側から軸方向に延設されて潤滑オイル18の外部流出を阻止するシール部32とを備え、回転部材20の少なくとも拡径部28との対向部分に軸方向の凹部38が形成されて凹部38内に拡径部28が配設され、回転部材20と回転軸16との接合部36と拡径部28が半径方向に重なっている。
【選択図】 図1
【解決手段】回転軸16の周面に嵌められ回転軸16と一体に回転駆動される回転部材20と、動圧軸受部材14に形成された拡径部28と、回転部材20に設けられ動圧軸受部材14の拡径部28と軸方向に重合して回転軸16の脱落を防止する脱落防止部材30と、脱落防止部材30と拡径部28との軸方向対向面の外側から軸方向に延設されて潤滑オイル18の外部流出を阻止するシール部32とを備え、回転部材20の少なくとも拡径部28との対向部分に軸方向の凹部38が形成されて凹部38内に拡径部28が配設され、回転部材20と回転軸16との接合部36と拡径部28が半径方向に重なっている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転軸と動圧軸受部材を備え、回転軸と動圧軸受部材とが互いに非接触で相対回転することができるオイル動圧軸受モータに関するもので、たとえば磁気ディスク、光ディスク等のディスク駆動用モータとして、その他、高い回転精度が要求される各種装置の駆動モータとして用いることができるものである。
【0002】
【従来の技術】
高い回転精度が要求される各種装置の駆動モータとしてオイル動圧軸受モータが用いられている。たとえば、ハードディスク駆動装置においては、ハードディスクの記録密度が月日を追って高くなっており、これに伴って、ディスクの回転速度および回転精度がますます高くなっている。ディスクの高回転速度化および高回転精度化の要求に応えるには、オイル動圧軸受モータを用いることが適している。
【0003】
オイル動圧軸受モータの高回転速度化および高回転精度化を図るためには、接合部材相互の接合長さを長くし、また、動圧軸受の剛性を高めるために、ラジアル動圧軸受による軸受範囲を軸方向に長く確保することが有効である。一方では、動圧モータの寿命を長く維持するために十分な量の潤滑オイルを封入することができるように工夫することが望まれ、また、潤滑オイルの漏れを防止するためのシール装置を、空間的余裕をもって配置できることが望ましい。
【0004】
上記のような要求に応えるオイル動圧軸受モータとして、図7、図8に示されるようなオイル動圧軸受モータが知られている(例えば、特許文献1参照。)。以下、図7、図8に示すオイル動圧軸受モータの例について説明する。なお、図7、図8には動圧軸受部分を中心に描かれていて、モータ部分は省略されている。
【0005】
図7において、符号16は回転軸を、符号14は動圧軸受部材をそれぞれ示している。動圧軸受部材14はほぼ円筒形状になっていて、その中心孔には微小な間隙をおいて回転軸16が嵌められている。回転軸16には動圧軸受部材14の上端から突出した部分に回転部材20が圧入等によって接合されている。この例では、回転部材20はディスクを載置して回転するハブである。動圧力を発生するための潤滑オイル18が外部に漏れないように、回転軸16と回転部材20との接合部は全周が溶接され、またはシール材によってシールされている。
【0006】
上記動圧軸受部材14は、ラジアル動圧軸受26、26を形成するための円筒部と、この円筒部の外周側に形成されたスラスト動圧軸受34形成用の拡径部28とを有してなる。この拡径部28は、上記円筒部の一端部(図において左端部)に、フランジ状に形成されている。動圧軸受部材14の上記円筒部内周面に、ラジアル動圧発生用溝が形成され、上記拡径部28側の端面に、スラスト動圧発生用溝が形成されている。上記ラジアル動圧発生用溝は、動圧軸受部材14の円筒部内周面の上下2箇所に、全周にわたって形成されている。上記スラスト動圧発生用溝も、拡径部28側の端面の全周にわたって形成されている。
【0007】
上記動圧軸受部材14の円筒部に、回転部材20が一体に圧入された回転軸16が上側から挿入されている。動圧軸受部材14の外周下側からリング状の脱落防止部材30が挿入され、回転部材20の内周面54に接合されている。回転部材20は上記内周面54に続く平坦な段部56を有していて、この段部56にも上記脱落防止部材30が接合されている。さらに、後述の潤滑オイル18が漏れないように、脱落防止部材30と回転部材20との接合部は接着剤等で封止されている。動圧軸受部材14の下端には全周にわたる同心円形の周溝が形成され、この周溝には、偏平な略キャップ状のカバー22の周壁が落とし込まれ、動圧軸受部材14の下端開口がカバー22で塞がれている。カバー22の外周部は上記動圧軸受部材14の下端周溝内において接着剤24等で封止されている。
【0008】
脱落防止部材30の内周面とこれに対向する動圧軸受部材14の外周面との間、脱落防止部材30の上面とこれに対向する動圧軸受部材14の拡径部28の下面との間、上記拡径部28の外周面とこれに対向する回転部材20の周壁面との間、回転部材20の天井面とこれに対向する上記拡径部28の上面との間、動圧軸受部材14の内周面と回転軸16の外周面との間、および上記カバー22と回転軸16の下端面との間には隙間が形成されている。これらの隙間は互いに上記の順に連通していて、この隙間には潤滑オイル18が充填されている。脱落防止部材30の内周面とこれに対向する上記動圧軸受部材14の外周面との間の隙間が下に向かって開放している。また、脱落防止部材30の内周面に対向する上記動圧軸受部材14の外周面は、下に向かって外径が小さくなる向きのテーパー部となっていて、上記脱落防止部材30の内周面と動圧軸受部材14の外周面との間の隙間は、その間隔が下に向かって徐々に拡大する毛細管シール部32となっている。この毛細管シール部32に、潤滑オイル18の液面が位置している。
【0009】
上記毛細管シール部32から上記隙間に潤滑オイル18が注入される。上記回転部材20の、上記拡径部側の端面とこれに対向する上記拡径部28側の端面との間にはスラスト動圧軸受34が形成され、動圧軸受部材14の内周面と回転軸16の外周面との間の上下2箇所にはラジアル動圧軸受26、26が形成されている。これらの動圧軸受に上記潤滑オイル18が介在している。
【0010】
動圧軸受部材14の下側約半分の外周は、点線で示すベースプレート10の中心部に形成された円筒部の内周側に嵌合され固定されている。ベースプレート10の上記円筒部は回転部材20内に脱落防止部材30近くまで進入している。図7において符号Lは、ベースプレート10と動圧軸受部材14との軸方向の接合長さを示している。
【0011】
回転部材20の下端には円筒形の周壁44が形成され、この周壁44の外周面には図示されない駆動マグネットが取り付けられている。この駆動マグネットと、回転部材20と、回転軸16とでモータのロータを構成している。一方、ベースプレート10には、図示されないコアと、このコアが一体に有している複数の突極に巻き回された駆動コイルとを有してなるモータのステータが固定されている。このステータの突極は上記駆動マグネットの外周面と適宜の間隙をおいて対向していて、駆動コイルへの通電を切り替えることによってロータが回転駆動される。
【0012】
図8に示す例は、図7に示す例とほぼ同じ構成で、脱落防止部材30の厚さ、毛細管シール部32の長さ、動圧軸受部材14とベースプレート10との接合部の長さLが異なっている。図7に示す例では、回転軸16と回転部材20との接合長さ、脱落防止部材30の厚さ、毛細管シール部32の長さを充分に取っているが、動圧軸受部材14とベースプレート10との接合部の長さLが充分ではない。図8に示す例では、回転軸16と回転部材20との接合長さ、動圧軸受部材14とベースプレート10との接合部の長さLを充分に取っているが、脱落防止部材30の厚さ、毛細管シール部32の長さが充分でなく、潤滑オイルの保有量が少なく、潤滑オイルの蒸発によってモータの寿命が短くなる可能性がある。また、ベースプレート10と動圧軸受部材14ととの接合強度も不十分である。
【0013】
【特許文献1】
特開2001−65552号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
近年、ハードディスク駆動装置その他の装置一般において小型化、薄型化の要求がますます高まってきており、それに伴ってオイル動圧軸受モータの薄型化の要求がますます高まっている。例えば、ハードディスク駆動装置はカード対応といわれるような極薄型のものも実現しつつあり、これに用いられるモータは高さを3mm程度に抑えることが要求される。このように高さ寸法が極めて限られたオイル動圧軸受モータを、図7、図8に示すような構造で実現しようとすると、以下のような各種の問題を生じる。
【0015】
回転部材20と回転軸16とを接合する際に、双方の直角度精度が悪いと、回転時の回転部材20の振れが大きくなり、ディスク駆動モータの場合は、ディスク搭載面が振れてディスクがうねって回転することにより、あるいは、ディスクの振動により、またディスクの回転で発生する風の流れが乱れることにより、ヘッドがディスクから所定量浮上しないという問題、さらにはトラックずれが生じて記録再生時のエラーレートが増大するという問題が発生する。また、回転部材20の裏面をスラスト軸受面としているため、回転軸16に対する回転部材20の直角度が悪いと、浮上回転数すなわち所定のスラスト方向の浮上力を得るための回転数が高くなり、動圧軸受部材14に対して回転体20が接触している時間が長くなり、軸受磨耗量が増えて軸受の信頼性が低下するという問題がある。
一方、回転部材20と回転軸16の直角度を確保するためには、相互の接合長さが所定量以上必要である。
【0016】
次に、動圧軸受部材14の高さすなわち軸方向の長さについて考える。動圧軸受部材14の外周部は、拡径部28の厚さ寸法と、脱落防止部材30との対応長さと、毛細管シール部32の長さと、ベースプレート10と動圧軸受部材14との接合長さとが必要である。また、ベースプレート10と動圧軸受部材14との接合長さは、外部から衝撃力や振動が加わっても、相互間で移動したり分離したりしないような接合強度が必要である。通常、ベースプレート10と動圧軸受部材14は接着剤で接合するため、接合面積が充分確保されていることが必要である。
【0017】
図7、図8に示す例のように、スラスト動圧軸受34がラジアル動圧軸受26の端部位置と軸方向にほぼ同じ位置にあるものにおいては、近年のようにモータの薄型化がますます厳しく要求されてくると、図7、図8に示す例のような構成では上記の要求を満足できない事態が発生する。すなわち、図7の例のように、回転軸16と回転部材20との接合長さ、脱落防止部材30の厚さ、毛細管シール部32の長さを充分にとると、動圧軸受部材14とベースプレート10との接合部の長さLを充分に確保することができない。図8の例のように、回転軸16と回転部材20との接合長さ、動圧軸受部材14とベースプレート10との接合部の長さLを充分に取ると、脱落防止部材30の厚さ、毛細管シール部32の長さを充分に確保することができない。
【0018】
本発明は以上のような従来の問題点に鑑みてなされたもので、回転軸と回転部材との接合長さ、脱落防止部材の厚さ、毛細管シール部の長さを充分にとることができ、併せて、動圧軸受部材とベースプレートとの接合部の長さを充分に確保することができるオイル動圧軸受モータを提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、動圧軸受部材およびこの動圧軸受部材に対して相対回転する回転軸と、回転軸と動圧軸受部材との間に介在している潤滑オイルと、回転軸と動圧軸受部材との間に形成されていて回転軸および動圧軸受部材が相対回転することにより回転軸および動圧軸受部材相互間の潤滑オイルに動圧力を発生させて回転軸を回転自在に支持する動圧力発生手段と、回転軸の周面に嵌められ電磁的駆動力により回転軸と一体に回転駆動される回転部材と、動圧軸受部材に形成された拡径部と、回転部材に設けられ動圧軸受部材の拡径部と軸方向に重合することにより回転軸が動圧軸受部材から脱落するのを防止する脱落防止部材と、この脱落防止部材と上記拡径部との軸方向における対向面の外側から軸方向に延設されて潤滑オイルの外部流出を阻止するシール部とを備え、回転部材の少なくとも拡径部との対向部分に軸方向の凹部が形成されていてこの凹部内に拡径部が配設されており、回転部材と回転軸との接合部と上記拡径部が半径方向に重なっていることを特徴とする。
【0020】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、回転軸と動圧軸受部材との半径方向の対向面にラジアル動圧軸受が形成され、動圧軸受部材の拡径部側の端面とこれに対向する回転部材との軸方向の対向面にスラスト動圧軸受が形成されていることを特徴とする。
【0021】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、ラジアル動圧軸受とスラスト動圧軸受には潤滑オイルが充填されており、動圧軸受部材の外周面とこれに対向する脱落防止部材の内周面との間隔が軸方向外側に向かって徐々に拡大するテーパー部がスラスト動圧軸受より軸方向外側に設けられ、このテーパー部により潤滑オイルの漏れ防止用の毛細管シール部が構成されていることを特徴とする。
【0022】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の発明において、回転部材はディスク載置用ハブであり、ディスク駆動装置用として構成されていることを特徴とする。
【0023】
請求項5記載の発明は、請求項1記載の発明において、回転部材は外周側に駆動マグネットを有し、この駆動マグネットの外周側にモータのステータが配置されたインナーロータ型モータが形成されていることを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明において、駆動マグネットが対向するベースプレートの面には磁性板が配置され、スラスト動圧軸受で発生するスラスト方向の動圧力とは反対向きの磁気吸引力が発生することを特徴とする。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明にかかるオイル動圧軸受モータの実施の形態について説明する。この実施の形態は、ハードディスク等のディスクを回転駆動するディスク駆動装置として構成されているが、本発明にかかる動圧軸受装置は、ディスク駆動装置以外の各種機器の動圧軸受装置として適用可能なものである。図7、図8に示す例の構成部分と同じ構成部分には共通の符号を付している。
【0025】
図1、図2において、符号16は回転軸を、符号14は動圧軸受部材をそれぞれ示している。動圧軸受部材14はほぼ円筒形状になっていて、その中心孔には微小な間隙をおいて回転軸16が嵌められている。回転軸16には動圧軸受部材14の上端から突出した部分に回転部材20が圧入等によって接合されている。
この例では、回転部材20はディスクを載置して回転するハブで、外周の軸方向中間部にフランジを有し、このフランジの上面にディスク載置部40が設けられている。回転軸16と回転部材20との接合部は、動圧を発生するための潤滑オイル18が上記接合部から外部に漏れないように、接合部の全周が溶接され、またはシール材によってシールされている。
【0026】
上記動圧軸受部材14は、ラジアル動圧軸受26、26を形成するための円筒部と、この円筒部の外周側に形成されたスラスト動圧軸受34形成用の拡径部28とを有してなる。この拡径部28は、上記円筒部の一端部(図において上端部)に、フランジ状に、また、上記円筒部の一端から軸方向外方に(図において上端から上方に)突出させて形成されている。したがって、回転部材20と回転軸16との接合部36と、上記拡径部28は半径方向に重なり合っている。上記回転部材20の天井面は動圧軸受部材14の上端面と対向していて、動圧軸受部材14の上端面の形状に合わせて上記拡径部28を受け入れる凹部38が形成されている。この凹部38を補完するように上記拡径部28が上記凹部38に配置されて、拡径部28は上面側と両側面側から上記凹部38で覆われるとともに、動圧軸受部材14と回転部材20との対向面間には潤滑オイル18が介在する隙間が形成されている。
【0027】
動圧軸受部材14の上記円筒部内周面には、軸方向両端近くにおいてラジアル動圧発生用溝が形成され、上記拡径部28の上面には、スラスト動圧発生用溝が形成されている。上記ラジアル動圧発生用溝は、動圧軸受部材14の円筒部内周面の上下2箇所に、全周にわたって形成されている。上記スラスト動圧発生用溝も、拡径部28の上面の全周にわたって形成されている。これらの動圧発生用溝は、回転軸16が動圧軸受部材14に対して回転することにより、回転軸16および動圧軸受部材14相互間の潤滑オイル18に動圧力を発生させて回転軸16を回転自在に支持する動圧力発生手段を構成している。
【0028】
上記動圧軸受部材14の円筒部に、回転部材20が一体に圧入された回転軸16が上側から挿入されている。動圧軸受部材14の外周下側からはリング状の脱落防止部材30が挿入され、回転部材20の内周面54に接合されている。回転部材20は上記内周面54に続く平坦な段部56を有していて、この段部56にも上記脱落防止部材30が接合されている。さらに、後述の潤滑オイル18が漏れないように、脱落防止部材30と回転部材20との接合部は接着剤等で封止されている。上記脱落防止部材30は動圧軸受部材14の上記拡径部28の下側に位置し、拡径部28の外周縁部と軸方向おいて微小な隙間を置いて重なり合っている。
【0029】
動圧軸受部材14の下端には全周にわたる同心円形の周溝が形成され、この周溝には、偏平なキャップ状のカバー22の周壁が落とし込まれ、動圧軸受部材14の下端開口がカバー22で塞がれている。カバー22の外周部は上記動圧軸受部材14の下端周溝内において接着剤24等で封止されている。
【0030】
脱落防止部材30の内周面とこれに対向する動圧軸受部材14の外周面との間、脱落防止部材30の上面とこれに対向する動圧軸受部材14の拡径部28の下面との間、上記拡径部28の外周面とこれに対向する回転部材20の周壁面との間、回転部材20の天井面とこれに対向する上記拡径部28の上面との間、動圧軸受部材14の内周面と回転軸16の外周面との間、および上記カバー22と回転軸16の下端面との間には隙間が形成されている。これらの隙間は互いに上記の順に連通していて、この隙間には潤滑オイル18が充填されている。脱落防止部材30の内周面とこれに対向する上記動圧軸受部材14の外周面との間の隙間は下に向かって開放している。また、脱落防止部材30の内周面に対向する上記動圧軸受部材14の外周面は、下に向かって外径が小さくなる向きのテーパー部となっていて、上記脱落防止部材30の内周面と動圧軸受部材14の外周面との間の隙間は、その間隔が下に向かって徐々に拡大する毛細管シール部32となっている。この毛細管シール部32に、潤滑オイル18の液面が位置している。
【0031】
上記毛細管シール部32から上記隙間に潤滑オイル18が注入される。動圧軸受部材14の凹部38の天井面とこれに対向する上記拡径部28の上面との間にはスラスト動圧軸受34が形成され、動圧軸受部材14の内周面と回転軸16の外周面との間の上下2箇所にはラジアル動圧軸受26、26が形成されている。これらの動圧軸受に上記潤滑オイル18が介在している。
【0032】
図1に示すように、動圧軸受部材14の下側約半分の外周は、ベースプレート10の中心部に形成された円筒部12の内周側に嵌合され固定されている。ベースプレート10の上記円筒部12は回転部材20内に脱落防止部材30近くまで進入している。ベースプレート10は外周側に周壁46を有し、この周壁46の内周側には、ステータ60が固定されている。ステータ60は、コア48と、このコア48が一体に有している複数の突極に巻き回された駆動コイル50とを有し、コア48の外周面が上記周壁46の内周面に固定されている。上記複数の突極先端はモータの中心に向いている。
【0033】
回転部材20の下端には円筒形の周壁44が突出して形成され、この周壁44の外周面にはリング状の駆動マグネット42が取り付けられている。この駆動マグネット42と、回転部材20と、回転軸16とでモータのロータを構成している。上記ステータ60を構成するコア48の突極先端面は、上記駆動マグネット42の外周面と適宜の間隙をおいて対向していて、駆動コイル50への通電を切り替えることによってロータが回転駆動されるようになっている。このように、図1、図2に示す実施形態は、インナーロータ形のオイル動圧軸受モータになっている。
【0034】
図1に示すように、ベースプレート10の上面には、上記円筒部12を囲んで断面L字形をしたリング状の磁性板52が固定されている。磁性板52の平面部分は、駆動マグネット42の下面と適宜の間隔をおいて対向している。磁性板52と駆動マグネット42との間にはスラスト方向の磁気吸引力が発生する。この磁気吸引力は、回転体20の回転によりスラスト動圧軸受34に発生するスラスト方向の動圧力に対して反対向きの力となる。回転部材20の回転によりスラスト動圧軸受34で発生するスラスト方向の力と、上記スラスト方向の磁気吸引力とのバランスによって、回転体20の軸方向の位置が精度良く保たれるようになっている。
【0035】
上記潤滑オイル18は毛細管シール部32から上記隙間に注入する。この注入方法は任意で、例えば、上記隙間を真空状態ないしは負圧状態にして注入するとよい。スラスト動圧軸受34および上下のラジアル動圧軸受26,26に潤滑オイル18が介在している。
【0036】
上記オイル動圧軸受モータの駆動コイル50への通電を、駆動マグネットの回転位置に応じて切り替え制御することにより、ステータコア48の突極と、ロータの駆動マグネット42との磁気的吸引反発力で、駆動マグネット42、回転部材20と回転軸16を含むロータが回転駆動される。このロータの回転によって、スラスト動圧軸受34に存在する潤滑オイル18にスラスト動圧力が発生し、また、ラジアル動圧軸受26、26に存在する潤滑オイル18にラジアル動圧力が発生し、回転軸16および回転部材20が動圧軸受部材14に対し非接触状態を保持したままで相対回転する。
【0037】
以上説明した実施の形態は、動圧軸受部材14に拡径部28を形成し、回転部材20には、上記拡径部28と軸方向に重なり合うことにより回転軸16が動圧軸受部材14から脱落するのを防止する脱落防止部材30を設け、この脱落防止部材30と上記拡径部28との軸方向における対向面の外側から軸方向に、潤滑オイル18の外部流出を阻止するシール部32を延設している。そして、回転部材20の少なくとも上記拡径部28との対向部分に軸方向の凹部38形成してこの凹部38内に上記拡径部28を配設し、回転部材20と回転軸16との接合部36と上記拡径部28を半径方向に重ね合わせている。そのため、回転部材20と回転軸16との接合部36の厚さよりも、動圧軸受部材14の拡径部28が格納された部分の回転部材20の厚さを薄くすることができ、その分モータ全体の高さ方向寸法を抑えながら、回転部材20と回転軸16との接合部36の長さを充分に確保して、回転部材20と回転軸16との直角度精度を確保することができる。これによって、ディスク駆動用モータの場合はディスクの振れを小さくすることができ、また、スラスト軸受の信頼性を向上させることができる。
【0038】
また、上記のように、動圧軸受部材14の拡径部28が格納された部分の回転部材20の厚さを薄くすることが可能になったことにより、その分毛細管シール部32の軸方向の長さを長くして充分な長さにすることができ、充分な量の潤滑オイルの確保と、シール効果の高いシール部32とすることによって、信頼性の高い動圧軸受を得ることができる。さらに、動圧軸受部材14とベースプレート10との接合長さを充分長く確保しすることができるため、充分大きな接合強度がえられ、外部からの振動や衝撃に強いオイル動圧軸受モータを得ることができる。
【0039】
スラスト動圧軸受34はスパイラル動圧溝を有していて、ロータの回転に伴い、上記スパイラル動圧溝に潤滑オイルが導入されて軸受内部の動圧力が高められ、回転部材20が動圧軸受部材14から浮上する。動圧軸受部材14の軸方向端面で、スラスト動圧軸受34よりも内周側にある潤滑オイル18、すなわち毛細管シール部32にある潤滑オイル18は遠心力で外部に漏れやすくなる。ただし、遠心力で移動する潤滑オイルの量よりもスパイラル動圧溝で発生するポンピング力で移動する潤滑オイルの量が多ければ、潤滑油は漏れない。さらに、所定のポンピング力で軸受内部を加圧することにより、動圧軸受部材14から回転部材20を効率的に浮上させる。
【0040】
図3に示す実施の形態はこのようなことを考慮したもので、拡径部28の最も外径寄りの位置にスラスト動圧軸受34が形成され、毛細管シール部32の径をφd1、スラスト動圧軸受34のスパイラル動圧溝の内周側径をφd、外周側径をφDとしたとき、φd1<φDの関係になっている。すなわち、毛細管シール部32の径φd1は、半径方向において上記スパイラル動圧溝の形成範囲内にある。そのため、スパイラル動圧溝のポンピング力で移動する潤滑オイルの量が毛細管シール部32の遠心力で生じる潤滑オイルの量よりも多く、潤滑油が漏れることはないし、スラスト動圧軸受34の内部が効果的に加圧される。
【0041】
図4に示す実施の形態は、スラスト動圧軸受34を、動圧軸受部材14の拡径部28の外径から内周側にずらして、拡径部28の外径と内径の中間部に設け、毛細管シール部32の径φd1とスラスト動圧軸受34のスパイラル動圧溝の外周側径をφDとをほぼ等しくしたものである。この実施形態の場合、拡径部周囲のオイルは遠心力を受けるが、漏れることはない。
【0042】
図5に示す実施の形態は、拡径部28の最も内径寄りの位置にスラスト動圧軸受34を形成し、φD<φd1の関係にしたものである。この実施形態の場合、図4に示す実施の形態のばあいよりもスラスト軸受が内側方向となるため、スラスト軸受ロストルクは小さくなり、低消費電力化が可能となるが、毛細管シール部32のオイルに作用する遠心力は毛細管シール力のみに頼ることになり、回転速度が低いこと、あるいはスラスト軸受径が小さいことが前提となる。
【0043】
図6に示す実施の形態は、拡径部28よりもさらに内径側の、回転部材20と動圧軸受部材14との軸方向対向面間にスラスト動圧軸受34を形成したものである。この実施形態の場合、油漏れに関しては、図5に示す実施形態よりもさらに厳しい条件となり、図5に示す実施形態よりもさらに低速回転であることが条件となる。図5、図6に示す実施形態の場合、スラスト動圧軸受34を構成するスパイラル動圧溝への潤滑オイルの効率的な流入角度を設定することにより、低速回転でも必要な動圧力を得ることができる。
【0044】
図5、図6に示す実施の形態によれば、上記のように潤滑オイル漏れに関しては条件が厳しい。しかし、その反面、潤滑オイル漏れが生じないような回転速度やスラスト軸受径の条件が整えば、スラスト軸受のロストルクを小さくすることができ、動圧軸受モータの消費電力を極めて小さくすることができるという利点がある。特に、例えばモバイル端末のハードディスクドライブ装置に用いられるモータは低消費電力が要求されているため、その用途として適しており、また、ロストルクの低減効果が加わって、より効果が増す。
【0045】
図示の実施形態はいずれもインナーロータ型であったが、本発明はアウターロータ型にも適用することができる。
本発明にかかるオイル動圧軸受モータは、ディスク駆動モータだけでなく、各種回転体の駆動モータとして用いることができる。
【0046】
【発明の効果】
本発明は、回転部材の少なくとも拡径部との対向部分に軸方向の凹部を形成してこの凹部内に上記拡径部を配設し、回転部材と回転軸との接合部と上記拡径部を半径方向に重ね合わせている。そのため、回転部材と回転軸との接合部の厚さよりも、動圧軸受部材の拡径部が格納された部分の回転部材の厚さを薄くすることができ、その分モータ全体の高さ方向寸法を抑えながら、回転部材と回転軸との接合部の長さを充分に確保して、回転部材と回転軸との直角度精度を確保することができる。
【0047】
また、回転部材をディスク配置用ハブとして、本発明にかかるオイル動圧軸受モータをディスク駆動装置用モータとすることにより、回転時のディスクの振れを小さくすることができ、ディスク回転速度の向上と記録密度の向上を図ることができる。
さらに、毛細管シール部の長さを長くすることができ、これによって潤滑オイル量を増大させ、寿命の長いオイル動圧軸受モータを得ることができる。
ベースプレートと動圧軸受部材との接合長さを長くすることができ、両者の接合強度を高めることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるオイル動圧軸受モータの実施形態を示す断面図である。
【図2】上記実施形態の主要部を拡大して示す断面図である。
【図3】本発明にかかるオイル動圧軸受モータの別の実施形態を示す断面図である。
【図4】本発明にかかるオイル動圧軸受モータのさらに別の実施形態を示す断面図である。
【図5】本発明にかかるオイル動圧軸受モータのさらに別の実施形態を示す断面図である。
【図6】本発明にかかるオイル動圧軸受モータのさらに別の実施形態を示す断面図である。
【図7】従来技術にかかるオイル動圧軸受モータの例を示す断面図である。
【図8】従来技術にかかるオイル動圧軸受モータの別の例を示す断面図である。
【符号の説明】
14 動圧軸受部材
16 回転軸
18 潤滑オイル
20 回転部材
26 ラジアル動圧軸受
28 拡径部
30 脱落防止部材
32 シール部
34 スラスト動圧軸受
36 接合部
38 凹部
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転軸と動圧軸受部材を備え、回転軸と動圧軸受部材とが互いに非接触で相対回転することができるオイル動圧軸受モータに関するもので、たとえば磁気ディスク、光ディスク等のディスク駆動用モータとして、その他、高い回転精度が要求される各種装置の駆動モータとして用いることができるものである。
【0002】
【従来の技術】
高い回転精度が要求される各種装置の駆動モータとしてオイル動圧軸受モータが用いられている。たとえば、ハードディスク駆動装置においては、ハードディスクの記録密度が月日を追って高くなっており、これに伴って、ディスクの回転速度および回転精度がますます高くなっている。ディスクの高回転速度化および高回転精度化の要求に応えるには、オイル動圧軸受モータを用いることが適している。
【0003】
オイル動圧軸受モータの高回転速度化および高回転精度化を図るためには、接合部材相互の接合長さを長くし、また、動圧軸受の剛性を高めるために、ラジアル動圧軸受による軸受範囲を軸方向に長く確保することが有効である。一方では、動圧モータの寿命を長く維持するために十分な量の潤滑オイルを封入することができるように工夫することが望まれ、また、潤滑オイルの漏れを防止するためのシール装置を、空間的余裕をもって配置できることが望ましい。
【0004】
上記のような要求に応えるオイル動圧軸受モータとして、図7、図8に示されるようなオイル動圧軸受モータが知られている(例えば、特許文献1参照。)。以下、図7、図8に示すオイル動圧軸受モータの例について説明する。なお、図7、図8には動圧軸受部分を中心に描かれていて、モータ部分は省略されている。
【0005】
図7において、符号16は回転軸を、符号14は動圧軸受部材をそれぞれ示している。動圧軸受部材14はほぼ円筒形状になっていて、その中心孔には微小な間隙をおいて回転軸16が嵌められている。回転軸16には動圧軸受部材14の上端から突出した部分に回転部材20が圧入等によって接合されている。この例では、回転部材20はディスクを載置して回転するハブである。動圧力を発生するための潤滑オイル18が外部に漏れないように、回転軸16と回転部材20との接合部は全周が溶接され、またはシール材によってシールされている。
【0006】
上記動圧軸受部材14は、ラジアル動圧軸受26、26を形成するための円筒部と、この円筒部の外周側に形成されたスラスト動圧軸受34形成用の拡径部28とを有してなる。この拡径部28は、上記円筒部の一端部(図において左端部)に、フランジ状に形成されている。動圧軸受部材14の上記円筒部内周面に、ラジアル動圧発生用溝が形成され、上記拡径部28側の端面に、スラスト動圧発生用溝が形成されている。上記ラジアル動圧発生用溝は、動圧軸受部材14の円筒部内周面の上下2箇所に、全周にわたって形成されている。上記スラスト動圧発生用溝も、拡径部28側の端面の全周にわたって形成されている。
【0007】
上記動圧軸受部材14の円筒部に、回転部材20が一体に圧入された回転軸16が上側から挿入されている。動圧軸受部材14の外周下側からリング状の脱落防止部材30が挿入され、回転部材20の内周面54に接合されている。回転部材20は上記内周面54に続く平坦な段部56を有していて、この段部56にも上記脱落防止部材30が接合されている。さらに、後述の潤滑オイル18が漏れないように、脱落防止部材30と回転部材20との接合部は接着剤等で封止されている。動圧軸受部材14の下端には全周にわたる同心円形の周溝が形成され、この周溝には、偏平な略キャップ状のカバー22の周壁が落とし込まれ、動圧軸受部材14の下端開口がカバー22で塞がれている。カバー22の外周部は上記動圧軸受部材14の下端周溝内において接着剤24等で封止されている。
【0008】
脱落防止部材30の内周面とこれに対向する動圧軸受部材14の外周面との間、脱落防止部材30の上面とこれに対向する動圧軸受部材14の拡径部28の下面との間、上記拡径部28の外周面とこれに対向する回転部材20の周壁面との間、回転部材20の天井面とこれに対向する上記拡径部28の上面との間、動圧軸受部材14の内周面と回転軸16の外周面との間、および上記カバー22と回転軸16の下端面との間には隙間が形成されている。これらの隙間は互いに上記の順に連通していて、この隙間には潤滑オイル18が充填されている。脱落防止部材30の内周面とこれに対向する上記動圧軸受部材14の外周面との間の隙間が下に向かって開放している。また、脱落防止部材30の内周面に対向する上記動圧軸受部材14の外周面は、下に向かって外径が小さくなる向きのテーパー部となっていて、上記脱落防止部材30の内周面と動圧軸受部材14の外周面との間の隙間は、その間隔が下に向かって徐々に拡大する毛細管シール部32となっている。この毛細管シール部32に、潤滑オイル18の液面が位置している。
【0009】
上記毛細管シール部32から上記隙間に潤滑オイル18が注入される。上記回転部材20の、上記拡径部側の端面とこれに対向する上記拡径部28側の端面との間にはスラスト動圧軸受34が形成され、動圧軸受部材14の内周面と回転軸16の外周面との間の上下2箇所にはラジアル動圧軸受26、26が形成されている。これらの動圧軸受に上記潤滑オイル18が介在している。
【0010】
動圧軸受部材14の下側約半分の外周は、点線で示すベースプレート10の中心部に形成された円筒部の内周側に嵌合され固定されている。ベースプレート10の上記円筒部は回転部材20内に脱落防止部材30近くまで進入している。図7において符号Lは、ベースプレート10と動圧軸受部材14との軸方向の接合長さを示している。
【0011】
回転部材20の下端には円筒形の周壁44が形成され、この周壁44の外周面には図示されない駆動マグネットが取り付けられている。この駆動マグネットと、回転部材20と、回転軸16とでモータのロータを構成している。一方、ベースプレート10には、図示されないコアと、このコアが一体に有している複数の突極に巻き回された駆動コイルとを有してなるモータのステータが固定されている。このステータの突極は上記駆動マグネットの外周面と適宜の間隙をおいて対向していて、駆動コイルへの通電を切り替えることによってロータが回転駆動される。
【0012】
図8に示す例は、図7に示す例とほぼ同じ構成で、脱落防止部材30の厚さ、毛細管シール部32の長さ、動圧軸受部材14とベースプレート10との接合部の長さLが異なっている。図7に示す例では、回転軸16と回転部材20との接合長さ、脱落防止部材30の厚さ、毛細管シール部32の長さを充分に取っているが、動圧軸受部材14とベースプレート10との接合部の長さLが充分ではない。図8に示す例では、回転軸16と回転部材20との接合長さ、動圧軸受部材14とベースプレート10との接合部の長さLを充分に取っているが、脱落防止部材30の厚さ、毛細管シール部32の長さが充分でなく、潤滑オイルの保有量が少なく、潤滑オイルの蒸発によってモータの寿命が短くなる可能性がある。また、ベースプレート10と動圧軸受部材14ととの接合強度も不十分である。
【0013】
【特許文献1】
特開2001−65552号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
近年、ハードディスク駆動装置その他の装置一般において小型化、薄型化の要求がますます高まってきており、それに伴ってオイル動圧軸受モータの薄型化の要求がますます高まっている。例えば、ハードディスク駆動装置はカード対応といわれるような極薄型のものも実現しつつあり、これに用いられるモータは高さを3mm程度に抑えることが要求される。このように高さ寸法が極めて限られたオイル動圧軸受モータを、図7、図8に示すような構造で実現しようとすると、以下のような各種の問題を生じる。
【0015】
回転部材20と回転軸16とを接合する際に、双方の直角度精度が悪いと、回転時の回転部材20の振れが大きくなり、ディスク駆動モータの場合は、ディスク搭載面が振れてディスクがうねって回転することにより、あるいは、ディスクの振動により、またディスクの回転で発生する風の流れが乱れることにより、ヘッドがディスクから所定量浮上しないという問題、さらにはトラックずれが生じて記録再生時のエラーレートが増大するという問題が発生する。また、回転部材20の裏面をスラスト軸受面としているため、回転軸16に対する回転部材20の直角度が悪いと、浮上回転数すなわち所定のスラスト方向の浮上力を得るための回転数が高くなり、動圧軸受部材14に対して回転体20が接触している時間が長くなり、軸受磨耗量が増えて軸受の信頼性が低下するという問題がある。
一方、回転部材20と回転軸16の直角度を確保するためには、相互の接合長さが所定量以上必要である。
【0016】
次に、動圧軸受部材14の高さすなわち軸方向の長さについて考える。動圧軸受部材14の外周部は、拡径部28の厚さ寸法と、脱落防止部材30との対応長さと、毛細管シール部32の長さと、ベースプレート10と動圧軸受部材14との接合長さとが必要である。また、ベースプレート10と動圧軸受部材14との接合長さは、外部から衝撃力や振動が加わっても、相互間で移動したり分離したりしないような接合強度が必要である。通常、ベースプレート10と動圧軸受部材14は接着剤で接合するため、接合面積が充分確保されていることが必要である。
【0017】
図7、図8に示す例のように、スラスト動圧軸受34がラジアル動圧軸受26の端部位置と軸方向にほぼ同じ位置にあるものにおいては、近年のようにモータの薄型化がますます厳しく要求されてくると、図7、図8に示す例のような構成では上記の要求を満足できない事態が発生する。すなわち、図7の例のように、回転軸16と回転部材20との接合長さ、脱落防止部材30の厚さ、毛細管シール部32の長さを充分にとると、動圧軸受部材14とベースプレート10との接合部の長さLを充分に確保することができない。図8の例のように、回転軸16と回転部材20との接合長さ、動圧軸受部材14とベースプレート10との接合部の長さLを充分に取ると、脱落防止部材30の厚さ、毛細管シール部32の長さを充分に確保することができない。
【0018】
本発明は以上のような従来の問題点に鑑みてなされたもので、回転軸と回転部材との接合長さ、脱落防止部材の厚さ、毛細管シール部の長さを充分にとることができ、併せて、動圧軸受部材とベースプレートとの接合部の長さを充分に確保することができるオイル動圧軸受モータを提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、動圧軸受部材およびこの動圧軸受部材に対して相対回転する回転軸と、回転軸と動圧軸受部材との間に介在している潤滑オイルと、回転軸と動圧軸受部材との間に形成されていて回転軸および動圧軸受部材が相対回転することにより回転軸および動圧軸受部材相互間の潤滑オイルに動圧力を発生させて回転軸を回転自在に支持する動圧力発生手段と、回転軸の周面に嵌められ電磁的駆動力により回転軸と一体に回転駆動される回転部材と、動圧軸受部材に形成された拡径部と、回転部材に設けられ動圧軸受部材の拡径部と軸方向に重合することにより回転軸が動圧軸受部材から脱落するのを防止する脱落防止部材と、この脱落防止部材と上記拡径部との軸方向における対向面の外側から軸方向に延設されて潤滑オイルの外部流出を阻止するシール部とを備え、回転部材の少なくとも拡径部との対向部分に軸方向の凹部が形成されていてこの凹部内に拡径部が配設されており、回転部材と回転軸との接合部と上記拡径部が半径方向に重なっていることを特徴とする。
【0020】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、回転軸と動圧軸受部材との半径方向の対向面にラジアル動圧軸受が形成され、動圧軸受部材の拡径部側の端面とこれに対向する回転部材との軸方向の対向面にスラスト動圧軸受が形成されていることを特徴とする。
【0021】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、ラジアル動圧軸受とスラスト動圧軸受には潤滑オイルが充填されており、動圧軸受部材の外周面とこれに対向する脱落防止部材の内周面との間隔が軸方向外側に向かって徐々に拡大するテーパー部がスラスト動圧軸受より軸方向外側に設けられ、このテーパー部により潤滑オイルの漏れ防止用の毛細管シール部が構成されていることを特徴とする。
【0022】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の発明において、回転部材はディスク載置用ハブであり、ディスク駆動装置用として構成されていることを特徴とする。
【0023】
請求項5記載の発明は、請求項1記載の発明において、回転部材は外周側に駆動マグネットを有し、この駆動マグネットの外周側にモータのステータが配置されたインナーロータ型モータが形成されていることを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明において、駆動マグネットが対向するベースプレートの面には磁性板が配置され、スラスト動圧軸受で発生するスラスト方向の動圧力とは反対向きの磁気吸引力が発生することを特徴とする。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明にかかるオイル動圧軸受モータの実施の形態について説明する。この実施の形態は、ハードディスク等のディスクを回転駆動するディスク駆動装置として構成されているが、本発明にかかる動圧軸受装置は、ディスク駆動装置以外の各種機器の動圧軸受装置として適用可能なものである。図7、図8に示す例の構成部分と同じ構成部分には共通の符号を付している。
【0025】
図1、図2において、符号16は回転軸を、符号14は動圧軸受部材をそれぞれ示している。動圧軸受部材14はほぼ円筒形状になっていて、その中心孔には微小な間隙をおいて回転軸16が嵌められている。回転軸16には動圧軸受部材14の上端から突出した部分に回転部材20が圧入等によって接合されている。
この例では、回転部材20はディスクを載置して回転するハブで、外周の軸方向中間部にフランジを有し、このフランジの上面にディスク載置部40が設けられている。回転軸16と回転部材20との接合部は、動圧を発生するための潤滑オイル18が上記接合部から外部に漏れないように、接合部の全周が溶接され、またはシール材によってシールされている。
【0026】
上記動圧軸受部材14は、ラジアル動圧軸受26、26を形成するための円筒部と、この円筒部の外周側に形成されたスラスト動圧軸受34形成用の拡径部28とを有してなる。この拡径部28は、上記円筒部の一端部(図において上端部)に、フランジ状に、また、上記円筒部の一端から軸方向外方に(図において上端から上方に)突出させて形成されている。したがって、回転部材20と回転軸16との接合部36と、上記拡径部28は半径方向に重なり合っている。上記回転部材20の天井面は動圧軸受部材14の上端面と対向していて、動圧軸受部材14の上端面の形状に合わせて上記拡径部28を受け入れる凹部38が形成されている。この凹部38を補完するように上記拡径部28が上記凹部38に配置されて、拡径部28は上面側と両側面側から上記凹部38で覆われるとともに、動圧軸受部材14と回転部材20との対向面間には潤滑オイル18が介在する隙間が形成されている。
【0027】
動圧軸受部材14の上記円筒部内周面には、軸方向両端近くにおいてラジアル動圧発生用溝が形成され、上記拡径部28の上面には、スラスト動圧発生用溝が形成されている。上記ラジアル動圧発生用溝は、動圧軸受部材14の円筒部内周面の上下2箇所に、全周にわたって形成されている。上記スラスト動圧発生用溝も、拡径部28の上面の全周にわたって形成されている。これらの動圧発生用溝は、回転軸16が動圧軸受部材14に対して回転することにより、回転軸16および動圧軸受部材14相互間の潤滑オイル18に動圧力を発生させて回転軸16を回転自在に支持する動圧力発生手段を構成している。
【0028】
上記動圧軸受部材14の円筒部に、回転部材20が一体に圧入された回転軸16が上側から挿入されている。動圧軸受部材14の外周下側からはリング状の脱落防止部材30が挿入され、回転部材20の内周面54に接合されている。回転部材20は上記内周面54に続く平坦な段部56を有していて、この段部56にも上記脱落防止部材30が接合されている。さらに、後述の潤滑オイル18が漏れないように、脱落防止部材30と回転部材20との接合部は接着剤等で封止されている。上記脱落防止部材30は動圧軸受部材14の上記拡径部28の下側に位置し、拡径部28の外周縁部と軸方向おいて微小な隙間を置いて重なり合っている。
【0029】
動圧軸受部材14の下端には全周にわたる同心円形の周溝が形成され、この周溝には、偏平なキャップ状のカバー22の周壁が落とし込まれ、動圧軸受部材14の下端開口がカバー22で塞がれている。カバー22の外周部は上記動圧軸受部材14の下端周溝内において接着剤24等で封止されている。
【0030】
脱落防止部材30の内周面とこれに対向する動圧軸受部材14の外周面との間、脱落防止部材30の上面とこれに対向する動圧軸受部材14の拡径部28の下面との間、上記拡径部28の外周面とこれに対向する回転部材20の周壁面との間、回転部材20の天井面とこれに対向する上記拡径部28の上面との間、動圧軸受部材14の内周面と回転軸16の外周面との間、および上記カバー22と回転軸16の下端面との間には隙間が形成されている。これらの隙間は互いに上記の順に連通していて、この隙間には潤滑オイル18が充填されている。脱落防止部材30の内周面とこれに対向する上記動圧軸受部材14の外周面との間の隙間は下に向かって開放している。また、脱落防止部材30の内周面に対向する上記動圧軸受部材14の外周面は、下に向かって外径が小さくなる向きのテーパー部となっていて、上記脱落防止部材30の内周面と動圧軸受部材14の外周面との間の隙間は、その間隔が下に向かって徐々に拡大する毛細管シール部32となっている。この毛細管シール部32に、潤滑オイル18の液面が位置している。
【0031】
上記毛細管シール部32から上記隙間に潤滑オイル18が注入される。動圧軸受部材14の凹部38の天井面とこれに対向する上記拡径部28の上面との間にはスラスト動圧軸受34が形成され、動圧軸受部材14の内周面と回転軸16の外周面との間の上下2箇所にはラジアル動圧軸受26、26が形成されている。これらの動圧軸受に上記潤滑オイル18が介在している。
【0032】
図1に示すように、動圧軸受部材14の下側約半分の外周は、ベースプレート10の中心部に形成された円筒部12の内周側に嵌合され固定されている。ベースプレート10の上記円筒部12は回転部材20内に脱落防止部材30近くまで進入している。ベースプレート10は外周側に周壁46を有し、この周壁46の内周側には、ステータ60が固定されている。ステータ60は、コア48と、このコア48が一体に有している複数の突極に巻き回された駆動コイル50とを有し、コア48の外周面が上記周壁46の内周面に固定されている。上記複数の突極先端はモータの中心に向いている。
【0033】
回転部材20の下端には円筒形の周壁44が突出して形成され、この周壁44の外周面にはリング状の駆動マグネット42が取り付けられている。この駆動マグネット42と、回転部材20と、回転軸16とでモータのロータを構成している。上記ステータ60を構成するコア48の突極先端面は、上記駆動マグネット42の外周面と適宜の間隙をおいて対向していて、駆動コイル50への通電を切り替えることによってロータが回転駆動されるようになっている。このように、図1、図2に示す実施形態は、インナーロータ形のオイル動圧軸受モータになっている。
【0034】
図1に示すように、ベースプレート10の上面には、上記円筒部12を囲んで断面L字形をしたリング状の磁性板52が固定されている。磁性板52の平面部分は、駆動マグネット42の下面と適宜の間隔をおいて対向している。磁性板52と駆動マグネット42との間にはスラスト方向の磁気吸引力が発生する。この磁気吸引力は、回転体20の回転によりスラスト動圧軸受34に発生するスラスト方向の動圧力に対して反対向きの力となる。回転部材20の回転によりスラスト動圧軸受34で発生するスラスト方向の力と、上記スラスト方向の磁気吸引力とのバランスによって、回転体20の軸方向の位置が精度良く保たれるようになっている。
【0035】
上記潤滑オイル18は毛細管シール部32から上記隙間に注入する。この注入方法は任意で、例えば、上記隙間を真空状態ないしは負圧状態にして注入するとよい。スラスト動圧軸受34および上下のラジアル動圧軸受26,26に潤滑オイル18が介在している。
【0036】
上記オイル動圧軸受モータの駆動コイル50への通電を、駆動マグネットの回転位置に応じて切り替え制御することにより、ステータコア48の突極と、ロータの駆動マグネット42との磁気的吸引反発力で、駆動マグネット42、回転部材20と回転軸16を含むロータが回転駆動される。このロータの回転によって、スラスト動圧軸受34に存在する潤滑オイル18にスラスト動圧力が発生し、また、ラジアル動圧軸受26、26に存在する潤滑オイル18にラジアル動圧力が発生し、回転軸16および回転部材20が動圧軸受部材14に対し非接触状態を保持したままで相対回転する。
【0037】
以上説明した実施の形態は、動圧軸受部材14に拡径部28を形成し、回転部材20には、上記拡径部28と軸方向に重なり合うことにより回転軸16が動圧軸受部材14から脱落するのを防止する脱落防止部材30を設け、この脱落防止部材30と上記拡径部28との軸方向における対向面の外側から軸方向に、潤滑オイル18の外部流出を阻止するシール部32を延設している。そして、回転部材20の少なくとも上記拡径部28との対向部分に軸方向の凹部38形成してこの凹部38内に上記拡径部28を配設し、回転部材20と回転軸16との接合部36と上記拡径部28を半径方向に重ね合わせている。そのため、回転部材20と回転軸16との接合部36の厚さよりも、動圧軸受部材14の拡径部28が格納された部分の回転部材20の厚さを薄くすることができ、その分モータ全体の高さ方向寸法を抑えながら、回転部材20と回転軸16との接合部36の長さを充分に確保して、回転部材20と回転軸16との直角度精度を確保することができる。これによって、ディスク駆動用モータの場合はディスクの振れを小さくすることができ、また、スラスト軸受の信頼性を向上させることができる。
【0038】
また、上記のように、動圧軸受部材14の拡径部28が格納された部分の回転部材20の厚さを薄くすることが可能になったことにより、その分毛細管シール部32の軸方向の長さを長くして充分な長さにすることができ、充分な量の潤滑オイルの確保と、シール効果の高いシール部32とすることによって、信頼性の高い動圧軸受を得ることができる。さらに、動圧軸受部材14とベースプレート10との接合長さを充分長く確保しすることができるため、充分大きな接合強度がえられ、外部からの振動や衝撃に強いオイル動圧軸受モータを得ることができる。
【0039】
スラスト動圧軸受34はスパイラル動圧溝を有していて、ロータの回転に伴い、上記スパイラル動圧溝に潤滑オイルが導入されて軸受内部の動圧力が高められ、回転部材20が動圧軸受部材14から浮上する。動圧軸受部材14の軸方向端面で、スラスト動圧軸受34よりも内周側にある潤滑オイル18、すなわち毛細管シール部32にある潤滑オイル18は遠心力で外部に漏れやすくなる。ただし、遠心力で移動する潤滑オイルの量よりもスパイラル動圧溝で発生するポンピング力で移動する潤滑オイルの量が多ければ、潤滑油は漏れない。さらに、所定のポンピング力で軸受内部を加圧することにより、動圧軸受部材14から回転部材20を効率的に浮上させる。
【0040】
図3に示す実施の形態はこのようなことを考慮したもので、拡径部28の最も外径寄りの位置にスラスト動圧軸受34が形成され、毛細管シール部32の径をφd1、スラスト動圧軸受34のスパイラル動圧溝の内周側径をφd、外周側径をφDとしたとき、φd1<φDの関係になっている。すなわち、毛細管シール部32の径φd1は、半径方向において上記スパイラル動圧溝の形成範囲内にある。そのため、スパイラル動圧溝のポンピング力で移動する潤滑オイルの量が毛細管シール部32の遠心力で生じる潤滑オイルの量よりも多く、潤滑油が漏れることはないし、スラスト動圧軸受34の内部が効果的に加圧される。
【0041】
図4に示す実施の形態は、スラスト動圧軸受34を、動圧軸受部材14の拡径部28の外径から内周側にずらして、拡径部28の外径と内径の中間部に設け、毛細管シール部32の径φd1とスラスト動圧軸受34のスパイラル動圧溝の外周側径をφDとをほぼ等しくしたものである。この実施形態の場合、拡径部周囲のオイルは遠心力を受けるが、漏れることはない。
【0042】
図5に示す実施の形態は、拡径部28の最も内径寄りの位置にスラスト動圧軸受34を形成し、φD<φd1の関係にしたものである。この実施形態の場合、図4に示す実施の形態のばあいよりもスラスト軸受が内側方向となるため、スラスト軸受ロストルクは小さくなり、低消費電力化が可能となるが、毛細管シール部32のオイルに作用する遠心力は毛細管シール力のみに頼ることになり、回転速度が低いこと、あるいはスラスト軸受径が小さいことが前提となる。
【0043】
図6に示す実施の形態は、拡径部28よりもさらに内径側の、回転部材20と動圧軸受部材14との軸方向対向面間にスラスト動圧軸受34を形成したものである。この実施形態の場合、油漏れに関しては、図5に示す実施形態よりもさらに厳しい条件となり、図5に示す実施形態よりもさらに低速回転であることが条件となる。図5、図6に示す実施形態の場合、スラスト動圧軸受34を構成するスパイラル動圧溝への潤滑オイルの効率的な流入角度を設定することにより、低速回転でも必要な動圧力を得ることができる。
【0044】
図5、図6に示す実施の形態によれば、上記のように潤滑オイル漏れに関しては条件が厳しい。しかし、その反面、潤滑オイル漏れが生じないような回転速度やスラスト軸受径の条件が整えば、スラスト軸受のロストルクを小さくすることができ、動圧軸受モータの消費電力を極めて小さくすることができるという利点がある。特に、例えばモバイル端末のハードディスクドライブ装置に用いられるモータは低消費電力が要求されているため、その用途として適しており、また、ロストルクの低減効果が加わって、より効果が増す。
【0045】
図示の実施形態はいずれもインナーロータ型であったが、本発明はアウターロータ型にも適用することができる。
本発明にかかるオイル動圧軸受モータは、ディスク駆動モータだけでなく、各種回転体の駆動モータとして用いることができる。
【0046】
【発明の効果】
本発明は、回転部材の少なくとも拡径部との対向部分に軸方向の凹部を形成してこの凹部内に上記拡径部を配設し、回転部材と回転軸との接合部と上記拡径部を半径方向に重ね合わせている。そのため、回転部材と回転軸との接合部の厚さよりも、動圧軸受部材の拡径部が格納された部分の回転部材の厚さを薄くすることができ、その分モータ全体の高さ方向寸法を抑えながら、回転部材と回転軸との接合部の長さを充分に確保して、回転部材と回転軸との直角度精度を確保することができる。
【0047】
また、回転部材をディスク配置用ハブとして、本発明にかかるオイル動圧軸受モータをディスク駆動装置用モータとすることにより、回転時のディスクの振れを小さくすることができ、ディスク回転速度の向上と記録密度の向上を図ることができる。
さらに、毛細管シール部の長さを長くすることができ、これによって潤滑オイル量を増大させ、寿命の長いオイル動圧軸受モータを得ることができる。
ベースプレートと動圧軸受部材との接合長さを長くすることができ、両者の接合強度を高めることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるオイル動圧軸受モータの実施形態を示す断面図である。
【図2】上記実施形態の主要部を拡大して示す断面図である。
【図3】本発明にかかるオイル動圧軸受モータの別の実施形態を示す断面図である。
【図4】本発明にかかるオイル動圧軸受モータのさらに別の実施形態を示す断面図である。
【図5】本発明にかかるオイル動圧軸受モータのさらに別の実施形態を示す断面図である。
【図6】本発明にかかるオイル動圧軸受モータのさらに別の実施形態を示す断面図である。
【図7】従来技術にかかるオイル動圧軸受モータの例を示す断面図である。
【図8】従来技術にかかるオイル動圧軸受モータの別の例を示す断面図である。
【符号の説明】
14 動圧軸受部材
16 回転軸
18 潤滑オイル
20 回転部材
26 ラジアル動圧軸受
28 拡径部
30 脱落防止部材
32 シール部
34 スラスト動圧軸受
36 接合部
38 凹部
Claims (6)
- 動圧軸受部材およびこの動圧軸受部材に対して相対回転する回転軸と、
上記回転軸と動圧軸受部材との間に介在している潤滑オイルと、
上記回転軸と動圧軸受部材との間に形成されていて回転軸および動圧軸受部材が相対回転することにより回転軸および動圧軸受部材相互間の潤滑オイルに動圧力を発生させて回転軸を回転自在に支持する動圧力発生手段と、
回転軸の周面に嵌められ電磁的駆動力により回転軸と一体に回転駆動される回転部材と、
上記動圧軸受部材に形成された拡径部と、
上記回転部材に設けられ上記動圧軸受部材の拡径部と軸方向に重合することにより回転軸が動圧軸受部材から脱落するのを防止する脱落防止部材と、
上記脱落防止部材と上記拡径部との軸方向における対向面の外側から軸方向に延設されて潤滑オイルの外部流出を阻止するシール部とを備え、
上記回転部材の少なくとも上記拡径部との対向部分に軸方向の凹部が形成されていてこの凹部内に上記拡径部が配設されており、
上記回転部材と回転軸との接合部と上記拡径部が半径方向に重なっていることを特徴とするオイル動圧軸受モータ。 - 回転軸と動圧軸受部材との半径方向の対向面にラジアル動圧軸受が形成され、動圧軸受部材の拡径部側の端面とこれに対向する回転部材との軸方向の対向面にスラスト動圧軸受が形成されている請求項1記載のオイル動圧軸受モータ。
- ラジアル動圧軸受とスラスト動圧軸受には潤滑オイルが充填されており、動圧軸受部材の外周面とこれに対向する脱落防止部材の内周面との間隔が軸方向外側に向かって徐々に拡大するテーパー部が上記スラスト動圧軸受より軸方向外側に設けられ、このテーパー部により潤滑オイルの漏れ防止用の毛細管シール部が構成されている請求項2記載のオイル動圧軸受モータ。
- 回転部材はディスク載置用ハブであり、ディスク駆動装置用として構成されている請求項1記載のオイル動圧軸受モータ。
- 回転部材は外周側に駆動マグネットを有し、この駆動マグネットの外周側にモータのステータが配置されたインナーロータ型モータが形成されている請求項1記載のオイル動圧軸受モータ。
- 駆動マグネットが対向するベースプレートの面には磁性板が配置され、スラスト動圧軸受で発生するスラスト方向の動圧力とは反対向きの磁気吸引力が発生する請求項5記載のオイル動圧軸受モータ。
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-
2003
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