JP4079663B2 - パネルの設置方法 - Google Patents
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Description
【従来の技術】
従来から一次覆工を鋼製覆工bでおこなったトンネルの内側に、コンクリートパネルaを取り付けて二次覆工とする方法が実施されている。
例えば、コンクリートパネルaの2段4箇所(1段は2箇所)に凹部を有する取付金具eを取り付ける(図6,7参照)。鋼製覆工bには、主桁cを挟んで2箇所にボルトfを溶接して固定し、2本のボルトfの先端にボルトfを挿入するための穴の開いた板状の受け金具dを設置する(図6参照)。
受け金具dは、コンクリートパネルaに取り付けた取付金具eの位置に合うように所定の数だけ設置する。
そして、受け金具dに取付金具eを嵌め込むことによってコンクリートパネルaの設置をおこなっていた。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
前記した従来のパネルの設置方法にあっては、次のような問題点がある。
<イ>鋼製覆工bの主桁cに設置した4箇所の受け金具dに、コンクリートパネルaに取り付けてある4個の取付金具eを正確に合わせる必要があるため、受け金具dの設置精度により、コンクリートパネルaの設置精度が決まる。すべての受け金具dを精度良く取り付けるには正確な計測を基に慎重に作業する必要があり、時間がかかる。
<ロ>ボルトfを主桁cに溶接により固定し、受け金具dを設置するため、溶接箇所が多い。主桁cの厚みによって受け金具dの穴の位置を変える必要があり、多くの種類の受け金具dを用意する必要がある。
【0003】
【発明の目的】
本発明は上記したような従来の問題を解決するためになされたもので、短時間で、精度良く設置できるパネルの設置方法を提供することを目的とする。
また、受け金具などの設置用部材の取り付け箇所を最小限に抑えることができるパネルの設置方法を提供することを目的とする。
さらに、簡単に取り付けることができる上に、一旦取り付けると脱落しにくいパネルの設置方法を提供することを目的とする。
本発明は、これらの目的の少なくとも一つを達成するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記のような目的を達成するために、本発明のパネルの設置方法は、トンネルの壁面に設けた受け具と、棒材と、パネルに設けた取付具でもってトンネルの内側にパネルを設置する、パネルの設置方法であって、凹状の板材からなる前記受け具を、トンネル周方向の位置が揃うようにトンネルの奥行き方向に複数設置し、前記棒材を、前記複数の受け具間に設置し、パネルとの距離を調節可能な手段と前記棒材に嵌合可能な形状である凹部とを有する前記取付具を、前記棒材に嵌め込むことを特徴とする方法である。例えば、取付具に形成する凹部の形状を、円と台形を組み合わせた前方後円墳のような形状にする。このような形状にすることで、間口の広い開口部は棒材に合わせやすくなり、狭隘部によって棒材が抜け出すことを防止できる。
【0005】
また、前記方法において、トンネルの壁面にトンネルの奥行き方向に向けた棒材を新たに設置し、既設の棒材の端部と新たに設置した棒材の端部を、両方の端部を覆う鞘管を介して接続し、パネルに備えた取付具を前記棒材に嵌め込んでおこなう方法である。棒材は鞘管を介して接続するため、接続位置を自由に変更することができる。
【0006】
ここで、「パネルとの距離を調節可能な手段」とは、例えばボルトとナットを組み合わせて構成した手段などであって、ボルトの突出量によってパネルと取付具の距離を調節することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
【0008】
<イ>適用条件
本発明は、トンネルの内側にプレキャストのパネル1を設置する場合に適用できる。
パネル1を設置する前のトンネル内壁の状態には、鋼製覆工5、モルタル吹付け、コンクリート覆工又は地盤など色々な状態があるが、本発明は何れの状態であっても適用することができる。
以下においては、一次覆工として鋼製覆工5が施されている場合を例に説明する。
【0009】
<ロ>パネル
パネル1は、設置後にトンネルの内面を形成するプレキャストパネルである。パネル1の材料には、コンクリート、ポリマー含浸コンクリート、繊維補強コンクリート、レジンコンクリート、高分子樹脂材料、繊維強化プラスチック、セラミックス材料、ステンレス、鋼材等の各種材料が使用できる。
鋼製覆工5とパネル1の間にコンクリートなどを打設する場合は、パネル1は型枠の役割を果たす。
【0010】
<ハ>棒材
棒材2は、パネル1を設置するために使用する長尺材である。
棒材2には、丸鋼、繊維強化プラスチック棒などが使用できる。
棒材2の断面は、円形に限定されるものではなく、四角形等の多角形であってもよい。
棒材2の表面は、パネル1を所定の位置まで容易に摺動できるように滑らかに加工されている方が好ましい。
【0011】
また、棒材2の接続には、棒材2の外形より大きい内形を有する鞘管21が使用できる。鞘管21は、側面に設けた貫通するねじ穴に差し込んだボルト等の固定具22を締め付けることによって、棒材2に固定することができる。例えば、既設の棒材2aに新設の棒材2bを接続する場合、棒材2a,2b間に鞘管21を配置して、固定具22を締め付けることによって接続する(図4参照)。また、鞘管21の内面に弾性材を貼り付けるなどして鞘管21に挿入した棒材2の抜け出しを防止する機構を設けて、鞘管21を棒材2に固定することもできる。
2本の棒材2a,2bは端部を覆う鞘管21によって接続するため、棒材2a,2bの端面が接触する必要はない。このため、棒材2の軸方向の微調整を容易におこなうことができる。
また、鞘管21を配置する位置が受け具4や取付具3の位置と重なる場合は、それらと重ならない位置で既設の棒材2aを切断して新たな棒材2bを接続すればよい。
【0012】
<ニ>取付具
取付具3は、パネル1側に固定する部材である。
取付具3は、棒材2に嵌合する形状を有する部材であり、金属製に限定されるものではない。例えば、1面に凹部を形成したL字形の金具等が使用できる。パネル1には例えばボルト31を介して取り付ける。取付具3は、必要に応じて任意の個数を取り付けることができる。図1は取付具3を1段2箇所に取り付けた実施例を、図2は取付具3を2段4箇所に取り付けた実施例を示す。
【0013】
凹部は、例えばU字型に形成することができる。
また、棒材2の断面幅より広い開口部32と、棒材2の断面幅より狭い狭隘部33を有する形状に形成できる。例えば、円と台形を組み合わせた前方後円墳のような形状の凹部を有する取付具3aがこれに該当する(図3参照)。開口部32の間口が広いと、複数の取付具3aを一度に簡単に嵌める事ができる。また、一旦取付具3aを棒材2に嵌め込むと、棒材2の断面幅より狭い狭隘部33に棒材2が引っ掛かるため、パネル1が簡単にはずれることを防止できる。
なお、パネル1が簡単にはずれることのみを防止する目的であれば、U字型の凹部の内面に突起部を設けて狭隘部33としてもよい。
【0014】
<ホ>受け具
受け具4は、パネル1を設置する前のトンネルの内壁側に取り付ける部材である。
例えば、受け具4として凹状の板材、短い鋼管などからなる環材等が使用できる。受け具4は、鋼製覆工5の周方向に配置された主桁51や奥行き方向に配置された主桁52等に、溶接41などにより固定する。
【0015】
<ヘ>調節手段
トンネル径方向のパネル1の位置を調節するための調節手段を必要に応じて設ける。
例えば、取付具3をボルト31によって埋込みナット35に取り付ける際に、取付具3と埋込みナット35の間にナット34を介在させる(図5参照)。
ボルト31を突出させる量がパネル1と取付具3の距離Aとなる。取付具3は、ナット34を締めることによって固定できる。
このようにトンネル径方向にパネル1の位置を容易に調節できれば、鋼製覆工5の設置位置に施工誤差がある場合でもパネル1を真円により近い形状に構築できる。
【0016】
以下、図面を参照しながらパネルの設置方法について説明する。
【0017】
<イ>受け具及び棒材の取り付け
トンネルの奥行き方向に所定の間隔を置いて配置された主桁51等に受け具4を取り付ける。受け具4はすべての主桁51に取り付ける必要はなく、棒材2や設置するパネル1を支持できる間隔であればよい。
通常、パネル1は高さを揃えて設置するため、奥行き方向に隣り合う受け具4同士もトンネル周方向の位置を揃えて取り付ける。
受け具4は、周方向にも間隔をおいて必要な数だけ取り付ける。例えば、1枚のパネル1に2段の取付具3を取り付けた場合は、1枚のパネル1を設置する主桁51の周方向の範囲に2個の受け具4を取り付ける(図2,4参照)。
【0018】
そして、取り付けた受け具4間に棒材2を設置する。なお、受け具4として環材を使用する場合は、棒材2を環材に通して設置する。
既に設置してある棒材2aと新たに設置した棒材2bを接続する場合は、鞘管21を介して接続することができる(図4参照)。また、両方の棒材2a,2bの端面を突合せて全周溶接するなどして接合してもよい。
受け具4が周方向の正確な位置に固定されていれば、棒材2を正確な位置に配置することができる。受け具4の取り付けは、周方向の位置に関してのみ正確におこなわれていればよく、トンネルの奥行き方向の位置は多少ずれても問題はない。このため、受け具4の固定を、手早く、正確におこなうことができる。
【0019】
<ロ>パネルの設置
棒材2にパネル1の取付具3を嵌め込むことによってパネル1の設置をおこなう。
取付具3aの開口部32が広く形成されている場合は、複数の取付具3aを容易に複数の棒材2に嵌め込むことができる(図3参照)。
パネル1は最初から正確な位置に設置する必要はなく、棒材2に嵌め込み易い箇所でパネル1を棒材2嵌め込んで、所定の位置までパネル1を摺動させることができる(図2参照)。ここで、狭隘部33を備えた取付具3を使用した場合、取り付けたパネル1が簡単に棒材2からはずれることがない。
また、必要に応じてパネル1と取付具3の距離Aをボルト31やナット34等の調節手段で調節すれば、隣接するパネル1の表面を簡単に合わせることができる。
所定の位置にパネル1を配置した後に、必要に応じてパネル1間を公知のプレート及びボルトなどで接合する。
また、パネル1と鋼製覆工5の隙間には、必要に応じてコンクリート等を充填する。
【0020】
【発明の効果】
本発明のパネルの設置方法は以上説明したようになるから次のような効果を得ることができる。
<イ>棒材を介してパネルを設置するため、受け具の設置箇所を減少できる。また、設置する受け具もトンネル周方向の位置のみを正確に取り付ければよいので、短時間で設置することができる。
<ロ>受け具が正確に取り付けられていれば、棒材及びパネルも素早く正確に取り付けることができる。特に、開口部の間口が広い取付具を使用した場合、複数の取付具を簡単に棒材に嵌め込むことができる。
<ハ>鋼製覆工の主桁の厚さによって使用する部材を変更する必要がない。
<ニ>トンネル径方向のパネルの位置を調節するための調節手段を設けた場合、鋼製覆工の表面の位置に関わらず、パネルのトンネル径方向の位置を正確に合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のパネルの設置方法の実施例の斜視図。
【図2】鋼製覆工にパネルを設置した実施例の正面図及びA−A断面図。
【図3】間口の広い開口部を有する取付部を備えたパネルの設置方法の実施例のトンネル横断面図。
【図4】棒材の接続に鞘管を使用したパネルの設置方法の実施例の正面図。
【図5】トンネル径方向のパネルの位置を調節するための調節手段の実施例の説明図。
【図6】従来の鋼製覆工にパネルを設置した実施例のトンネル縦断面図。
【図7】従来の鋼製覆工にパネルを設置した実施例のトンネル横断面図。
【符号の説明】
1・・・パネル
2・・・棒材
21・・鞘管
22・・固定具
3・・・取付具
3a・・取付具
32・・開口部
33・・狭隘部
Claims (2)
- トンネルの壁面に設けた受け具と、棒材と、パネルに設けた取付具でもってトンネルの内側にパネルを設置する、パネルの設置方法であって、
凹状の板材からなる前記受け具を、トンネル周方向の位置が揃うようにトンネルの奥行き方向に複数設置し、
前記棒材を、前記複数の受け具間に設置し、
パネルとの距離を調節可能な手段と前記棒材に嵌合可能な形状である凹部とを有する前記取付具を、前記棒材に嵌め込むことを特徴とする、
パネルの設置方法。 - 請求項1に記載のパネルの設置方法において、既設の棒材の端部と新たに設置した棒材の端部を、両方の端部を覆う鞘管を介して接続する、パネルの設置方法。
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