JP4079314B2 - シルセスキオキサン化合物の製造方法 - Google Patents
シルセスキオキサン化合物の製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は籠状シルセスキオキサン及び籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体の製造方法に関するものである。更に詳しくは籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体とアルコキシシランをルイス塩基存在下で反応させることより、特定の構造の籠状シルセスキオキサン及び/又は籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体を、簡単な操作で高収率で製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
これまでに、本発明者等は、籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体が、ポリフェニレンエーテルの成型性や難燃性を向上させる添加剤として有用であることを見出した。
【0003】
籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体であるトリシラノール化合物から籠状シルセスキオキサンを合成する方法としては、Brownらのトリシラノール化合物1当量と、テトラヒドロフラン溶液中でRSiCl3で表されるトリクロロシラン1当量の混合物に、3当量のトリエチルアミンを加えることによって合成することができることが報告されている。(J.Am.Chem.Soc.1965,87,4313参照)
また籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体であるトリシラノール化合物から籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体を合成する方法としては、Feherらによりトリシラノール化合物1当量に対して、テトラヒドロフラン溶液中で、3当量のトリエチルアミンとR3SiClで表されるクロロシランを加えることによって製造することができることが報告されている。(J.Am.Chem.Soc.1989,111,1741参照)
しかしながら上記の方法では、副生成物として塩であるトリエチルアンモニウムクロライドが多量に生成するため、当該副生成物の分離と目的物の精製に繁雑な操作と、多大なエネルギーを要するし、さらに高品質の目的物を得る事も困難なので、経済的な製造法ではない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような現状を鑑み、ポリフェニレンエーテルの成型性や難燃性改良剤として有用な籠状シルセスキオキサン及び籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体を、簡単な操作で、かつ高収率でかつ高純度で製造する方法を提供することを目的とするものである。
【0005】
【問題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、特定の種類の籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体であるトリシラノール化合物と特定の種類のアルコキシシランをルイス塩基存在下で反応させることより、籠状シルセスキオキサン及び/又は籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体が簡単な操作で、高純度品を高収率で製造できる方法を見出し、本発明を完成させた。
【0006】
即ち、本発明は、
(1) 一般式(A)で表される籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体と一般式(B)で表されるアルコキシシランをアミン化合物存在下で反応させ、かつその反応が炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、極性溶媒から選ばれる少なくとも 1 種以上の溶媒と、炭素数1から8のアルコール性溶媒から選ばれる少なくとも 1 種以上の溶媒の混合溶媒系で行われ、炭素数1から8のアルコール性溶媒の割合が、全ての溶媒中の1 0 重量%以上95重量%以下であることを特徴とする一般式(C)で表される籠状シルセスキオキサン、一般式(D)および一般式(E)で表される籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体から選ばれるいずれか一種の籠状シルセスキオキサン又は籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体を製造する方法。
(RSiO3/2)n(RSiO2H)3 一般式(A)
R1 mSi(OR2)4-m 一般式(B)
(RSiO3/2)n+3(R1SiO3/2) 一般式(C)
(RSiO3/2)n+h(RSiO2H)3-h(R1 mSiO(4-m)/2)k 一般式(D)
(RSiO3/2)n+3(R1 2SiO)(R1 2SiO3/2H) 一般式(E)
(一般式(A)〜(E)において、Rは水素原子、炭素原子数1から20の置換又は非置換の炭化水素基又はケイ素原子数1から10のケイ素原子含有基から選ばれ、複数のRは同一でも異なっていても良い。R1はRと同じ群から選ばれる基であり、複数のR1は同じでも異なっていても良い。OR2は炭素原子数1から6のアルコキシ基である。nは2から10の整数で、mは1から3の整数である。ただし、一般式(D)においては、m=2又は3であり、m=2の場合にはk=1、h=2であり、m=3の場合にはk=h=1から3の整数である。)
(2) 該アミン化合物が、沸点120℃以下の脂肪族アミン化合物であることを特徴とする、(1)に記載の籠状シルセスキオキサン又は籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体の製造方法。
(3) 一般式(A)、(C)、(D)、(E)中のnが4であることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の籠状シルセスキオキサン又は籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体の製造方法に関するものである。
【0007】
以下に本発明を詳細に説明する。
籠状シルセスキオキサンとは籠状構造を有するシルセスキオキサンのオリゴマーである。シルセスキオキサンとは、シリカがSiO2で表されるのに対し、[R’SiO3/2]で表される単位からなる化合物である。シルセスキオキサンは通常はR’SiX3(R ’=水素原子、有機基、シロキシ基、X=ハロゲン原子、アルコキシ基)型化合物の加水分解−重縮合で合成されるポリシロキサンであり、分子配列の形状として、代表的には無定形構造、ラダー状構造、籠状(完全縮合ケージ状)構造あるいはその部分開裂構造体(籠状構造からケイ素原子が一原子欠けた構造や籠状構造の一部ケイ素−酸素結合が切断された構造)等が知られている。
【0008】
以下に、本発明で用いられる下記の一般式(A)で表される籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体について説明する。
(RSiO3/2)n(RSiO2H)3 (A)
一般式(A)において、Rは水素原子、炭素原子数1から20の置換又は非置換の炭化水素基又はケイ素原子数1から10のケイ素原子含有基から選ばれ、複数のRは同一でも異なっていても良い。nは2から10の整数である。
【0009】
本発明で用いられる一般式(A)で表される籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体は、分子内に3個のシラノール基を有するトリシラノール化合物である。その例としては[RSiO3/2]2[RSiO2H]3の化学式で表されるタイプ(下記一般式(1))、[RSiO3/2]4[RSiO2H]3の化学式で表されるタイプ(下記一般式(2))、[RSiO3/2]6[RSiO2H]3の化学式で表されるタイプ(例えば下記一般式(3))、[RSiO3/2]8[RSiO2H]3の化学式で表されるタイプ(例えば下記一般式(4))、[RSiO3/2]10[RSiO2H]3の化学式で表されるタイプ(例えば下記一般式(5))が挙げられる。
【0010】
【化1】
【0011】
【化2】
【0012】
【化3】
【0013】
【化4】
【0014】
【化5】
【0015】
本発明の一般式(A)[RSiO3/2]n [RSiO2H]3で表される籠状シルセスキオキサンにおけるnの値としては、2から10の整数であり、好ましくは4,6あるいは8であり、より好ましくは、4、6または4,6の混合物あるいは4,6,8の混合物であり、特に好ましくは4である。
本発明で使用される籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体であるトリシラノール化合物の合成例としては、例えばBrown等により報告されているJ.Am.Chem.Soc.1965,87,4313に記載の方法などが挙げられる。より具体的には、例えばシクロヘキシルトリクロロシランを水/アセトンで処理することによって一般式(2)で示される籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体であるトリシラノール化合物を合成することができる。
【0016】
本発明に使用される一般式(A)で表される化合物におけるRの種類としては水素原子、炭素原子数1から20の置換又は非置換の炭化水素基、またはケイ素原子数1から10のケイ素原子含有基が挙げられる。
炭素数1から20までの炭化水素基の中でも、好ましくは炭素数1から10までの炭化水素基、より好ましくは炭素数1から8までの炭化水素基、さらに好ましくは炭素数2から6までの炭化水素基、特に好ましくは炭素数3から4の炭化水素基である。
【0017】
その具体例としては、例えば、メチル、エチル、n―プロピル、i-プロピル、ブチル(n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、sec-ブチル)、ペンチル(n―ペンチル、i−ペンチル、ネオペンチル、シクロペンチル等)、ヘキシル(n−ヘキシル、i−ヘキシル、シクロヘキシル等)、ヘプチル(n−ヘプチル、i−ヘプチル等)、オクチル(n−オクチル、i−オクチル、t―オクチル等)、ノニル(n−ノニル、i−ノニル等)、デシル(n−デシル、i−デシル等)、ウンデシル(n−ウンデシル、i−ウンデシル等)、ドデシル(n−ドデシル、i−ドデシル等)等の非環式又は環式の脂肪族炭化水素基、ビニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、シクロヘキセニルエチル、ノルボルネニルエチル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、スチレニル等の非環式及び環式アルケニル基、ベンジル、フェネチル、2−メチルベンジル、3−メチルベンジル、4−メチルベンジル等のアラルキル基、PhCH=CH−基のようなアラアルケニル基、フェニル基、トリル基あるいはキシリル基のようなアリール基、4−アミノフェニル基、4−ヒドロキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−ビニルフェニル基のような置換アリール基等が挙げられる。
【0018】
又、本発明に使用されるRとしてはこれらの各種の炭化水素基の水素原子又は主査骨格の一部がエーテル結合、エステル基(結合)、水酸基、チオール基、チオエーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、カルボン酸無水物結合、チオール基、チオエーテル結合、スルホン基、アルデヒド基、エポキシ基、アミノ基、置換アミノ基、アミド基(結合)、イミド基(結合)、イミノ基、ウレア基(結合)、ウレタン基(結合)、イソシアネート基、シアノ基等の極性基(極性結合)あるいはフッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子等から選ばれる置換基で部分置換されたものでも良い。
【0019】
Rとして採用されるケイ素原子数1〜10のケイ素原子含有基としては、広範な構造のものが採用されるが、例えば下記一般式(6)、あるいは一般式(7)の構造の基が挙げられる。当該ケイ素原子含有基中のケイ素原子数としては、通常1〜10の範囲であるが、好ましくは1〜6の範囲、より好ましくは1〜3の範囲である。ケイ素原子の数が大きくなりすぎると籠状シルセスキオキサン化合物は粘ちょうな液体となり、精製が困難になるので好ましくない。
【0020】
【化6】
【0021】
一般式(6)中のnは、通常は1〜10の範囲の整数であるが、好ましくは1〜6の範囲の整数、より好ましくは1〜3の範囲の整数である。また、一般式(6)中の置換基R3及びR4は、水素原子、ヒドロキシル基、アルコキシ基、塩素原子、又は炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜6のアルコキシ基以外の有機基である。
当該アルコキシ基の例としてはメトキシ基、エトキシ基、ブチルオキシ基等が挙げられる。
【0022】
当該炭素数1〜10のアルコキシ基以外の有機基の例としては、各種の置換又は非置換の炭化水素基が挙げられ、その具体例としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、シクロヘキシル基等の脂肪族炭化水素基、ビニル基、プロペニル基等の不飽和炭化水素結合含有基、フェニル基、ベンジル基やフェネチル基のような芳香族炭化水素基あるいはCF3CH2CH2−等の含フッ素アルキル基、アミノアルキル基等の極性基置換アルキル基等が挙げられる。
【0023】
一般式(6)中のR5は水素原子又は炭素数1から20、好ましくは炭素数1から12、より好ましくは炭素数1から8の有機基である。当該有機基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、2−シクロヘキシル−エチル基、オクチル基、ドデシル基等の脂肪族炭化水素基;ビニル基、エチニル基、アリル基、2−シクロヘキセニル−エチル基等の不飽和炭化水素結合含有基;フェニル基、ベンジル基やフェネチル基のような芳香族炭化水素基;3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル基等の含フッ素アルキル基やCF3CF2CF2OCH2CH2CH2−基のような含フッ素エーテル基のようなフッ素原子含有基;アミノプロピル基、アミノエチルアミノプロピル基、アミノエチルアミノフェネチル基、アクリロキシプロピル基、シアノプロピル等の極性置換基による部分置換炭化水素基が挙げられる。なお、一般式(6)において、同一のケイ素原子に2個以上の水素原子が同時に連結することはない。一般式(6)で表されるケイ素原子含有基の具体的例としては、例えばトリメチルシロキシ基(Me3Si―)、ジメチルフェニルシロキシ基(Me2PhSiO―)、ジフェニルメチルシロキシ基、フェネチルジメチルシロキシ基、ジメチル−n−ヘキシルシロキシ基、ジメチルシクロヘキシルシロキシ基、ジメチルオクチルシロキシ基、(CH3)3SiO[Si(CH3)2O]k−(k=1から9)、2−フェニル−2,4,4,4−テトラメチルジシロキシ基(OSiPhMeOSiMe3)、4,4−ジフェニル−2,2,4−トリメチルジシロキシ(OSiMe2OSiMePh2)、2,4−ジフェニル−2,4,4−トリメチルジシロキシ(OSiPhMeOSiPhMe2)、ビニルジメチルシロキシ基、3−グリシジルプロピルジメチルシロキシ基、3−アミノプロピルジメチルシロキシ基(H2NCH2CH2CH2Me2SiO−)、Me2NCH2CH2CH2Me2SiO−、H2NCH2CH2CH2Me(HO)SiO−、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルジメチルシロキシ基(H2NCH2CH2NHCH2CH2CH2Me2SiO−)、MeHNCH2CH2NHCH2CH2CH2Me2SiO−、HOCH2CH2HNCH2CH2NHCH2CH2CH2Me2SiO−、CH3COHNCH2CH2NHCH2CH2CH2Me2SiO−、H2NCH2CH2NHCH2CH2CH2Me(HO)SiO−等が挙げられる。
【0024】
【化7】
【0025】
一般式(7)において、Raは炭素数1〜10の2価の炭化水素基であり、炭素数としては、好ましくは2〜6の範囲であり、特に好ましくは2または3である。Raの具体例としては、例えば、−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、−(CH2)m−(m=4〜10)等のアルキレン基があげられる。
一般式(7)におけるR3,R4,R5の定義は、それぞれ一般式(6)中のR3,R4,R5と同じである。また、R6,R7の定義は、R3,R4と同じである。n’ は、0または1〜9の範囲の整数であるが、好ましくは0または1〜5の範囲の整数、特に好ましくは0、1または2である。
【0026】
一般式(B)で表される化合物のR1は一般式(A)のRと同じ基の群より選ばれる。
また、OR2は炭素数1から6のアルコキシ基である。当該アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、i−プロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、t−ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ等が挙げられる。これらのアルコキシ基の中で好ましくはメトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、i−プロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、で、より好ましくはメトキシ基、エトキシ基である。炭素数7以上のアルコキシ基は籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体であるトリシラノール化合物との反応性が低くなるので好ましくない。
【0027】
本発明者等は、一般式(A)で表されるトリシラノール化合物より、一般式(C)、一般式(D)あるいは一般式(E)で表される化合物の高純度体を、簡単なプロセスで高収率で製造する方法を鋭意検討した。
前述の従来法に従って、一般式(A)で表されるトリシラノール化合物と下記一般式(B−1)で表されるシリルクロライド化合物をトリエチルアミン存在下で反応させた場合に
R1 mSiCl4−m (B−1)
(ここで、R1とmは一般式(B)と同じ)
は、副生成物としてトリエチルアンモニウムクロライドが多量に生成するため、当該副生成物の分離と目的物の精製に繁雑な操作と、多大なエネルギーを要するし、さらに高品質の目的物を得る事も困難なので、経済的な製造法ではない。
【0028】
そこで、本発明者等は、次に、一般式(A)で表されるトリシラノール化合物と一般式(B)で表されるアルコキシシラン化合物より目的物を製造する方法について詳細に検討したところ、一般式(A)で表されるトリシラノール化合物と一般式(B)で表されるアルコキシシランをルイス塩基存在下で反応を行うことで、高収率で目的物が得られることを見出し本発明を完成させた。この場合、ほとんどの反応系でほぼ定量的な収率で目的物が生成する。また、本発明の反応系に、適宜、アルコール性化合物を添加すると、反応のコントロールが容易になり、良好な反応成績が得られる。
【0029】
本発明で使用されるルイス塩基としては、例えば脂肪族アミン化合物、複素環窒素原子含有化合物、あるいは、芳香族アミン化合物のような各種のルイス塩基が挙げられる。
脂肪族アミン化合物の具体例としては、例えばEtH2N、n−PrH2N、i−PrH2N、n−BuH2N、s−BuH2N、t−BuH2N、CyH2N等の一級アミン化合物、Et2NH、n−Pr2HN、i−Pr2HN、n−Bu2HN、s−Bu2HN、t−Bu2HN、Cy2HN等の2級アミン化合物、Me3N、Et3N、n−Pr3N、i−Pr3N、i−Pr2EtN、Cy2EtN等の3級アミン化合物が挙げられる。複素環窒素原子含有化合物の具体例としては、例えばピリジン、ピロール、イミダゾール等が挙げられる。芳香族アミン化合物の具体例としては、ジメチルピリジン、アニリン、ジメチルアニリン等が挙げられる。この中でも、脂肪族アミン化合物が好ましく、特に大気圧下での沸点が150℃以下、より好ましくは120℃以下の脂肪族アミン化合物が、反応後蒸留による除去が容易であるので好ましい。
【0030】
本発明の一般式(A)のトリシラノール化合物に対する、アミン化合物の量は特に制限しないが、下限は0.01mol%、より好ましくは0.1mol%、特に好ましくは1mol%である。上限は好ましくは500mol%、より好ましくは300mol%、特に好ましくは100mol%、さらに好ましくは50mol%である。アミン化合物が0.01mol%より少ない場合は、目的の反応が遅くなるため好ましくない。また500mol%より多い場合は、目的の反応の他に、無定形の籠状シルセスキオキサンが生成するなど、収率が下がるため好ましくない。
【0031】
本発明の反応に使用される溶媒の具体例としては、ヘキサン、シクロヘキサンや、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒や、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等の各種のエーテル系溶媒、ジメチルスルホキシド、DMFさらには各種のアルコール性溶媒等の極性溶媒が挙げられる。これらの溶媒は単独でも、2種類以上の複数の溶媒を混合してもよい。なお、溶媒としては、少なくとも1種の極性溶媒を含む溶媒が好ましく、その中でもアルコール性溶媒を含む溶媒が特に反応選択率に優れているので特に好ましい。アルコール性溶媒以外の極性溶媒としては、テトラヒドロフランやジメトキシエタンのような大気圧下での沸点が150℃以下、さらには120℃以下のエーテル系溶媒が反応後の蒸留による除去が容易であり好ましい。したがって、本発明の反応に使用する溶媒としては、上記の低沸点溶媒とアルコール性溶媒からなる混合溶媒が特に好ましい。
【0032】
本発明の反応に使用されるアルコール性溶媒としては炭素数1から8のアルコール性溶媒が好ましい。より好ましくは炭素数1から6のアルコール性溶媒で、特に好ましくは炭素数1から4のアルコール性溶媒である。炭素数8以上のアルコール性溶媒は、沸点が高く、溶媒を容易に留去によって取り除くことができないので好ましくない。
炭素数1から8のアルコール性溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、ヘキセノール、ヘプタノール、オクタノール等が挙げられる。これらのアルコール性溶媒は単独でも使用できるし、複数のアルコール性溶媒を混合して使用しても良い。これらのアルコール性溶媒は単独でも用いることができるが、他の溶媒との混合溶媒として用いる方が好ましい。
【0033】
アルコール性溶媒と他の溶媒からなる混合溶媒の組成の制限は特にないが、アルコール性溶媒の効果を有効に発現するためには、アルコール性溶媒の含有量としては、好ましくは10重量%以上で使用され、より好ましくは20重量%以上、特に好ましくは30重量%以上であり、アルコール性溶媒の上限は好ましくは95重量%以下、より好ましくは90重量%以下、特に好ましくは80重量%以下である。アルコール性溶媒が95重量%以上であるときは、目的の反応が遅くなるため、好ましくない。
【0034】
一般式(A)で表されるトリシラノール化合物と一般式(B)で表されるアルコキシシランの反応温度の制限は特にないが、反応温度の下限は、好ましくは0℃、より好ましくは10℃、特に好ましくは20℃である。また反応温度の上限は好ましくは120℃、より好ましくは100℃、特に好ましくは80℃である。0℃より低い場合は、反応時間が長くなるため好ましくない。また120℃より高い場合は他のシルセスキオキサン化合物が生成し、目的の籠状シルセスキオキサンの収率が低くなるため、好ましくない。また、一般式(A)で表されるトリシラノール化合物と一般式(B)で表されるアルコキシシランの反応時の圧力の制限は特に無く、0.1気圧から200気圧の間で製造することができる。
【0035】
本発明の製造方法で得られた籠状シルセスキオキサンは一般式(C)に、籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体は一般式(D)あるいは一般式(E)で表すことができる。
(RSiO3/2)n+3(R1SiO3/2) (C)
(RSiO3/2)n+h(RSiO2H)3−h(R1 mSiO(4−m)/2)k (D)
(RSiO3/2)n+3(R1 2SiO) (R1 2SiO3/2H) (E)
ここで、nは2から10の整数である。一般式(D)においては、m=2又は3であり、m=2の場合にはk=1、h=2であり、m=3の場合にはk=h=1から3の整数である。
【0036】
一般式(C)の籠状シルセスキオキサンの合成法の具体例としては例えば、一般式(A)においてn=4である一般式(2)で表されるトリシラノール化合物を一般式(B)においてm=1であるのR1Si(OR2)3と反応させることによって一般式(C)においてn=4である(すなわち一般式(C)が(RSiO3/2)7(R1SiO3/2)である)一般式(8)で表される籠状シルセスキオキサンを得る方法が挙げられる。
【0037】
【化8】
【0038】
【化9】
【0039】
一般式(D)で表される籠状シルセスキオキサンの部分開裂体の合成の具体例としては、例えば、一般式(A)においてn=4である一般式(2)で表されるトリシラノール化合物を一般式(B)で、m=2のR1 2Si(OR2)2とを反応させると、一般式(D)において、n=4、m=2、k=1、h=2である(すなわち、一般式(D)が (RSiO3/2)6(RSiO2H)(R1 2SiO)である)一般式(9)で表される籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体を得ることができる。
【0040】
【化10】
【0041】
一般式(A)においてn=4である一般式(2)で表されるトリシラノール化合物に一般式(B)においてm=3であるR1 3Si(OR2)を1当量、反応させることによって、一般式(D)において、n=4、m=3、h=k=1である(すなわち、一般式(D)が (RSiO3/2)5(RSiO2H)2(R1 3SiO1/2)である)一般式(10)で表される籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体を得る事が出来る。
【0042】
【化11】
【0043】
一般式(A)においてn=4である一般式(2)で表されるトリシラノール化合物に一般式(B)においてm=3であるR1 3Si(OR2)を2当量、反応させることによって、一般式(D)において、n=4、m=3、h=k=2である(すなわち、一般式(D)が (RSiO3/2)6(RSiO2H)(R1 3SiO1/2)2である)一般式(11)で表される籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体を得る事が出来る。
【0044】
【化12】
【0045】
一般式(A)においてn=4である一般式(2)で表されるトリシラノール化合物に一般式(B)においてm=3であるR1 3Si(OR2)を3当量、反応させることによって、一般式(D)において、n=4、m=3、h=k=3である(すなわち、一般式(D)が (RSiO3/2)7(R1 3SiO1/2)3である)一般式(12)で表される籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体を得る事が出来る。
【0046】
【化13】
【0047】
一般式(E)で表される籠状シルセスキオキサンの部分開裂体の合成の具体例として、例えば、一般式(A)においてn=4である一般式(2)で表されるトリシラノール化合物に、一般式(B)においてm=2であるR1 2Si(OR2)2を2当量反応させることによって一般式(E)が(RSiO3/2)7(R1 2SiO)(R1 2SiO3/2H)である一般式(13)で表される籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体を得ることができる。
【0048】
【化14】
【0049】
本発明で得られた籠状シルセスキオキサン及び籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体は1H―NMR、29Si―NMRや、GPC、IR、ESI−MS、FAB−MS等で容易に分析することができる。
本発明の製造方法では、ほぼ定量的に目的の籠状シルセスキオキサン及び籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体が生成する。また、本反応の反応混合物中には、目的物以外は、溶媒や反応で精製したアルコール等や、触媒であるルイス塩基の低沸点成分を含むのみである。したがって、本発明の反応混合物からは、溶媒や反応で精製したアルコール、ルイス塩基等の低沸点成分を蒸留で除去するだけで、高純度の目的物をほぼ定量的に得る事が出来る。したがって、本発明の製造方法は、工業的に極めて有用な製造法である。なお、さらに高純度の目的物が必要な場合には、その目的品質に応じて、貧溶媒での洗浄、再結晶やカラム分離等の各種の精製法によってによってさらに精製して使用することもできる。
【0050】
本発明で得られた籠状シルセスキオキサン及び籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体はポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリスルフォン系樹脂等の熱可塑性樹脂やフェノール系樹脂、エポキシ系樹脂等の熱硬化性樹脂に添加することができる。この中でも特にポリフェニレンエーテル系樹脂に添加することで、流動性、難燃性の向上効果が大きい。
【0051】
また本発明の方法で得られた籠状シルセスキオキサン又は籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体は、従来法の場合のような塩素原子等のハロゲン原子含有化合物を使用しないために、ハロゲン化物の含有量が極めて低いため、電子材料分野用樹脂添加剤として好適である。
【0052】
【発明の実施の形態】
以下、実施例及び比較例により本発明の実施の形態を詳細に説明する。本発明はこれらに限定されるものではない。
使用した籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体であるトリシラノール化合物はHybrid Plastic社(米国)の製品を使用した。
得られた籠状シルセスキオキサン及び籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体は次のように分析した。
1)1H NMR:日本電子製、GSX400型NMRを使用し、溶媒としてCDCl3を使用した。
2)29Si NMR:日本電子製、GSX400型NMRを使用し、溶媒としてCDCl3を使用した。
3)FAB−MS:日本電子製、JMS−HX110−HX110を使用し、マトリックスにNBA(ニトロベンジルアルコール)又はNBAとグリセロー ルの混合物(6:4)を使用し、m/Z=10〜2000の範囲で測定を行 った。
4)ESI−MS:Thermoquest製LCQを使用し、サンプルをメタノールに0.01mg/mLの濃度に溶解し、ESI−MS法によりm/z=150〜2000の範囲で測定を行った。
【0053】
【実施例1】
還流器と滴下ロート付の3つ口ガラスフラスコにヘプタイソブチル−ヘプタシルセスキオキサン−トリシラノール30.0g(一般式(2)において、R=iBu、X=OH)をTHF50mLとエタノール50mLからなる混合溶媒に溶解し、トリエチルアミン1.5mLを加えた。室温(約25℃)でフェニルトリメトキシシラン7.52gをエタノール20mLに溶解した溶液を、滴下した。滴下終了後、室温(約25℃)で6時間攪拌を行った後、溶液を29Si NMRで測定すると目的の下記化合物Aに帰属されたシグナル以外の明瞭なシグナルは存在せず、NMRの精度を考慮すると反応収率は97%以上といえる。次に、溶媒のTHFとエタノール、反応で生成したメタノールおよび触媒のトリエチルアミン等の低沸点成分を減圧下で蒸留で留去した後、メタノールで洗浄、乾燥させると、目的物のヘプタイソブチル−フェニルオクタシルセスキオキサン(化合物A)が白色固体として31.5g(単離収率93%)で得られた。得られた籠状シルセスキオキサンを1H及び29SiNMRで分析したところ、化合物Aに特有のピーク(1H:0.61ppm、0.96ppm、1.86ppm、7.35ppm、7.65ppm、29Si:−67.5ppm、−67.7ppm、−78.1ppm)が得られた。また得られた籠状シルセスキオキサンをNBAとglycerolと混ぜて、FAB−MS(Positive)を測定しm/z=894[M+H]+が得られた。
【0054】
【化15】
【0055】
【実施例2】
還流器と滴下ロート付の3つ口ガラスフラスコにヘプタイソブチル−ヘプタシルセスキオキサン−トリシラノール30.0g(一般式(2)において、R=iBu、X=OH)をTHF50mLとエタノール50mLからなる混合溶媒に溶解し、トリエチルアミン1.5mLを加えた。室温でビニルトリエトキシシラン7.21gをエタノール30mLに溶解した溶液を、滴下した。滴下終了後、60℃まで加熱して6時間攪拌を行った後、溶液を29Si NMRで測定すると目的の下記化合物Bに帰属されたシグナル以外の明瞭なシグナルは存在せず、NMRの精度を考慮すると反応収率は97%以上といえる。次に、溶媒のTHFとエタノール、触媒のトリエチルアミン等の低沸点成分を減圧下で蒸留で留去した後、メタノールで結晶化させると、目的物(化合物B)が白色固体として29.1g(単離収率91%)で得られた。得られた籠状シルセスキオキサンを1H及び29SiNMRで分析したところ、化合物Bに特有のピーク(1H:0.62ppm、0.96ppm、1.87ppm、6.02ppm、29Si:−67.2ppm、−67.6ppm、−81.3ppm)が得られた。また得られた籠状シルセスキオキサンをNBAとglycerolと混ぜて、FAB−MS(Positive)を測定しm/z=842[M+H]+が得られた。
【0056】
【化16】
【0057】
【実施例3】
還流器と滴下ロート付の3つ口ガラスフラスコにヘプタフェニル−ヘプタシルセスキオキサン−トリシラノール30.0g(一般式(2)において、R=Ph、X=OH)をTHF20mLとエタノール100mLからなる混合溶媒に溶解し、トリエチルアミン1.5mLを加えた。室温(約25℃)でイソブチルトリメトキシシラン5.74gをエタノール20重量部に溶解した溶液を、滴下した。室温(約25℃)で、6時間攪拌を行った後、溶液を29Si NMRで測定すると目的の下記化合物Cに帰属されたシグナル以外の明瞭なシグナルは存在せず、NMRの精度を考慮すると反応収率は97%以上といえる。次に、溶媒のTHFとエタノール、反応で生成したメタノール、触媒のトリエチルアミン等の低沸点成分を減圧下で蒸留で留去した後、メタノールで洗浄すると目的物(化合物C)が白色固体として31.3g(単離収率96%)で得られた。得られた籠状シルセスキオキサンを1H及び29SiNMRで分析したところ、化合物Cに特有のピーク(1H:ppm、0.58ppm、0.89ppm、1.80ppm、7.32ppm、29Si:−70.1ppm、−75.8ppm、−78.0ppm)が得られた。また得られた籠状シルセスキオキサンをNBAとglycerolと混ぜて、FAB−MS(Positive)を測定しm/z=1013[M+H]+が得られた。
【0058】
【化17】
【0059】
【実施例4】
還流器と滴下ロート付の3つ口ガラスフラスコにヘプタイソオクチル−ヘプタシルセスキオキサン−トリシラノール30.0g(一般式(2)において、R=iOct、X=OH)をTHF50mLとエタノール50mLからなる混合溶媒に溶解し、トリエチルアミン1.5mLを加えた。室温(約25℃)でビニルトリエトキシシラン4.82gをエタノール20mLに溶解した溶液を、滴下した。滴下終了後、60℃まで加熱して6時間攪拌を行った後、溶媒のTHFとエタノールおよび触媒のトリエチルアミン等の低沸点成分を減圧下で蒸留により留去して目的物(化合物D)が少し黄色に着色したオイル状物質として31.3g(NMR純度95%)で得られた。得られた籠状シルセスキオキサンを1H及び29SiNMRで分析したところ、化合物Dに特有のピーク(1H:0.58ppm、0.74ppm、0.77ppm、0.90ppm、1.00ppm、1.14ppm、1.30ppm、1.83ppm、5.93ppm、29Si:−67.4ppm、−67.6ppm、−81.3ppm)が得られた。また得られた籠状シルセスキオキサンをメタノールに溶解し、ESI−MS(Positive)を測定しm/z=1237[M+H]+が得られた。
【0060】
【化18】
【0061】
【実施例5】
還流器と滴下ロート付の3つ口ガラスフラスコにヘプタイソブチル−ヘプタシルセスキオキサン−トリシラノール30.0g(一般式(2)において、R=iBu、X=OH)をTHF50mLとエタノール100mLに溶解し、室温(約25℃)でビニルメチルジエトキシシラン6.08gをエタノール20mLに溶解した溶液を、滴下した。滴下終了後、60℃まで加熱して6時間攪拌を行った後、溶媒のTHFとエタノール及び、触媒のトリエチルアミン等の低沸点成分を減圧下で蒸留により、留去して目的物(化合物E)が無色のオイル状物質として32.6g(NMR純度94%)で得られた。得られた籠状シルセスキオキサンを1H及び29SiNMRで分析したところ、化合物Eに特有のピーク(1H:0.09ppm、0.55ppm、0.95ppm、1.84ppm、5.93ppm)が得られた。また得られた籠状シルセスキオキサンをNBAとglycerolと混ぜて、FAB−MS(Positive)を測定しm/z=860[M+H]+が得られた。
【0062】
【化19】
【0063】
【比較例1】
触媒として、何も加えない他は実施例1と同様に方法で反応を行った。
還流器と滴下ロート付の3つ口ガラスフラスコにヘプタイソブチル−ヘプタシルセスキオキサン−トリシラノール30.0g(一般式(2)において、R=iBu、X=OH)をTHF50mLとエタノール50mLからなる混合溶媒に溶解した。室温(約25℃)でフェニルトリメトキシシラン7.52gをエタノール20mLに溶解した溶液を、滴下した。滴下終了後、80℃に加熱して6時間攪拌を行った後、溶液を29Si NMRを測定したが、全く反応が進行していなかった。
【0064】
【発明の効果】
以上より明らかであるように、本発明の籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体であるトリシラノール化合物にアルコキシシランをルイス塩基の存在下で反応させると、高収率かつ高純度で目的の籠状シルセスキオキサン又は籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体を製造することができる。
Claims (3)
- 一般式(A)で表される籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体と一般式(B)で表されるアルコキシシランをアミン化合物存在下で反応させ、かつその反応が炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、極性溶媒から選ばれる少なくとも 1 種以上の溶媒と、炭素数1から8のアルコール性溶媒から選ばれる少なくとも 1 種以上の溶媒の混合溶媒系で行われ、炭素数1から8のアルコール性溶媒の割合が、全ての溶媒中の1 0 重量%以上95重量%以下であることを特徴とする一般式(C)で表される籠状シルセスキオキサン、一般式(D)および一般式(E)で表される籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体から選ばれるいずれか一種の籠状シルセスキオキサン又は籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体を製造する方法。
(RSiO3/2)n(RSiO2H)3 一般式(A)
R1 mSi(OR2)4-m 一般式(B)
(RSiO3/2)n+3(R1SiO3/2) 一般式(C)
(RSiO3/2)n+h(RSiO2H)3-h(R1 mSiO(4-m)/2)k 一般式(D)
(RSiO3/2)n+3(R1 2SiO)(R1 2SiO3/2H) 一般式(E)
(一般式(A)〜(E)において、Rは水素原子、炭素原子数1から20の置換又は非置換の炭化水素基又はケイ素原子数1から10のケイ素原子含有基から選ばれ、複数のRは同一でも異なっていても良い。R1はRと同じ群から選ばれる基であり、複数のR1は同じでも異なっていても良い。OR2は炭素原子数1から6のアルコキシ基である。nは2から10の整数で、mは1から3の整数である。ただし、一般式(D)においては、m=2又は3であり、m=2の場合にはk=1、h=2であり、m=3の場合にはk=h=1から3の整数である。) - 該アミン化合物が、沸点120℃以下の脂肪族アミン化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の籠状シルセスキオキサン又は籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体の製造方法。
- 一般式(A)、(C)、(D)、(E)中のnが4であることを特徴とする請求項1 又は2に記載の籠状シルセスキオキサン又は籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体の製造方法。
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