JP5119843B2 - カゴ型シルセスキオキサン誘導体の製造方法 - Google Patents

カゴ型シルセスキオキサン誘導体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、反応性官能基を有するカゴ形シルセスキオキサン構造体モノシラノール誘導体およびその製造方法に関する。
シルセスキオキサンの製造方法としては、アルキルトリアルコキシシランまたはアルキルトリクロロシランの、酸触媒もしくは塩基触媒による加水分解とそれに続く縮合反応による方法などが一般に知られている(Baneyら Chem.Rev.1995,95,1409など)。
メタクリロイル基やグリシジル基のような反応性官能基が結合しているカゴ形シルセスキオキサンの製造方法は、例えば、特開2004−143449(特許文献1)に開示されている。ここでは、まず、アルキルトリアルコキシシランの加水分解反応と縮合反応の一部を同時に行った後、再度縮合反応を行うことにより高効率で完全カゴ形シルセスキオキサンを得ている。また、このようにして得られる完全カゴ形シルセスキオキサンがメタクリレート樹脂やエポキシ樹脂との相溶性を有することや、これを用いることにより硬化物の架橋密度が増加するため、硬化物の耐熱性、熱安定性、耐薬品性、および機械物性の向上に有効であることが記載されている。
また、選択的な官能基導入方法としては、WO03/024870(特許文献2)に、カゴ形シルセスキオキサンの一つの構造上に、合目的的に異なる複数の種類の置換基を、構成するケイ素上に導入する方法が開示されている。この方法は、アルキルトリアルコキシシランから誘導されるテトラシラノキシド体を合成前駆体とするもので、アルキルトリアルコキシシランから2段階の反応工程を必要とする。
さらに、特開2004−51847(特許文献3)、および特開2004−51848(特許文献4)にはカゴ形シルセスキオキサンのトリシラノール誘導体を原料とし、選択的に置換基を導入したカゴ形シルセスキオキサンを製造する方法が開示されている。この方法により、一つのカゴ形構造に一つの反応性官能基を導入したシルセスキオキサンを製造することが可能である。この方法もまた、アルキルトリアルコキシシランから誘導されるトリシラノール体を合成前駆体としているため、アルキルトリアルコキシシランから2段階の反応工程を必要とする。
しかしながら、このようにして得られる反応性官能基を有する完全カゴ形シルセスキオキサンは、他の化合物と混合して硬化性組成物とした場合や、さらに硬化反応を経て硬化物とした場合に相溶性に問題が生じることがあった。相溶性に劣ることは即ち、透明性に劣るということであり、カゴ形シルセスキオキサン誘導体自体の透明性を活かすアプリケーションにとって極めて好ましくない。
また、これらの方法はいずれも2段階の反応工程を必要とするため製造効率にも劣る。
特開2004−143449 WO03/024870 特開2004−51847 特開2004−51848
本発明者らが検討を行った結果、相溶性の問題の解決にはカゴ形シルセスキオキサンシラノール誘導体を用いることが有用であることが明らかとなった。しかし、一般に残存シラノール基は力学的性質、耐熱性などの物性低下や保存安定性を損なう潜在的可能性を有していることが指摘されている。
本発明はこれらの点を鑑み、物性低下の潜在的可能性を最小限に留めつつ相溶性が改善された、反応性官能基を有するカゴ形シルセスキオキサンのシラノール誘導体を提供することを目的とする。
本発明者らは、一構造体中に一つのシラノール基を有するカゴ形シルセスキオキサンモノシラノール誘導体が、硬化性組成物における相溶性と諸物性のバランスに優れることを見出し、さらに、反応条件を制御することにより1段階の反応工程で選択的にモノシラノール誘導体を合成できる方法を見出した。
すなわち、本発明はトリアルコキシアルキルシランを塩基の存在下、有機溶媒中で水と反応させることを特徴とする、下式(1)で表わされるカゴ形シルセスキオキサン構造体モノシラノール誘導体の製造方法である。
[RSiO1.5[RSiOH] (1)
(式中のRは、ビニル基、3−アクリロイルオキシプロピル基、3−メタクリロイルオキシプロピル基、または3−グリシドキシプロピル基から選ばれる反応性官能基を有する基、若しくはメチル基またはフェニル基であり、同一シルセスキオキサン分子上の複数のRは同一であっても異なっていても良く、さらに平均的に少なくとも二つは反応性官能基を有する基である。nは8、10、12、または14である。)
また、トリアルコキシアルキルシランを塩基の存在下、有機溶媒中で水と反応させることを特徴とする、下式(2)で表わされるカゴ形シルセスキオキサン構造体モノシラノール誘導体の製造方法である。
[RSiO1.5[RSiOH] (2)
(式中のRは、ビニル基、3−アクリロイルオキシプロピル基、3−メタクリロイルオキシプロピル基、または3−グリシドキシプロピル基から選ばれる反応性官能基を有する基、若しくはメチル基またはフェニル基であり、同一シルセスキオキサン分子上の複数のRは同一であっても異なっていても良く、さらに平均的に少なくとも二つは反応性官能基を有する基である。)
これらの製造方法においては、トリアルコキシアルキルシランに対し1.4〜1.6倍モル量の水を用いることが好ましく、トリアルコキシアルキルシランはビニルトリメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、またはフェニルトリメトキシシランであることが好ましい。
さらに、本発明はこれらの製造方法によって得られたカゴ形シルセスキオキサン構造体モノシラノール誘導体である。
本発明により、他の樹脂との相溶性および諸物性に優れた、反応性官能基を有するカゴ形シルセスキオキサンモノシラノール誘導体を提供することができる。本発明によって得られたカゴ形シルセスキオキサンモノシラノール誘導体は、特に耐熱性や透明性が要求される封止材料やハードコーティング材料に好適に用いることができる。
本発明の下式(1)で表わされるカゴ形シルセスキオキサン構造体モノシラノール誘導体は、トリアルコキシアルキルシランを塩基の存在下、有機溶媒中で水と反応させることを特徴とする。
[RSiO1.5[RSiOH] (1)
(式中のRは、ビニル基、3−アクリロイルオキシプロピル基、3−メタクリロイルオキシプロピル基、または3−グリシドキシプロピル基から選ばれる反応性官能基を有する基、若しくはメチル基またはフェニル基であり、同一シルセスキオキサン分子上の複数のRは同一であっても異なっていても良く、さらに平均的に少なくとも二つは反応性官能基を有する基である。nは8、10、12、または14である。)
反応に用いることができるトリアルコキシアルキルシランに特に制限は無いが、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、またはフェニルトリエトキシシランなどが挙げられる。この中でも、入手が容易であるビニルトリメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、およびフェニルトリエトキシシランが好ましい。
これらは単独で用いても良いし、複数を組み合わせて用いることもできる。複数を組み合わせて用いる場合は、平均的に少なくとも二つの反応性官能基が同一シルセスキオキサン分子上に導入されるような割合で用いるのが好ましい。また、反応性官能基と非反応性官能基の割合を制御することで、一つのシルセスキオキサン分子上での架橋度を合目的的に制御することができる。
上記の塩基としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化セシウムなどのアルカリ金属水酸化物、あるいはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリエチルアンモニウムヒドロキシドなどの水酸化テトラアルキルアンモニウムを挙げることができる。これらは単独で用いても良いし、複数を組み合わせて用いることもできる。また、反応に用いる量はトリアルコキシシランに対して0.01〜0.3倍モル量であることが好ましく、特に0.05〜0.1倍モル量であることが好ましい。
添加する水の量はトリアルコキシアルキルシランに対して1.4〜1.6倍モル量であることが好ましく、特に1.45〜1.55倍モル量であることが好ましい。水の量が多いと化合物へのシラノール基導入量が多くなりすぎるため好ましくなく、また、エステル結合の加水分解や、エポキシ環の開環反応が進行し易くなる。一方、水の量が少ないと原料のアルコキシシラン部位の加水分解が十分に進行せず、未反応部位が残留するため好ましくない。
反応溶媒は非プロトン性で反応に必要な量の水を溶解し、トリアルコキシアルキルシランおよび反応中間体が析出しないものであれば良く、特にテトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒が好ましい。また、反応溶液中のトリアルコキシアルキルシランの濃度は0.1〜1.0mol/Lが好ましく、特に0.1〜0.5mol/Lが好ましい。濃度が低いと目的物を得るまでの時間が長くなるため生産性の観点から好ましくない。一方、濃度が高いとカゴ状以外の構造体が生成し易くなり、また、生成物の分子量が大きくなる、かつ/または分子量分布が広くなることにより相溶性が低くなる原因となり好ましくない。
反応温度は10〜50℃が好ましく、特に30〜50℃が好ましい。温度が10℃以下では反応速度が遅く、目的物を得るまでの時間が長くなるため生産性の観点から好ましくない。一方、温度が50℃を越えると反応速度が速すぎるため、反応の制御が困難となり複雑な縮合反応が進行すること、また、化合物中のエステル結合の加水分解やエポキシ環の開環反応が進行することにより、目的以外の化合物の生成が促進される。
反応時間は10〜60分が好ましく、特に20〜40分が好ましい。反応時間が長すぎると化合物中のエステル結合の加水分解やエポキシ環の開環反応が進行するため好ましくない。
反応終了後、一般的な手順、例えば、反応液を中和して溶媒を留去し、非水溶性溶媒で抽出などの処理をすることにより、カゴ形シルセスキオキサン構造体モノシラノール誘導体が得られる。
式(1)で表されるカゴ形シルセスキオキサン構造体モノシラノール誘導体のうち、n=8で表わされる化合物である[RSiO1.5[RSiOH]の例を、下式(1−1)に示す。
Figure 0005119843
式(1)で表されるカゴ形シルセスキオキサン構造体モノシラノール誘導体のうち、n=10で表わされる化合物[RSiO1.510[RSiOH]の例を、下式(1−2)、(1−3)に示す。
Figure 0005119843
式(1)で表されるカゴ形シルセスキオキサン構造体モノシラノール誘導体のうち、n=12で表わされる化合物[RSiO1.512[RSiOH]の例を、下式(1−4)に示す。
Figure 0005119843
本発明のカゴ形シルセスキオキサン構造体モノシラノール誘導体は、シルセスキオキサン上の反応性官能基を用いて、他の反応性官能基との間で結合を生成することができるため、種々の重合型、架橋型、付加型、縮合型などの硬化性樹脂を構成する成分として、単独または他の化合物と混合して用いることができる。
シルセスキオキサン上の置換基がビニル基の場合、公知のビニル誘導体モノマーの代替として、また、ビニル系オリゴマーやポリマーにおける公知モノマーの代替として用いることができる。特にSiH基とのヒドロシリル化や、ビニル化合物とのラジカル反応に好適である。
シルセスキオキサン上の置換基が3−メタクリロイルオキシプロピル基の場合、公知のメタクリレート誘導体モノマーの代替として、また、メタクリレート系オリゴマーやポリマーにおける公知モノマーの代替として用いることができる。特にメタクリレート化合物とのラジカル反応に好適である。
同様に、3−アクリロイルオキシプロピル基の場合、公知のアクリレート誘導体モノマーの代替として、また、アクリレート系オリゴマーやポリマーにおける公知モノマーの代替として用いることができる。特にアクリレート化合物とのラジカル反応に好適である。
さらに、シルセスキオキサン上の置換基が3−グリシドキシプロピル基の場合、公知のエポキシ誘導体モノマーの代替として、また、エポキシ系オリゴマーやポリマーにおける公知モノマーの代替として用いることができる。
公知モノマーの代替して用いることによって、従来組成の樹脂に比べて、透明性、耐熱性、熱耐久性、耐光性、耐候性、防汚性、低誘電性、絶縁性、硬度、強度などの樹脂物性の向上を図ることができる。
また、シラノール基も、他のシラノール基やアルコキシシリル基との縮合反応に用いることができるほか、酸や酸ハロゲン化物とのシリルエステル化反応、エステルやアミドとの交換反応によるシリルエステル化反応、SiH(ヒドロシリル)基との反応によるシロ
キサン結合生成など、公知のシラノール基に対する反応に用いることができる。
本発明のシルセスキオキサン誘導体を成分として含む硬化性組成物からは、フィルム、シート、板状、円柱状、円筒状などの種々の形のシルセスキオキサン含有樹脂を得ることができる。また、対応する成形型を用いることでレンズ状、プリズム状など任意の形の硬化物を得ることができる。さらに他の材料の上で硬化させることにより、その材料を被覆もしくは封止した状態で硬化物とすることもできる。
このようにして得られるシルセスキオキサン含有樹脂は、耐熱性及び透明性に優れるため、例えばガラスに代わる軽量・フレキシブルな材料として、電子回路用透明基板や光導波路などの用途に用いることができる。特に、耐熱性と透明性が要求される表示用電子回路透明基板の用途に好適である。また、耐熱性と透明性が要求される封止材料、特に高出力発光素子の封止材料、例えば高出力白色LEDの封止材料としての用途に好適である。また、耐熱性と透明性と硬度が要求されるハードコーティング材料、特に透明樹脂材料に対するハードコーティング材料としての用途に好適である。さらに、光硬化性が要求される光造形樹脂としての用途にも好適である。
以下、実施例および比較例を示し、本発明を具体的に説明する。
(分析方法)
1)29Si−NMR、及びH−NMR測定:
JEOL社製JNM−AL400スペクトルメーターを用い、溶媒はCDCl、テトラメチルシランを基準物質として測定した。29Si−NMRではパルス幅5.3μs、サンプリング間隔30sで1750回積算して行なった。29Si−NMRの帰属はRSi(OSi≡)SiをT3,RSi(OSi≡)OHのSiをT2とした。
2)分子量(数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw))及び分子量分布(Mw/Mn)の測定:
試料をテトラヒドロフランの0.5wt%溶液とし、島津製作所製高速液体クロマトグラフィーシステムに、昭和電工株式会社製SEC用カラム(KF−402.5HQ、2本)を取り付けたGPC(ゲル濾過クロマトグラフィー)システムを用い、カラム温度40℃、テトラヒドロフランを展開溶媒として流量0.3ml/min、注入量5μlで分析した。ポリスチレンを標準物質として、数平均分子量Mnおよび分散度Mw/Mnを求めた。数平均分子量Mnおよび分散度Mw/Mnの算出は、装置に付属のソフトを用いて行なった。
3)GC−MSの測定:
J&W社製キャピラリーカラムDB−5MS(30m、内径0.25μm、フィルム厚0.25μm)を装着した,島津製作所製ガスクロマトグラフィーGC17Aに接続した、島津製作所製質量分析器GCMS−QP5050Aで、イオン化法はEIで測定した。
4)TOF−MSの測定:
日本電子製T−100LCを用い、ダイレクトインフュージョン法およびイオン化法はAPCI+で測定した。溶媒にはメタノールを使用した。本条件において観測されるm/zは被測定化合物のナトリウム付加体に帰属することができた。
(実施例1)
2L容のセパラブルフラスコにテトラヒドロフラン1200mlおよび3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン119.23g(480mmol)を加えた。この溶液を攪拌羽を用いて激しく攪拌しながら、オイルバスを用いて40℃に保持した。この状態で12.18wt%水酸化ナトリウム水溶液14.77g(水720mmol)を入れて、激しい攪拌を維持しながらオイルバスを用いて40℃に保持した。30分後反応液を室温に放冷し、1N塩酸45ml加えた。ろ過後、ろ液が白濁するまで減圧濃縮した。濃縮液を分液漏斗に移し、ジエチルエーテルを200ml、飽和食塩水を50ml加えて分液操作を行った。有機層を飽和食塩水で3回洗浄後、無水硫酸マグネシウムで1昼夜脱水した。これをろ過後、濃縮し、1昼夜真空乾燥した。生成物は無色透明の粘性液体で、収量78.82g、収率91%であった。
生成物の分子量は、Mn=1.7×10、Mw/Mn=1.08であった。
生成物の核磁気共鳴スペクトル(NMR)の測定の結果は、H−NMR(図1) δ(ppm):0.68(m、2H)、1.7 − 1.9(m、5.1H)、4.1(m、2H)、5.6(m、1H)、6.1(m、1H);29Si−NMR(図2) δ(ppm):−74 − −64(T3)、88mol%、−65 − −55(T2)、12mol%。
T2に帰属されるSiが12%であることから、9個のSiからなるカゴ形シルセスキオキサン中のSiのうち平均的に一つはシラノールである、即ちモノシラノール誘導体であることに矛盾しない。また、TOF−MS測定結果(図3)におけるm/z=1643は、[RSiO1.5[RSiOH](Rは3−メタクリロイルオキシプロピル基)で表される化合物の分子量と一致する。
(比較例1)
2L容のセパラブルフラスコにテトラヒドロフラン1200mlおよび3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン119.23g(480mmol)を加えた。この溶液を攪拌羽を用いて激しく攪拌しながら、オイルバスを用いて40℃に保持した。この状態で12.18wt%水酸化ナトリウム水溶液14.77g(水720mmol)を入れて、激しい攪拌を維持しながらオイルバスを用いて60℃に保持した。15分後に反応溶液は白濁した。180分後反応液を室温に放冷し、1N塩酸45ml加えた。ろ過後、ろ液が白濁するまで濃縮した。濃縮液を分液漏斗に移し、ジエチルエーテルを200ml、飽和食塩水を50ml加えて分液操作を行った。有機層を飽和食塩水で3回洗浄後、無水硫酸マグネシウムで1昼夜脱水した。これをろ過後、濃縮し、1昼夜真空乾燥した。生成物は無色透明の粘性液体で、収量69.98g、収率81%であった。
生成物の分子量は、Mn=1.6×10、Mw/Mn=1.07であった。
生成物の核磁気共鳴スペクトル(NMR)の測定の結果は、H−NMR δ(ppm):0.66(m、2H)、1.6 − 1.9(m、4.7H)、3.6(m、0.46H)4.1(m、1.6H)、5.6(m、0.8H)、6.1(m、0.8H);29Si−NMR δ(ppm):−74 − −63(T3)、90mol%、−62 − −55(T2)、10mol%。
生成物のH−NMR結果からメタクリロイル基の結合したメチレン基のプロトン(4.1ppm)の積分値が減少し、水酸基が結合したメチレン基のプロトン(3.6ppm)が観測されていることがわかる。即ちメタクリロイルオキシプロピル基が加水分解を受けて、ヒドロキシプロピル基となっている。
このことは、濃縮前の反応混合物のGC−MS測定より、メタクリル酸と、原料の3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランの加水分解から生じて反応系中に存在するメタノールと、メタクリル酸から生成するメタクリル酸メチルが観測されたこと、さらに生成物のTOF−MS測定より、部分的にSi上の官能基がヒドロキシプロピル基である構造のシルセスキオキサンが同定されたことからも支持される。
(比較例2)
2L容のセパラブルフラスコにテトラヒドロフラン1200mlおよび3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン119.22g(480mmol)を加えた。この溶液を攪拌羽を用いて激しく攪拌しながら、オイルバスを用いて40℃に保持した。この状態で12.18wt%水酸化ナトリウム水溶液14.77g(水720mmol)を入れて、激しい攪拌を維持しながらオイルバスを用いて40℃に保持した。180分後反応液を室温に放冷し、1N塩酸45ml加えた。ろ過後、ろ液が白濁するまで濃縮した。濃縮液を分液漏斗に移し、ジエチルエーテルを200ml、飽和食塩水を50ml加えて分液操作を行った。有機層を飽和食塩水で3回洗浄後、無水硫酸マグネシウムで1昼夜脱水した。これをろ過後、濃縮し、1昼夜真空乾燥した。生成物は無色透明の粘性液体で、収量74.98g、収率87%であった。
生成物の分子量は、Mn=1.5×10、Mw/Mn=1.05であった。
生成物の核磁気共鳴スペクトル(NMR)の測定の結果は、H−NMR δ(ppm):0.68(m、2H)、1.7 − 1.9(m、5.4H)、3.6(m、0.24H)4.1(m、1.8H)、5.6(m、0.9H)、6.1(m、0.9H);29Si−NMR δ(ppm):−74 − −64(T3)、90mol%、−62 − −54(T2)、11mol%。
生成物のH−NMR結果からメタクリロイル基の結合したメチレン基のプロトン(4.1ppm)の積分値が減少し、水酸基が結合したメチレン基のプロトン(3.6ppm)が観測されていることがわかる。即ちメタクリロイルオキシプロピル基が加水分解を受けて、ヒドロキシプロピル基となっている。
このことは、濃縮前の反応混合物のGC−MS測定より、メタクリル酸と、原料の3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランの加水分解から生じて反応系中に存在するメタノールと、メタクリル酸から生成するメタクリル酸メチルが観測されたこと、さらに生成物のTOF−MS測定より、部分的にSi上の官能基がヒドロキシプロピル基である構造のシルセスキオキサンが同定されたことからも支持される。
(比較例3)
実施例1に記載の水酸化ナトリウム水溶液を、12.18wt%水酸化ナトリウム水溶液48.74g(水2.38mol)に変更した以外は同様の操作を行った。生成物は無色透明の粘性液体で、収量80.40g、収率92%であった。
生成物の分子量は、Mn=1.4×10、Mw/Mn=1.10であった。
生成物の核磁気共鳴スペクトル(NMR)の測定の結果は、H−NMR δ(ppm):0.68(m、2H)、1.7 − 1.9(m、5.1H)、4.1(m、2H)、5.6(m、1H)、6.1(m、1H);29Si−NMR δ(ppm):−74 − −64(T3)、79mol%、−65 − −55(T2)、21mol%。
T2に帰属されるSiが21%であることから、9−10個のSiからなるカゴ形シルセスキオキサン中のSiのうち平均的に二つはシラノールである。
(参考例)
実施例1で合成したシルセスキオキサンと市販の3−メタクリロイルオキシプロピル置換シルセスキオキサン(Aldrich社,methacryl−POSS cage mixture)のそれぞれを、ポリカーボネートジオールジメタクリレート(宇部興産(株)製、UM90(1/3)DM)と2−ヒドロキシエチルメタクリレートの混合液に添加し、攪拌混合後の外観を比較観察した。実施例1で合成したシルセスキオキサンを添加したサンプルは無色透明であったが、市販の3−メタクリロイルオキシプロピル置換シルセスキオキサンを添加したサンプルは白濁していた。
このとき用いた市販の3−メタクリロイルオキシプロピル置換シルセスキオキサン分子量は、Mn=1.7×10、Mw/Mn=1.03であった。
生成物の核磁気共鳴スペクトル(NMR)の測定の結果は、H−NMR(図4) δ(ppm):0.68(m、2H)、1.7 − 1.9(m、5.1H)、4.1(m、2H)、5.6(m、1H)、6.1(m、1H);29Si−NMR(図5) δ(ppm):−74 − −64(T3)、97mol%、−65 − −55(T2)、3mol%。
T2に帰属されるSiが3%であることから、この市販シルセスキオキサン試料には最大でもモノシラノール誘導体は25%しか含まれていないことがわかる。
実施例1のH−NMRスペクトル 実施例1の29Si−NMRスペクトル 実施例1のTOF−MSスペクトル 市販の3−メタクリロイルオキシプロピル置換シルセスキオキサンの29Si−NMRスペクトル 市販の3−メタクリロイルオキシプロピル置換シルセスキオキサンのTOF−MSスペクトル

Claims (3)

  1. トリアルコキシアルキルシランを塩基の存在下、有機溶媒中で水と反応させることを特徴とする、下式(1)で表わされるカゴ形シルセスキオキサン構造体モノシラノール誘導体の製造方法であって、
    [RSiO1.5[RSiOH] (1)
    (式中のRは、ビニル基、3−アクリロイルオキシプロピル基、3−メタクリロイルオキシプロピル基、または3−グリシドキシプロピル基から選ばれる反応性官能基を有する基、若しくはメチル基またはフェニル基であり、同一シルセスキオキサン分子上の複数のRは同一であっても異なっていても良く、さらに平均的に少なくとも二つは反応性官能基を有する基である。nは8、10、12、または14である。)
    反応溶液中のトリアルコキシアルキルシランの濃度を0.1〜1.0mol/Lとし、トリアルコキシアルキルシランに対し1.4〜1.6倍モル量の水を用いて、10〜50℃で10〜60分反応させることを特徴とするカゴ形シルセスキオキサン構造体モノシラノール誘導体の製造方法。
  2. トリアルコキシアルキルシランを塩基の存在下、有機溶媒中で水と反応させることを特徴とする、下式(2)で表わされるカゴ形シルセスキオキサン構造体モノシラノール誘導体の製造方法であって、
    [RSiO1.5[RSiOH] (2)
    (式中のRは、ビニル基、3−アクリロイルオキシプロピル基、3−メタクリロイルオキシプロピル基、または3−グリシドキシプロピル基から選ばれる反応性官能基を有する基、若しくはメチル基またはフェニル基であり、同一シルセスキオキサン分子上の複数のRは同一であっても異なっていても良く、さらに平均的に少なくとも二つは反応性官能基を有する基である。)
    反応溶液中のトリアルコキシアルキルシランの濃度を0.1〜1.0mol/Lとし、トリアルコキシアルキルシランに対し1.4〜1.6倍モル量の水を用いて、10〜50℃で10〜60分反応させることを特徴とするカゴ形シルセスキオキサン構造体モノシラノール誘導体の製造方法。
  3. トリアルコキシアルキルシランがビニルトリメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、またはフェニルトリメトキシシランである、請求項1〜のいずれかに記載のシルセスキオキサン構造体モノシラノール誘導体の製造方法。
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