JP4078971B2 - タンタル溶解用組成物及びそれを用いた溶解方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶解用組成物を用いたタンタル金属、タンタル酸化物、タンタル窒化物及びタンタルハロゲン化物から成る群より選ばれる少なくとも一種の溶解方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
タンタルは、半導体製造工程、特に銅を配線材料に使用した半導体の製造工程において、極めて重要な物質である。タンタル金属、窒化タンタル、有機タンタル化合物などを使用して半導体を製造する際、不必要なタンタル、タンタル化合物が、望ましくない場所に付着、生成することがある。タンタル金属は強酸に溶解せず、王水にも溶解しない。ただ高腐食性のフッ化水素酸には溶解することが一般に知られている。またタンタル化合物も水に難溶のものが多い。
【0003】
この様にタンタルは非常に溶解し難い物質であるため、このタンタルを除去することは容易でない。特に一般的に半導体を形成するその他の材料が、タンタルよりダメージを受けやすいため、不必要なタンタルを除去するのは極めて難しい。そこで、半導体材料にダメージを与えることなく、タンタルを溶解する組成物の開発が望まれていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、半導体材料にダメージを与えず、タンタル金属、タンタル酸化物、タンタル窒化物及びタンタルハロゲン化物から成る群より選ばれる少なくとも一種を溶解する組成物の開発が望まれていた。そのため、本発明の目的は、半導体材料にダメージを与えない溶解方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、タンタル金属、タンタル酸化物、タンタル窒化物及びタンタルハロゲン化物から成る群より選ばれる少なくとも一種の溶解方法について鋭意検討した結果、炭酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、カルバミン酸ナトリウム、カルバミン酸アンモニウムから成る群より選ばれる少なくとも一種の炭酸塩及び酸化剤、又は過炭酸ナトリウムを使用することにより、半導体材料にダメージを与えることなく、タンタル金属、タンタル酸化物、タンタル窒化物及びタンタルハロゲン化物を室温でも容易に溶解できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、炭酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、カルバミン酸ナトリウム、カルバミン酸アンモニウムから成る群より選ばれる少なくとも一種の炭酸塩及び酸化剤、又は過炭酸ナトリウムを含んで成る溶解用組成物を用いたタンタル金属、タンタル酸化物、タンタル窒化物及びタンタルハロゲン化物から成る群より選ばれる少なくとも一種の溶解方法である。
【0007】
以下に本発明をさらに詳細に説明する。
【0008】
本発明で用いる組成物は、水、炭酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、カルバミン酸ナトリウム、カルバミン酸アンモニウム、から成る群より選ばれる少なくとも一種の炭酸塩及び酸化剤、又は過炭酸ナトリウムを含んで成るものである。
【0009】
本発明において、溶解対象は、タンタル金属、タンタル酸化物、タンタル窒化物及びタンタルハロゲン化物から成る群より選ばれる少なくとも一種である。特に半導体の製造過程において、不必要な物質として存在しているタンタル金属、タンタル酸化物、タンタル窒化物及びタンタルハロゲン化物から成る群より選ばれる少なくとも一種が溶解対象である。
【0011】
本発明で用いる組成物において、炭酸塩の具体例としては、炭酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、カルバミン酸ナトリウム、カルバミン酸アンモニウムを挙げることができるが、金属イオンの存在を嫌う半導体の製造においては、アンモニウムイオンを含有する、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、カルバミン酸アンモニウムが好ましい。
【0012】
本発明で用いる組成物において使用できる酸化剤を例示すると、オゾン、過酸化水素、過炭酸、過硫酸、過ホウ酸などの過酸、過酸化ベンゾイルなどの有機過酸化物が挙げられるが、安価なオゾン、過酸化水素、過酸が好ましい。
【0013】
なお、過炭酸塩を使用する場合には、過炭酸塩が分解して炭酸塩を発生するため、必ずしも炭酸塩と併用する必要はない。
【0014】
炭酸塩と酸化剤との組成は、化合物の種類によって変動するため、一該に決定することは困難であるが、炭酸塩が0.01〜50重量%、酸化剤が0.1〜50%、好ましくは、炭酸塩が0.1〜40重量%、酸化剤が1〜35%である。
【0015】
炭酸塩、酸化剤が前記範囲より少ないとタンタルを溶解する性能が工業的に満足できないほど低くなり、炭酸塩が50%を越えると炭酸塩が溶解し難くなる。また酸化剤が50%を超えると、酸化剤の分解が激しくなるため、工業的に使用することが困難になる。
【0016】
本発明で用いる組成物において、炭酸塩及び酸化剤、又は過炭酸ナトリウムは水に溶解させて使用する。水だけでは溶解しない場合や溶解を向上させるため、あるいは半導体材料へのダメージを減らすために、更に有機溶媒を添加しても良い。
【0017】
使用できる有機溶媒は、水に溶解するものなら特に制限はないが、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、メトキシエタノール、メトキシプロパノール、エトキシエタノール、エトキシプロパノール、ブトキシエタノール、ブトキシプロパノールなどのアルコール類、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルピロリドン、ジメチルイミダゾリジノンなどのアミド類、炭酸ジメチル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどのエステル類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、メチルモルホリンオキシドなどのアミンオキシド類などが挙げられる。
【0018】
本発明で用いる組成物に添加できる上述のような水溶性有機溶媒の含量は、溶解用組成物の総重量を基準に0.1〜70重量%が好ましく、1〜50重量%がさらに好ましい。水溶性有機溶媒の含量が1重量%未満であると、水溶性有機溶媒を添加した効果は小さく、70重量%を超えると、溶解速度が小さくなる場合がある。
【0019】
本発明で用いる組成物において、その他の塩、酸及び/又は塩基などを加え、pHを調整することもできる。
【0020】
本発明で用いる組成物を使用して溶解する温度は0〜100℃が好ましく、より好ましくは10〜90℃である。0℃未満では、溶解速度が遅くなって現実的でない場合があり、100℃を越える温度では水の蒸発のため、濃度が一定とならず、充分に溶解できない場合がある。
【0021】
本発明の組成物は、タンタルを溶解処理する様々な分野で使用でき、例えば、タンタル金属の表面処理、半導体製造工程における不純物除去などが挙げられる。
【0022】
しかし、その中でも特に半導体製造工程で副生するタンタルを除去するのに使用するのが好ましい。半導体製造工程においては、一般的なタンタル溶解方法ではダメージを受けやすい材料を使用しており、温和な条件でタンタルを溶解できる本発明のような組成物の使用が適している。
【0023】
【実施例】
本発明を以下の実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0024】
なお標記を簡略にするため、以下の略記号を使用する。
SPC:過炭酸ナトリウム
SC:炭酸ナトリウム
AHC:炭酸水素アンモニウム
CA:カルバミン酸アンモニウム
HPO:過酸化水素
BP:ブトキシプロパノール
OZN:オゾン水
(測定方法)
以下の実施例において、タンタルの溶解速度は、シリコンウエハ上にタンタル金属を200nmの厚さにスパッタ蒸着させた基板を試験液に浸漬し、そのタンタル膜厚をシート抵抗値で測定し、単位時間あたりの膜厚変化で求めた。
【0025】
実施例1〜5、比較例1〜2
表1記載の組成(残部は水)の試験液に、上述のようにタンタルをスパッタ蒸着させたシリコンウエハを表1記載の温度で浸漬した。タンタルの溶解速度を表1に示した。
【0026】
【表1】
【発明の効果】
以上、詳述したように、本発明のタンタル溶解用組成物を用いると、0〜100℃という温和な条件でタンタルを溶解することができ、その工業的価値は高い。
Claims (14)
- 水と、炭酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、カルバミン酸ナトリウム、カルバミン酸アンモニウムから成る群より選ばれる少なくとも一種の炭酸塩と、酸化剤とを含んで成る溶解用組成物を用いたタンタル金属、タンタル酸化物、タンタル窒化物及びタンタルハロゲン化物から成る群より選ばれる少なくとも一種の溶解方法。
- 酸化剤が、過酸化水素、オゾン及び過酸から成る群より選ばれる少なくとも一種である請求項1に記載の溶解方法。
- 水と、過炭酸ナトリウムを含んで成る溶解用組成物を用いたタンタル金属、タンタル酸化物、タンタル窒化物及びタンタルハロゲン化物から成る群より選ばれる少なくとも一種の溶解方法。
- 請求項1及び2、又は3のいずれかに記載の組成物に、更に水溶性有機溶媒を添加してなる溶解方法。
- 水溶性有機溶媒の含量が、溶解用組成物の総重量を基準に0.1〜70重量%である請求項4記載の溶解方法。
- 水溶性有機溶媒が、アルコール類、エーテル類、アミド類、エステル類、スルホキシド類及びアミンオキシド類から成る群より選ばれる少なくとも一種である請求項4又は請求項5記載の溶解方法。
- アルコール類が、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、メトキシエタノール、メトキシプロパノール、エトキシエタノール、エトキシプロパノール、ブトキシエタノール及びブトキシプロパノールから成る群より選ばれる少なくとも一種である請求項6記載の溶解方法。
- エーテル類が、テトラヒドロフラン及び/又はジオキサンである請求項6記載の溶解方法。
- アミド類が、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルピロリドン及びジメチルイミダゾリジノンから成る群より選ばれる少なくとも一種である請求項6記載の溶解方法。
- エステル類が、炭酸ジメチル、エチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートから成る群より選ばれる少なくとも一種である請求項6記載の溶解方法。
- スルホキシド類が、ジメチルスルホキシドである請求項6記載の溶解方法。
- アミンオキシド類が、メチルモルホリンオキシドである請求項6記載の溶解方法。
- 半導体製造工程で生成する不純物であるタンタル金属、タンタル酸化物、タンタル窒化物及びタンタルハロゲン化物から成る群より選ばれる少なくとも一種を溶解する請求項1乃至12のいずれかに記載の溶解方法。
- 0〜100℃の温度で溶解を行う請求項1及至13のいずれかに記載の溶解方法。
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