JP4078002B2 - 発光体及び信号灯 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、交通信号に用いる発光体及び信号灯に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来、交通信号に用いられる信号灯として、図８に示されるようなものがある。図８に示されるように、従来の信号灯１０１は、ドーム状のケーシング１０３の内部に白熱電球１０７が設けられ、ケーシング１０３の前面に赤、黄、青等のカラーレンズ１０５が設けられる。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、白熱電球１０７の寿命は、通常約１年と短く、さらには、消費電力に対して発光効率が低いという問題がある。
【０００４】
また、白熱電球１０７を用いた信号灯１０１では、光源がフィラメント単体であることから、球切れが生じた場合、全く点灯できなくなるという問題がある。交通信号灯は、その使用目的上、球切れを起こさないものでなくてはならないため、白熱電球１０７を使用している場合は、頻繁なメンテナンスが必要となる。
【０００５】
また、早朝や夕方など太陽が低い位置にある時間帯には、図８に示すように、信号灯１０１に入射した太陽光１１３がケーシング１０３内側の反射鏡により反射され、青、黄、赤色のカラーレンズ１０５を透過する。このため白熱電球１０７が消灯中であっても、反射光１１５によりあたかも点灯しているかのような疑似点灯現象が生じ、見る者に誤った認識をさせてしまう恐れがあった。尚、図８において、１１１は太陽である。
【０００６】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、長寿命で、高効率、かつ疑似点灯による誤認識の無い交通信号用の発光体及び信号灯を提供することにある。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するために第１の発明は、信号灯に用いられる発光体であって、中空部を有する支柱と、前記支柱に設けられる中空部を有する筺体と、前記筺体端部および前記支柱端部に、放熱板および第１の基板を介して設けられる第１の発光ダイオードと、前記筺体側部に第１のフレキシブル基板を介して環状に設けられる第２の発光ダイオードと、を具備し、前記放熱板は前記第１の基板に発生する熱を、前記支柱側に放熱することを特徴とする発光体である。
【０００８】
また第２の発明は、有色の光を発する前記第１の発明の発光体をケーシング内に設置し、前記ケーシングの前面に透明レンズを設けることを特徴とする信号灯である。
【０００９】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて、本発明の形態を詳細に説明する。
図１は、本発明の実施の形態に係る発光体１の縦断面図である。図１に示されるように、発光体１は、発光ダイオード部Ａと、電源保護カバー１７で覆われた電源部Ｂ、支柱３、プラグ２１等からなる。
【００１０】
発光ダイオード部Ａでは、筐体５の上部にアルミプレート１１、絶縁ラバー９、第１基板７が設けられる。筐体５はプラスチック等から成る。支柱３は、アルミニウム等から成る。
【００１１】
アルミプレート１１及び支柱３は、第１発光ダイオード１３や後述する第２発光ダイオード３３等で発生した熱を放熱する。尚、アルミプレート１１及び支柱３に、アルミニウム以外の材料を用いても良い。
【００１２】
第１基板７には、発光体１の前方に向けて複数の第１発光ダイオード１３が設けられる。
【００１３】
筐体５の側部には、取付部６ａ、６ｂ、６ｃ、６ｄが設けられ、後述する第１フレキシブル基板３１、第２フレキシブル基板４１、第３フレキシブル基板５１、第４フレキシブル基板６１を取り付ける。
【００１４】
第１フレキシブル基板３１等には、後述する第２発光ダイオード３３等が基板に対して垂直に配置される。
【００１５】
電源部Ｂは、電源回路基板１５を有する。電源回路基板１５は、プラグ２１から供給された交流電力を直流に変換し、発光ダイオードの作動電圧になるよう調節し、第１基板７、第１フレキシブル基板３１、第２フレキシブル基板４１、第３フレキシブル基板５１、第４フレキシブル基板６１に印加する。プラグ２１は、従来の信号灯の白熱電球と互換性のある形状である。
【００１６】
尚、保護カバー２３は、発光体１を運搬する際に、発光体１を保護するために一時的に設けられる。また、２２は中空部である。
【００１７】
図２は、第１フレキシブル基板３１、第２フレキシブル基板４１、第３フレキシブル基板５１、第４フレキシブル基板６１の平面図である。
第１フレキシブル基板３１、第２フレキシブル基板４１、第３フレキシブル基板５１、第４フレキシブル基板６１は、厚さが０．３ｍｍ程度であり、ガラスエポキシ等からなり、フレキシブルである。
【００１８】
第１フレキシブル基板３１は、複数の穴３５と、複数の第２発光ダイオード３３を有する。第２発光ダイオード３３は、第１フレキシブル基板３１に垂直に実装される。
【００１９】
穴３５は、第１フレキシブル基板３１の両端と、両端からほぼ等間隔毎に設けられ、筐体５の突起（開示せず）に、嵌められる。第１フレキシブル基板３１は、両端の穴３５を重ね合わせるようにして、リング状に、筐体５に取り付けられる。
【００２０】
第２フレキシブル基板４１、第３フレキシブル基板５１、第４フレキシブル基板６１の構造は、第１フレキシブル基板３１と同様であり、第２フレキシブル基板４１に、第３発光ダイオード４３が、第３フレキシブル基板５１に、第４発光ダイオード５３が、第４フレキシブル基板６１に、第５発光ダイオード６３が、夫々垂直に実装される。
【００２１】
図３は、第２発光ダイオード３３等を取り付けた発光体１の縦断面図である。筐体５の側部の取付部６ａ、６ｂ、６ｃ、６ｄに、第１フレキシブル基板３１、第２フレキシブル基板４１、第３フレキシブル基板５１、第４フレキシブル基板６１が取り付けられる。
この場合、筐体５の取付部６ａ、６ｂ、６ｃ、６ｄに設けられた突起（開示せず）に、第１フレキシブル基板３１等の穴３５等を嵌め込んで取り付けられる。
【００２２】
そして、筐体５は、プラスチック等から成り、筐体５に、第１フレキシブル基板３１、第２フレキシブル基板４１、第３フレキシブル基板５１、第４フレキシブル基板６１を取り付けた後、熱処理を行って固定するので、第２発光ダイオード３３、第３発光ダイオード４３、第４発光ダイオード５３、第５発光ダイオード６３は、筐体５に安定して取り付けられる。
このため、大きな衝撃や、繰り返される微振動等に対しても、壊れ難い。
【００２３】
第１フレキシブル基板３１で形成されるリングの半径は、第４フレキシブル基板６１の形成するリングの半径よりも大きい。
【００２４】
そして、第１フレキシブル基板３１、第２フレキシブル基板４１、第３フレキシブル基板５１、第４フレキシブル基板６１と、支柱３のなす角度、即ち、第１フレキシブル基板３１、第２フレキシブル基板４１、第３フレキシブル基板５１、第４フレキシブル基板６１が筐体５に取り付けられる取り付け角度は、夫々異なる。
【００２５】
このように、発光体１では、第２発光ダイオード３３、第３発光ダイオード４３、第４発光ダイオード５３、第５発光ダイオード６３が、夫々第１フレキシブル基板３１、第２フレキシブル基板４１、第３フレキシブル基板５１、第４フレキシブル基板６１に対して垂直に実装されるので、発光ダイオードの結線の不良等を起こすことが少ない。
【００２６】
図４は、発光体１を用いて構成する信号灯８１を示す図である。ケーシング７３の内側には、反射板７５を設け、ケーシング７３の内部中央には、発光体１を装着し、ケーシング７３の前面開口部に透明レンズ７１を設ける。尚、透明レンズ７１に変えて、カラーレンズを用いることもできる。
【００２７】
透明レンズ７１の素材としては、光の透過率が高いものが良く、屋外での長期使用に耐えられるよう、紫外線や温度変化に対して安定な物がよい。
【００２８】
発光体１下部のプラグ２１は、ケーシング７３中央部の開口部を貫通しており、交流電源用ソケットに装着されて使用される。
【００２９】
図５は、信号灯８１の断面図である。図５に示されるように、第１発光ダイオード１３の発射光は、直接信号灯８１の前方に照射される。
【００３０】
第２発光ダイオード３３から第５発光ダイオード６３の発射光は反射板７５により反射され、第１発光ダイオード１３の光束と平行に信号灯８１の前方へ照射される。
【００３１】
図６は、発光ダイオードの結線図である。図６に示すように、第１基板７、第１フレキシブル基板３１、第２フレキシブル基板４１、第３フレキシブル基板５１、第４フレキシブル基板６１上には、第１発光ダイオード１３、第２発光ダイオード３３、第３発光ダイオード４３、第４発光ダイオード５３、第５発光ダイオード６３が設けられる。このため、発光ダイオードの一部が破損した場合も、他の発光ダイオードを点灯し続けることができるので、発光体１が全て消灯してしまうことがない。
【００３２】
第１発光ダイオード１３、第２発光ダイオード３３、第３発光ダイオード４３、第４発光ダイオード５３、第５発光ダイオード６３の発光色は、１つの発光体１につき青、黄、赤のいずれか１つに統一されており、プラグ２１に電力が供給されると、その色に発色する。この光は、図５の矢印で示すように信号灯８１前方に進み、透明レンズ７１を透過して外部に照射され信号灯として動作する。
【００３３】
第１発光ダイオード１３、第２発光ダイオード３３、第３発光ダイオード４３、第４発光ダイオード５３、第５発光ダイオード６３の消費電力は、極めて小さく、本実施の形態において約２００個の発光ダイオードを実装し点灯したところ、発光体１の消費電力は、従来の信号灯器用白熱電球（６０Ｗ、７０Ｗ）の約１／５であった。
【００３４】
また、白熱電球の寿命が約１年であるのに対し、発光ダイオードの寿命は１０年以上と長い。
【００３５】
本実施の形態では、第１発光ダイオード１３は、第１フレキシブル基板３１、第２フレキシブル基板４１、第３フレキシブル基板５１、第４フレキシブル基板６１に設けられる他の発光ダイオードに比べ実装密度が高く、発光体１の運用時の主な発熱源になっており、発熱量も多い。発光ダイオードで発生した熱は放熱板たるアルミプレート１１及びアルミからなる支柱３により外部へ放出され、発光ダイオードの寿命を延ばすことができる。
【００３６】
図７は、早朝や夕方など低い位置から太陽光９３を受けたときの信号灯８１の図を示す。信号灯８１に入射した太陽光９３は、透明レンズ７１を通過し、ケーシング７３内の反射板７５によって反射され、再び透明レンズ７１を通過して外部に発せられる。
【００３７】
本実施の形態では、発光体１自身が青、黄、赤等で発光し、反射光９５は、白色光のままであるから、発光体１が消灯しているにもかかわらず、信号灯８１が点灯しているかのような誤認識を見る者にさせてしまうことがない。尚、図７において、９１は、太陽を示す。
尚、本発明に係る発光体１は、現在使用されている灯器にも用いることができる。
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、長寿命で、高効率、かつ疑似点灯による誤認識の無い交通信号用の発光体及び信号灯を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施の形態に係る発光体１の縦断面図
【図２】第１フレキシブル基板３１等の平面図
【図３】第２発光ダイオード３３等を取り付けた発光体１の縦断面図
【図４】発光体１を用いて構成する信号灯８１を示す図
【図５】信号灯８１の断面図
【図６】発光ダイオードの結線図
【図７】低い位置から太陽光９３を受けたときの信号灯８１の図
【図８】低い位置から太陽光１１３を受けたときの従来の信号灯１０１の図
【符号の説明】
１………発光体
３………支柱
５………筐体
７………第１基板
１１………アルミプレート
１３………第１発光ダイオード
１５………電源回路基板
２１………プラグ
３１………第１フレキシブル基板
３３………第２発光ダイオード
３５………穴
４１………第２フレキシブル基板
４３………第３発光ダイオード
４５………穴
５１………第３フレキシブル基板
５３………第４発光ダイオード
５５………穴
６１………第４フレキシブル基板
６３………第５発光ダイオード
６５………穴
７１………透明レンズ
７３………ケーシング
７５………反射板
８１………信号灯
９１、１１１………太陽
９３、１１３………太陽光
９５、１１５………反射光

Claims (4)

1. 信号灯に用いられる発光体であって、
   中空部を有する支柱と、
   前記支柱に設けられる中空部を有する筺体と、
   前記筺体端部および前記支柱端部に、放熱板および第１の基板を介して設けられる第１の発光ダイオードと、
   前記筺体側部に第１のフレキシブル基板を介して環状に設けられる第２の発光ダイオードと、を具備し、
   前記放熱板は前記第１の基板に発生する熱を、前記支柱側に放熱することを特徴とする発光体。
2. 前記フレキシブル基板は複数個存在し、複数のフレキシブル基板に夫々第２の発光ダイオードが設けられ、前記複数のフレキシブル基板が形成する環の半径が夫々異なることを特徴とする請求項１記載の発光体。
3. 前記筺体の前記第１の発光ダイオードを具備する面の対面側に電源部を具備することを特徴とする請求項１記載の発光体。
4. 有色の光を発する発光体をケーシング内に設置し、前記ケーシングの前面に透明レンズを設け、前記発光体として請求項１記載の発光体を用いることを特徴とする信号灯。

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