JP4076755B2 - ウエット処理装置およびウエット処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は帯状の被処理物の表面に処理液を供給して酸化膜やレジストの剥離、現像、エッチング、メッキ、研磨、洗浄等のうちの二種類以上のウエット処理を連続して行うウエット処理装置に係わり、特に、半導体デバイス、液晶表示パネル等のSiO2膜の剥離、洗浄(リンス)等のウエット処理工程に用いて好適な技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイス、液晶表示パネル等の電子機器の分野においては、その製造プロセス中に帯状の被処理物である半導体基板やガラス基板等の被処理基板をウエット処理する工程が必須である。
このようなウエット処理工程に用いられる従来のウエット処理装置の要部の概略構成を図11に示す。
従来のウエット処理装置100は、被処理基板をウエット処理後、乾燥を行う長尺の処理室101と、この処理室101内に被処理基板を送り込むローダ110、処理室101内で処理された基板を取り出すアンローダ114から概略構成されており、上記被処理基板をローダ110から処理室101内を経てアンローダ114まで自動的に搬送できるようになっている。
【0003】
長尺の処理室101には、被処理基板としてSi膜が形成されたガラス基板121に処理液としてDHF溶液(希フッ酸溶液)を供給して、上記Si膜の表面に形成されたSiO2膜を剥離する剥離室(ウエット処理室)111、SiO2膜剥離後のガラス基板121を洗浄(リンス)する洗浄室(ウエット処理室)112、洗浄後のガラス基板121を乾燥させる乾燥室113が順次設けられている。隣接する室間には、隔壁115が設けられている。剥離室111には、ガラス基板121にDHF溶液(希フッ酸溶液)を供給するノズル111aがこの剥離室111内に搬送されたガラス基板121に対して上下方向にそれぞれ複数ずつ設けられている。洗浄室112には、ガラス基板121に洗浄液を供給するノズル112aがこの洗浄室112内に搬送されたガラス基板121に対して上下方向にそれぞれ複数ずつ設けられている。また、乾燥室113には、ガラス基板121に高圧空気を吹き付けるエアナイフ113aが乾燥室113内に搬送されたガラス基板121に対して上下方向にそれぞれ複数ずつ設けられている。
【0004】
この処理室101内には、ローダ110によって処理室101に送り込まれたガラス基板121を剥離室111から洗浄室112、乾燥室113を経てアンローダ114まで搬送するための搬送コロ125・・・が設けられている。これら搬送コロ125・・・のうち特に膜剥離室111や洗浄室112内に設けられたものは、ガラス基板121の移動方向にガラス基板121を水平に保ったまま搬送できるように水平配置されている。
【0005】
図11に示したような従来のウエット処理装置100を用いてガラス基板121に二種のウエット処理と、乾燥を順次施すには以下のように行われる。
まず、Si膜が形成されたガラス基板121をローダ110により処理室101の剥離室111内に送り込む。ついで、剥離室111内に送り込んだガラス基板121を搬送コロ125・・・により水平搬送するとともにノズル111aからDHF溶液(希フッ酸溶液)を供給して上記Si膜の表面に形成されたSiO2膜を剥離する。ついで、SiO2膜剥離後のガラス基板121を洗浄室112内に送り込み、ガラス基板121を搬送コロ125・・・により洗浄室112内を水平搬送するとともにノズル112a・・・から超純水、オゾン水等の洗浄液をガラス基板121の両面に吹き付けて、剥離室111内で基板表面に付着したDHF溶液(希フッ酸溶液)を洗い流す。
ついで、洗浄後のガラス基板121を乾燥室113内に送り込み、ガラス基板121を搬送コロ125・・・により乾燥室113内を水平搬送しながらエアナイフ113a・・・から高圧空気をガラス基板121の両面に吹き付けて、洗浄室112内で表面に付着した洗浄液を乾燥した後、アンローダ114に搬送し、この後、例えば、カセット等に収容する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら従来のウェット処理装置100においては、各ウエット処理にそれぞれ専用のスペース(ウエット処理室)を設けているので、ウエット処理数に応じたウエット処理室数が必要で、製造ライン中のウエット処理工程の長さが長くなり、クリーンルーム内のウエット処理装置の占有スペースが大きくなり、また、ウエット処理工程における被処理基板の搬送距離も長くなってしまうため、ウエット処理工程だけで多大な設備費を費やしてしまい、その結果として製品コストが高くなってしまう。
【0007】
また、剥離室111内及び洗浄室112内ではガラス基板212を水平搬送しているために洗浄処理工程の前工程で使用した処理液、具体的にはDHF溶液(希フッ酸)が洗浄室112内に持ち込まれてしまう。その結果、洗浄液が多く必要でこれにより洗浄室112が長くなり、ウエット処理装置が大型なものとなってしまうという問題があった。また、このように剥離室111と洗浄室112のように複数のウエット処理室が近接して設けられている場合には、一つのウエット処理室で使用したウエット処理液と他のウエット処理室で使用したウエット処理液が相互に汚染されることがあり、そのような場合には、処理液の繰り返し使用や再生使用が困難であった。
【0008】
近年、半導体デバイス、液晶表示パネル等の分野においては、基板がますます大型化する傾向にあり、例えば液晶表示パネル用のガラス基板では1m角のものが使用されるようになってきており、このように大型の被処理基板をウエット処理する装置となればそれだけ装置の占有スペースも大きくなるため、上記問題点がより顕著になってくる。また、このように被処理物としての基板の大型化に伴って処理液の使用量も多くなるが、洗浄液として超純水を用いる場合、この超純水の供給量には限界があるため、基板の洗浄に供給量が間に合わず、従って大型の被処理基板のウエット処理に十分対応できないといった問題があった。
以上のような問題は、酸化膜剥離後に洗浄を行う場合だけでなく、レジスト剥離後に洗浄を行う場合や、エッチング後に洗浄を行う場合など複数のウエット処理を連続して行う場合においても同様の問題が生じてしまう。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、ウエット処理液の相互汚染を防止することが可能で、装置を小型化でき、ウエット処理工程に多大な設備費や占有スペースを費やすこともなく、製造ライン等に用いて合理的に複数のウエット処理を施すことができるウエット処理装置を提供することを課題の1つとする。また、本発明はウエット処理液の使用量の省液化が可能なウエット処理装置を提供することを課題の1つとする。
また、本発明は、ウエット処理液の相互汚染を防止することが可能で、ウエット処理工程に多大な設備費や占有スペースを費やすこともなく、製造ライン等に用いて合理的に複数のウエット処理を施すことができるウエット処理方法を提供することを課題の1つとする。
また、本発明は、ウエット処理液の使用量の省液化が可能なウエット処理方法を提供することを課題の1つとする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明のウエット処理装置は、帯状の被処理物のウエット処理のための処理液(ウエット処理液)を帯状の被処理物に向けて供給するウエット処理手段が1以上設けられた複数のウエット処理領域が備えられた処理室内に帯状の被処理物を搬送してウエット処理を順次行うウエット処理装置であって、上記処理室内には、該処理室内に搬送された1枚の帯状の被処理物を部分的に上向きに凹状とした状態でウエット処理する凹状ウエット処理領域が一カ所以上設けられ、前記凹状ウエット処理領域には、前記帯状の被処理物を部分的に水平に搬送する水平搬送機構が備えられ、前記処理室内の凹状ウエット処理領域の後方側には、帯状の被処理物を部分的に水平状態としながらウエット処理する水平ウエット処理領域が一個所以上設けられ、前記凹状ウエット処理領域内の水平搬送領域及び前記水平ウエット処理領域の水平搬送領域に、前記帯状の被処理物に対する面に処理液を導入する処理液導入部と、前記帯状の被処理物から処理液を回収するための処理液回収部と、前記処理液導入部と処理液回収部を連結した連結部とを主体としてなり、前記連結部と前記被処理物との間の空間に前記処理液導入部から供給した処理液を満たしつつ前記処理液回収部から排出する操作を行い、前記連結部と前記被処理物との間に大気圧と均衡した状態の処理液を外部に漏らすことなく保持しながら前記被処理物をウエット処理するプッシュ・プル型ノズルを備えてなる。
更に本発明において、前記凹状ウエット処理領域と前記水平搬送領域とが、隔壁により外部と仕切られたウエット処理室内に直列に設けられ、前記ウエット処理室の後段側に前記隔壁を介し乾燥室が設けられてなる構成とすることができる。
更に本発明において、前記帯状の被処理物として、プラスチック基板、ガラス基板、半導体基板のいずれかを選択できる。
【0011】
かかる構成のウエット処理装置によれば、上記処理室内には、該処理室内に搬送された1枚の帯状の被処理物を部分的に上向きに凹状とした状態でウエット処理する凹状ウエット処理領域が一カ所以上設けられたことにより、上記処理室内に1枚の帯状の被処理物を搬送すると該1枚の帯状の被処理物に一カ所以上の上向きの凹み部と該凹み部分以外の部分(他の部分)が形成され、上記1枚の帯状の被処理物に形成された上向きの凹み部でウエット処理を行うことができ、上記他の部分で上記ウエット処理とは別の種類のウエット処理を行うことができ(上記凹状ウエット処理領域と、該凹状ウエット処理領域以外の領域(他のウエット処理領域)とで別の種類のウエット処理を行うことができ)、従って1枚の帯状の被処理物に同時に複数のウエット処理を施すことができるので、各ウエット処理にそれぞれ専用のウエット処理室を設けなくても済み、ウエット処理工程を短くでき、ウエット処理装置の小型化が可能である。
【0012】
また、上記凹状ウエット処理領域内の帯状の被処理物は部分的に上向きに凹んでいるので、この領域で使用した処理液は上記他のウエット処理領域に入るのを防止できるので、処理液の相互汚染を防止でき、例えば、上記凹状ウエット処理領域の後(帯状の被処理物の搬送方向下流側)に他のウエット処理領域が設けられている場合、この領域で用いるウエット処理液の使用量の省液化が可能で、他のウエット処理領域を短くでき、ウエット処理装置の小型化が可能である。また、このようにウエット処理液の相互汚染を防止できると、各ウエット処理領域で使用したウエット処理液の繰り返し使用や再生使用も可能である。
また、上記凹状ウエット処理領域の後(帯状の被処理物の搬送方向下流側)に設けた他のウエット処理領域で行うウエット処理が洗浄工程である場合、前工程のウエット処理を行う凹状ウエット処理領域で用いるウエット処理液が後工程の洗浄工程を行うウエット処理領域に入るのを防止できるので、洗浄工程(他のウエット処理領域)で用いる超純水の使用量の省液化が可能となり、帯状の被処理物としての基板が1〜2m角の大型になっても超純水の供給不足を改善でき、従って大型の帯状の被処理物のウエット処理に十分対応できる。
本発明のウエット処理装置では、上記のように1枚の帯状の被処理物に同時に複数のウエット処理を施すことができ、しかもウエット処理液の相互汚染を防止できるので、例えば、凹状ウエット処理領域で行うウエット処理が酸化膜剥離工程又はレジスト剥離工程又はエッチング工程であり、該凹状ウエット処理領域後(帯状の被処理物の搬送方向下流側)に設けた他のウエット処理領域で行うウエット処理が洗浄工程である場合に、各ウエット処理にそれぞれ専用のウエット処理室を設ける従来のウエット処理装置に比べて、ウエット処理室の長さ(ウエット処理工程の長さ)を約1/2以下とすることも可能である。
従って、本発明のウエット処理装置では、ウエット処理液の使用量の省液化と、ウエット処理装置の小型化が可能であるので、ウエット処理工程に多大な設備費や占有スペースを費やすこともなく、製造ライン等に用いて合理的な装置とすることができ、また、大型の帯状の被処理物のウエット処理に十分対応できる装置とすることができる。
【0013】
本発明のウエット処理装置において、上記処理室内には、該処理室内に搬送された1枚の帯状の被処理物を部分的に水平状態としながらウエット処理する水平ウエット処理領域が一個所以上設けられていてもよい。
このように上記処理室内に上記凹状ウエット処理領域以外に水平ウエット処理領域が設けられていると、該水平ウエット処理領域では上記凹状ウエット処理領域で行うウエット処理と異なるウエット処理を施すことができ、言い換えれば、1枚の帯状の被処理物に形成された水平部分では上記凹み部で行うウエット処理とは別の種類のウエット処理を行うことができる。
【0014】
本発明のウエット処理装置において、上記凹状ウエット処理領域には、上記帯状の被処理物を部分的に搬送方向に下降するように搬送する下降搬送機構と、上記帯状の被処理物を部分的に搬送方向に上昇するように搬送する上昇搬送機構が少なくとも備えられているものであってもよい。上記凹状ウエット処理領域に、上記のような下降搬送機構と上昇搬送機構が設けられていると、上記1枚の帯状の被処理物に凹み部を形成できる。
【0015】
上記凹状ウエット処理領域には、上記帯状の被処理物を部分的に水平に搬送する水平搬送機構が備えられていてもよい。上記凹状ウエット処理領域に上記のような水平搬送機構が設けられていると、上記1枚の帯状の被処理物に形成した凹み部内に水平部分を形成でき、この水平部分の上方又は下方あるいはこれらの両方に上記ウエット処理手段を設ければ、上記帯状の被処理物の凹み部内に形成した水平部分にウエット処理を施すことができる。
【0016】
上記凹状ウエット処理領域において、上記下降搬送機構は上記帯状の被処理物の下降角度を1度以上とするものであり、上記上昇搬送機構は上記帯状の被処理物の上昇角度を1度以上とするものであることが、上記帯状の被処理物に形成される凹み部にできる下降斜面と上昇斜面の傾斜角度をそれぞれ1°以上とすることができ、これら斜面の傾斜角度がそれぞれ1°以上であれば、凹状ウエット処理領域で用いたウエット処理液が上記他のウエット処理領域に持ち込まれるのを防止でき、ウエット処理液の相互汚染を防止できる点で好ましい。
上記凹状ウエット処理領域において、上記下降搬送機構は上記帯状の被処理物の下降角度を15度以上とするものであり、上記上昇搬送機構は上記帯状の被処理物の上昇角度を15度以上とするものであることが、上記帯状の被処理物に割れや欠け等の損傷が生じることなく、処理室内を安定して搬送することが可能である点で好ましい。
【0017】
上記凹状ウエット処理領域において上記凹状ウエット処理領域において、上記下降搬送機構による上記帯状の被処理物の下降角度と、上記上昇搬送機構による上記帯状の被処理物の上昇角度が異なるものであってもよい。
上記凹状ウエット処理領域において上記帯状の被処理物の下降角度は段階的に異なるものであってもよく、上昇角度も段階的に異なるものであってもよい。
【0018】
本発明のウエット処理装置において、上記処理室内の隣合うウエット処理領域の間にはウエット処理液の相互汚染を防止するための処理液分離手段が設けられていることが、隣合うウエット処理領域で使用するウエット処理液の相互汚染の防止をより確実に行える点で好ましい。
処理液分離手段としては、帯状の被処理物やウエット処理液と不活性なガスを給排気可能なガスカーテンやエアナイフ等が用いられる。
【0019】
本発明のウエット処理装置において、上記帯状の被処理物は、ヤング率が58〜75GPaであることが好ましい。帯状の被処理物のヤング率が58GPaより小さいと、柔らか過ぎて搬送のためコロ等の表面で滑り易くなり、搬送し難くなる。75GPaより大きいと硬すぎて、上記帯状の被処理物に部分的に上向きに凹み部を形成するのが困難である。
本発明のウエット処理装置で用いられる帯状の被処理物としてはプラスチック基板やガラス基板、半導体基板等の基板でヤング率が上記の範囲内のものを用いることができる。
本発明のウエット処理装置において、上記帯状の被処理物は、厚さ0.04mm〜0.7mmのガラス基板であることが好ましい。ガラス基板の厚みが0.04mmより小さいと薄すぎて割れや欠けが発生し易くなり、その防止のためには搬送のためのコストが大きくなってしまう。0.7mmより大きいと硬すぎて、ガラス基板に部分的に上向きに凹み部を形成するのが困難である。
【0020】
本発明のウエット処理装置において、上記ウエット処理手段のうち少なくも一つは、帯状の被処理物に対向する面に、帯状の被処理物にウエット処理液を導入する処理液導入部と、ウエット処理後の帯状の被処理物からウエット処理液を回収するための処理液回収部と、上記処理液導入部と処理液回収部とを連結する連結部を有し、上記処理液導入部の被処理物側の部分に、処理液を導入する処理液導入口が形成され、上記処理液回収部の被処理物側の部分に処理液を回収する処理液回収口が形成されてなる一対のノズル構成体から構成され、該一対のノズル構成体は上記処理液導入口及び処理液回収口が設けられた側同士が隙間を隔てて対向配置され、該対向部間に上記帯状の被処理物が搬送されてウエット処理を行うものであってもよい。
かかる構成のウエット処理装置によれば、特に、ウエット処理手段が上記の構成の一対のノズル構成体から構成されているので、上記処理液導入口からウエット処理液を帯状の被処理物表面に供給したら、そのウエット処理液を供給した部分以外の帯状の被処理物表面にウエット処理液を接触させることなく、上記処理液回収口から使用後のウエット処理液(場合によっては除去物(帯状の被処理物から除去したもの)を含んだウエット処理液)を外部に排出できるので、効率良くウエット処理ができる(ウエット処理液が洗浄液である場合は充分な清浄度が得られる)。また、上記連結部でのウエット処理液の圧力に対して処理液回収部の他端の処理液排出口(処理液回収口が設けられた端部と反対側の端部)からの吸引力を制御することでウエット処理液をノズルの外部に漏らすことがなく、排出することができるので、少ないウエット処理液で充分なウエット処理(ウエット処理液が洗浄液である場合は充分な清浄度が得られる)ができる。
本発明のウエット処理装置において、ウエット処理手段が上記の構成の一対のノズル構成体から構成されたものにあっては、ウエット処理液の使用量をさらに少なくできる。
【0021】
本発明のウエット処理装置において、上記ウエット処理手段のうち少なくも一つは、帯状の被処理物に対向する面に、帯状の被処理物に処理液を導入する処理液導入部と、ウエット処理後の帯状の被処理物から処理液を回収するための処理液回収部と、上記処理液導入部と処理液回収部とを連結する連結部を有し、上記連結部の被処理物側の面と、上記処理液導入部の被処理物側の面と、上記処理液回収部の被処理物側の面とが面一に形成され、上記処理液導入部の上記連結部と面一にされた部分には処理液を導入する処理液導入口が形成され、上記処理液回収部の上記連結部と面一にされた部分には処理液を回収する処理液回収口が形成されてなる一対のノズル構成体から構成され、該一対のノズル構成体は上記処理液導入口及び処理液回収口が設けられた側同士が隙間を隔てて対向配置され、該対向部間に上記帯状の被処理物が搬送されてウエット処理を行うものであることを特徴とするものであってもよい。
本発明のウエット処理装置において、ウエット処理手段が上記の構成の一対のノズル構成体から構成されたものにあっては、上記処理液導入部と上記処理液回収部の被処理物側の面と、上記連結部の被処理物側の面とが面一に形成されていることで、処理領域(ノズル構成体と帯状の被処理物とに挟まれ、処理液導入口から処理液回収口に到る領域が、ウエット処理液が流動されて帯状の被処理物のウェット処理が行われる領域)において、処理液導入口から処理液回収口に到る経路中に気泡が滞留する場所が形成されない構造を実現でき、従って、処理領域内で気泡が成長してウエット処理液の流れを遮断することがなく、処理領域におけるウエット処理液の流れを安定に維持することができる。
【0022】
上記のいずれかの構成の一対のノズル構成体が備えられた本発明のウエット処理装置において、上記帯状の被処理物の被処理面に沿って上記一対のノズル構成体と上記帯状の被処理物とを相対移動させることにより上記帯状の被処理物をウエット処理するためのノズル構成体・被処理物相対移動手段とを有することが、一対のノズル構成体を帯状の被処理物に対して相対移動させることができるので、一対のノズル構成体を帯状の被処理物の搬送方向やその反対方向に複数回トラバースすることも可能で、凹状ウエット処理領域および/または上記他のウエット処理領域が短くても、帯状の被処理物に効率良くウエット処理を施すことができ、ウエット処理装置をさらに小型化することが可能である。
【0023】
上記のいずれかの構成の一対のノズル構成体が備えられた本発明のウエット処理装置において、上記一対のノズル構成体の処理液と接触する面(接液面)は、耐薬液性の材料から構成されているか、又は耐薬液性の保護膜が被覆されているものであることがウエット処理液への不純物の溶出を防止できる点で好ましい。例えば、ウエット処理液がオゾン水である場合は、上記ノズル構成体のウエット処理液と接触する面又はこの面に形成する保護膜に用いる耐薬液性の材料として電解研磨表面を備えたチタン等のオゾン水に対して不活性の材料が用いられ、ウエット処理液がDHF溶液(希フッ酸溶液)である場合は、上記ノズル構成体のウエット処理液と接触する面又はこの面に形成する保護膜に用いる耐薬液性の材料として高純度のアルミナセラミックスあるいはサファイヤ等のHF溶液に対して不活性の材料が用いられる。
【0024】
本発明のウエット処理方法は、先の何れかに記載のウエット処理装置を用いて、帯状の被処理物にウエット処理のための複数の処理液を順次供給して複数のウエット処理を順次行うウエット処理方法であって、1枚の帯状の被処理物を部分的に上向きに凹み状とした凹み部を1個所以上形成して複数のウエット処理を行う工程が備えられたことを特徴する。
本発明のウエット処理方法によりウエット処理される上記帯状の被処理物は、ヤング率が58〜75GPaであることが好ましい。また、上記帯状の被処理物は、厚さ0.04mm〜0.7mmのガラス基板であることが好ましい。かかる構成の本発明のウエット処理方法では、上記1枚の帯状の被処理物に部分的に形成した凹み部でウエット処理を行うことができ、上記凹み部分以外の部分(他の部分)で上記ウエット処理とは別の種類のウエット処理を行うことができ、従って1枚の帯状の被処理物に同時に複数のウエット処理を施すことができるので、各ウエット処理にそれぞれ専用のウエット処理室を設けなくても済み、ウエット処理工程を短くでき、ウエット処理に用いるウエット処理装置の小型化が可能である。
【0025】
また、上記上向きの凹み部は1枚の帯状の被処理物に部分的に形成されているので、この凹み部で使用したウエット処理液は上記他の部分に入るのを防止できるので、ウエット処理液の相互汚染を防止でき、例えば、上記凹み部の後に他の部分が設けられている場合(1枚の帯状の被処理物において凹み部が設けられた側が帯状の被処理物の搬送方向上流側で、他の部分が設けられた側が帯状の被処理物の搬送方向下流側である場合)、上記他の部分で用いるウエット処理液の使用量の省液化が可能である。また、このようにウエット処理液の相互汚染を防止できると、上記凹み部や他の部分でそれぞれ使用したウエット処理液の繰り返し使用や再生使用も可能である。
また、上記凹み部の後に設けた他の部分で行うウエット処理が洗浄工程である場合、前工程のウエット処理を行う凹み部で用いるウエット処理液が後工程の洗浄工程を行う他の部分に入るのを防止できるので、洗浄工程(他の部分)で用いる超純水の使用量の省液化が可能となり、帯状の被処理物としての基板が1〜2m角の大型になっても超純水の供給不足を改善でき、従って大型の帯状の被処理物のウエット処理に十分対応できる。
本発明のウエット処理方法では、上記のように1枚の帯状の被処理物に同時に複数のウエット処理を施すことができ、しかもウエット処理液の相互汚染を防止できるので、ウエット処理工程の長さを短くできる。
従って、本発明のウエット処理方法では、ウエット処理液の使用量の省液化と、用いるウエット処理装置の小型化が可能で、ウエット処理工程に多大な設備費や占有スペースを費やすこともないので、合理的なウエット処理方法とすることができ、また、大型の帯状の被処理物のウエット処理に十分対応できるウエット処理方法とすることができる。
【0026】
本発明のウエット処理方法において、上記複数のウエット処理を行う工程に、上記1枚の帯状の被処理物を部分的に水平状態としながらウエット処理する工程が備えられたことを特徴とする。
このようなウエット処理方法では、上記1枚の帯状の被処理物に上記凹み部以外に水平部分が形成されているので、上記1枚の帯状の被処理物に形成された水平部分では上記凹み部で行うウエット処理とは別の種類のウエット処理を行うことができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。なお、以下に述べる実施形態では本発明のウエット処理装置を、帯状の被処理物として数百mm角程度、好ましくは1〜2m角の大型のガラス基板等の被処理基板にウエット処理として酸化膜剥離処理と、洗浄処理(リンス処理)を順次施し、この後乾燥処理を施す工程を行う場合に好適に用いられるウエット処理装置に適用する場合について説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施形態のウエット処理装置の概略構成を示す図である。図2は、図1のウエット処理装置を示す断面図である。
第1の実施形態のウエット処理装置1は、被処理基板(帯状の被処理物)21をウエット処理後、乾燥を行う長尺の処理室1aと、この処理室1a内に被処理基板21を送り込むローダ10、処理室1a内で処理された被処理基板21を取り出すアンローダ14から概略構成されており、上記被処理基板をローダ10から処理室1a内を経てアンローダ14まで自動的に搬送できるようになっている。
【0028】
長尺の処理室1aには、被処理基板21に複数のウエット処理液(本実施形態の場合、酸化膜剥離液と洗浄液)を順次供給してウエット処理するウエット処理室8、ウエット処理後の被処理基板21を乾燥させる乾燥室13がローダ10側からアンローダ14側にかけて順次設けられている。ウエット処理室8と乾燥室13間(には、図2に示すように隔壁15が上下にそれぞれ設けられている。
なお、図中符号Sは、被処理基板21の搬送方向(移動方向)である。
【0029】
ウエット処理室8内には、凹状ウエット処理領域11と、該凹状ウエット処理領域11の後(被処理基板21の搬送方向Sの下流側)に設けられた水平ウエット処理領域(他のウエット処理領域)12が備えられている。
凹状ウエット処理領域11では、1枚の被処理基板21を部分的に上向きに凹状とした状態で酸化膜剥離液(ウエット処理液)を供給して被処理基板21に形成されているSi膜表面のSiO2膜(酸化膜)を剥離できるようになっている。
水平ウエット処理領域12では、1枚の被処理基板21を部分的に水平状態ととしながら洗浄液(ウエット処理液)を供給して洗浄できるようになっている。
【0030】
処理室1a内には、ローダ10によって処理室1aに送り込まれた被処理基板21をこの処理室1a内のウエット処理室8と乾燥室13を通ってアンローダ14まで送り込むための搬送コロ25・・・が設けられている。
処理室1a内に設けられた搬送コロ25・・・のうちウエット処理室8の凹状ウエット処理領域11に設けられたものは、被処理基板21を部分的に搬送方向に下降するように搬送できるように右下がりに傾斜配置された下降搬送用コロ(下降搬送機構)25a・・・と、被処理基板21を部分的に搬送方向に上昇するように搬送できるように右上がりに配置された上昇搬送用コロ(上昇搬送機構)25cと、これら下降搬送用コロ25a・・・と上昇搬送用コロ25c・・・の間に設けられ、被処理基板21を部分的に水平に搬送できるように水平に配置された水平搬送用コロ(水平搬送機構)25b・・・である。
【0031】
これら下降搬送用コロ25a・・・は、被処理基板21の下方側だけでなく、上方側にも設けられており、被処理基板21を上方側と下方側から挟むことにより、被処理基板21を部分的に搬送方向に下降するようにできるようになっている。 また、水平搬送用コロ25b・・・は被処理基板21の下方側だけでなく、上方側にも設けられており、被処理基板21を上方側と下方側から挟むことにより、被処理基板21を部分的に水平に搬送できるようになっている。また、上昇搬送用コロ25c・・・は、被処理基板21の下方側だけでなく、上方側にも設けられており、被処理基板21を上方側と下方側から挟むことにより、被処理基板21を部分的に上昇するように搬送できるようになっている。
【0032】
下降搬送用コロ25a・・・により被処理基板21を下降させる角度(下降角度)θ1は1度以上であることが、被処理基板21に形成される凹み部21aにできる下降斜面の傾斜角度を1度以上とすることができ、この下降斜面の傾斜角度が1°以上であれば、凹状ウエット処理領域11で用いた酸化膜剥離液(ウエット処理液)がローダ10側に持ち込まれるのを防止できる点で好ましい。
また、上昇搬送用コロ25c・・・により被処理基板21を上昇させる角度(上昇角度)θ2は1度以上であることが、被処理基板21に形成される凹み部21aにできる上昇斜面(搬送方向に上がる斜面)の傾斜角度を1度以上とすることができ、この上昇斜面の傾斜角度が1度以上であれば、凹状ウエット処理領域11で用いた酸化膜剥離液(ウエット処理液)が水平ウエット処理領域12に持ち込まれるのを防止でき、ウエット処理液の相互汚染を防止できる点で好ましい。被処理基板21の下降角度θ1と上昇角度θ2は、それぞれ2度以上あることがさらに好ましい。
【0033】
さらに、下降搬送用コロ25a・・・や上昇搬送用コロ25c・・・による被処理基板の下降角度θ1と上昇角度θ2はそれぞれ1度以上15度以下であることが、被処理基板21が厚さ0.04mm〜0.7mmのガラス基板である場合に割れや欠け等の損傷が生じることなく、処理室1a内を安定して搬送することが可能である点で好ましい。
なお、凹状ウエット処理領域11において被処理基板21の下降角度θ1と上昇角度θ2とは、上記の範囲であれば異なるものであってもよく、また、被処理基板21の下降角度θ1は上記の範囲であれば段階的に異なるものであってもよく、上昇角度θ2も上記の範囲であれば段階的に異なるものであってもよい。
このような凹状ウエット処理領域11で被処理基板21に形成された凹み部21aの水平部分(底部)にはウエット処理手段として一対のノズル構成体(一対のプッシュ・プル型ノズル)41、41が配置されている。ここで配置された一対のノズル構成体41、41については後で詳細に説明する。さらに、被処理基板21に形成された凹み部21aの上方には、ウエット処理液を散布するためのシャワーノズル11aが配置されていてもよい。
【0034】
また、処理室1a内に設けられた搬送コロ25・・・のうちウエット処理室8の水平ウエット処理領域12に設けられたものは、処理基板21を部分的に水平に搬送できるように水平に配置されている。
このように水平ウエット処理領域12で被処理基板21に形成された水平部分21bには、ウエット処理手段として一対のノズル構成体(一対のプッシュ・プル型ノズル)42、42が配置されている。ここで配置された一対のノズル構成体42、42は、これらノズルから被処理基板21に供給するウエット処理液が異なる以外は凹み状ウエット処理領域11で使用する一対のノズル構成体41、41と同様の構成のものが使用される。
【0035】
また、処理室1a内に設けられた搬送コロ25・・・のうち乾燥室13に設けられたものは、処理基板21を部分的に水平に搬送できるように水平に配置されている。
この乾燥室13内には、図2に示すように被処理基板21に高圧空気(乾燥用気体)を吹き付けるエアナイフ(乾燥機構)13aが乾燥室13内に搬送された被処理基板21に対して上方側と下方側にそれぞれ複数ずつ設けられている。ここで用いるエアナイフ13aは固定式のものであってもよく、あるいは図2に示した矢印S2方向(被処理基板21の移動方向やその反対方向)移動可能なものであってもよい。このようにエアナイフ13aが移動可能なものであれば、乾燥室13において被処理基板21を乾燥させる際に、被処理基板21の移動量(搬送速度)が小さくても、エアナイフ13aをS2方向にトラバースさせて被処理基板21の表面を効率良く乾燥させるようにすることができ、このようにした場合には、被処理基板21の搬送速度が大きい状態のまま固定のエアナイフ13aにより被処理基板21の表面を乾燥させる場合と比べて、乾燥室13を短くできる。
【0036】
本実施形態のウエット処理装置1により複数のウエット処理が施される被処理基板21としては、ヤング率が58〜75GPaであることが好ましい。被処理基板21のヤング率が58GPaより小さいと、柔らか過ぎて搬送のためコロ等の表面で滑り易くなり、搬送し難くなる。75GPaより大きいと硬すぎて、被処理基板21に部分的に上向きの凹み部21aを形成するのが困難である。
【0037】
被処理基板21の具体例としては、プラスチック基板やガラス基板、半導体基板等の基板でヤング率が上記の範囲内のものを用いることができる。
被処理基板21がガラス基板である場合の厚みは、0.04mm〜0.7mmのガラス基板であることが好ましい。ガラス基板の厚みが0.04mmより小さいと薄すぎて割れや欠けが発生し易くなり、その防止のためには搬送のためのコストが大幅に増加してしまう。0.7mmより大きいと硬すぎて、ガラス基板に部分的に凹み部を形成するのが困難である。
【0038】
図3は、凹状ウエット処理領域11内に備えられた一対のプッシュ・プル型ノズル41、41の概略構成を示す断面図であり、図4は一方のプッシュ・プル型ノズル41の被処理基板21側から見た図である。
各プッシュ・プル型ノズル41は、一端にウエット処理液としての酸化膜剥離液50を導入するための導入通路(処理液導入部)51と、一端に酸化膜剥離後の酸化膜剥離液(ウエット処理後のウエット処理液の排出液)を処理室1aの外部(ウエット処理の系外)へ排出するための排出通路(処理液回収部)52と、これら導入通路51と排出通路52のそれぞれの他端が連結され、被処理基板21に対向する連結部53が設けられ、さらに導入通路51の他端に被処理基板21に向けて開口する第1の開口部(処理液導入口)51bが設けられ、排出通路52の他端に被処理基板21に向けて開口する第2の開口部(処理液回収口)52bが設けられたものであり、省流量型ノズルと呼ばれるものである。
上記連結部53と被処理基板21の間の空間には、酸化膜剥離処理(ウエット処理)を行う処理領域55が形成されている。
【0039】
また、排出通路52側には圧力制御部(図示略)が設けられている。この圧力制御部は、第2の開口部(処理液回収口)52bと反対側の端部に設けられた減圧ポンプにより構成されており、被処理基板21に接触した酸化膜剥離液50が酸化膜剥離後に排出通路52に流れるように、第1の開口部51bの大気と接触している酸化膜剥離液の圧力(エッチング液の表面張力と被処理基板の被処理面の表面張力も含む)と大気圧との均衡がとれるようにするためのものである。
【0040】
したがって、排出通路52側の圧力制御部に減圧ポンプを用いて、この減圧ポンプで連結部53のエッチング液50を吸引する力を制御して、第1の開口部51bの大気と接触している酸化膜剥離液50の圧力(酸化膜剥離液の表面張力と被処理基板21の被処理面の表面張力も含む)と大気圧との均衡をとるようになっている。つまり、第1の開口部51bの大気と接触している酸化膜剥離液の圧力Pw(酸化膜剥離液の表面張力と被処理基板21の被処理面の表面張力も含む)と大気圧Paとの関係をPw≒Paとすることにより、第1の開口部51bを通じて被処理基板21に供給され、被処理基板21に接触した酸化膜剥離液は、プッシュ・プル型ノズルの外部に漏れることなく、排出通路52に排出される。すなわち、凹状ウエット処理領域11でノズル構成体41から被処理基板21の表面に供給した酸化膜剥離液は、被処理基板21上の酸化膜剥離液を供給した部分(第1と第2の開口部51b,52b及び連結部53と被処理基板21との間)以外の部分に接触することなく、基板21上から除去される。
【0041】
このような構成のプッシュ・プル型ノズル41、41は、連結部53、53が隙間を隔てて対向するように設けられている。即ち、プッシュ・プル型ノズル41、41は、第1の開口部51b、51bも隙間を隔てて対向しており、第2の開口部52b、52bも隙間を隔てて対向している。このような一対のプッシュ・プル型ノズル41、41の対向部間(第1の開口部51b、51bの間や、連結部53、53間や、第2の開口部52b、52b間)に被処理基板21が搬送コロ(搬送機構)25・・・により搬送されて、被処理基板21とプッシュ・プル型ノズル41、41との間の処理領域55、55で酸化膜剥離処理(ウエット処理)が行えるようになっている。
【0042】
各プッシュ・プル型ノズル41の酸化膜剥離液と接触する面(接液面)は、耐薬液性の材料から構成されているか、又は耐薬液性の保護膜が被覆されているものであることが酸化膜剥離液(ウエット処理液)への不純物の溶出を防止できる点で好ましく、例えば、酸化膜剥離液がSiO2 膜を除去するためのDHF溶液(希フッ酸)である場合は、上記ノズル構成体41、41の接液面(各連結部53の表面と各導入通路51の内面と各排出通路52の内面)又はこの面に形成する保護膜に用いる耐薬液性の材料として高純度のアルミナセラミックスあるいはサファイヤ等のHF溶液に不活性の材料が用いられる。
【0043】
各プッシュ・プル型ノズル41の導入通路51の第1の開口部51bと反対側の端部には、ウエット処理液生成部(図示略)とウエット処理液再生部(図示略)とが接続されている。また、各プッシュ・プル型ノズル41の排出通路52の第2の開口部52bと反対側の端部には、ウエット処理液再生部(図示略)が接続されている。
このウエット処理液再生部には、使用後の処理液中に含まれたパーティクルや異物を除去するためのフィルタ(図示略)が設けられており、このフィルタを通過した後のウエット処理は、再度各ノズル構成体41に供給されるようになっている。また、導入通路51の第1の開口部51bと反対側には弁機構(図示略)が設けられており、この弁機構によって新しい処理液を導入するか、再生した処理液を導入するかを切り換え可能とされている。
【0044】
次に、水平ウエット処理領域12に設けられた一対のノズル構成体(一対のプッシュ・プル型ノズル)42、42は、図3及び図4に示した一対のプッシュ・プル型ノズル41、41と同様の構成であるが、各プッシュ・プル型ノズル(ウエット処理手段)42の導入通路51に導入し、処理領域55を経て、排出通路52から排出されるウエット処理液は、洗浄液70である。
このような一対のプッシュ・プル型ノズル42、42の対向間(第1の開口部51b、51bの間や、連結部53、53間や、第2の開口部52b、52b間)に被処理基板21が搬送コロ25・・・に搬送されて、被処理基板21とプッシュ・プル型ノズル42、42との間の処理領域55、55で洗浄処理(ウエット処理)が行えるようになっている。
【0045】
特に、ここで用いるプッシュ・プル型ノズル42は、図3に示すように連結部53には、被処理基板21が洗浄処理(ウエット処理)されている間、上記処理領域55内の処理液(ウエット処理液)に超音波振動を付与するための超音波振動子60が設けられていることが好ましい。この超音波振動子60は、振動板(振動部)66と、振動板66の主面の周縁部から立ち上がる側板(側壁部)67と、側板67の内側の振動板66の主面上に設けられ、振動板66に超音波振動を付与する超音波振動子本体68とが備えられてなるものである。側板67は振動板66と一体に形成されている。これら振動板66と側板67を構成する材料としては、ステンレス鋼、石英、サファイア、アルミナ等のセラミックスなどのうちから選択されて用いられる。超音波振動子本体68は、電源(図示略)に接続されている。
【0046】
超音波振動子本体48は、約20kHz乃至約10MHzの範囲の周波数の超音波振動を出力可能なものであることがウエット処理(特に洗浄処理)を行う場合に実用的なウエット処理(特に、超音波洗浄)が可能である点で好ましく、特に、保持可能なウエット処理液層(洗浄液層)の厚さの観点から0.2MHz以上の周波数が好ましいが、約20kHzの周波数の超音波でのウエット処理(特に洗浄)も可能である。
この超音波振動子60は、上下のプッシュ・プル型ノズル42、42に両方に設けられていなくてもよく、一方のプッシュ・プル型ノズル42のみに設けられていてもよい。
各プッシュ・プル型ノズル42の洗浄液と接触する面(接液面)は、耐薬液性の材料から構成されているか、又は耐薬液性の保護膜が被覆されているものであることが洗浄液(ウエット処理液)への不純物の溶出を防止できる点で好ましく、例えば、洗浄液がオゾン水である場合は、上記ノズル構成体42、42の接液面(各連結部53の表面と各導入通路51の内面と各排出通路52の内面)又はこの面に形成する保護膜に用いる耐薬液性の材料として電解研磨表面を備えたチタン等のオゾン水に対して不活性の材料が用いられる。
【0047】
なお、処理室1a内に設けられたウエット処理手段としての一対のプッシュ・プル型ノズル41、41(42、42)は固定式であってもよいが、一対のプッシュ・プル型ノズル41、41(42、42)が移動可能なノズル移動手段(ノズル構成体・被処理物相対移動手段)が設けられていてもよい。
このノズル移動手段の具体例としては、図5に示すように、所定間隔を隔てて対向する一対のラックベース92、92が設けられ、これらラックベース92、92間に一対のプッシュ・プル型ノズル41、41(又は一対のプッシュ・プル型ノズル42、42)が架設されている。各ラックベース92には、これの上に形成されたリニアガイド93に沿って移動可能とされたスライダ94がそれぞれ設けられ、各スライダ94の上面に支柱95がそれぞれ立設され、これら支柱95に各プッシュ・プル型ノズル41(又は各プッシュ・プル型ノズル42)の両端部が固定されている。各スライダ94上にはモータ96等の駆動源が設置されており、各スライダ94がラックベース92上を自走する構成となっている。また、これらラックベース92、92間には、図示していないが一対のプッシュ・プル型ノズル42、42も一対のプッシュ・プル型ノズル41、41と同様に架設されていてもよい。これら一対のプッシュ・プル型ノズル41、41(又一対のプッシュ・プル型ノズル42、42)が被処理基板21との間隔を一定に保ちながらラックベース92、92に沿って移動することにより、凹状ウエット処理領域11内又は水平ウエット処理領域12内で基板21の所望位置にウエット処理できる構成となっている。
【0048】
ウエット処理装置1内に上記のような搬送コロ25・・・だけでなく、上記のようなノズル移動手段(ノズル構成体・被処理物相対移動手段)が設けられていると、また、一対のプッシュ・プル型ノズルを被処理基板21に対して相対移動させることができるので、例えば、一対のプッシュ・プル型ノズルを被処理基板21の搬送方向Sやその反対方向に複数回トラバースすることも可能で、凹状ウエット処理領域11及び/又は水平ウエット処理領域12を短くても被処理基板21に効率良くウエット処理を施すことができ、ウエット処理装置をさらに小型化することが可能である。
【0049】
なお、凹状ウエット処理領域11や水平ウエット処理領域12に備える一対のプッシュ・プル型ノズル(一対のノズル構成体)としては、図6〜図8に示すような一対のプッシュ・プル型ノズル71、71を用いてもよい。図6は、一対のプッシュ・プル型ノズル71、71の概略構成を示す断面図であり、図7は一方のプッシュ・プル型ノズル71の全体構成を模式的に示す斜視図であり、図8は一方のプッシュ・プル型ノズル71の被処理基板21側から見た図である。
各プッシュ・プル型ノズル71は、平板状の基板(連結部)72と、この基板72の外周を取り囲んで基板72上に配設された隔壁部材81と、隔壁部材81上に配設された支持板77と、基板72の被処理基板21と反対側の面に設けられた振動付与手段83とを備えて構成されている。
【0050】
基板72は、被処理基板21に施されるウエット処理の種類に応じてステンレス鋼等の金属基板や、石英などのガラス基板等で構成されている。図6及び図7に示すように、この基板72はノズル71において被処理基板21と対向する面を形成する部材であり、その両側の長辺端に沿って複数の処理液導入口86及び処理液回収口87が形成されている。より詳細には、基板72の被処理基板21と反対側の面に、その両側の長辺端に沿って平面視長方形状の溝部72A及び72Bが刻設されており、この溝部72Aの底面から被処理基板21側へ貫通して複数の処理液導入口86が形成されており、溝部72Bの底面から被処理基板21側へ貫通して複数の処理液回収口87が形成されている。本実施形態のノズル71では、処理液導入口86を介して酸化膜剥離液50(あるいは洗浄液70)を被処理基板21へ供給し、処理液回収口87を介して酸化膜剥離液50(あるいは洗浄液70)を被処理基板21から回収するようになっている。この処理液導入口86と処理液回収口87との間の、基板72と被処理基板21とに挟まれる領域が、本実施形態のノズル71における処理領域55とされており、この処理領域55に接している被処理基板21の表面が、酸化膜剥離処理や洗浄処理等のウェット処理に供されるようになっている。
【0051】
処理液導入口86及び処理液回収口87は、それぞれ所定の間隔や孔径を有して形成され、被処理基板21の幅方向(基板72の長手方向)において酸化膜剥離液50(あるいは洗浄液70)を均一に供給し、また回収できるようになっている。図8では、一例として同一の孔径の15個の処理液導入口86を、溝部72Aの長さ方向に沿って等間隔で配列形成し、同一の孔径の15個の処理液回収口87を、溝部72Bの長さ方向に沿って等間隔で配列形成した例を示したが、これらの孔径や間隔、形状に限定されるものではなく、これら処理液導入口86、処理液回収口87の配列方向(基板72長手方向)における酸化膜剥離液50(あるいは洗浄液70)の流量を均一にできるならば、任意の形状や配列間隔とすることができる。
【0052】
上記基板72の少なくとも被処理基板21側の面は、親水性とされていることが好ましく、基板72を貫通して形成されている処理液導入口86及び処理液回収口87の内面側も親水性とされることが好ましい。処理領域55を構成する基板72の表面を親水性とすることで、処理領域55における酸化膜剥離液50(あるいは洗浄液70)の流れを円滑にし、その制御性を向上させることができる。また、処理液導入口86及び処理液回収口87の内面側を親水性とすることで、酸化膜剥離液50(あるいは洗浄液70)の導入と回収も円滑に行うことができ、より酸化膜剥離液50(あるいは洗浄液70)の流れを安定なものとすることができる。
【0053】
基板72上に設けられた隔壁部材81は、図6,図8に示すように平面視略額縁状であり、その周縁部の一部が、基板72の外周側に突出されるとともに、その周縁部の被処理基板21側の面が、基板72の被処理基板21側の面と面一とされている。すなわち、換言するならば、額縁状の隔壁部材81の被処理基板21側の内周に沿って形成された段差部に、基板72が嵌合されて構成されている。隔壁部材81には、その両長辺に沿って隔壁部材81の厚さ方向に貫通して中空部81A、81Bがそれぞれ形成されており、これらの中空部81A、81Bは、基板72に形成された平面視長方形状の溝部72A、72Bと対応する位置に、それぞれ溝部72A、72Bとほぼ同じ平面形状で形成され、中空部81Aと溝部72A、中空部81Bと溝部72Bとがそれぞれ連通されている。そして、中空部81A及び処理液導入口86を含む部分が処理液導入部73とされ、中空部81B及び処理液回収口87を含む部分が処理液回収部74とされている。これら中空部81A、81Bには、酸化膜剥離液50(あるいは洗浄液70)を貯溜できるようになっており、処理液導入部73においては処理液導入口86への酸化膜剥離液50(あるいは洗浄液70)の供給をより均一にすることができ、また処理液回収部74においては、被処理基板21からの酸化膜剥離液50(あるいは洗浄液70)の回収をより均一にすることができる。
【0054】
上記隔壁部材81は、例えば四ふっ化エチレン樹脂などの疎水性材料で構成することが好ましい。隔壁部材81を疏水性材料とすることで、基板72の外周側を取り囲み被処理基板21と対向する隔壁部材81の内側の領域(処理領域55))に、酸化膜剥離液50(あるいは洗浄液70)を閉じ込めやすくなるので、処理領域55における酸化膜剥離液50(あるいは洗浄液70)の流れの制御性を高めることができ、より安定に酸化膜剥離液50(あるいは洗浄液70)を流動させ易くなる。また、処理領域55の外側へ流出する酸化膜剥離液50(あるいは洗浄液70)の量を抑えることができるので、酸化膜剥離液50(あるいは洗浄液70)の使用量を低減できるほか、酸化膜剥離液50(あるいは洗浄液70)に取り込まれたパーティクルの再付着も抑制することができる。
【0055】
隔壁部材81の図6上側には、支持板77が設けられており、この支持板77の長手方向中央部には、処理液導入管77A及び処理液回収管77Bが、隔壁部材81側と反対方向(図示上方)に延設されており、これら処理液導入管77Aの内部及び処理液回収管77Bの内部は、支持板77を貫通し、支持板77の反対側と連通されている。そして、処理液導入管77Aの支持板77側は、中空部81Aの上方に配置されて処理液導入管77Aの内部と中空部81Aとが連通され、処理液回収管77Bの支持板77側は中空部81Bの上側に配置されて処理液回収管77Bの内部と中空部81Bとが連通されている。
【0056】
このように、本実施形態のプッシュ・プル型ノズル71では、処理液導入管77Aから、中空部81A及び溝部72Aを経由して処理液導入口86に到る経路を通って酸化膜剥離液50(あるいは洗浄液70)が被処理基板21へ導入されるようになっており、処理液回収口87から、溝部72B及び中空部81Bを経由して処理液回収管77Bに到る経路を通って酸化膜剥離液50(あるいは洗浄液70)が被処理基板21から回収されるとともに外部に排出されるようになっている。
【0057】
図6に示す隔壁部材81と基板72、及び隔壁部材81と支持板77との接合面は、中空部81A,81B内を流動する酸化膜剥離液50(あるいは洗浄液70)の漏洩を防止するために、シール材(図示せず)などにより封止されている。接合面の封止は、酸化膜剥離液50(あるいは洗浄液70)がこれらの接合面を介して外部へ漏洩しないようにできれば、特にその材料や構造に制限はなく、例えばこれらの接合面にOリングを設けても良く、あるいは接合面に接着剤などを塗布することで封止しても良い。
【0058】
ノズル71では、基板72と、支持板77と、隔壁部材81とに囲まれた空間A内に、酸化膜剥離液50(あるいは洗浄液70)に振動を付与するための振動付与手段83が収納されており、その一面側は、基板72の内面側に接合されている。また、振動付与手段83を駆動、制御するためのケーブル88が振動付与手段83に接続されており、このケーブル88は支持板77の端部側で支持板77を貫通してノズル71の外側へ導出され、図示しない駆動制御部に接続されている。この振動付与手段としては、振動周波数0.7〜1.5MHz程度の超音波を発生する超音波振動子や、振動周波数28〜60kHz程度の比較的低周波の超音波を発生するボルト締めランジュバン型振動子などを用いることができ、被洗浄基板21の種類や、ウエット処理の種類に応じて適宜最適な周波数のものを選択すればよい。
【0059】
このプッシュ・プル型ノズルノズル71では、支持板77の処理液回収管77Bに図示しない圧力制御部が設けられている。この圧力制御部は、処理液導入口86から供給され、被処理基板21に接触した酸化膜剥離液50(あるいは洗浄液70)が、ウエット処理後に処理液回収口87に回収されるように処理液導入口86側の大気と接触している酸化膜剥離液50(あるいは洗浄液70)の圧力(処理液の表面張力と被処理基板表面の表面張力も含む)と大気圧との均衡がとれるようにするものである。より具体的には、この圧力制御部は、処理液回収管77Bに接続された減圧ポンプにより構成することができ、この減圧ポンプにより処理液回収管77B内の酸化膜剥離液50(あるいは洗浄液70)を吸引する力を制御することで、上記大気圧との均衡をとるようになっている。このようにして、処理領域55内へ導入された酸化膜剥離液50(あるいは洗浄液70)は、処理領域55の外側へ漏れることなく、処理液回収口87へ回収される。つまり、被処理基板21へ導入された酸化膜剥離液50(あるいは洗浄液70)は、処理領域55内の被処理基板21表面以外の領域に触れることなく、処理液回収部74へ回収されるようになっている。
【0060】
上記のようなプッシュ・プル型ノズル71は、被処理基板21と対向する面に基板72が配置され、この基板72を貫通して処理液導入口86及び処理液回収口87が形成されているので、処理液導入口86から処理液回収口87に到る処理領域55と接する面が、基板72の一面内とされている。すなわち、処理液導入口86の被処理基板21側の端部と、基板72の被処理基板21側の面と、処理液回収口87の被処理基板21側の端部とが、面一に形成されている。このような構造とされていることで、酸化膜剥離液50(あるいは洗浄液70)に同伴されて処理領域55内へ気泡が混入した場合に、この気泡が滞留し得る位置を無くし、気泡の滞留による酸化膜剥離液50(あるいは洗浄液70)の流れの遮断が起こらないようになっている。従って、プッシュ・プル型ノズル71によれば、処理領域55内での酸化膜剥離液50(あるいは洗浄液70)等の処理液の流れを安定に維持することができ、被処理基板21をムラ無く、均一にウエット処理することが可能である。
【0061】
そしてこのような構成のプッシュ・プル型ノズル71、71は、連結部72、72が隙間を隔てて対向するように設けられている。即ち、プッシュ・プル型ノズル71、71は、処理液導入口86、86も隙間を隔てて対向しており、処理液回収口87、87も隙間を隔てて対向している。このような一対のプッシュ・プル型ノズル71、71の対向部間(処理液導入口86、86間や、連結部72、72間や、処理液回収口87、87間)に被処理基板21が搬送コロ(搬送機構)25・・・により搬送されて、被処理基板21とプッシュ・プル型ノズル71、71との間の処理領域55、55で酸化膜剥離処理や洗浄処理等のウエット処理が行えるようになっている。
【0062】
また、上記構成のプッシュ・プル型ノズル71においても処理領域55に洗浄液70を供給した状態で振動付与手段83から振動を付与すれば、洗浄液70とこの振動とを共働させて被処理基板21を洗浄することができ、洗浄効率をより高めることができる。
【0063】
なお、凹状ウエット処理領域11で被処理基板21に形成された凹み部21aの水平部分(底部)には、上記のような一対のプッシュ・プル型ノズル41、41あるいは一対のプッシュ・プル型ノズル71、71は、図9に示すように複数設けられていてもよく、また、シャワーノズル11aも複数設けられていてもよい。このように凹状ウエット処理領域11に一対のプッシュ・プル型ノズル(一対のノズル構成体)が複数設けられている場合には、凹状ウエット処理領域11で行う酸化膜剥離処理をさらに効率良く行うことができる。
【0064】
図1乃至図9に示したようなウエット処理装置1を用いて被処理基板21に酸化膜剥離処理、洗浄処理、乾燥処理を順次施すには以下のように行われる。
まず、ローダ10により被処理基板21を処理室1aのウエット処理室8内に送り込む。そしてウエット処理室8内に送り込んだ被処理基板21を搬送コロ25a・・・により移動方向Sに下降するように搬送し、さらにこの被処理基板21を搬送コロ25b・・・により移動方向Sに水平に搬送しながら一対のプッシュ・プル型ノズル41、41(あるいは一対のプッシュ・プル型ノズル71、71)の対向部間を通した後、さらにこの被処理基板21を搬送コロ25c・・・により移動方向Sに上昇するように搬送して、被処理基板21に部分的に上向きの凹み部21aを形成しながら、一対のプッシュ・プル型ノズル41、41(あるいは一対のプッシュ・プル型ノズル71、71)の各第1の開口部51b(あるいは各処理液導入口86)から酸化膜剥離液50を各処理領域55に供給して、被処理基板21の上向きの凹み部21aの水平部分表面に接触させて被処理基板21に形成されたSi膜表面のSiO2膜を剥離した後、被処理基板21の凹み部21の水平部分の表面に接触後の酸化膜剥離液50を各第2の開口部52b(あるいは各処理液回収口87)から排出通路52に排出する。ここでの酸化膜剥離工程では、被処理基板21に部分的に形成した上向きの凹み部21aの両面のSiO2膜が一度に除去されるのでなく、被処理基板21が一対のプッシュ・プル型ノズル41、41の対向部間を通過する際にこの対向部間を通る部分のSiO2膜が順次剥離されるのである。ここでの被処理基板21の移動方向(搬送方向)Sは、図2の紙面の左側から右側に移動する方向である。
【0065】
ついで、酸化膜剥離後の被処理基板21をさらに搬送コロ25・・・により移動方向Sに水平搬送しながら一対のプッシュ・プル型ノズル42、42(あるいは一対のプッシュ・プル型ノズル71、71)の対向部間を通し、被処理基板21に部分的に水平部分21bを形成しながら一対のプッシュ・プル型ノズル42、42(あるいは一対のプッシュ・プル型ノズル71、71)の各第1の開口部51b(あるいは各処理液導入口86)から超純水、オゾン水、水素水等の洗浄液70を各処理領域55に供給して、被処理基板21の表面に接触させて洗浄した後、被処理基板21に接触後の洗浄液70を第2の開口部52b(あるいは処理液回収口87)から排出通路52に排出することにより、酸化膜剥離工程で表面に付着した酸化膜剥離液や被処理基板21の表面に付着しているパーティクル等の汚れ等を洗浄する。ここでの洗浄工程では、被処理基板21に部分的に形成した水平部分21bの両面が一度に洗浄されるのでなく、被処理基板21が一対のプッシュ・プル型ノズル42、42(あるいは一対のプッシュ・プル型ノズル71、71)の対向部間を通過する際にこの対向部間を通る部分が順次洗浄されるのである。
ここでの被処理基板21の洗浄の際、洗浄液70を処理領域55に供給した状態で、超音波振動子本体68(あるいは振動付与手段83)により超音波振動を付与し、洗浄液70と共働して被処理基板21を超音波洗浄することが好ましい。
【0066】
ついで、洗浄後の被処理基板21を搬送コロ25・・・により乾燥室13内に送り込む。そして乾燥室13内に送り込んだ被処理基板21を搬送コロ25・・・により移動方向Sに水平搬送するとともに上下のエアナイフ13a、13a間を通し、これらエアナイフ13a、13aから高圧空気を被処理基板21の両面に吹き付けて、洗浄工程で表面に付着した洗浄液70を乾燥した後、アンローダ14に搬送し、この後、例えば、カセット等に収容する。
ここでの乾燥工程では、被処理基板21の両面を一度に乾燥させるのでなく、被処理基板21がエアナイフ13a、13a間を通過する際にこれらエアナイフ13a、13aからの高圧空気がかかる部分が順次乾燥する。
【0067】
第1の実施形態のウエット処理装置1では、ウエット処理室8内に搬送された1枚の被処理基板21を部分的に上向きに凹状とした状態で酸化膜剥離処理する凹状ウエット処理領域11と、被処理基板21を部分的に水平状態としながら洗浄処理する凹状ウエット処理領域11とが設けられたことにより、ウエット処理室8内に1枚の被処理基板21を搬送すると該1枚の被処理基板21に凹み部21aと水平部分21bが形成され、1枚の被処理基板21に形成された凹み部21aで酸化膜剥離処理を行うことができ、水平部分21bで洗浄処理を行うことができ、従って1枚の被処理基板21に同時に酸化膜剥離処理と洗浄処理といった複数のウエット処理を施すことができるので、各ウエット処理にそれぞれ専用のウエット処理室を設けなくても済み、ウエット処理工程を短くでき、ウエット処理装置の小型化が可能である。
【0068】
また、上記凹状ウエット処理領域11内の被処理基板21は部分的に上向きに凹んでいるので、この領域11で使用した酸化膜剥離液50は水平ウエット処理領域12に入るのを防止できるので、処理液の相互汚染(酸化膜剥離液と洗浄液の相互汚染)を防止でき、この水平ウエット処理領域12で用いる洗浄液70の使用量の省液化が可能で、水平ウエット処理領域12を短くでき、ウエット処理装置の小型化が可能である。また、このように処理液の相互汚染を防止できると、各ウエット処理領域で使用した処理液の繰り返し使用や再生使用も可能である。
また、前工程のウエット処理を行う凹状ウエット処理領域11で用いる酸化膜剥離液が後工程の洗浄工程を行う水平ウエット処理領域12に入るのを防止できるので、洗浄工程(水平ウエット処理領域)で用いる超純水の使用量の省液化が可能となり、被処理基板21が1〜2m角の大型になっても超純水の供給不足を改善でき、従って大型の被処理基板の洗浄処理に十分対応できる。
本実施形態のウエット処理装置1では、上記のように1枚の被処理基板21に同時に酸化膜剥離処理と洗浄処理といった複数のウエット処理を施すことができ、しかも処理液の相互汚染を防止できるので、各ウエット処理にそれぞれ専用のウエット処理室を設ける従来のウエット処理装置に比べて、ウエット処理室の長さ(ウエット処理工程の長さ)を約1/2以下とすることも可能である。
従って、本実施形態のウエット処理装置1では、酸化膜剥離液や洗浄液といったウエット処理液の使用量の省液化と、ウエット処理装置の小型化が可能であるので、ウエット処理工程に多大な設備費や占有スペースを費やすこともなく、製造ライン等に用いて合理的な装置とすることができ、また、大型の被処理基板の酸化膜剥離や洗浄処理といったウエット処理に十分対応できる装置とすることができる。
【0069】
また、本実施形態のウエット処理方法では、1枚の被処理基板21に部分的に形成した上向きの凹み部21aで酸化膜剥離処理を行い、部分的に形成した水平部分21bで洗浄処理を行うことができ、従って1枚の被処理基板21に同時に酸化膜剥離処理と洗浄処理といった複数のウエット処理を施すことができるので、各ウエット処理にそれぞれ専用のウエット処理室を設けなくても済み、ウエット処理工程を短くでき、ウエット処理に用いるウエット処理装置の小型化が可能である。
なお、第1の実施形態のウエット処理装置1においては、凹状ウエット処理領域11に上下一対のノズル構成体41、41あるいは上下一対の一対のノズル構成体71、71を設けた場合について説明したが、被処理基板21の一方の面側のSi膜表面に形成された酸化膜のみ除去する場合には、ノズル構成体41あるいはノズル構成体71は、被処理基板21の酸化膜を除去する方の面側のみに設けられていてもよい。
また、水平ウエット処理領域12に上下一対のノズル構成体42、42あるいは上下一対の一対のノズル構成体71、71を設けた場合について説明したが、被処理基板21の一方の面側のみ洗浄する場合には、ノズル構成体42あるいはノズル構成71は、被処理基板21の洗浄する方の面側のみに設けられていてもよい。
【0070】
[第2の実施の形態]
図10は、本発明の第2の実施形態のウエット処理装置の概略構成を示す断面図である。
第2の実施形態のウエット処理装置2が第1の実施形態のウエット処理装置1と異なるところは、第1の実施形態のウエット処理室8の水平ウエット処理領域12代えて凹状ウエット処理領域22が設けられ、即ち、ウエット処理室8内に凹状ウエット処理領域が複数設けられている点と、隣合う凹み状ウエット処理領域11と22の間に処理液の相互汚染を防止するためのエアカーテン(処理液分離手段)90が設けられた点である。
【0071】
凹状ウエット処理領域22では、1枚の被処理基板21を部分的に上向きに凹状とした状態で洗浄液(ウエット処理液)を供給して洗浄できるようになっている。
この凹状ウエット処理領域22にも、凹状ウエット処理領域11と同様に、被処理基板21を部分的に搬送方向に下降するように搬送できるように右下がりに傾斜配置された下降搬送用コロ(下降搬送機構)25a・・・と、被処理基板21を部分的に搬送方向に上昇するように搬送できるように右上がりに配置された上昇搬送用コロ(上昇搬送機構)25cと、これら下降搬送用コロ25a・・・と上昇搬送用コロ25c・・・の間に設けられ、被処理基板21を部分的に水平に搬送できるように水平に配置された水平搬送用コロ(水平搬送機構)25b・・・が備えられている。
【0072】
これら下降搬送用コロ25a・・・は、被処理基板21の下方側だけでなく、上方側にも設けられており、被処理基板21を上方側と下方側から挟むことにより、被処理基板21を部分的に搬送方向に下降するようにできるようになっている。 また、水平搬送用コロ25b・・・は被処理基板21の下方側だけでなく、上方側にも設けられており、被処理基板21を上方側と下方側から挟むことにより、被処理基板21を部分的に水平に搬送できるようになっている。また、上昇搬送用コロ25c・・・は、被処理基板21の下方側だけでなく、上方側にも設けられており、被処理基板21を上方側と下方側から挟むことにより、被処理基板21を部分的に上昇するように搬送できるようになっている。
【0073】
下降搬送用コロ25a・・・により被処理基板21を下降させる角度(下降角度)θ3は1度以上であることが、被処理基板21に部分的に形成される上向きの凹み部21cにできる下降斜面の傾斜角度を1度以上とすることができ、この下降斜面の傾斜角度が1°以上であれば、凹状ウエット処理領域22で用いた洗浄液(ウエット処理液)が前工程の凹状ウエット処理領域11に持ち込まれるのを防止でき、ウエット処理液の相互汚染を防止できる点で好ましい。
また、上昇搬送用コロ25c・・・により被処理基板21を上昇させる角度(上昇角度)θ4は1度以上であることが、被処理基板21に形成される凹み部21cにできる上昇斜面(搬送方向に上がる斜面)の傾斜角度を1度以上とすることができ、この上昇斜面の傾斜角度が1度以上であれば、凹状ウエット処理領域22で用いた洗浄液(ウエット処理液)が後工程の乾燥室15に持ち込まれるのを防止できる点で好ましい。
被処理基板21の下降角度θ3と上昇角度θ4は、それぞれ2度以上あることがさらに好ましい。
さらに、下降搬送用コロ25a・・・や上昇搬送用コロ25c・・・による被処理基板の下降角度θ3と上昇角度θ4はそれぞれ1度以上15度以下であることが第1の実施形態と同様の理由から好ましい。
【0074】
このような凹状ウエット処理領域22で被処理基板21に形成された上向きの凹み部21cの水平部分(底部)にはウエット処理手段として図3と同様の一対のノズル構成体(一対のプッシュ・プル型ノズル)42、42(あるいは図6と同様の一対のプッシュ・プル型ノズル71、71)が配置されている。さらに、被処理基板21に形成された凹み部21cの上方には、ウエット処理液を散布するためのシャワーノズル11bが配置されていてもよい。
【0075】
隣合う凹み状ウエット処理領域11と22の間のエアカーテン90は、被処理基板21の下方側だけでなく、上方側にも設けられている。
エアカーテン90からは被処理基板21や酸化膜剥離液50や洗浄液70と不活性なガスを給排気できるようになっている。ここで用いられるガスとしては、N2ガス、乾燥空気等が挙げられる。このようなエアカーテン90が設けられていると、隣合う凹状ウエット処理領域11、22で使用する処理液の相互汚染の防止をより確実に行える点で好ましい。このようなエアカーテン90は、被処理基板21の搬送速度が30mm/sec程度までは設けられていなくてもよいが、搬送速度が30mm/secを越える場合には設けられていることが好ましく、特に搬送速度が50mm/sec程度以上の場合は設けていることが好ましい。
【0076】
図10に示したようなウエット処理装置2を用いて被処理基板21に酸化膜剥離処理、洗浄処理、乾燥処理を順次施すには以下のように行われる。
まず、被処理基板21の酸化膜剥離工程までは第1の実施形態で説明した方法と同様に行う。
ついで、酸化膜剥離後の被処理基板21を搬送コロ25a・・・により移動方向Sに下降するように搬送し、さらにこの被処理基板21を搬送コロ25b・・・により移動方向Sに水平に搬送しながら一対のプッシュ・プル型ノズル42、42(あるいは一対のプッシュ・プル型ノズル71、71)の対向部間を通した後、さらにこの被処理基板21を搬送コロ25c・・・により移動方向Sに上昇するように搬送して、被処理基板21に部分的に上向きの凹み部21cを形成しながら、一対のプッシュ・プル型ノズル42、42(あるいは一対のプッシュ・プル型ノズル71、71)の各第1の開口部51b(あるいは各処理液導入口86)から超純水、オゾン水、水素水等の洗浄液70を各処理領域55に供給して、被処理基板21の凹み部21cの水平部分表面に接触させて洗浄した後、被処理基板21に接触後の洗浄液70を第2の開口部52b(あるいは処理液回収口87)から排出通路52に排出することにより、酸化膜剥離工程で表面に付着した酸化膜剥離液や被処理基板21の表面に付着しているパーティクル等の汚れ等を洗浄する。ここでの洗浄工程では、被処理基板21に部分的に形成した凹み部21cの両面が一度に洗浄されるのでなく、被処理基板21が一対のプッシュ・プル型ノズル42、42(あるいは一対のプッシュ・プル型ノズル71、71)の対向部間を通過する際にこの対向部間を通る部分が順次洗浄されるのである。
ここでの被処理基板21の洗浄の際、洗浄液70を処理領域55に供給した状態で、超音波振動子本体68(あるいは振動付与手段83)により超音波振動を付与し、洗浄液70と共働して被処理基板21を超音波洗浄することが好ましい。
【0077】
ついで、洗浄後の被処理基板21を搬送コロ25・・・により乾燥室13内に送り込み、第1の実施形態と同様にしてエアナイフ13a、13aから高圧空気を被処理基板21の両面に吹き付けて、洗浄工程で表面に付着した洗浄液70を乾燥した後、アンローダ14に搬送し、この後、例えば、カセット等に収容する。ここでの乾燥工程では、被処理基板21の両面を一度に乾燥させるのでなく、被処理基板21がエアナイフ13a、13a間を通過する際にこれらエアナイフ13a、13aからの高圧空気がかかる部分が順次乾燥する。
【0078】
第2の実施形態のウエット処理装置2では、ウエット処理室8内に搬送された1枚の被処理基板21を部分的に上向きに凹状とした状態で酸化膜剥離処理する凹状ウエット処理領域11と、被処理基板21を部分的に上向きに凹状とした状態で洗浄処理する凹状ウエット処理領域22とが設けられたことにより、ウエット処理室8内に1枚の被処理基板21を搬送すると該1枚の被処理基板21に凹み部21a、21cが形成され、凹み部21aで酸化膜剥離処理を行うことができ、凹み部21cで洗浄処理を行うことができ、従って1枚の被処理基板21に同時に酸化膜剥離処理と洗浄処理といった複数のウエット処理を施すことができるので、各ウエット処理にそれぞれ専用のウエット処理室を設けなくても済み、ウエット処理工程を短くでき、ウエット処理装置の小型化が可能である。
また、凹状ウエット処理領域11内の被処理基板21は部分的に上向きに凹んでいるので、この領域11で使用した酸化膜剥離液50は後工程に設けられた凹状ウエット処理領域22に入るのを防止でき、また、凹状ウエット処理領域22内の被処理基板21は部分的に凹んでいるので、この領域22で使用した洗浄液70は前工程に設けられた凹状ウエット処理領域11に入るのを防止できるので、処理液の相互汚染(酸化膜剥離液と洗浄液の相互汚染)の防止効果が優れ、これら凹状ウエット処理領域11、22でそれぞれ用いる処理液の使用量の省液化が可能で、ウエット処理工程を短くでき、ウエット処理装置の小型化が可能である。また、このように処理液の相互汚染を防止できると、各ウエット処理領域で使用した処理液の繰り返し使用や再生使用も可能である。
また、上記のように凹状ウエット処理領域22内の被処理基板21は部分的に上向きに凹んでいると、この領域22で使用した洗浄液70は、乾燥室13に入るのを防止できるので、乾燥室13に送り込まれる前の被処理基板21の表面に付着している洗浄液の液膜を薄くでき、乾燥室13で使用する高圧空気の使用量を低減できる。また、このウエット処理装置2ではこのように圧力空気の使用量が少なくて済むので、処理室1a内に発生するミストも少なく、従って、このミストに起因する被処理基板21の汚染を防止するために処理室1aを大型化しなくても済む。また、上記ミストに起因する被処理基板21の汚染を防止するための排気風量も低減することができる。
【0079】
従って第2の実施形態のウエット処理装置2では、酸化膜剥離液や洗浄液等の処理液の使用量だけでなく、酸化膜剥離処理や洗浄処理等のウエット処理工程後の乾燥工程で使用する乾燥用気体の使用量の低減が可能で、ウエット処理装置を小型化でき、ウエット処理工程や乾燥工程に多大な設備費や占有スペースを費やすこともなく、製造ライン等に用いて合理的にウエット処理並びに乾燥でき、また、大型の被処理基板のウエット処理、乾燥に十分対応できる装置とすることができる。
【0080】
なお、第1〜第2の実施形態においては、酸化膜剥離処理と洗浄処理といった複数のウエット処理を順次行うためのウエット処理装置およびウエット処理方法に本発明を適用する場合について説明したが、洗浄、酸化膜剥離、レジスト剥離、現像、ウエットエッチング、メッキ、研磨等のうちの二種類以上のウエット処理を連続して行うための装置や、さらに必要に応じてこのウエット処理後に乾燥を行うための装置に適用することもできる。上記レジスト剥離工程で用いる処理液としては、例えば、KOH溶液や、アミン系有機アルカリ溶液等が用いられる。
また、第1〜第2の実施形態においては、被処理基板21が数百mm角程度、好ましくは1〜2m角の大型のガラス基板等の基板である場合について説明したが、半導体ウエハのように円形のものであってもよい。
【0081】
【発明の効果】
以上説明したように本発明のウエット処理装置においては、上記処理室内には、該処理室内に搬送された1枚の帯状の被処理物を部分的に上向きに凹状とした状態でウエット処理する凹状ウエット処理領域が一カ所以上設けられたことにより、上記1枚の帯状の被処理物に形成された凹み部でウエット処理を行うことができ、上記他の部分で上記ウエット処理とは別の種類のウエット処理を行うことができ、従って1枚の帯状の被処理物に同時に複数のウエット処理を施すことができるので、各ウエット処理にそれぞれ専用のウエット処理室を設けなくても済み、ウエット処理工程を短くでき、ウエット処理装置の小型化が可能である。
また、上記凹状ウエット処理領域内の帯状の被処理物は部分的に凹んでいるので、この領域で使用した処理液は上記他のウエット処理領域に入るのを防止できるので、処理液の相互汚染を防止でき、これによって他のウエット処理領域を短くできるので、ウエット処理装置の小型化が可能であり、しかも、各ウエット処理領域で使用したウエット処理液の繰り返し使用や再生使用も可能である。従って、本発明のウエット処理装置では、ウエット処理液の使用量の省液化と、ウエット処理装置の小型化が可能であるので、ウエット処理工程に多大な設備費や占有スペースを費やすこともなく、製造ライン等に用いて合理的な装置とすることができ、また、大型の帯状の被処理物のウエット処理に十分対応できる装置とすることができる。
【0082】
また、本発明のウエット処理方法では、1枚の帯状の被処理物を部分的に上向きに凹状とした凹み部を1個所以上形成して複数のウエット処理を行う工程が備えられたことにより、上記1枚の帯状の被処理物に部分的に形成した凹み部でウエット処理を行うことができ、上記凹み部分以外の部分(他の部分)で上記ウエット処理とは別の種類のウエット処理を行うことができ、従って1枚の帯状の被処理物に同時に複数のウエット処理を施すことができるので、各ウエット処理にそれぞれ専用のウエット処理室を設けなくても済み、ウエット処理工程を短くでき、ウエット処理に用いるウエット処理装置の小型化が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態のウエット処理装置を示す概略構成図。
【図2】 図1のウエット処理装置を示す断面図。
【図3】 図1のウエット処理装置の処理室内に備えられた一対のプッシュ・プル型ノズルの構成を示す拡大断面図。
【図4】 図3の一方のプッシュ・プル型ノズルの被処理基板側から見た図。
【図5】 第1の実施形態のウエット処理装置に備えられたノズル移動手段(ノズル構成体・被処理物相対移動手段)を示す平面図。
【図6】 図1のウエット処理装置の処理室内に備えられた他の例の一対のプッシュ・プル型ノズルの概略構成を示す断面図。
【図7】 図6の一方のプッシュ・プル型ノズルの全体構成を模式的に示す斜視図。
【図8】 図6の一方のプッシュ・プル型ノズルの被処理基板側から見た図。
【図9】 図1のウエット処理装置のウエット処理室の凹状ウエット処理領域に複数のノズル構成体が備えられた場合を示す拡大断面図。
【図10】 本発明の第2の実施形態のウエット処理装置の概略構成を示す断面図。
【図11】 従来のウエット処理装置の概略構成を示す断面図。
【符号の説明】
1,2・・・ウエット処理装置、1a・・・処理室、11・・・凹状ウエット処理領域、12・・・水平ウエット処理領域(他のウエット処理領域)、11a・・・シャワーノズル(ウエット処理手段)、21・・・被処理基板(帯状の被処理物)、
21a,21c・・・凹み部、21b・・・水平部分、22・・・凹状ウエット処理領域、25・・・搬送コロ(搬送機構)、25a・・・下降搬送用コロ(下降搬送機構)、25b・・・水平搬送用コロ(水平搬送機構)、25c・・・上昇搬送用コロ(上昇搬送機)、41、42、71・・・ノズル構成体(ウエット処理手段)、
50・・・酸化膜剥離液(ウエット処理液)、51b・・・第1の開口部(処理液導入口)、51・・・導入通路(処理液導入部)、52b・・・第2の開口部(処理液回収口)、52・・・排出通路(処理液回収部)、70・・・洗浄液(ウエット処理液)、72・・・連結部、73・・・処理液導入部、74・・・処理液回収部、90・・・エアカーテン(処理液分離手段)、92・・・ラックベース、93・・・リニアガイド、 94・・・スライダ、95・・・支柱、96・・・モータ、θ1,θ3・・・下降角度、θ2,θ4・・・上昇角度、S・・・搬送方向(移動方向)。
Claims (16)
- 帯状の被処理物のウエット処理のための処理液を帯状の被処理物に向けて供給するウエット処理手段が1以上設けられた複数のウエット処理領域が備えられた処理室内に帯状の被処理物を搬送してウエット処理を順次行うウエット処理装置であって、前記処理室内には、該処理室内に搬送された1枚の帯状の被処理物を部分的に上向きに凹状とした状態でウエット処理する凹状ウエット処理領域が一カ所以上設けられ、前記凹状ウエット処理領域には、前記帯状の被処理物を部分的に水平に搬送する水平搬送機構が備えられ、前記処理室内の凹状ウエット処理領域の後方側には、帯状の被処理物を部分的に水平状態としながらウエット処理する水平ウエット処理領域が一カ所以上設けられ、前記凹状ウエット処理領域内の水平搬送領域及び前記水平ウエット処理領域の水平搬送領域に、前記帯状の被処理物に対する面に処理液を導入する処理液導入部と、前記帯状の被処理物から処理液を回収するための処理液回収部と、前記処理液導入部と処理液回収部を連結した連結部とを主体としてなり、前記連結部と前記被処理物との間の空間に前記処理液導入部から供給した処理液を満たしつつ前記処理液回収部から排出する操作を行い、前記連結部と前記被処理物との間に大気圧と均衡した状態の処理液を外部に漏らすことなく保持しながら前記被処理物をウエット処理するプッシュ・プル型ノズルを備えてなることを特徴とするウエット処理装置。
- 前記凹状ウエット処理領域と前記水平搬送領域とが、隔壁により外部と仕切られたウエット処理室内に直列に設けられ、前記ウエット処理室の後段側に前記隔壁を介し乾燥室が設けられてなることを特徴とする請求項1に記載のウエット処理装置。
- 前記帯状の被処理物が、プラスチック基板、ガラス基板、半導体基板のいずれかであることを特徴とする請求項1または2に記載のウエット処理装置。
- 前記凹状ウエット処理領域には、前記帯状の被処理物を部分的に搬送方向に下降するように搬送する下降搬送機構と、前記帯状の被処理物を部分的に搬送方向に上昇するように搬送する上昇搬送機構が少なくとも備えられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のウエット処理装置。
- 前記凹状ウエット処理領域において、前記下降搬送機構は前記帯状の被処理物の下降角度を1度以上とするものであり、前記上昇搬送機構は前記帯状の被処理物の上昇角度を1度以上とするものであることを特徴とする請求項4記載のウエット処理装置。
- 前記凹状ウエット処理領域において、前記下降搬送機構は前記帯状の被処理物の下降角度を15度以上とするものであり、前記上昇搬送機構は前記帯状の被処理物の上昇角度を15度以上とするものであることを特徴とする請求項4記載のウエット処理装置。
- 前記凹状ウエット処理領域において、前記下降搬送機構による前記帯状の被処理物の下降角度と、前記上昇搬送機構による前記帯状の被処理物の上昇角度が異なることを特徴とする請求項4記載のウエット処理装置。
- 前記処理室内の隣合うウエット処理領域の間には処理液の相互汚染を防止するための処理液分離手段が設けられたことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のウエット処理装置。
- 前記帯状の被処理物は、ヤング率が58〜75GPaであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のウエット処理装置。
- 前記帯状の被処理物は、厚さ0.04mm〜0.7mmのガラス基板であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のウエット処理装置。
- 前記ウエット処理手段のうち少なくも一つは、帯状の被処理物に対向する面に、帯状の被処理物に処理液を導入する処理液導入部と、ウエット処理後の帯状の被処理物から処理液を回収するための処理液回収部と、前記処理液導入部と処理液回収部とを連結する連結部を有し、前記処理液導入部の被処理物側の部分に、処理液を導入する処理液導入口が形成され、前記処理液回収部の被処理物側の部分に処理液を回収する処理液回収口が形成されてなる一対のノズル構成体から構成され、該一対のノズル構成体は前記処理液導入口及び処理液回収口が設けられた側同士が隙間を隔てて対向配置され、該対向部間に前記帯状の被処理物が搬送されてウエット処理を行うものであることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のウエット処理装置。
- 前記ウエット処理手段のうち少なくも一つは、帯状の被処理物に対向する面に、帯状の被処理物に処理液を導入する処理液導入部と、ウエット処理後の帯状の被処理物から処理液を回収するための処理液回収部と、前記処理液導入部と処理液回収部とを連結する連結部を有し、前記連結部の被処理物側の面と、前記処理液導入部の被処理物側の面と、前記処理液回収部の被処理物側の面とが面一に形成され、前記処理液導入部の前記連結部と面一にされた部分には処理液を導入する処理液導入口が形成され、前記処理液回収部の前記連結部と面一にされた部分には処理液を回収する処理液回収口が形成されてなる一対のノズル構成体から構成され、該一対のノズル構成体は前記処理液導入口及び処理液回収口が設けられた側同士が隙間を隔てて対向配置され、該対向部間に前記帯状の被処理物が搬送されてウエット処理を行うものであることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のウエット処理装置。
- 前記帯状の被処理物の被処理面に沿って前記一対のノズル構成体と前記帯状の被処理物とを相対移動させることにより前記帯状の被処理物をウエット処理するためのノズル構成体・被処理物相対移動手段とを有することを特徴とする請求項11又は12に記載のウエット処理装置。
- 前記一対のノズル構成体の処理液と接触する面は、耐薬液性の材料から構成されているか、又は耐薬液性の保護膜が被覆されていることを特徴とする請求項11又は12に記載のウエット処理装置。
- 帯状の被処理物にウエット処理のための複数の処理液を順次供給して複数のウエット処理を順次行うウエット処理方法であって、請求項1〜14のいずれかに記載のウエット処理装置を用いて1枚の帯状の被処理物を部分的に上向きに凹み状とした凹み部を1個所以上形成して複数のウエット処理を行う工程が備えられたことを特徴するウエット処理方法。
- 前記複数のウエット処理を行う工程に、前記1枚の帯状の被処理物を部分的に水平状態としながらウエット処理する工程が備えられたことを特徴とする請求項15記載のウエット処理方法。
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