JP2003088804A - 超音波振動子、ウエット処理用ノズルおよびウエット処理装置 - Google Patents

超音波振動子、ウエット処理用ノズルおよびウエット処理装置

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JP2003088804A JP2001285547A JP2001285547A JP2003088804A JP 2003088804 A JP2003088804 A JP 2003088804A JP 2001285547 A JP2001285547 A JP 2001285547A JP 2001285547 A JP2001285547 A JP 2001285547A JP 2003088804 A JP2003088804 A JP 2003088804A
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健一 三森
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Shoichi Ono
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ウエット処理動作中に処理領域において処理
液の存在しない領域が生じた場合でも、超音波振動子の
破損防止を図る。 【解決手段】 被処理物Wの被処理面W1に対向する対
向面46Aを有する振動部46と、該振動部46の主面
上に設けられ前記振動部46に超音波振動を付与する超
音波振動子本体48と、が備えられてなり、前記振動部
46が、高熱伝導体からなる高熱伝導部31を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば半導体デバ
イス、液晶表示パネル等の製造プロセスにおける洗浄、
剥離、現像、エッチング、メッキ、研磨等のウェット処
理工程において、被処理物上に処理液を供給するための
ウェット処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】半導体デバイス、液晶表示パネル等の電
子機器の分野においては、その製造プロセス中に被処理
物である半導体基板やガラス基板を洗浄処理する工程が
必須である。洗浄工程においては、製造工程中の種々の
除去対象物質を除去すべく、超純水、電解イオン水、オ
ゾン水、水素水等、種々の洗浄液を用いた洗浄が行われ
るが、これら洗浄液は洗浄装置のノズルから基板上に供
給される。ところが、従来一般の洗浄用ノズルを用いた
場合、洗浄液の使用量が多くなるという問題があった。
例えば500mm角の基板の洗浄を電解イオン水等の洗
浄液を用いて行い、かかる洗浄液による洗浄とリンス洗
浄水によるリンスを行った後の基板上のパーティクルの
残存量として0.5個/cm2 レベルの清浄度を達成し
ようとすると、25〜30リットル/分程度の洗浄液お
よびリンス洗浄液を使用しなければならなかった。
【0003】そこで、従来型に比べて洗浄液の使用量を
大幅に削減できる省液型の洗浄用ノズルとして、被処理
基板上に処理液を供給して被処理基板のウェット処理を
行う際に用いるウェット処理用ノズルであって、一端に
処理液を導入するための導入口を有する導入通路と一端
に使用後の処理液を外部に排出するための排出口を有す
る排出通路とが形成され、これら導入通路と排出通路の
それぞれの他端に、被処理基板に向けて開口する導入開
口部と排出開口部とが設けられたウェット処理用ノズル
が、既に知られており、ここでは、このウェット処理用
ノズルを用いたウェット処理用ノズル装置として、ウェ
ット処理用ノズルと、前記導入開口部を通して前記被処
理基板に接触した処理液を処理後に、前記排出通路外に
流れないように前記被処理基板と接触している処理液の
圧力と大気圧との差を制御し前記排出通路を通して吸引
排出する手段とを有することを特徴とするウェット処理
用ノズル装置が提供されている。また、このウェット処
理用ノズルを用いたウェット処理装置として、前記ウェ
ット処理用ノズルと、前記被処理基板の被処理面に沿っ
て前記ウェット処理用ノズルと前記被処理基板とを相対
移動させることにより前記被処理基板の被処理面全域を
処理するためのノズルまたは被処理基板の移動手段とを
有することを特徴とするウェット処理装置が提供されて
いる。
【0004】すなわち、上記のウェット処理装置等によ
れば、処理液を供給した部分以外の部分に処理液を接触
させることなく、被処理基板上から除去することがで
き、省液型ノズルを実現することができる。また、被処
理基板の被処理面に沿ってウェット処理用ノズルと被処
理基板とを相対移動させる移動手段とを備えたことによ
り、被処理基板の被処理面全域を処理することができる
ものである。
【0005】さらに、このような省液型のノズルにおい
て、超音波を照射する際に適用する構成として、図13
に示すようなウエット処理用ノズルが知られている。こ
のウエット処理用ノズルは、一端に処理液100を導入
するための導入口101aを有する導入管101と、一
端にウエット処理後の処理液100を外部へ排出するた
めの排出口102aを有する排出管102とが設けら
れ、導入管101と排出管102のそれぞれの他端が連
結され、被処理基板90に対向する連結部103が形成
され、連結部103に導入管101が開口している第1
開口部101bと、排出管102が開口している第2開
口部102bが設けられたものである。上記連結部10
3と被処理基板90の間の空間には、ウエット処理を行
う処理領域105が形成されている。また、上記連結部
103には、処理領域105内の処理液100に超音波
振動を付与するための超音波振動子が設けられている。
ここでの超音波振動子は、振動板96と、振動板96の
主面の両端から立ち上がる側板97と、振動板96の主
面上に設けられた超音波振動子本体108とから構成さ
れている。例えばステンレス鋼からなる振動板96の厚
みは、1MHz程度の超音波に設定された場合に、3m
m程度に設定されている。また、排出管102の排出口
102aには減圧ポンプ(図示略)が接続されている。
【0006】また、処理液100は導入管101の導入
口101aから供給され、第1開口部101bに至る
が、排出管102の排出口102aには減圧ポンプ(図
示略)が接続されているので、減圧ポンプの吸引圧力を
制御することにより、導入管101に供給された処理液
100が第1開口部101bの大気と接触している処理
液100の圧力(処理液100の表面張力と被処理基板
90の被処理面の表面張力も含む)と大気圧との差を制
御できるようになっている。すなわち、第1開口部10
1bの大気と接触している処理液100の圧力Pw(処
理液の表面張力と基板90の被処理面の表面張力も含
む)と大気圧Paとの関係をPw≒Paとすることによ
り、第1開口部101bを通じて基板90に供給され、
基板90に接触した処理液100は、ウエット処理用ノ
ズルの外部に漏れることなく、排出管102に排出され
る。このため、このウエット処理用ノズルは、省液型で
ないタイプのノズルに比べて処理液の使用量を大幅に削
減することができる。また、図示した例のノズルでは、
被処理基板90の洗浄の際、処理領域105に処理液1
00を供給した状態で上記超音波振動子本体108によ
り振動板96にから超音波振動を付与し、処理液100
と共働して被処理基板90を洗浄する。このとき、伝播
する超音波により振動板96の温度が上昇するが、同時
に、供給されている処理液によって冷却され、振動板9
6の温度上昇は1℃程度となっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、図に示した上
記のような省液型のウエット処理用ノズルのうち超音波
を照射するタイプにおいては、使用する処理液量を減少
化した際、このウエット処理用ノズルと被処理基板90
の間の処理領域105に気泡が入ることなどにより、こ
の処理領域に処理液の存在しない部分ができることがあ
る。この処理液の充填されていない部分では、照射され
た超音波が被処理基板90から反射されてしまい、この
反射された超音波により振動板96の温度が上昇する。
特に、ステンレスからなる振動板96においては3mm
程度厚か、0.2mm程度と薄いために、この熱が超音
波振動子本体108側に伝播するとともに、振動板96
と超音波振動子本体108との接続部分が瞬間的に加熱
されてしまい、結果として、超音波振動子本体108が
振動板96から剥離したり、超音波振動子本体108の
温度が上昇し、動作不良を起こすか、または、破損して
しまう可能性があるという問題があった。
【0008】本発明は、上記の事情に鑑みてなされたも
ので、以下の目的を達成しようとするものである。 作動状態において温度上昇が起こった場合に破損可
能性を低減することの可能な超音波振動子を提供するこ
と。 ウエット処理動作中に処理領域において処理液の存
在しない領域が生じた場合でも、超音波振動子の破損防
止を図ることができるウエット処理用ノズルを提供する
こと。 ウエット処理動作中に処理領域において処理液の存
在しない領域が生じた場合でも、超音波振動子における
温度上昇の防止を図ることができるウエット処理用ノズ
ルを提供すること。 超音波振動子における動作安定性の向上を図ること
ができるウエット処理用ノズルを提供すること。 上記のウエット処理用ノズルを有するウエット処理
装置を提供すること。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の超音波振動子
は、被処理物の被処理面に対向する対向面を有する振動
部と、該振動部の主面上に設けられ前記振動部に超音波
振動を付与する超音波振動子本体と、が備えられてな
り、前記振動部が、高熱伝導体からなる高熱伝導部を有
することにより上記課題を解決した。本発明において、
前記高熱伝導部において、熱伝導率が100Wm-1-1
以上の範囲に設定されてなることが好ましく、より好ま
しくは、熱伝導率が3000Wm-1-1以上の範囲に設
定されてなることができる。また、本発明において、前
記高熱伝導部の厚み寸法が、該振動部の前記超音波振動
における半波長の整数倍、または、前記半波長の1/5
以下に設定されてなる手段を採用することもできる。ま
た、前記高熱伝導部が、すくなくとも、前記振動部の前
記対向面側、前記振動部の前記超音波振動子本体側、前
記振動部の側面側、前記超音波振動子本体の裏面側のい
ずれか一部分に設けられてなることができる。本発明に
おいては、前記振動部には、前記対向面を覆う対向面被
覆部が設けられてなることが望ましい。さらに、前記対
向面被覆部は、前記被処理物に対向する表面が前記処理
液に対する耐反応性および/または耐熱性を有するよう
構成されてなることが可能である。また、前記対向面被
覆部の厚み寸法が、該対向面被覆部の超音波振動におけ
る半波長の1/10倍または1倍に設定されてなること
がある。本発明においては、前記振動部には、該振動部
を冷却する冷却手段が設けられてなることが好ましい。
本発明においては、前記冷却手段が、前記振動部の内側
および/または外側に位置する冷却管に冷却流体を流通
する構成とされてなることができる。本発明において
は、前記冷却手段が、前記高熱伝導体に接続される放熱
部とされてなることができる。本発明のウエット処理用
ノズルは、被処理物のウエット処理のための処理液を前
記被処理物の被処理面に向けて供給する導入開口部と、
前記ウエット処理後の前記処理液の排出液を前記被処理
面から排出する排出開口部とを具備するウエット処理用
ノズルであって、前記導入開口部と前記排出開口部との
間に上記の超音波振動子が備えられてなることにより上
記課題を解決した。本発明においては、前記冷却流体
が、前記処理液とされてなる手段か、前記冷却流体が、
前記排出液とされてなる手段を採用することができる。
本発明のウエット処理装置においては、上記のウエット
処理用ノズルと、前記導入開口部と前記被処理物の被処
理面との間に処理液を導入するための処理液導入手段
と、前記排出開口部と前記被処理物の被処理面との間か
ら処理液を吸引して排出するため処理液回収手段と、被
処理物の被処理面に沿って前記ウエット処理用ノズルと
前記被処理物とを相対移動させることにより前記被処理
物の被処理面全域を処理するためのノズル・被処理物相
対移動手段とを有することにより上記課題を解決した。
【0010】本発明の超音波振動子は、前記被処理物の
被処理面に対向する対向面を有する振動部と、該振動部
の主面上に設けられ前記振動部に超音波振動を付与する
超音波振動子本体と、が備えられてなり、前記振動部
が、高熱伝導体からなる高熱伝導部を有することによ
り、振動部の温度が上昇した場合にも、高熱伝導部の熱
伝導率を大きく設定して熱を外部に逃がすことができる
ので、振動部からこの振動部と超音波振動子本体との接
続部分から超音波振動子本体に伝播する熱を低減し、超
音波振動子本体の温度が上昇することを防止して、超音
波振動子本体が破損してしまうことを防止できる。ここ
で、振動部の温度上昇の原因としては、振動部の対向面
と被処理物の被処理面との間の処理領域に処理液を供給
するウエット処理をおこなう際、この処理領域において
気泡が巻き込まれて処理液が無い領域が存在した場合
に、照射された超音波が被処理基板から反射されてしま
い、この反射された超音波により振動板の温度が上昇す
ることが考えられる。また、温度が上昇する原因として
は、
【0011】本発明の前記高熱伝導部において、熱伝導
率が100Wm-1-1以上の範囲に設定されてなること
により、処理液が部分的に無い状態となって、振動部と
超音波振動子本体との間の接着部の温度が上昇した場合
でもに、発生した熱を接着部から速やかに移動させるこ
とができ、接着部の温度が80℃以上にならない状態が
作れる。また、超音波振動子本体付近以外に充分伝播し
て超音波振動子本体の破損を防止することができ、さら
に、熱伝導率が3000Wm-1-1以上の範囲に設定さ
れてなることにより、たとえば、処理液が部分的に無い
状態となった場合の振動部と超音波振動子本体との間の
接着部の温度上昇は、数10秒間接着部の温度を80℃
以下に押さえることができる。また、発生した熱を超音
波振動子本体付近の外側にさらに充分に伝播して超音波
振動子の破損をより一層防止することができる。ここ
で、熱伝導率が100Wm-1-1未満の範囲に設定され
た場合には、振動部の対向面と被処理物との間に処理液
が部分的に無くなった際、振動部と超音波振動子本体と
の間の接着部の温度上昇抑制効果は、充分でなく、数秒
で接着力が低下し、超音波の伝播が不十分となり、ウエ
ット処理ができなくなるため好ましくない。
【0012】ここで、前記高熱伝導部において、具体的
な熱伝導率が100Wm-1-1以上の材質としては、A
u、Ag、Cu、Mg、Al、黒鉛(低温焼成)、黄銅
等の合金を適用することができ、さらに、前記高熱伝導
部において、具体的な熱伝導率が3000Wm-1-1
上の材質としては、高温焼成黒鉛、ダイヤモンドライク
カーボン、ダイヤモンド等を適用することができ、さら
に、これらの物質を含む混合物であることができる。
【0013】ここで、上記熱伝導部における熱伝導率の
条件は、それぞれ作動状態における値である。この作動
中であるということは、300K程度における熱伝導率
を示すものである。
【0014】また、本発明において、前記高熱伝導部の
厚み寸法が、該振動部の前記超音波振動における半波長
の整数倍、または、前記半波長の1/5以下に設定され
てなることにより、超音波振動子から被処理物に照射さ
れる振動エネルギーのロス分を略最小化して、超音波照
射処理を安定化することができる。ここで、高熱伝導部
の厚み寸法が該高熱伝導部の超音波振動における半波長
の整数倍または1/5倍以下の範囲に設定された場合に
は、超音波振動を高熱伝導部を介して被処理物に充分照
射することができるが、これに対して、高熱伝導部の厚
み寸法が上記の範囲以外に設定された場合には、超音波
振動子から被処理物に照射される振動エネルギーのロス
分が増大してしまい好ましくない。
【0015】ここで、高熱伝導部および/または振動部
の厚み寸法とは、超音波振動子本体から処理物へ音波を
伝播する方向、言い換えると超音波振動子本体から被処
理物の被処理面へ向かう方向、つまり、被処理物が半導
体や液晶表示装置等の基板である場合にはその法線方向
における厚み寸法を意味するものである。また、ウエッ
ト処理における処理液が無い領域とは、処理領域におい
て、上記の厚み寸法方向に処理液が充分存在しておら
ず、被処理基板表面で超音波の大半が反射してしまう状
態のことを云うものとする。
【0016】また、前記高熱伝導部が、少なくとも、前
記振動部の前記対向面側、前記振動部の前記超音波振動
子本体側、前記振動部の側面側、前記超音波振動子本体
の裏面側のいずれか一部分に設けられてなることがで
き、振動部の対向面側に設けられた場合には、被処理物
の被処理面から反射した超音波等により振動部等の温度
が上昇した場合でも、振動部のうち超音波振動子本体か
ら最も離間した部分で熱を外部に伝達して、接着部およ
び超音波振動子本体側の温度が上昇することを防止する
ことができる。また、高熱伝導部が振動部の超音波振動
子本体側に設けられた場合には、振動部の各部分からの
熱が超音波振動子本体に伝播する寸前で外部に伝播して
超音波振動子本体と振動部との接続部分および超音波振
動子本体に熱が伝わり温度上昇することを防止できる。
また、高熱伝導部が振動部の側面に設けられた場合には
振動部の熱を効率的に外部に放出・伝播あるいは放射す
ることが可能となり、超音波振動子本体に熱が伝わり温
度上昇することを防止できる。ここで、側面とは振動部
表面において超音波振動子本体が接続される主面および
対向面とを結ぶ面を意味する。また、高熱伝導部が超音
波振動子本体の表面側に設けられた場合には、振動部の
各部分からの熱が超音波振動子本体に伝播しても、超音
波振動子本体から熱を放出することができるため超音波
振動子本体自身の温度が上昇することを防止できる。こ
こで、超音波振動子本体の表面とは、超音波振動子本体
において振動部と接続された面と対向する厚み方向反対
側の面を意味する。
【0017】本発明においては、前記振動部には、前記
対向面を覆う対向面被覆部が設けられてなることによ
り、対向面に直接処理液が接触しないので、前記振動部
表面の接液部分面である対向面がウエット処理されてし
まうことがないため、振動部が処理液および超音波振動
により劣化してしまうことを低減して、振動部の寿命を
長くすることができ、さらに、振動部の成分が処理液中
に混合して被処理物表面を汚染してしまうことを防止で
きる。
【0018】さらに、前記対向面被覆部は、前記被処理
物に対向する表面が前記処理液に対する耐反応性および
/または耐熱性を有するよう構成されてなることによ
り、振動部に直接処理液が接触しない上、対向面被覆部
表面が高温で反応性を有する処理液でウエット処理され
てしまうことがないため、振動部が処理液および超音波
振動により劣化してしまうことをさらに低減し、振動部
の寿命をより長くすることができ、さらに、振動部およ
び処理面被覆部の成分が処理液中に混合して被処理物表
面を汚染してしまうことを防止できる。同時に、ウエッ
ト処理をおこなう場合に、振動部の対向面と被処理物の
被処理面との間の処理領域において、気泡が巻き込まれ
て処理液が無い領域が存在して振動部が発熱した際に、
例え処理液に接している振動部が温度上昇しても、対応
面被覆部が耐熱性を有するため、振動部が破損すること
を防止できる。
【0019】ここで、ウエット処理としては、洗滌、剥
離、現像、ウエットエッチング、メッキ、研磨等の処理
を適用することができる。このとき、振動部付近に供給
する処理液としては、洗浄処理の場合は、超純水、電解
イオン水、オゾン水、水素水、等が用いられ、剥離処理
の場合には、希NaOH、希KOH等無機アルカリや、
アミン系剥離液等が用いられ、現像処理の場合には、希
NaOH、希KOH等無機アルカリや、トリメチルアン
モニウムハイドライト希釈液等が用いられ、ウエットエ
ッチングの場合には、フッ素酸エッチング液等が用いら
れ、メッキ処理の場合には、Cu用、Ag用、Au用メ
ッキ液等が用いられ、研磨処理の場合には、SiO2
ラリー、Al23スラリー、ダイヤモンドスラリー等が
用いられる。これに対応して、対向面被覆部は、石英
や、PFA等のフッ素樹脂からなることや、用いる処理
液によっては、振動部が、対向面被覆部としての最表面
がクロム酸化物のみからなる不動態膜面のステンレス
(SUS316L等)からなることができる。また、振
動部が、酸化アルミニウムとクロム酸化物の混合膜を対
向面被覆部として表面に備えたステンレスとされること
や、処理水がオゾン水とされた場合には対向面被覆部と
しての電解研磨表面を備えたチタン等とされることがで
きる。このほかにも、対向面被覆部としては、高純度ア
ルミナ、サファイヤ、4フッ化エチレン等のフッ素樹脂
や、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、高純度
ガラス状カーボン、を適用することが可能である。
【0020】また、前記対向面被覆部の厚み寸法が、該
対向面被覆部の超音波振動における半波長の1/10以
下または1倍に設定されてなることにより、超音波振動
子本体から被処理物に照射される振動エネルギーのロス
分をほぼ最小化して、ウエット処理を安定化することが
できる。ここで、対向面被覆部の厚み寸法が該対向面被
覆部の超音波振動における半波長の1/10以下または
1倍の範囲に設定された場合には、超音波振動を対向面
被覆部を介して処理液に充分伝播させることができる
が、これに対して、対向面被覆部の厚み寸法が前記半波
長の1/10より大きく前記半波長の1倍未満の範囲お
よび半波長の1倍より大きい範囲に設定された場合に
は、超音波振動子から被処理物に照射される振動エネル
ギーのロス分が増大してしまい好ましくない。
【0021】なお、対向面被覆部の超音波振動における
半波長の1/10以下または1倍という数値は、振動部
および対向面被覆部の温度状態や、付与される超音波振
動の周波数に依って最も効率のいい状態を選択できるよ
う定義幅を有するものとされ、厳密に半波長の1/10
や、1倍の値には限るものではない。具体的には、超音
波振動子から発せられた超音波振動の該振動部内での波
長をλとしたときに、半波長の1/10以下という数値
範囲は、λ/120〜λ/20の範囲以下であることが
好ましく、より好ましくは、λ/120〜λ/60の範
囲以下とされるものである。また、半波長の1倍という
数値は、具体的には、λ/2±0.5mmの範囲とされ
ていることが好ましく、より好ましくはλ/2±0.0
5mmの範囲、さらにいは、λ/2±0.01mmの範
囲内とされることができる。このように対向面被覆部の
厚みを設定することにより、超音波振動子本体からの超
音波振動を有効に伝播させることができるので、このよ
うな優れた特性を有する超音波振動子が備えられたウエ
ット処理用ノズルを用いてウエット処理をおこなうと、
超音波振動(超音波エネルギー)が処理液に十分付与さ
れ、効率良くウエット処理をおこなうことができる。
【0022】本発明においては、前記振動部には、該振
動部を冷却する冷却手段が設けられてなることにより、
例えばウエット処理をする際に、振動部の対向面と被処
理物の被処理面との間の処理領域に気泡が入り、処理液
のない部分が生じた状態で長時間使用した場合でも、冷
却手段により振動部を冷却して振動部の温度上昇を低減
して、振動部の温度制御をおこなうことができるため、
超音波振動子本体と振動部との接続部分および超音波振
動子本体の温度上昇をさらに防止して、超音波振動子に
おける破損可能性の低減が可能であるとともに、ウエッ
ト処理における超音波照射の安定駆動を可能とすること
ができる。
【0023】本発明においては、前記冷却手段が、前記
振動部の内側および/または外側に位置する冷却管に冷
却流体を流通する構成とされてなることにより、例えば
ウエット処理をする際に、振動部の対向面と被処理物の
被処理面との間の処理領域に処理液が無い部分ができた
としても、振動部を冷却液により冷却することが可能と
なるため、振動部の温度上昇をより一層防止することが
でき、超音波振動子本体と振動部との接続部分および、
超音波振動子本体の温度上昇を防止して、超音波振動子
本体における破損可能性をさらに低減することが可能で
ある。ここで、振動部の内側に位置する冷却管とは、例
えば、振動部および/または高熱伝導部に一体として設
けられた冷却孔としての冷却管や振動部表面に設けられ
た溝部を蓋体で覆った冷却管内部に冷却流体(冷却液)
を流通可能な構造のことを意味し、また、振動部の外側
とは、振動部および/または高熱伝導部表面に沿って接
続される冷却管あるいは、振動部表面および/または高
熱伝導部表面によって覆われる溝部を有する冷却体から
なる冷却管内に冷却液を流通可能な構成を意味するもの
である。
【0024】本発明においては、前記冷却手段が、前記
高熱伝導部に接続される放熱部とされてなることによ
り、振動部の温度が上昇して高熱伝導部から熱を外部に
逃がす際に、高熱伝導部から熱をより一層効率よく外部
に逃がすことができるので、振動部からこの振動部と超
音波振動子本体との接続部分および超音波振動子本体に
伝播する熱を低減し、超音波振動子本体の温度が上昇す
ることをさらに防止して、超音波振動子が破損してしま
うことをさらに防止できる。ここで、振動部が高熱伝導
部のみで構成されてなることもできる。ができる。ま
た、放熱部は例えば振動部の主面から立ち上がる側壁部
からなるか、この側壁部に設けられた単数あるいは複数
の放熱フィンからなるものとすることができる。この側
壁部およびまたは放熱フィンは、高熱伝導部と一体とし
て構成されてもよく、また、側壁部および/または放熱
フィンが高熱伝導部よりも高い熱伝導を有する材料から
構成されることもできる。
【0025】本発明のウエット処理用ノズルは、被処理
物のウエット処理のための処理液を前記被処理物の被処
理面に向けて供給する導入開口部と、前記ウエット処理
後の前記処理液の排出液を前記被処理面から排出する排
出開口部とを具備するウエット処理用ノズルであって、
前記導入開口部と前記排出開口部との間に上記の超音波
振動子が備えられてなることにより、振動部の対向面と
被処理物の被処理面との間の処理領域に処理液を供給す
るウエット処理をおこなう際、この処理領域において気
泡が巻き込まれて処理液が無い領域が存在した場合に、
照射された超音波が被処理基板から反射されてしまい、
この反射された超音波により振動板の温度が上昇した場
合でも、高熱伝導部の熱伝導率を大きく設定して熱を外
部に逃がすことができるので、振動部からこの振動部と
超音波振動子本体との接続部分および超音波振動子本体
に伝播する熱を低減し、超音波振動子本体の温度が上昇
することを防止して、接着部の接着力の低下から超音波
振動子本体が破損してしまうことを防止できる。
【0026】本発明においては、前記冷却流体(冷却
液)が、前記処理液とされてなる手段か、前記冷却流体
(冷却液)が、前記排出液とされてなることにより、冷
却用に冷却液供給排出手段を設けることなく、処理液供
給排出手段によって冷却液の供給排出をおこない振動部
の冷却をおこなうことができるため、ウエット処理用ノ
ズルの製造コストの低減を図ることができる。さらに、
処理液を冷却液とした場合には処理液の温度制御に振動
部の冷却時の熱を利用することが可能となる。また、排
出液を冷却液とした場合には、振動部の温度状態に依存
することなく処理液を供給して、かつ、振動部の冷却を
おこなうことができる。
【0027】また、上記の超音波振動子においては、超
音波振動の周波数が、20kHz〜10MHzの範囲で
あることが好ましい。このような構成とすることによ
り、ウエット処理用ノズルに備えてウエット処理を行う
場合に実用的な超音波洗浄が可能である。
【0028】本発明のウエット処理装置においては、上
記のウエット処理用ノズルと、前記導入開口部と前記被
処理物の被処理面との間に処理液を導入するための処理
液導入手段と、前記排出開口部と前記被処理物の被処理
面との間から処理液を吸引して排出するため処理液回収
手段と、被処理物の被処理面に沿って前記ウエット処理
用ノズルと前記被処理物とを相対移動させることにより
前記被処理物の被処理面全域を処理するためのノズル・
被処理物相対移動手段とを有することにより、上記本発
明のウエット処理用ノズルの利点を有したまま被処理物
の被処理面全域を処理することができ、また、超音波ウ
エット処理を長時間安定しておこなうことができ、投入
電力に対する洗浄効率の高いウエット処理装置を提供で
きる。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る超音波振動
子、ウエット処理用ノズルおよびウエット処理装置の第
1実施形態を、図面に基づいて説明する。図1は、本実
施形態における超音波振動子を示す断面図である。図に
おいて、符号40は、本実施形態における超音波振動子
である。
【0030】本実施形態の超音波振動子40は、図1に
示すように、被処理基板(被処理物)Wの被処理面にW
1対向する対向面46Aを有する振動部46と、振動部
(振動板)46の主面上に設けられ前記振動部46に超
音波振動を付与する超音波振動子本体48と、が備えら
れてなり、振動部46と被処理基板Wの間の空間には、
ウエット処理を行う処理領域35が形成されている。
【0031】超音波振動子本体48は、PZT等の電歪
素子とされ、発振器から超音波周波電気信号を受けて超
音波振動を発生する。この超音波振動子本体48は、エ
ポキシ樹脂を主成分とする超音波振動子本体接着用等の
接着剤により振動板46に接続されている。
【0032】振動部46は、高熱伝導体からなる高熱伝
導部31を有する構成とされており、ここでは、振動板
46が高熱伝導部31と一体とされている。この高熱伝
導部31を構成する材料としては、好ましくは、熱伝導
率が100Wm-1-1以上の範囲に設定されてなる高熱
伝導体が適用され、より好ましくは、熱伝導率が300
0Wm-1-1以上の範囲に設定されてなる高熱伝導体が
採用される。ここで、高熱伝導部31の熱伝導率が10
0Wm-1-1以下の範囲に設定された場合には、処理液
2が部分的に無い状態となって、振動部46と超音波振
動子本体48との間の接着部分(接着部)の温度が上昇
した場合でも、発生した熱を接着部から速やかに移動さ
せることができ、接着部の温度が80℃以上にならない
状態が作れる。また、超音波振動子本体48付近以外に
充分伝播して超音波振動子本体48の破損を防止するこ
とができ、さらに、熱伝導率が3000Wm-1-1以上
の範囲に設定されてなることにより、たとえば、処理液
2が部分的に無い状態となった際でも、振動部46と超
音波振動子本体48との間の接着部の温度上昇は、数1
0秒間接着部の温度を80℃以下に押さえることができ
る。また、発生した熱を超音波振動子本体48付近の外
側にさらに充分に伝播して超音波振動子本体48の破損
をより一層防止することができる。ここで、高熱伝導部
31の熱伝導率が100Wm-1-1未満の範囲に設定さ
れた場合には、振動部46の対向面46Aと被処理物W
との間に処理液2が部分的に無くなった際、振動部46
と超音波振動子本体48との間の接着部の温度上昇抑制
効果は、充分でなく、数秒で接着力が低下するため、超
音波の伝播が不十分となり、ウエット処理ができなくな
ってしまう可能性があるため好ましくない。
【0033】ここで、前記高熱伝導部31において、具
体的な熱伝導率が100Wm-1-1以上の材質として
は、熱伝導率が315Wm-1-1程度のAu、427W
-1 -1程度のAg、398Wm-1-1程度のCu、1
19Wm-1-1程度の黄銅(Cu70−Zn30)を適用す
ることができ、さらに、前記高熱伝導部31において、
具体的な熱伝導率が3000Wm-1-1以上の材質とし
ては、1420Wm-1 -1〜3250Wm-1-1程度の
高温焼成黒鉛、ダイヤモンドライクカーボン、ダイヤモ
ンド等を適用することができ、さらに、これらの物質を
含む混合物であることができる。
【0034】ここで、上記熱伝導部31における熱伝導
率の条件は、それぞれ作動状態における値である。この
作動中であるということは、300K程度における熱伝
導率を示すものである。
【0035】この高熱伝導部31の厚み寸法Tが、図1
に示すように、高熱伝導部31の超音波振動における半
波長λ/2の整数倍、または、波長λの1/10以下に
設定されてなることにより、超音波振動子40から被処
理物Wに照射される振動エネルギーのロス分をほぼ最小
化して、超音波照射処理を安定化することができる。こ
こで、高熱伝導部31の厚み寸法Tが該高熱伝導部31
の超音波振動におけるλ/2の整数倍またはλ/10倍
以下の範囲に設定された場合には、超音波振動を高熱伝
導部31を介して被処理物Wに充分照射することができ
るが、これに対して、高熱伝導部31の厚み寸法Tが上
記の範囲以外に設定された場合には、超音波振動子40
から被処理物Wに照射される振動エネルギーのロス分が
増大してしまい好ましくない。具体的には、高熱伝導部
31の厚み寸法Tが、 T = nλ/2 (n=1,2,3,4,5,6,7) のように設定される。
【0036】ここで、高熱伝導部31つまり振動部46
の厚み寸法Tとは、超音波振動子本体48から処理物W
へ音波を伝播する方向、言い換えると超音波振動子本体
から被処理物の被処理面へ向かう方向、つまり、被処理
物が半導体や液晶等の基板である場合にはその法線方向
における厚み寸法を意味するものである。ここで、厚み
寸法Tは、λ/2±0.3mm、3λ/2±0.3m
m、5λ/2±0.3mm、7λ/2±0.3mmのよ
うに、各数値に対して幅を持った範囲内に設定されるこ
とが好ましい。これは、温度変化等の条件を考慮したも
のである。このように厚み寸法Tを設定することによ
り、超音波振動子本体48からの超音波振動を有効に伝
播させることができる。
【0037】また、超音波振動子本体48は、20kH
z〜10MHzの範囲の周波数の超音波振動を出力可能
なものであることがウエット処理を行う場合に実用的な
点で好ましく、特に、保持可能な処理液層の厚さの観点
から0.2MHz以上の周波数が好ましい。また、超音
波振動子本体48から発せられた超音波振動の振動部4
6内での波長λの長さは、例えば、振動部がステンレス
(SUS316L)製の場合、約0.6mm(10kH
z)から約300mm(20kHz)の範囲となり、ま
た、振動部46がCu製の場合、約0.46mm(10
MHz)から約230mmの範囲となる。
【0038】ここで、厚み寸法Tは、λ/2±0.3m
m、3λ/2±0.3mm、5λ/2±0.3mm、7
λ/2±0.3mmのように、各数値に対して幅を持っ
た範囲内に設定されることが好ましい。これは、温度変
化等の条件を考慮したものである。このように厚み寸法
Tを設定することにより、超音波振動子本体48からの
超音波振動を有効に伝播させることができ、超音波振動
子40による超音波処理をおこなうと、超音波振動(超
音波エネルギー)が被処理物Wに充分照射でき効率良く
超音波処理をおこなうことができる。
【0039】ここでの被処理基板Wの洗浄の際、処理領
域35に洗浄液(処理液)2を供給した状態で上記超音
波振動子本体48により超音波振動を付与し、洗浄液2
と共働して被処理基板Wを洗浄できる。また、本実施形
態の超音波振動子40は、超音波振動子本体48から超
音波振動が放射されると超音波振動が振動板46に伝播
されるが、振動板46の厚み寸法Tが上記の様に設定さ
れているので、伝播した超音波振動が、振動板46の主
面と反対側の対向面46A(超音波振動子本体48が設
けられた面と反対側の面)から処理領域35の洗浄液2
に効率良く放射される。
【0040】超音波振動子40の対向面46Aと、被処
理基板Wとの間の距離Hは、8mm以下で被処理基板W
と接触しない範囲がよく、好ましくは6mm以下で基板
Wと接触しない範囲、より好ましくは3mm以下で基板
Wと接触しない範囲とするのがよい。8mmを越える
と、基板Wと超音波振動子40との間に所望の洗浄液2
を満たすことが困難となり、処理が難しくなるからであ
る。
【0041】本実施形態の超音波振動子40において
は、前記振動部46が、高熱伝導体からなる高熱伝導部
30を有することにより、振動部46の温度が上昇した
場合にも、高熱伝導部31の熱伝導率を大きく設定して
熱を振動部46および超音波振動子本体48の外側に逃
がすことができるので、振動部46からこの振動部46
と超音波振動子本体48との接続部分および超音波振動
子本体48に伝播する熱を低減し、超音波振動子本体4
8の温度が上昇することを防止して、超音波振動子本体
48が破損してしまうことを防止できる。
【0042】このため、振動部46の対向面46Aと被
処理基板Wの被処理面W1との間の処理領域35に処理
液2を供給するウエット処理をおこなう際、この処理領
域35において気泡が巻き込まれて処理液2が無い領域
が存在した場合に、照射された超音波が被処理基板Wか
ら反射されてしまい、この反射された超音波により振動
板46の温度が上昇した場合にも、動部46からこの振
動部46と超音波振動子本体48との接続部分および超
音波振動子本体48の温度上昇を防止することができ
る。
【0043】また、本実施形態においては、高熱伝導部
31が、熱伝導率が上記の範囲に設定された材質の高熱
伝導体からなることにより、振動部の温度が上昇した場
合に、発生した熱を超音波振動子本体付近以外にさらに
充分伝播して超音波振動子の破損をより一層防止するこ
とができる。
【0044】具体的には、高熱伝導部31において、熱
伝導率が100Wm-1-1以上の材質として、熱伝導率
が315Wm-1-1程度のAuを適用した場合には、ス
テンレス鋼(SUS316L)の約20倍早く熱を分散
することができ、接着部や超音波振動子本体48の破損
を防止することが可能となる。また427Wm-1-1
度のAgを適用した場合には、同様に、ステンレス鋼
(SUS316L)の約28倍早く熱を分散することが
でき、398Wm-1-1程度のCuを適用した場合に
は、約26倍早く熱を分散することができ、119Wm
-1-1程度の黄銅を適用した場合には、約8倍早く熱を
分散することができる。さらに、前記高熱伝導部31に
おいて、具体的な熱伝導率が3000Wm-1-1以上の
材質として、1420Wm-1-1〜3250Wm-1-1
程度の高温焼成黒鉛、ダイヤモンドライクカーボン、ダ
イヤモンド等を適用した場合には、約95〜約220倍
早く熱を分散することができる。その結果、一部処理液
が無くなり温度が上昇しても支障がなく、処理液のある
箇所に熱が伝播して、超伝導振動子本体48の破損や、
接着部の接着力の低下を防止できる。また、その結果、
高熱伝導部の温度をモニターしていることにより処理液
の有無が確認でき、超音波振動子本体48への入力を停
止することも可能となり、信頼性の高い超音波処理装置
とすることができる。
【0045】さらに、高熱伝導部31の厚み寸法Tが、
図1に示すように、高熱伝導部31の超音波振動におけ
る半波長λ/2の整数倍、または、波長λの1/10以
下に設定されて最適化されることにより、超音波振動子
40から被処理物Wに照射される振動エネルギーのロス
分をほぼ最小化して、超音波照射処理を安定化すること
ができる。
【0046】以下、本発明に係る超音波振動子、ウエッ
ト処理用ノズルおよびウエット処理装置の第2実施形態
を、図面に基づいて説明する。 [第2の実施形態]図2は、本実施形態における超音波
振動子を示す断面図である。本実施形態において、図1
に示す第1実施形態と異なるのは対向面被覆部49の構
成に関する点であり、これ以外の対応する構成要素には
同一の符号を付してその説明を省略する。
【0047】振動部46の接液面となる対向面46Aに
は、図2に示すように、この対向面46Aを覆うように
処理液2に対する耐反応性および/または耐熱性を有す
る対向面被覆部49が設けられる。この対向面被覆部4
9は、適応される超音波振動を付加したウエット処理に
応じてその構成が異なるものとされる。
【0048】ここで、ウエット処理としては、洗滌、剥
離、現像、ウエットエッチング、メッキ、研磨等の処理
を適用することができる。このとき、振動部46付近に
供給する処理液2としては、洗浄処理の場合は、超純
水、電解イオン水、オゾン水、水素水、等が用いられ、
剥離処理の場合には、希NaOH、希KOH等無機アル
カリや、アミン系剥離液等が用いられ、現像処理の場合
には、希NaOH、希KOH等無機アルカリや、トリメ
チルアンモニウムハイドライト希釈液等が用いられ、ウ
エットエッチングの場合には、フッ素酸エッチング液等
が用いられ、メッキ処理の場合には、Cu用、Ag用、
Au用メッキ液等が用いられ、研磨処理の場合には、S
iO2 スラリー、Al23スラリー、ダイヤモンドスラ
リー等が用いられる。これに対応して、対向面被覆部4
9は、石英、高純度アルミナ、サファイヤ、PFA、4
フッ化エチレン等のフッ素樹脂や、PEEK(ポリエー
テルエーテルケトン)高純度ガラス状カーボン等、から
なることが可能である。さらに、用いる処理液2によっ
ては、対向面被覆部49が、最表面がクロム酸化物のみ
からなる不動態膜面のステンレス(SUS316L等)
からなることや、対向面被覆部49が、酸化アルミニウ
ムとクロム酸化物の混合膜を表面に備えたステンレスと
されることや、対向面被覆部49が、処理水2がオゾン
水とされた場合には電解研磨表面を備えたチタン等とさ
れることができる。
【0049】本実施形態の対向面被覆部49の厚み寸法
T1は、図2に示すように、対向面被覆部49の超音波
振動における波長λに対してλ/10以下またはλ/2
に設定されてなることにより、超音波振動子本体48か
ら被処理物Wに照射される振動エネルギーのロス分を略
最小化して、ウエット処理を安定化することができる。
具体的には、超音波振動における周波数が1MHzに設
定されるとともに、対向面被覆部49がステンレス鋼
(SUS316L)とされた場合には、その半波長λ/
2は3mm程度として設定することができ、これにより
振動板46から伝播する熱量を超音波振動子46以外の
部分に逃がす割合を増大して、超音波振動子46へ伝播
する熱量を低減することができ、接着部および超音波振
動子本体48の温度が上昇することを防止して、超音波
振動子本体48が破損してしまうことを防止できる。
【0050】対向面被覆部49の厚み寸法T1が対向面
被覆部49の超音波振動における波長λに対して、λ/
10より大きくλ/2未満の範囲およびλ/2より大き
い範囲に設定された場合には、超音波振動子本体48か
ら被処理物Wに照射される振動エネルギーのロス分が増
大してしまい好ましくない。
【0051】ここで、対向面被覆部49の厚み寸法T1
に対する、λ/10以下、λ/2倍という数値は、振動
部46および対向面被覆部49の温度状態や、付与され
る超音波振動の周波数に依って最も効率のいい状態を選
択できるよう定義幅を有するものとされ、厳密にλ/2
0や、λ/2倍の値とは限らない。具体的には、超音波
振動子本体48から発せられた超音波振動の対向面被覆
部49内での波長をλとしたときに、λ/10以下とい
う数値範囲は、λ/120〜λ/10の範囲であること
が好ましく、より好ましくは、λ/120〜λ/60の
範囲とされるものである。また、λ/2という数値は、
具体的には、λ/2±0.5mmの範囲とされているこ
とが好ましく、より好ましくはλ/2±0.05mmの
範囲、さらにいは、λ/2±0.01mmの範囲内とさ
れることができる。このように対向面被覆部49の厚み
を設定することにより、超音波振動子本体48からの超
音波振動を有効に伝播させることができるので、このよ
うな優れた特性を有する超音波振動子40が備えられた
ウエット処理用ノズルを用いてウエット処理を行うと、
超音波振動(超音波エネルギー)が処理液に十分付与さ
れ、効率良くウエット処理を行うことができる。
【0052】本実施形態の超音波振動子40において
は、上記の実施形態と同様の効果を奏することができる
とともに、対向面被覆部49が設けられており、この対
向面被覆部49が、処理液2に対する耐反応性および/
または耐熱性を有してなることにより、振動部46の対
向面46Aに直接処理液2が接触しない上、処理面被覆
部49表面がウエット処理されてしまうことがないた
め、振動部46が処理液2および超音波振動により劣化
してしまうことを低減し、振動部46の寿命をより長く
することができ、さらに、振動部46および処理面被覆
部49の成分が処理液2中に混合して被処理物Wの被処
理面W1を汚染してしまうことを防止できる。同時に、
ウエット処理をおこなった場合に、振動部46の対向面
46Aと被処理物Wの被処理面W1との間の処理領域3
5において、気泡が巻き込まれて処理液2が無い領域が
存在して振動部46が発熱した際、たとえ処理液2に接
している振動部46が温度上昇しても、高熱伝導部31
の働きにより、処理液2に接している振動部46に熱が
伝播して超音波振動子本体48が破損することを防止で
きる。
【0053】また、本実施形態では、対向面被覆部49
の厚みをλ/10以下またはλ/2とすることにより、
超音波振動子本体48からの超音波振動を有効に伝播さ
せることができるので、このような優れた特性を有する
超音波振動子40が備えられたウエット処理用ノズル1
を用いてウエット処理をおこなった場合には、超音波振
動(超音波エネルギー)が処理液に十分付与され、効率
良くウエット処理を行うことができる。さらに、振動部
46のみならず、対向面被覆部49が設けられることに
よりその厚み寸法T1分だけ振動部46の厚み寸法Tが
厚く設定された状態となるため、振動部46の対向面4
6Aと被処理物Wの被処理面W1との間の処理領域35
において、気泡が巻き込まれて処理液2が無い領域が存
在した場合に、気泡の領域において対向面被覆部49、
対向面46Aから反射した超音波により振動板46で熱
が発生しても、この対向面被覆部49から振動部46へ
伝播する熱を先ず、対向面被覆部49で発生した熱はこ
こで分散し、さらに高熱伝導部31(46)により分
散、低減して、その結果、超音波振動子本体48に伝播
する熱を低減するため、超音波振動子本体48の温度が
上昇することをより効率的に防止して、超音波振動子本
体48が破損してしまうことをより防止できるととも
に、振動板46と超音波振動子本体48との接続部分が
破損してしまい動作不良を起こすことをより効率よく防
止することができる。
【0054】以下、本発明に係る超音波振動子、ウエッ
ト処理用ノズルおよびウエット処理装置の第3実施形態
を、図面に基づいて説明する。 [第3の実施形態]図3は、本実施形態における超音波
振動子を示す断面図である。本実施形態において、図1
に示す第1実施形態と異なるのは高熱伝導部31’の構
成に関する点であり、これ以外の対応する構成要素には
同一の符号を付してその説明を省略する。
【0055】高熱伝導部31’は高熱伝導部31と略同
等の材質からなうものとされ、図3に示すように、超音
波振動子本体48の表面側に設けられている。ここで、
超音波振動子本体48の表面とは、超音波振動子本体4
8において振動部46と接続された面と対向する厚み方
向反対側の面、つまり、振動部46に対するその主面と
同じ側の面を意味する。高熱伝導部31’の厚み寸法
T’は、図3に示すように、高熱伝導部31の厚み寸法
Tと同様に、高熱伝導部31の超音波振動における半波
長λ/2の整数倍、または、波長λの1/10以下に設
定されており、具体的には、高熱伝導部31’の厚み寸
法T’が、 T’ = nλ/2 (n=1,2,3,4,5,6,
7) に設定される。
【0056】これにより、超音波振動子本体48から高
熱伝導部31に伝播される振動エネルギーを効率よく戻
して振動部46に伝播される振動エネルギーのロス分を
ほぼ最小化して、超音波照射処理を安定化することがで
きる。ここで、高熱伝導部31’の厚み寸法T’が、高
熱伝導部31’および高熱伝導部31の超音波振動にお
けるλ/2の整数倍またはλ/10倍以下の範囲に設定
された場合には、超音波振動を高熱伝導部31を介して
被処理物W側に充分照射することができるが、これに対
して、高熱伝導部31’の厚み寸法T’が上記の範囲以
外に設定された場合には、超音波振動子40から被処理
物Wに照射される振動エネルギーのロス分が増大してし
まい好ましくない。
【0057】本実施形態の超音波振動子40において
は、上記の実施形態と同様の効果を奏することができる
とともに、振動部46の各部分からの熱が超音波振動子
本体48に伝播しても、超音波振動子本体48の表裏両
面二も受けられた高熱伝導部31,31’から熱を放出
することができるため超音波振動子本体48自身の温度
が上昇することをより一層防止できる。
【0058】以下、本発明に係る超音波振動子、ウエッ
ト処理用ノズルおよびウエット処理装置の第4実施形態
を、図面に基づいて説明する。 [第4の実施形態]図4は、本実施形態における超音波
振動子を示す断面図である。本実施形態において、図1
に示す第1実施形態と異なるのは振動部46と高熱伝導
部31の構成に関する点であり、これ以外の対応する構
成要素には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0059】本実施形態の超音波振動子40は、図4に
示すように、振動部(振動板)46の全表面に高熱伝導
部が設けられた構造とされている。つまり、例えばステ
ンレス鋼からなる振動板46の超音波振動子本体48側
には高熱伝導部31が設けられ、振動板46の対向面4
6A側には高熱伝導部31aが設けられ、振動板46の
側面側には高熱伝導部31bが設けられている。ここ
で、振動板46の側面とは振動板46表面において超音
波振動子本体48が接続される主面および対向面46A
とを結ぶ面を意味する。図において、高熱伝導部31,
31a,31bをそれぞれ別体としているが、これらを
一体とすることもできる。
【0060】高熱伝導部31,31a,31bは、いず
れも同一の材質とされるか、またはそれぞれが異なる材
質からなるが、高熱伝導部31,31a,31bの材質
としては、熱伝導率が100Wm-1-1以上の範囲に設
定されてなる高熱伝導体が適用され、より好ましくは、
熱伝導率が3000Wm-1-1以上の範囲に設定されて
なる高熱伝導体が採用される。例えば、動板46の超音
波振動子本体48側および対向面46A側に設けられた
高熱伝導部31,31aとしては、熱伝導率が3000
Wm-1-1以上の範囲に設定されてなる高熱伝導体が適
用され、振動板46の側面側に設けられた高熱伝導部3
1bとしては、熱伝導率が100Wm-1-1以上の範囲
に設定されてなる高熱伝導体が適用されることができ
る。
【0061】この高熱伝導部31,31aの厚み寸法
T”は、それぞれ図1に示す厚み寸法Tと同様に、超音
波振動子本体48から発せられた超音波振動の高熱伝導
部31,31aにおける半波長λ/2の整数倍、また
は、波長λの1/10以下に設定されてなる。これによ
り、超音波振動子40から被処理物Wに照射される振動
エネルギーのロス分をほぼ最小化して、超音波照射処理
を安定化することができる。ここで、高熱伝導部31,
31aの厚み寸法T”がλ/2の整数倍またはλ/10
倍以下の範囲に設定された場合には、超音波振動を高熱
伝導部31,31aを介して被処理物Wに充分効率的に
照射することができるが、これに対して、高熱伝導部3
1,31aの厚み寸法T”が上記の範囲以外に設定され
た場合には、超音波振動子40から被処理物Wに照射さ
れる振動エネルギーのロス分が増大してしまい好ましく
ない。具体的には、高熱伝導部31,31aの厚み寸法
T”はそれぞれ、 T” = nλ/2 (n=1,2,3,4,5,6,
7) に設定される。
【0062】この振動板46の側面側に設けられた高熱
伝導部31bの厚み寸法は、超音波の振動エネルギーに
関する制約は特になく、任意の厚み寸法でよいが、T”
より厚い方が熱を早く拡散する観点より望ましい。
【0063】振動板46を構成する材料としては、高純
度ガラス状カーボン、ステンレス鋼(SUS316
L)、石英、サファイア、アルミナ等のセラミックスな
どのうちから選択されて用いられる。振動板46は、図
4に示すその厚み寸法T2が、超音波振動子本体48か
ら発せられた超音波振動の該振動板46内での波長をλ
としたときに、その半波長λ/2の整数倍に設定され
る。より詳しくは、λ/2以上7λ/2以下の範囲に設
定され、具体的には、 T2 = nλ/2 (n=1,2,3,4,5,6,
7) に設定される。ここで、厚み寸法T2は、λ/2±0.
3mm、3λ/2±0.3mm、5λ/2±0.3m
m、7λ/2±0.3mmのように、各数値に対して幅
を持った範囲内に設定されることが好ましい。これは、
温度変化等の条件を考慮したものである。このように厚
み寸法Tを設定することにより、超音波振動子本体48
からの超音波振動を有効に伝播させることができ、超音
波振動子40が備えられた洗浄用ノズルを用いてウエッ
ト処理を行うと、超音波振動(超音波エネルギー)が洗
浄液2に十分付与でき、効率良くウエット処理を行うこ
とができる。
【0064】本実施形態の超音波振動子40において
は、上記の実施形態と同様の効果を奏することができる
とともに、振動板46の超音波振動子本体48側、対向
面46A側、振動板46の側面側に、高熱伝導部31,
31a、31bが設けられているために、振動部46の
温度が上昇した場合にも、熱伝導率を大きい高熱伝導部
31により熱を振動部46および超音波振動子本体48
の外側に逃がすことができるため、超音波振動子本体4
8の温度が上昇することを防止して、超音波振動子本体
48が破損してしまうことを防止できる。
【0065】ここで、振動部46の対向面46A側に設
けられた高熱伝導部31aにより、被処理物Wの被処理
面W1から反射した超音波等により振動部46の温度が
上昇した場合でも、振動部46のうち超音波振動子本体
から最も離間した部分で熱を外部に伝達して、振動部4
6の超音波振動子本体48側における温度上昇を低減す
ることができる。また、振動部46の側面に設けられた
高熱伝導部31bにより、振動部46において対向面4
6A側から超音波振動子本体48側へ伝わる熱を効率的
に外部に放出・伝播あるいは放射することが可能となる
ため、振動部46の超音波振動子本体48側に熱が伝わ
る熱を低減し、温度上昇の低減を図ることができる。こ
のように高熱伝導部31a,31bによって、振動部4
6の温度上昇を低減した上で、振動部46の超音波振動
子本体48側に設けられた高熱伝導部31により、振動
部46の各部分からの熱が超音波振動子本体48に伝播
する寸前で外部に伝播して、超音波振動子本体48と振
動部46との接続部分および超音波振動子本体48に熱
が伝わり温度上昇することを防止できる。これらによ
り、超音波振動子本体48が破損してしまうことをより
一層防止できるとともに、超音波振動子40の安定性を
より一層向上することができる。
【0066】また、振動部46の厚み寸法T2が、振動
部46の超音波振動における半波長λ/2の1倍から7
倍の範囲に設定されてなることにより、振動部46にお
いて超音波振動を効率よく伝播することが可能となると
ともに、振動部46の厚み寸法Tを2従来より大きく設
定して、振動部46から超音波振動子本体48へ伝播す
る熱をより低減し、超音波振動子本体48の温度が上昇
することをいっそう防止して、超音波振動子本体48が
破損してしまうことをさらに防止できる。
【0067】高熱伝導部31,31aの厚み寸法T”
は、それぞれ図1に示す厚み寸法Tと同様に、高熱伝導
部31,31aの超音波振動における半波長λ/2の整
数倍、または、波長λの1/10以下に設定されてなる
ことにより、超音波振動子40から被処理物Wに照射さ
れる振動エネルギーのロス分をほぼ最小化して、超音波
照射処理を安定化することができる。
【0068】さらに、振動部46の厚み寸法T2を3λ
/2とし、高熱伝導部31,31aの厚み寸法T”をそ
れぞれλ/2、とすることにより、対向面46Aから超
音波振動子本体48までの厚み寸法を超音波振動的に5
λ/2とすることができるので、このように厚み寸法T
を設定することにより、超音波振動子本体48の安定し
た駆動と、かつ、処理領域35からウエット処理液2が
なくなっても、超音波振動子本体48における破損可能
性の低減とを最適な状態に設定することができる。
【0069】以下、本発明に係る超音波振動子、ウエッ
ト処理用ノズルおよびウエット処理装置の第5実施形態
を、図面に基づいて説明する。 [第5の実施形態]図5は、本実施形態における超音波
振動子を示す断面図である。本実施形態において、図1
に示す第1実施形態と異なるのは冷却管50の構成に関
する点であり、これ以外の対応する構成要素には同一の
符号を付してその説明を省略する。
【0070】振動部46(高熱伝導部31)には、図5
に示すように、この振動部46を冷却するための冷却手
段として、振動部31の主面上両端部側に、それぞれ冷
却流体を流通する冷却管50,50が設けられている。
【0071】この冷却管50,50は、振動部46の高
熱伝導部31と略同等の材質からなる管体とされ、その
流路方向と直行する方向の断面形状が円管とされてい
る。冷却管50は互いに平行状態として、平面視して超
音波振動子本体48の外側に図5の紙面と略垂直方向に
延在するように振動部46に密着接続されている。冷却
管50,50は、この紙面と垂直方向における振動部4
6の長さ寸法とほぼ等しい長さ寸法に設定されている。
冷却管50,50の両端は、図示しない冷却液供給排出
手段に接続され、これら、排出管22と冷却管50と減
圧ポンプとは、処理領域35から排出液(処理液)2を
吸引して排出するため処理液回収手段を構成している。
【0072】冷却管50に流通される冷却流体として
は、水、H2 水、等の冷却液、および、H2 ガス、NH
3 ガス等の冷却ガスを用いることができる。
【0073】本実施形態における超音波振動子40にお
いては、上記の実施形態と同様の効果を奏することがで
きるとともに、さらに、冷却手段として振動部46の外
側に位置する冷却管50,50に冷却流体(冷却液)を
流通する構成とされてなることにより、例えばウエット
処理をする際に、振動部46の対向面46Aと被処理物
Wの被処理面W1との間の処理領域35に処理液2が無
い部分ができて振動部46の温度が上昇した場合でも、
振動部46を冷却液により冷却することが可能となるた
め、振動部46の温度上昇をより一層防止することがで
き、超音波振動子本体48と振動部46との接続部分お
よび、超音波振動子本体48の温度上昇を防止して、超
音波振動子本体48における破損可能性をさらに低減す
ることが可能である。
【0074】また、本実施形態においては、冷却管5
0,50の内表面のように、冷却液に接触する部分に関
しては、図2に示した第2実施形態における対向面被服
部49と同質の表面コーティング、表面改質等をおこな
うことも可能である。この場合、処理液2により劣化し
てしまうことをさらに低減し、振動部46の寿命をより
長くすることができる。
【0075】なお、冷却管50を、振動部46の主面上
において、超音波振動子本体48を囲むように周回する
位置に設けることや、振動部46表面に溝部を設けて振
動部側に開口した冷却管を振動部46に接続して冷却管
の開口を振動部46表面で密閉することや、振動部46
内部に冷却液の流通する冷却孔を設けることもできる。
このように冷却孔を設けた場合、冷却液と振動部46と
の接触面積がさらに増大して、よりいっそうの冷却効果
を得ることが可能になる。
【0076】以下、本発明に係る超音波振動子、ウエッ
ト処理用ノズルおよびウエット処理装置の第6実施形態
を、図面に基づいて説明する。 [第6の実施形態]図6は、本実施形態における超音波
振動子を示す断面図である。本実施形態において、図5
に示す第5実施形態と異なるのは冷却手段として冷却管
50代わりに設けられる放熱部32の構成に関する点で
あり、これ以外の対応する構成要素には同一の符号を付
してその説明を省略する。
【0077】放熱部32は、図6に示すように、この振
動部46を冷却するための冷却手段として、振動部46
の主面上両端部側に設けられ、この振動部46の主面か
ら立ち上がる側壁部33,33と、この側壁部33,3
3上端部分に設けられた放熱フィン部(放熱部)34か
らなるものとされ、この放熱フィン部34は側壁部33
から突出する複数の放熱フィン34a,34aを有する
ものとされている。
【0078】側壁部33,33は振動部46の高熱伝導
部31と同等の材質からなるものとされており、放熱フ
ィン部34,34はこの側壁部33,33よりも高い熱
伝導を有する材料から構成されている。
【0079】本実施形態における超音波振動子40にお
いては、上記の実施形態と同様の効果を奏することがで
きるとともに、さらに、冷却手段として高熱伝導部31
に接続される放熱部34が設けられてなることにより、
振動部46の温度が上昇して高熱伝導部31から熱を外
部に逃がす際に、高熱伝導部31から熱をより一層効率
よく超音波振動子40の外部に逃がすことができるの
で、振動部46からこの振動部46と超音波振動子本体
48との接続部分および超音波振動子本体48に伝播す
る熱を低減し、超音波振動子本体48の温度が上昇する
ことをさらに防止して、超音波振動子40が破損してし
まうことをさらに防止できる。
【0080】なお、本実施形態において、より一層放熱
を促進させるために放熱フィン部34,34に送風する
ファンを設けることも可能である。また、図2に示した
実施形態と同様に、対向面46Aを覆うように処理液2
に対する耐反応性および/または耐熱性を有する対向面
被覆部49が設けることも可能である。
【0081】以下、本発明に係る超音波振動子、ウエッ
ト処理用ノズルおよびウエット処理装置の第7実施形態
を、図面に基づいて説明する。 [第7の実施形態]図7は、本実施形態における超音波
振動子を示す断面図である。本実施形態において、図4
に示す第4実施形態と異なるのは対向面被覆部49の構
成に関する点であり、これ以外の対応する構成要素には
同一の符号を付してその説明を省略する。
【0082】振動板46の対向面46A側には、図4に
示した実施形態と同様に、高熱伝導部31aが設けら
れ、この高熱伝導部31aの接液面となる対向面46A
には、図7に示すように、この対向面46Aを覆うよう
に処理液2に対する耐反応性および/または耐熱性を有
する対向面被覆部49が設けられる。この対向面被覆部
49は、図2に示した実施形態と同様に、適応される超
音波振動を付加したウエット処理に応じてその構成が異
なるものとされる。
【0083】ここで、ウエット処理としては、洗滌、剥
離、現像、ウエットエッチング、メッキ、研磨等の処理
を適用することができる。このとき、振動部46付近に
供給する処理液2としては、洗浄処理の場合は、超純
水、電解イオン水、オゾン水、水素水、等が用いられ、
剥離処理の場合には、希NaOH、希KOH等無機アル
カリや、アミン系剥離液等が用いられ、現像処理の場合
には、希NaOH、希KOH等無機アルカリや、トリメ
チルアンモニウムハイドライト希釈液等が用いられ、ウ
エットエッチングの場合には、フッ素酸エッチング液等
が用いられ、メッキ処理の場合には、Cu用、Ag用、
Au用メッキ液等が用いられ、研磨処理の場合には、S
iO2 スラリー、Al23スラリー、ダイヤモンドスラ
リー等が用いられる。これに対応して、対向面被覆部4
9は、石英、高純度アルミナ、サファイヤ、PFA、4
フッ化エチレン等のフッ素樹脂や、PEEK(ポリエー
テルエーテルケトン)高純度ガラス状カーボン等、から
なることが可能である。さらに、用いる処理液2によっ
ては、対向面被覆部49が、最表面がクロム酸化物のみ
からなる不動態膜面のステンレス(SUS316L等)
からなることや、対向面被覆部49が、酸化アルミニウ
ムとクロム酸化物の混合膜を表面に備えたステンレスと
されることや、対向面被覆部49が、処理水2がオゾン
水とされた場合には電解研磨表面を備えたチタン等とさ
れることができる。
【0084】ここで、具体的には、超音波振動子本体4
8の超音波振動の周波数が1MHzに設定された場合
に、ダイヤモンドライクカーボンとされた高熱伝導部3
1,31aの厚み方向寸法が、それぞれ10μm程度に
設定され、ジュラルミンとされた振動部46の厚み寸法
T2が、13mm程度に設定され、図4に示すように、
ステンレス鋼(SUS316L)からなる対向面被覆部
49の超音波振動における波長λに対してλ/2以下と
して3mm程度に設定されることができる。これによ
り、超音波振動子本体48から被処理物Wに照射される
振動エネルギーのロス分を略最小化して、超音波処理を
安定化するとともに、振動板46から伝播する熱量を超
音波振動子46以外の部分に逃がす割合を増大して、超
音波振動子46へ伝播する熱量を低減することができ、
超音波振動子本体48の温度が上昇することを防止し
て、超音波振動子本体48が破損してしまうことを防止
できる。
【0085】本実施形態の超音波振動子40において
は、上述の各実施形態と同様の効果を奏することができ
るとともに、対向面被覆部49が設けられており、この
対向面被覆部49が、処理液2に対する耐反応性および
/または耐熱性を有してなることにより、振動部46の
対向面46Aに直接処理液2が接触しない上、処理面被
覆部49表面がウエット処理されてしまうことがないた
め、振動部46が処理液2および超音波振動により劣化
してしまうことを低減し、振動部46の寿命をより長く
することができ、さらに、振動部46および処理面被覆
部49の成分が処理液2中に混合して被処理物Wの被処
理面W1を汚染してしまうことを防止できる。
【0086】以下、本発明に係るウエット処理用ノズル
およびウエット処理装置の第8実施形態を、図面に基づ
いて説明する。 [第8の実施形態]図8は、本実施形態におけるウエッ
ト処理用ノズルを示す下面図、図9は、図8のVIII−VI
II線に沿った断面図である。図において、符号1は、本
実施形態におけるウエット処理用ノズルである。本実施
形態の図において、上記の各実施形態の超音波振動子4
0における構成要素と略同等の構成要素には同等の符号
を付す。
【0087】本実施形態の洗浄用ノズル1は、図1,図
2に示すように、一端に洗浄液(処理液)2を導入する
ための導入口21aを有する導入通路(導入管)21と
一端に洗浄後の洗浄液(ウエット処理後の処理液の排出
液)を外部へ排出するための排出口22aを有する排出
通路(排出管)22とが設けられ、これら導入通路21
と排出通路22のそれぞれの他端が連結され、被処理基
板(被処理物)Wに対向する対向面46Aを有する連結
部23を形成するとともに、この連結部23に導入通路
21が開口している第1の開口部(導入開口部)21b
と、排出通路22が開口している第2の開口部(排出開
口部)22bが設けられたものである。このようなノズ
ルは、プッシュ・プル型ノズル(省流量型ノズル)と呼
ばれるものである。第1と第2の開口部21b,22b
は、被処理基板Wに向けて開口している。連結部23と
被処理基板Wの間の空間には、ウエット処理を行う処理
領域35が形成されている。
【0088】さらに、連結部23には、被処理基板Wが
洗浄されている間、処理領域35内の洗浄液2に超音波
振動を付与するための超音波振動子40が設けられてい
る。この超音波振動子40は、振動部46と、振動部4
6の主面上に設けられ、振動板46に超音波振動を付与
する超音波振動子本体48とが備えられてなるものであ
る。超音波振動子本体48は、PZT等の電歪素子とさ
れ、発振器から超音波周波電気信号を受けて超音波振動
を発生する。この超音波振動子本体48は、エポキシ樹
脂を主成分とする超音波振動子接着用等の接着剤により
振動板46に接続されている。振動板46を構成する材
料としては、高純度ガラス状カーボン、ステンレス鋼、
ジュラルミン、石英、サファイア、アルミナ等のセラミ
ックスなどのうちから選択されて用いられる。
【0089】また、超音波振動子本体48は、20kH
z〜10MHzの範囲の周波数の超音波振動を出力可能
なものであることがウエット処理を行う場合に実用的な
点で好ましく、特に、保持可能な処理液層の厚さの観点
から0.2MHz以上の周波数が好ましい。また、超音
波振動子本体48から発せられた超音波振動の振動部4
6内での波長λの長さは、振動部46がステンレス鋼
(SUS316L)製の場合、約0.6mm(10MH
z)から約300mm(20kHz)の範囲となる。
【0090】振動部46は、図8,図9に示すその厚み
寸法T2が、超音波振動子本体48から発せられた超音
波振動の該振動板46内での波長をλとしたときに、そ
の半波長λ/2の整数倍に設定される。具体的には、振
動部46の厚み寸法Tが、振動部46における超音波振
動の波長λに対して、 T2 = nλ/2 (n=1,2,3,4,5,6,
7) に設定される。ここで、厚み寸法T2は、λ/2±0.
3mm、3λ/2±0.3mm、5λ/2±0.3m
m、7λ/2±0.3mmのように、各数値に対して幅
を持った範囲内に設定されることができる。これは、温
度変化等の条件を考慮したものである。このように厚み
寸法T2を設定することにより、超音波振動子本体48
からの超音波振動を有効に伝播させることができ、超音
波振動子40が備えられた洗浄用ノズル1を用いてウエ
ット処理を行うと、超音波振動(超音波エネルギー)が
洗浄液2に十分付与でき、効率良くウエット処理を行う
ことができる。
【0091】振動部(振動板)46は、図9に示すよう
に、その全表面に高熱伝導部31が設けられた構造とさ
れている。つまり、例えばステンレス鋼等からなる振動
板46の超音波振動子本体48側、振動板46の対向面
46A側、および、振動板46の側面側に、それぞれ高
熱伝導部31が設けられている。ここで、振動板46の
側面とは振動板46表面において超音波振動子本体48
が接続される主面上側および対向面46A側とを結ぶ面
を意味する。図において、高熱伝導部31をそれぞれ連
続体としているが、これらを別体とすることもできる。
【0092】高熱伝導部31を構成する材質としては、
熱伝導率が100Wm-1-1以上の範囲に設定されてな
る高熱伝導体が適用され、より好ましくは、熱伝導率が
3000Wm-1-1以上の範囲に設定されてなる高熱伝
導体が採用される。例えば、振動板46の超音波振動子
本体48側および対向面46A側に設けられた高熱伝導
部31としては、熱伝導率が3000Wm-1-1以上の
範囲に設定されてなる高熱伝導体が適用され、振動板4
6の側面側に設けられた高熱伝導部31としては、熱伝
導率が100Wm-1-1以上の範囲に設定されてなる高
熱伝導体が適用されることもできる。
【0093】この高熱伝導部31の厚み寸法T”は、そ
れぞれ図1に示す厚み寸法Tと同様に、超音波振動子本
体48から発せられた超音波振動の高熱伝導部31にお
ける半波長λ/2の整数倍、または、波長λの1/10
以下に設定されてなる。これにより、超音波振動子40
から被処理物Wに照射される振動エネルギーのロス分を
ほぼ最小化して、超音波照射処理を安定化することがで
きる。ここで、高熱伝導部31の厚み寸法T”がλ/2
の整数倍またはλ/10倍以下の範囲に設定された場合
には、超音波振動を高熱伝導部31を介して被処理物W
に充分効率的に照射することができるが、これに対し
て、高熱伝導部31の厚み寸法T”が上記の範囲以外に
設定された場合には、超音波振動子40から被処理物W
に照射される振動エネルギーのロス分が増大してしまい
好ましくない。具体的には、高熱伝導部31の厚み寸法
T”はそれぞれ、 T” = nλ/2 (1,2,3〜7) に設定される。
【0094】側面側の高熱伝導部31の厚み寸法は、超
音波振動エネルギーのロスに関しての制限は特になく、
熱拡散の観点からは、振動板46を挟む高熱伝導部31
よりも厚く設定することが望ましい。
【0095】振動部46の接液面となる対向面46Aに
は、図9に示すように、この対向面46Aを覆うように
処理液2に対する耐反応性および/または耐熱性を有す
る対向面被覆部49が設けられる。この対向面被覆部4
9は、適応される超音波振動を付加したウエット処理に
応じてその構成が異なるものとされる。
【0096】ここで、ウエット処理としては、洗滌、剥
離、現像、ウエットエッチング、メッキ、研磨等の処理
を適用することができる。このとき、振動部46付近に
供給する処理液2としては、洗浄処理の場合は、超純
水、電解イオン水、オゾン水、水素水、等が用いられ、
剥離処理の場合には、希NaOH、希KOH等無機アル
カリや、アミン系剥離液等が用いられ、現像処理の場合
には、希NaOH、希KOH等無機アルカリや、トリメ
チルアンモニウムハイドライト希釈液等が用いられ、ウ
エットエッチングの場合には、フッ素酸エッチング液等
が用いられ、メッキ処理の場合には、Cu用、Ag用、
Au用メッキ液等が用いられ、研磨処理の場合には、S
iO2 スラリー、Al23スラリー、ダイヤモンドスラ
リー等が用いられる。これに対応して、対向面被覆部4
9は、石英、高純度アルミナ、サファイヤ、PFA、4
フッ化エチレン等のフッ素樹脂や、PEEK(ポリエー
テルエーテルケトン)高純度ガラス状カーボン等、から
なることが可能である。さらに、用いる処理液2によっ
ては、対向面被覆部49が、最表面がクロム酸化物のみ
からなる不動態膜面のステンレス(SUS316L等)
からなることや、対向面被覆部49が、酸化アルミニウ
ムとクロム酸化物の混合膜を表面に備えたステンレスと
されることや、対向面被覆部49が、処理水2がオゾン
水とされた場合には電解研磨表面を備えたチタン等とさ
れることができる。
【0097】本実施形態の対向面被覆部49の厚み寸法
T1は、図9に示すように、対向面被覆部49の超音波
振動における波長λに対してλ/10以下またはλ/2
に設定されてなることにより、超音波振動子本体48か
ら被処理物Wに照射される振動エネルギーのロス分を略
最小化して、ウエット処理を安定化することができる。
具体的には、超音波振動における周波数が1MHzに設
定されるとともに、対向面被覆部49がステンレス鋼
(SUS316L)とされた場合には、その半波長λ/
2は3mm程度として設定することができ、これにより
振動板46から伝播する熱量を超音波振動子46以外の
部分に逃がす割合を増大して、超音波振動子46へ伝播
する熱量を低減することができ、超音波振動子本体48
の温度が上昇することを防止して、超音波振動子本体4
8が破損してしまうことを防止できる。
【0098】対向面被覆部49の厚み寸法T1が対向面
被覆部49の超音波振動における波長λに対して、λ/
10より大きくλ/2未満の範囲およびλ/2より大き
い範囲に設定された場合には、超音波振動子本体48か
ら被処理物Wに照射される振動エネルギーのロス分が増
大してしまい好ましくない。
【0099】ここで、対向面被覆部49の厚み寸法T1
に対する、λ/20以下、λ/2倍という数値は、振動
部46および対向面被覆部49の温度状態や、付与され
る超音波振動の周波数に依って最も効率のいい状態を選
択できるよう定義幅を有するものとされ、厳密にλ/2
0や、λ/2倍の値とは限らない。具体的には、超音波
振動子本体48から発せられた超音波振動の対向面被覆
部49内での波長をλとしたときに、λ/10以下とい
う数値範囲は、λ/120〜λ/10の範囲以下である
ことが好ましく、より好ましくは、λ/120〜λ/6
0の範囲以下とされるものである。また、λ/2という
数値は、具体的には、λ/2±0.5mmの範囲とされ
ていることが好ましく、より好ましくはλ/2±0.0
5mmの範囲、さらにいは、λ/2±0.01mmの範
囲内とされることができる。このように対向面被覆部4
9の厚みを設定することにより、超音波振動子本体48
からの超音波振動を有効に伝播させることができるの
で、このような優れた特性を有する超音波振動子40が
備えられたウエット処理用ノズルを用いてウエット処理
を行うと、超音波振動(超音波エネルギー)が処理液に
十分付与され、効率良くウエット処理を行うことができ
る。
【0100】また、排出通路22側には、圧力制御部
(図示略)が設けられ、この圧力制御部(処理液回収手
段)は、被処理基板Wに接触した洗浄液2が洗浄後に排
出通路22に流れるように、第1の開口部21bの大気
と接触している洗浄液の圧力(洗浄液の表面張力と被処
理基板の被洗浄面の表面張力も含む)と大気圧との均衡
がとれるように設けられている。上記圧力制御部は、排
出口22a側に設けられた減圧ポンプにより構成されて
いる。したがって、排出通路22側の圧力制御部に減圧
ポンプを用いて、この減圧ポンプで連結部23の洗浄液
を吸引する力を制御して、第1の開口部21bの大気と
接触している洗浄液の圧力(洗浄液の表面張力と被処理
基板Wの被洗浄面の表面張力も含む)と大気圧との均衡
をとるようになっている。つまり、第1の開口部21b
の大気と接触している洗浄液の圧力Pw (洗浄液の表面
張力と基板Wの被洗浄面の表面張力も含む)と大気圧P
a との関係をPw≒ Paとすることにより、第1の開口
部21bを通じて被処理基板Wに供給され、被処理基板
Wに接触した洗浄液は、洗浄用ノズルの外部に漏れるこ
となく、排出通路22に排出される。すなわち、洗浄用
ノズルから被処理基板W上に供給した洗浄液は、被処理
基板W上の洗浄液を供給した部分(第1と第2の開口部
21b,22b)以外の部分に接触することなく、基板
W上から除去される。
【0101】ここでの被処理基板Wの洗浄の際、処理領
域35に洗浄液2を供給した状態で上記超音波振動子本
体48により超音波振動を付与し、洗浄液2と共働して
被処理基板Wを洗浄できる。また、本実施形態の洗浄用
ノズル1に備えられた超音波振動子40は、超音波振動
子本体48から超音波振動が放射されると超音波振動が
振動板46に伝播されるが、振動板46の厚み寸法Tが
上記の様に設定されているので、伝播した超音波振動
が、振動板46の主面と反対側の対向面46A(超音波
振動子本体48が設けられた面と反対側の面)から処理
領域35の洗浄液2に効率良く放射される。
【0102】洗浄用ノズル1の各開口部21b,22b
と、被処理基板Wとの間の距離Hは、8mm以下で被処
理基板Wと接触しない範囲がよく、好ましくは6mm以
下で基板Wと接触しない範囲、より好ましくは3mm以
下で基板Wと接触しない範囲とするのがよい。8mmを
越えると、基板Wと洗浄用ノズルとの間に所望の洗浄液
を満たすことが困難となり、洗浄が難しくなるからであ
る。
【0103】本実施形態の洗浄用ノズル1では、上記の
各実施形体と同様の効果を奏するとともに、振動部(振
動板)46の厚み寸法が、振動部46の超音波振動にお
ける半波長λ/2の整数倍に設定されてなる。つまり、
振動部全体の厚み寸法が、 T” + T2 + T” + T1= λ/2 + 3λ/2
+ λ/2 + λ/60 として最適化されてなることにより、振動部46の対向
面46Aと被処理物Wの被処理面W1との間の処理領域
35において、伝播した超音波振動が、振動板46の主
面と反対側の対向面46A(超音波振動子本体48が設
けられた面と反対側の面)から処理領域35の洗浄液2
に効率良く放射される。さらに、このように振動部46
全体の厚み寸法が、振動部46の超音波振動における半
波長λ/2の略5倍に設定されてなることにより、超音
波振動子本体48を安定した駆動と、かつ、処理領域3
5からウエット処理液2がなくなっても、超音波振動子
本体48における破損可能性の低減とを最適にできる。
【0104】同時に、高熱伝導部31が設けられてなる
ことにより、気泡が巻き込まれて処理液2が無い領域が
存在した際、上記気泡の領域において被処理基板Wから
反射した超音波により振動板46で熱が発生した場合
に、振動部46から超音波振動子本体48へ伝播する熱
を低減し、超音波振動子本体48の温度が上昇すること
を防止して、超音波振動子本体48が破損してしまうこ
とを防止できるとともに、振動板46と超音波振動子本
体48との接続部分が破損してしまい動作不良を起こす
ことを防止することができる。
【0105】さらに、対向面被覆部49が設けられてお
り、この対向面被覆部49が、処理液2に対する耐反応
性および/または耐熱性を有してなることにより、振動
部46の対向面46Aに直接処理液2が接触しない上、
処理面被覆部49表面がウエット処理されてしまうこと
がないため、振動部46が処理液2および超音波振動に
より劣化してしまうことを低減し、振動部46の寿命を
より長くすることができ、さらに、振動部46および処
理面被覆部49の成分が処理液2中に混合して被処理物
Wの被処理面W1を汚染してしまうことを防止できる。
同時に、ウエット処理をおこなった場合に、振動部46
の対向面46Aと被処理物Wの被処理面W1との間の処
理領域35において、気泡が巻き込まれて処理液2が無
い領域が存在して振動部46が発熱した際、たとえ処理
液2に接している振動部46が温度上昇しても、対向面
被覆部49が耐反応性および/または耐熱性を有するた
め、振動部46が破損することを防止できる。
【0106】本実施形態では、洗浄用ノズル1を被処理
基板Wの上面側(一方の被処理面側)に設けた場合につ
いて説明したが、図10に示すように被処理基板Wの下
面側にも洗浄用ノズル1aを設けてもよい。この洗浄用
ノズル1aは、連結部23に超音波振動子本体48が設
けられておらず、それ以外は先に述べた洗浄用ノズル1
と同様の構成である。
【0107】なお、本実施形態のウエット処理用ノズル
1は上記各実施形態における超音波振動子40を適応す
ることができる。また、被処理基板Wの下側にも洗浄用
ノズル1を設けてもよい。
【0108】以下、本発明に係るウエット処理用ノズル
およびウエット処理装置の第9実施形態を、図面に基づ
いて説明する。 [第9の実施形態]図11は、本実施形態における超音
波振動子、ウエット処理用ノズルを示す断面図である。
本実施形態において、図10に示す第8実施形態と異な
るのは冷却管50の構成に関する点であり、これ以外の
対応する構成要素には同一の符号を付してその説明を省
略する。
【0109】振動部46には、図11に示すように、こ
の振動部46を冷却するための冷却手段として、連結部
23における導入通路21側および排出通路22側の両
側面に、それぞれ冷却管(冷却体)50,50が設けら
れている。
【0110】この冷却管50,50は、振動部46また
は導入通路21,排出通路22等と略同等の材質からな
るものとされ、振動部46側面に対向面46Aと平行状
態、つまり、図11の紙面と略垂直方向に延在してお
り、この方向における振動部46の長さ寸法とほぼ等し
い長さ寸法に設定されている。冷却管50はその流路方
向と直行する方向の断面形状が略半円形の半割円筒であ
る冷却体50,50とされ、この冷却体50,50の開
口した部分が、振動部46の側面の高熱伝導部31表面
によって覆われるように密閉接続されている。冷却管5
0の両端は、冷却配管50aを介してそれぞれ排出口2
2aおよび図示しない減圧ポンプに接続され、これら、
排出管22と冷却管50と減圧ポンプとは、処理領域3
5から排出液(処理液)2を吸引して排出するため処理
液回収手段を構成している。
【0111】本実施形態のウエット処理用ノズル1にお
いて、処理液導入手段から導入開口部21bを介して被
処理基板W上の処理領域35に供給された洗浄液2は、
排出開口部22bから排出通路22を通り、排出口22
aから振動部46の両サイドに位置する冷却管50,5
0内部を経て、減圧ポンプにより、排出される。つま
り、冷却手段が、振動部46の外側に位置する冷却管5
0に冷却液としての排出液(処理液)2を流通する。
【0112】これにより、本実施形態のウエット処理用
ノズル1においては、上記の各実施形態と同様の効果を
奏することができるとともに、さらに、振動部46にお
ける高熱伝導部31を冷却液2により冷却することが可
能となるため、振動部46の温度上昇を防止することが
でき、処理領域35に処理液2が無い部分ができたとし
ても、振動部46を冷却液2により冷却することが可能
となるため、振動部46の温度上昇をより確実に防止す
ることができ、超音波振動子本体48と振動部46との
接続部分および、超音波振動子本体48の温度上昇を防
止して、超音波振動子40における破損可能性を低減す
ることが可能である。
【0113】また、排出液2を冷却液とすることによ
り、振動部46の冷却用として冷却液供給排出手段を特
設する必要がなく、処理液導入排出手段によって冷却液
を供給排出して冷却管50,50内部に流通させること
で振動部46の冷却をおこなうことができるため、ウエ
ット処理用ノズル1としての製造コストおよびランニン
グコストの低減を図ることができる。さらに、排出液2
を冷却液としているため、振動部46の温度状態に依存
することなく処理液2を供給して、かつ、振動部46の
冷却をおこなうことができる。
【0114】なお、本実施形態では冷却体50が接続さ
れる振動部46の側面を略平面としているが、振動部4
6および/または振動部46側面の高熱伝導部31に冷
却体50に対応した冷却溝(溝部)を設けて、この冷却
溝冷却管50で覆い、冷却液2の流通する冷却通路とし
ての断面積を増大して、冷却液の流量を増加可能とする
とともに、振動部46に対して冷却液2が接触する面積
を増大して、さらに冷却効率を向上することもできる。
【0115】また、本実施形態においては、冷却管5
0,50の内表面、振動部46側面の高熱伝導部31表
面のように、冷却液としての処理液2に接触する部分に
関しては、対向面被服部49と同質の表面コーティン
グ、表面改質等をおこなうことも可能である。また、例
客体50および冷却溝50Aの内部に冷却管として対向
面被服部49と同質の冷却内管を設けることもできる。
これらの場合、冷却管50,50の内表面、振動部46
側面の高熱伝導部31表面等が、処理液2により劣化し
てしまうことをさらに低減し、振動部46の寿命をより
長くすることができる。
【0116】なお、冷却管50を振動部46側面以外の
部分、例えば超音波振動子本体48の接続されている主
面上に位置するように設けることや、振動部46側面の
高熱伝導部31表面に溝部を設けるのではなく、振動部
46内部および/または高熱伝導部31内部に冷却液の
流通する冷却孔を設けることもできる。このように冷却
孔を設けた場合、冷却液と振動部46との接触面積がさ
らに増大して、よりいっそうの冷却効果を得ることが可
能になる。
【0117】以下、本発明に係る超音波振動子、ウエッ
ト処理用ノズルおよびウエット処理装置の第10実施形
態を、図面に基づいて説明する。 [第10の実施形態]本実施形態は、上記のいずれかの
実施形態のウエット処理用ノズルを具備した洗浄装置
(ウェット処理装置)の一例である。図12は、本実施
形態におけるウエット処理装置51の概略構成を示す図
であって、例えば被処理基板として数百mm角程度の大
型のガラス基板(以下、単に基板という)を枚葉洗浄す
るための装置である。図中符号52は洗浄部、53はス
テージ(基板保持手段)、54、55、56、89は洗
浄用ノズル、57は基板搬送ロボット、58はローダカ
セット、59はアンローダカセット、60は水素水・オ
ゾン水生成部、61は洗浄液再生部、Wはガラス基板
(被処理基板)である。
【0118】図に示すように、装置上面中央が洗浄部5
2となっており、基板Wを保持するステージ53が設け
られている。ステージ53には、基板Wの形状に合致し
た矩形の段部が設けられ、この段部上に基板Wが嵌め込
まれて、基板Wの表面とステージ53の表面が面一状態
でステージ53に保持されるようになっている。また、
段部の下方には空間部が形成され、空間部にはステージ
53の下方から基板昇降用シャフト(図示略)が突出し
ている。基板昇降用シャフトの下端にはシリンダ等のシ
ャフト駆動源(図示略)が設けられ、基板搬送ロボット
57による基板Wの受け渡しの際にシリンダの作動によ
り上記基板昇降用シャフトが上下動し、シャフトの上下
動に伴って基板Wが上昇または下降するようになってい
る。
【0119】ステージ53を挟んで対向する位置に一対
のラックベース62が設けられ、これらラックベース6
2間に洗浄用ノズル54,55,56,89が架設され
ている。洗浄用ノズルは並列配置された4本のノズルか
らなり、各洗浄用ノズル54,55,56,89が異な
る洗浄方法により洗浄を行うものとなっている。本実施
の形態の場合、これら4本のノズルは、基板にオゾンを
供給するとともに紫外線ランプ63から紫外線を照射す
ることによって主に有機物を分解除去する紫外線洗浄用
ノズル54、オゾン水を供給しつつ超音波振動子本体4
8により超音波振動を付与して洗浄するオゾン水超音波
洗浄用ノズル55、水素水を供給しつつ超音波振動子本
体48により超音波振動を付与して洗浄する水素水超音
波洗浄用ノズル56、純水を供給してリンス洗浄を行う
純水リンス洗浄用ノズル89、である。
【0120】各洗浄用ノズル54,55,56,89
は、プッシュ・プル型ノズル(省液型ノズル)と呼ばれ
るものである。また、これら4本のノズルのうちオゾン
水超音波洗浄用ノズル55と、水素水超音波洗浄用ノズ
ル56は、図1〜図11を用いて説明したいずれかの実
施形態の洗浄用ノズルと同様の構成のもの、あるいは1
本の洗浄用ノズルにつき、図1〜図11を用いて説明し
たいずれかの実施形態の洗浄用ノズルが複数設けられた
もの(図12では、1本の洗浄用ノズルにつき、導入通
路21と排出通路22との連結部23およびこの連結部
23に設けられた超音波振動子40および第1、第2の
開口部21b,22bはそれぞれ3組づつ設けられてお
り、第1と第2の開口部21b,22bはそれぞれ3組
合わせて基板Wの幅以上の長さに延びている。)であ
る。ただし、ここでは図示の都合上、超音波振動子本体
48のみを図示し、洗浄液導入部、洗浄液排出部等に区
分した図示は省略する。また、洗浄用ノズル54は、超
音波振動子本体48に代えて紫外線ランプ63が設けら
れた以外は上記実施形態の洗浄用ノズルと略同様の構成
であり、洗浄用ノズル89は、超音波振動子本体48が
設けられていない以外は、上記実施形態の洗浄用ノズル
と略同様の構成である。ただし、ここでは図示の都合
上、洗浄液導入部、洗浄液排出部等に区分した図示は省
略する。この洗浄装置51では、上記4本の洗浄ノズル
が基板Wの上方で基板Wとの間隔を一定に保ちながらラ
ックベース62に沿って順次移動することにより、基板
Wの被洗浄面全域(被処理面全域)が4種類の洗浄方法
により洗浄される構成となっている。
【0121】各洗浄用ノズルの移動手段(ノズル・被処
理物相対移動手段)としては、各ラックベース62上の
リニアガイドに沿って水平移動可能とされたスライダが
それぞれ設けられ、各スライダの上面に支柱がそれぞれ
立設され、これら支柱に各洗浄用ノズル54,55,5
6,89の両端部が固定されている。各スライダ上には
モータ等の駆動源が設置されており、各スライダがラッ
クベース62上を自走する構成となっている。そして、
装置の制御部(図示略)から供給される制御信号により
各スライダ上のモータがそれぞれ作動することによっ
て、各洗浄用ノズル54,55,56,89が個別に水
平移動する構成となっている。また、上記支柱にはシリ
ンダ(図示略)等の駆動源が設けられ、支柱が上下動す
ることにより各洗浄用ノズル54,55,56,89の
高さ、すなわち各洗浄用ノズル54,55,56,89
と基板Wとの間隔がそれぞれ調整可能となっている。
【0122】洗浄部52の側方に、水素水・オゾン水生
成部60と洗浄液再生部61とが設けられている。水素
水・オゾン水生成部60には、水素水製造装置64とオ
ゾン水製造装置65とが組み込まれている。いずれの洗
浄液も、純水中に水素ガスやオゾンガスを溶解させるこ
とによって生成することができる。そして、水素水製造
装置64で生成された水素水が、水素水供給配管66の
途中に設けられた送液ポンプ67により水素水超音波洗
浄用ノズル56に供給されるようになっている。同様
に、オゾン水製造装置65で生成されたオゾン水が、オ
ゾン水供給配管68の途中に設けられた送液ポンプ69
によりオゾン水超音波洗浄用ノズル55に供給されるよ
うになっている。なお、純水リンス洗浄用ノズル89に
は製造ライン内の純水供給用配管(図示略)から純水が
供給されるようになっている。
【0123】そして、水素水用フィルタ70を通した後
の水素水は、再生水素水供給配管76の途中に設けられ
た送液ポンプ77により水素水超音波洗浄用ノズル56
に供給されるようになっている。同様に、オゾン水用フ
ィルタ71を通した後のオゾン水は、再生オゾン水供給
配管78の途中に設けられた送液ポンプ79によりオゾ
ン水超音波洗浄用ノズル55に供給されるようになって
いる。また、水素水供給配管66と再生水素水供給配管
76は水素水超音波洗浄用ノズル56の手前で接続さ
れ、弁80によって水素水超音波洗浄用ノズル56に新
しい水素水を導入するか、再生水素水を導入するかを切
り換え可能となっている。同様に、オゾン水供給配管6
8と再生オゾン水供給配管78はオゾン水超音波洗浄用
ノズル55の手前で接続され、弁81によってオゾン水
超音波洗浄用ノズル55に新しいオゾン水を導入する
か、再生オゾン水を導入するかを切り換え可能となって
いる。なお、各フィルタ70,71を通した後の水素水
やオゾン水は、パーティクルが除去されてはいるもの
の、液中気体含有濃度が低下しているため、配管を通じ
て再度水素水製造装置64やオゾン水製造装置65に戻
し、水素ガスやオゾンガスを補充するようにしてもよ
い。
【0124】洗浄部52の側方に、ローダカセット5
8、アンローダカセット59が着脱可能に設けられてい
る。これら2つのカセット58、59は、複数枚の基板
Wが収容可能な同一の形状のものであり、ローダカセッ
ト58に洗浄前(ウエット処理前)の基板Wを収容し、
アンローダカセット59には洗浄済(ウエット処理後)
の基板Wが収容される。そして、洗浄部52とローダカ
セット58、アンローダカセット59の中間の位置に基
板搬送ロボット57が設置されている。基板搬送ロボッ
ト57はその上部に伸縮自在なリンク機構を有するアー
ム82を有し、アーム82は回転可能かつ昇降可能とな
っており、アーム82の先端部で基板Wを支持、搬送す
るようになっている。
【0125】上記構成の洗浄装置51は、例えば洗浄用
ノズル54,55,56,89と基板Wとの間隔、洗浄
用ノズルの移動速度、洗浄液の流量等、種々の洗浄条件
をオペレータが設定する他は、各部の動作が制御部によ
り制御されており、自動運転する構成になっている。し
たがって、この洗浄装置51を使用する際には、洗浄前
の基板Wをローダカセット58にセットし、オペレータ
がスタートスイッチを操作すれば、基板搬送ロボット5
7によりローダカセット58からステージ53上に基板
Wが搬送され、ステージ53上で各洗浄用ノズル54,
55,56,89により紫外線洗浄、オゾン水超音波洗
浄、水素水超音波洗浄、リンス洗浄が順次自動的に行わ
れ、洗浄後、基板搬送ロボット57によりアンローダカ
セット59に収容される。
【0126】本実施形態の洗浄装置51においては、本
発明の実施形態の洗浄用ノズル55,56と、上記のノ
ズル・被処理物相対移動手段とを備えたことにより、上
記本実施形態のウエット処理用ノズル(洗浄用ノズル)
の利点を有したまま基板Wの被洗浄面全域をウエット処
理(洗浄)することができる。
【0127】また、本実施形態の洗浄装置51は、4本
の洗浄用ノズル54,55,56,89の各々が、紫外
線洗浄、オゾン水超音波洗浄、水素水超音波洗浄、リン
ス洗浄といった異なる洗浄方法により洗浄処理する構成
であるため、本装置1台で種々の洗浄方法を実施するこ
とができる。したがって、例えば、水素水超音波洗浄、
オゾン水超音波洗浄により微細な粒径のパーティクルを
除去し、さらにリンス洗浄で基板表面に付着した洗浄液
も洗い流しながら仕上げの洗浄を行う、というように種
々の被除去物を充分に洗浄除去することができる。ま
た、本実施の形態の洗浄装置51の場合、上記の省液型
の洗浄用ノズルが備えられているため、洗浄液の使用量
を低減することができ、しかも、ノズルの下方に液溜ま
りが生じないため、高効率、高清浄度の基板洗浄を実施
することができる。したがって、半導体デバイス、液晶
表示パネル等をはじめとする各種電子機器の製造ライン
に好適な洗浄装置を実現することができる。
【0128】なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態
に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない
範囲において種々の変更を加えることが可能である。例
えば、洗浄用ノズルの形状や寸法、洗浄用ノズルの導入
管や排出管の数や設置位置等の具体的な構成等に関して
は、適宜設計変更が可能なことは勿論である。さらに、
上記実施の形態においては、本発明のノズルを洗浄用ノ
ズルに適用した例を示したが、洗浄以外のウェット処
理、例えばエッチング、レジスト除去等に本発明のノズ
ルを適用することも可能である。
【0129】
【発明の効果】本発明の超音波振動子、ウエット処理用
ノズルおよびウエット処理装置によれば、前記被処理物
の被処理面に対向する対向面を有する振動部と、該振動
部の主面上に設けられ前記振動部に超音波振動を付与す
る超音波振動子本体と、が備えられてなり、前記振動部
が、高熱伝導体からなる高熱伝導部を有することによ
り、振動部の温度が上昇した場合にも、高熱伝導部の熱
伝導率を大きく設定して熱を外部に逃がすことができる
ので、振動部からこの振動部と超音波振動子本体との接
続部分および超音波振動子本体に伝播する熱を低減し、
超音波振動子本体の温度が上昇することを防止して、超
音波振動子本体が破損してしまうことを防止できるとい
う効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る超音波振動子、ウエット処理
用ノズルおよびウエット処理装置の第1実施形態を示す
断面図である。
【図2】 本発明に係る超音波振動子、ウエット処理
用ノズルおよびウエット処理装置の第2実施形態を示す
断面図である。
【図3】 本発明に係る超音波振動子、ウエット処理
用ノズルおよびウエット処理装置の第3実施形態を示す
断面図である。
【図4】 本発明に係る超音波振動子、ウエット処理
用ノズルおよびウエット処理装置の第4実施形態を示す
断面図である。
【図5】 本発明に係る超音波振動子、ウエット処理
用ノズルおよびウエット処理装置の第5実施形態を示す
断面図である。
【図6】 本発明に係る超音波振動子、ウエット処理
用ノズルおよびウエット処理装置の第6実施形態を示す
断面図である。
【図7】 本発明に係る超音波振動子、ウエット処理
用ノズルおよびウエット処理装置の第7実施形態を示す
断面図である。
【図8】 本発明に係る超音波振動子、ウエット処理
用ノズルおよびウエット処理装置の第8実施形態を示す
平面図である。
【図9】 図8のIX−IX線に沿った断面図である。
【図10】 本発明に係る超音波振動子、ウエット処
理用ノズルおよびウエット処理装置の他の実施形態を示
す断面図である。
【図11】 本発明に係る超音波振動子、ウエット処
理用ノズルおよびウエット処理装置の第9実施形態を示
す断面図である。
【図12】 本発明のウエット処理装置における第1
0実施形態の概略構成を示す平面図である。
【図13】 従来のウエット処理用ノズルの断面図で
ある。
【符号の説明】
1・・・洗浄用ノズル(ウエット処理用ノズル) 2・・・処理液(排出液、冷却液) 21・・・導入通路(処理液導入管) 21a・・・導入口 21b・・・第1の開口部(導入開口部) 22・・・排出管(排出管) 22a・・・排出口 22b・・・第2の開口部(排出開口部) 23・・・連結部 31,31a,31b・・・高熱伝導部 35・・・処理領域 40・・・超音波振動子部分 46・・・振動板(振動部) 46A・・・対向面 48・・・超音波振動子 49・・・対向面被覆部 50・・・冷却管(冷却体) 51・・・洗浄装置(ウエット処理装置) 55,56・・・洗浄用ノズル(ウエット処理用ノズル) W・・・被処理基板(被処理物) W1・・・被処理面 T,T’,T”,T1,T2・・・厚み寸法 H…距離(対向面46A被処理基板W間)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小野 昭一 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アルプ ス電気株式会社内 Fターム(参考) 3B201 AA02 AA03 BB84 BB85 BB92 BB93 BB98 CC01 5D107 AA09 BB11 CC10 FF06

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被処理物の被処理面に対向する対向面
    を有する振動部と、 該振動部の主面上に設けられ前記振動部に超音波振動を
    付与する超音波振動子本体と、が備えられてなり、 前記振動部が、高熱伝導体からなる高熱伝導部を有する
    ことを特徴とする超音波振動子。
  2. 【請求項2】 前記高熱伝導部において、熱伝導率が
    100Wm-1-1以上の範囲に設定されてなることを特
    徴とする請求項1記載の超音波振動子。
  3. 【請求項3】 前記高熱伝導部において、熱伝導率が
    3000Wm-1-1以上の範囲に設定されてなることを
    特徴とする請求項2記載の超音波振動子。
  4. 【請求項4】 前記高熱伝導部の厚み寸法が、該振動
    部の前記超音波振動における半波長の整数倍、または、
    前記半波長の1/5以下に設定されてなることを特徴と
    する請求項1から3のいずれか記載の超音波振動子。
  5. 【請求項5】 前記高熱伝導部が、少なくとも、前記
    振動部の前記対向面側、前記振動部の前記超音波振動子
    本体側、前記振動部の側面側、前記超音波振動子本体の
    裏面側のいずれか一部分に設けられてなることを特徴と
    する請求項1記載の超音波振動子。
  6. 【請求項6】 前記振動部には、前記対向面を覆う対
    向面被覆部が設けられてなることを特徴とする請求項1
    から5のいずれか記載の超音波振動子。
  7. 【請求項7】 前記対向面被覆部は、前記被処理物に
    対向する表面が前記処理液に対する耐反応性および/ま
    たは耐熱性を有するよう構成されてなることを特徴とす
    る請求項6記載の超音波振動子。
  8. 【請求項8】 前記対向面被覆部の厚み寸法が、該対
    向面被覆部の超音波振動における半波長の1/10倍ま
    たは1倍に設定されてなることを特徴とする請求項6ま
    たは7のいずれか記載の超音波振動子。
  9. 【請求項9】 前記振動部には、該振動部を冷却する
    冷却手段が設けられてなることを特徴とする請求項1か
    ら8のいずれか記載の超音波振動子。
  10. 【請求項10】 前記冷却手段が、前記振動部の内側
    および/または外側に位置する冷却管に冷却流体を流通
    する構成とされてなることを特徴とする請求項9記載の
    超音波振動子。
  11. 【請求項11】 前記冷却手段が、前記高熱伝導体に
    接続される放熱部とされてなることを特徴とする請求項
    10記載の超音波振動子。
  12. 【請求項12】 被処理物のウエット処理のための処
    理液を前記被処理物の被処理面に向けて供給する導入開
    口部と、前記ウエット処理後の前記処理液の排出液を前
    記被処理面から排出する排出開口部とを具備するウエッ
    ト処理用ノズルであって、 前記導入開口部と前記排出開口部との間に前記請求項1
    から11のいずれか記載の超音波振動子が備えられてな
    ることを特徴とするウエット処理用ノズル。
  13. 【請求項13】 前記冷却流体が、前記処理液とされ
    てなることを特徴とする請求項12記載のウエット処理
    用ノズル。
  14. 【請求項14】 前記冷却流体が、前記排出液とされ
    てなることを特徴とする請求項13記載のウエット処理
    用ノズル。
  15. 【請求項15】 請求項12から14いずれか記載の
    ウエット処理用ノズルと、 前記導入開口部と前記被処理物の被処理面との間に処理
    液を導入するための処理液導入手段と、 前記排出開口部と前記被処理物の被処理面との間から処
    理液を吸引して排出するため処理液回収手段と、 被処理物の被処理面に沿って前記ウエット処理用ノズル
    と前記被処理物とを相対移動させることにより前記被処
    理物の被処理面全域を処理するためのノズル・被処理物
    相対移動手段とを有することを特徴とするウエット処理
    装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010029815A (ja) * 2008-07-30 2010-02-12 Hitachi Kokusai Denki Engineering:Kk 超音波洗浄装置
KR100986585B1 (ko) * 2010-03-23 2010-10-08 (주) 경일메가소닉 방열몸체를 갖는 초음파 진동자 및 그것을 구비한 초음파 세정장치
JP2013034916A (ja) * 2011-08-04 2013-02-21 Alps Electric Co Ltd 超音波洗浄装置
JP2016211034A (ja) * 2015-05-07 2016-12-15 ソマックス株式会社 金属物洗浄装置及び金属物の洗浄方法

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