JP2010256930A - ディスプレイ基板 - Google Patents
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Abstract
【課題】ディスプレイパネルの変形による破損が生じにくいディスプレイ基板を提供する。
【解決手段】以下の条件で面押しした時の応力が、110MPa未満となる性質を有することを特徴とする。
試料サイズ:40mm角
試料の支持方法:各周縁部5mmのみで支持
面押し方法:試料中央部を試料表面に対して垂直に0.5mm押圧
応力測定部位:試料中央部
【選択図】図3
【解決手段】以下の条件で面押しした時の応力が、110MPa未満となる性質を有することを特徴とする。
試料サイズ:40mm角
試料の支持方法:各周縁部5mmのみで支持
面押し方法:試料中央部を試料表面に対して垂直に0.5mm押圧
応力測定部位:試料中央部
【選択図】図3
Description
本発明は、液晶ディスプレイパネル、ELディスプレイパネル等に用いられるディスプレイ基板に関するものである。
液晶ディスプレイパネルやELディスプレイパネル等を用いたディスプレイモジュールは、薄型で軽量であるという特徴がある。この特徴を生かして、これらのディスプレイモジュールは、携帯電話やデジタルカメラ等の携帯端末機器の表示部として広く用いられている。
ディスプレイパネルを構成する基板には、板厚0.7〜1.1mm程度のガラス板が一般に用いられているが、さらなる薄肉化を目的とするガラス板も提案されている(特許文献1)。また一部には、プラスチック板も採用されている。
ところで、携帯電話やPDA等の携帯端末機器等の中には、折りたたみ式の構造を有するものがある。そのような構造を有するデバイスでは、非使用時は折りたたまれているのでディスプレイは保護されている。しかしデジタルカメラ等に使用されるディスプレイにおいては使用時、非使用時にかかわらず常にディスプレイがさらされているものがあり、これらのデバイスにおいては外部からの応力が直接加わることがある。また、携帯端末は衣服等に収納することが多く、着座時等に機器に長時間にわたって曲げ応力が加わることもある。それゆえこの種の機器では、ディスプレイパネルの変形によるガラス基板の破損が懸念される。またプラスチック基板の場合、応力が加わることによって塑性変形が起こり、表示不良が生じる可能性がある。
本発明の目的は、ディスプレイパネルの変形による破損が生じにくいディスプレイ基板を提供することである。
破損しにくいディスプレイパネルを作製するには、ディスプレイ基板の機械的強度が高いことが重要である。そして機械的強度を評価する方法として、3点曲げ試験や4点曲げ試験のような試料が破損するまで変形を加え、破壊に至った応力を測定する方法が一般的である。ところが本発明者等の知見によれば、例えば液晶ディスプレイモジュールの場合、実装されたパネルの変形(たわみ)は、パネル背面の導光板等の存在により一定量以下に制限されており、上記した従来の評価方法では、適切な評価ができていないことが明らかとなった。そして鋭意工夫を行った結果、一定量の変形が起こった時に、基板に生じる応力の大きさを機械的強度のパラメータとし、その値が特定値以下となるように基板を設計することにより、上記目的が達成できることを見いだし、本発明を提案するに至った。
即ち、本発明のディスプレイ基板は、以下の条件で面押しした時の応力が、110MPa未満となる性質を有することを特徴とする。
試料サイズ:40mm角
試料の支持方法:各周縁部5mmのみで支持
面押し方法:試料中央部を0.5mm押圧
応力測定部位:試料中央部
また本発明のディスプレイ基板は、基板の板厚が0.5mm未満、及び/又はヤング率が70GPa以下であることが望ましい。
試料の支持方法:各周縁部5mmのみで支持
面押し方法:試料中央部を0.5mm押圧
応力測定部位:試料中央部
また本発明のディスプレイ基板は、基板の板厚が0.5mm未満、及び/又はヤング率が70GPa以下であることが望ましい。
また本発明のディスプレイ基板は、ディスプレイモジュールに組み込まれるディスプレイパネルの基板に使用されるものであるが、そのディスプレイモジュールは、ディスプレイパネルとその背面側に設けられた構成部材とを有しており、ディスプレイパネルの変形が前記構成部材により規制された構造、つまりディスプレイパネルが一定量以上変形しない構造を有していることが好ましい。
また本発明のディスプレイ基板は、液晶ディスプレイパネル用基板であること望ましい。
また本発明のディスプレイ基板は、パネルサイズが20インチ以下のディスプレイパネル用基板であることが望ましい。
本発明の基板を使用すれば、ディスプレイパネルに応力が加わって変形が生じても、基板の破損を生じにくくすることができる。また基板の強度を維持しながら基板の薄肉化が可能になるため、ディスプレイパネルの重量軽減や薄肉化を達成することが可能となる。
液晶ディスプレイパネルの背面には、バックライトからの光を拡散する拡散板や導光板等が配置されているため、パネル(基板)がある程度変形するとこれらの構成部材に接触し、基板の変形が規制される。そのためディスプレイモジュールに組み込まれた基板の機械的強度を考える場合、基板の変形量が一定であるときに発生する応力の大きさが重要であり、これを評価することが重要である。
このような観点から、本発明のディスプレイ基板は、基板が一定量変化したときに発生する応力値をパラメータとして用いることで、本発明を特定している。上記応力を測定する方法について以下に詳述する。
まず、40mm角の評価用試料を用意する。基板自身が前記サイズより大きい場合は、40mm角に切り出した後に評価すればよい。また基板自身がすでに上記サイズより小さいサイズに加工されている場合には、例えば加工前の原板から40mm角に切り出して本評価に供すればよい。なお何れの場合も、基板自体の板厚や表面状態を変えることは避けなければならない。
次に、評価用試料を、中央部分が変形可能な状態で支持する。即ち、試料は、周縁部(各辺5mm幅)のみで支持され、試料中央部分(30mm角)は変形可能な状態とする。
その後、評価用試料の中央部を押圧して試料中央部を0.5mmたわませ、この時に試料中央部に発生する応力を測定する。
本発明の基板は、上記方法により測定した応力が110MPa未満、好ましくは100MPa未満、さらに好ましくは80MPa未満、最適には50MPa未満であることが望ましい。この値が小さくなれば、一定量変形したときの基板に生じる応力が小さくなり、基板が破損(ガラス等の脆性材料)或いは塑性変形(プラスチック材料)しにくくなると言える。
本発明において、基板変形により生じる応力値を低下させるには、基板の板厚を薄くしたり、ヤング率の低い材料で基板を作製すればよい。
基板の板厚が薄くなるほど、一定量変形したときの基板に生じる応力が小さくなる。具体的には0.5mm未満、0.45mm未満、0.4mm未満、0.35mm未満、0.3mm未満、0.25mm未満、最適には0.2mm未満であることが望ましい。
基板のヤング率は、70GPa以下、特に68GPa以下、さらには66GPa以下、最適には63GPa以下であることが望ましい。ヤング率は基板の材質によって決定されるものである。基板がガラスからなり、その組成が質量%で、SiO2 50〜75%、Al2O3 0〜20%、B2O3 3〜20%、アルカリ金属酸化物 0〜20%、アルカリ土類金属酸化物 0〜20%、ZnO 0〜10%の組成を有する場合、特にB2O3の増量、MgO、ZnO含有量を減量することでヤング率を効果的に低下させることが可能である。具体的には70GPa以下のヤング率を得たい場合には、質量%で、SiO2 50〜68%、Al2O3 13〜19%、B2O3 3〜15%、MgO 0〜15、CaO 0〜15、SrO 0〜15、ZnO 0〜10%の組成を有するガラスを使用することが好ましい。また68Gpa以下のヤング率を得たい場合には質量%で、SiO2 53〜70%、Al2O3 12〜18%、B2O3 5〜18%、MgO 0〜12、CaO 0〜12、SrO 0〜12、ZnO 0〜7%の組成を有するガラスを使用することが好ましい。さらに、66Gpa以下のヤング率を得たい場合にはSiO2 55〜70%、Al2O3 10〜17%、B2O3 7〜20%、MgO 0〜10、CaO 0〜10、SrO 0〜10、ZnO 0〜5%の組成を有するガラスを使用することが好ましい。なお基板がアクティブマトリクス駆動のTFTLCDや有機EL等のデバイスに用いられる場合は、アルカリ金属酸化物を実質的に含有しないことが望ましいが、それ以外のデバイスの場合ではアルカリ金属酸化物を含有することができる。また基板材質は、ガラスに限られるものではなく、プラスチックであっても差し支えない。
また本発明の基板が携帯電話などの端末に用いられることを考慮すると、基板の密度は2.5g/cm3未満であることが好ましい。より好ましくは2.45g/cm3未満、更に好ましくは2.40g/cm3未満、最も好ましくは2.35g/cm3未満である。
また本発明の基板がディスプレイ用途で用いられることから、基板の透過率が、波長400nm、500nm、600nm及び700nmにおいて、何れも88%以上、特に89%以上、さらには90%以上、最適には91%以上であることが望ましい。さらには、TFT−LCDの製造工程中で高温にさらされた時に、微小な寸法変化を起こす恐れがあるので、耐熱性の指標であるガラス転移温度で200℃以上、好ましくは250℃以上、更に好ましくは300℃以上、最も好ましくは400℃以上であることが望ましい。
また本発明のディスプレイ基板は、小型基板、具体的には20インチ以下、特に10インチ以下(PDA用途、携帯電話用途、デジタルカメラ用途等)、さらには5インチ以下(携帯電話用途、デジタルカメラ用途等)の小型ディスプレイの基板である場合に顕著な効果を奏する。つまり一定量の変形が生じた場合、基板サイズが小さいほど、基板サイズに対するたわみ量の割合が大きくなるため、生じる応力が大きくなり、破壊が生じやすくなるためである。
表1は、本発明の実施例(試料No.1〜12)及び従来例(試料No.13)を示すものである。
表中の各ガラス試料は次のように作製した。まず定められた割合に原料を調合したバッチを白金坩堝に入れ、1650℃で24時間溶融し、その後カ−ボン板上に流しだし板状に成形した。成形直後のガラスを750℃に保持したアニーラーに入れ、室温まで放冷した。
放冷後の板状ガラスを以下のスケジュールでアニールを施した(図1)。
(1)室温から762℃まで5℃/分の速度で昇温
(2)762℃で30分間保持
(3)582℃まで3℃/分の速度で降温
(4)室温まで10℃/分の速度で降温
このようにして準備した板状ガラスを用いて評価用試料を作製し、密度、ガラス転移温度、透過率、ヤング率及び面押し時の応力を測定した。
(2)762℃で30分間保持
(3)582℃まで3℃/分の速度で降温
(4)室温まで10℃/分の速度で降温
このようにして準備した板状ガラスを用いて評価用試料を作製し、密度、ガラス転移温度、透過率、ヤング率及び面押し時の応力を測定した。
密度は、周知のアルキメデス法によって測定した。
ガラス転移温度は、ASTM C336−71の方法に基づいて測定した。
透過率は40mm×40mm×0.3mmの試料を作製し、UV−3100PC(島津製作所製)を用い、スリット幅:2.0nmの条件において各波長の透過率を測定した。
ヤング率は、20mm×40mm×2mmの試料を作製し共振法により測定した。
面押し時の応力は次のようにして評価した。
まず上記板状ガラスから、40mm×40mmの大きさに評価用試料を切り出し、所定の板厚に加工し、鏡面研磨して評価用試料1を作製した。また試料載置部分に30mm×30mmの開口部を有するステンレス製治具4を用意した。
次に、試料表面をエタノールで洗浄した後、瞬間接着剤(CN(汎用) 東京測器研究所製)を歪ゲージ(BFLA−5−3 東京測器研究所製)2に1滴、滴下し、試料1中央部に2分間押し付けて接着した。なお押し付けは、ポリエチレン製のシート上から行った。その際、歪ゲージ2の辺方向と試料1の辺が平行となるよう留意した。(図2参照)
歪ゲージ2を取り付けて室温、大気中で30分以上放置した後、歪ゲージ2のコード3を前記治具4の開口部に通してデータロガー(TDS−601 東京測器研究所)に接続した。続いて歪みゲージ2接着面が下側となるようにして試料1を治具4上に載置した。このとき治具4の開口部の四辺と試料1の四辺がそれぞれ平行になり、かつ試料1周縁部が各5mm幅で治具4上面に支持されるよう試料1を載置した。そしてこの時点での歪度を0とした。
続いてマイクロメーター5を、その先端(R=3.6mmの球面形状)が試料1中央にくるように設置し、マイクロメーター5先端が試料1に接触するまで接近させ、その時の目盛りを読み取った。さらに読み取った値からマイクロメーター5の目盛りを0.5mm進めた。即ち試料1を0.5mmたわませた。
このようにして0.5mmたわませた試料1の歪度を、歪ゲージ2にて測定し、この値にヤング率をかけることによって応力を算出した。
表中のヤング率は、20mm×40mm×2mmの試料を作製し共振法により測定した。密度は、周知のアルキメデス法によって測定した。
表から明らかなように、No.1〜12の試料は、面押し時の応力が110MPa未満と小さい。一方、従来例であるNo.13の試料は、面押し時の応力が161MPaであった。
次に同じ組成を有するNo.1(実施例)及びNo.13(従来例)に関して以下の方法で破壊確率を求めた。
まず試料No.1、No.13について、次に示す条件で2軸曲げ試験(リングオンリング試験)を行った。
使用装置:島津製オートグラフ
支持円直径:2.5cm
負荷円直径:1.25cm
ロードスピード:1mm/分
支持円直径:2.5cm
負荷円直径:1.25cm
ロードスピード:1mm/分
得られた破壊荷重を基に破壊応力を算出し、横軸に破壊応力[MPa]の対数、縦軸に平均値ランク法で求めた破壊確率をF[%]としてln(ln(1/(1−F))をプロットし、試料No.1、No.13のワイブルプロットをそれぞれ作成した。さらに実施例1で求めた試料No.1及びNo.13の面押し時の応力を各ワイブルプロットの近似曲線に代入し、破壊確率を求めた。
その結果、No.1の破壊確率(6×10−3%)は、No.13のそれ(33×10−3%)の5分の1以下であり、破壊確率が極端に小さくなっていることが理解できる。
本発明は、液晶ディスプレイやELディスプレイの基板としての使用のみならず、固体撮像素子のカバーガラス等にも使用できる。
1 試料
2 歪ゲージ
3 歪ゲージのコード
4 治具
5 マイクロメーター
2 歪ゲージ
3 歪ゲージのコード
4 治具
5 マイクロメーター
Claims (6)
- 以下の条件で面押しした時の応力が、110MPa未満となる性質を有することを特徴とするディスプレイ基板。
試料サイズ:40mm角
試料の支持方法:各周縁部5mmのみで支持
面押し方法:試料中央部を試料表面に対して垂直に0.5mm押圧
応力測定部位:試料中央部 - 基板の板厚が0.5mm未満であることを特徴とする請求項1のディスプレイ基板。
- ヤング率が70GPa以下の材料からなることを特徴とする請求項1のディスプレイ基板。
- ディスプレイモジュールに組み込まれるディスプレイパネルの基板であって、前記ディスプレイモジュールが、ディスプレイパネルと前記ディスプレイパネルの背面側に設けられた構成部材とを有し、ディスプレイパネルの変形が前記構成部材により規制され、一定量以上変形しない構造を有していることを特徴とする請求項1のディスプレイ基板。
- 液晶ディスプレイパネル用基板であることを特徴とする請求項1のディスプレイ基板。
- パネルサイズが20インチ以下のディスプレイパネル用基板であることを特徴とする請求項1のディスプレイ基板。
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