JP4076459B2 - バスバー構成板及びこれを用いた回路構成体の製造方法 - Google Patents

バスバー構成板及びこれを用いた回路構成体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数本のバスバーによって電力回路が構成される回路構成体を製造するための技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両に組み込まれる電力回路を構築する回路構成体として、バスバー基板を備えた電気接続箱がよく知られている。前記バスバー基板は、バスバーと絶縁板とが交互に積層されたもので、共通の車載電源から各電装品に電力を分配するための配電回路を形成しており、当該バスバー基板の適当な箇所にヒューズやリレースイッチが組み込まれるようになっている。
【0003】
さらに近年は、かかる電気接続箱をより簡素化、薄型化した回路構成体の開発が進められている。
【0004】
例えば下記特許文献1には、電力回路(同文献では配電回路)を構成するバスバーが略同一平面上に並べて配置され、これらのバスバーが樹脂モールドで一体化されるとともに、その適当な部位にFET等の半導体スイッチング素子が実装された回路構成体(同文献ではパワーディストリビュータ)が開示されている。この回路構成体は、例えば、前記バスバー同士がつながって一体化された形状のバスバー構成板を単一の金属板から打ち抜き、これを樹脂モールドした後、バスバー相互のつなぎ部分を適当に切り離すという方法によって製造することが可能となっている。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−268785号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前記特許文献1に記載された回路構成体において、そのバスバーにより構築される電力回路は、全ての車両に共通して用いられるのではなく、例えば車種やグレード、車両の仕向地によって適宜回路変更がなされるのが一般的である。その場合、当該回路変更ごとに異なる配列パターンのバスバー構成板を製造しなければならない。従って、当該電力回路の種類が増えるほど、必要な製造設備が増大し、また量産性が低下して、コスト削減が妨げられることになる。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑み、互いに異なる電力回路を構築する複数種の回路構成体を効率良く製造する技術の提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための手段として、本発明は、複数本のバスバーが電力回路を構築する配置で略同一平面上に並べられ、かつ、これらのバスバー同士がつながって全体が一体化された形状をもつバスバー構成板であって、前記バスバー同士を切り離す箇所の選択によって複数種の電力回路が構築される全体形状を有し、そのバスバーにより構築される電力回路の動作を制御する制御回路基板が接着される基板接着領域が当該バスバー構成板の中央域に設定されるとともに、この基板接着領域の幅方向両外側に前記バスバー同士のつなぎ部分がはみ出す形状を有するものである。
【0009】
このバスバー構成板によれば、当該構成板に含まれるバスバー同士を切り離す箇所の選択によって、最終的に構築される電力回路の種類を変えることができる。すなわち、単一種のバスバー構成板をベースにしてその適当な箇所を切り離すことにより複数種の電力回路を選択的に構築することが可能であり、そのため、製造設備を大幅に増やすことなく、複数種の回路構成体の量産が可能である。
【0010】
具体的には、当該バスバー構成板の特定箇所に前記電力回路中に介在する複数のスイッチング素子を実装するための実装箇所が設定されるとともに、前記バスバー同士を切り離す箇所の選択によって、前記実装箇所に実装される複数のスイッチング素子が互いに並列に配される回路と、前記実装箇所に実装される複数のスイッチング素子が互いに直列に配される回路とが選択的に構築されるように全体形状が設定されているものが、好適である。この構成によれば、同一種のバスバー構成板を用いながら、その切り離し箇所を選択するだけで、複数のスイッチング素子が直列に配される回路と、複数のスイッチング素子が並列に配される回路とを選択的に構築することが可能になる。
【0011】
本発明に係るバスバー構成板はそのバスバーにより構築される電力回路の動作を制御する制御回路基板と貼り合わせることによって、最終的に得られる回路構成体全体の簡素化、薄型化をさらに促進することが可能である。しかも、そのバスバーにより構築される電力回路の動作を制御する制御回路基板が接着される基板接着領域が当該バスバー構成板の中央域に設定されるとともに、この基板接着領域の幅方向両外側に前記バスバー同士のつなぎ部分がはみ出す形状を有するので、当該接着及びバスバー同士の切り離しを効率良く行うことが可能になる。
【0012】
具体的に、複数本のバスバーが電力回路を構築する配置で略同一平面上に並べられ、かつ、これらのバスバー同士がつながって全体が一体化された形状をもつバスバー構成板であって、前記バスバー同士を切り離す箇所の選択によって複数種の電力回路が構築される全体形状を有し、そのバスバーにより構築される電力回路の動作を制御する制御回路基板が接着される基板接着領域が特定箇所に設定されるとともに、この基板接着領域の外側に前記バスバー同士のつなぎ部分が位置する形状を有するバスバー構成板を製造する工程と、当該バスバー構成板の基板接着領域に当該バスバー構成板に含まれるバスバーによって構築される電力回路の動作を制御する制御回路基板を接着する接着工程と、この接着工程後に特定のバスバー同士を切り離して電力回路を形成する切り離し工程とを含む方法によれば、複数本のバスバーを制御回路基板に一度に接着して製造の効率化を図りながら、その後の切り離し工程において適当な切り離し箇所を選定することにより、所望の電力回路を得ることができる。
【0013】
前記バスバー構成板を製造する工程としては、例えば当該バスバー構成板を単一の金属板から打ち抜く工程を含むことにより、その製造を効率良く行うことができる。
【0014】
また、前記接着工程後、前記バスバー構成板に含まれる所定のバスバーと前記制御回路基板との双方にスイッチング素子を実装することにより、当該スイッチング素子が前記電力回路に含まれ、かつ、前記制御回路基板に接続された回路を容易に構築することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の好ましい実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下に示されるバスバー構成板10は、車両等に搭載される共通の電源から供給される電力を複数の電気的負荷に分配する配電回路を構成するためのものであるが、本発明はこれに限らず、複数本のバスバーが略平面上に並べられることにより電力回路を構築する回路構成体の製造について広く適用が可能なものである。
【0016】
図1に示すバスバー構成板10は、矩形状の外枠16を有し、その内側領域に、入力端子を構成する複数枚の入力用バスバー11と、出力端子を構成する複数枚の出力用バスバー12と、複数本の信号入力用バスバー14とを含む多数のバスバーが所定のパターンで配列されている。特定のバスバーは小幅のつなぎ部分15によって前記外枠16とつながっており、また隣接するバスバー同士も適当な形状のつなぎ部分15を介して相互つながって全体が一体化された形状となっている。そして、当該つなぎ部分15の特定箇所を切断することにより、前記配電回路が構築されるようになっている。
【0017】
なお、図において、入力用バスバー11の外側端部11a、出力用バスバー12aの外側端部、及び信号入力用バスバー14の外側端部14aは、それぞれ前記外枠16の内側縁と隣接しているが、当該外枠16とはつながっていない自由端部となっている。この外枠16は省略可能であるが、当該外枠16に適当なバスバーをつなげておくことにより、バスバー構成板10全体の剛性が向上し、その取扱い(例えば後述の接着工程での取扱い)がより容易になる。
【0018】
このバスバー構成板10の幅方向(図1では上下方向)の中央域には、後述の制御回路基板20が接着される矩形状の基板接着領域18が設定されている。そして、この基板接着領域18の幅方向両外側に全てのつなぎ部分15がはみ出すように、当該基板接着領域18とつなぎ部分15との相対位置が設定されている。
【0019】
さらに、このバスバー構成板10では、通常の入力用バスバー11及び出力用バスバー12に加え、つなぎ部分の切り離しの有無によって異なる電力回路部分を構築する複数本(図例では4本)の入力用バスバー11B,11C,11D,11E及び出力用バスバー12B,12C,12D,12Eが含まれている。
【0020】
具体的に、a)出力用バスバー12Bと入力用バスバー11Cとのつなぎ部分15A、b)出力用バスバー12D,12E同士のつなぎ部分15B、c)入力用バスバー11D,11E同士のつなぎ部分15Cは、求められる電力回路の構成によって切り離しの有無が選択されるものとなっており、これらのつなぎ部分15A,15B,15Cの切り離しの有無の組み合わせによって、図2(a)(b)(c)にそれぞれ示される3パターンの電力回路が選択的に構築できるようになっている。
【0021】
当該各パターンについて説明すると、まず図2(a)に示すパターンは、電力回路中に含まれるスイッチング素子として、▲1▼2個の第1VSC(自動車安定制御)用FET30V1が互いに並列状態で入力用バスバー11Bと出力用バスバー12Bの間に介設され、▲2▼2個の第2VSC用FET30V2が互いに並列状態で入力用バスバー11Cと出力用バスバー12Cの間に介設され、▲3▼2個のファン用FET30Fが入力用バスバー11Dと出力用バスバー12Dとの間及び入力用バスバー11Eと出力用バスバー12Eとの間にそれぞれ介設され、さらに、前記つなぎ部分15A,15B,15Cが全て切り離されずにバスバー相互の接続状態が保たれたものであり、このパターンによって図3に示す電力回路が構築される。
【0022】
これら図2(a)及び図3に示される電力回路では、前記入力用バスバー11Bの端部11bが図略の電源(例えば車載バッテリー)に接続されるVSC用入力端子VMIを構成し、前記出力用バスバー12Cの端部12cがVSC用モータVMに接続されるVSC用出力端子VMOを構成し、かつ、両端子VMI,VMOの間に2つの第1VSC用FET30V1及び2つの第2VSC用FET30V2が介在している。第1VSC用FET30V1同士及び第2VSC用FET30V2同士はそれぞれ容量確保のために相互並列に配置されているが、各第1VSC用FET30V1はいずれかの第2VSC用FET30V2が故障したときに回路を緊急遮断するためのフェールセーフ用として当該第2VSC用FET30V2の上流側に当該FET30V2と直列に配されている。
【0023】
また、前記入力用バスバー11Dの端部11dが図略の電源に接続されるファン用入力端子FIを構成し、前記出力用バスバー12Dの端部12dがファンコントローラFCに接続されるファン用出力端子FOを構成し、かつ、両端子FI,FOの間に2つのファン用FET30Fが相互並列に配置されている。そして、前記電源から両ファン用FET30Fを介して前記ファンコントローラFCに供給されることにより、ラジエータ内に配置された2つのファンのモータFM1,FM2の駆動が統括制御されるようになっている。
【0024】
一方、前記図2(b)に示すパターンは、電力回路中に含まれるスイッチング素子として、▲1▼ABS(アンチロックブレーキシステム)モータ用FET30AMが入力用バスバー11Bと出力用バスバー12Bの間に介設され、▲2▼ABSソレノイド用FET30ASが入力用バスバー11Cと出力用バスバー12Cの間に介設され、▲3▼第1ファン用FET30F1が入力用バスバー11Dと出力用バスバー12Dとの間に介設され、▲4▼第2ファン用FET30F2が入力用バスバー11Eと出力用バスバー12Eとの間に介設され、さらに、前記つなぎ部分15A,15B,15Cが全て切断されてバスバー相互の接続が完全に切り離されたものであり、このパターンによって図4に示す電力回路が構築される。
【0025】
これら図2(b)及び図4に示される電力回路では、前記入力用バスバー11Bの端部11bが図略の電源に接続されるABSモータ用入力端子BMIを構成し、前記出力用バスバー12Bの端部12bがABS用モータAMに接続されるABSモータ用出力端子BMOを構成し、かつ、両端子BMI,BMOの間にABSモータ用FET30AMが介在している。同様に、前記入力用バスバー11Cの端部11cが図略の電源に接続されるABSソレノイド用入力端子BSIを構成し、前記出力用バスバー12Cの端部12cがABS用ソレノイドASに接続されるABSソレノイド用出力端子BSOを構成し、かつ、両端子BSI,BSOの間にABSソレノイド用FET30ASが介在している。
【0026】
また、前記入力用バスバー11Dの端部11dが図略の電源に接続される第1ファン用入力端子F1Iを構成し、前記出力用バスバー12Dの端部12dが第1ファンのモータFM1に接続される第1ファン用出力端子F1Oを構成し、かつ、両端子F1I,F1Oの間に第1ファン用FET30F1が介在している。同様に、前記入力用バスバー11Eの端部11eが図略の電源に接続される第2ファン用入力端子F2Iを構成し、前記出力用バスバー12Eの端部12eが第2ファンのモータFM2に接続される第2ファン用出力端子F2Oを構成し、かつ、両端子F2I,F2Oの間に第2ファン用FET30F2が介在している。
【0027】
なお、図4においてRSは、前記両モータFM1,FM2を相互独立状態と直列接続状態とに切換えるためのリレースイッチである。
【0028】
このように、前記図2(b)及び図4に示す電力回路は、ブレーキ制御やファン駆動制御を個別的かつハード的に行うものであるのに対し、図2(a)及び図3に示す電力回路は、前記各制御を統括的かつソフト的に行うものであり、前者の電力回路よりもグレードの高いものとなっている。
【0029】
図2(c)は、前記つなぎ部分15A,15B,15Cのうちつなぎ部分15Aのみを切断してつなぎ部分15B,15Cは切り離さないようにしたパターンであり、そのパターンによって前記図3に示す回路と図4に示す回路とが折衷された回路が構築可能となっている。すなわち、図2(c)のパターンによれば、同図(b)に示すパターンと同様、電源とABS用モータAM及びABS用ソレノイドASとの間にそれぞれABSモータ用FET30AM及びABSソレノイド用FET30ASが介在する配電回路が構築される一方、同図(a)に示すパターンと同様に、電源と各ファン用モータFM1,FM2との間にそれぞれファン用FET30F1,30F2が個別に介在する配電回路が構築される。
【0030】
以上のように、図1に示したバスバー構成板10によれば、各つなぎ部分15A,15B,15Cを切断するか否かの選択のみで、複数種の電力回路を選択的に構築することが可能であるため、その製造設備の増大を避け、かつ、高い量産性を維持することができる。
【0031】
具体的に、このバスバー構成板10は、例えば単一の金属板を前記図1に示す全体形状に対応した形状をもつプレス装置で打ち抜くことにより、簡単に形成することが可能である。
【0032】
そして、1)このバスバー構成板10を製造する工程を行った後、例えば次の各工程を経ることにより、前記配電回路が構築された回路構成体を容易に得ることが可能になる。
【0033】
なお、以下の工程の説明は図5〜図12の記載を参照しながら行われるが、これらの図は当該工程の概略を示すためのものであり、当該図面に示されるバスバー構成板10の形状の詳細は必ずしも前記図1に示したバスバー構成板10の形状の詳細と一致するものではない。
【0034】
2)接着工程
前記バスバー構成板10の中央の基板接着領域18に制御回路基板20の一方の面を接着して図5の状態とする。
【0035】
この制御回路基板20は、後述のように前記バスバーで構成される電力回路中に設けられるFET30のスイッチング動作を制御する制御回路を含むもので、例えば通常のプリント回路基板(絶縁基板に制御回路を構成する導体がプリント配線されたもの)によって構成することが可能である。図例では、全体の薄型化及び防水性向上をさらに促進すべく、非常に厚みの小さい(例えば0.3mm)シート状の制御回路基板20が用いられ、かつ、この制御回路基板20の適所には複数の貫通孔22が設けられている。この貫通孔22は、前記FET30をバスバー上に実装するためのものであり、その詳細は後述する。
【0036】
前記制御回路基板20の外形は、バスバー構成板10の外形よりも小さくし、前記基板接着領域18に収まるように、特に基板左右幅がバスバー構成板10よりも十分小さくなるようにしておく。この制御回路基板を前記基板接着領域18に接着することにより、当該バスバー構成板20から左外側に入力用バスバー11の端部11a及び信号入力用バスバー14の端部14aが突出し、右外側に出力用バスバー12の端部12aが突出するとともに、全てのつなぎ部分15が制御回路基板20の外側に露出する状態となる(図5)。
【0037】
この制御回路基板20をバスバー構成板10に接着するには、例えば、当該制御回路基板20の裏面またはバスバー構成板の上面に絶縁性接着剤を印刷で塗布し、この接着剤によって制御回路基板20と各バスバーとの間に絶縁層を形成する方法が有効である。ここで、制御回路基板20がスルーホール等の電気接続部位を含む場合には、当該部位に前記絶縁性接着剤が付着しないようにする。
【0038】
3)実装工程
前記制御回路基板20に設けられている貫通孔22を利用して、当該制御回路基板20とバスバー構成板10の双方に半導体スイッチング素子としてFET30を実装する。このFET30には、例えば前記図3に示す電力回路を構築する場合には同図のVSC用FET30V1,30V2及びファン用FET30Fが含まれ、例えば前記図4に示す電力回路を構築する場合には同図のABS用FET30AM,30AS及びファン用FET30F1,30F2が含まれることになる。
【0039】
各FET30は、例えば図7に示すように、略直方体状の本体32と、少なくとも3つの端子(図略のドレイン端子、ソース端子34、及びゲート端子36)を含む。当該端子のうち、ドレイン端子は前記本体32の裏面に設けられ、ソース端子34及びゲート端子36は本体32の側面から突出して下方に延出されている。
【0040】
このFET30に対応して、制御回路基板20の各貫通孔22には、前記FET30の本体32が挿通可能な矩形状部分22aと、この矩形状部分22aから所定方向に延びて前記FET30のソース端子34が挿通可能な形状をもつ延出部分22bとを含ませる。そして、前記矩形状部分22aを通じてFET本体32の裏面におけるドレイン端子をバスバー構成板10における入力用バスバー11の上面に直接接触させて当該バスバー11上にFET本体32を実装し、前記延出部分22bを通じてFET30のソース端子34を出力用バスバー12に接続し、FET30のゲート端子36を制御回路基板20上の適当な導体パターンに接続する。
【0041】
この実装工程は、例えば各貫通孔22内に印刷等で溶融はんだを塗布し、その上にFET30を載せるだけで簡単に行うことが可能である。
【0042】
なお、この実装工程を行うに当たっては、予め、図7に示すようにソース端子34とゲート端子36との間に制御回路基板20の厚みと略同等の段差tを与えておくことが、より好ましい。このようにすれば、当該制御回路基板20の厚みにかかわらず、両端子34,36に無理な変形を生じさせずにそのまま当該各端子34,36を出力用バスバー12と制御回路基板20とに各々実装でき、実装後における各端子の応力が大幅に低減される。
【0043】
なお、前記バスバー構成板10に含まれるバスバーの中に、制御回路基板20の制御回路と直接接続すべき(すなわちFET30を介さずに接続すべき)バスバーが存在する場合には、例えば当該バスバーと制御回路基板20とにまたがってはんだ付けを施すようにすればよい。
【0044】
4)折り曲げ工程
図8に示すように、制御回路基板20から左右両外側に突出する端子構成用のバスバー端部を上向きに折り曲げて、外部回路と接続される端子を形成する。このような折り曲げ工程を行うことにより、各端子に対して外部配線材を一方向から接続することが可能になり、その接続作業が簡素化される。このバスバー端部としては、図6に示す端部11a,12a,14aの他、同図では省略されているが前記図1に示されるバスバー構成板10ではバスバー端部11b,11c,11d,11e,12b,12c,12d,12eも含まれる。
【0045】
5)切り離し工程
前記バスバー構成板10におけるつなぎ部分(図1に示すバスバー構成板10では二点鎖線で囲まれるつなぎ部分15)をプレス等で切断してバスバー同士の間及びバスバーと外枠16との間を切り離すことにより電力回路を形成する。このとき、前記各つなぎ部分15が制御回路基板20からその外側にはみ出ているので、当該つなぎ部分15の切断及び外枠16の除去作業を円滑に行うことができる。一方、図1及び図2(a)(b)(c)に示したつなぎ部分15A,15B,15Cについては、その切断の有無を選択することで単一種のバスバー構成板10から複数種の電力回路を得ることができるのは既に述べたとおりである。
【0046】
この切り離し工程後の状態では、全体の高さ寸法(厚み寸法)が非常に小さく、また占有面積も制御回路基板20の面積とほぼ同等に抑えられている。この回路構成体は、それ単独でも使用することが可能であるが、後述のケース50や放熱部材60をさらに付加することによって防水性や放熱性をより高めることが可能となり、車両用パワーディストリビュータ等に好適な回路構成体を得ることができる。
【0047】
なお、この切り離し工程は、前記工程3)〜5)の前に行うことも可能であるが、前記接着工程の後に行うことにより、全てのバスバーと制御回路基板20との接着を一度に行うことが可能になり、製造効率は飛躍的に向上する。
【0048】
7)ケース装着工程
6)の切り離し工程で得られた回路構成体に対し、さらに上側から合成樹脂等の絶縁材料からなるケース50(図9)を被せる。このケース50は、下側に開口して前記制御回路基板20全体を上側から覆う形状を有し、その中央には前記FET30を上方に開放する開口部が設けられ、この開口部の周縁から上向きに防水壁52が立設されている。すなわち、この防水壁52は前記FET30を含む領域を囲んでいる。
【0049】
このケース50の左右両縁部(防水壁52の左右両外側の部分)には、上下に開口する筒状のハウジング54が複数箇所にわたって形成されている。各ハウジング54は前記入力用バスバー11の端部11a(入力端子)及び出力用バスバー12の端部12a(出力端子)をそれぞれ個別に囲み、これらの端子とともにコネクタを構成する。
【0050】
なお、ケース50の前後両端部からは、左右に並ぶ複数枚のフィンカバー58が下向きに突出している。
【0051】
8)放熱部材接続工程
前記各バスバーの下面に図10に示すような放熱部材60の上面64を接着して両者を合体させる。
【0052】
放熱部材60は、全体がアルミニウム系金属等の熱伝導性に優れた材料で形成され、平坦な上面64を有し、下面からは左右に並ぶ複数枚のフィン62が下向きに突出している。各フィン62の位置は前記ケース50におけるフィンカバー58の位置と対応しており、この放熱部材60の装着によって各フィン62の長手方向両端が前記フィンカバー58で覆われるようになっている。
【0053】
この放熱部材60とバスバーとの接着は、例えば次のような手順で行うのが好ましい。
【0054】
▲1▼ 放熱部材60の上面64にエポキシ系樹脂からなる絶縁性の接着剤を塗布して乾燥させることにより薄膜の絶縁層を形成する。
【0055】
▲2▼ 前記絶縁層の上に重ねて、この絶縁層を構成する材料と同じ材料、もしくは当該材料よりも軟らかくて熱伝導性の高い接着剤(例えばシリコーン系接着剤のようなグリース状のもの)を塗布し、もしくはバスバー側に当該接着剤を塗布し、この接着剤によって前記バスバーを接着する。
【0056】
9)ポッティング工程
前記防水壁52の内側に放熱促進用のポッティング剤を注入する。その後、当該防水壁52の上端に図11に示すようなカバー70を被せて両者を接合する(例えば振動溶接する)ことにより、防水壁52内を密封、防水する(図12)。
【0057】
【発明の効果】
以上のように、本発明は、複数本のバスバーが略同一平面上に並べられたバスバー構成板において、この構成板に含まれるバスバー同士のつなぎ部分のうちの特定のつなぎ部分の切断の有無によって複数種の電力回路が構築されるようにしたものであるので、単一種のバスバー構成板から複数種の電力回路を構築することを可能にし、これによって、複数種の回路構成体を効率良く製造することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態にかかるバスバー構成板の平面図である。
【図2】(a)(b)(c)は前記バスバー構成板によってとり得る回路パターン例を示す平面図である。
【図3】図2(a)のバスバー配列によって構築される電力回路を示す回路図である。
【図4】図2(b)のバスバー配列によって構築される電力回路を示す回路図である。
【図5】前記バスバー構成板と制御回路基板とを接着した状態を示す斜視図である。
【図6】前記バスバー構成板及び制御回路基板にFETを実装した状態を示す斜視図である。
【図7】前記FETの実装状態を示す拡大断面斜視図である。
【図8】前記バスバー構成板における所定のバスバーの端部を上方に折り曲げた状態を示す斜視図である。
【図9】前記制御回路基板及びバスバーにケースを装着した状態を示す斜視図である。
【図10】前記ケースが装着された回路構成体とこれに装着される放熱部材とを示す斜視図である。
【図11】前記放熱部材が装着された回路構成体とそのケースの防水壁に装着されるカバーとを示す斜視図である。
【図12】前記カバーを装着した状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
10 バスバー構成板
11,11B,11C,11D,11E 入力用バスバー
12,12B,12C,12D,12E 出力用バスバー
15,15A,15B,15C つなぎ部分
16 外枠
18 基板接着領域
20 制御回路基板
22 貫通孔
30 FET(スイッチング素子)
30V1,30V2 VSC用FET(スイッチング素子)
30AM,30AS ABS用FET(スイッチング素子)
30F,30F1,30F2 ファン用FET(スイッチング素子)

Claims (5)

  1. 複数本のバスバーが電力回路を構築する配置で略同一平面上に並べられ、かつ、これらのバスバー同士がつながって全体が一体化された形状をもつバスバー構成板であって、
    前記バスバー同士を切り離す箇所の選択によって複数種の電力回路が構築される全体形状を有し
    そのバスバーにより構築される電力回路の動作を制御する制御回路基板が接着される基板接着領域が当該バスバー構成板の中央域に設定されるとともに、この基板接着領域の幅方向両外側に前記バスバー同士のつなぎ部分がはみ出す形状を有することを特徴とするバスバー構成板。
  2. 請求項1記載のバスバー構成板において、その特定箇所に前記電力回路中に介在する複数のスイッチング素子を実装するための実装箇所が設定されるとともに、前記バスバー同士を切り離す箇所の選択によって、前記実装箇所に実装される複数のスイッチング素子が互いに並列に配される回路と、前記実装箇所に実装される複数のスイッチング素子が互いに直列に配される回路とが選択的に構築されるように全体形状が設定されていることを特徴とするバスバー構成板。
  3. 複数本のバスバーが電力回路を構築する配置で略同一平面上に並べられ、かつ、これらのバスバー同士がつながって全体が一体化された形状をもつバスバー構成板であって、前記バスバー同士を切り離す箇所の選択によって複数種の電力回路が構築される全体形状を有し、そのバスバーにより構築される電力回路の動作を制御する制御回路基板が接着される基板接着領域が特定箇所に設定されるとともに、この基板接着領域の外側に前記バスバー同士のつなぎ部分が位置する形状を有するバスバー構成板を製造する工程と、当該バスバー構成板の基板接着領域に当該バスバー構成板に含まれるバスバーによって構築される電力回路の動作を制御する制御回路基板を接着する接着工程と、この接着工程後に所望の電力回路を構築するために切り離しが必要なバスバー同士のつなぎ部分を選定して当該つなぎ部分を切り離す切り離し工程とを含むことを特徴とする回路構成体の製造方法。
  4. 請求項記載の回路構成体の製造方法において、前記バスバー構成板を製造する工程は、当該バスバー構成板を単一の金属板から打ち抜く工程を含むことを特徴とする回路構成体の製造方法。
  5. 請求項3または4記載の回路構成体の製造方法において、前記接着工程後、前記バスバー構成板に含まれる所定のバスバーと前記制御回路基板との双方にスイッチング素子を実装する実装工程を含むことを特徴とする回路構成体の製造方法。
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