JP3977609B2 - 電気接続箱 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両等にあって多数のワイヤーハーネスが配索される場合に、それらワイヤーハーネスを集中的に接続・分配できるようにした電気接続箱に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両に搭載される電気接続箱は、バスバーや電線を配索して所望の回路を構成した単層または複層の配線板を布線プレートに積層し、この布線プレートをアッパーカバーやアンダーカバーで覆って接続箱本体が概ね構成され、前記布線プレートに、電子制御部となる制御基板を搭載するようになったものがある。そして、このように布線プレートや制御基板を収納した前記接続箱本体は、車両搭載時にエンジンルームなどに設置されたケース内に収納される。このとき、接続箱本体にはその前面に外付け用のリレーやヒューズおよびコネクタなどの電子部品が装着されるようになっている。
【0003】
また、接続箱本体を収納するケースは、アッパーケースとロアケースとに分割され、アッパーケースを開いた状態でロアケース内に接続箱本体を収納した後、その上方をアッパーケースで覆うようになっている。そして、ケース内に収納した接続箱本体は、車両走行時の振動などによってガタ付かないように両者間にロック手段が設けられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の電気接続箱にあっては、接続箱本体がケース内に収納されているとはいえ、冬期などにあってはケース内やカバー表面に発生する結露が水滴となって落下する。このとき、接続箱本体はその表面が平坦な形状、例えば直方体状に形成されているため、その前面には外付け用の前記電子部品が突出した状態となっている。このため、ケース内から落下した水滴は接続箱本体の前面に装着された電子部品にかかってしまう。
【0005】
また、このように接続箱本体の表面が平坦な形状であるため、アッパーケースを開いてケースから接続箱本体を取り出す際、一人の作業者が接続箱本体を両手でしっかりと保持した状態で、もう一人の作業者がロック手段のロックを解除操作するようになっていた。このため、接続箱本体の取出しに複数の作業者を必要とし、作業能率が悪いものであった。
【0006】
そこで、本発明は、接続箱本体の上端部に庇部分を形成することにより、外付け用の電子部品に水滴がかかるのを防止するとともに、その庇部分を握り部分としてケースから接続箱本体の取出しを容易に行うようにした電気接続箱を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、外付けとなる各電子部品の装着面が設けられた接続箱本体がケース内に収納されることにより構成される電気接続箱において、前記ケースがアッパーケースとロアケースとからなり、前記接続箱本体を前記ロアケース内に前記装着面が前面となるように収納した状態で前記装着面の上端部に、この装着面に装着された前記各号電子部品より突出量が大きくなる膨出部を形成する一方、この膨出部内方に、装着面に対して起立した前記接続箱本体の基板を収納したことを特徴とする。
【0008】
この場合、アッパーカバーの装着面の上端部に形成された膨出部分は、装着面に装着された各電子部品より突出量が大きいため、接続箱本体の上方から落下する水滴に対して庇としての機能を発揮し、水滴が装着面の電子部品にかかるのを防止することができる。また、前記膨出部分は制御基板の収納部分として有効利用することができるので、接続箱本体の全体的な大型化を防止することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の電気接続箱において、請求項1記載の電気接続箱において、前記接続箱本体の側面とこの側面に対応する前記ロアケースの内側との間に、これら接続箱本体とロアケースとを係脱するロック手段を設け、このロック手段はロアケースの上方からの係脱機能を備えたことを特徴とする。
【0010】
この場合、ロアケースから接続箱本体を取り出す際に、作業者は前記膨出部分をにぎり部分として片手で簡単に掴むことができるため、残りの片手で接続箱本体の側面とロアケースの内側との間のロック機構の係合を解除することができる。このため、接続箱本体の取出しを一人の作業者で十分に行うことができるようになる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して詳細に説明する。図1は電気接続箱10全体を示す分解斜視図、図2は接続箱本体14を示す斜視図、図3は接続箱本体14を示す分解斜視図、図4は接続箱本体14を示す正面図、図5は接続箱本体14の内部を示す断面図、図6は接続箱本体14内の布線プレート17の裏面側を示す平面図である。
【0012】
また、図7は制御基板体19の各種電子部品を取り除いた基本構造を示す拡大斜視図、図8は制御基板体19の正面図、図9は図8のIX−IX線に沿って切断した断面図、図10は図8のX−X線に沿って切断した断面図である。
【0013】
さらに、図11は制御基板体19に取り付けられる基板コネクタ45を示す斜視図、図12は図2のXII-XII線に沿って切断した断面図である。
【0014】
本実施形態の電気接続箱10は、図1に示すように、ケース11のロアケース12とアッパケース13との間に接続箱本体14が収納されて構成され、この状態で車両のエンジンルーム等に搭載される。そして、本実施形態の電気接続箱10では、アッパーカバー16の装着面24の上端部に、装着面24に装着された各電子部品より突出量hが大きくなる膨出部35が設けられ、この膨出部35の内部に、基板44が収納されている。
【0015】
<接続箱本体14>
接続箱本体14は、図2及び図3に示すように、アンダーカバー15とアッパカバー16との間に布線プレート17と、複数段に積層された配線板18と、布線プレート17に固定された制御基板体19とが収納されて形成されている。アッパーカバー16は、周囲を取り囲む側壁16aが、アンダカバー15の周囲を取り囲む側壁15aの上端部外周のロック爪15bを介して係脱自在に嵌合され、その内方に布線プレート17および制御基板体19が収納されている。
【0016】
<アッパカバー16>
アッパカバー16は、図2,図3,図4に示すように、外付けとなるマイクロリレー20やハーフマイクロリレー21や2Mリレー22等の各種リレーやヒューズ23等の外付けの電子部品の装着面24となり、この装着面24には前記マイクロリレー20やハーフマイクロリレー21や2Mリレー22等の各種リレー差込口16b,16c、16dが設けられるとともに、ヒューズ23のヒューズ差込口16eがそれぞれ設けられている。
【0017】
また、アッパーカバー16の片側(図4中左端部)には、図外の相手コネクタを着脱自在に差し込む複数のコネクタ用挿入口16f,16f…が設けられている。更に、図2に示すように、アッパーカバー16およびアンダーカバー15のX方向の両側壁15a、16aに、断面L字状の第1ガイド片16g、15cがそれぞれ一体に突設されるとともに、アンダーカバー15の前記第1ガイド片15cを設けた面とは直角関係となるY方向の両側壁15aにも、同様に断面L字状の第2ガイド片15dが一体に突設されている。また、上記電子部品の装着面24の一側には、膨出部35が設けられ、この膨出部35の内側に布線プレート17に固定された制御基板体19が収納されている。
【0018】
更に、図2に示すように、前記アッパーカバー16のX方向の両側壁16aにロック手段としての第1ロック片27が突設されるとともに、アンダーカバー15のY方向の両側壁15aにロック手段としての第2ロック片29が突設されている。これら第1,第2ロック片27,28は、それぞれの側壁16a,15aから垂直に若干突出した後、それら側壁16a,15aと平行に延び、全体として断面L字状に形成される。各第1,第2ロック片27,28の平行突出部分27a,28aの外面には、先端方向に向かって徐々に厚肉となる傾斜面27b,28bが形成され、その傾斜面27b,28bの先端部に段差状の係合部27c,28cが形成されている。
【0019】
そして、接続箱本体14をロアケース12に収納する際に(図1参照)、その接続箱本体14の収納方向(Y方向またはX方向)によって第1,第2ロック片27,29の一方がケース11内側の係合凸部に係合されるようになっている。つまり、第1,第2ロック片27,28の係合は、接続箱本体14の収納時の落とし込みに伴って傾斜面27b,27bが前記係合凸部に押圧されると、前記平行突出部分27a,28aが一旦内方に撓み変形し、その後、更なる落とし込みによってその係合凸部から傾斜面27b,28bが外れた時点で、平行突出部分27a,28aが外方に復帰して係合部27c,28cが前記係合凸部に係合されることになる。
【0020】
このとき、前記水平突出部分27a,28aの突出方向は、接続箱本体14の収納方向に対して逆方向、つまり、上方を指向しており、ロック解除時には、接続箱本体14とケース11との間に上方からドライバーなどの先の細い治具を差し込んで、その治具先端を係合部27c,28c先端に引掛けて水平突出部分27a,28aを内方に撓ませることにより、前記係合凸部との係合が容易に解除できるようになっている。
【0021】
また、前記第1,第2ロック片27,28の形成部分近傍には、それぞれが断面L字状に突設される第1ガイド片16g,15cおよび第2ガイド片15dが形成されている。これら第1,第2ガイド片16g,15c,15dは、接続箱本体14をロアケース12に収納する際のガイドとなり、この接続箱本体14をケース18に対して所定位置にセットできるようになっている。
【0022】
<布線プレート17>
布線プレート17は、図3に示すように、矩形の逆皿状の硬質樹脂プレートで形成され、上面側には、多数の圧接端子挿入開口36が形成され、一側に基板固定部37が設けられている。この基板固定部37にも、複数の圧接端子挿入開口38が側部に沿って一列に形成されている。また、布線プレート17の裏面側には、図5及び図6に示すように、電線39が配索される複数の配索経路が形成されている。そして、この配索経路に沿って配索されることで回路が構成され、配索された電線39の端末部分40が基板固定部37の裏面側に配索されて圧接端子挿入開口38にそれぞれ対応している。この布線プレート17は、図5に示すように、アンダーカバー15内に収納されると共に、上面側に配線板18a、18b、18cが積層されている。
【0023】
<配線板>
配線板(18a、18b、18c)18は、図3に示すように、絶縁板41上にそれぞれバスバー42により所定の回路が構成され、それぞれの回路に連なる多数の端子部43、43、43が起立されている。下層の配線板18aの端子部43は、その上方の配線板18b、18cを貫通して上層の配線板18c上面に突出するとともに、中層の配線板18bの端子部43は上層の配線板18cを貫通して突出し、各配線板18a,18b,18cは相互に重ね合わされる。このとき、最下層の配線板18aのブスバー42に設けられた下方に折り曲げられた圧接端子部25が布線プレート17を貫通して布線プレート17の裏面側に配索された電線39に圧接接続されている。また、布線プレート17上に、複数段に積層された配線板18と共に制御基板体19が固定されている。
【0024】
<制御基板体19>
制御基板体19は、図7及び図8に示すように、基板44と、この基板44に固定された基板コネクタ45と、基板44を布線プレート17上に固定するための端子台46とで形成されている。基板44は、絶縁板47にリレー48,抵抗49,コイル50および制御回路を構成する素子51等の各種電子部品が取り付けられるとともに、その長さ方向端部に基板コネクタ45が設けられている。この基板44は布線プレート17上に起立状態で配置され、その下端部の前面(図中手前側)下端部に、図9に示すように、これの平面方向に対して略直角方向に端子台46が装着されている。
【0025】
基板44に取り付けられる各種電子部品は、リレー48,抵抗49,コイル50によってパワー部Pが構成されるとともに、素子51によって制御部Cが構成され、図8に示すように、発熱量の大きなパワー部Pは絶縁板47の長さ方向片側にまとめて配置されるとともに、発熱量の小さな制御部Cは絶縁板47の長さ方向他側にまとめて配置される。
【0026】
そして、発熱量の大きなパワー部Pを成すリレー48,抵抗49,コイル50と発熱量の小さな制御部Cを成す素子51とは、細い回路パターン(図9参照)53で接続されるようになっている。この回路パターン53は一般に知られるように、絶縁板47に導体をプリントして形成され、そのプリント幅の大小によって回路パターン53の太い細いが決定されるようになっている。この基板44は、端子台46によって、布線プレート17の基板固定部37に固定されている。
【0027】
<端子台46>
端子台46は、図7及び図8に示すように、その長さ方向の略中央部から2分割されて第1分割台54と第2分割台55とで構成されている。これら第1,第2分割台54,55の互いに隣接される端部は、図7に示すように、互いに重ね合わされて重ね合わせ部分56となっている。そして、端子台46は、これの両端部と前記重ね合わせ部分56が、図8に示すように、前記布線プレート17の裏面から挿通される締結部材としてのビス57によって、この布線プレート17に締付け固定される。このとき、前記重ね合わせ部分56は、1本のビス57によって共締めされる。
【0028】
前記第1分割台54の垂直内面には、図10に示すように基板44の絶縁板47と平行にリレー保持板58が設けられる。このリレー保持板58には前記リレー48の配置部分に対応して窓部59が形成され、これら窓部59に前記リレー48を嵌合して保持することにより、絶縁板47から浮かせて取り付けたリレー48が安定的に保持されるようになっている。
【0029】
この端子台46には、図9に示すように、複数本のリード端子60が一体に埋設されている。このリード端子60の一側には、圧接端子部61が形成され、他側は、基板44側に向けてL字状に屈曲され、その先端は基板44を貫通して基板44の回路53に半田付け接続されている。このリード端子60の圧接端子部61は、端子台45が布線プレート17の基板固定部37に固定されると、布線プレート17に形成された圧接開口38から布線プレート17内に挿入されて、電線39の端末にそれぞれ圧接接続される。このように、端子台46を布線プレート17に固定した状態では、この端子台46が基板44の絶縁板47に対して略直角であるため、この基板44は布線プレート17に対して垂直に搭載されることになる。この基板44の片側に基板コネクタ45が固定されている。
【0030】
<基板コネクタ45>
基板コネクタ45は、図7に示すように、基板44から独立して設けられ、これに形成された差込口63に相手側コネクタ(不図示)が差し込まれるようになっている。差込口63内には相手側コネクタに接続される複数の端子64,64…の一端部が突出されている。これら端子64,64…の他端部は差込口63の図中下方となる外方に突出し、それぞれの先端部は基板44に対して垂直となる方向に整然と折曲されている。
【0031】
そして、基板コネクタ44は、図12に示すように、背面側に設けられた突起65を、基板44の絶縁板47に形成した図外の嵌合穴に圧入しつつ、前記端子64,64…の先端部を基板44に挿入して所定の回路パターン53に接続する。このとき、基板コネクタ45の差込口63の開口部分は、アッパーカバー16に形成された開口部16hから外方に臨ませてある。
【0032】
<リレー48>
また、前記リレー48は電磁ソレノイドを用いた機械式が採用され、この電磁ソレノイドでオン・オフ切換えする構造となって、その電磁ソレノイドでの発熱量が大きくなっている。そこで、前記リレー48は、図10に示すように、リレー保持板58に支持されることにより、基板44の絶縁板47から所定間隔δを設けて浮かせて取付けるようになっている。
【0033】
そして、このように浮かせて取り付けたリレー48は、それぞれの電源端子67,68にリード端子69,69が接続されるが、これらリード端子69,69のうち少なくとも一方のリード端子69は、リレー48から絶縁板47に至る間で一旦絶縁板47と平行に延長して長く突出させ、その突出により露出した部分の先端部を絶縁板47側に折曲させて回路パターン53に半田付けしてある。この場合、この露出したリード端子69が放熱機能を備えることができる。
【0034】
このような基板44に、端子台46、基板コネクタ45が組み付けられた状態で布線プレート17上に固定された制御基板体19は、アッパーカバー16の膨出部35内に収納されている。
【0035】
<アッパーカバー16の膨出部35>
前記アッパーカバー16は、図2,図3に示すように、装着面24の制御基板体19が配置される側の一側縁部分(図1,2中向こう側部分)に、リレー差込口16b,16c,16dおよびヒューズ差込口16eに装着される外付けの各種リレー20、21,22およびヒューズ23より突出量hが大きくなる膨出部35を形成する一方、図5に示すように、この膨出部35の内方に前記基板44を収納するようになっている。
【0036】
膨出部35は、図2及び図5に示すように、アッパーカバー16の各種リレー差込口16b,16c,16dと基板44とを遮蔽する遮熱壁70と、この遮熱壁70から連続する天井壁71と、制御基板44の裏側を覆う背面壁72とによって断面コ字状に形成され、図2に示すように、その両側方は側壁73によって閉止されている。
【0037】
また、基板44には、図8に示すように、リレー48や抵抗49やコイル50等の発熱量の大きなパワー部Pと、制御回路を構成する素子まる等の発熱量の小さな制御部Cとが分離されて配置されるが、前記膨出部35の内方には、図8に示すように、パワー部Pと制御部Cとの間に挿入されて、これらパワー部Pと制御部Cとを遮蔽する遮熱仕切壁74が設けられている。尚、この遮熱仕切壁73は図8中2点鎖線で示してある。
【0038】
従って、アッパーカバー16とアンダーカバー15との間に基板44を収納した状態では、前記膨出部35が制御基板体19の外側を覆うとともに、前記遮熱仕切壁73が基板44の発熱量の大きな部分と発熱量の小さな部分との境界部分に挿入される。以上のように構成された接続箱本体14は、上述したようにアッパケース13とロアケース12とからなるケース11内に収納された状態で車両に搭載される。
【0039】
<ケース11>
ケース11は、図1に示すように、アッパーケース13の側壁13aがロアケース12の側壁12aの外周に嵌合に嵌合され、アッパーケース13側のロック爪13bがロアケース12の係止突起12bに係脱自在に係合するようになっている。
【0040】
アッパーケース13およびロアケース12には、接続箱本体14のアッパーカバー11にまとまって設けられたコネクタ用挿入口16f,16f…および基板コネクタ44に対応する部分をそれぞれ切欠いた開口部13c,12cが形成され、これらの開口部13c、12cは、アッパーケース13とロアケース12とを互いに嵌合した際に1つの開口部分となる。
【0041】
開口部13c,12c間には、アッパーケース13およびロアケース12から独立した閉止部材81が設けられ、この閉止部材81は、アッパーケース13とロアケース12とを嵌合した際に開口部13c,12c間を閉止する。閉止部材81は、これのロック爪81aがロアケース12の係止突起12dに係脱自在に固定される。
【0042】
このとき、開口部12cの下側に形成される上向きの半円筒部分12eと、閉止部材61の下側に形成される下向きの半円頭部分81bとが筒状に合体して、前記コネクタ用挿入口16f,16f…および基板コネクタ44に結合される図外の相手側コネクタのワイヤーハーネスをまとめて通すようになっている。また、ロアケース12には取付け脚12fが垂設され、車体への固定用となっている。
【0043】
ケース11に接続箱本体14を収納する際、図1に示すように、ロアケース12に接続箱本体14を膨出部分35が上方に配置されるようにして先ず収納し、そして、その上からアッパーケース13をロアケース12の外周に嵌合して、ロック爪13bと係止突起12bとを係合させる。そして、開口部分から接続箱本体14のコネクタ用挿入口16f,16f…および基板コネクタ44に相手側コネクタを結合した後、ワイヤーハーネスを上下半円筒部分81b,12e間に配索しつつ、閉止部材61を開口部分に配置してロック爪81aを係止突起12dに係合させる。
【0044】
また、ロアケース12に接続箱本体14を上方から差し込んで収納し、アッパーケース13で閉止した際、接続箱本体14のX方向(図2参照)両側壁16a,15aの第1ロック片27が、ロアケース17の内側に設けられた図外の係合凸部に係合されているとともに、接続箱本体14のY方向(図2参照)両側壁16a,15aの第2ロック片28が、平行突出部分28bの外側面(傾斜面27bの最厚肉部分)がアッパーケース13の天井内側に弾力的に当接し、ケース11内で接続箱本体14が上下にガタ付くのが防止されるようになっている。
【0045】
更に、ケース11内に接続箱本体14を収納した際、アッパーカバー16の装着面24がロアケース12の前面12gに配置されるが、このとき、装着面24のヒューズ差込口16eがロアケース12の前面12gの上端部右半部(図中2点鎖線で示す)に位置する。本実施形態では、その上端部右半部を予め切除して、ヒューズ差込口11eが露出する開口部12hを形成してある。
【0046】
(作用)
以上の構成により本実施形態の電気接続箱10にあっては、制御部となる基板44を布線プレート17に搭載して、これをアッパーカバー16とアンダーカバー15との間に収納して接続箱本体14を構成し、この接続箱本体14をアッパーケース13とロアケース12とからなるケース11内に収納して前記電気接続箱10が構成される。この電気接続箱10は、ロアケース12が取付け脚12fを介して図外の車両のエンジンルーム内に取り付けられ、車両に装備される各種電装部品の図外のワイヤーハーネスが集中的に接続される。
【0047】
ところで、本実施形態では、アッパーカバー16の装着面24の上端部に形成された膨出部35は、装着面24のリレー差込口16b,16c,16dやヒューズ差込口16eに装着された外付けの各種リレー20,21,22およびヒューズ23などの各種電子部品より突出量hが大きいため、これら電子部品の上方は前記膨出部35を庇として覆われることになる。このため、アッパーケース13の内側に結露した水滴が落下される場合にも、この水滴を膨出部35が受け止めて前記各種電子部品に水滴がかかるのを防止することができ、これによって電子部品がショートするなどの故障原因を無くすことができ、電子接続箱10の信頼性を高めることができる。
【0048】
また、前記電気接続箱10は、基板44を布線プレート17に搭載する際、絶縁板41の平面方向に対して略直角方向に装着された端子台46を、ビス57を介して布線プレート12に締付け固定するようになっているので、基板44は布線プレート17に対して垂直に搭載されることになる。そして、このように布線プレート17に垂直に搭載した基板44を、前記アッパーカバー16の膨出部35の内方に収納するようにしたので、この膨出部35の内部空間を基板44の収納部分として有効利用することができ、接続箱本体14の全体的な大型化を防止することができる。
【0049】
更に、前記膨出部35は接続箱本体14の前面上端部に突出されているため、接続箱本体14をケース11から取り出す際のにぎり部分として用いることができる。接続箱本体14は、図1に示すように、ケース11に収納された状態で、アッパーカバー16のX方向の両側壁16aに設けられた第1ロック片27がロアケース12の係合凸部に係合されてロックされているが、ロアケース12から接続箱本体14を取り出す際に、作業者は前記膨出部35を片手で簡単に掴むことができるため、残りの片手で接続箱本体14の側面とロアケース12の内側との間にドライバー等の治具を差し込んで第1ロック片27の係合を解除することができる。
【0050】
そして、このように第1ロック片27の係合を解除することにより、膨出部35を掴んで接続箱本体14を片手で簡単に持ち上げることができ、接続箱本体の取出しを一人の作業者で十分に行うことができるようになる。
【0051】
【発明の効果】
請求項1の発明にかかる電気接続箱によれば、外付けとなる各電子部品の装着面の上端部に、各電子部品より突出量が大きくなる膨出部分を形成し、この膨出部分内方に前記制御基板を収納したので、膨出部分は接続箱本体の上方から落下する水滴に対して庇としての機能を発揮し、水滴が装着面の電子部品にかかるのを防止することができる。従って、電子部品がショートするなどの故障原因を無くすことができ、電気接続箱の信頼性を高めることができる。また、前記膨出部分は制御基板の収納部分として有効利用することができるので、接続箱本体の全体的な大型化を防止することができる。
【0052】
請求項2の発明にかかる電気接続箱によれば、請求項1の発明の効果に加えて、前記接続箱本体の側面とこの側面に対応する前記ロアケースの内側との間に、これら接続箱本体とロアケースとを係脱するロック手段を設け、このロック手段はロアケースの上方からの係脱機能を備えたので、ロアケースから接続箱本体を取り出す際に、作業者は前記膨出部分をにぎり部分として片手で簡単に掴むことができるため、残りの片手で接続箱本体の側面とロアケースの内側との間のロック機構の係合を解除することができる。このため、接続箱本体の取出しを一人の作業者で十分に行うことができるようになり、作業性を大幅に向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる電気接続箱を示す分解斜視図である。
【図2】本発明にかかる電気接続箱の接続箱本体を示す斜視図である。
【図3】本発明にかかる電気接続箱の接続箱本体を示す分解斜視図である。
【図4】接続箱本体を示す平面図である。
【図5】接続箱本体の内部を示し図4のV−V線に沿って切断した断面図である。
【図6】布線プレートの裏面側を示す平面図である。
【図7】制御基板体を示す斜視図である。
【図8】制御基板体を示す正面図である。
【図9】基板と端子台との関係を示し図8のIX−IX線に沿って切断した断面図である。
【図10】基板とリレーとの関係を示し図8のX−X線に沿って切断した断面図である。
【図11】基板コネクタを示す斜視図である。
【図12】膨出部内の基板コネクタと布線プレートとの関係を示し、図2のXII−XII線に沿って切断した断面図である。
【符号の説明】
10 電気接続箱
12 ロアケース
13 アッパーケース
14 接続箱本体
15 アンダーカバー
16 アッパーカバー
17 布線プレート
20,21,22,23 電子部品
24 装着面
27 第1ロック片(ロック手段)
28 第2ロック片(ロック手段)
35 膨出部分
44 基板
Claims (2)
- 外付けとなる各電子部品の装着面が設けられた接続箱本体がケース内に収納されることにより構成される電気接続箱において、前記ケースがアッパーケースとロアケースとからなり、前記接続箱本体を前記ロアケース内に前記装着面が前面となるように収納した状態で前記装着面の上端部に、この装着面に装着された前記各号電子部品より突出量が大きくなる膨出部を形成する一方、この膨出部内方に、装着面に対して起立した前記接続箱本体の基板を収納したことを特徴とする電気接続箱。
- 請求項1記載の電気接続箱において、
前記接続箱本体の側面とこの側面に対応する前記ロアケースの内側との間に、これら接続箱本体とロアケースとを係脱するロック手段を設け、このロック手段はロアケースの上方からの係脱機能を備えたことを特徴とする電気接続箱。
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