JP4075488B2 - 車高調整装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車高調整装置に関するものであり、特に、車高センサの故障時における車高調整に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車高調整装置は、車両の車高を調整可能な作動装置と、実際の車高である実車高を検出する車高センサと、作動装置を制御する制御装置とを含むように構成される。制御装置は、車高センサにより検出された検出車高が目標車高と等しくなるように作動装置を制御する。そのため、車高センサが故障した場合には、検出車高が得られず、目標車高との比較に基づく車高調整を行うことができなくなる。
【0003】
それに対し、特開平4−87818号公報に開示されているように、車高センサの故障時に車高調整を中止するとともに、車高を強制的に減少させて走行安定性の向上を図ることが知られている。また、特開平5−85125号公報に記載の車高調整装置においては、各種機器の故障時に車高が強制的に減少させられるとともに、停車時等に車高を増加させるようにされている。ただし、車高の強制的減少と停車時等における増加とは、車高調整装置の油圧回路を構成する流量制御弁の固着等が生じた場合に行われるようにされているのであり、車高センサの故障時には車高調整が故障時の車高で中止されるようにされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題,課題解決手段および効果】
上記のように、車高を強制的に減少させれば、車高が低くなり過ぎることがあり、車高センサの故障時にも車高が増加させられるようにすることが望ましい。特に、停車中は車両に対して路面の状況が変化しないため、停車時に不都合が生じた場合には、それを解消するために車高調整できることが望ましい。車両が極低速で走行している場合には、路面の状況は変化するが、僅かであり、車高調整できることが望ましい。
【0005】
本発明は、以上の事情を背景とし、車高センサが故障しても、停車中と極低速走行中との少なくとも一方において車高を調整することができる車高調整装置を提供することを課題としてなされたものであり、本発明によって、下記各態様の車高調整装置が得られる。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも本発明の理解を容易にするためであり、本明細書に記載の技術的特徴およびそれらの組合わせが以下の各項に記載のものに限定されると解釈されるべきではない。また、一つの項に複数の事項が記載されている場合、それら複数の事項を常に一緒に採用しなければならないわけではない。一部の事項のみを選択して採用することも可能なのである。
【0006】
なお、以下の各項において、 (1)項 (2) 項とを合わせたものが請求項1に相当し、その請求項1に (3) 項に記載の事項を追加したものが請求項2に、 (1) 項と (4) 項とを合わせたものが請求項3に、 (1) 項と (11) 項とを合わせたものが請求項4にそれぞれ相当する。
【0007】
(1)車両の車高を調整可能な作動装置と、実際の車高である実車高を検出する車高センサと、その車高センサにより検出された車高である検出車高が目標車高と等しくなるように前記作動装置を制御する制御装置とを含む車高調整装置であって、
前記制御装置が、前記車高センサが故障状態にあり、かつ、極低速走行状態と停車状態との少なくとも一方の状況にある間に、マニュアル操作部材の操作に応じて前記作動装置を作動させ、前記実車高を変更する故障時第一車高変更部を含むことを特徴とする車高調整装置。
目標車高は予め設定された一定値でもよく、複数の値から選択して設定される値でもよく、任意に変更して設定可能な値でもよい。本発明は、車高センサが左右の車輪の各々に対応して設けられている車高調整装置にも適用可能である。しかし、複数の車高センサがすべて故障する可能性よりは、左右の車輪に共通の1つの車高センサが故障する可能性の方が高いので、左右車輪に共通の車高センサを有するタイプの車高調整装置に特に有効である。
故障時第一車高変更部が作動装置を作動させることにより行われる実車高の変更は、実車高の減少のみでもよく、増加のみでもよく、両方でもよい。
本項に記載の装置によれば、車高センサが故障しても、車両が極低速走行状態と停車状態との少なくとも一方の状態にあれば、人がマニュアル操作部材を操作することによって車高を変更することができる。そのため、例えば、前輪と後輪とが路面の突部の前後に位置し、あるいは前輪,後輪のいずれかが路面の凹部に落ち込んで車両が停止しており、車体の一部が路面と接触している場合に、車高を高くして車体を路面から離間させ、前輪あるいは後輪に突部を乗り超えさせたり、凹部から脱出させたりすることができる。あるいは、逆に車高を低くして走行安定性を増すようにすることができる。
【0008】
(2)前記制御装置が、前記車両が走行を開始した後に、前記作動装置を作動させ、前記実車高を、前記故障時第一車高変更部による実車高の変更前の大きさに近づく向きに変更する故障時第二車高変更部を含む (1)項に記載の車高調整装置。
「走行の開始」は、故障時第一車高変更部による車高の変更が極低速状態において行われるのであれば、車速が極低速状態より大きい車速以上になった状態を意味し、停車状態において行われるのであれば、極低速状態も含むものとする。ただし、車両が走行を開始すれば直ちに故障時第二車高変更部が作動することは不可欠ではなく、車両の走行開始後に作動すればよい。
故障時第二車高変更部は、故障時第一車高変更部による実車高の変更量を減少させればよく、一部を減少させてもよく、全部を減少させ、変更量が0になるようにしてもよい。 (3)項に記載の車高調整装置が後者の態様である。
実車高を、故障時第一車高変更部による実車高の変更前の大きさに近づく向きに変更させれば、停車中に故障時第一車高変更部によって車高が変更されても、車両は、変更前と同じか、あるいは変更前に近づいた車高、すなわち走行に適した車高で走行させられる。あるいは、実施形態の項において説明するように、車高センサの故障時に車高を強制的に減少させて走行安定性の確保が図られる場合、凹凸の大きい不整地で停車中に車体が低下させられ、路面に接触した際等に、車高を増大させて脱出を図り得るようにするとともに、走行時には車高を低くして走行安定性が確保されるようにすることができる。あるいは車両の走行中に車高センサが故障し、車高が強制的に減少させられた場合、車両が凹凸の大きい不整地で停車させられた際に車輪が凹部にはまり、車体が路面に接触することがあっても、車高の増大により車輪の凹部からの脱出を図るとともに、走行時には車高の減少により走行安定性が確保されるようにすることができる。
(3)前記故障時第二車高変更部が、前記実車高を、前記故障時第一車高変更部による変更前の大きさに戻す車高復帰部を含む (2)項に記載の車高調整装置。
本項によれば、例えば、車体と路面との干渉回避と走行安定性の確保とをより確実に両立させることができる。
【0009】
(4)前記制御装置が、
前記故障時第一車高変更部により前記作動装置が前記実車高を減少させるために作動させられた時間である第一車高減少時間と、実車高を増加させるために作動させられた時間である第一車高増加時間との少なくとも一方を記憶する作動時間記憶部と、
前記車両が走行を開始した後に、少なくとも前記作動時間記憶部に記憶されている前記第一車高減少時間に基づいて決まる時間である第二車高増加時間、前記実車高を増加させるべく前記作動装置を作動させることと、少なくとも前記第一車高増加時間に基づいて決まる時間である第二車高減少時間、実車高を減少させるべく前記作動装置を作動させることとの少なくとも一方を行う故障時第二車高変更部と
を含む (1)項に記載の車高調整装置。
故障時第一車高変更部によって車高が減少させられる場合には第一車高減少時間が記憶され、増加させられる場合には第一車高増加時間が記憶され、減少および増加させられる場合には第一車高減少時間と第一車高増加時間との両方が記憶される。故障時第二車高変更部は、故障時第一車高変更部により行われた車高の変更に応じて、作動装置を作動させ、実車高を変更前の大きさに近づけるが、作動装置の作動による車高減少の時間と量とはほぼ一義的に対応しており、第一車高減少時間に基づいて決まる第二車高増加時間、実車高を増加させるべく作動装置を作動させれば、車高減少量が適切に減少させられ、車高が減少前の大きさに適切に近づけられる。故障時第一車高変更部によって車高が増加させられる場合も同様である。故障時第一車高変更部によって車高が減少および増加させられた場合、第一車高減少時間に基づいて決まる第二車高増加時間、車高が増加させられるとともに、第一車高増加時間に基づいて決まる第二車高減少時間、車高が減少させられるように制御装置を構成してもよく、第一車高減少時間と第一車高増加時間とに基づいて、故障時第一車高変更部により変更された車高を変更前の大きさに近づけるための車高の変更方向および変更時間が取得され、その取得された方向および時間で車高が変更されるように制御装置を構成してもよい。
いずれにしても、車両が走行を開始した後、車高が変更前の大きさに近づけられる。
(5)前記故障時第二車高変更部が、前記実車高を前記故障時第一車高変更部による変更前の大きさに復帰させる車高復帰部を含む (4)項に記載の車高調整装置。
(6)前記制御装置が、前記故障時第一車高変更部により前記作動装置が前記実車高を減少あるいは増加させるために作動させられる時間を検出する作動時間検出部を含む (4)項または (5)項に記載の車高調整装置。
【0010】
(7)前記制御装置が、前記第二車高増加時間を少なくとも前記第一車高減少時間に基づいて決定する車高増加時間決定部と、前記第二車高減少時間を少なくとも前記第一車高増加時間に基づいて決定する車高減少時間決定部との少なくとも一方を含む (4)項ないし (6)項のいずれかに記載の車高調整装置。
(8)前記作動装置が、車輪と車体との相対距離を変更するアクチュータと、そのアクチュエータに作動流体を供給するポンプと、前記アクチュエータから前記作動流体の流出を許容する流出許容装置とを含む (7)項に記載の車高調整装置。(9)前記作動流体が気体である (8)項に記載の車高調整装置。
【0011】
(10)前記車高増加時間決定部と前記車高減少時間決定部との前記少なくとも一方が、前記作動時間記憶部に記憶された時間の他に、前記流出許容装置により排出される前記作動流体の流量である排出流量と、前記ポンプにより供給される前記作動流体の流量である供給流量とにも基づいて前記第二車高増加時間と前記第二車高減少時間との少なくとも一方を決定するものである (8)項または (9)項に記載の車高調整装置。
車高増加時間決定部や車高減少時間決定部は、結果的に、排出流量と供給流量とに基づいて第二車高増加時間や第二車高減少時間を決定したことになるものであればよく、直接的に排出流量と供給流量とに基づいて時間を決定することは不可欠ではない。例えば、排出流量と供給流量との比等の流量関連量に基づいて第二車高増加時間や第二車高減少時間を決定するものであってもよいのである。
作動流体の供給,排出によって作動するアクチュエータにより車高を変更する場合、排出流量と供給流量とが同じであれば、故障時第一車高変更部による車高変更時における作動装置の作動時間のみに基づいて、故障時第二車高変更部による車高変更時の作動装置の作動時間を決定することができるが、排出流量と供給流量とが異なるのであれば、それらの違いにも基づいて作動装置の作動時間が決定されるようにすることが望ましい。
実車高を変更前の大きさに近づけるためには、故障時第一車高変更部による車高変更時にアクチュエータに供給された量以下の量の作動流体が排出され、アクチュエータから排出された量以下の量の作動流体が供給されるようにすればよい。作動時間記憶部に記憶された時間の他に、排出流量および供給流量があれば、アクチュエータに供給された作動流体の総量と、アクチュエータから排出された作動流体の総量との少なくとも一方が得られ、車高を変更前の大きさに近づけるためにアクチュエータから排出されるべき作動流体の量と、アクチュエータに供給されるべき作動流体の量との少なくとも一方が得られるとともに、第二車高増加時間と第二車高減少時間との少なくとも一方が決定可能となる。
【0012】
(11)前記作動装置が、車輪と車体との相対距離を変更するアクチュータと、そのアクチュエータに作動流体を供給するポンプと、前記アクチュエータから前記作動流体の流出を許容する流出許容装置とを含み、前記制御装置が、前記車両が走行を開始した後に、(a)前記故障時第一車高変更部により前記作動装置が前記実車高を減少させるために作動させられた時間である車高減少時間と、前記流出許容装置により排出される前記作動流体の流量である排出流量と、前記ポンプにより供給される前記作動流体の流量である供給流量とに基づいて決まる時間、前記実車高を増加させるべく前記作動装置を作動させることと、(b)前記故障時第一車高変更部により前記作動装置が前記実車高を増加させるために作動させられた時間である車高増加時間と前記排出流量と前記供給流量とに基づいて決まる時間、実車高を減少させるべく前記作動装置を作動させることとの少なくとも一方を行う故障時第二車高変更部を含む (1)項に記載の車高調整装置。
本項に記載の車高調整装置は、前記各項に記載の作動時間記憶部,作動時間検出部,車高増加時間決定部,車高減少時間決定部等を含むものとして構成することも可能であるが、これら各部の少なくとも一部を省略した構成とすることも可能である。例えば、故障時第一車高変更部により作動装置が実車高を減少あるいは増加させるために作動させられた時間である車高減少,増加時間と、排出流量と供給流量との比等の流量関連量とに基づいて、故障時第二車高変更部による作動装置の作動時間を逐次決定する作動時間逐次決定部と、その作動時間逐次決定部が前記車高減少,増加時間の増加につれて逐次決定する作動時間を更新しつつ記憶する作動時間記憶部とを設け、車両走行開始後にその作動時間記憶部に記憶されている作動時間の間、故障時第二車高変更部が作動装置を作動させるようにする。
【0013】
(12)前記制御装置が、前記車両の走行開始後、車速が第一設定車速以上となったとき、当該制御装置を前記マニュアル操作部材の操作に応じて車高調整を行うマニュアル調整モードから自動で車高調整を行う自動調整モードに自動で復帰させるモード自動復帰部を含む (2)項ないし(11)項のいずれかに記載の車高調整装置。
本項によれば、制御装置が運転者によってマニュアル調整モードから自動調整モードに復帰させられなくても、車速が第一設定車速以上になれば、自動的に自動調整モードに復帰させられる。
(13)前記故障時第二車高変更部が、前記車両の走行開始後、車速が第二設定車速以上となったときに作動するものである (2)項ないし(12)項のいずれかに記載の車高調整装置。
第二設定車速は、前記第一設定車速と同じであって、第一設定車速が第二設定車速を兼ねてもよく、異なってもよい。
例えば、車両が凹凸の大きい不整地で停車させられた際に車輪が凹部にはまり、車体が路面に接触し、凹部から脱出するために車高が増大させられた場合、車両は車速が第二設定車速以上になるまでの間は車高が増加させられた状態で走行させられるため、凹部を脱出することができ、その後は、車高が変更前の大きさに近づけられることによって車高が減少させられ、走行安定性が確保される。
【0014】
(14)前記作動装置が、車輪と車体との相対距離を変更するアクチュータと、そのアクチュエータに作動流体を供給するポンプと、前記アクチュエータから前記作動流体の流出を許容する流出許容装置とを含む (1)項ないし (7)項のいずれかに記載の車高調整装置。
(15)前記作動流体が気体である(14)項に記載の車高調整装置。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1には、本発明の実施形態である車高調整システムが概略的に図示されている。本車高調整システムは、車輪に対する車体の相対的高さである車高を左右後輪について調整するシステムであり、作動装置としての車高変更装置10および制御装置12を備えている。
【0016】
車高変更装置10は、左右の後輪についてそれぞれ設けられたエアばね20,22と、それらに共通のエア給排装置24とを含み、後輪と車体との間に設けられている。エアばね20,22は同様に構成されており、エアばね20を代表的に説明する。エアばね20は、本実施形態においては、ショックアブソーバ26と共に設けられている。ショックアブソーバ26は、その本体においてばね下部材(図示省略)に連結され、ピストンロッドの上端部において車体後部(図示省略)に連結されており、エアばね20は後輪と車体との間に設けられ、エア室(図示省略)を備えている。
【0017】
エア室には、前記エア給排装置24によって圧縮エアが供給され、あるいは大気に排出される。エア給排装置24は、本実施形態においては、図1に示すように、気体ポンプとしてのコンプレッサ80,第一制御弁としてのハイトコントロールバルブ82および第二制御弁としてのエアソレノイドバルブ84等を含む。コンプレッサ80は電動モータ86を駆動源とし、大気とエアばね20,22のエア室とを接続する通路88に設けられ、フィルタ90を介して作動流体の一種である気体たるエアを吸入し、圧縮してエアばね20,22に供給する。
【0018】
ハイトコントロールバルブ82は、通路88のコンプレッサ80とエアばね20,22との間の部分に設けられている。ハイトコントロールバルブ82は、本実施形態においては、常閉のシート弁であって、電磁制御弁たる電磁開閉弁とされており、ソレノイドの消磁により閉状態に切り換えられ、通路88を閉じてコンプレッサ80とエアばね20,22のエア室との連通を遮断する。また、ハイトコントロールバルブ82は、ソレノイドの励磁により開状態に切り換えられ、通路88を開いてコンプレッサ80とエア室とを連通させる。
【0019】
通路88のコンプレッサ80とハイトコントロールバルブ82との間の部分には、逆止弁94,ドライヤ96が直列に設けられるとともに、ドライヤ96とハイトコントロールバルブ82との間の部分には、絞り98および逆止弁100が互いに並列に設けられている。逆止弁94,100は、コンプレッサ80からエアばね20,22に向かう向きのエアの流れは許容するが、逆向きの流れは阻止するものとされている。ドライヤ96は、コンプレッサ80で作られた圧縮エアの水分を除去する。
【0020】
エアソレノイドバルブ84は、通路88の逆止弁94が設けられた部分とドライヤ96が設けられた部分との間の部分に接続されるとともに大気に開放された通路110に設けられている。エアソレノイドバルブ84は、本実施形態においては、常閉のシート弁であって電磁制御弁たる電磁開閉弁とされており、ソレノイドの消磁により閉状態に切り換えられて通路110を閉じ、エアの大気への流出を阻止する。また、ソレノイドの励磁により開状態に切り換えられて通路110を開き、エアの大気への流出を許容する。
【0021】
エアソレノイドバルブ84は、非通電状態においても通路88の圧力が異常に高くなった場合には、開いて大気へのエアの流出を許容するように構成されている。エアソレノイドバルブ84において弁子を弁座に着座する向きに付勢するスプリングの付勢力は、非通電中であって、エアソレノイドバルブ84が閉状態に切り換えられた状態において、通常は、コンプレッサ80の作動により作られる圧縮エアの大気への流出を阻止し、エア室へ圧縮エアが供給されて、エアばね20,22が、図示を省略するストッパ装置により規制される上限に伸長することを許容するが、圧縮エアの圧力が設定値を超えて大きくなれば、圧縮エアの大気への流出を許容する大きさに設定されており、エア室の圧力が異常に高くなることが回避される。エアソレノイドバルブ84は、リリーフ弁を兼ねているのである。
【0022】
車高を高くする場合には、コンプレッサ80が作動させられるとともに、ハイトコントロールバルブ82が開かれ、エアソレノイドバルブ84は閉じられ、圧縮エアが逆止弁94,ドライヤ96,絞り98,逆止弁100およびハイトコントロールバルブ82を経てエアばね20,22のエア室に供給される。それにより、ショックアブソーバ26のシリンダのピストンロッドが伸長させられ、エアばね20,22が伸長させられて、ばね下部材に保持された車輪と車体との間の距離が増大させられ、車高が高くされる。ハイトコントロールバルブ82において弁子を弁座に着座する向きに付勢するスプリングの付勢力は大きくされており、圧縮エアの圧力が上昇するまでの間に非通電状態にあるハイトコントロールバルブ82が開くことがないようにされている。圧縮エアの圧力が上昇すれば、ハイトコントロールバルブ82が開かれる。圧縮エアの圧力の上昇は、例えば、圧力センサにより検出される。コンプレッサ80の作動開始からの時間に基づいて圧力上昇を検出してもよい。
【0023】
車高を低くする場合には、コンプレッサ80は作動させられず、バルブ82,84がそれぞれ開かれる。それにより、エアソレノイドバルブ84によってエアばね20,22からエアの流出が許容され、エアばね20,22のエア室内のエアがハイトコントロールバルブ82,絞り98,ドライヤ96およびエアソレノイドバルブ84を通って外部に流出させられ、ショックアブソーバのシリンダのピストンロッドが収縮させられてエアばね20,22が収縮させられる。それにより、車輪と車体との間の距離が減少させられ、車高が低くされる。この際、エア室からのエアの流出は絞り98により制限され、車高が急激に低下することが防止される。車高を維持する場合には、バルブ82,84がいずれも閉じられ、コンプレッサ80は作動させられない。本車高調整装置では、車体の左右後輪に対する高さが共通して調整される。コンプレッサ80は常時、作動させておいてもよい。この際、コンプレッサの作動により作られる不要な圧縮エアはエアソレノイドバルブ84から流出させられる。
【0024】
前記制御装置12は、コンピュータを主体として構成されており、図1に示すように、車高調整モード切替スイッチ120,車高切替スイッチ122,アンチロック制御コンピュータ124および車高センサ128等が接続されている。
【0025】
車高調整モード切替スイッチ120および車高切替スイッチ122は、例えば、車両の運転席の近傍、例えば、インストルメントパネルに設けられ、運転者により手動操作される。制御装置12は、実際の車高を、予め設定された目標車高に自動で調整する自動調整モードと、車高切替スイッチ122の操作に応じて、実際の車高を目標車高とは異なる車高に調整するマニュアル調整モードとで作動可能であり、運転者は、車高調整モード切替スイッチ120の切替操作により、制御装置12の車高調整モードを自動調整モードとマニュアル調整モードとのいずれか一方に切り替え、選択する。
【0026】
車高切替スイッチ122は、本実施形態においては、複数、例えば、3つの位置に節度感をもって切り替えられ、操作力が加えられない限り、切替位置を維持する。これら3つの位置はロー,ノーマルおよびハイであり、車高調整モード切替スイッチ120により自動調整モードが選択され、制御装置12が自動調整モードで作動する状態で車高切替スイッチ122が操作されれば、実際に制御目標とされる目標車高がロー,ノーマルおよびハイのいずれかに変更される。目標車高は、本実施形態では3種類であり、予め設定された決まった高さである。
【0027】
車高調整モード切替スイッチ120によりマニュアル調整モードが選択され、制御装置12がマニュアル調整モードで作動する状態では、車高切替スイッチ122の操作に応じて車高調整が行われ、実際の車高が車高変更装置10により変更される。車高切替スイッチ122のロー位置への切替えにより車高の減少が指示され、ハイ位置への切替えにより車高の増加が指示され、ノーマル位置への切替えにより車高の維持が指示され、制御装置12が車高切替スイッチ122の切替位置に応じて実際の車高を変更するように車高変更装置10を作動させる。車高切替スイッチ122がロー位置あるいはハイ位置に切り替えられている間、車高は減少あるいは増大させられ続け、ノーマル位置に切り替えられている間、車高が維持され続け、車高が自動調整モードにおいて制御目標とされる設定車高であって目標車高とは異なる任意の高さに調整される。
【0028】
アンチロック制御コンピュータ124は、制動時における車輪の過大なスリップを抑制するアンチロック制御装置(図示省略)に設けられ、アンチロック制御のために演算した左,右の前輪の各車輪速度(周速)を制御装置12に供給する。
【0029】
車高センサ128は、本実施形態では、車体後部の左側において、ばね下部材と車体との間に設けられ、その検出信号に基づいて左後輪側と車体との間の距離が制御装置12において取得される。本車高調整装置において車高センサ128は、左右の後輪に共通に1つのみ設けられており、実際の車高である実車高を検出する。本実施形態において車高センサ128は、スリット板および複数組、例えば4組のフォトインタラプタを含み、制御装置12のコンピュータにおいては、車高が複数段階、例えば、16段階に検出される。16段階は、大きさの順に、複数組、例えば、5組に分けられる。低過ぎ,ロー,ノーマル,ハイおよび高過ぎの5組である。前記車高切替スイッチ122の切替位置により指示される目標車高のロー,ノーマルおよびハイはそれぞれ、上記ローの組、ノーマルの組およびハイの組にそれぞれ属する段階のうちの1つに設定されている。図示を省略するストッパ装置により機械的に規制される車高の変更可能範囲の上限および下限はそれぞれ、高過ぎの組の最も高い段階の高さおよび低過ぎの組の最も低い段階の高さとして検出される。
【0030】
また、制御装置12は、自動調整モード表示ランプ136,マニュアル調整モード表示ランプ138,車高センサ故障表示ランプ140等を制御する。車高がいずれの高さに調整されているかは、車高切替スイッチ120の切替位置によりわかる。インジケータを設けて車高が表示されるようにしてもよい。インジケータは、例えば、複数のランプを含むものとし、その点灯により、選択されている目標車高が表示されるようにされる。制御装置12はまた、コンプレッサリレー150を制御し、コンプレッサ80を駆動するモータ86を制御する。さらに、制御装置12のコンピュータのROMには、図示を省略するメインルーチン,図2等に示す車高調整ルーチン等、種々のプログラムおよびデータ等が記憶されている。
【0031】
車高調整ルーチンに基づく車高の調整を概略的に説明する。
車高センサ128の故障時には、車高が強制的に減少させられ、車両走行中(本実施形態では極低速走行状態を除く)であれば、車高調整が行われない。車高センサ128が故障した状態で車速が設定車速以下になれば、運転者はマニュアル調整モードを選択することにより、車高切替スイッチ122の手動操作によって車高を増加あるいは減少させ、車高を調整することができる。車両が走行を開始し、車速が設定車速以上になれば、車高調整モードは自動調整モードに自動で復帰させられるのであるが、車高センサ128が故障していて、停車中にマニュアル操作によって車高が変更されたのであれば、車高が、その変更前の大きさに復帰させられる。復帰後、車高センサ128が故障している限り、車両走行中は車高調整は行われない。
【0032】
車高センサ128の故障時におけるマニュアル操作による車高の調整時には、車高が増加させられれば、車高増加時間がカウントされ、車高が減少させられれば、車高減少時間がカウントされる。カウントされた車高増加時間,車高減少時間,コンプレッサ80により供給される圧縮エアの流量である供給流量およびハイトコントロールバルブ82,エアソレノイドバルブ84により排出されるエアの流量である排出流量に基づいて、車高を復帰させるための車高増加時間あるいは車高減少時間が決定され、その決定された時間、車高が増加あるいは減少させられて、車高センサ128の故障時における停車中および極低速走行状態におけるマニュアル操作によって変更される前の大きさに戻される。
【0033】
車高調整等をフローチャートに基づいて説明する。
図2に示す車高調整ルーチンにおいては、ステップ1(以下、S1と略記する。他のステップについても同じ。)において車高センサ128が故障しているか否かが判定される。車高センサ128の故障は、例えば、特開平4−87818号公報に記載されているように、車高センサ128の出力信号の電圧の大きさに基づいて検出される。本実施形態においては、車高センサ128を構成するフォトインタラプタの出力信号の電圧が異常に高い場合あるいは低い場合に故障であるとされ、あるいは車高センサ128の出力信号に基づいて検出される車高が設定時間の間、1度も目標車高とならない場合に故障であるとされる。車両が車輪の上下加速度を検出するセンサを備えているのであれば、上下加速度が所定値以上となってから、設定時間の間、車高が変化しない場合に故障とされる。また、断線あるいはショートしている場合に故障であるとされる。故障の場合には、車高センサ故障表示ランプ140が点灯させられる。故障の検出,判定は、図示を省略する車高センサ故障検出ルーチンにおいて行われ、S1では、その検出結果が読み込まれて、車高センサ128が故障しているか否かが判定される。車高センサ128が故障しておらず、正常であれば、S1の判定結果はNOになり、S2においてフラグF1,F2およびF3のリセット、車高増加時間カウンタ,車高減少時間カウンタ等のリセット等、車高センサ128の故障に伴って為された車高調整に関するデータ等がリセットされる。そして、S3が実行され、通常の車高調整、すなわち車高センサ128が正常な場合の車高調整が行われる。フラグF1ないしF3の用途は後述する。
【0034】
通常の車高調整を簡単に説明する。本実施形態においては、車両走行時には自動調整モードのみによって車高調整が行われ、停車時には自動調整モードによる車高調整と、マニュアル調整モードによる車高調整とが選択的に行われる。自動調整モードによる車高調整は、車高センサ128の検出信号に基づいて検出される実車高が目標車高になるように行われる。目標車高は、車高切替スイッチ122の切替位置により得られ、実車高が目標車高より、設定値を超えて高いのであれば、車高が減少させられ、実車高が目標車高より、設定値を超えて低いのであれば、車高が増大させられる。実車高の目標車高に対する差が設定範囲内であれば、車高が維持される。マニュアル調整モードによる車高調整は、運転者による車高切替スイッチ122の切替操作に基づいて、車高が増加,減少,維持されることにより行われる。停車時における車高調整モードの選択は運転者により為され、自動調整モードが選択されれば、自動調整モード表示ランプ136が点灯され、マニュアル調整モードが選択されれば、マニュアル調整モード表示ランプ138が点灯される。マニュアル調整モードが選択されていても、その状態で車両が走行を開始させられ、車速が設定車速以上になれば、自動調整モードによって車高調整が行われる。車高調整モード切替スイッチ120による車高調整モードの選択に関係なく、車高切替スイッチ122の切替位置が予め設定された3種類の目標位置のうちの1つを指示するものとして車高調整が行われるのである。
【0035】
車高センサ128が故障しているのであれば、S1の判定結果がYESになってS4が実行され、フラグF1が1にセットされているか否かが判定される。フラグF1は、1にセットされることにより、車高センサ128の故障時に車高を強制的に減少させるセンサ故障時車高強制減少制御が完了したことを記憶する。フラグF1が0にリセットされていれば、S4の判定結果はNOになってS5が実行され、センサ故障時の車高の強制減少制御が開始されてから所定時間が経過したか否かが判定される。車高調整ルーチンにおいてS4の判定が行われない状態から行われる状態になって、S5が所定時間実行されたか否かが判定されるのである。最初にS5が実行される際、所定時間を計測するタイマが0にリセットされて時間のカウントが開始される。S5の判定結果は、所定時間が経過するまでNOであり、S6が実行され、ハイトコントロールバルブ82およびエアソレノイドバルブ84が開かれて車高が強制的に減少させられる。コンプレッサ80が作動させられていれば、停止させられる。車高を強制的に減少させる時間は、例えば、車高センサ故障発生時に車高がローの目標車高と同じ高さにあっても、低くなり過ぎることがない高さに車高を減少させる長さに設定されている。
【0036】
車高の減少が開始されてから所定時間が経過すれば、S5の判定結果がYESになってS7が実行され、フラグF1がセットされる。そして、S8において車高減少制御が停止されてルーチンの実行が終了する。ハイトコントロールバルブ82,エアソレノイドバルブ84が閉じられるのである。
【0037】
センサ故障時の車高の強制減少が完了し、フラグF1がセットされれば、次にS4が実行されるとき、その判定結果がYESになってS9が実行され、車高センサ故障時の極低速走行状態あるいは車両停車状態においてマニュアル操作による車高調整が行われたか否かの判定が行われる。この判定は、フラグF2が1にセットされているか否かにより行われる。フラグF2がリセットされていれば、車高センサ故障時の上記マニュアル操作による車高調整は行われておらず、S9の判定はNOになってルーチンの実行は終了する。
【0038】
センサ故障時の極低速走行状態あるいは停車状態においてマニュアル操作による車高調整が行われたのであれば、S9の判定結果がYESになってS10が実行され、車速が設定車速以上であるか否かが判定される。車速は、本実施形態においては、アンチロック制御コンピュータ124により供給される左右の前輪の車輪速度を平均することにより得られる。車速が設定車速より小さいのであれば、S10の判定結果はNOになってルーチンの実行は終了する。車速が設定車速以上であれば、S10の判定結果はYESになってS11が実行され、車高復帰制御が行われる。次に説明するように、センサ故障時におけるマニュアルによる車高調整は、車両が極低速走行状態あるいは停車状態にある間に行われるため、S10では、車両が極低速より大きい車速での走行を開始したか否かが判定されることとなる。S10の判定に用いられる設定車速は、本実施形態では、S3の通常車高調整において自動調整モードに自動で復帰するか否かを判定する設定車速と同じ大きさに設定されている。S11の車高復帰制御は後に説明し、車高センサ故障時のマニュアル操作による車高調整を図3に示すルーチンに基づいて説明する。
【0039】
まず、S21において車速が設定車速以下であるか否かが判定される。この設定車速は極低速に設定されており、本実施形態においては、車高調整ルーチンのS10の判定に用いられる設定車速より小さい値に設定されている。S10の判定に用いられる設定車速を、S21の判定に用いられる設定車速と同じにしてもよい。車両が走行しており、その速度が極低速より大きいのであれば、S21の判定結果はNOになってルーチンの実行は終了する。車両が極低速走行状態にあり、あるいは停車状態にあれば、S21の判定結果がYESになってS22が実行され、車高センサ128が故障しているか否かの判定が行われる。本実施形態では、車両が極低速走行状態にあっても、停車状態にあっても、車高センサ故障時のマニュアル操作による車高調整が行われるようにされているのである。
【0040】
S22の判定はS1と同様に行われ、車高センサ128が故障していなければ、S22の判定結果はNOになってルーチンの実行は終了し、故障していれば、S22の判定結果がYESになってS23が実行され、フラグF1がセットされているか否かが判定される。車高強制減少制御が完了したか否かが判定されるのであり、完了していなければ、S23の判定結果はNOになってルーチンの実行は終了し、車高強制減少制御の完了が待たれる。本実施形態では、車高センサ128の故障時には、車両が走行中であるか停車中であるかに関係なく、まず、車高が強制的に減少させられ、その後、車速が設定車速以下の状態でマニュアル操作により車高が変更されるようにされているのである。
【0041】
車高強制減少制御が完了すれば、S23の判定結果がYESになってS24が実行され、マニュアル調整モードが選択されているか否かが判定される。マニュアル調整モードが選択されていなければ、S24の判定結果はNOになってルーチンの実行は終了し、車高調整は行われないのに対し、選択されていれば、S25以下のステップが実行され、マニュアル操作による車高調整が行われる。車高切替スイッチ122がハイの位置に切り替えられていれば、S25の判定結果がYESになってS26が実行され、車高増加制御が行われて車高が増加させられる。また、フラグF2がセットされ、車高センサ故障時の極低速走行状態あるいは停車状態においてマニュアル操作による車高調整が行われたことが記憶される。そして、S27が実行され、マニュアル操作による車高の増加時間がカウントされる。車高増加時間カウンタのカウント値Tupが1増加させられるのである。
【0042】
車高切替スイッチ122がローの位置に切り替えられていれば、S25の判定結果がNO、S28の判定結果がYESになってS29が実行され、車高減少制御が行われて車高が減少させられるとともに、フラグF2がセットされる。そして、S30が実行され、マニュアル操作による車高の減少時間がカウントされる。車高減少時間カウンタのカウント値Tdownが1増加させられるのである。また、車高切替スイッチ122がノーマルの位置に切り替えられていれば、S25,S28の判定結果がいずれもNOになってS31が実行され、車高が維持されるようにされる。
【0043】
このように車高センサ故障時の停車中にマニュアル操作による車高調整が行われる場合、車両が走行を開始させられ、車速が設定車速以上になれば、車高調整ルーチンのS10の判定結果がYESになってS11が実行され、車高がマニュアル操作によって変更される前の大きさに戻される。本実施形態においては、強制減少により得られた車高に復帰させられる。
【0044】
図4に示すフローチャートに基づいて車高復帰制御を説明する。
まず、S41においてフラグF3がセットされているか否かが判定される。フラグF3は、図示を省略するメインルーチンの初期設定等において0にリセットされ、1にセットされることにより、車高を復帰させるために車高変更装置10を作動させる時間である排出所要時間および供給所要時間(必要に応じて復帰所要時間と総称する)tが算出されたことを記憶する。フラグF3がリセットされていれば、S41の判定結果はNOになってS42が実行され、復帰所要時間tが算出される。
【0045】
排出,供給所要時間tは、前記車高増加時間Tupと車高減少時間Tdownとの少なくとも一方等に基づいて算出される。車高は、エアばね20,22のエア室にコンプレッサ80によって圧縮エアを供給することにより増加させられ、エア室からエアが排出されることにより減少させられる。したがって、車高を変更前の大きさに復帰させるためには、エア室に供給された量と同量のエアをエア室から排出させ、エア室から排出された量と同量のエアをエア室に供給すればよく、そのためにはマニュアル操作による車高調整時のエア室のエア量の変化量であある給排量がわかればよい。この給排量Vは(1)式で表される。
V=Qcomp・Tup+Qex・Tdown・・・(1)
ただし、Qcompは、コンプレッサ80の1秒あたりの圧縮エアの供給流量であって正の値とされる。供給流量Qcompは、大気圧に換算した流量である。Qexは、ハイトコントロールバルブ82およびエアソレノイドバルブ84が開かれた状態において、エア室からハイトコントロールバルブ82,絞り98,ドライヤ96およびエアソレノイドバルブ84を通って大気に流出するエアの1秒あたりの流量であり、負の値とされる。 (1)式においてTupおよびTdownは、車高増加時間カウンタ,車高減少時間カウンタの各カウント値に、車高センサ故障時マニュアル操作ルーチンの実行サイクルタイムを掛けることにより得られる時間(単位は秒)である。車高の増加のみが行われた場合には、V=Qcomp・Tupであって正であり、車高の減少のみが行われた場合には、V=Qex・Tdownであって負である。車高の増加と減少との両方が行われた場合には、V=Qcomp・Tup+Qex・Tdownであって、Qcomp・Tup,Qex・Tdownの各大きさに応じて、給排量Vが負,正あるいは0になる。
【0046】
給排量Vが正であれば、マニュアル操作の結果、車高が増加させられたのであり、車高を復帰させるためにはエアばね20,22のエア室からエアを排出させて車高を減少させればよく、(2)式によって排出所要時間tが決定される。この排出所要時間tは、車高をマニュアル操作による変更前の大きさに復帰させるための車高減少時間である。給排量Vが負であれば、マニュアル操作の結果、車高が減少させられたのであり、車高を復帰させるためにはエア室にエアを供給して車高を増加させればよく、(3)式によって供給所要時間tが決定される。この供給所要時間tは、車高をマニュアル操作による変更前の大きさに復帰させるための車高増加時間である。給排量Vが0であれば、復帰所要時間tは0とされる。t=V/Qex・・・(2)
t=V/Qcomp・・・(3)
【0047】
排出,供給所要時間、すなわち復帰所要時間tが算出されれば、S43が実行されてフラグF3がセットされる。次いでS44が実行され、復帰制御が行われる。この際、給排量Vが負であれば、車高が増加させられ、正であれば車高が減少させられる。給排量Vが0であれば、車高は維持される。次いでS45が実行され、復帰所要時間tが経過したか否かの判定が行われる。復帰所要時間tが経過するまでS45の判定結果はNOであり、ルーチンの1回の実行が終了する。なお、 (2)式および (3)式によって求められる排出,供給所要時間tはいずれも負の値であるが、S45においては排出,供給所要時間tの絶対値である時間が経過したか否かが判定される。S45において時間の経過は、復帰所要時間(排出,供給所要時間)tおよび車高復帰制御ルーチンの実行サイクルタイムに基づいて得られるカウント値をカウンタによってカウントすることにより計られる。最初にS45が実行される際、カウンタが0にリセットされて、時間のカウントが開始される。
【0048】
次にS41が実行されるとき、その判定結果はYESになってS42,S43がスキップされてS44が実行され、復帰制御が行われる。そして、復帰所要時間tが経過すれば、S45の判定結果はYESになってS46が実行され、復帰制御が終了させられる。ハイトコントロールバルブ82,エアソレノイドバルブ84が閉状態とされ、コンプレッサ80が非作動状態とされるのである。次いでS47が実行され、車高増加時間カウンタ,車高減少時間カウンタがリセットされるとともに、フラグF2,F3がリセットされる。そのため、復帰制御が終了した後は、車高調整ルーチンのS9の判定結果がNOになり、車高復帰制御が行われることがない。また、車高センサ128が故障したままの状態で車両が再び停止させられ、その停車時にマニュアルによる車高調整が行われれば、車高センサ故障時マニュアル操作ルーチンのS26とS29との少なくとも一方においてフラグF2がセットされることにより、車高調整ルーチンのS9の判定結果がYESになり、車速が設定車速以上になれば車高復帰制御が行われる。復帰所要時間tが0であれば、S45の判定が最初に行われるとき、その判定結果がYESになってS46,S47が実行される。
【0049】
なお、本実施形態においては、前記フラグF1,F2,車高増加時間カウンタ,車高減少時間カウンタは、制御装置12のコンピュータのRAMのバックアップ部に設けられ、電源がOFFにされてもデータが保存されるようにされている。そのため、例えば、車高センサ故障時の極低速走行状態あるいは停車状態においてマニュアル操作による車高調整が行われ、電源がOFFにされた場合、次に電源がONにされ、車両が走行を開始させられたとき、車高増加時間カウンタ,車高減少時間カウンタのカウント値等に基づいて、マニュアル操作により変更された車高が変更前の車高に復帰させられる。また、次に電源がONにされたとき、車高センサ128が故障したままであり、極低速走行状態あるいは停車状態であって、マニュアル操作による車高の調整が行われれば、車高増加時間,車高減少時間が続けてカウントされ、車速が設定車速以上になれば、車高復帰制御が行われる。車高センサ128の故障が解消されれば、S11の車高復帰制御は行われないが、自動調整モードにより車高が自動で調整されるようになるため、支障はない。
【0050】
このように車高センサ128の故障時には、車高が強制的に減少させられ、極低速走行状態あるいは停車状態では、マニュアル操作によって車高が調整されるとともに、走行開始後は変更前の車高に復帰させられるため、例えば、車両が凹凸の大きい不整地で停車させられた際に左右後輪の一方が凹部にはまり、車体が路面に接触することがあっても、車高を増大させて後輪の凹部からの脱出を図ることができる。そして、走行開始後は、車高をマニュアル操作による変更前の高さに戻すことにより、強制的に減少させられた高さに戻され、走行安定性が確保される。
【0051】
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、車高切替スイッチ122がマニュアル操作部材を構成し、エアばね20,22がアクチュエータを構成し、コンプレッサ80がポンプを構成し、ハイトコントロールバルブ82およびエアソレノイドバルブ84が流出許容装置を構成し、これらが作動装置を構成している。また、制御装置12のS24ないしS26,S28およびS29を実行する部分が故障時第一車高変更部を構成し、S11を実行する部分が車高復帰部を構成し、S27,S30を実行する部分が作動時間検出部を構成し、車高増加時間カウンタおよび車高減少時間カウンタが作動時間記憶部を構成し、S42を実行する部分が車高増加時間決定部および車高減少時間決定部を構成し、S3を実行する部分のうち、車速が設定車速以上である場合には自動調整モードが行われるようにされた部分がモード自動復帰部を構成し、S6を実行する部分が故障時車高強制減少部を構成している。
【0052】
なお、本発明は、エア以外の作動流体、例えば、作動油を用いた油圧式車高調整装置にも適用することができる。油圧式車高調整装置は、例えば、特開平11−190629号公報に開示されているように、油圧シリンダおよび油圧ポンプを備え、作動油給排装置による油圧シリンダへの作動油の供給および排出により車高が調整されるように構成されるとともに、油圧シリンダは、コイルスプリング,可変オリフィスおよびアキュムレータと協働して、車輪に対して車体を弾性的に支承するとともに車体の振動を減衰させるショックアブソーバとしても機能する。油圧式車高調整装置においては、流体圧シリンダの一種である油圧シリンダがアクチュエータを構成し、作動油給排装置において、開状態において作動油のリザーバへの排出を許容する弁が流出許容装置を構成する。
【0053】
また、車高センサの故障時に車高を強制的に減少させることは不可欠ではなく、車高強制減少制御は省略してもよい。
【0054】
さらに、上記実施形態においては、車高切替スイッチ122が、自動調整モードにおいて目標車高を選択する目標車高選択部材と、マニュアル調整モードにおいて作動装置を作動させるマニュアル操作部材とを兼ねていたが、これらは別々に設けてもよい。
【0055】
また、本発明は、左右後輪の車高調整と共に、あるいはそれに代えて左右前輪側について車高を調整する車高調整システムに適用することができる。複数の車輪について車高を調整する場合、それら車輪の各々について車高センサおよび作動装置を設け、車高が独立して調整されるようにしてもよい。
【0056】
以上、本発明のいくつかの実施形態を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、本発明は、前記〔発明が解決しようとする課題,課題解決手段および効果〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の実施形態である車高調整装置を概略的に示す回路図である。
【図2】上記車高調整装置を構成する制御装置の主体を成すコンピュータのROMに記憶された車高調整ルーチンを示すフローチャートである。
【図3】上記コンピュータのROMに記憶された車高センサ故障時マニュアル操作ルーチンを示すフローチャートである。
【図4】上記コンピュータのROMに記憶された車高復帰制御ルーチンを示すフローチャートである。
【符号の説明】
10:車高変更装置 12:制御装置 20,22:エアばね 24:エア給排装置 80:コンプレッサ 82:ハイトコントロールバルブ 84:エアソレノイドバルブ 120:車高調整モード切替スイッチ 122:車高切替スイッチ

Claims (4)

  1. 車両の車高を調整可能な作動装置と、実際の車高である実車高を検出する車高センサと、その車高センサにより検出された車高である検出車高が目標車高と等しくなるように前記作動装置を制御する制御装置とを含む車高調整装置であって、
    前記制御装置が、
    前記車高センサが故障状態にあり、かつ、極低速走行状態と停車状態との少なくとも一方の状況にある間にマニュアル操作部材の操作に応じて前記作動装置を作動させ、前記実車高を変更する故障時第一車高変更部と、
    前記車両が走行を開始した後に、前記作動装置を作動させ、前記実車高を、前記故障時第一車高変更部による実車高の変更前の大きさに近づく向きに変更する故障時第二車高変更部
    含むことを特徴とする車高調整装置。
  2. 前記故障時第二車高変更部が、前記実車高を、前記故障時第一車高変更部による変更前の大きさに戻す車高復帰部を含むことを特徴とする請求項1に記載の車高調整装置。
  3. 車両の車高を調整可能な作動装置と、実際の車高である実車高を検出する車高センサと、その車高センサにより検出された車高である検出車高が目標車高と等しくなるように前記作動装置を制御する制御装置とを含む車高調整装置であって、
    前記制御装置が、
    前記車高センサが故障状態にあり、かつ、極低速走行状態と停車状態との少なくとも一方の状況にある間にマニュアル操作部材の操作に応じて前記作動装置を作動させ、前記実車高を変更する故障時第一車高変更部と、
    その故障時第一車高変更部により前記作動装置が前記実車高を減少させるために作動させられた時間である第一車高減少時間と、実車高を増加させるために作動させられた時間である第一車高増加時間との少なくとも一方を記憶する作動時間記憶部と、
    前記車両が走行を開始した後に、少なくとも前記作動時間記憶部に記憶されている前記第一車高減少時間に基づいて決まる時間である第二車高増加時間、前記実車高を増加させるべく前記作動装置を作動させることと、少なくとも前記第一車高増加時間に基づいて決まる時間である第二車高減少時間、実車高を減少させるべく作動装置を作動させることとの少なくとも一方を行う故障時第二車高変更部と
    を含むことを特徴とする車高調整装置。
  4. 車両の車高を調整可能な作動装置と、実際の車高である実車高を検出する車高センサと、その車高センサにより検出された車高である検出車高が目標車高と等しくなるように前記作動装置を制御する制御装置とを含む車高調整装置であって、
    前記作動装置が、
    輪と車体との相対距離を変更するアクチュータと、
    のアクチュエータに作動流体を供給するポンプと、
    前記アクチュエータから前記作動流体の流出を許容する流出許容装置
    含み、前記制御装置が、
    前記車高センサが故障状態にあり、かつ、極低速走行状態と停車状態との少なくとも一方の状況にある間にマニュアル操作部材の操作に応じて前記作動装置を作動させ、前記実車高を変更する故障時第一車高変更部と、
    記車両が走行を開始した後に、(a)前記故障時第一車高変更部により前記作動装置が前記実車高を減少させるために作動させられた時間である車高減少時間と、前記流出許容装置により排出される前記作動流体の流量である排出流量と、前記ポンプにより供給される前記作動流体の流量である供給流量とに基づいて決まる時間、前記実車高を増加させるべく前記作動装置を作動させることと、(b)前記故障時第一車高変更部により前記作動装置が前記実車高を増加させるために作動させられた時間である車高増加時間と前記排出流量と前記供給流量とに基づいて決まる時間、実車高を減少させるべく前記作動装置を作動させることとの少なくとも一方を行う故障時第二車高変更部
    含むことを特徴とする車高調整装置。
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