JP2001260868A - 液圧制御装置 - Google Patents

液圧制御装置

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JP2001260868A
JP2001260868A JP2000075459A JP2000075459A JP2001260868A JP 2001260868 A JP2001260868 A JP 2001260868A JP 2000075459 A JP2000075459 A JP 2000075459A JP 2000075459 A JP2000075459 A JP 2000075459A JP 2001260868 A JP2001260868 A JP 2001260868A
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hydraulic pressure
pressure
power
hydraulic
valve
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JP2000075459A
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English (en)
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Eiji Nakamura
栄治 中村
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】電磁制御弁の制御によりブレーキ液圧を制御す
る液圧制御装置において、温度変化に起因するブレーキ
液圧の制御精度の低下を抑制する。 【解決手段】増圧リニアバルブ162は、差圧作用力F
1 とソレノイド力F2 との合力がスプリング174の弾
性力F3 より大きいか否かにより開閉させられる。この
場合において、ソレノイド力F2 の下限値は、コイル1
78に実際に流れる電流の下限値によって決まり、FE
T242の下限パルス幅によって決まる。また、コイル
178に実際に流れる電流は、温度が低く、抵抗が小さ
い場合に大きくなり、発生させられるソレノイド力F2
が大きくなる。そこで、温度が低い場合に、動力式液圧
源12の液圧を低くして差圧作用力F1 を小さくすれ
ば、ソレノイド力F2 を小さくしなくても合力を所要の
大きさに制御し得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、液圧により作動さ
せられる液圧作動装置の液圧を制御する液圧制御装置に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】液圧作動装置としてのブレーキのブレー
キシリンダの液圧を制御するブレーキ液圧制御装置の一
例が特開平7−117647号公報に記載されている。
この公報に記載の液圧制御装置は、(1) 動力により液圧
を発生させる動力式液圧源と、(2) その動力式液圧源と
ブレーキシリンダとの間に設けられ、自身への供給電流
のON/OFFにより開閉させられる電磁制御弁とを含
む。ブレーキシリンダの液圧は、電磁制御弁への供給電
流のON/OFF制御により制御されるのであるが、供
給電流のON時間が温度が低い場合は高い場合より短く
される。温度が低い場合は抵抗が小さくなるため、温度
が高い場合と低い場合とでON時間を同じにすると、温
度が低い場合の方が、1回のON時間の間におけるブレ
ーキ液圧の変化量が大きくなる。そこで、温度が低い場
合には高い場合よりON時間を短くすれば、温度が高い
場合と低い場合とで、1回のON時間の間におけるブレ
ーキ液圧の変化量をほぼ同じにすることができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題,課題解決手段および効
果】本発明は、電磁制御弁の制御により液圧作動装置の
液圧を制御する液圧制御装置における温度変化等に起因
する液圧制御精度の低下を、別の方法によって抑制する
ことにある。上記課題は、液圧制御装置を下記各態様の
構成のものとすることによって解決される。各態様は、
請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要
に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これ
は、本発明の理解を容易にするためであり、本明細書に
記載の技術的特徴およびそれらの組合わせが以下の各項
に限定されると解釈されるべきではない。また、1つの
項に複数の事項が記載されている場合、常に、すべての
事項を一緒に採用しなければならないものではなく、一
部の事項のみを取り出して採用することも可能である。 (1)動力により液圧を発生させる動力式液圧源と、そ
の動力式液圧源と、液圧により作動する液圧作動装置と
の間に設けられ、これら動力式液圧源の液圧と液圧作動
装置の液圧との差に応じた差圧作用力と、自身への供給
電流に応じた電磁駆動力との合力の大きさが予め定めら
れた設定値より大きいか否かにより開閉する電磁制御弁
とを含み、前記電磁制御弁への供給電流を制御すること
によって、前記液圧作動装置の液圧を制御する液圧制御
装置。本項に記載の液圧制御装置においては、液圧作動
装置の液圧が動力式液圧源の液圧を利用して電磁制御弁
の制御により制御される。液圧作動装置は、例えば、車
輪とともに回転するブレーキ回転体に摩擦部材をブレー
キシリンダの液圧により押し付けることによって、車輪
の回転を抑制するブレーキとしたり、液圧によりマスタ
シリンダの加圧ピストンにブレーキ操作力に応じた助勢
力を加える助勢装置としたりすることができる。また、
制限量が液圧により制御可能な差動制限装置とする等ブ
レーキ装置以外の装置に適用することもできる。本項に
おける電磁制御弁は、差圧作用力と電磁駆動力とが共に
0の場合に閉状態にある常閉弁でも、開状態にある常開
弁でもよい。いずれにしても、差圧作用力と電磁駆動力
との合力の大きさが設定値より大きいか否かにより開閉
させられるが、設定値は、電磁制御弁の可動部材を付勢
するスプリングの弾性力によって決まることが多い。ま
た、電磁制御弁に作用する差圧作用力と電磁駆動力と
は、同じ向きの力であっても、互いに逆向きの力であっ
てもよい。いずれにしても、合力の制御により電磁制御
弁の開閉を制御することができ、液圧作動装置の液圧を
制御することができる。合力は、差圧作用力と電磁駆動
力との少なくとも一方の制御により制御される。 (2)動力により液圧を発生させる動力式液圧源と、そ
の動力式液圧源と、液圧により作動する液圧作動装置と
の間に設けられ、自身への供給電流に応じた開度で作動
液の流れを許容する電磁制御弁とを含み、前記電磁制御
弁への供給電流を制御することによって、前記液圧作動
装置の液圧の変化勾配を制御する液圧制御装置。本項に
記載の電磁制御弁においては、供給電流に応じた開度で
作動液の流れが許容される。電磁制御弁自身の前後の差
圧が同じ場合には、開度が大きい場合は小さい場合よ
り、許容される作動液流量が大きくなる。また、開度が
同じである場合には、前後の差圧(動力式液圧源と液圧
作動装置との間の液圧差)が大きい場合は小さい場合よ
り作動液流量が大きくなる。なお、本項に記載の電磁制
御弁は、(1) 項に記載のように、常開弁であっても常閉
弁であってもよい。また、液圧作動装置も、ブレーキ,
助勢装置,差動制限装置等とすることができる。 (3)当該液圧制御装置に接続された電源装置の状態と
前記電磁制御弁の状態との少なくとも一方に基づいて前
記動力式液圧源の液圧を制御する液圧源制御装置を含む
(1) 項または(2) 項に記載の液圧制御装置(請求項1,
請求項2)。本項に記載の液圧制御装置においては、動
力式液圧源の液圧が電磁制御弁の状態と電源装置の状態
との少なくとも一方に基づいて制御される。電磁制御弁
の状態や電源装置の状態には、電磁制御弁に実際に流れ
る電流(実際に流れる電流によって電磁駆動力や開度が
決まる)に影響を及ぼす状態が該当し、具体的には、電
磁制御弁の抵抗や、電源装置の電圧等が該当する。液圧
源制御装置は、電磁制御弁の状態と電源装置の状態との
少なくとも一方を検出する状態検出装置を含むが、状態
検出装置は、これらの状態を直接検出するものであって
も、間接的に検出するものであってもよい。例えば、電
磁制御弁の抵抗自体を検出するものであっても、電磁制
御弁の温度あるいは周辺温度を検出するものであっても
よいのであり、前述のように、電磁制御弁の温度と抵抗
との間には一定の関係が存在するため、温度を検出すれ
ば抵抗を推定することができる。本項に記載の構成を
(1) 項に記載の液圧制御装置に採用した態様が請求項1
の態様に対応し、動力式液圧源の液圧の制御により差圧
作用力が制御され、それによって合力が制御される。例
えば、電磁駆動力の制御可能範囲の下限値や上限値が決
まっている場合には、電磁駆動力を下限値より小さい値
や上限値より大きい値に制御することはできない。この
場合に、差圧作用力を制御すれば、電磁駆動力を下限値
より小さくしたり、上限値より大きくしたりしなてくて
も、合力を所要の大きさに制御することができるのであ
り、液圧作動装置の液圧を所要の高さに制御することが
可能となる。その場合、下限値や上限値が予め決まって
いれば、それに応じて動力式液圧源の液圧を予め設定し
ておくことができるが、これら下限値や上限値が電磁制
御弁の状態や電源装置の状態によって変わる場合があ
る。その場合には、動力式液圧源の液圧が電磁制御弁の
状態や電源装置の状態に基づいて制御されるようにすれ
ば、電磁駆動力を下限値より小さくする要求が生じた場
合や上限値より大きくする要求が生じた場合にも合力を
所要の大きさに制御することが可能となる。また、供給
電流の制御指令値(後述するパルス幅変調制御のパルス
幅がその一例である)と電磁駆動力(実際に流れる電
流)との関係が、電磁制御弁の状態や電源装置の状態等
によって変わる場合がある。電流の制御指令値が同じで
あっても、発生させられる電磁駆動力が異なることがあ
るのである。この場合に、電磁制御弁の状態や電源装置
の状態の変化に基づく電磁駆動力の変化分だけ、動力式
液圧源の液圧を制御することによって差圧作用力を変化
させれば、電流の制御指令値と実際値との相違の影響を
排除し、あるいは低減することができる。本 (3)項の構
成を(2) 項に記載の液圧制御装置に採用した態様が請求
項2の態様に対応し、動力式液圧源の液圧の制御により
電磁制御弁の前後の差圧が制御され、電磁制御弁開度、
ひいては電磁制御弁を流れる作動液流量が制御される。
例えば、電流の制御指令値と開度(実際に流れる電流)
との関係が、電磁制御弁の状態や電源装置の状態によっ
て変わり、制御指令値が同じであっても開度が異なる場
合に、動力式液圧源の液圧の制御により前後の差圧を制
御すれば、作動液流量が所要流量になるようにすること
ができる。このように、本項に記載の液圧制御装置にお
いては、電磁制御弁を制御する際に、従来の液圧制御装
置におけるように供給電流のみが制御されるのではな
く、前後の差圧も制御される。その結果、温度変化等に
起因する液圧作動装置の液圧の制御精度の低下を抑制す
ることができる。 (4)前記動力式液圧源が、作動液を加圧して吐出する
ポンプと、そのポンプを駆動するポンプモータとを含
み、前記液圧源制御装置が、前記ポンプモータの制御条
件を前記電磁制御弁の状態と前記電源装置の状態との少
なくとも一方に基づいて決定するモータ制御条件決定部
と、そのモータ制御条件決定部によって決定されたモー
タ制御条件に従って、前記ポンプモータを制御するモー
タ制御部とを含む(3) 項に記載の液圧制御装置(請求項
3)。動力式液圧源が、ポンプとそのポンプを駆動する
ポンプモータとを含むポンプ装置である場合には、ポン
プモータの制御によりポンプ装置の液圧を制御すること
ができる。この場合において、ポンプモータの制御条件
が電磁制御弁の状態と電源装置の状態との少なくとも一
方に基づいて決定されれば、これら状態に基づいて前後
の差圧を制御することができる。制御条件は、電磁制御
弁の状態と電源装置の状態との少なくとも一方の変化に
応じて連続的に変化するように決定しても、段階的に変
化するように決定してもよい。 (5)前記動力式液圧源が、さらに、前記ポンプから供
給された作動液を蓄えるアキュムレータを含み、前記モ
ータ制御条件決定部が、前記ポンプモータの起動・停止
条件を前記電磁制御弁の状態と前記電源装置の状態との
少なくとも一方に基づいて決定する起動・停止条件決定
部を含み、前記モータ制御部が、その起動・停止条件決
定部によって決定された前記起動・停止条件を前記モー
タ制御条件として前記ポンプモータを制御するモータ起
動・停止制御部を含む(4) 項に記載の液圧制御装置(請
求項4)。ポンプモータが起動させられ,ポンプが駆動
されれば、ポンプから吐出された作動液はアキュムレー
タに供給される。また、ポンプモータが停止させられ、
ポンプが停止させられれば、アキュムレータへの作動液
の供給も停止させられる。この意味において、ポンプモ
ータの起動・停止条件はアキュムレータへの作動液の蓄
圧開始・停止条件であると考えることができる。また、
動力式液圧源がアキュムレータを含む場合は、アキュム
レータに蓄えられる作動液の液圧が予め定められた設定
範囲内にあるようにポンプモータが制御される場合が多
く。この場合には、アキュムレータ圧が設定範囲の下限
値以下になった場合に起動条件が成立し、設定範囲の上
限値以上になった場合に停止条件が成立するとすること
ができる。なお、起動条件と停止条件との両方が、電磁
制御弁の状態と電源装置の状態との少なくとも一方に基
づいて変化するように決定しても、いずれか一方が変化
するように決定してもよい。 (6)前記モータ制御条件決定部が、前記アキュムレー
タに蓄えられた作動液の液圧の範囲を決定するアキュム
レータ圧範囲決定部を含み、前記モータ制御部が、前記
アキュムレータの液圧がその決定された範囲の下限値以
下になった場合に起動条件が成立したとして、前記ポン
プモータを起動させ、前記設定範囲の上限値以上になっ
た場合に停止条件が成立したとして、前記ポンプモータ
を停止させるものである(5) 項に記載の液圧制御装置。 (7)前記液圧源制御装置が、前記電磁制御弁の温度と
前記電源装置の電圧との少なくとも一方に基づいて前記
動力式液圧源の液圧を制御するものである(3) 項ないし
(6) 項のいずれか1つに記載の液圧制御装置(請求項
5)。電磁制御弁の温度や電源装置の電圧は、電磁制御
弁に流れる電流に及ぼす影響が大きい。動力式液圧源の
液圧の制御は、電磁制御弁の温度の変化に伴って連続的
に変化させても段階的に変化させてもよい。段階的な変
化には、電磁制御弁の温度が電磁制御弁に実際に流れる
電流への影響が大きいとされる温度以下である場合と温
度以上である場合とで、異なる制御が行われるようにす
る場合も該当する。電源装置の電圧に基づく制御につい
ても同様である。 (8)前記動力式液圧源が、前記作動液を加圧して吐出
するポンプと、そのポンプを駆動するポンプモータとを
含み、当該液圧制御装置が、前記ポンプモータに接続さ
れた電源装置の状態と前記動力式液圧源の状態との少な
くとも一方に基づいて前記ポンプモータを制御するモー
タ制御部を含む(1) ないし(7) 項のいずれか1つに記載
の液圧制御装置。動力式液圧源の状態や電源装置の状態
は、動力式液圧源の液圧に影響を及ぼす状態であり、例
えば、動力式液圧源の温度や電源装置の電圧等が該当す
る。電源装置の電圧が低い場合はポンプから吐出される
作動液の液圧が低くなったり、作動液流量が少なくなっ
たりする。また、動力式液圧源の温度が低い場合は、作
動液の粘性が高くなり、作動液が流れ難くなる。そのた
め、動力式液圧源がアキュムレータを含む場合には、ア
キュムレータに作動液が供給され難くなり、作動液が不
足気味になる。そこで、これらの状態に基づいてポンプ
モータを制御すれば、動力式液圧源の液圧への影響を小
さくすることができる。また、アキュムレータにおける
作動液不足を抑制することができる。 (9)当該液圧制御装置が、さらに、前記ポンプモータ
の制御条件を、前記電源装置の電圧と前記動力式液圧源
の温度との少なくとも一方に基づいて決定するモータ制
御条件決定部を含む(8) 項に記載の液圧制御装置。例え
ば、ポンプモータの起動条件を動力式液圧源の温度の低
下や電源装置の電圧の低下に伴って緩くすれば、ポンプ
モータの作動頻度を高くすることができる。また、動力
式液圧源がアキュムレータを含む場合において、ポンプ
モータの起動条件を動力式液圧源の温度の低下や電源装
置の電圧の低下に伴って緩くすれば、上述のように、ポ
ンプモータの作動頻度を高くすることができるため、ア
キュムレータにおける作動液不足を抑制することができ
る。この場合において、温度や電圧とは関係なく常に起
動条件を緩くすれば、アキュムレータにおける作動液不
足を抑制できるのであるが、かえってポンプモータの寿
命が短くなり望ましくない。そこで、動力式液圧源の温
度が設定温度以下になった場合や電源装置の電圧が設定
電圧以下になった場合等のアキュムレータにおける作動
液不足が生じると予測される場合、作動液不足が生じる
可能性が高いと予測される場合、作動液不足が現実に生
じた場合等に緩くすれば、ポンプモータの寿命が短くな
ることを回避しつつ、作動液不足を抑制することができ
る。 (10)当該液圧制御装置が、前記動力式液圧源を、前
記電磁制御弁への供給電流が、前記電磁制御弁の状態と
その電磁制御弁に接続された電源装置の状態との少なく
とも一方に基づいて決まる電流下限値以下にならないよ
うに制御する液圧源制御装置を含む(1) 項ないし(9) 項
のいずれか1つに記載の液圧制御装置。電磁制御弁に流
れる電流の下限値が、電磁制御弁の状態や電源装置の状
態等によって決まることが多い。この場合に、所要電流
が電流下限値より小さいためにそれ以下に制御すること
ができない場合であっても、電磁制御弁前後の液圧差を
制御すれば、(1) 項に記載の液圧制御装置においては、
合力の大きさを所要の大きさに制御することができ、
(2) 項に記載の液圧制御装置においては、作動液流量を
所要の大きさに制御することができる。いずれにして
も、電磁制御弁の状態や電源装置の状態の変化に起因す
る液圧作動装置の液圧の制御精度の低下を抑制すること
ができる。 (11)前記電磁制御弁が、弁座と、その弁座に対し
て接近・離間可能に設けられた弁子と、弁子を弁座に着
座させる方向に付勢するスプリングとを含むシーティン
グ弁と、コイルを含み、コイルへの供給電流に応じ
て、前記弁子を弁座から離間させる方向の電磁駆動力を
発生させるソレノイドとを含み、前記動力式液圧源と液
圧作動装置との液圧差が前記弁子を弁座から離間させる
方向に作用する状態で設けられた常閉弁である(1) 項な
いし(10)項のいずれか1つに記載の液圧制御装置。動力
式液圧源の液圧は液圧作動装置の液圧より高いのが普通
であるため、本項に記載の電磁制御弁は液圧作動装置の
液圧を増圧制御する増圧制御弁と称することができる。 (12)動力により液圧を発生させる動力式液圧源と、
その動力式液圧源に接続され、自身の前後の差圧に応じ
た差圧作用力と、自身への供給電流に応じた電磁駆動力
との合力の大きさが予め定められた設定値より大きいか
否かにより開閉する電磁制御弁と、その電磁制御弁への
供給電流をパルス幅変調により制御するが、パルス幅が
下限パルス幅以下には制御不可能である電流制御装置
と、前記電磁制御弁の前後の差圧に基づいて決まる所要
電流が、前記電流制御装置が前記下限パルス幅でパルス
幅変調制御を行った場合に現実に電磁制御弁に流れる電
流より小さい場合に、前記動力式液圧源の液圧を制御す
ることによって前記差圧作用力を変化させる液圧源制御
装置とを含むことを特徴とする液圧制御装置(請求項
6)。電磁制御弁への供給電流の下限値は、電流制御装
置の下限パルス幅によって決まる。しかし、その下限パ
ルス幅でパルス幅変調制御が行われる場合であっても、
電磁制御弁に実際に流れる電流が常に同じであるとは限
らず、発生させられる電磁駆動力が同じであるとは限ら
ない。この場合において、所要電流が、下限パルス幅で
パルス幅変調制御が行われた場合に実際に流れる電流
(以下、下限パルス幅対応電流と称する)より小さい場
合には、電磁駆動力をそれより小さくすることができ
す、合力を所要の大きさに制御できない。そこで、動力
式液圧源の液圧を制御して差圧作用力を制御すれば、電
磁駆動力を小さくしなくても合力を所要の大きさに制御
することができるのである。動力式液圧源の制御は、所
要電流が下限パルス幅対応電流より小さい場合に常に行
う必要は必ずしもなく、所要電流が下限パルス幅対応電
流より小さく、かつ、予め定められた条件が満たされた
場合に行われるようにすることができる。例えば、所要
電流が下限パルス幅対応電流より設定量以上小さい場合
等に行われるようにするのである。また、所要電流が、
現実に下限パルス幅対応電流より小さいことを検出しな
くても、小さい可能性があると予測される場合、小さい
可能性が高いと予測される場合等に動力式液圧源の液圧
が制御されるようにすることもできる。小さくなると予
測された場合であって、実際に電磁制御弁の制御が開始
される前に動力式液圧源の液圧が制御されるようにすれ
ば、差圧作用力の制御遅れを小さくすることができる。
本項に記載の液圧制御装置には、(1) 項ないし(11)項の
いずれか1つに記載の技術的特徴を採用することができ
る。
【0004】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態である
液圧制御装置を含むブレーキ装置について図面に基づい
て詳細に説明する。図1において、10はブレーキ操作
部材としてのブレーキペダルであり、12は動力に応じ
た液圧を発生させる動力式液圧源であり、14はハイド
ロブースタ付きマスタシリンダである。動力式液圧源1
2と、左右前輪16のブレーキ18のブレーキシリンダ
20と、左右後輪24のブレーキ26のブレーキシリン
ダ28との間には、それぞれ、リニアバルブ装置30,
32が設けられている。ブレーキシリンダ20,28の
液圧は、動力式液圧源12の液圧を利用して、リニアバ
ルブ装置30,32の制御により制御される。
【0005】動力式液圧源12は、ポンプ50と、ポン
プ50を駆動するポンプモータ52と、ポンプ50によ
って吐出された作動液を蓄えるアキュムレータ54と、
アキュムレータ54の液圧を検出する液圧センサ56
と、ポンプ50の吐出側に設けられた逆止弁58とを含
む。逆止弁58により、ポンプ50の吐出口への作動液
の逆流が阻止される。ポンプモータ52は、液圧センサ
56によって検出されたアキュムレータ圧が予め定めら
れた設定範囲内にあるように制御される。本実施形態に
おいては、図9に示すように、液圧センサ56による検
出液圧が設定範囲の下限値以下になるとポンプモータ5
2が起動させられ、上限値以上になると停止させられ
る。このアキュムレータ圧の設定範囲の下限値,上限値
は、ポンプモータ52の起動条件,停止条件に対応す
る。また、下限値,上限値をそれぞれ蓄圧開始圧(ポン
プON圧Pon),蓄圧停止圧(ポンプOFF圧Poff )
と称することができる。なお、ポンプ50の吐出側と吸
入側との間にはリリーフ弁60が設けられ、ポンプ50
の吐出圧が過大になることが回避される。
【0006】ハイドロブースタ付きマスタシリンダ14
は、調圧部70とマスタシリンダ部72とを含む。調圧
部70は、動力式液圧源12の液圧を利用してブレーキ
操作力に応じた液圧を発生させるものであり、マスタシ
リンダ部72は、ブレーキペダル10に連携させられた
加圧ピストンを含み、加圧ピストンの前方の加圧室74
には、調圧部70の液圧によって加圧ピストンに加えら
れたブレーキ操作力が倍力された高さの液圧が発生させ
られる。これら調圧部70,加圧室74の各々からはそ
れぞれ液通路80,82が延び出させられている。ま
た、左右後輪24のそれぞれのブレーキシリンダ28は
連通路84によって接続され、左右前輪16のそれぞれ
のブレーキシリンダ20は連通路86によって接続され
る。したがって、左右後輪24のブレーキシリンダ28
は、液通路80,連通路84によって調圧部70に接続
され、左右前輪16のブレーキシリンダ20は、液通路
82,連通路86によって加圧室74に接続されること
になる。
【0007】液通路80,82の途中にはそれぞれマス
タ遮断弁100,102が設けられ、2つのブレーキシ
リンダを接続する連通路84,86には、それぞれ連通
弁104,106が設けられている。マスタ遮断弁10
2,100は、ブレーキシリンダ20,28の液圧がリ
ニアバルブ装置30,32の制御により制御される場合
(動力式液圧源12の液圧により作動させられる場合)
には閉状態とされ、ブレーキシリンダ20,28がハイ
ドロブースタ付きマスタシリンダ14から遮断される。
この状態においては、連通弁106,104も閉状態と
され、2つのブレーキシリンダ20,2つのブレーキシ
リンダ28が互いに分離され、それぞれ、液圧が独立に
制御可能とされる。これらマスタ遮断弁102,10
0、連通弁106,104が開状態とされれば、加圧室
74と左右前輪16のブレーキシリンダ20とが連通さ
せられるとともに調圧部70と左右後輪24のブレーキ
シリンダ28とが連通させられ、ハイドロブースタ付き
マスタシリンダ14の液圧によりブレーキ16,26が
作動させられる。
【0008】また、液通路82の途中には、ストローク
シミュレータ156が電磁開閉弁158を介して接続さ
れている。電磁開閉弁158は、マスタ遮断弁102,
100が閉状態とされて、ブレーキシリンダ20,28
がハイドロブースタ付きマスタシリンダ14から遮断さ
れた状態にある場合は開状態とされ、加圧室74とスト
ロークシミュレータ156とが連通させられる。加圧室
74の作動液がストロークシミュレータ156に供給さ
れることにより、運転者によるブレーキストロークが殆
ど0になることが回避される。さらに、マスタ遮断弁1
02,100が開状態にある場合は閉状態とされ、加圧
室74の作動液がストロークシミュレータ156に供給
されることが回避される。
【0009】リニアバルブ装置30,32は、それぞ
れ、動力式液圧源12とブレーキシリンダ20,28と
を接続する液通路160の途中に設けられた増圧用リニ
アバルブ162と、ブレーキシリンダ20,28とマス
タリザーバ163とを接続する液通路164の途中に設
けられた減圧用リニアバルブ166とを含む。これらリ
ニアバルブ装置30,32は構造が同じものであるた
め、リニアバルブ装置30について説明し、リニアバル
ブ装置32についての説明を省略する。
【0010】図2に示すように、増圧用リニアバルブ1
62は、弁座170と、その弁座170に対して接近・
離間可能に設けられた弁子172と、弁子172を弁座
170に着座させる向きに付勢するスプリング174と
を含むシーティング弁176と、コイル178を含み、
コイル178への電流の供給によりソレノイド力を発生
させるソレノイド180とを含む。また、図に示すよう
に、増圧用リニアバルブ162は、自身の前後の差圧
(厳密にいえば、液通路160の高圧側の液圧と低圧側
の液圧の差であるが、動力式液圧源12の液圧とブレー
キシリンダ20の液圧との差であると考えることもでき
る)による差圧作用力が弁子172を弁座170から離
間させる向きに作用する状態で設けられている。スプリ
ング174の弾性力は、ブレーキシリンダ20の液圧が
ほぼ大気圧であり動力式液圧源12の液圧が高く、前後
の差圧が最大となっても、閉状態を保ち得る大きさとさ
れている。このように、増圧用リニアバルブ162は、
コイル178に電流が供給されない間は、スプリング1
74の弾性力により弁子172が弁座170に着座させ
られた状態に保たれる常閉弁である。
【0011】増圧用リニアバルブ162には、弁子17
2を弁座170から離間させる向きに、前後の差圧に応
じた差圧作用力F1 と、コイル178への供給電流に応
じたソレノイド力F2 とが作用し、弁子172を弁座1
70に着座させる向きにスプリング174の弾性力F3
が作用する。したがって、これらの力の関係によって弁
子172の弁座170に対する相対位置が決まるのであ
り、差圧作用力F1 とソレノイド力F2 との合力の大き
さとスプリング174の弾性力F3 の大きさとが釣り合
えば、シーティング弁176が丁度閉状態にされる。ま
た、合力の大きさが弾性力F3 の大きさより大きい場合
は、弁子172は弁座170から離間させられ、シーテ
ィング弁176は開状態にされるのであるが、弁子17
2と弁座170との間の距離が小さく開度が小さい場合
は、シーティング弁176を流れる作動液の流量は小さ
くなり、ブレーキシリンダ20の液圧の増圧勾配が小さ
くなる。また、距離が大きく開度が大きい場合は、シー
ティング弁176を流れる作動液流量が大きくなり、ブ
レーキシリンダ20の液圧の増圧勾配が大きくなる。減
圧リニアバルブ166は、増圧リニアバルブ162と構
造は同じものであるが、前述のように、ブレーキシリン
ダ20,28とマスタリザーバ163とを接続する液通
路164の途中に設けられている。そのため、減圧リニ
アバルブ166の前後の差圧はブレーキシリンダ20,
28の液圧とマスタリザーバ163の液圧との差圧とな
り、これら差圧はほぼブレーキシリンダ20,28の液
圧と同じであると考えることができる。
【0012】本ブレーキ装置は、図3に示すブレーキE
CU190によって制御される。ブレーキECU190
は、PU192,ROM193,RAM194,I/O
ポート195等を含むコンピュータを主体とする制御部
196を含む。制御部196のI/Oポート195に
は、前述の動力式液圧源12の液圧を検出する液圧セン
サ56、ブレーキスイッチ210、ストロークセンサ2
11,212、リニアバルブ装置30,32の上流側
(高圧側)の液圧を検出する液圧センサ214、加圧室
74,調圧部70の液圧をそれぞれ検出するマスタ圧セ
ンサ216,218、ブレーキシリンダ20,28の液
圧をそれぞれ検出する液圧センサ220,222、リニ
アバルブ装置30,32の温度を検出するバルブ温度セ
ンサ224、動力式液圧源12の温度を検出する液圧源
温度センサ226等が接続されている。
【0013】液圧センサ214による検出液圧は、液圧
センサ56による検出液圧(動力式液圧源12の液圧)
とほぼ同じであるが、動力式液圧源12の液圧より、液
通路160の動力式液圧源12と増圧リニアバルブ16
2との間における圧力損失分だけ小さい高さとなる。リ
ニアバルブ装置30,32の制御において、液圧センサ
214による検出液圧を使用すれば、液圧センサ56に
よる検出液圧を使用する場合より、増圧用リニアバルブ
162の上流側の液圧を精度よく検出することができ、
ブレーキ液圧の制御精度を向上させることができる。ま
た、バルブ温度センサ224は、増圧用リニアバルブ1
62の本体の温度を検出するものであっても、リニアバ
ルブ装置30が含まれるユニットの温度を検出するもの
であっても、増圧用リニアバルブ162近傍の作動液の
温度を検出するものであってもよい。本体の温度を検出
する場合には、本体のソレノイド180の近傍部分の温
度を検出するものとすることが望ましい。液圧源温度セ
ンサ226についても同様であり、アキュムレータ54
の温度を検出するものであっても、ポンプ50やポンプ
モータ52の本体の温度を検出するものであっても、ポ
ンプ50の吐出側あるいは吸入側の作動液の温度を検出
するものであってもよい。
【0014】I/Oポート195には、また、前記ポン
プモータ52が駆動回路230を介して接続されるとと
もに、マスタ遮断弁100,102、連通弁104,1
06が駆動回路232を介して、各リニアバルブ装置3
0,32の増圧用リニアバルブ162,減圧用リニアバ
ルブ166が駆動回路234を介してそれぞれ接続され
ている。また、これら駆動回路230,232,23
4、制御部196等には電源240が接続され、電源2
40の電流が駆動回路230,232,234により制
御されてポンプモータ52や各電磁制御弁に供給され
る。駆動回路230,232,234は、前記ブレーキ
ECU190に含まれ、制御部196に対して駆動部と
称することができる。また、駆動回路230,232,
234と電源240とを合わせて電源装置と称すること
もできる。ポンプモータ52,各電磁制御弁には電源装
置から電気エネルギが供給されるのである。また、ブレ
ーキECU190には警報装置241が接続され、アキ
ュムレータ54の液圧が設定範囲の下限値より低い警報
圧以下に下がった場合に作動させられる。ROM193
には、図11のフローチャートで表される液圧源液圧制
御プログラム、図8のフローチャートで表される増圧リ
ニアバルブ制御プログラム等の複数のプログラムや、図
5のマップで表される開弁電流決定テーブル、図10の
マップで表されるアキュムレータ圧の設定範囲決定テー
ブル等の複数のテーブルが格納されている。
【0015】前記増圧用リニアバルブ162,減圧用リ
ニアバルブ166に接続された駆動回路234はスイッ
チング素子を含むものであり、スイッチンング素子の開
閉制御により、コイル178への供給電流が制御され
る。本実施形態においては、スイッチング素子としてF
ET(電界効果トランジスタ)242が使用され、FE
T242のパルス幅変調制御によりコイル178への供
給電流が制御される。FET242のON時間の制御時
間(制御時間=ON時間+OFF時間)に対する比率
(パルス幅D)が制御されることによりコイル178へ
の供給電流(実効電流)が制御されるのである。
【0016】コイル178への供給電流Iは、パルス幅
Dの制御によって制御されるのであり、パルス幅Dを非
常に小さくすれば供給電流Iを非常に小さくすることが
できる。しかし、パルス幅DにはFET242の特性に
よって決まる下限値が決まっており、その下限パルス幅
より小さくすることはできない。コイル178への供給
電流Iは、FET242が下限パルス幅で制御される場
合に流れる電流より小さくすることはできないのであ
る。また、コイル178に実際に流れる電流は、パルス
幅Dが同じである場合には常に同じであるとは限らず、
電源240の電圧(電源電圧V),コイル178の抵抗
R等によって変わる。電源電圧Vが高い場合やコイル1
78の抵抗Rが小さい場合には大きな電流が流れるので
ある。
【0017】したがって、FET242が下限パルス幅
で制御される場合においても、電源電圧Vが高くなった
り、抵抗Rが小さくなったりすると、実際にコイル17
8に流れる電流は大きくなり、発生させられるソレノイ
ド力F2 も大きくなる。。例えば、電源240に本ブレ
ーキ装置を含む複数の電力消費装置が接続されている場
合において、複数の電力消費装置全体において消費され
る電気エネルギが少ない場合等には電源電圧Vが高くな
る。また、リニアバルブ装置30,32の温度Tv が低
くなると抵抗Rが小さくなる。この場合には、ソレノイ
ド力F2 を、FET242が下限パルス幅で制御されて
いる場合において実際にコイル178に流れる電流に対
応する力より小さくする要求が生じても、ソレノイド力
F2 を小さくすることはできない。そこで、本実施形態
においては、動力式液圧源12の液圧を低くすることに
よって、差圧作用力を小さくし、ソレノイド力F2 と差
圧作用力F1 との合力が所望の大きさとなるように制御
するのである。
【0018】この問題は、後述するように、動力式液圧
源12の液圧が高くブレーキシリンダ液圧がほぼ大気圧
にある状態において、ブレーキペダル10がゆっくり操
作された場合、すなわち、増圧リニアバルブ162の前
後の差圧が大きく、かつ、ブレーキシリンダ液圧を僅か
に増加させる要求がある場合に特に生じる。この場合に
は、ソレノイド力F2 を非常に小さな値に制御する必要
があるが、FET242のパルス幅Dが下限パルス幅に
されても、電源電圧Vが高い場合や抵抗Rが小さい場合
には、増圧リニアバルブ162に実際に流れる電流が大
きくなり、ソレノイド力F2 が大きくなってしまう。し
かし、FET242が下限パルス幅で制御されている場
合には、それよりパルス幅を小さくすることはできず、
ソレノイド力F2 を小さくすることができない。そこ
で、動力式液圧源12の液圧を下げることによって前後
差圧を小さくすれば、ソレノイド力F2 が大きくても、
ソレノイド力F2 と差圧作用力F1 との合力の大きさを
所望の大きさに制御できるのであり、合力を弾性力より
僅かに大きな値に制御することができる。
【0019】本実施形態においては、増圧リニアバルブ
162の温度Tv が低いほど動力式液圧源12の液圧が
低くなるように制御されるのであり、アキュムレータ圧
の設定範囲が、図10に示すように、温度Tv が低くな
るにつれて相対的に低くなるように決定される。設定範
囲は、アキュムレータ圧の目標値(図10の実線で表す
値)がほぼ中央の値となるように、すなわち、上限値と
目標値との差と目標値と下限値との差がほぼ同じになる
ように定められる。また、設定範囲の上限値と下限値と
の両方が温度Tv の低下に伴って低くなるように決定さ
れる。
【0020】ポンプモータ52は、図11のフローチャ
ートで表される液圧源液圧制御プログラムの実行に従っ
て制御される。ステップ1(以下、S1と略称する。他
のステップについても同様とする)において、リニアバ
ルブ装置30の温度Tv が検出され、S2において、そ
の温度Tv に基づいて図10のマップで表される設定範
囲決定テーブルに従ってアキュムレータ液圧の設定範囲
が決定される。そして、S3において、それに応じてポ
ンプモータ52が制御される。具体的には、S31にお
いてポンプモータ52が作動状態にあるか否かが判定さ
れる。停止状態にある場合には、判定がNOとなり、S
32においてアキュムレータ圧が下限値以下であるか否
かが判定される。下限値以下である場合には、S33に
おいて、ポンプモータ52が起動させられる。ポンプモ
ータ52が作動中であって、アキュムレータ圧が上限値
より低い場合は、S34における判定がNOとなり、ポ
ンプモータ52の作動は継続して行われるのであるが、
上限値以上の場合はS35においてポンプモータ52が
停止させられる。また、ポンプモータ52が非作動状態
にある場合において、下限値より高い場合には、停止状
態に保たれる。このようにポンプモータ52が制御され
れば、動力式液圧源12の液圧(アキュムレータ圧)
を、リニアバルブ装置30,32の温度Tv に基づいて
決定された設定範囲内に保つことができる。
【0021】次に、増圧用リニアバルブ162の制御に
ついて説明する。増圧リニアバルブ162には、前述の
ように、差圧作用力F1 ,ソレノイド力F2 ,スプリン
グの弾性力F3 が作用するが、ソレノイド力F2 は、コ
イル178への供給電流I(厳密に言えば、実際に流れ
る電流)に比例し、差圧作用力F1 は、増圧用リニアバ
ルブ162の前後の差圧ΔPに比例すると考えることが
できる。図5には、増圧リニアバルブ162において差
圧作用力F1 とソレノイド力F2 との合力の大きさとス
プリングの弾性力F3 の大きさとが釣り合う場合の差圧
ΔPと電流Iとの関係を示す。差圧ΔPと開弁電流Iと
の関係なのであり、差圧がΔPである場合に増圧リニバ
ルブ162を僅かに開けるためには必要な電流が開弁電
流Io なのである。図から、増圧リニアバルブ162を
釣り合い状態とするために必要なソレノイド力(増圧リ
ニアバルブ162を僅かに開けるために必要な最小のソ
レノイド力)は、差圧ΔPが大きい(差圧作用力が大き
い)場合は小さく、差圧ΔPが小さい(差圧作用力が小
さい)場合は大きくなることがわかる。また、コイル1
78に流れる電流は前述のようにパルス幅Dの増加に応
じて増加させられるため、パルス幅Dは供給電流Iに基
づいて決定される。電流Iとパルス幅Dとの代表的な関
係を図6,7に示す。図6に示す関係は常温の場合の関
係であり、図7に示す関係は低温の場合の関係である。
【0022】本実施形態においては、ブレーキペダル1
0のストロークとマスタ圧(調圧部70の液圧と加圧室
74の液圧との平均値としても、予め決められたいずれ
か一方の値等としてもよい)との少なくとも一方に基づ
いて運転者の意図する要求制動力が求められ、要求制動
力に基づいて要求ブレーキ液圧が決定される。そして、
その要求ブレーキ液圧が実現されるように各リニアバル
ブ装置30,32が制御される。要求ブレーキ液圧と実
際のブレーキ液圧との差、要求ブレーキ液圧の変化量等
に基づいて増圧モード,減圧モード,保持モードのいず
れかが決定され、増圧モードが設定された場合には、増
圧リニアバルブ162のコイル178に電流が供給され
る。また、コイル178へは、図5のマップで表される
開弁電流決定テーブルに従って決まる開弁電流Io と、
実際のブレーキ液圧を要求ブレーキ液圧に近づけるため
に必要な電流Ia との和の電流Iが供給電流とされ、そ
の供給電流Iに基づいてFET242のパルス幅Dが決
定されるのである。実際のブレーキ液圧を要求ブレーキ
液圧に近づけるために必要な電流Ia はどのように決定
してもよい。例えば、要求ブレーキ液圧の変化量ΔPre
f に基づいて決定された値としたり、実際のブレーキ液
圧と要求ブレーキ液圧との偏差によるフィードバック制
御(I制御、PID制御)等において決定された値等と
したりすることができる。
【0023】S11において、ブレーキペダル10の操
作ストローク,マスタ圧,ブレーキ液圧,増圧リニアバ
ルブ162の高圧側の液圧等がそれぞれ検出される。S
12において、運転者の意図する要求ブレーキ液圧が求
められ、S13において、設定モードが増圧モードであ
るか否かが判定される。増圧モードである場合にはS1
4以降が実行されるが、減圧モード,保持モードである
場合には、それに応じた制御が行われる。減圧モードが
設定された場合には減圧リニアバルブ166が制御さ
れ、保持モードが設定された場合には、増圧リニアバル
ブ162も減圧リニアバルブ166も閉状態に保たれ
る。これらの場合の制御については、本発明とは関係が
ないため説明を省略する。
【0024】設定されたモードが増圧モードである場合
には、S13における判定がYESとなり、S14にお
いて増圧リニアバルブ162の上流側の液圧からブレー
キシリンダ液圧を引いた値が前後の差圧ΔP(液圧セン
サ214による検出液圧から液圧センサ220による検
出液圧を引いた値)として取得される。そして、S15
において、その差圧ΔPに基づいて開弁電流Io が開弁
電流決定テーブルに従って決定される。そして、この開
弁電流Io に実際のブレーキ液圧が要求ブレーキ液圧に
近づくために必要な電流Ia が加えられた値(I=Io
+Ia )がコイル178への供給電流Iとして決定され
る。そして、S16において、リニアバルブ装置30の
温度Tv が検出され、S17において、その温度Tv
基づいてパルス幅が決定される。パルス幅Dは、例え
ば、式 D=α・(I−ITv)+Dm に従って決定される。ここで、αは定数(例えば、図
6,7のグラフの傾き)であり、Dm はFET242の
下限パルス幅であり、ITvは温度Tv においてFET2
42が最小パルス幅Dm で制御された場合にコイル17
8に実際に流れる電流(温度Tv で決まる電流下限値)
である。上式で決まるパルス幅Dで駆動回路234が制
御され、それに応じた電流がコイル178に供給され
る。
【0025】ブレーキペダル10がゆっくり、すなわ
ち、操作力の変化量が小さい状態で操作された場合にお
いて、常温(温度TvH)である場合と低温(温度TvL
である場合とでそれぞれ説明する。常温である場合には
図10に示すようにアキュムレータ圧は比較的高い値に
設定される。増圧リニアバルブ162の前後の差圧がΔ
1 である場合には、図5のテーブルから開弁電流が電
流Io1とされ、電流Io1に要求ブレーキ液圧を実現し得
るのに必要な電流Ia1を加えた値がコイル178への供
給電流I1 とされる。供給電流I1 がその温度TvHで決
まる電流下限値ITVである場合には、駆動回路234に
出力するパルス幅は最小パルス幅Dm とされる(図6参
照)。FET242は、パルス幅Dm で制御され、それ
によって、コイル178には電流下限値ITVの電流が流
れることになり、増圧リニアバルブ162は僅かに開状
態とされ、ブレーキ液圧が僅かに増加させられる。
【0026】低温である場合には、図10に示すように
アキュムレータ圧は比較的低い値に設定される。増圧リ
ニアバルブ162の前後の差圧はΔP2 となり、図5の
テーブルから開弁電流が電流Io2とされ、電流Io2に要
求ブレーキ液圧を実現し得るのに必要な電流Ia2を加え
た値が供給電流I2 とされる。供給電流I2 がその温度
vLで決まる電流下限値ITVである場合には、駆動回路
234に出力するパルス幅は最小パルス幅Dm とされる
(図7)。FET242はパルス幅Dm で制御され、コ
イル178には電流下限値ITLの電流が流れ、増圧リニ
アバルブ162は僅かに開状態とされ、ブレーキ液圧を
僅かに増加させることができる。
【0027】このように、温度Tv が低い場合には、図
4に示すように、コイル178に流れる実際の電流の下
限値(電流下限値)が大きくなり、ソレノイド力F2 の
最小値が大きくなる。この場合に、動力式液圧源12の
液圧が低くされて、差圧作用力F1 が小さくされれば、
合力を所望の大きさに制御することができる。本実施形
態においては、ソレノイド力が大きくても差圧作用力を
小さくすることによって合力が制御されるのであり、そ
れによって、ブレーキ液圧の微妙な制御が可能となる。
【0028】また、本発明は、FET242のパルス幅
Dが下限パルス幅Dm である場合に限らず、下限パルス
幅以上である場合に適用しても有効な効果が得られる。
温度Tv が低い場合には、そのパルス幅に対応する電流
より大きな電流が流れることになるため、常温の場合と
同じパルス幅で制御が行われるとソレノイド力が大きく
なり、ブレーキ液圧の制御を精度よく行うことができな
い。それに対して、電流とパルス幅との関係が温度Tv
に基づいて変えられ、所要電流が同じ場合におけるパル
ス幅が常温の場合より小さい値にされれば、常温である
場合も低温である場合も、所要のソレノイド力が発生さ
せられるように制御することができ、ブレーキ液圧の制
御精度を向上させることができる。例えば、増圧リニア
バルブ162の差圧がΔPx であり、所要電流がIx
決定された場合において、常温である場合には、パルス
幅DがDXHとされ、低温である場合にはパルス幅DXL
される。差圧作用力が同じで、所要ソレノイド力が同じ
である場合には、温度TV が低い場合の方がパルス幅D
が小さくされるのである。
【0029】以上、本実施形態においては、温度センサ
224、ブレーキECU190の図10の設定範囲決定
テーブルを記憶する部分,それによって、設定範囲を決
定する部分等によってモータ制御条件決定部が構成され
る。モータ制御条件決定部は起動・停止条件決定部でも
ある。また、ブレーキECU190の図11の液圧源制
御プログラムのうちのS3を実行する部分、記憶する部
分等によりモータ制御部が構成され、そのうちの、S3
3,35を実行する部分,記憶する部分等によりモータ
起動・停止制御部が構成される。さらに、駆動回路32
4等により電流制御装置が構成される。
【0030】なお、上記実施形態においては、リニアバ
ルブ装置の状態(温度Tv )に基づいてアキュムレータ
圧の設定範囲が変更されるようにされていたが、温度T
v でなく、電源電圧Vに基づいて変更されるようにする
こともできる。この場合には、電源電圧Vが高いほど設
定範囲を相対的に低くする。電源電圧Vの増加に伴って
設定範囲を連続的に変化させても段階的に変化させても
よい。また、電源電圧Vと温度Tv との両方に基づいて
設定範囲を変更することも可能である。
【0031】さらに、アキュムレータ液圧の設定範囲
が、リニアバルブ装置の温度Tv の変化に応じて連続的
に変更されるようにされていたが、段階的に変更される
ようにすることもできる。例えば、図12に示すよう
に、温度Tv が設定値Tv0より高い場合と低い場合とで
2段階で変えるのである。また、アキュムレータ圧の設
定範囲は、下限値と上限値とが、目標値が中心となるよ
うに決定されていたが、図13に示すように、下限値と
目標値との差が上限値と目標値との差より小さくなるよ
うに決定することもできる。下限値を高めに設定するの
である。下限値が高めに設定されれば、アキュムレータ
圧の設定範囲が低めに決定されても、ポンプ50の作動
頻度を高くすることができ、アキュムレータ54におけ
る作動液不足を抑制することができる。このように、下
限値は、温度Tv が設定温度Tv0より低い場合(すなわ
ち、アキュムレータ54において作動液不足が生じる可
能性がある場合)に高めに決定すれば十分であり、常に
高くする必要はない。下限値を高めに設定しておけば作
動液不足を抑制することができるが、ポンプモータ52
の作動頻度が高くなり、かえって望ましくない。それに
対して、アキュムレータ54の作動液が不足する可能性
がある場合のみに高くすれば、作動頻度が高くなること
を抑制しつつ、作動液不足を抑制することが可能とな
る。また、アキュムレータ圧が下限値より低い警報圧よ
り低くなると、警告装置241が作動させられるのであ
るが、設定範囲の下限値が小さくされ、下限値と警報圧
との差が小さくなると、警報圧以下に下がり易くなり、
警報装置241の作動頻度が高くなり、望ましくない。
それに対して、下限値を高くして警報圧との差を大きく
すれば、下限値以下に下がっても警報圧以下には下がり
難くなり、警報装置241の作動頻度を低くすることが
できる。
【0032】アキュムレータ圧の設定範囲は、さらに、
図14に示すように、下限値と目標値との差が温度Tv
が低くなるにつれて小さくなるように、決定することも
できる。この場合には、温度Tv が低くなるにつれて設
定範囲が狭くなり、下限値の減少勾配が温度Tv が低く
なるにつれて緩やかになる。また、設定範囲は、目標値
と下限値との差が温度Tv が低くなるにつれて段階的に
小さくなるように決定することもできる。
【0033】また、アキュムレータ圧の設定範囲は、動
力式液圧源12の状態やポンプモータ52に電気エネル
ギを供給する電源240(本実施形態においては、リニ
アバルブ装置に電気エネルギを供給する電源に同じ)の
状態に基づいて決定することができる。電源電圧Vが低
い場合はポンプ50の吐出量が減少させられるため、ア
キュムレータ54へ供給される作動液量が少なくなる。
また、動力式液圧源12の温度TA が低い場合には、作
動液の粘性が高くなり、作動液が流れ難くなる。そのた
め、液圧センサ56による検出液圧より実際のアキュム
レータ54に蓄えられた作動液の液圧の方が低くなり、
設定範囲より、実際のアキュムレータ圧が低めに制御さ
れることになる。これらの場合に、下限値を高くしてポ
ンプモータ52の作動頻度を高くすれば、アキュムレー
タ54における作動液量の減少を抑制することができ、
アキュムレータ圧の低下を抑制することができる。
【0034】上述の制御の一例を図15のフローチャー
トで示す。S51において、液圧センサ54によって検
出されたアキュムレータ圧Pacc が設定圧Po より低い
か否かが判定される。設定圧Po より低い場合には、S
52において、温度TA が検出され、S53において、
設定温度TA0より低いか否かが判定される。設定温度T
A0以上である場合は、S54において、図16のマップ
で表される設定範囲決定テーブルが選択され、設定温度
A0より低い場合は、S55において、図17のマップ
で表される設定範囲決定テーブルが選択される。そし
て、ポンプモータ52は、選択されたテーブルに従って
制御される。
【0035】なお、図16,17の設定範囲決定テーブ
ルにおいては、常温時と低温時とで、設定範囲の上限値
は同じであったが、低温時の上限値は、常温時の上限値
より低くすることもできる。その場合には、アキュムレ
ータ圧の設定範囲が、動力式液圧源12の温度(状態)
とリニアバルブ装置30,32の温度(状態)との両方
に基づいて決定されたと考えることができる。また、温
度ではなく、電源電圧Vに基づいて設定範囲を決定する
ことができる。電源電圧Vが設定電圧Vo 以上である場
合は図16のマップと同様のマップで表されるテーブル
が選択され、設定電圧Vo より低い場合は図17のマッ
プと同様のマップで表されるテーブルが選択されるよう
にようにするのである。この意味においては、図16の
マップで表される傾向を示すテーブルを、常温時設定範
囲決定テーブル、高圧時設定範囲決定テーブルと称し、
図17のマップで表される傾向を示すテーブルを、低温
時設定範囲決定テーブル、低圧時設定範囲決定テーブル
と称することもできる。このように、動力式液圧源12
の液圧が(ポンプモータ52が)、動力式液圧源12の
温度に基づいて制御されれば、アキュムレータ54の容
量の余裕分が不要になり、アキュムレータ54を小形化
することも可能である。
【0036】さらに、上記各実施形態においては、増圧
リニアバルブ162の前後の差圧が実際に検出され、そ
の検出された差圧ΔPに基づいて供給電流が決定される
ようにされていたが、上流側の液圧を一定値Ps とし、
その一定値Ps から実際のブレーキ液圧を引いた値を差
圧ΔPとし、その推定差圧ΔPに基づいて供給電流が決
定されるようにすることもできる。この場合には、供給
電流とパルス幅との関係は温度に係わらず常に同じにす
ればよく、上記実施形態における場合と同様に、温度に
基づいて動力式液圧源12の液圧を制御すれば、ソレノ
イド力と差圧作用力との合力を所要の大きさに制御する
ことができる。また、上記実施形態においては、増圧リ
ニアバルブ162の状態を表す物理量(状態量)として
温度Tv が採用されていたが、状態量として抵抗Rを採
用することもできる。抵抗Rが小さい場合は電流下限値
は大きくなる。増圧リニアバルブ162のコイル178
の抵抗は直接検出しても、他の電磁制御弁のコイルの抵
抗に基づいて求めてもよい。電源240には、直列ある
は並列に、増圧リニアバルブ162のコイル178を含
む複数のコイル(電力消費装置)が接続されているのが
普通であるが、増圧リニアバルブ162のコイル178
以外のコイルの抵抗等を検出すれば、それに基づいてコ
イル178の抵抗を検出することができるのである。さ
らに、駆動回路234に含まれるスイッチング素子は、
FETに限らず、ハイポーラトランジスタとすることも
できる。
【0037】また、動力式液圧源の構造は、上記実施形
態におけるそれに限らない。図18に示すように、動力
式液圧源300を、高圧ポンプ302と低圧ポンプ30
4との2つのポンプを含むものとすることができる。高
圧ポンプ302は高圧ポンプ用モータ306によって駆
動され、低圧ポンプ304は低圧ポンプ用モータ308
によって駆動される。高圧ポンプ302は、低圧ポンプ
304より、最大吐出圧が高く、最大吐出流量が小さい
ものである。高圧ポンプ302の吐出側と低圧用ポンプ
304の吐出圧とには、それぞれ、逆止弁310,31
2が設けられ、ポンプへの作動液の逆流が阻止される。
また、2つのポンプ302,304の吐出圧と吸入側と
を接続する液通路にはリリーフ弁313が設けられ、こ
れらのポンプによる作動液の吐出圧が過大になることが
回避される。
【0038】高圧ポンプ302の吐出側にはバッファ3
14が設けられている。本実施形態においては、バッフ
ァ314の液圧が予め定められた設定範囲内に保たれる
ように、高圧ポンプ用モータ308が制御される。バッ
ファ314の液圧は液圧センサ316によって検出され
る。液圧センサ316による検出液圧は、動力式液圧弁
300の吐出圧でもあり、以下、ポンプ圧と称する。本
実施形態においては、低圧ポンプ304は、ブレーキの
作動中常に作動状態にされる。そして、低圧ポンプ30
4から吐出される作動液の吐出圧,吐出流量は、要求ブ
レーキ液圧が設定圧Pl より低い場合において、低圧ポ
ンプ用モータ308の制御により、要求ブレーキ液圧、
要求ブレーキ液圧の変化勾配等を実現し得るように制御
される。それに対して、高圧ポンプ302は、要求ブレ
ーキ液圧が設定圧Pl 以上である場合に作動させられる
のであるが、高圧ポンプ用モータ306はON/OFF
制御されるため、高圧ポンプ302から吐出される作動
液の吐出圧,吐出流量を所要の大きさに制御することは
困難である。そこで、本実施形態においては、高圧ポン
プ用モータ306は、ポンプ圧が要求ブレーキ液圧より
低い場合、バッファ314の液圧を設定範囲内に保つの
に必要な場合等に作動させられる(ON)ようにされて
いる。
【0039】マスタシリンダ320は2つの加圧室を含
むタンデム型のものであり、2つの加圧室にはそれぞれ
液通路322,324を介して左前輪16のブレーキシ
リンダ20,右前輪16のブレーキシリンダ20がそれ
ぞれ1つづつ接続される。液通路322,324には、
それぞれマスタ遮断弁326,328が設けられてい
る。マスタシリンダの液圧はマスタ液圧センサ329に
よって検出される。また、動力式液圧源300には、液
通路330を介して4つのブレーキシリンダ20,28
が接続されている。ブレーキシリンダ20,28の液圧
は、それぞれリニアバルブ装置30,332によって制
御される。リニアバルブ装置30は、上記実施形態にお
けるそれと同様のものであり、常閉の増圧リニアバルブ
162と減圧リニアバルブ166とを含むものである
が、リニアバルブ装置332は、図19に示すように、
増圧リニアバルブ162と常開の減圧リニアバルブ33
4とを含むものである。減圧リニアバルブ334は、弁
子336と弁座338とを含むシーテイング弁340
と、コイル342を含むソレノイド344とを含むもの
であるが、スプリング346が、弁子336を弁座33
8から離間させる方向に弾性力を付与する状態で設けら
れている。コイル342に電流が供給されれば、弁子3
36を弁座338に着座させる方向にソレノイド力が加
えられる。
【0040】このように、左右前輪16のブレーキシリ
ンダ20には、マスタシリンダ320と動力式液圧源3
00との両方が接続されるが、左右後輪24のブレーキ
シリンダ28には動力式液圧源300が接続され、マス
タシリンダ320が接続されていない。そのため、ブレ
ーキの作動が終了させられる際に、左右前輪16のブレ
ーキシリンダ20の作動液は、減圧用リニアバルブ16
6を開状態にしなくても、液通路322,324(マス
タ遮断弁326,328は開状態に戻される)を経てマ
スタシリンダ320に戻されるが、左右後輪24のブレ
ーキシリンダ28の作動液は減圧用リニアバルブ334
を経てマスタリザーバ163に戻す必要がある。この場
合に、減圧用リニアバルブ334が常開弁であるため、
例えば予め定められた設定時間の間等、コイル342に
電流を供給することによって開状態にする必要がなく、
しかも、ブレーキシリンダ28の作動液をマスタリザー
バ173に確実に戻すことができ、引きずりを回避する
ことができる。
【0041】ブレーキペダル10が操作されると、ブレ
ーキシリンダ20,28に動力式液圧源300から作動
液が供給されることにより、ブレーキ18,26が作動
させられる。ブレーキシリンダ20,28の液圧は、ブ
レーキペダル10の操作ストロークとマスタ圧との少な
くとも一方に基づいて求められた要求制動力に応じた要
求ブレーキ液圧に近づくように、動力式液圧源300、
リニアバルブ装置30,332の制御により制御され
る。
【0042】ブレーキ液圧は、図20のフローチャート
で表されるブレーキ液圧制御プログラムの実行に従って
制御される。S101,102において、要求ブレーキ
液圧が求められ、要求ブレーキ液圧が設定圧Pl 以下で
あるか否かが判定される。設定圧より低い場合には、S
103,104において、高圧ポンプ用モータ306が
停止状態とされ、低圧ポンプ用モータ308の制御によ
り低圧ポンプ304の吐出圧,吐出流量が要求ブレーキ
液圧,要求ブレーキ液圧勾配を実現し得るように制御さ
れる。増圧リニアバルブ162が開状態とされ、減圧リ
ニアバルブ166,334が閉状態とされる。それに対
して、要求ブレーキ液圧が設定圧Pl より高い場合に
は、S105において、増圧モード,減圧モード,保持
モードのいずれかが設定され、それに応じてリニアバル
ブ装置30,334が上記実施形態における場合と同様
に制御される。また、S106以降において高圧ポンプ
用モータ306が制御される。高圧ポンプ用モータ30
6は、ポンプ圧が要求ブレーキ液圧より低い場合(S1
06でYES)、バッファ314の液圧(ポンプ圧)が
設定範囲の下限値より低い場合(S107でYES)に
起動させられ、ポンプ圧が要求ブレーキ液圧より高く
(S106でNO)、かつ、ポンプ圧が設定範囲の上限
値より高い場合(S109でYES)に停止させられ
る。
【0043】この場合において、バッファ314の設定
範囲を、動力式液圧源300の状態や低圧用,高圧用ポ
ンプモータ306,308に電気エネルギを供給する電
源240の状態等に基づいて決定することができる。動
力式液圧源300の温度が低い場合、電源240の電圧
が低い場合等には、上記各実施形態における場合と同様
に下限値を高めに設定するのである。その結果、バッフ
ァ314に蓄えられる作動液不足を抑制し得、警報装置
241の作動頻度の増加を抑制することができる。な
お、バッファ314の設定範囲を、リニアバルブ装置3
0,332の状態に基づいて決定することも可能であ
る。以上、本発明の幾つかの実施形態を詳細に説明した
が、これは文字通り例示であり、本発明は、前記〔発明
が解決しようとする課題,課題解決手段および効果〕の
項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づ
いて種々の変更,改良を施した態様で実施することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である液圧制御装置を含む
ブレーキ装置の回路図である。
【図2】上記ブレーキ装置に含まれるリニアバルブ装置
の断面図である。
【図3】上記ブレーキ装置の電気的な構成を示す図であ
る。
【図4】上記液圧制御装置の温度とリニアバルブ装置の
電流下限値との関係を示す図である。
【図5】上記液圧制御装置のROMに記憶された開弁電
流決定テーブルを表すマップである。
【図6】上記液圧制御装置の温度が常温である場合の供
給電流とパルス幅との関係を示す図である。
【図7】上記液圧制御装置の温度が低温である場合の供
給電流とパルス幅との関係を示す図である。
【図8】上記液圧制御装置のROMに格納された増圧リ
ニアバルブ制御プログラムを表すフローチャートであ
る。
【図9】上記ブレーキ装置に含まれる動力式液圧源にお
けるポンプモータの作動状態を示す図である。
【図10】上記液圧制御装置のROMに格納されたアキ
ュムレータ圧の設定範囲決定テーブルを示す図である。
【図11】上記液圧制御装置のROMに格納された液圧
源液圧制御プログラムを示すフローチャートである。
【図12】本発明の別の一実施形態である液圧制御装置
のROMに格納されたアキュムレータ圧の設定範囲決定
テーブルを示す図である。
【図13】本発明のさらに別の一実施形態である液圧制
御装置のROMに格納されたアキュムレータ圧の設定範
囲決定テーブルを示す図である。
【図14】本発明の別の一実施形態である液圧制御装置
のROMに格納されたアキュムレータ圧の設定範囲決定
テーブルを示す図である。
【図15】本発明のさらに別の一実施形態である液圧制
御装置のROMに格納された液圧源液圧制御プログラム
を表すフローチャートである。
【図16】上記液圧制御装置のROMに格納された設定
範囲決定テーブルを示す図である。
【図17】上記液圧制御装置のROMに格納された設定
範囲決定テーブルを示す図である。
【図18】上記液圧制御装置を含む別のブレーキ装置の
回路図である。
【図19】上記ブレーキ装置に含まれるリニアバルブ装
置の断面図である。
【図20】上記ブレーキ装置の液圧制御装置のROMに
格納されたブレーキ液圧制御プログラムを表すフローチ
ャートである。
【符号の説明】
12,300,動力式液圧源 50 ポンプ 52 ポンプモータ 54 アキュムレータ 162 増圧リニアバルブ 178 コイル 190 ブレーキECU 234 駆動回路 242 FET

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】動力により液圧を発生させる動力式液圧源
    と、 その動力式液圧源と、液圧により作動する液圧作動装置
    との間に設けられ、これら動力式液圧源の液圧と液圧作
    動装置の液圧との差に応じた差圧作用力と、自身への供
    給電流に応じた電磁駆動力との合力の大きさが予め定め
    られた設定値より大きいか否かにより開閉する電磁制御
    弁とを含み、前記電磁制御弁への供給電流を制御するこ
    とによって、前記液圧作動装置の液圧を制御する液圧制
    御装置において、 当該液圧制御装置に接続された電源装置の状態と前記電
    磁制御弁の状態との少なくとも一方に基づいて前記動力
    式液圧源の液圧を制御する液圧源制御装置を設けたこと
    を特徴とする液圧制御装置。
  2. 【請求項2】動力により液圧を発生させる動力式液圧源
    と、 その動力式液圧源と、液圧により作動する液圧作動装置
    との間に設けられ、自身への供給電流に応じた開度で作
    動液の流れを許容する電磁制御弁とを含み、前記電磁制
    御弁への供給電流を制御することによって、前記液圧作
    動装置の液圧の変化勾配を制御する液圧制御装置におい
    て、 当該液圧制御装置に接続された電源装置の状態と前記電
    磁制御弁の状態との少なくとも一方に基づいて前記動力
    式液圧源の液圧を制御する液圧源制御装置を設けたこと
    を特徴とする液圧制御装置。
  3. 【請求項3】前記動力式液圧源が、作動液を加圧して吐
    出するポンプと、そのポンプを駆動するポンプモータと
    を含み、 前記液圧源制御装置が、 前記ポンプモータの制御条件を前記電磁制御弁の状態と
    前記電源装置の状態との少なくとも一方に基づいて決定
    するモータ制御条件決定部と、 そのモータ制御条件決定部によって決定されたモータ制
    御条件に従って、前記ポンプモータを制御するモータ制
    御部とを含む請求項1または2に記載の液圧制御装置。
  4. 【請求項4】前記動力式液圧源が、さらに、前記ポンプ
    から供給された作動液を蓄えるアキュムレータを含み、 前記モータ制御条件決定部が、前記ポンプモータの起動
    ・停止条件を前記電磁制御弁の状態と前記電源装置の状
    態との少なくとも一方に基づいて決定する起動・停止条
    件決定部を含み、 前記モータ制御部が、その起動・停止条件決定部によっ
    て決定された前記起動・停止条件を前記モータ制御条件
    として前記ポンプモータを制御するモータ起動・停止制
    御部を含む請求項3に記載の液圧制御装置。
  5. 【請求項5】前記液圧源制御装置が、前記電磁制御弁の
    温度と前記電源装置の電圧との少なくとも一方に基づい
    て前記動力式液圧源の液圧を制御するものである請求項
    1ないし4のいずれか1つに記載の液圧制御装置。
  6. 【請求項6】動力により液圧を発生させる動力式液圧源
    と、 その動力式液圧源に接続され、自身の前後の差圧に応じ
    た差圧作用力と、自身への供給電流に応じた電磁駆動力
    との合力の大きさが予め定められた設定値より大きいか
    否かにより開閉する電磁制御弁と、 その電磁制御弁への供給電流をパルス幅変調により制御
    するが、パルス幅が下限パルス幅以下には制御不可能で
    ある電流制御装置と、 前記電磁制御弁の前後の差圧に基づいて決まる所要電流
    が、前記電流制御装置が前記下限パルス幅でパルス幅変
    調制御を行った場合に現実に電磁制御弁に流れる電流よ
    り、少なくとも設定量以上小さい場合に、前記動力式液
    圧源の液圧を制御することによって前記差圧作用力を変
    化させる液圧源制御装置とを含むことを特徴とする液圧
    制御装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006313823A (ja) * 2005-05-09 2006-11-16 Honda Motor Co Ltd ソレノイド駆動装置
CN100418815C (zh) * 2005-03-25 2008-09-17 丰田自动车株式会社 车辆制动液压控制装置
JP2010155505A (ja) * 2008-12-26 2010-07-15 Toyota Motor Corp ブレーキ制御装置

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