JP3851066B2 - ブレーキ装置 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、動力式液圧源から出力された作動液がブレーキシリンダに供給されることにより作動させられるブレーキを含むブレーキ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
上述の動力式液圧源を備えたブレーキ装置の一例が、特開平10−86804号公報に記載されている。この公報に記載のブレーキ装置は、(a) 動力により作動させられ、作動液を加圧して出力する動力式液圧源と、(b) その動力式液圧源から出力された作動液がブレーキシリンダに供給されることによって作動させられるブレーキと、(c) ブレーキシリンダと低圧源との間に設けられ、ブレーキシリンダから低圧源への作動液の流れを阻止する流出阻止状態と、ブレーキシリンダから低圧源への作動液の流れを許容する流出許容状態とに切り換え可能な開放弁と、(d) ブレーキシリンダの液圧が設定圧以上であり、かつ、ブレーキ操作部材が操作されていない場合には、開放弁を流出許容状態に切り換える過増圧抑制装置とを含む。
開放弁が流出許容状態に切り換えられれば、ブレーキシリンダの液圧が過増圧されることを抑制することができる。
【0003】
【本発明が解決しようとする課題,課題解決手段および効果】
本発明の課題は、上記公報に記載のブレーキ装置における場合とは異なる態様でブレーキシリンダの液圧の過増圧を抑制することにある。この課題は、ブレーキ装置を下記各態様の構成のものとすることによって解決される。各態様は、請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、本発明の理解を容易にするためであり、本明細書に記載の技術的特徴およびそれらの組合わせが以下の各項に限定されると解釈されるべきではない。
(1)ポンプ,そのポンプを駆動するポンプモータおよびそのポンプから吐出された作動液を蓄えるアキュムレータを含み、そのアキュムレータの圧力が予め定められた設定範囲内に保たれるように前記ポンプモータが作動させられる動力式液圧源と、
その動力式液圧源から出力された作動液がブレーキシリンダに供給されることによって作動させられるブレーキと、
前記ブレーキシリンダの液圧を個別に制御可能な個別液圧制御弁装置であって、前記動力式液圧源と前記ブレーキシリンダとの間に設けられ、前後の差圧に応じた差圧作用力とコイルへの供給電流に応じた電磁駆動力との和がスプリングの付勢力より大きくなると閉状態から開状態に切り換えられる電磁制御弁を含むものと、
前記アキュムレータの液圧を検出するアキュムレータ圧センサを含み、そのアキュムレータ圧センサによって検出されたアキュムレータ圧が、前記設定範囲の上限値と、前記電磁制御弁の開弁圧との少なくとも一方に基づいて決まる、前記電磁制御弁の開弁圧より低い設定圧を越えた場合に、前記動力式液圧源が過加圧状態にあることを検出する過加圧検出装置と、
その過加圧検出装置によって動力式液圧源が過加圧状態にあることが検出された場合に、前記ブレーキシリンダの液圧の過増圧を抑制する過増圧抑制装置と
を含むことを特徴とするブレーキ装置(請求項1)。
本項に記載のブレーキ装置においては、少なくとも、動力式液圧源が過加圧状態にあると検出された場合に、ブレーキシリンダの液圧の過増圧が抑制される。具体的には、少なくとも、アキュムレータ圧センサにより検出されたアキュムレータの液圧が電磁制御弁の開弁圧より低い設定圧を越えた場合にブレーキシリンダ液圧の過増圧抑制制御が行われる。実際のブレーキシリンダの液圧が設定圧以上になったことが検出された場合に抑制されるのではない。したがって、例えば、ブレーキシリンダの液圧が実際に高くなる以前に、すなわち、未然に、過増圧を抑制することが可能であり、運転者の違和感を抑制することができる。
なお、過増圧は、ブレーキ液圧が所要ブレーキ液圧に対して高くなることをいい、例えば、運転者が意図する要求ブレーキ液圧より高くなることをいう。したがって、要求ブレーキ液圧が0である場合(非ブレーキ操作時)に、作動液が供給されてブレーキ液圧が発生させられれば、その液圧自体がそれほど高くなくても、過増圧されたとする。
(2)前記設定圧が、前記作動液の温度にも基づいて設定される (1)項に記載のブレーキ装置(請求項2)。
〔発明の実施の形態〕において説明するように、ブレーキ装置が、非ブレーキ操作中、動力式液圧源の作動液がブレーキシリンダ以外の低圧源に流出可能とする構成を有する装置である場合がある。作動液が常温付近であり、粘性が低い(通常の高さである)場合には、動力式液圧源の作動液がその低圧源に速やかに流出させられるため、ブレーキシリンダ液圧が過増圧されることはない。ブレーキシリンダに作動液が流入させられるとしても、ブレーキシリンダの液圧が走行上問題となるほど高くなることはないのである。それに対して、作動液が低温で、粘性が高い場合には、動力式液圧源の作動液が低圧源に流出し難くなり、その分、ブレーキシリンダの液圧が高くなる。ブレーキ液圧が過増圧され、液圧が走行上問題になるほど高くなることがあるのである。そこで、作動液の温度が低い場合に高い場合より設定圧を低くし、作動液の温度が低いことに起因して粘性が高くなっても、ブレーキシリンダの液圧の過増圧を抑制するのである。
設定圧は作動液の温度の変化に対して連続的に変化させられるようにしても、段階的に変化させられるようにしてもよい。例えば、粘性が高くなる温度以下である場合に、設定圧が低くされるようにするのである。
(3)当該ブレーキ装置が、前記ブレーキシリンダと低圧源との間に設けられ、ブレーキシリンダから低圧源への作動液の流れを阻止する流出阻止状態と、ブレーキシリンダから低圧源への作動液の流れを許容する流出許容状態とに切り換え可能な開放弁を含み、
前記過増圧抑制装置が、その開放弁を流出許容状態に切り換える開放弁制御部を含む (1)項または (2)項に記載のブレーキ装置(請求項3)。
開放弁が流出許容状態に切り換えられれば、ブレーキシリンダの作動液や動力式液圧源の作動液を、開放弁を経て低圧源に流出させることができるため、ブレーキシリンダの液圧の過増圧を抑制することができる。開放弁は、自身の前後の液圧差を供給電流に応じた大きさに制御するリニア制御弁であっても、供給電流のON/OFFにより開閉させられる開閉弁であってもよい。
(4)前記過増圧抑制装置が、ブレーキ非操作中に、前記開放弁を流出許容状態とする (3)項に記載のブレーキ装置。
(5)前記個別液圧制御弁装置が、前記前後の差圧に応じた差圧作用力とコイルへの供給電流に応じた電磁駆動力との和がスプリングの付勢力より大きくなると閉状態から開状態に切り換えられる電磁制御弁と共に、前記開放弁を含む (3)項または (4)項に記載のブレーキ装置。
ブレーキシリンダの液圧が個別液圧制御弁装置の制御により制御される。ブレーキが動力式液圧源の作動液がブレーキシリンダに供給されることによって作動させられる場合には、ブレーキシリンダの液圧を制御可能な個別液圧制御弁装置は必要なものである。本態様のブレーキ装置においては、開放弁は個別液圧制御弁装置の一構成要素であり、例えば、減圧用の制御弁とすることができる。
個別液圧制御弁装置は、ブレーキシリンダの各々に対応して設けられたものであっても、全ブレーキシリンダの一部である2つ以上のブレーキシリンダに共通に設けられたものであってもよい。
(6)前記過増圧抑制装置が、ブレーキ操作中に、実際のブレーキ液圧が所要ブレーキ液圧に達するまで、前記開放弁を流出許容状態とする (3)項ないし (5)項のいずれかに記載のブレーキ装置。
本項に記載のブレーキ装置においては、実際のブレーキ液圧が所要ブレーキ液圧より高くならないように開放弁が制御される。所要ブレーキ液圧は、例えば、ブレーキ操作部材の操作状態に基づいて取得することができる。
換言すれば、ブレーキシリンダの液圧が開放弁の制御により制御されるのであり、この場合においても、開放弁をブレーキシリンダの液圧を制御する個別液圧制御弁装置の一構成要素とみなすことができる。
(7)当該ブレーキ装置が、前記ポンプの吐出圧が予め定められた設定圧以上になると閉状態から開状態に切り換わってポンプから吐出された作動液の低圧側への流出を許容するリリーフ弁を含まない (3)項ないし (6)項のいずれかに記載のブレーキ装置。
本項に記載のブレーキ装置においては、動力液液圧源が過加圧状態にある場合に開放弁が開状態にされるため、リリーフ弁を設けなくても、ポンプに過大な負荷がかかることを回避することができる。
(8)前記過増圧抑制装置が、前記過加圧検出装置によって前記動力式液圧源が過加圧状態であることが検出され、かつ、ブレーキ操作部材が操作されていない場合に、前記ブレーキシリンダの過増圧を抑制するものである (1)項ないし (7)項のいずれかに記載のブレーキ装置(請求項4)。
【0004】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態であるブレーキ装置について図面に基づいて詳細に説明する。
図1に示すように、ブレーキ装置は、ブレーキ操作部材としてのブレーキペダル10と、動力式液圧源としてのポンプ装置12と、ハイドロブースタ付きマスタシリンダ14と、左右前輪16,17に設けられたブレーキシリンダ18,19を含むブレーキ20,21と、左右後輪24,25に設けられたブレーキシリンダ26,27を含むブレーキ28,29とを含む。
【0005】
ポンプ装置12は、ポンプ30と、そのポンプ30を駆動するポンプモータ32と、アキュムレータ34とを含む。ポンプ30は、リザーバ36の作動液を加圧して吐出するものであり、ポンプ30から吐出された高圧の作動液がアキュムレータ34に蓄えられる。アキュムレータ34の液圧はアキュムレータ圧センサ38によって検出されるが、ポンプモータ32は、アキュムレータ圧センサ38による検出液圧が予め定められた設定範囲内に保たれるように制御される。ポンプ30の吐出圧側には、ポンプ30への作動液の逆流を防止するための逆止弁39が設けられている。
なお、ポンプ30は、プランジャポンプであっても、ギヤポンプであってもよい。
【0006】
ハイドロブースタ付きマスタシリンダ14は、液圧調節部を有する液圧ブースタ40と、加圧ピストンを有するマスタシリンダ42とを含む。液圧ブースタ40の液圧調節部において、ポンプ装置12の液圧がブレーキ操作力に対応した高さに調節される。マスタシリンダ42の加圧ピストンには、ブレーキペダル10に加えられた操作力(バキュームブースタが設けられている場合には、バキュームブースタの出力)と液圧ブースタ40の液圧に応じた力とが加えられ、これらの合力に応じた液圧が加圧室43に発生させられる。
液圧ブースタ40の作動液は液通路44を介して左後輪24のブレーキシリンダ26に供給され、マスタシリンダ42の加圧室43の作動液は液通路46を介して左前輪16のブレーキシリンダ18に供給される。
【0007】
液通路44,46の途中には、それぞれマスタ遮断弁50,52が設けられている。また、左右前輪16,17のブレーキシリンダ18,19、左右後輪24,25のブレーキシリンダ26,27は、それぞれ、連通路54,56によって接続されており、連通路54,56には、それぞれ、連通弁58,60が設けられている。
マスタ遮断弁50,52は、コイル62に電流が供給されない場合に開状態にある常開弁であり、連通弁58,60もコイル64に電流が供給されない場合に開状態にある常開弁である。
【0008】
液通路46のマスタ遮断弁52より上流側の部分にはシミュレーション装置66が設けられている。シミュレーション装置66は、ストロークシミュレータ67とストロークシミュレータ用開閉弁68とを含むものであり、液通路46に、ストロークシミュレータ67がストロークシミュレータ用開閉弁68を介して接続されている。ストロークシミュレータ用開閉弁68は、コイル69に電流が供給されない場合は閉状態にある常閉弁である。
【0009】
前記ポンプ装置12は、液通路70を介して液圧ブースタ40に接続されるとともに、液通路72を介してすべてのブレーキシリンダ18,19,26,27に接続される。また、ブレーキシリンダ18,19,26,27の各々には、それぞれ、個別液圧制御弁装置としてのリニアバルブ装置80〜86が設けられている。リニアバルブ装置80〜86は、それぞれ、増圧用リニアバルブ90と減圧用リニアバルブ92とを含むものであり、増圧用リニアバルブ90が上述の液通路72に設けられ、減圧用リニアバルブ92がブレーキシリンダ18,19,26,27とリザーバ36とを接続する液通路94に設けられる。減圧用リニアバルブ90が本実施形態における開放弁なのである。リニアバルブ装置80〜86の制御により、ブレーキシリンダ18,19,26,27の液圧が、ポンプ装置12の作動液を利用して制御される。
【0010】
増圧用リニアバルブ90,減圧用リニアバルブ92は、図2に示すように、いずれも常閉弁であり、コイル100を含むソレノイド102と、弁子104および弁座106とスプリング108とを含むシーティング弁110とを含む。
シーティング弁110においては、弁子104を弁座106に着座させる方向にスプリング108の付勢力が作用するとともに、弁子104を弁座106から離間させる方向に当該リニアバルブの前後の液圧差に応じた差圧作用力とコイル100への供給電流量に応じた電磁駆動力とが作用する。
コイル100に電流が供給されない間は、差圧作用力がスプリング108の付勢力より小さい場合は、弁子104が弁座106に着座させられた閉状態に保たれるが、差圧作用力が付勢力より大きくなると、弁子104が弁座106から離間させられる。
コイル100に電流が供給されると、弁子104の弁座106に対する相対位置が、電磁駆動力,スプリング108の付勢力,差圧作用力の関係によって決まるのであり、相対位置が電磁駆動力の制御によって制御されることになる。
【0011】
増圧用リニアバルブ90に加えられる差圧作用力は、ポンプ装置12の液圧(アキュムレータの液圧)とブレーキシリンダ液圧との差圧に応じた力であり、減圧用リニアバルブ92に加えられる差圧作用力は、ブレーキシリンダ液圧とマスタリザーバ36の液圧との差圧に応じた力であり、マスタリザーバ36の液圧はほぼ大気圧であるため、ブレーキシリンダの液圧に応じた力になる。いずれにしても、電磁駆動力を制御すれば(コイル100への供給電流を制御すれば)、ブレーキシリンダの液圧を制御することができる。
【0012】
また、液通路72の増圧用リニアバルブ90とポンプ装置12との間には、液圧センサ120が設けられている。液圧センサ120によって増圧用リニアバルブ90の高圧側の作動液の液圧が検出される。増圧用リニアバルブ90の高圧側の液圧として液圧センサ120による検出値が採用されれば、ポンプ装置12と増圧用リニアバルブ90との間の圧力損失の影響を除くことができ、アキュムレータ圧センサ38による検出値を採用する場合に比較して、リニアバルブ装置80〜86の制御精度を向上させることができる。
【0013】
本液圧ブレーキ装置は、ブレーキ液圧制御装置150によって制御される。図3に示すように、ブレーキ液圧制御装置150は、CPU152,ROM154,RAM156,入力部157および出力部158等を有するコンピュータを主体とするものである。入力部157には、上述のアキュムレータ圧センサ38,液圧センサ120に加えて、液通路44,46の液圧をそれぞれ検出する液圧センサ160,162、ブレーキシリンダ18,19,26,27の液圧をそれぞれ検出するブレーキ液圧センサ164〜167、各車輪16,17,24,25の車輪速度をそれぞれ検出する車輪速センサ169〜172、ブレーキペダル10のストロークを検出するストロークセンサ174,175、ブレーキペダル10が操作状態にあるか否かを検出するブレーキスイッチ176、作動液の温度を検出する温度センサ178、ポンプモータ32に実際に電流が流れているか否かを検出する電流検出装置179等が接続されている。出力部158には、ポンプモータ32が駆動回路180を介して接続されるとともに、リニアバルブ装置80〜86のコイル100、各電磁開閉弁50,52,58,60,68のコイルがそれぞれ駆動回路182,184を介して接続される。
ROM154には、図4のフローチャートで表されるブレーキ液圧制御プログラム、図7の設定圧決定テーブル、その他、図示は省略するが、リニアバルブ装置制御プログラム等の複数のプログラムやテーブル等が格納されている。
【0014】
上述のように、本液圧ブレーキ装置においては、ブレーキペダル10のストロークを検出するストロークセンサが2つ設けられている(174,175)。また、操作力に対応する液圧(マスタ圧)を検出する液圧センサも2つ設けられている(160,162)。これらを2つずつ設けることは不可欠ではないが、2つずつ設ければ、一方に異常が生じた場合に他方の検出値を利用することができ、フェールセーフ上で有効である。ブレーキペダル10のストロークと操作力との両方に基づいて運転者の意図する要求ブレーキ液圧が求められるのであるが、本実施形態においては、2つのストロークセンサ174,175の検出値の平均値Sと、2つの液圧センサ160,162の検出値の平均値Fとに基づいて要求ブレーキ液圧PWC* が求められる。例えば、要求ブレーキ液圧PWC* は、式
PWC* =S・γ(s) +F・(1−γ(s) )
に従って求めることができる。ただし、γ(s) は、1より小さい正の値であり、ストロークが小さいほど大きくなる値である。
なお、要求制動トルクを求めるために、これら4つのセンサを設けることは不可欠ではない。4つのセンサの代わりに踏力センサを設け、その踏力センサによる検出値に基づいて求められるようにすることもできる。
また、温度センサ178は、作動液の温度を直接検出するものであっても、間接的に検出するものであってもよい。液通路の外側の温度を検出するものや外気温度を検出するものであってもよいのであり、これらに基づけば、作動液の温度を推定することができる。
【0015】
以上のように構成された液圧ブレーキ装置における作動について説明する。
通常制動時には、マスタ遮断弁50,52が閉状態にされることによってブレーキシリンダ18,19,26,27がハイドロブースタ付きマスタシリンダ14から遮断される。また、連通弁58,60が閉状態にされ、ストロークシミュレータ用開閉弁68が開状態にされる。この状態において、ブレーキシリンダ18,19,26,27の液圧が、ポンプ装置12の作動液を利用して、リニアバルブ装置80〜86のコイル100への供給電流の制御によりそれぞれ制御される。なお、加圧室43には、ストロークシミュレータ67が連通させられるため、ブレーキペダル10に加えられる操作力に応じたストロークを発生させることができる。
【0016】
ポンプ装置12や電気系統に異常が生じた場合には、原則として、各電磁制御弁は図1に示す原位置に戻される。マスタ遮断弁50,52が開状態に、連通弁58,60が開状態にされるため、ブレーキシリンダ18,19,26,27がハイドロブースタ付きマスタシリンダ14に連通させられる。また、ストロークシミュレータ用開閉弁68が閉状態にされるため、ストロークシミュレータ66がマスタシリンダ42から遮断され、作動液が無駄に消費されることが回避される。さらに、リニアバルブ装置80〜86の各コイル100には電流が供給されなくなるため、増圧リニアバルブ90,減圧リニアバルブ92はいずれも閉状態にされ、ブレーキシリンダ18,19,26,27がポンプ装置12からもリザーバ36からも遮断される。
ポンプ装置12が異常であり、かつ、出力液圧が低い場合(例えば、アキュムレータ34に高圧の作動液が蓄えられていない場合)には、ハイドロブースタ付きマスタシリンダ14に、高圧の作動液が供給されなくなる。液圧ブースタ40を作動させることができなくなるが、ハイドロブースタ付きマスタシリンダ14は、単なるマスタシリンダとして作動する。ブレーキペダル10の操作に伴って加圧ピストンが前進させられ、加圧室43には、操作力に応じた液圧が発生させられる。加圧室43の作動液が前輪側のブレーキシリンダ18,19に供給されて、ブレーキ20,21が作動させられる。
【0017】
それに対して、ポンプ装置12の異常に起因してポンプ装置12の出力液圧が高くなることがある。例えば、駆動回路180に異常が生じるとポンプモータ32を停止させることができなくなり、ポンプ30が連続運転させられ、アキュムレータ圧が過大になり、出力液圧が高くなるのである。本実施形態においては、ポンプモータ32の連続作動時間が設定時間より長く、かつ、出力液圧が設定圧以上である場合に、ポンプ装置12が過加圧状態にあるとする。連続作動時間は、電流検出装置179によって検出された電流の状態に基づいてブレーキ液圧制御装置150に設けられたタイマにより計測される。
設定時間は、ポンプ装置12が正常である場合には、あり得ないほど長い時間とされる。本実施形態においては、アキュムレータ圧を、設定範囲の下限値から上限値まで高くするのに要する時間より多少長めの時間とされる。
【0018】
設定圧は、増圧用リニアバルブ90の開弁圧と作動液の温度とに基づいて決定される。ブレーキシリンダの液圧が過増圧されるおそれがあるか否かに着目して決定されるのである。増圧用リニアバルブ90は、ブレーキ液圧がほぼ大気圧であり、かつ、アキュムレータ圧が設定範囲の上限値よりやや高めの値であって、差圧作用力が大きくなっても、コイル100に電流が供給されない間は、シーティング弁110が開状態に切り換えられることがないようにされている。スプリング108の付勢力は、アキュムレータ圧が設定範囲の上限値よりやや高めの値である場合に加わる差圧作用力より大きい値にされているのである。しかし、ポンプ装置12の異常に起因して出力液圧が過大になり、差圧作用力がスプリング108の付勢力より大きくなると、コイル100に電流が供給されなくても、シーティング弁110が開状態に切り換えられることがある。
【0019】
この場合において、ブレーキペダル10が操作されていない場合には、ハイドロブースタ付きマスタシリンダ14には液圧は発生しておらず、かつ、マスタ遮断弁50,52は開状態にある。そのため、増圧用リニアバルブ90のシーティング弁110が開状態にされても、ポンプ装置12の作動液はマスタ遮断弁50,52を経てハイドロブースタ付きマスタシリンダ14に速やかに流出させられるため、ブレーキシリンダ液圧が過増圧されることはない。ブレーキシリンダ18,19,26,27に作動液が流入させられても、液圧が走行上問題になるほどではないのである。
それに対して、作動液の温度が低い場合には粘性が高くなるため、ハイドロブースタ付きマスタシリンダ14に作動液が流出し難くなり、その分、ブレーキシリンダ18,19,26,27に多くの作動液が流入させられる。ブレーキ液圧が過増圧され、液圧が走行上問題になるほどの高さになることがある。
【0020】
そこで、本実施形態においては、図7に示すように、作動液の温度が低い場合は高い場合より設定圧が低くされる。また、作動液の粘性が問題になるほど高くなるのは、温度がかなり低くなった場合(例えば、−20°程度)である。したがって、常温以上においては、設定圧を一定の値とし、低温である場合において、温度の低下に伴って設定圧が低下させられるようにされているのである。
【0021】
図4のフローチャートで表されるブレーキ液圧制御プログラムは、本実施形態においては、予め定められた設定時間毎に、車輪毎に実行される。車輪毎に設けられた減圧用リニアバルブ92が別個独立に制御されるのであり、各ブレーキシリンダ18,19,26,27の液圧は、ブレーキシリンダ毎に接続されたブレーキ液圧センサ164〜167によって検出される。
ステップ1(以下、S1と略称する。他のステップについても同様とする)において、ポンプモータ32の駆動回路180がON故障であるか否かが判定され、S2において、ポンプモータ32への連続通電時間TMが設定時間TMSを越えたか否かが判定される。S3において、作動液の温度Tが読み取られ、S4において、図7のテーブルに従って設定圧PASが決定される。そして、S5において、実際のアキュムレータ圧が設定圧PAS以上であるか否かが判定される。
S1,2,5における判定がいずれもYESである場合には、ポンプ装置12が過加圧状態にあるとされる。増圧用リニアバルブ90において、シーティング弁110が、コイル100に電流が供給されなくても開状態に切り換えられ、増圧用リニアバルブ90を経てポンプ装置12から供給された作動液によって、ブレーキシリンダの液圧が過増圧されるおそれがあるのである。その結果、S6において、ブレーキ液圧の過増加を抑制する制御が行われる。それに対して、ポンプ装置12が過加圧状態にないとされた場合には、S7において、通常制御が行われる。
【0022】
通常制御においては、図5のフローチャートで表されるように、S11において、ブレーキ操作中であるか否かがブレーキスイッチ176の状態に基づいて検出される。ブレーキ操作中でない場合には、S12において、すべての電磁弁は原位置に戻される。すべての電磁弁のコイルには電流が供給されないのである。ブレーキ操作中である場合には、運転者の意図する要求ブレーキ液圧が得られるようにリニアバルブ装置80〜86が制御される。S13,14において、前述のように要求ブレーキ液圧PWC* が決定され、S15において、リニアバルブ装置80〜86への供給電流が決定される。例えば、要求ブレーキ液圧PWC* が増加傾向にある場合には、増圧用リニアバルブ90が制御され(コイル100に電流が供給され)、要求ブレーキ液圧PWC* が減少傾向にある場合には、減圧用リニアバルブ92が制御される。
【0023】
過増圧抑制制御においては、図6のフローチャートで表されるように、S21においてブレーキ操作中であるか否かが検出される。ブレーキ操作中でない場合には、S22において、減圧用リニアバルブ92が開状態にされる。コイル100に電流が供給されることにより、シーティング弁110が開状態にされる。ブレーキシリンダ18,19,26,27の作動液または増圧用リニアバルブ90を経て供給された作動液が、減圧用リニアバルブ92を経てリザーバ36に戻され、ブレーキシリンダ18,19,26,27の液圧が高くなることが回避される。減圧用リニアバルブ92はポンプ装置12が過加圧状態である間、開状態に保たれることになる。
【0024】
それに対して、ブレーキ操作中である場合には、S23において、上述の場合と同様に、要求ブレーキ液圧PWC* が決定される。S24において、実際のブレーキ液圧が要求ブレーキ液圧PWC* より高いか否かが判定される。要求ブレーキ液圧PWC* より高い場合には、S25において、減圧用リニアバルブ92が開状態に切り換えられるが、要求ブレーキ液圧PWC* 以下である場合には、S26において、減圧用リニアバルブ92が閉状態にされる。この場合には、増圧用リニアバルブ90は開状態にあるため、増圧用リニアバルブ90の制御によりブレーキシリンダの液圧を制御することができない状態にあると考えられる。そのため、減圧用リニアバルブ92の制御により、ブレーキシリンダの液圧が制御されることになる。
【0025】
以上のように、本実施形態においては、ポンプ装置12が過加圧状態にあることが検出された場合に、ブレーキシリンダ18,19,26,27の液圧が過増圧されることを回避することができる。ブレーキ液圧が運転者の意図に反して増圧されることを回避することができ、違和感を軽減することができる。また、実際にブレーキ液圧が設定圧より高くなったことが検出された場合に、減圧用リニアバルブ92が開状態にされるわけではないため、動力式液圧源が過加圧状態にあることを検出するための設定圧を増圧用リニアバルブ90の開弁圧より低く設定することによって、ブレーキ液圧が実際に要求ブレーキ液圧(0の場合もある)より高くなる以前に過増圧抑制制御が開始される。すなわち、過増加を未然に回避することができる。
さらに、ポンプ30に過大の負荷が加わることを回避することができる。この場合に、過増圧抑制制御が、ブレーキシリンダ液圧を制御する個別液圧制御弁装置(減圧用リニアバルブ92)を利用して行われるため、ポンプ30のための専用のリリーフ弁を設ける必要がなくなり、その分、コストダウンを図ることができる。
以上のように、本実施形態においては、ブレーキ液圧制御装置150のS1〜5を記憶する部分,実行する部分、ポンプモータ32の連続作動時間を計測する部分、アキュムレータ圧センサ38,温度センサ178等により過加圧検出装置が構成され、S6を記憶する部分、実行する部分、減圧用リニアバルブ92等により過増圧抑制装置が構成される。過加圧検出装置は、液温対応過加圧検出部でもある。
【0026】
なお、上記実施形態においては、実際のアキュムレータ圧が作動液の温度で決まる設定圧より高い場合に過加圧状態であるとされていたが、設定圧は温度とは関係なく一定の値でもよい。その場合には、温度センサ178が不要になる。特に、ブレーキ操作中である場合には、温度が高くても低くても、ハイドロブースタ付きマスタシリンダ14に作動液が流出させられることは殆どないため、温度を考慮する必要性は低いのである。また、過加圧条件を、ブレーキ操作中と非操作中とで異なる条件とすることができる。例えば、ブレーキ操作中である場合には、設定圧を、温度とは関係なく一定の増圧用リニアバルブ90の開弁圧に基づいて決定された値とするのである。
さらに、ポンプ30の連続作動時間が設定時間より長く、出力液圧が設定圧より高く、かつ、温度が作動液の粘性が問題になる設定温度(例えば、−20°)以下である場合に、減圧用リニアバルブ92が開状態に切り換えられるようにすることもできる。作動液の粘性が低く、ハイドロブースタ付きマスタシリンダ14に作動液が速やかに流出させられる場合には、アキュムレータ圧が高くても差し支えないのである。この場合にも、設定圧は一定とすることができる。
また、過加圧状態であるか否かが、アキュムレータ圧と連続通電時間との両方に基づいて検出されるようにすることは不可欠ではなく、アキュムレータ圧のみに基づいて検出されるようにしてもよい。
【0027】
さらに、減圧用リニアバルブ92を開状態にする前、あるいは、開状態にする代わりに、ポンプモータ32用の駆動回路180にOFF指令が出力されるようにすることもできる。駆動回路180にOFF指令が出力されるようにすれば、ポンプモータ32の作動を停止させ、ブレーキシリンダの液圧の過増圧を抑制することができる。また、駆動回路180にOFF指令を出力しても、ポンプモータ32の作動を停止させることはできるが、逆転指令を出力すれば、ポンプモータ32の回転を速やかに停止させることができる。さらに、ポンプ装置12において、ポンプ30がギヤポンプであって、吐出側に逆止弁が設けられていない場合には、駆動回路180にポンプモータ32の逆転指令を出力することもできる。ポンプモータ32の逆転によりポンプ30が逆転させられれば、ポンプ装置12の出力液圧が過大になることを回避することができる。この場合には、アュムレータ圧センサ38による検出液圧が液圧センサ120による検出液圧より設定圧以上低い場合に、アキュムレータ圧センサ38が異常であるとして、駆動回路180にOFF指令や逆転指令が出力されるようにすることもできる。
また、ポンプ30の吸入側とリザーバ36との間に開閉弁を設け、ポンプ装置12が過加圧状態にあるとされた場合に、開閉弁を開状態から閉状態に切り換えることができる。閉状態に切り換えれば、ポンプ30に作動液が供給されなくなるため、ブレーキシリンダの液圧の過増圧を抑制することができる。
【0028】
さらに、ポンプ装置12が過加圧状態である場合には、すべてのリニアバルブ装置80〜86の減圧用リニアバルブ92を開状態に保つことは不可欠ではなく、リニアバルブ装置80,84の減圧用リニアバルブ92とリニアバルブ装置82,86の減圧用リニアバルブ92とを交互に開状態にすることもできる。減圧用リニアバルブ92を開状態に保つ場合には、連続通電時間が長くなり、減圧用リニアバルブ92が過熱するおそれがあるが、交互に作動させれば、減圧用リニアバルブ92の過熱を回避することができる。また、減圧用リニアバルブ92における消費電力を少なくすることができる。
【0029】
本実施形態においては、前輪側,後輪側の各々において、左側車輪のブレーキシリンダに対応する減圧用リニアバルブ92と右側車輪のブレーキシリンダに対応する減圧用リニアバルブ92とが交互に開状態にされる。前述のように、ポンプ装置12が異常(過加圧状態)である場合には、連通弁58,60が開状態にあり、前輪側,後輪側の各々において、2つのブレーキシリンダ18,19およびブレーキシリンダ26,27は互いに連通状態にある。そのため、2つのブレーキシリンダ18,19の各々に対応して設けられた減圧用リニアバルブ92の両方を開状態にしなくても、いずれか一方の減圧用リニアバルブ92を開状態にすれば、2つのブレーキシリンダ18,19の液圧を同じ高さに制御することができるのである。2つのブレーキシリンダ26,27についても同様である。
【0030】
非ブレーキ操作中においては、ポンプ装置12が過加圧状態にあることが検出されてからの経過時間が、n(TL +TR )〜{n(TL +TR )+TL }の間は、前輪側,後輪側のそれぞれの左側の減圧用リニアバルブ92が開状態にされる一方、右側の減圧用リニアバルブ92が閉状態にされる。次に、{n(TL +TR )+TL }〜(n+1)(TL +TR )の間は、右側の減圧用リニアバルブ92が開状態にされる一方、左側の減圧用リニアバルブ92が閉状態にされる。ここで、nは、0以上の整数である。初期値は0であり、右側の減圧用リニアバルブ92が開状態から閉状態にされる毎に1増加させられる。
ブレーキ操作中においては、実際のブレーキ液圧が要求ブレーキ液圧より大きい場合に、減圧用リニアバルブ92が開状態にされるのであるが、減圧用リニアバルブ92を開状態に切り換える必要が生じた場合には、前輪側,後輪側の各々において、左側の減圧用リニアバルブ92と右側の減圧用リニアバルブ92とが交互に開状態に切り換えられる。
【0031】
本実施形態においては、ブレーキ液圧制御プログラムが、前輪側と後輪側とで別々に実行される。前輪側について実行される場合には、ブレーキ液圧は、前輪側の2つのブレーキシリンダ18,19の平均値とされ、後輪側について実行される場合には、後輪側の2つのブレーキシリンダ26,27の平均値とされる。なお、実際のブレーキ液圧を、平均値とすることは不可欠ではなく、2つのブレーキシリンダの液圧のうちの小さい方,大きい方等のいずれか一方の値とすることもできる。この場合には、2つのブレーキシリンダの液圧は同じ高さのはずである。
ここでは、前輪側について制御が行われる場合について説明する。図8のフローチャートに表す過増圧抑制制御において、S31において、ブレーキ操作中であるか否かが判定される。非操作状態にある場合には、S32において、ポンプ装置12が過加圧状態にあると検出されてからの経過時間Tが0〜TL (n=0)であるか否かが判定される。最初にS32が実行される場合には、判定がYESとなり、S33において、左前輪16に対応するリニアバルブ装置80の減圧用リニアバルブ92が開状態にされる。次に、S34において、経過時間TがTL 〜(TL +TR )か否かが判定されるが、この場合には、判定がNOとなり、S35において、リニアバルブ装置82の減圧用リニアバルブ92が閉状態にされる。左側の減圧用リニアバルブ92が開状態にされる一方、右側の減圧用リニアバルブ92が閉状態にされるのである。次に、S36において、経過時間Tが(TL +TR )を越えたか否かが判定されるが、最初にS36が実行される場合には、判定がNOとなる。
【0032】
S1〜5,31〜36が繰り返し実行されることにより、経過時間Tが時間TL を越えれば、S32の判定がNOとなり、S37において、左側の減圧用リニアバルブ92が閉状態に切り換えられる。この場合には、経過時間TがTL 〜(TL +TR )にあるため、S34の判定がYESとなり、S38において、右側の減圧用リニアバルブ92が開状態に切り換えられる。左側の減圧用リニアバルブ92が閉状態にされる一方、右側の減圧用リニアバルブ92が開状態にされるのである。
S1〜5,31,32,37,34,38が繰り返し実行されることにより、経過時間Tが時間(TL +TR )を越えれば、S34の判定がNOとなり、S35において、右側の減圧用リニアバルブ92が閉状態に切り換えられ、S36における判定がYESとなって、S39において、カウンタnがカウントアップされる。以下、経過時間Tが、(TL +TR )〜(2・TL +TR )にあるか否か、(2・TL +TR )〜2(TL +TR )にあるか否か、2(TL +TR )を越えたか否かがそれぞれ判定され、左側,右側の減圧用リニアバルブ92が開閉させられる。
【0033】
それに対して、ブレーキ操作中においては、S40において、ブレーキペダル10の操作状態に基づいて要求ブレーキ液圧PWC* が決定され、S41において、実際のブレーキ液圧PWC(左右前輪16,17のブレーキシリンダ18,19の平均値)が要求ブレーキ液圧PWC* より高いか否かが判定される。高くない場合には、S42において、2つの減圧用リニアバルブ92(リニアバルブ装置80,82)が閉状態にされるが、S43において、いずれか一方の減圧用リニアバルブ92が前回、開状態にあったか否かが判定される。前回開状態にあった場合には、S44において、フラグの状態が切り換えられる。本実施形態においては、フラグが0である場合には、開状態にされるリニアバルブが右側の減圧用リニアバルブ92とされ、フラグが1である場合には左側の減圧用リニアバルブ92とされる。フラグは、左右減圧用リニアバルブ選択フラグであり、初期値は0である。
【0034】
実際のブレーキ液圧PWCが要求ブレーキ液圧PWC* より高い場合には、S45において、フラグの値が1か否かが判定される。1である場合には、S46において、左側の減圧リニアバルブ92が開状態にされる一方、右側の減圧用リニアバルブ92が閉状態にされ、フラグの値が0である場合には、S47において、左側の減圧リニアバルブ92が閉状態にされる一方、右側の減圧用リニアバルブ92が開状態にされる。
このように、本実施形態においては、左側の減圧用リニアバルブ92と右側の減圧用リニアバルブ92とが交互に開状態にされる。そのため、減圧用リニアバルブの加熱を抑制することができる。後輪側についても同様に実行される。
本実施形態においては、ブレーキ液圧制御装置150のS6(図8のフローチャートで表される過増圧抑制制御)を記憶する部分,実行する部分等により交互開放制御部が構成される。
【0035】
なお、上記実施形態においては、前輪側,後輪側の各々において左側の減圧用リニアバルブ,右側の減圧用リニアバルブの順に開状態にされるようにされていたが、これに限らない。例えば、前輪側と後輪側との少なくとも一方の側においては、右側,左側の順に減圧用リニアバルブが開状態にされるようにすることもできる。また、ブレーキ操作中においては、左右の減圧用リニアバルブが交互に開状態にされるようにすることは不可欠ではない。
さらに、ブレーキ装置の構造は、上記実施形態におけるそれに限らない。例えば、ハイドロブースタ付きマスタシリンダ14の代わりに、液圧ブースタを含まない通常のタンデ
ム式のマスタシリンダとすることができる。この場合には、ポンプ装置12の出力液圧は、液圧ブースタに供給されることはなく、ブレーキシリンダのみに供給されることになる。また、リニアバルブ装置80〜86における減圧用リニアバルブ92の代わりに、供給電流のON/OFFにより開閉させられる減圧用開閉弁を含む電磁弁装置とすることもできる。この場合においても、ポンプ装置12が過加圧状態である場合に、減圧用開閉弁が開状態にされる。
また、減圧用リニアバルブ92は、常開弁とすることもできる。常開弁とすれば、ポンプ装置12の異常時に、減圧用リニアバルブに電流を供給しなくても、ブレーキシリンダの液圧が高くなることを回避することができる。さらに、後輪側の減圧用リニアバルブを常開弁として、前輪側の減圧用リニアバルブを常閉弁とすることもできる。この場合には、前輪側の減圧用リニアバルブのみを開状態に保てばよいことになり、過増圧抑制制御における減圧用リニアバルブにおける発熱量を抑制することができる。
さらに、減圧用リニアバルブ92と並列に常開弁を設けることもできる。
その他、〔発明が解決しようとする課題,課題解決手段および効果〕の項に記載の態様の他、当業者の知識に基づいて種々の変形,改良を施した態様で本発明を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態であるブレーキ装置の回路図である。
【図2】 上記ブレーキ装置に含まれるリニアバルブ装置の一部断面図である。
【図3】 上記ブレーキ装置に含まれる液圧制御装置の周辺を示す図である。
【図4】 上記液圧制御装置のROMに格納されたブレーキ液圧制御プログラムを表すフローチャートである。
【図5】 上記ブレーキ液圧制御プログラムの一部を表すフローチャートである。
【図6】 上記ブレーキ液圧制御プログラムの一部を表すフローチャートである。
【図7】 上記ROMに格納された設定圧決定テーブルを表す図である。
【図8】 本発明の別の一実施形態であるブレーキ装置の液圧制御装置のROMに格納されたブレーキ液圧制御プログラムの一部を表すフローチャートである。
【符号の説明】
12 ポンプ装置
20,21,28,29 ブレーキ
38 アキュムレータ圧センサ
50,52 マスタ遮断弁
80〜86 リニアバルブ装置
92 減圧用リニアバルブ
54,56 連通路
58,60 連通弁
150 ブレーキ液圧制御装置
180 駆動回路
Claims (4)
- ポンプ,そのポンプを駆動するポンプモータおよびそのポンプから吐出された作動液を蓄えるアキュムレータを含み、そのアキュムレータの圧力が予め定められた設定範囲内に保たれるように前記ポンプモータが作動させられる動力式液圧源と、
その動力式液圧源から出力された作動液がブレーキシリンダに供給されることによって作動させられるブレーキと、
前記ブレーキシリンダの液圧を個別に制御可能な個別液圧制御弁装置であって、前記動力式液圧源と前記ブレーキシリンダとの間に設けられ、前後の差圧に応じた差圧作用力とコイルへの供給電流に応じた電磁駆動力との和がスプリングの付勢力より大きくなると閉状態から開状態に切り換えられる電磁制御弁を含むものと、
前記アキュムレータの液圧を検出するアキュムレータ圧センサを含み、そのアキュムレータ圧センサによって検出されたアキュムレータ圧が、前記設定範囲の上限値と、前記電磁制御弁の開弁圧との少なくとも一方に基づいて決まる、前記電磁制御弁の開弁圧より低い設定圧を越えた場合に、前記動力式液圧源が過加圧状態にあることを検出する過加圧検出装置と、
その過加圧検出装置によって動力式液圧源が過加圧状態にあることが検出された場合に、前記ブレーキシリンダの液圧の過増圧を抑制する過増圧抑制装置と
を含むことを特徴とするブレーキ装置。 - 前記設定圧が、前記作動液の温度にも基づいて設定される請求項1に記載のブレーキ装置。
- 当該ブレーキ装置が、低圧源と前記ブレーキシリンダとの間に設けられ、ブレーキシリンダから低圧源への作動液の流れを阻止する流出阻止状態と、ブレーキシリンダから低圧源への作動液の流れを許容する流出許容状態とに切り換え可能な開放弁を含み、
前記過増圧抑制装置が、前記開放弁を前記流出許容状態に切り換える開放弁制御部を含む請求項1または2に記載のブレーキ装置。 - 前記過増圧抑制装置が、前記過加圧検出装置によって前記動力式液圧源が過加圧状態にあることが検出され、かつ、ブレーキ操作部材が操作されていない場合に、前記ブレーキシリンダの過増圧を抑制するものである請求項1ないし3のいずれかに記載のブレーキ装置。
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