JP4075013B2 - 間接照明構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、乗用車等の車両において天井から採光した光を調光可能にした間接照明構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
乗用車等の車両においては、従来、天井の一部に開閉できるサンルーフ構造を採用することによって、太陽光を車室内にとり入れることを可能としている。この天井の開口部には、光を車内に取り入れやすいように、例えば、透光性を有するガラスが取り付けられている。このようなサンルーフによって、乗員は、明るい室内でドライビングを楽しむことができるようになっている。
【0003】
一方、天井の開口にガラスを取り付けたような上記サンルーフによっては、外からの光が直接に車室内に入ってくるため、乗員が強い日差しに照らされて、快適なドライビングが損なわれることがある。
【0004】
このような不快感を解消するために、従来、間接光を採光するようにしたサンルーフ構造が知られている(特許文献1参照)。このサンルーフ構造としては、ルーフの中央部をその周囲より凹状に窪ませた凹部が設けられ、その凹部の縦壁を採光するためのガラスとして構成し、凹部の底面が非透光部材によって構成されている。
【0005】
【特許文献1】
実用新案登録第2601903号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に示すようなサンルーフ構造において、室内を十分に明るくするための光を採光するには、凹部の側壁の高さ、即ち、窪みの深さを大きく設定することが必要になる。このように、大きな凹部をルーフに採用すると、(イ)乗員がシートに座ったときに、頭の最も上の部分から天井までの距離のヘッドクリアランスが狭くなって乗員に圧迫感を与えることになり、又(ロ)必要以上に天井が高くなることで、車体の外形スタイリングに大きな影響を与えることにもなりかねない。
【0007】
さらに、同文献に記載のサンルーフ構造では、ガラスからの光をそのまま採光するので、その光量を調節することはできないばかりか、ガラスに入射する光の角度によっては全く採光することもできない。
【0008】
本発明は以上の点に鑑み、採光した光を調光可能にする間接照明構造を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明の間接照明構造は、車両の天井に形成された採光用の開口と、この開口に取り付けられた透光性板材と、この透光性板材及び上記天井から離隔して車両室内側に配置されたオーバーヘッドコンソールと、このオーバーヘッドコンソールと上記透光性板材との間に配設されており、上記オーバーヘッドコンソールの周縁と上記天井との隙間から乗員室内空間に向けて、上記透光性板材に入射した外光を反射させ、その反射角度を調整可能とした光量調節部と、を備えている。
これにより、開口から入射した光が、光量調節部にて反射角度を制御されて、室内空間に反射される。このように、反射角度が制御できるので、室内空間を照らす間接光の光量を調節できる。
【0010】
本発明の間接照明構造は、前記透光性板材が乗員から見えないように前記オーバーヘッドコンソールが形作られているのが望ましい。これにより、車両のルーフに形成された開口から入射した外光が、直に乗員を照らすことを防止できる。
【0011】
本発明の間接照明構造は、前記光量調節部が、前記オーバーヘッドコンソールの幅の中間位置に配置されていることを特徴とし、好ましくは、前記光量調節部が前記オーバーヘッドコンソールの幅の中間位置に一対左右に並べて配置されている。このように、オーバーヘッドコンソールが室内天井の幅の中心位置に配置されていれば、所謂運転席側と助手席側の室内空間の明るさをそれぞれ個別に調節することができる。
【0012】
本発明の間接照明構造は、前記光量調節部が、前記オーバーヘッドコンソールに取り付けられたブラケットと、このブラケットに回動可能に枢支されたリフレクターと、摘み部を乗員側に配置して回動可能に前記オーバーヘッドコンソールに枢支された回転操作レバーと、上記リフレクター及び上記回転操作レバーを連結するリンク材とを備えた、ことを特徴とする。これにより、採光した光の調光を、簡素な構造の下で、適切に行える。
【0013】
さらに、本発明の間接照明構造は、前記リフレクターに発光源を備えて構成されていてもよく、この場合、太陽光のみならず発光源からの光をも前記リフレクターが反射する。このように構成すれば、夜間における室内空間の調光も可能となる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面に示した実施形態に基づいて本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る間接照明構造10を適用した車両室内を示す図であり、図において、1はフロントガラス、2はフロントピラー、3はステアリングハンドル、4は室内天井であり、こられの部材1〜4は従来公知のものである。
【0015】
本発明においては、以下の如く、間接照明構造10を構成する部材が室内天井4に設けられている。
先ず、図1に示すように、オーバーヘッドコンソール11が、長さ方向を車両前後方向と平行にして、室内天井4の幅の中間位置に配置されて室内天井4に付設されている。このオーバーヘッドコンソール11は、室内天井4から車両室内側に所定の間隔をおいて配置されている。
【0016】
図2は図1のA−A線端面図であり、図において左方が車両前方側Fを、右方が車両後方側Bを示す。図2に示すように、オーバーヘッドコンソール11は、その前後端が室内天井4に形成された膨出部4a,4bと連結して、この連結箇所を除くオーバーヘッドコーンソール11の部位と室内天井4との間に間隙S1を画成するように、室内天井4に取り付けられている。なお、膨出部4a,4bは、例えば、図に示す室内天井4とフロントガラス1及びリアガラス1aとの境界近傍において、後述する成形天井7を室内側に張り出して形成されている。
【0017】
このように室内天井4に配設されるオーバーヘッドコーンソール11の寸法は例えば、長さ(L1)2000mm,幅(W1:後述の図3参照)300mm,高さ(H1:後述の図4参照)50mm程度に設定されることができる。ただしこれに限らず、各車種別に車体の剛性を考慮して設定されることができる。また、オーバーヘッドコーンソール11と室内天井4との間隔X(後述の図4参照)は15mm程度に設定されている。
【0018】
このようなオーバーヘッドコンソール11は、インストルメントパネルの成形手法と同様に、例えばPP(ポリプロピレン)またはPC(ポリカーボネイト)等から成る心材を射出成形等により形成し、それに表皮材を付着することで、製造することができる。
【0019】
ここで、図3は図1のB−B線端面図である。この図に示すように、オーバーヘッドコンソール11は断面が略皿状に形成されており、その凹面11aが車両上方向(矢印Uで示す)側に向くように配置されている。
【0020】
さらに、オーバーヘッドコンソール11の内側には、一対の光量調節部12がオーバーヘッドコンソール11の幅W1の中間位置にて左右に並べて取り付けられている。なお、図中のLは左側をRは右側を示している。
各光量調節部12は、図4に示すように、オーバーヘッドコンソール11の凹面11aに取り付けられたブラケット12aと、このブラケット12aの上部に回動可能に枢支されたリフレクター12bと、このリフレクター12bの中心に設けられておりリフレクター12bと共に回動する発光源12cと、摘み部を乗員側に配置して、回動可能にオーバーヘッドコンソール11に枢支された回転操作レバー12dと、リフレクター12bの基部と回転操作レバー12dの基部とを連結する棒状の一対のリンク12e,12eと、により構成されている。
【0021】
上記光量調節部12のリフレクター12bは、車両外部から採光した光や発光源12cからの光を反射させるものであり、例えば、凹面鏡を用いることができる。
【0022】
さらに、このリフレクター12bは上下方向にスウィング可能にブラケット12aに枢支されており、さらにそのスウィングする軌跡面が車両を真横に縦に切った断面と平行になるように設定されている。なお、図3に示すように、右側の光量調節部12のリフレクター12bは右側方向にその凹面を向け、左側のリフレクター12bの凹面は車両左側方向を向けている。なお、リフレクター12bのスウィングする軌道面は、上記断面に限らず、その他に任意の面に設定されてもよく、例えば、リフレクター12bの凹面を車両斜め前方に向けて配設してもよい。
【0023】
光量調節部12の発光源12cとしては、ランプやLED等を用いることができる。この発光源12cのスイッチは、図示を省略するが、従来のマップランプのように、例えば室内天井4に取り付けられており、スイッチ及び発光源12cがワイヤーハーネスを介して電源供給部(図示省略)に接続されている。
【0024】
この光量調節部12の上方にある室内天井4には、採光用の開口13が形成されており、さらにこの開口13に透光性板材14が嵌装されている。
図3において、上記開口13の横幅W2は、例えば250mm程度に設定され、オーバーヘッドコンソール11の横幅W1よりも狭く、即ち、W1>W2として設定されている。好ましくは、W2はW1の6割〜8割程度の長さに設定されている。これにより、開口13はオーバーヘッドコンソール11により覆い隠されて乗員から直接視認されることはない。
【0025】
また、開口13も本実施の形態では、図5に示すように、オーバーヘッドコンソール11と同じように車両前後方向に沿って縦長にのびる長方形状に形成されている。なお、図2にも示すように、開口13の長さ(L2)は、1800mm程度に設定されていて、オーバーヘッドコンソール11の長さ(L1)に比べて若干短く設定されている。
【0026】
このように、オーバーヘッドコンソール11は、開口13及び透光性板材14が乗員から見えないようにオーバーヘッドコンソール11を遮蔽物として機能するように、設定されて室内天井4に配設されている。よって、開口13から車室内に入射する直接光も、室内天井4に付設された上記オーバーヘッドコンソール11によって遮られて、乗員の目に直接入ることがない。
【0027】
上記透光性板材14は、開口13に取り付けたときに、ルーフ外表面と面一になるようにルーフに取り付けるのが好ましい。なお、この透光性板材14は、乗員が外気と触れることができるように、開閉可能に開口部13に取り付けられていてもよい。また、ここで言う透光性板材14としては、従来サンルーフ用に用いられる透光性を有するガラス板やアクリル性の板などが使用可能である。
【0028】
なお、図3及び図4において、5,6,7は室内天井4を構成する部材であり、具体的には、5はアウターパネル、6はインナーパネル、7はインナーパネル6に付設された成形天井である。
【0029】
本発明の実施形態に係る間接照明構造10は、以上のように構成されており、つぎのように使用する。
まず、日中において外光を採光する場合について説明する。
図6に示すように、外光が車両の真上から室内に向けて入射してくる場合は、その入射光は、リフレクター12bにて反射される。ここで、乗員が回転操作レバー12dを操作して所定の角度位置にリフレクター12bを回転させると、反射光を車両室内に向けて反射させることができる。即ち、オーバーヘッドコンソール11の側縁11b(図4)と室内天井4との間の隙間S2を反射光が通過して、乗員のいる車室内に間接光が導かれ、成形天井7でさらに反射する。これにより、乗員がいる車内が間接照明により明るくなる。
【0030】
次に、図7に示すように、外光が斜めに透光性板材14に入射してくる場合において、室内空間を明るくするには、上記図6と同様に、乗員が回転操作レバー12dを操作して所定の角度位置にリフレクター12bを回転させる。これにより、間接光によって乗員がいる空間を明るくすることができる。
また、日中使用時において、車室内が間接光によって明るすぎる場合は、リフレクター12bの反射角度を変えて、間接光の車室内への入射量を遮断したり又は少なくすることもできる。
【0031】
次に、夜間における発光源12cからの光の調整について説明する。
夜間時に車室内を間接照明するには、乗員は、先ず、発光源12cのスイッチを入れる。これにより、発光源12cが発光する。そして、適当に車室内を明るくするには、日中での間接光の調整と同様に、乗員が回転操作レバー12dを操作して所望の角度位置にリフレクター12bを回転させる。このような作業により、発光源12cからの光の乗員がいる空間への入射量が変化して、車室内を明るくしたり、薄明かりにしたりして、調光することができる。
【0032】
このように本発明の実施形態に係る間接照明構造10において、アウターパネル5と同一面状に取り付けられた透光性板材14の下に、透光性板材14を隠すように成形天井7から浮かせて、平たく底の浅い皿状のオーバーヘッドコンソール11を配設する。さらに、このオーバーヘッドコンソール11と透光性板材14との狭い空間S1内に、乗員がいる空間へ向けて外光を反射させるリフレクター12bが設置される。このようにして、間接照明構造10は、乗員空間を大きく占有すること無く車両の室内天井に適用することができる。
【0033】
そして、この間接照明構造10によれば、外光の透光性板材14への入射角度の如何に拘わらず、オーバーヘッドコンソール11内に設けられたリフレクター12bによって反射角度を可変としているため、車室内を十分に明るく或いは暗くなるように、間接光の室内空間への入射量を容易に調整することができる。さらに、夜間における発光源12cによる光量も、調整することができる。
【0034】
したがって、乗員の好みに合わせて間接光や発光源12cからの光の光量を調整できるので、乗員は好みの調光による間接照明により快適なドライビングを楽しむことができる。
また、日中において、透光性板材14へ入射した外光を間接光とすることで、紫外線による乗員の影響を低減できる。
さらに、透光性板材14は車両のルーフと同一面状にフラットに形成されるので、車体の外形スタイリングに影響を与えることがない。
【0035】
以上詳述したように、本発明は、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、様々な形態で実施できる。例えば、上記説明では、左右に並べられた一対の光量調節部12をオーバーヘッドコンソール11に配設する場合を説明したが、リフレクター12bを180度回転できるようにして一つの光量調節部12を配設するようにして構成することもできる。
また、複数の光量調節部12を車両前後方向に所定の間隔をあけてオーバーヘッドコンソール11に配設してもよい。或いは、開口を車両の横断方向に配設して、光量調節部12を車両横断方向に配設してもよい。この場合は、車両の前後方向に向けた間接照明を行うことができる。
【0036】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明は、乗員空間を大きく占有すること無く車両の室内天井に適用することができる。そして、本発明によれば、採光した光、即ち間接光を任意の明るさに調光することができる。よって、乗員は採光した光にかかわらず快適なドライビングを楽しむことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る間接照明構造を適用した車両室内を示す図である。
【図2】図1のA−A線端面図である。
【図3】図1のB−B線端面図である。
【図4】図3の一点鎖線で示すA領域部分を拡大した部分端面図である。
【図5】本発明を室内天井に適用したルーフの外観を示す斜視図である。
【図6】本発明の間接照明構造の使用方法を説明するための図である。
【図7】本発明の間接照明構造の使用方法を説明するための図である。
【符号の説明】
10 間接照明構造
11 オーバーヘッドコンソール
11a オーバーヘッドコンソールの凹面
11b オーバーヘッドコンソールの側縁
12 光量調節部
12a ブラケット
12b リフレクター
12c 発光源
12d 回転操作レバー
12e リンク
13 開口
14 透光性板材
1 フロントガラス
1a リアガラス
2 フロントピラー
3 ステアリングハンドル
4 室内天井
4a,4b 膨出部
5 アウターパネル
6 インナーパネル
7 成形天井
Claims (6)
- 車両の天井に形成された採光用の開口と、この開口に取り付けられた透光性板材と、この透光性板材及び上記天井から離隔して車両室内側に配置されたオーバーヘッドコンソールと、このオーバーヘッドコンソールと上記透光性板材との間に配設されており、上記オーバーヘッドコンソールの周縁と上記天井との隙間から乗員室内空間に向けて、上記透光性板材に入射した外光を反射させ、その反射角度を調整可能とした光量調節部と、を備えた間接照明構造。
- 前記透光性板材が乗員から見えないように、前記オーバーヘッドコンソールが形作られていることを特徴とする、請求項1に記載の間接照明構造。
- 前記光量調節部が、前記オーバーヘッドコンソールの幅の中間位置に配置されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の間接照明構造。
- 前記光量調節部が、前記オーバーヘッドコンソールの幅の中間位置に一対左右に並べて配置されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の間接照明構造。
- 前記光量調節部が、前記オーバーヘッドコンソールに取り付けられたブラケットと、このブラケットに回動可能に枢支されたリフレクターと、摘み部を乗員側に配置して、回動可能に前記オーバーヘッドコンソールに枢支された回転操作レバーと、上記リフレクターと上記回転操作レバーとを連結するリンク材と、を備えたことを特徴とする、請求項1〜4の何れかに記載の間接照明構造。
- 前記リフレクターに発光源を備えており、この発光源からの光をも前記リフレクターが反射することを特徴とする、請求項5に記載の間接照明構造。
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