以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号を用い、重複する説明を省略する。
(第1実施形態)
図1(a)〜図1(e)は、第1実施形態に係るセラミックグリーンシートの製造方法を模式的に示す工程断面図である。図2(a)及び図2(b)は、それぞれ、図1(b)及び図1(c)に示される工程断面図の他の例を示す工程断面図である。
(離型処理工程)
まず、図1(a)に示されるように、基材1の表面1aに離型処理を施す。これにより、基材1の表面1a上には離型層3が形成される。
基材1は、板状又はフィルム状であり、具体的には、例えばPETフィルムである。基材1の厚さは、25〜100μm程度であると好ましく、例えば50μm程度である。離型処理では、まず、例えば付加反応型のシリコーン樹脂材料をトルエン又はメチルエチルケトンといった溶媒に加え、得られた溶液をバーコード法、グラビアコート法、ドクターブレードコート法等により基材1の表面1a上に塗布する。その後、例えば150℃で30秒間、加熱による乾燥処理を行う。これにより、付加反応型のシリコーン樹脂材料が付加重合すると共に、溶媒が除去される。このようにして、例えば厚さ0.01〜0.1μm程度の離型層3が形成される。なお、用いるシリコーン樹脂材料の種類や使用量等を変えることにより離型層3の性能(離型性)を調整することができる。
(導体層形成工程)
次に、図1(b)に示されるように、表面1aに離型処理が施された基材1上に、所定の溶媒に対して可溶性を有する導電材料からなる導体層5aを形成する。所定の溶媒に対して可溶性を有する導電材料としては、例えば、後述する第2の導体パターン部形成工程におけるエッチング液に対して可溶性を有するバインダー樹脂材料を含有するものが挙げられる。エッチング液としては、例えば、アルカリ溶液、アルカリ水溶液、有機溶剤系エッチング液、水系エッチング液等が挙げられる。バインダー樹脂としては、例えば、アルカリ可溶性セルロース誘導体、アルカリ可溶性アクリル樹脂等を主体とするベースポリマーが挙げられる。導電材料は、バインダー樹脂材料に加えて、金属粒子(例えば、Ag、Ni、Pd又はCuからなる粒子)及び有機溶剤等を更に含有する導電ペーストであることが好ましい。上記導電材料は、例えば電極材料であり、その場合、導体層5aは電極層となる。
導体層5aの厚さは、例えば1μm程度である。導体層5aは、例えば以下のように形成される。まず、塗布コーター(例えばドクターブレードを備えたコーター)を用いて、ペースト状又はスラリー状の導電材料を離型層3上に塗布する。続いて、通常は加熱による乾燥処理を行うことにより、導電材料中の溶剤成分を除去する。
なお、導体層5aは、図2(a)に示されるように、基材1の表面1a上に部分的に形成されるとしてもよい。この場合、基材1の表面1aの全面に導体層5aを形成する場合に比べて、導電材料の使用量を抑制することができる。さらに、後述する第2の導体パターン部形成工程におけるエッチング液の使用量、処理時間等を少なくできる。よって、例えば高価な導電材料やエッチング液を用いる場合には、セラミックグリーンシートの製造コストを低減できる。このような導体層5aは、例えば以下のように形成される。まず、印刷機を用いて、ペースト状又はスラリー状の導電材料を離型層3上にパターン印刷する。続いて、通常は加熱による乾燥処理を行うことにより、導電材料中の溶剤成分を除去する。
(第1の導体パターン部形成工程)
次に、図1(c)に示されるように、導体層5a上に、所定の溶媒に対して不溶性を有する導電材料からなる第1の導体パターン部7を形成する。本実施形態では、導体パターン部7は一対の導体パターン部である。なお、導体パターン部7が図2(b)に示されるように形成されるとしてもよい。所定の溶媒に対して不溶性を有する導電材料としては、例えば、後述する第2の導体パターン部形成工程におけるエッチング液に対して不溶性を有するバインダー樹脂材料を含有するものが挙げられる。バインダー樹脂としては、例えば、耐アルカリ性を有するセルロース誘導体を含む樹脂(例えばエチルセルロース系樹脂)、又は、当該樹脂とその他の材料との混合物等が挙げられる。導電材料は、バインダー樹脂材料に加えて、金属粒子(例えば、Ag、Ni、Pd又はCuからなる粒子)及び有機溶剤等を更に含有する導電ペーストであることが好ましい。上記導電材料は、例えば電極材料であり、その場合、導体パターン部7は電極パターン部となる。
導体パターン部7の厚さ(高さ)は、導体パターン部7の機能に応じて適宜設定されることが好ましい。導体パターン部7をコンデンサに適用する場合、導体パターン部7の厚さは1〜2μmであることが好ましい。導体パターン部7をインダクタに適用する場合、導体パターン部7の厚さは5〜50μmであることが好ましい。導体パターン部7を回路に適用する場合、導体パターン部7の厚さは5〜50μmであることが好ましい。
導体パターン部7がコンデンサ用のポスト電極となる場合、導体パターン部7の厚さは3μm前後であることが好ましい。導体パターン部7が、コンデンサ以外に用いられるポスト電極となる場合、導体パターン部7の厚さは5〜50μmであることが好ましい。
導体パターン部7は、例えば以下のように形成される。まず、印刷機を用いて、ペースト状又はスラリー状の導電材料を導体層5a上にパターン印刷する。続いて、通常は加熱による乾燥処理を行うことにより、導電材料中の溶剤成分を除去する。
(第2の導体パターン部形成工程)
次に、図1(d)に示されるように、エッチング液(所定の溶媒)を用いて導体層5aをエッチングすることにより第2の導体パターン部5を形成する。本実施形態では、導体パターン部5は一対の導体パターン部であり、導体パターン部7に対応するパターン形状を有する。エッチング液としては、例えば、アルカリ溶液、アルカリ水溶液、有機溶剤系エッチング液、水系エッチング液等が挙げられる。エッチング液は、導電材料に含まれるバインダー樹脂材料との相溶性を考慮して選択されることが好ましい。一実施例において、エッチング液はNa2CO3の1質量%水溶液である。この場合、まず、エッチング液をスプレー圧0.01〜0.3MPaで数十秒〜数分間、導体層5aに吹き付ける。続いて、純水をスプレー圧0.01〜0.3MPaで数十秒〜数分間、導体層5aに吹き付ける。
(セラミック層形成工程)
次に、図1(e)に示されるように、基材1上にセラミック層9を形成する。これにより、導体パターン部5,7とセラミック層9とを有するセラミックグリーンシート10が離型層3上に形成される。その後、基材1を剥離してもよい。本実施形態では、導体パターン部5,7は、セラミック層9をその厚み方向に貫通し、セラミックグリーンシート10の上面及び下面に設けられる電極パターン部間を電気的に接続するためのポスト電極として機能する。
表面1aに離型処理が施された基材1上に微細な導体パターン部を直接形成すると、当該導体パターン部は基材1から剥離し易くなる。これに対して、本実施形態のセラミックグリーンシートの製造方法では、導体層5a上に導体パターン部7が形成されるので、導体パターン部7が微細化しても基材1から剥離し難い。導体パターン部7は、導体層5aによって基材1に保持されている。また、導体層5aをエッチングすることによって導体パターン部5を形成するので、導体パターン部5が微細化しても基材1から剥離し難い。例えば、溶解能の高い導体層5aを用いると、導体パターン部7が剥離しない程度の弱いエッチングにより導体パターン部5を形成することができる。したがって、本実施形態のセラミックグリーンシートの製造方法を用いると、表面1aに離型処理が施された基材1上に微細で高アスペクト比の導体パターン部5,7を形成できるので、導体パターン部5,7の小型化・高集積化を実現できる。また、例えば、導体パターン部5,7がポスト電極の場合、パッド電極が不要となる。さらに、セラミック層9よりも先に導体パターン部5,7を基材1上に形成するので、例えばスルーホールに導電ペーストを充填する工法を用いた場合に発生しがちであり、導電ペーストの充填不足等に起因する空隙が、導体パターン部5,7内には発生しない。
(第2実施形態)
図3(a)〜図3(f)は、第2実施形態に係るセラミックグリーンシートの製造方法を模式的に示す工程断面図である。図4(a)〜図4(c)は、それぞれ、図3(b)〜図3(d)に示される工程断面図の他の例を示す工程断面図である。
(離型処理工程)
まず、図3(a)に示されるように、基材1の表面1aに離型処理を施す。これにより、基材1の表面1a上には離型層3が形成される。
(第1の導体層形成工程)
次に、図3(b)に示されるように、表面1aに離型処理が施された基材1上に、所定の溶媒に対して可溶性を有する導電材料からなる第1の導体層5aを形成する。なお、導体層5aは、図4(a)に示されるように、基材1の表面1a上に部分的に形成されるとしてもよい。
(第2の導体層形成工程)
次に、図3(c)に示されるように、導体層5a上に、感光性導電材料からなる第2の導体層13aを形成する。導体層13aは、所定の溶媒に対して可溶性を有する感光性導電材料からなることが好ましい。なお、導体層13aは図4(b)に示されるように形成されるとしてもよい。導体層13aは、導体層5a上に部分的に形成されるとしてもよいし、全面に形成されるとしてもよい。導体層5aは、導体層13aよりも広い面積にわたって形成されることが好ましい。上記感光性導電材料は、例えば感光性電極材料であり、その場合、導体層13aは電極層となる。
所定の溶媒に対して可溶性を有する感光性導電材料としては、例えば、後述する導体パターン部形成工程における溶媒(現像液又はエッチング液)に対して可溶性を有するネガ型の感光性バインダー樹脂材料を含有するものが挙げられる。溶媒としては、例えば、アルカリ溶液、アルカリ水溶液、有機溶剤系溶媒、水系溶媒等が挙げられる。ネガ型の感光性バインダー樹脂材料は、例えば、紫外線の照射により架橋重合するポリマー又はモノマー、及び重合開始剤等を含有する。感光性導電材料は、ネガ型の感光性バインダー樹脂材料に加えて、金属粒子(例えば、Ag、Ni、Pd又はCuからなる粒子)及び有機溶剤等を更に含有する感光性導電ペーストであることが好ましい。
導体層13aは、例えば以下のように形成される。まず、印刷機を用いて、ペースト状又はスラリー状の感光性導電材料を導体層5a上にパターン印刷する。この場合、導体層5a上の全面に導体層13aを形成する場合に比べて、感光性導電材料の使用量を抑制することができる。感光性導電材料は通常高価であるので、セラミックグリーンシートの製造コストを低減できる。さらに、後述する導体パターン部形成工程における溶媒の使用量、処理時間等を少なくできるので、製造コストを一層低減できる。続いて、通常は加熱による乾燥処理を行うことにより、感光性導電材料中の溶剤成分を除去する。また、加熱により感光性導電材料の感光性能を変化又は発現させるとしてもよい。
(露光工程)
次に、図3(d)に示されるように、導体層13aの所定部分13bに露光を施す。なお、図4(c)に示されるように導体層13aの所定部分13bに露光を施すとしてもよい。本実施形態では、所定のパターン形状を有する光透過部11aと、光透過部11aを取り囲む遮光部11bとを有するマスク11を用いて、導体層13aに紫外線等の光Lを照射する。紫外線は例えば高圧水銀灯から出射される。
導体層13aに照射する光Lとしては、波長が365nmの光(i線)、波長が405nmの光(h線)、波長が436nmの光(g線)、又はこれらの混合光等が挙げられる。また、連続した波長帯を有する光を導体層13aに照射するとしてもよい。
露光法としては、密着露光法、プロキシミティ露光法、プロジェクション露光法等が挙げられる。露光量は、導体層13aに含まれる感光性導電材料の感光性能、導体層13aの厚さ(高さ)等に応じて適宜調整され、例えば数百〜数千mJ/cm2である。また、所望の解像度を得るために、後述の現像処理条件と露光量とを適宜設定することができる。
マスク11としては、例えばガラスマスク、フィルムマスク等が挙げられる。なお、マスク11を用いずに、導体層13aの所定部分13bにレーザ光を選択的に照射するとしてもよい。レーザ光を照射する際には、レーザ描画装置を好適に用いることができる。
(導体パターン部形成工程)
次に、図3(e)に示されるように、所定の溶媒を用いて、導体層13aを現像することにより第1の導体パターン部13を形成すると共に、導体層5aをエッチングすることにより第2の導体パターン部5を形成する。本実施形態では、導体パターン部5,13はいずれも一対の導体パターン部であり、導体パターン部13は導体パターン部5に対応するパターン形状を有する。このとき、溶媒は現像液又はエッチング液として機能する。露光が施された導体層13aの所定部分13bでは、感光性導電材料が架橋重合し、溶媒(現像液)に不溶となる。一方、露光が施されていない導体層13aの部分では、感光性導電材料が架橋重合せず、溶媒(現像液)に可溶となる。
上記溶媒としては、例えば、アルカリ溶液、アルカリ水溶液、有機溶剤系溶媒、水系溶媒等が挙げられる。溶媒は、導電材料及び感光性導電材料に含まれるバインダー樹脂材料との相溶性を考慮して選択されることが好ましい。一実施例において、溶媒はNa2CO3の1質量%水溶液である。この場合、まず、溶媒をスプレー圧0.01〜0.3MPaで数十秒〜数分間、導体層5a,13aに吹き付ける。続いて、純水をスプレー圧0.01〜0.3MPaで数十秒〜数分間、導体層5a,13aに吹き付ける。これにより、例えば、感光性導電材料に含まれる感光性樹脂側鎖等にあるカルボキシル基における水素原子(H)が溶媒中のナトリウム原子(Na)と置換されることにより、架橋重合していない部分がOH−の存在下で溶解する。
導体パターン部13の厚さ(高さ)は、導体パターン部13の機能に応じて適宜設定されることが好ましい。導体パターン部13をコンデンサに適用する場合、導体パターン部13の厚さは1〜2μmであることが好ましい。導体パターン部13をインダクタに適用する場合、導体パターン部13の厚さは5〜50μmであることが好ましい。導体パターン部13を回路に適用する場合、導体パターン部13の厚さは5〜50μmであることが好ましい。
導体パターン部13がコンデンサ用のポスト電極となる場合、導体パターン部13の厚さは3μm前後であることが好ましい。導体パターン部13が、コンデンサ以外に用いられるポスト電極となる場合、導体パターン部13の厚さは5〜50μmであることが好ましい。
(セラミック層形成工程)
次に、図3(f)に示されるように、基材1上にセラミック層9を形成する。これにより、導体パターン部5,13とセラミック層9とを有するセラミックグリーンシート20が離型層3上に形成される。その後、基材1を剥離してもよい。本実施形態では、導体パターン部5,13は、セラミック層9をその厚み方向に貫通し、セラミックグリーンシート20の上面及び下面に設けられる電極パターン部間を電気的に接続するためのポスト電極として機能する。
表面1aに離型処理が施された基材1上に微細な第1の導体パターン部を直接形成すると、当該第1の導体パターン部は基材1から剥離し易くなる。これに対して、本実施形態のセラミックグリーンシートの製造方法では、基材1上に導体層5a,13aを形成した後に、現像又はエッチングすることによって導体パターン部5,13を形成する。よって、導体層5a,13aの溶媒に対する溶解性の組み合わせを調整することにより、導体パターン部5,13の加工性及び基材1への保持性を両立又は微調整することができる。このため、導体パターン部5,13が微細化しても基材1から剥離し難い。また、導体層5a上に導体層13aを形成するので、導体層13aを小さい面積に形成しても導体層13aが剥離し難い。このため、現像時に導体層13aの溶解除去部分が少なくて済むので、溶媒の使用量が少なくて済む。よって、導体パターン部13が剥離しないように導体パターン部5を形成することが容易になる。また、導体層13aを大面積に形成しても、例えば、導体層5a,13aの溶解能を予め調整すること、又は、導体パターン部13が形成された時点で導体層5aのエッチング条件を変える(例えば弱いエッチングにする)ことにより、導体パターン部13が剥離しないように導体パターン部5を形成することが容易になる。したがって、本実施形態のセラミックグリーンシートの製造方法を用いると、表面1aに離型処理が施された基材1上に微細で高アスペクト比の導体パターン部5,13を形成できるので、導体パターン部5,13の小型化・高集積化を実現できる。また、例えば、導体パターン部5,13がポスト電極の場合、パッド電極が不要となる。さらに、セラミック層9よりも先に導体パターン部5,13を基材1上に形成するので、例えばスルーホールに導電ペーストを充填する工法を用いた場合に発生しがちであり、導電ペーストの充填不足等に起因する空隙が、導体パターン部5,13内には発生しない。
以下、上記セラミック層9の形成方法とは異なるセラミック層の形成方法(方法1〜方法4)について説明する。まず、図5〜図7を参照して、セラミック層9aを形成する方法1について説明する。
(方法1)
図5(a)〜図5(e)は、セラミック層9aを形成する方法1を模式的に示す工程断面図である。図5(a)は、図1(d)の後に続く図である。図6は、図5(b)に示される工程断面図の他の例を示す工程断面図であり、図7は、図5(d)に示される工程断面図の他の例を示す工程断面図である。
まず、図5(a)に示されるように、基材1上にセラミック層15aを形成する。このとき、セラミック層15aは導体パターン部5,7を覆うように形成される。セラミック層15aは、所定の溶媒に対して可溶な絶縁材料からなることが好ましい。
次に、図5(b)に示されるように、上記所定の溶媒を用いてセラミック層15aを全面エッチングすることによりセラミック層15を形成する。このとき、導体パターン部7が露出し、セラミック層15の表面位置は、導体パターン部7の表面位置よりも低くなっている。なお、図6に示されるように、導体パターン部7上にセラミック部15bが残存していても構わない。このセラミック部15bは、後述の現像処理によって除去される。
次に、図5(c)に示されるように、セラミック層15上にネガ型の感光性絶縁材料からなる感光性絶縁層17aを形成する。感光性絶縁層17aは、所定の溶媒に対して可溶な感光性絶縁材料からなることが好ましい。このとき、感光性絶縁層17aの表面位置を導体パターン部7の表面位置に略一致させることが好ましい。これにより、得られるセラミックグリーンシートの表面を平坦化し易くなる。
次に、図5(d)に示されるように、マスク16を介して感光性絶縁層17aに露光を施す。マスク16は、導体パターン部5,7に対応するパターン形状を有する遮光部16bと、遮光部16bを取り囲む光透過部16aとを備える。このため、感光性絶縁層17aにおける導体パターン部7上の部分には光Lが照射されない。
なお、図7に示されるように、マスク16を用いずに、基材1側から感光性絶縁層17aに光Lを照射するとしてもよい。照射する光Lに対して導体パターン部5,7の少なくともいずれか一方が遮光性を有し、且つ、基材1、離型層3及びセラミック層15が光透過性を有している場合、感光性絶縁層17aにおける導体パターン部7上の部分には光Lが照射されない。
次に、図5(e)に示されるように、上記所定の溶媒を用いて、露光された感光性絶縁層17aを現像することにより、感光性絶縁層17aにおける導体パターン部7上の部分が除去され、感光性絶縁層17が形成される。その結果、セラミック層15及び感光性絶縁層17からなるセラミック層9aと、導体パターン部5,7とを備えたセラミックグリーンシート30が得られる。この方法1では、セラミック層15aの厚さを厚くすることにより、感光性絶縁層17aの厚さを薄くすることができるので、感光性絶縁材料の使用量を抑制することができる。感光性絶縁材料(感光性セラミックスラリー)は、通常比較的高価であるため、特に感光性絶縁材料を多量に使用するセラミックグリーンシートの製造方法において、製造コストを低減できる。
続いて、図8及び図9を参照して、セラミック層9bを形成する方法2について説明する。
(方法2)
図8(a)〜図8(d)は、セラミック層9bを形成する方法2を模式的に示す工程断面図である。図8(a)は、図1(d)の後に続く図である。図9は、図8(c)に示される工程断面図の他の例を示す工程断面図である。
まず、図8(a)に示されるように、基材1上にセラミック層19aを形成する。このとき、セラミック層19aは導体パターン部5,7を覆うように形成される。セラミック層19aの表面位置は、導体パターン部7の表面位置よりも低くなっている。セラミック層19aは、所定の溶媒に対して可溶な絶縁材料からなることが好ましい。
次に、図8(b)に示されるように、セラミック層19a上に、ネガ型の感光性絶縁材料からなる感光性絶縁層21aを全面に形成する。感光性絶縁層21aは、所定の溶媒に対して可溶な感光性絶縁材料からなることが好ましい。このとき、感光性絶縁層21aの表面位置を導体パターン部7の表面位置に略一致させることが好ましい。これにより、得られるセラミックグリーンシートの表面を平坦化し易くなる。
次に、図8(c)に示されるように、マスク16を介して感光性絶縁層21aに露光を施す。マスク16を用いると、感光性絶縁層21aにおける導体パターン部7上の部分には光Lが照射されない。
なお、図9に示されるように、マスク16を用いずに、基材1側から感光性絶縁層21aに光Lを照射するとしてもよい。照射する光Lに対して導体パターン部5,7の少なくともいずれか一方が遮光性を有し、且つ、基材1、離型層3及びセラミック層19aが光透過性を有している場合、感光性絶縁層21aにおける導体パターン部7上の部分には光Lが照射されない。
次に、図8(d)に示されるように、上記所定の溶媒を用いて、露光された感光性絶縁層21aを現像することにより、感光性絶縁層21aにおける導体パターン部7上の部分が除去され、感光性絶縁層21が形成される。また、上記所定の溶媒を用いてセラミック層19aがエッチングされることにより、セラミック層19が形成される。その結果、セラミック層19及び感光性絶縁層21からなるセラミック層9bと、導体パターン部5,7とを備えたセラミックグリーンシート40が得られる。方法2では、方法1における全面エッチング処理を省略することができる。
続いて、図10を参照して、セラミック層9cを形成する方法3について説明する。
(方法3)
図10(a)〜図10(c)は、セラミック層9cを形成する方法3を模式的に示す工程断面図である。図10(a)は、図1(d)の後に続く図である。
まず、図10(a)に示されるように、基材1上に、ネガ型の感光性絶縁材料からなる感光性絶縁層23aを全面に形成する。感光性絶縁層23aは、所定の溶媒に対して可溶な感光性絶縁材料からなることが好ましい。このとき、感光性絶縁層23aは導体パターン部5,7を覆うように形成される。
次に、図10(b)に示されるように、基材1側から感光性絶縁層23aに光Lを照射する。照射する光Lに対して導体パターン部5,7の少なくともいずれか一方が遮光性を有し、且つ、基材1及び離型層3が光透過性を有している場合、感光性絶縁層23aにおける導体パターン部7上の部分には光Lが照射されない。また、所望の解像度を得るために、後述の現像処理条件と露光量とを適宜設定することができる。
次に、図10(c)に示されるように、上記所定の溶媒を用いて、露光された感光性絶縁層23aを現像することにより、感光性絶縁層23aにおける導体パターン部7上の部分が除去され、セラミック層9cが形成される。このとき、現像処理条件及び露光量を調整することにより、セラミック層9cの表面位置を導体パターン部7の表面位置に略一致させることが好ましい。その結果、セラミック層9cと、導体パターン部5,7とを備えたセラミックグリーンシート50が得られる。
続いて、図11及び図12を参照して、セラミック層9cを形成する方法4について説明する。
(方法4)
図11(a)〜図11(c)は、セラミック層9cを形成する方法4を模式的に示す工程断面図である。図11(a)は、図1(d)の後に続く図である。図12は、図11(b)に示される工程断面図の他の例を示す工程断面図である。
まず、図11(a)に示されるように、基材1上に、ネガ型の感光性絶縁材料からなる感光性絶縁層25aを全面に形成する。感光性絶縁層25aは、所定の溶媒に対して可溶な感光性絶縁材料からなることが好ましい。このとき、感光性絶縁層25aは導体パターン部5,7を覆うように形成される。このとき、感光性絶縁層25aの表面位置を導体パターン部7の表面位置に略一致させることが好ましい。これにより、得られるセラミックグリーンシートの表面を平坦化し易くなる。
次に、図11(b)に示されるように、マスク16を介して感光性絶縁層25aに露光を施す。このため、感光性絶縁層25aにおける導体パターン部7上の部分には光Lが照射されない。
なお、図12に示されるように、マスク16を用いずに、基材1側から感光性絶縁層25aに光Lを照射するとしてもよい。照射する光Lに対して導体パターン部5,7の少なくともいずれか一方が遮光性を有し、且つ、基材1及び離型層3が光透過性を有している場合、感光性絶縁層25aにおける導体パターン部7上の部分には光Lが照射されない。
次に、図11(c)に示されるように、上記所定の溶媒を用いて、露光された感光性絶縁層25aを現像することにより、感光性絶縁層25aにおける導体パターン部7上の部分が除去され、セラミック層9cが形成される。その結果、セラミック層9cと、導体パターン部5,7とを備えたセラミックグリーンシート50が得られる。
なお、上記方法1〜方法4における導体パターン部7を導体パターン部13に置換してもよい。
続いて、図13〜図15を参照して、他の実施形態に係るセラミックグリーンシートの製造方法について説明する。
図13(a)〜図13(d)は、セラミックグリーンシート80の製造方法を模式的に示す工程断面図である。図13(a)は、図1(d)の後に続く図である。
まず、図13(a)に示されるように、基材1上にセラミック層15を形成する。このとき、導体パターン部7は露出している。
次に、図13(b)に示されるように、セラミック層15上に導体層14を形成する。導体層14は、一方の導体パターン部7に電気的に接続されており、他方の導体パターン部7には電気的に接続されていない。導体層14は、例えばパターン電極層である。
次に、図13(c)に示されるように、導体パターン部7及び導体層14を覆うように、セラミック層15上にセラミック層18aを形成する。セラミック層18aは、所定の溶媒に対して可溶な絶縁材料からなることが好ましい。
次に、図13(d)に示されるように、上記所定の溶媒を用いてセラミック層18aをエッチングすることにより、セラミック層15上にセラミック層18を形成する。このとき、導体パターン部7は露出している。これにより、セラミックグリーンシート80が得られる。なお、導体層14上にセラミック層18aの一部が残存していてもよい。
図14(a)は、セラミックグリーンシート80の平面図であり、図14(b)は、図14(a)のXIVb−XIVb線に沿った断面図である。一対の導体パターン部7,7は互いに絶縁されている。
図15(a)は、セラミックグリーンシート81の平面図であり、図15(b)は、図15(a)のXVb−XVb線に沿った断面図である。セラミックグリーンシート81はセラミックグリーンシート80の変形例である。セラミックグリーンシート81における一対の導体パターン部7,7間の距離は、セラミックグリーンシート80におけるそれよりも大きく設定されている。
続いて、図16を参照して、上記セラミックグリーンシート10上に導体部27及びセラミック層29を形成する方法aについて説明する。
(方法a)
図16(a)〜図16(d)は、セラミックグリーンシート10上に導体部27及びセラミック層29を形成する方法aを模式的に示す工程断面図である。図16(a)は、図1(e)の後に続く図である。
まず、図16(a)に示されるように、セラミックグリーンシート10上にパターニングされた導体部27を形成する。導体部27は、導体パターン部7に電気的に接続するように形成される。また、導体部27は、例えば印刷機によるパターン印刷により形成される電極部である。導体部27は、例えば、インダクタの巻回パターン部となる。
次に、図16(b)に示されるように、導体部27を覆うようにネガ型の感光性絶縁材料からなる感光性絶縁層29aをセラミックグリーンシート10上に形成する。感光性絶縁層29aは、所定の溶媒に対して可溶な感光性絶縁材料からなることが好ましい。
次に、図16(c)に示されるように、基材1側から感光性絶縁層29aに光Lを照射する。照射する光Lに対して導体部27が遮光性を有し、且つ、基材1、離型層3及びセラミック層9が光透過性を有している場合、感光性絶縁層29aにおける導体部27上の部分には光Lが照射されない。また、所望の解像度を得るために、後述の現像処理条件と露光量とを適宜設定することができる。
次に、図16(d)に示されるように、上記所定の溶媒を用いて、露光された感光性絶縁層29aを現像することにより、感光性絶縁層29aにおける導体部27上の部分が除去され、セラミック層29が形成される。このとき、現像処理条件及び露光量を調整することにより、セラミック層9の表面位置を導体部27の表面位置に略一致させることが好ましい。その結果、セラミック層29、導体部27及びセラミックグリーンシート10を備えたセラミックグリーンシート60が得られる。
続いて、図17及び図18を参照して、セラミックグリーンシート10上に導体部27及びセラミック層29を形成する方法bについて説明する。
(方法b)
図17(a)〜図17(d)は、セラミックグリーンシート10上に導体部27及びセラミック層29を形成する方法bを模式的に示す工程断面図である。図17(a)は、図1(e)の後に続く図である。図18は、図17(c)に示される工程断面図の他の例を示す工程断面図である。
まず、図17(a)に示されるように、セラミックグリーンシート10上にパターニングされた導体部27を形成する。導体部27は、導体パターン部7に電気的に接続するように形成される。
次に、図17(b)に示されるように、導体部27を覆うようにネガ型の感光性絶縁材料からなる感光性絶縁層31aをセラミックグリーンシート10上に形成する。感光性絶縁層31aは、所定の溶媒に対して可溶な感光性絶縁材料からなることが好ましい。このとき、感光性絶縁層31aの表面位置を導体部27の表面位置に略一致させることが好ましい。これにより、得られるセラミックグリーンシートの表面を平坦化し易くなる。
次に、図17(c)に示されるように、マスク33を介して感光性絶縁層31aに露光を施す。マスク33は、導体部27に対応するパターン形状を有する遮光部33bと、遮光部33bを取り囲む光透過部33aとを備える。このため、感光性絶縁層31aにおける導体部27上の部分には光Lが照射されない。
なお、図18に示されるように、マスク33を用いずに、基材1側から感光性絶縁層31aに光Lを照射するとしてもよい。照射する光Lに対して導体部27が遮光性を有し、且つ、基材1、離型層3及びセラミック層9が光透過性を有している場合、感光性絶縁層31aにおける導体部27上の部分には光Lが照射されない。
次に、図17(d)に示されるように、上記所定の溶媒を用いて、露光された感光性絶縁層31aを現像することにより、感光性絶縁層31aにおける導体部27上の部分が除去され、セラミック層29が形成される。その結果、セラミック層29、導体部27及びセラミックグリーンシート10を備えたセラミックグリーンシート60が得られる。
なお、上記方法a及び方法bにおいて、セラミックグリーンシート10に代えて、セラミックグリーンシート20〜50のいずれか一つを用いることもできる。
続いて、図19及び図20を参照して、上記セラミックグリーンシートの製造方法により形成される導体パターン部5,7の形状について説明する。図19(a)〜図19(d)及び図20(a)〜図20(c)は、基材1上に形成された導体パターン部5,7の斜視図である。図19及び図20には、導体パターン部5,7の形状の具体例が示されている。
図19(a)に示されるように、導体パターン部5,7は円柱状であるとしてもよい。この場合、円柱の直径を50μm以下にすることができる。また、図19(b)に示されるように、導体パターン部5,7は角柱状であるとしてもよい。また、図19(c)に示されるように、導体パターン部5が円柱状であり、且つ、導体パターン部7が円錐台状であるとしてもよい。この場合、導体パターン部7の頂面7tの面積は導体パターン部5の底面5bの面積よりも小さくなる。また、図19(d)に示されるように、導体パターン部5,7が円錐台状であるとしてもよい。この場合、導体パターン部7の頂面7tの面積は導体パターン部5の底面5bの面積よりも大きくなる。図19(c)の導体パターン部5,7は、例えば第1実施形態に係るセラミックグリーンシートの製造方法により好適に得られる。図19(a)〜図19(d)に示される導体パターン部5,7は、例えばポスト電極として使用される。
また、基材1及び離型層3の面方向に沿った導体パターン部5,7の断面形状は、導体パターン部7の頂面7t及び導体パターン部5の底面5bに接続される配線パターン部の幅や形状に応じて任意に調整される。このような導体パターン部5,7の断面形状としては、例えば、円形(図19(a)、図19(c)及び図19(d)参照)、方形(図19(b)参照)等が挙げられる。導体パターン部5,7の断面の面積を小さくしたい場合には、上記断面形状を円形にすることが有効である。
導体パターン部7の頂面7t及び導体パターン部5の底面5bに接続される配線パターン部の密集度合いによっては、導体パターン部5,7の側面がテーパ形状となるように導体パターン部5,7を形成することが好ましい(図19(c)及び図19(d)参照)。例えば、導体パターン部7の頂面7tに接続される配線パターン部の密集度合いが高い場合には、導体パターン部7の頂面7tの面積を小さくするために導体パターン部5,7の形状を図19(c)に示される形状とすることが好ましい。一方、例えば、導体パターン部5の底面5bに接続される配線パターン部の密集度合いが高い場合には、導体パターン部5の底面5bの面積を小さくするために導体パターン部5,7の形状を図19(d)に示される形状とすることが好ましい。さらに、導体パターン部5,7が図19(c)に示される形状を有している場合、導体パターン部5の底面5bの面積を大きくできるので、導体パターン部5,7を基材1に保持し易くなる。
また、導体パターン部5,7が図19(c)又は図19(d)に示される形状を有している場合、導体パターン部5,7が円柱状の場合(図19(a)参照)に比べて、導体パターン部7の頂面7t又は導体パターン部5の底面5bの面積を小さくすることができる。さらに、導体パターン部5,7が図19(d)に示される形状を有している場合、セラミックグリーンシート10を基材1から剥離する際に導体パターン部5,7が脱落することを防止できる。なお、導体パターン部7の頂面7t及び導体パターン部5の底面5bと、導体パターン部5,7の高さとの関係によっては、上記テーパ形状を形成し易い場合がある。
図20(a)に示されるように、導体パターン部5,7は回路を形成していてもよい。また、図20(b)に示されるように、導体パターン部5,7の厚さ(高さ)を厚く(高く)するとしてもよい。図20(a)及び図20(b)に示される導体パターン部5,7は、例えばインダクタの巻回パターン部として使用される。図20(a)及び図20(b)に示されるように、導体パターン部5,7のいずれか一方又は両方の厚さを変えてもよい。このとき、導体パターン部5,7の形成条件(例えば溶解性や溶解条件)を適宜調整するとしてもよい。また、所望の電気特性を得るために導体パターン部5,7のパターン幅を狭くしつつパターン断面積を大きくしたい場合に、導体パターン部5,7のいずれか一方又は両方の厚さを厚くすることが有効である。
また、図20(c)に示されるように、導体パターン部5,7が高アスペクト比のラインパターン形状を有するとしてもよい。導体パターン部5,7の厚さは、例えば導体パターン部5,7のライン幅よりも大きく設定される。また、複数の導体パターン部5,7が高密度のラインパターン形状を有するとしてもよい。各導体パターン部5,7のライン幅は、例えば各導体パターン部5,7間のスペース幅よりも大きく設定される。この場合、導体パターン部5,7は高密度配線として使用される。さらに、導体パターン部5,7が高アスペクト比且つ高密度のラインパターン形状を有するとしてもよい。上記セラミックグリーンシートの製造方法を用いると、導体パターン部5,7のライン幅又はスペース幅を30μm未満にすることができる。
なお、図19及び図20に示される導体パターン部5,7の各エッジは面取りされていてもよい。また、図19及び図20における導体パターン部7を導体パターン部13に置換してもよい。図19(a)及び図19(b)に示されるような角柱状の導体パターン部は、例えば第2実施形態に係るセラミックグリーンシートの製造方法により好適に得られる。
上記各実施形態に係るセラミックグリーンシートの製造方法により製造されるセラミックグリーンシート(例えば、セラミックグリーンシート10〜60,80,81)等を焼成すると、例えば図21〜図23に示されるようにセラミック電子部品を製造することができる。このようなセラミック電子部品の製造方法を用いれば、微細で高アスペクト比の導体パターン部を有するセラミック電子部品が得られる。
セラミック電子部品としては、例えば、回路基板;インダクタ;コンデンサ;バリスタ;NTC(Negative Temperature Coefficient)サーミスタ、PTC(Positive Temperature Coefficient)サーミスタ等のサーミスタ;アクチュエータ;及びこれらの積層品又は複合部品等が挙げられる。上記積層品としては、例えば多層基板等が挙げられ、上記複合部品としては、例えばLCフィルタ等が挙げられる。
図21(a)〜図21(c)は、多層基板の製造方法の一例を模式的に示す工程断面図である。まず、図21(a)に示されるように、上記セラミックグリーンシートの製造方法により製造されるセラミックグリーンシート40、及び、セラミックグリーンシート101〜103等を積層する。セラミックグリーンシート101,103は、例えば絶縁材料からなる。セラミックグリーンシート102は、例えば、導体層102bと、導体層102bを取り囲む絶縁層102aとからなる。続いて、必要に応じて、積層方向にプレスし、切断することにより、図21(b)に示される積層体110が得られる。その後、積層体110を焼成することにより、図21(c)に示される多層基板120を得る(焼成工程)。多層基板120は、例えば、導体部120bと、導体部120bを取り囲む絶縁部120aとからなる。また、セラミックグリーンシート40の導体パターン部5,7は、多層基板120のポスト電極(図19(a)〜図19(d)参照)又は配線パターン部(図20(a)〜図20(c)参照)となる。
図22(a)〜図22(d)は、インダクタの製造方法の一例を模式的に示す工程断面図である。まず、図22(a)に示されるように、上記セラミックグリーンシートの製造方法により製造されるセラミックグリーンシート10,40,70、及び、セラミックグリーンシート202等を積層する。セラミックグリーンシート202は、例えば絶縁材料からなる。セラミックグリーンシート70は、例えば、セラミックグリーンシート40上に導体部27と、セラミック層29とが形成されたものである。本例では、セラミックグリーンシート10の導体パターン部5,7は、ポスト電極(図19(a)〜図19(d)参照)となり、セラミックグリーンシート40の導体パターン部5,7は、巻回パターン部(図20(a)及び図20(b)参照)となる。ただし、セラミックグリーンシート70においては、導体部27が巻回パターン部となり、セラミックグリーンシート40の導体パターン部5,7がポスト電極となる。まず、ポスト電極及び巻回パターン部が、巻回パターン部の中心に対して90°ずつ回転して配置されたセラミックグリーンシート10,40(セラミックグリーンシート10,40に代えてセラミックグリーンシート70を用いてもよい)を複数作製し、それらを交互に積層することにより、コイルが形成される。
続いて、必要に応じて、積層方向にプレスし、切断することにより、図22(b)に示される積層体210が得られる。その後、積層体210を焼成することにより、図22(c)に示される焼成体220を得る(焼成工程)。焼成体220は、例えば、導体部220bと、導体部220bを取り囲む絶縁部220aとからなる。続いて、焼成体220の表面上に端子221を形成することにより、焼成体220の表面に露出した導体部220bに端子221を電気的に接続する。これにより、図22(d)に示されるインダクタ230を得る。
図23(a)〜図23(d)は、コンデンサの製造方法の一例を模式的に示す工程断面図である。まず、図23(a)に示されるように、上記セラミックグリーンシートの製造方法により製造されるセラミックグリーンシート80、及び、セラミックグリーンシート301を積層する。セラミックグリーンシート301は、例えば絶縁材料からなる。続いて、必要に応じて、積層方向にプレスし、切断することにより、図23(b)に示される積層体310が得られる。その後、積層体310を焼成することにより、図23(c)に示される焼成体320を得る(焼成工程)。焼成体320は、例えば、導体部320bと、導体部320bを取り囲む絶縁部320aとからなる。続いて、焼成体320の表面上に端子321を形成することにより、焼成体320の表面に露出した導体部320bに端子321を電気的に接続する。これにより、図23(d)に示されるコンデンサ330を得る。コンデンサ330は底面端子構造を有している。また、セラミックグリーンシート80の導体パターン部5,7は、コンデンサ330のポスト電極となる。
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されない。
1a…表面、1…基材、3…離型層、5a…導体層(第1の導体層)、7,13…導体パターン部(第1の導体パターン部)、5…導体パターン部(第2の導体パターン部)、11,16,33…マスク、L…光、13a…導体層(第2の導体層)、13b…第2の導体層の所定部分、9,9a,9b,9c…セラミック層、10,20,30,40,50,60,70,80…セラミックグリーンシート、120…多層基板(セラミック電子部品)、230…インダクタ(セラミック電子部品)、330…コンデンサ(セラミック電子部品)。