JP4293549B2 - セラミックグリーンシートの製造方法及びセラミック電子部品の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、セラミックグリーンシートの製造方法及びセラミック電子部品の製造方法に関する。
セラミックコンデンサ等のセラミック電子部品を製造するためには、セラミックグリーンシートが用いられる。例えば、セラミックグリーンシートを基材から剥離、転写、積層することによりセラミック電子部品が製造される。セラミックグリーンシートを基材から剥離させるために、通常、表面に離型処理が施された基材が用いられる。また、セラミックグリーンシートの製造方法として、例えば特許文献1に記載されている方法が知られている。この方法では、まず、光透過性の基材上に、導電ペーストによって所定のパターンの導体パターン層を形成する。その後、基材及び導体パターン層上に光硬化性のセラミック層を形成する。続いて、基材の裏面に光を照射して光硬化性のセラミック層を硬化させ、現像することにより基材上にセラミック層を形成する。
特開2004−296543号公報
しかしながら、特許文献1に記載されているセラミックグリーンシートの製造方法では、微細な導体パターン層が基材から剥離してしまう。特に、近年では導体パターンの微細化が顕著であるため、上記方法では微細な導体パターンを基材上に形成することは困難である。また、表面に離型処理が施された基材上に微細な導体パターン部を形成することは一段と困難である。
そこで、本発明は、表面に離型処理が施された基材上に微細な導体パターン部を形成できるセラミックグリーンシートの製造方法及びセラミック電子部品の製造方法を提供することを目的とする。
上述の課題を解決するため、本発明のセラミックグリーンシートの製造方法は、表面に離型処理が施された光透過性の基材上に、所定の溶媒に対して可溶性を有するバインダー樹脂材料を含有する導電材料からなる第1の導体層を形成する第1の導体層形成工程と、第1の導体層上に、感光性導電材料からなる第2の導体層を形成する第2の導体層形成工程と、第2の導体層の所定部分に露光を施す第1の露光工程と、第1の露光工程の後、所定の溶媒を用いて、第2の導体層を現像することにより第1の導体パターン部を形成すると共に、第1の導体層をエッチングすることにより第2の導体パターン部を形成する導体パターン部形成工程と、導体パターン部形成工程の後、基材上に感光性セラミック材料からなる感光性セラミック層を形成する感光性セラミック層形成工程と、基材側から感光性セラミック層に露光を施す第2の露光工程と、第2の露光工程の後、感光性セラミック層を現像することにより基材上にセラミック層を形成する現像工程とを含む。
表面に離型処理が施された基材上に微細な導体パターン部を直接形成すると、当該導体パターン部は基材から剥離し易くなる。これに対して、本発明のセラミックグリーンシートの製造方法では、基材上に第1及び第2の導体層を形成した後に、現像又はエッチングすることによって第1及び第2の導体パターン部を形成する。このため、第1及び第2の導体パターン部が微細化しても基材から剥離し難い。したがって、本発明のセラミックグリーンシートの製造方法を用いると、微細な第1及び第2の導体パターン部を基材上に形成できる。
また、第2の導体層の厚さは、第1の導体層の厚さよりも厚いことが好ましい。この場合、導体パターン部形成工程において、第1及び第2の導体層の積層方向から見て第2の導体パターン部を第1の導体パターン部よりも小さく形成し易くなる。
また、第2の露光工程において、第2の導体パターン部が、露光方向から見て第1の導体パターン部よりも小さいことが好ましい。これにより、露光方向から見て第1の導体パターン部の外側に位置する感光性セラミック層に露光が施されるので、露光方向から見た第1の導体パターン部の外側近傍に未露光部が残存し難くなる。
また、本発明のセラミック電子部品の製造方法は、上記セラミックグリーンシートの製造方法により製造されるセラミックグリーンシートを焼成する焼成工程を含む。なお、焼成工程では、上記セラミックグリーンシートの製造方法により製造されるセラミックグリーンシートと、上記セラミックグリーンシートの製造方法以外の製造方法により製造されるセラミックグリーンシートとを組み合わせて焼成するとしてもよい。このセラミック電子部品の製造方法によれば、微細な導体パターン部を有するセラミック電子部品が得られる。
本発明のセラミックグリーンシートの製造方法及びセラミック電子部品の製造方法によれば、表面に離型処理が施された基材上に微細な導体パターン部を形成できる。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号を用い、重複する説明を省略する。
[第1実施形態]
図1(a)〜図1(f)は、第1実施形態に係るセラミックグリーンシートの製造方法を模式的に示す工程断面図である。図2(a)〜図2(c)は、それぞれ、図1(b)〜図1(d)に示される工程断面図の他の例を示す工程断面図である。
(離型処理工程)
まず、図1(a)に示されるように、光透過性の基材1の表面1aに離型処理を施す。これにより、基材1の表面1a上には離型層3が形成される。
基材1は、その厚み方向において、後述の第2の露光工程における光Lに対する光透過性を有する。基材1は、板状又はフィルム状であり、具体的には、例えばPETフィルムである。基材1の厚さは、25〜100μm程度であると好ましく、例えば50μm程度である。離型処理では、まず、例えば付加反応型のシリコーン樹脂材料をトルエン又はメチルエチルケトンといった溶媒に加え、得られた溶液をバーコード法、グラビアコート法、ドクターブレードコート法等により基材1の表面1a上に塗布する。その後、例えば150℃で30秒間、加熱による乾燥処理を行う。これにより、付加反応型のシリコーン樹脂材料が付加重合すると共に、溶媒が除去される。このようにして、例えば厚さ0.01〜0.1μm程度の離型層3が形成される。なお、用いるシリコーン樹脂材料の種類や使用量等を変えることにより離型層3の性能(離型性)を調整することができる。
(第1の導体層形成工程)
次に、図1(b)に示されるように、表面1aに離型処理が施された基材1上に、所定の溶媒に対して可溶性を有する導電材料からなる第1の導体層5aを形成する。所定の溶媒に対して可溶性を有する導電材料としては、例えば、後述する導体パターン部形成工程における溶媒(現像液又はエッチング液)に対して可溶性を有するバインダー樹脂材料を含有するものが挙げられる。溶媒としては、例えば、アルカリ溶液、アルカリ水溶液、有機溶剤系溶媒、水系溶媒等が挙げられる。バインダー樹脂としては、例えば、アルカリ可溶性セルロース誘導体、アルカリ可溶性アクリル樹脂等を主体とするベースポリマーが挙げられる。導電材料は、バインダー樹脂材料に加えて、金属粒子(例えば、Ag、Ni、Pd、Cu又はAg−Pd合金といったこれらの合金等からなる粒子)及び有機溶剤等を更に含有する導電ペーストであることが好ましい。上記導電材料は、例えば電極材料であり、その場合、導体層5aは電極層となる。
導体層5aの厚さは、例えば0.5〜25μm程度である。導体層5aは、例えば以下のように形成される。まず、塗布コーター(例えばドクターブレードを備えたコーター)を用いて、ペースト状又はスラリー状の導電材料を離型層3上に塗布する。続いて、通常は加熱による乾燥処理を行うことにより、導電材料中の溶剤成分を除去する。
なお、導体層5aは、図2(a)に示されるように、基材1の表面1a上に部分的に形成されるとしてもよい。この場合、基材1の表面1aの全面に導体層5aを形成する場合に比べて、導電材料の使用量を抑制することができる。さらに、後述する導体パターン部形成工程における溶媒の使用量、処理時間等を少なくできる。よって、例えば高価な導電材料や溶媒を用いる場合には、セラミックグリーンシートの製造コストを低減できる。このような導体層5aは、例えば以下のように形成される。まず、印刷機を用いて、ペースト状又はスラリー状の導電材料を離型層3上にパターン印刷する。続いて、通常は加熱による乾燥処理を行うことにより、導電材料中の溶剤成分を除去する。
(第2の導体層形成工程)
次に、図1(c)に示されるように、導体層5a上に、感光性導電材料からなる第2の導体層7aを形成する。導体層7aは、所定の溶媒に対して可溶性を有する感光性導電材料からなることが好ましい。なお、導体層7aは図2(b)に示されるように形成されるとしてもよい。導体層7aは、導体層5a上に部分的に形成されるとしてもよいし、全面に形成されるとしてもよい。導体層5aは、導体層7aよりも広い面積にわたって形成されることが好ましい。上記感光性導電材料は、例えば感光性電極材料であり、その場合、導体層7aは電極層となる。
所定の溶媒に対して可溶性を有する感光性導電材料としては、例えば、後述する導体パターン部形成工程における溶媒に対して可溶性を有するネガ型の感光性バインダー樹脂材料を含有するものが挙げられる。溶媒としては、例えば、アルカリ溶液、アルカリ水溶液、有機溶剤系溶媒、水系溶媒等が挙げられる。ネガ型の感光性バインダー樹脂材料は、例えば、紫外線の照射により架橋重合するポリマー又はモノマー、及び重合開始剤等を含有する。感光性導電材料は、ネガ型の感光性バインダー樹脂材料に加えて、金属粒子(例えば、Ag、Ni、Pd、Cu又はAg−Pd合金といったこれらの合金等からなる粒子)及び有機溶剤等を更に含有する感光性導電ペーストであることが好ましい。
導体層7aの厚さは、導体層5aの厚さよりも厚いことが好ましい。この場合、後述する導体パターン部形成工程において、導体層5a,7aの積層方向から見て導体パターン部5を導体パターン部7よりも小さく形成し易くなる。
導体層7aは、例えば以下のように形成される。まず、印刷機を用いて、ペースト状又はスラリー状の感光性導電材料を導体層5a上にパターン印刷する。この場合、導体層5a上の全面に導体層7aを形成する場合に比べて、感光性導電材料の使用量を抑制することができる。感光性導電材料は通常高価であるので、セラミックグリーンシートの製造コストを低減できる。さらに、後述する導体パターン部形成工程における溶媒の使用量、処理時間等を少なくできるので、製造コストを一層低減できる。続いて、通常は加熱による乾燥処理を行うことにより、感光性導電材料中の溶剤成分を除去する。また、加熱により感光性導電材料の感光性能を変化又は発現させるとしてもよい。
(第1の露光工程)
次に、図1(d)に示されるように、導体層7aの所定部分7bに露光を施す。なお、図2(c)に示されるように導体層7aの所定部分7bに露光を施すとしてもよい。本実施形態では、所定のパターン形状を有する光透過部11aと、光透過部11aを取り囲む遮光部11bとを有するマスク11を用いて、導体層7aに紫外線等の光Lを照射する。紫外線は例えば高圧水銀灯から出射される。
導体層7aに照射する光Lとしては、波長が365nmの光(i線)、波長が405nmの光(h線)、波長が436nmの光(g線)、又はこれらの混合光等が挙げられる。また、連続した波長帯を有する光を導体層7aに照射するとしてもよい。
露光法としては、密着露光法、プロキシミティ露光法、プロジェクション露光法等が挙げられる。露光量は、導体層7aに含まれる感光性導電材料の感光性能、導体層7aの厚さ(高さ)等に応じて適宜調整され、例えば数百〜数千mJ/cmである。また、所望の解像度を得るために、後述の現像処理条件と露光量とを適宜設定することができる。
マスク11としては、例えばガラスマスク、フィルムマスク等が挙げられる。なお、マスク11を用いずに、導体層7aの所定部分7bにレーザ光を選択的に照射するとしてもよい。レーザ光を照射する際には、レーザ描画装置を好適に用いることができる。
(導体パターン部形成工程)
次に、図1(e)に示されるように、所定の溶媒を用いて、導体層7aを現像することにより第1の導体パターン部7を形成すると共に、導体層5aをエッチングすることにより第2の導体パターン部5を形成する。本実施形態では、導体パターン部5,7はいずれも一対の導体パターン部であり、導体パターン部7は導体パターン部5に対応するパターン形状を有する。このとき、溶媒は現像液又はエッチング液として機能する。露光が施された導体層7aの所定部分7bでは、感光性導電材料が架橋重合し、溶媒(現像液)に不溶となる。一方、露光が施されていない導体層7aの部分では、感光性導電材料が架橋重合せず、溶媒(現像液)に可溶となる。
上記溶媒としては、例えば、アルカリ溶液、アルカリ水溶液、有機溶剤系溶媒、水系溶媒等が挙げられる。溶媒は、導電材料及び感光性導電材料に含まれるバインダー樹脂材料との相溶性を考慮して選択されることが好ましい。一実施例において、溶媒はNaCOの1質量%水溶液である。この場合、まず、溶媒をスプレー圧0.01〜0.3MPaで数十秒〜数分間、導体層5a,7aに吹き付ける。続いて、純水をスプレー圧0.01〜0.3MPaで数十秒〜数分間、導体層5a,7aに吹き付ける。これにより、例えば、感光性導電材料に含まれる感光性樹脂側鎖等にあるカルボキシル基における水素原子(H)が溶媒中のナトリウム原子(Na)と置換されることにより、架橋重合していない部分がOHの存在下で溶解する。
基材1の厚み方向における導体パターン部7の厚さ(高さ)は、例えば0.5〜50μmであり、導体パターン部7の機能に応じて適宜設定されることが好ましい。導体パターン部7をコンデンサに適用する場合、例えば導体パターン部5の厚さが0.5〜1μmであるとき、導体パターン部7の厚さは1〜1.5μmであることが好ましい。導体パターン部5,7をコンデンサに適用する場合、導体パターン部5,7の合算厚さは、1〜2μmであることが好ましい。導体パターン部7をインダクタに適用する場合、例えば導体パターン部5の厚さが1〜25μmであるとき、導体パターン部7の厚さは5〜50μmであることが好ましい。導体パターン部5,7をインダクタに適用する場合、導体パターン部5,7の合算厚さは、5〜50μmであることが好ましい。導体パターン部7を回路基板等に適用する場合、例えば導体パターン部5の厚さが1〜25μmであるとき、導体パターン部7の厚さは5〜50μmであることが好ましい。導体パターン部5,7を回路基板等に適用する場合、導体パターン部5,7の合算厚さは、5〜50μmであることが好ましい。
導体パターン部7がコンデンサ用のポスト電極となる場合、導体パターン部7の厚さは2μm前後であることが好ましい。導体パターン部7が、コンデンサ以外に用いられるポスト電極となる場合、導体パターン部7の厚さは25μm以下であることが好ましい。
本実施形態では、基材1の法線方向から見て導体パターン部5が導体パターン部7と略同じサイズとなるように現像及びエッチングする。
(セラミック層形成工程)
次に、図1(f)に示されるように、基材1上にセラミック層9を形成する。これにより、導体パターン部5,7とセラミック層9とを有するセラミックグリーンシート10が離型層3上に形成される。その後、基材1を剥離してもよい。本実施形態では、導体パターン部5,7は、セラミック層9をその厚み方向に貫通し、セラミックグリーンシート10の上面及び下面に設けられる電極パターン部間を電気的に接続するためのポスト電極として機能する。
以下、上記セラミック層9の具体例であるセラミック層9a,9b,9cの形成方法(方法1〜方法4)について説明する。まず、図3及び図4を参照して、セラミック層9aを形成する方法1について説明する。
<方法1>
図3(a)〜図3(e)は、セラミック層9aを形成する方法1を模式的に示す工程断面図である。図3(a)は、図1(e)の後に続く図である。図4は、図3(b)に示される工程断面図の他の例を示す工程断面図である。
(感光性セラミック層形成工程)
まず、図3(a)に示されるように、基材1上にセラミック層15aを形成する。このとき、セラミック層15aは導体パターン部5,7を覆うように形成される。セラミック層15aは、所定の溶媒に対して可溶な絶縁材料からなることが好ましい。
次に、図3(b)に示されるように、上記所定の溶媒を用いてセラミック層15aを全面エッチングすることによりセラミック層15を形成する。このとき、導体パターン部7が露出し、セラミック層15の表面位置は、導体パターン部7の表面位置よりも低くなっている。なお、図4に示されるように、導体パターン部7上にセラミック部15bが残存していても構わない。このセラミック部15bは、後述の現像処理によって除去される。
次に、図3(c)に示されるように、セラミック層15上にネガ型の感光性セラミック材料からなる感光性セラミック層17aを形成する。感光性セラミック層17aは、所定の溶媒に対して可溶な感光性セラミック材料からなることが好ましい。このような感光性セラミック材料としては、例えば、SiOを含むガラス系の感光性セラミック材料等が挙げられる。このとき、感光性セラミック層17aの表面位置を導体パターン部7の表面位置に略一致させることが好ましい。これにより、得られるセラミックグリーンシートの表面を平坦化し易くなる。
(第2の露光工程)
次に、図3(d)に示されるように、基材1側から感光性セラミック層17aに露光を施す。具体的には、基材1の裏面1bに紫外線等の光Lを入射させる。紫外線は例えば高圧水銀灯から出射される。光Lとしては、波長が365nmの光(i線)、波長が405nmの光(h線)、波長が436nmの光(g線)、又はこれらの混合光等が挙げられる。また、光Lとして、連続した波長帯を有する光を用いるとしてもよい。
露光法としては、密着露光法、プロキシミティ露光法、プロジェクション露光法等が挙げられる。露光量は、感光性セラミック層17aに含まれる感光性セラミック材料の感光性能、感光性セラミック層17aの厚さ(高さ)等に応じて適宜調整され、例えば数百〜数千mJ/cmである。また、所望の解像度を得るために、後述の現像処理条件と露光量とを適宜設定することができる。
光Lは、基材1、離型層3及びセラミック層15を透過して感光性セラミック層17aに到達する。導体パターン部5,7の少なくともいずれか一方は、照射する光Lに対して遮光性を有する。このため、感光性セラミック層17aにおける導体パターン部7上の部分には光Lが照射されない。したがって、フォトマスクを用いる必要がないので、微細な導体パターン部5,7であっても高い位置精度を維持できる。
(現像工程)
次に、図3(e)に示されるように、上記所定の溶媒を用いて、露光された感光性セラミック層17aを現像する。これにより、感光性セラミック層17aにおける導体パターン部7上の部分が除去され、セラミック層17が形成される。その結果、セラミック層15及びセラミック層17からなるセラミック層9aが形成される。このようにして、セラミック層9aと導体パターン部5,7とを備えたセラミックグリーンシート30が得られる。この方法1では、セラミック層15aの厚さを厚くすることにより、感光性セラミック層17aの厚さを薄くすることができるので、感光性セラミック材料の使用量を抑制することができる。感光性セラミック材料(感光性セラミックスラリー)は、通常比較的高価であるため、特に感光性セラミック材料を多量に使用するセラミックグリーンシートの製造方法において、製造コストを低減できる。
続いて、図5を参照して、セラミック層9bを形成する方法2について説明する。
<方法2>
図5(a)〜図5(d)は、セラミック層9bを形成する方法2を模式的に示す工程断面図である。図5(a)は、図1(e)の後に続く図である。
(感光性セラミック層形成工程)
まず、図5(a)に示されるように、基材1上にセラミック層19aを形成する。このとき、セラミック層19aは導体パターン部5,7を覆うように形成される。セラミック層19aの表面位置は、導体パターン部7の表面位置よりも低くなっている。セラミック層19aは、所定の溶媒に対して可溶な絶縁材料からなることが好ましい。
次に、図5(b)に示されるように、セラミック層19a上に、ネガ型の感光性セラミック材料からなる感光性セラミック層21aを形成する。感光性セラミック層21aは、感光性セラミック層17aと同様、所定の溶媒に対して可溶な感光性セラミック材料からなることが好ましい。このとき、感光性セラミック層21aの表面位置を導体パターン部7の表面位置に略一致させることが好ましい。これにより、得られるセラミックグリーンシートの表面を平坦化し易くなる。
(第2の露光工程)
次に、図5(c)に示されるように、基材1側から感光性セラミック層21aに露光を施す。具体的には、基材1の裏面1bに紫外線等の光Lを入射させる。光Lは、基材1、離型層3及びセラミック層19aを透過して感光性セラミック層21aに到達する。導体パターン部5,7の少なくともいずれか一方は、照射する光Lに対して遮光性を有する。このため、感光性セラミック層21aにおける導体パターン部7上の部分には光Lが照射されない。したがって、フォトマスクを用いる必要がないので、微細な導体パターン部5,7であっても高い位置精度を維持できる。
(現像工程)
次に、図5(d)に示されるように、上記所定の溶媒を用いて、露光された感光性セラミック層21aを現像する。これにより、感光性セラミック層21aにおける導体パターン部7上の部分が除去され、セラミック層21が形成される。また、上記所定の溶媒を用いてセラミック層19aがエッチングされることにより、セラミック層19が形成される。その結果、セラミック層19及びセラミック層21からなるセラミック層9bが形成される。このようにして、セラミック層9bと導体パターン部5,7とを備えたセラミックグリーンシート40が得られる。方法2では、方法1における全面エッチング処理を省略することができる。
続いて、図6を参照して、セラミック層9cを形成する方法3について説明する。
<方法3>
図6(a)〜図6(c)は、セラミック層9cを形成する方法3を模式的に示す工程断面図である。図6(a)は、図1(e)の後に続く図である。
(感光性セラミック層形成工程)
まず、図6(a)に示されるように、基材1上に、ネガ型の感光性セラミック材料からなる感光性セラミック層23aを形成する。感光性セラミック層23aは、感光性セラミック層17aと同様、所定の溶媒に対して可溶な感光性セラミック材料からなることが好ましい。このとき、感光性セラミック層23aは導体パターン部5,7を覆うように形成される。
(第2の露光工程)
次に、図6(b)に示されるように、基材1側から感光性セラミック層23aに露光を施す。具体的には、基材1の裏面1bに紫外線等の光Lを入射させる。光Lは、基材1及び離型層3を透過して感光性セラミック層23aに到達する。導体パターン部5,7の少なくともいずれか一方は、照射する光Lに対して遮光性を有する。このため、感光性セラミック層23aにおける導体パターン部7上の部分には光Lが照射されない。したがって、フォトマスクを用いる必要がないので、微細な導体パターン部5,7であっても高い位置精度を維持できる。また、所望の解像度を得るために、後述の現像処理条件と露光量とを適宜設定することができる。
(現像工程)
次に、図6(c)に示されるように、上記所定の溶媒を用いて、露光された感光性セラミック層23aを現像する。これにより、感光性セラミック層23aにおける導体パターン部7上の部分が除去され、セラミック層9cが形成される。このとき、現像処理条件及び露光量を調整することにより、セラミック層9cの表面位置を導体パターン部7の表面位置に略一致させることが好ましい。その結果、セラミック層9cと、導体パターン部5,7とを備えたセラミックグリーンシート50が得られる。
続いて、図7を参照して、セラミック層9cを形成する方法4について説明する。
<方法4>
図7(a)〜図7(c)は、セラミック層9cを形成する方法4を模式的に示す工程断面図である。図7(a)は、図1(e)の後に続く図である。
(感光性セラミック層形成工程)
まず、図7(a)に示されるように、基材1上に、ネガ型の感光性セラミック材料からなる感光性セラミック層25aを形成する。感光性セラミック層25aは、感光性セラミック層17aと同様、所定の溶媒に対して可溶な感光性セラミック材料からなることが好ましい。このとき、感光性セラミック層25aは導体パターン部5,7を覆うように形成される。このとき、感光性セラミック層25aの表面位置を導体パターン部7の表面位置に略一致させることが好ましい。これにより、得られるセラミックグリーンシートの表面を平坦化し易くなる。
(第2の露光工程)
次に、図7(b)に示されるように、基材1側から感光性セラミック層25aに露光を施す。具体的には、基材1の裏面1bに紫外線等の光Lを入射させる。光Lは、基材1及び離型層3を透過して感光性セラミック層25aに到達する。導体パターン部5,7の少なくともいずれか一方は、照射する光Lに対して遮光性を有する。このため、感光性セラミック層25aにおける導体パターン部7上の部分には光Lが照射されない。したがって、フォトマスクを用いる必要がないので、微細な導体パターン部5,7であっても高い位置精度を維持できる。
(現像工程)
次に、図7(c)に示されるように、上記所定の溶媒を用いて、露光された感光性セラミック層25aを現像する。これにより、感光性セラミック層25aにおける導体パターン部7上の部分が除去され、セラミック層9cが形成される。その結果、セラミック層9cと、導体パターン部5,7とを備えたセラミックグリーンシート50が得られる。
以上説明したように、本実施形態のセラミックグリーンシートの製造方法によれば、セラミックグリーンシート10,30,40,50が得られる。
表面1aに離型処理が施された基材1上に微細な導体パターン部を直接形成すると、当該導体パターン部は基材1から剥離し易くなる。これに対して、本実施形態のセラミックグリーンシートの製造方法では、基材1上に導体層5a,7aを形成した後に、現像又はエッチングすることによって導体パターン部5,7を形成する。よって、導体層5a,7aの溶媒に対する溶解性の組み合わせを調整することにより、導体パターン部5,7の加工性及び基材1への保持性を両立又は微調整することができる。このため、導体パターン部5,7が微細化しても基材1から剥離し難い。
また、導体層5a上に導体層7aを形成するので、導体層7aを小さい面積に形成しても導体層7aが剥離し難い。このため、現像時に導体層7aの溶解除去部分が少なくて済むので、溶媒の使用量が少なくて済む。よって、導体パターン部7が剥離しないように導体パターン部5を形成することが容易になる。また、導体層7aを大面積に形成しても、例えば、導体層5a,7aの溶解能を予め調整すること、又は、導体パターン部7が形成された時点で導体層5aのエッチング条件を変える(例えば弱いエッチングにする)ことにより、導体パターン部7が剥離しないように導体パターン部5を形成することが容易になる。
したがって、本実施形態のセラミックグリーンシートの製造方法を用いると、表面1aに離型処理が施された基材1上に微細で高アスペクト比の導体パターン部5,7を形成できるので、導体パターン部5,7の小型化・高集積化を実現できる。また、例えば、導体パターン部5,7がポスト電極の場合、パッド電極が不要となる。さらに、セラミック層9,9a,9b,9cよりも先に導体パターン部5,7を基材1上に形成するので、例えばスルーホールに導電ペーストを充填する工法を用いた場合に発生しがちであり、導電ペーストの充填不足等に起因する空隙が、導体パターン部5,7内には発生しない。
さらに、本実施形態では基材1側から露光を施すので、フォトマスクが不要となる。よって、導体パターン部5,7が微細化しても導体パターン部7の上面及び導体パターン部5の下面を簡便且つ確実に露出させることができると共に、得られるセラミックグリーンシートを簡便且つ確実に平坦化することができる。
また、第2の露光工程において、導体パターン部5が、露光方向から見て導体パターン部7よりも小さいことが好ましい。この場合、露光方向から見て導体パターン部5の外側に位置する感光性セラミック層17a,21a,23a,25aに露光が施されるので、導体パターン部7の外側近傍に未露光部が残存し難くなる。よって、得られるセラミックグリーンシート30,40,50において、セラミック層17,21,23,25と導体パターン部5,7との密着強度が向上する。また、露光方向から見て導体パターン部5が導体パターン部7よりも小さいと、セラミックグリーンシート30,40,50を基材1から剥離する際に導体パターン部5,7が脱落することを抑制できる。
[第2実施形態]
図8(a)〜図8(e)及び図9(a)〜図9(c)は、第2実施形態に係るセラミックグリーンシートの製造方法を模式的に示す工程断面図である。
(離型処理工程)
まず、図8(a)に示されるように、光透過性の基材1の表面1aに離型処理を施す。これにより、基材1の表面1a上には離型層3が形成される。
(第1の導体層形成工程)
次に、図8(b)に示されるように、表面1aに離型処理が施された基材1上に、所定の溶媒に対して可溶性を有する導電材料からなる第1の導体層5aを形成する。
(第2の導体層形成工程)
次に、図8(c)に示されるように、導体層5a上に、感光性導電材料からなる第2の導体層7aを形成する。
導体層7aの厚さは、導体層5aの厚さよりも厚いことが好ましい。この場合、後述の導体パターン部形成工程において、導体層5a,7aの積層方向から見て導体パターン部5を導体パターン部7よりも小さく形成し易くなる。なお、図10に示されるように、導体層7aの厚さと導体層5aの厚さとを略同じにしてもよい。
(第1の露光工程)
次に、図8(d)に示されるように、導体層7aの所定部分7bに露光を施す。導体層7aの所定部分7bには、光Lが照射される。
(導体パターン部形成工程)
次に、図8(e)に示されるように、上記所定の溶媒を用いて導体層7aを現像することにより第1の導体パターン部7を形成すると共に、導体層5aをエッチングすることにより第2の導体パターン部5を形成する。本実施形態では、基材1の法線方向から見て導体パターン部5が導体パターン部7よりも小さくなるように現像及びエッチングすることが好ましい。導体パターン部5,7は、いずれも、基材1から離れるに連れて大きくなる形状(略逆テーパ形状)を有する。略逆テーパ形状は、導体層7aの厚さを導体層5aの厚さよりも厚くすることにより好適に得られる。第1の露光工程において、導体層7aの所定部分7bの表層は硬化するが、導体層5aに近づくに連れて光Lが到達し難くなるので、所定部分7bの底部は硬化し難い。このように露光された導体層7aを現像することにより、略逆テーパ形状を有する導体パターン部7が好適に形成される。
(感光性セラミック層形成工程)
次に、図9(a)に示されるように、上述の方法4と同様の方法で、感光性セラミック材料からなる感光性セラミック層25aを基材1上に形成する。なお、図11に示されるように、上述の方法3と同様の方法で、感光性セラミック材料からなる感光性セラミック層23aを基材1上に形成するとしてもよい。
(第2の露光工程)
次に、図9(b)に示されるように、基材1側から感光性セラミック層25aに露光を施す。具体的には、基材1の裏面1bに紫外線等の光Lを入射させる。導体パターン部7又は導体パターン部5,7両方は、照射する光Lに対して遮光性を有する。このため、感光性セラミック層25aにおける導体パターン部7上の部分には光Lが照射されない。ここで、導体パターン部5が、露光方向から見て導体パターン部7よりも小さいことが好ましい。これにより、露光方向から見て導体パターン部7の外側に位置する感光性セラミック層25aに、確実に光Lが照射されるので、露光方向から見た導体パターン部7の外側近傍に未露光部(未硬化部)が残存し難くなる。
(現像工程)
次に、図9(c)に示されるように、感光性セラミック層25aを現像することにより基材1上にセラミック層9cを形成する。このようにして、セラミック層9cと導体パターン部5,7とを備えるセラミックグリーンシート50が得られる。なお、セラミック層9cに代えて、例えば、上述の方法1又は方法2を用いてセラミック層9a,9bを形成するとしてもよい。
また、図12(a)に示されるように、導体パターン部5が基材1から離れるに連れて細くなる形状(テーパ形状)を有するとしてもよい。導体層5aの厚さを厚くすると、図12(b)に示されるように、導体パターン部5がテーパ形状になり易くなる。導体パターン部5がテーパ形状を有する場合、第2の露光工程の露光条件によっては、感光性セラミック層において導体パターン5の陰になる部分が光Lの散乱光によって露光される場合がある。この散乱光は、感光性セラミック層中で光Lが散乱することにより得られる。
本実施形態のセラミックグリーンシートの製造方法においても、上記第1実施形態と同様に、表面1aに離型処理が施された基材1上に微細な導体パターン部5,7を形成できる。また、第2の露光工程においてフォトマスクを用いる必要がないので、微細な導体パターン部5,7であっても高い位置精度を維持できると共に、得られるセラミックグリーンシート50を簡便且つ確実に平坦化することができる。また、第2の露光工程において図11に示される感光性セラミック層23aに露光を施す場合には、露光量、露光時間等の露光条件を適宜調整することにより、得られるセラミックグリーンシートを簡便且つ確実に平坦化することができる。
また、露光方向から見て導体パターン部5が導体パターン部7よりも小さいと、得られるセラミックグリーンシート50において、セラミック層9cと導体パターン部5,7との密着強度が向上する。このため、セラミックグリーンシート50を基材1から剥離する際に導体パターン部5,7が脱落し難くなる。また、露光方向から見て導体パターン部5が導体パターン部7よりも小さいと、セラミックグリーンシート50を基材1から剥離する際に導体パターン部5,7がセラミック層9cから抜け出し難くなる。したがって、セラミックグリーンシート50において導体パターン部5,7を微細化できる。
[導体パターン部の形状]
続いて、図13及び図14を参照して、上記第1及び第2実施形態に係るセラミックグリーンシートの製造方法により形成される導体パターン部5,7の形状について説明する。図13(a)〜図13(c)、図14(a)及び図14(b)は、基材1上に形成された導体パターン部5,7の斜視図である。図13及び図14には、導体パターン部5,7の形状の具体例が示されている。図13(a)、図13(b)、図14(a)及び図14(b)に示される導体パターン部5,7は、上記第1実施形態に係るセラミックグリーンシートの製造方法により好適に形成される。また、図13(c)に示される導体パターン部5,7は、上記第2実施形態に係るセラミックグリーンシートの製造方法により好適に形成される。
図13(a)に示されるように、導体パターン部5,7は円柱状であるとしてもよい。この場合、円柱の直径を50μm以下にすることができる。また、図13(b)に示されるように、導体パターン部5,7は角柱状であるとしてもよい。図13(a)及び図13(b)に示される導体パターン部5,7は、例えばポスト電極として使用される。なお、第2実施形態に係るセラミックグリーンシートの製造方法により形成される導体パターン部5,7の形状についても、図13(b)、図14(a)及び図14(b)と同様の形状が考えられる。
また、基材1及び離型層3の面方向に沿った導体パターン部5,7の断面形状は、導体パターン部7の頂面7t及び導体パターン部5の底面5bに接続される配線パターン部の幅や形状に応じて任意に調整される。このような導体パターン部5,7の断面形状としては、例えば、円形(図13(a)及び図13(c)参照)、方形(図13(b)参照)等が挙げられる。導体パターン部5,7の断面の面積を小さくしたい場合には、上記断面形状を円形にすることが有効である。
図14(a)に示されるように、導体パターン部5,7は回路を形成していてもよい。図14(a)に示される導体パターン部5,7は、例えばインダクタの巻回パターン部として使用される。なお、導体パターン部5,7のいずれか一方又は両方の厚さを変えてもよい。このとき、導体パターン部5,7の形成条件(例えば溶解性や溶解条件)を適宜調整するとしてもよい。また、所望の電気特性を得るために導体パターン部5,7のパターン幅を狭くしつつパターン断面積を大きくしたい場合に、導体パターン部5,7のいずれか一方又は両方の厚さを厚くすることが有効である。
また、図14(b)に示されるように、導体パターン部5,7が高アスペクト比のラインパターン形状を有するとしてもよい。導体パターン部5,7の厚さは、例えば導体パターン部5,7のライン幅よりも大きく設定される。また、複数の導体パターン部5,7が高密度のラインパターン形状を有するとしてもよい。各導体パターン部5,7のライン幅は、例えば各導体パターン部5,7間のスペース幅よりも大きく設定される。この場合、導体パターン部5,7は高密度配線として使用される。さらに、導体パターン部5,7が高アスペクト比且つ高密度のラインパターン形状を有するとしてもよい。上記セラミックグリーンシートの製造方法を用いると、導体パターン部5,7のライン幅又はスペース幅を30μm未満にすることができる。
なお、図13及び図14に示される導体パターン部5,7の各エッジは面取りされていてもよい。
[第1実施形態の他の例]
続いて、図15〜図17を参照して、上記第1実施形態の他の例について説明する。なお、上記第2実施形態についても同様に他の例が考えられる。
図15(a)〜図15(d)は、セラミックグリーンシート80の製造方法を模式的に示す工程断面図である。図15(a)は、図1(e)の後に続く図である。
まず、図15(a)に示されるように、基材1上にセラミック層9dを形成する。このとき、導体パターン部7は露出している。セラミック層9dは、セラミック層9と同様に形成され、具体的には、例えば上述の方法1〜方法4のいずれか一つを用いて形成される。
次に、図15(b)に示されるように、セラミック層9d上に導体層14を形成する。導体層14は、一方の導体パターン部7に電気的に接続されており、他方の導体パターン部7には電気的に接続されていない。導体層14は、例えばパターン電極層である。
次に、図15(c)に示されるように、導体パターン部7及び導体層14を覆うように、セラミック層9d上にセラミック層18aを形成する。セラミック層18aは、所定の溶媒に対して可溶な絶縁材料からなることが好ましい。
次に、図15(d)に示されるように、上記所定の溶媒を用いてセラミック層18aをエッチングすることにより、セラミック層9d上にセラミック層18を形成する。このとき、導体パターン部7は露出している。これにより、セラミックグリーンシート80が得られる。なお、導体層14上にセラミック層18aの一部が残存していてもよい。
図16(a)は、セラミックグリーンシート80の平面図であり、図16(b)は、図16(a)のXVIb−XVIb線に沿った断面図である。一対の導体パターン部7,7は互いに絶縁されている。
図17(a)は、セラミックグリーンシート81の平面図であり、図17(b)は、図17(a)のXVIIb−XVIIb線に沿った断面図である。セラミックグリーンシート81はセラミックグリーンシート80の変形例である。セラミックグリーンシート81における一対の導体パターン部7,7間の距離は、セラミックグリーンシート80におけるそれよりも大きく設定されている。
続いて、図18を参照して、上記セラミックグリーンシート10上に導体部27及びセラミック層29を形成する方法aについて説明する。
<方法a>
図18(a)〜図18(d)は、セラミックグリーンシート10上に導体部27及びセラミック層29を形成する方法aを模式的に示す工程断面図である。図18(a)は、図1(f)の後に続く図である。
まず、図18(a)に示されるように、セラミックグリーンシート10上にパターニングされた導体部27を形成する。導体部27は、導体パターン部7に電気的に接続するように形成される。また、導体部27は、例えば印刷機によるパターン印刷により形成される電極部である。導体部27は、例えば、インダクタの巻回パターン部となる。
次に、図18(b)に示されるように、導体部27を覆うようにネガ型の感光性セラミック材料からなる感光性セラミック層29aをセラミックグリーンシート10上に形成する。感光性セラミック層29aは、所定の溶媒に対して可溶な感光性セラミック材料からなることが好ましい。
次に、図18(c)に示されるように、基材1側から感光性セラミック層29aに光Lを照射する。具体的には、基材1の裏面1bに光Lを入射させる。照射する光Lに対して導体部27が遮光性を有し、且つ、セラミック層9が光透過性を有している場合、感光性セラミック層29aにおける導体部27上の部分には光Lが照射されない。また、所望の解像度を得るために、後述の現像処理条件と露光量とを適宜設定することができる。
次に、図18(d)に示されるように、上記所定の溶媒を用いて、露光された感光性セラミック層29aを現像することにより、感光性セラミック層29aにおける導体部27上の部分が除去され、セラミック層29が形成される。このとき、現像処理条件及び露光量を調整することにより、セラミック層9の表面位置を導体部27の表面位置に略一致させることが好ましい。その結果、セラミック層29、導体部27及びセラミックグリーンシート10を備えたセラミックグリーンシート60が得られる。
続いて、図19及び図20を参照して、セラミックグリーンシート10上に導体部27及びセラミック層29を形成する方法bについて説明する。
<方法b>
図19(a)〜図19(d)は、セラミックグリーンシート10上に導体部27及びセラミック層29を形成する方法bを模式的に示す工程断面図である。図19(a)は、図1(f)の後に続く図である。図20は、図19(c)に示される工程断面図の他の例を示す工程断面図である。
まず、図19(a)に示されるように、セラミックグリーンシート10上にパターニングされた導体部27を形成する。導体部27は、導体パターン部7に電気的に接続するように形成される。
次に、図19(b)に示されるように、導体部27を覆うようにネガ型の感光性セラミック材料からなる感光性セラミック層31aをセラミックグリーンシート10上に形成する。感光性セラミック層31aは、所定の溶媒に対して可溶な感光性セラミック材料からなることが好ましい。このとき、感光性セラミック層31aの表面位置を導体部27の表面位置に略一致させることが好ましい。これにより、得られるセラミックグリーンシートの表面を平坦化し易くなる。
次に、図19(c)に示されるように、マスク33を介して感光性セラミック層31aに露光を施す。マスク33は、導体部27に対応するパターン形状を有する遮光部33bと、遮光部33bを取り囲む光透過部33aとを備える。このため、感光性セラミック層31aにおける導体部27上の部分には光Lが照射されない。マスク33としては、例えばガラスマスク、フィルムマスク等が挙げられる。なお、マスク33を用いずに、感光性セラミック層31aの所定部分にレーザ光を選択的に照射するとしてもよい。レーザ光を照射する際には、レーザ描画装置を好適に用いることができる。
なお、図20に示されるように、マスク33を用いずに、基材1側から感光性セラミック層31aに光Lを照射するとしてもよい。具体的には、基材1の裏面1bに光Lを入射させる。照射する光Lに対して導体部27が遮光性を有し、且つ、セラミック層9が光透過性を有している場合、感光性セラミック層31aにおける導体部27上の部分には光Lが照射されない。
次に、図19(d)に示されるように、上記所定の溶媒を用いて、露光された感光性セラミック層31aを現像することにより、感光性セラミック層31aにおける導体部27上の部分が除去され、セラミック層29が形成される。その結果、セラミック層29、導体部27及びセラミックグリーンシート10を備えたセラミックグリーンシート60が得られる。
なお、上記方法a及び方法bにおいて、セラミックグリーンシート10に代えて、セラミックグリーンシート30,40,50のいずれか一つを用いることもできる。
上記各実施形態に係るセラミックグリーンシートの製造方法により製造されるセラミックグリーンシート(例えば、セラミックグリーンシート10,30,40,50,60,80,81)等を焼成すると、例えば図21〜図23に示されるようにセラミック電子部品を製造することができる。このようなセラミック電子部品の製造方法を用いれば、微細で高アスペクト比の導体パターン部を有するセラミック電子部品が得られる。
セラミック電子部品としては、例えば、回路基板;インダクタ;コンデンサ;バリスタ;NTC(Negative Temperature Coefficient)サーミスタ、PTC(Positive Temperature Coefficient)サーミスタ等のサーミスタ;アクチュエータ;及びこれらの積層品又は複合部品等が挙げられる。上記積層品としては、例えば多層基板等が挙げられ、上記複合部品としては、例えばLCフィルタ等が挙げられる。
図21(a)〜図21(c)は、多層基板の製造方法の一例を模式的に示す工程断面図である。まず、図21(a)に示されるように、上記セラミックグリーンシートの製造方法により製造されるセラミックグリーンシート40、及び、セラミックグリーンシート101〜103等を積層する。セラミックグリーンシート101,103は、例えば絶縁材料からなる。セラミックグリーンシート102は、例えば、導体層102bと、導体層102bを取り囲む絶縁層102aとからなる。続いて、必要に応じて、積層方向にプレスし、切断することにより、図21(b)に示される積層体110が得られる。その後、積層体110を焼成することにより、図21(c)に示される多層基板120を得る(焼成工程)。多層基板120は、例えば、導体部120bと、導体部120bを取り囲む絶縁部120aとからなる。また、セラミックグリーンシート40の導体パターン部5,7は、多層基板120のポスト電極(図13(a)〜図13(c)参照)又は配線パターン部(図14(a)及び図14(b)参照)となる。
図22(a)〜図22(d)は、インダクタの製造方法の一例を模式的に示す工程断面図である。まず、図22(a)に示されるように、上記セラミックグリーンシートの製造方法により製造されるセラミックグリーンシート10,40,70、及び、セラミックグリーンシート202等を積層する。セラミックグリーンシート202は、例えば絶縁材料からなる。セラミックグリーンシート70は、例えば、セラミックグリーンシート40上に導体部27と、セラミック層29とが形成されたものである。本例では、セラミックグリーンシート10の導体パターン部5,7は、ポスト電極(図13(a)〜図13(c)参照)となり、セラミックグリーンシート40の導体パターン部5,7は、巻回パターン部(図14(a)参照)となる。ただし、セラミックグリーンシート70においては、導体部27が巻回パターン部となり、セラミックグリーンシート40の導体パターン部5,7がポスト電極となる。まず、ポスト電極及び巻回パターン部が、巻回パターン部の中心に対して90°ずつ回転して配置されたセラミックグリーンシート10,40(セラミックグリーンシート10,40に代えてセラミックグリーンシート70を用いてもよい)を複数作製し、それらを交互に積層することにより、コイルが形成される。
続いて、必要に応じて、積層方向にプレスし、切断することにより、図22(b)に示される積層体210が得られる。その後、積層体210を焼成することにより、図22(c)に示される焼成体220を得る(焼成工程)。焼成体220は、例えば、導体部220bと、導体部220bを取り囲む絶縁部220aとからなる。続いて、焼成体220の表面上に端子221を形成することにより、焼成体220の表面に露出した導体部220bに端子221を電気的に接続する。これにより、図22(d)に示されるインダクタ230を得る。
図23(a)〜図23(d)は、コンデンサの製造方法の一例を模式的に示す工程断面図である。まず、図23(a)に示されるように、上記セラミックグリーンシートの製造方法により製造されるセラミックグリーンシート80、及び、セラミックグリーンシート301を積層する。セラミックグリーンシート301は、例えば絶縁材料からなる。続いて、必要に応じて、積層方向にプレスし、切断することにより、図23(b)に示される積層体310が得られる。その後、積層体310を焼成することにより、図23(c)に示される焼成体320を得る(焼成工程)。焼成体320は、例えば、導体部320bと、導体部320bを取り囲む絶縁部320aとからなる。続いて、焼成体320の表面上に端子321を形成することにより、焼成体320の表面に露出した導体部320bに端子321を電気的に接続する。これにより、図23(d)に示されるコンデンサ330を得る。コンデンサ330は底面端子構造を有している。また、セラミックグリーンシート80の導体パターン部5,7は、コンデンサ330のポスト電極となる。
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されない。
図1(a)〜図1(f)は、第1実施形態に係るセラミックグリーンシートの製造方法を模式的に示す工程断面図である。 図2(a)〜図2(c)は、それぞれ、図1(b)〜図1(d)に示される工程断面図の他の例を示す工程断面図である。 図3(a)〜図3(e)は、セラミック層を形成する方法1を模式的に示す工程断面図である。 図3(b)に示される工程断面図の他の例を示す工程断面図である。 図5(a)〜図5(d)は、セラミック層を形成する方法2を模式的に示す工程断面図である。 図6(a)〜図6(c)は、セラミック層を形成する方法3を模式的に示す工程断面図である。 図7(a)〜図7(c)は、セラミック層を形成する方法4を模式的に示す工程断面図である。 図8(a)〜図8(e)は、第2実施形態に係るセラミックグリーンシートの製造方法を模式的に示す工程断面図である。 図9(a)〜図9(c)は、第2実施形態に係るセラミックグリーンシートの製造方法を模式的に示す工程断面図である。 図8(c)に示される工程断面図の他の例を示す工程断面図である。 図9(a)に示される工程断面図の他の例を示す工程断面図である。 図9(c)に示される工程断面図の他の例を示す工程断面図である。 図13(a)〜図13(c)は、基材上に形成された導体パターン部の斜視図である。 図14(a)及び図14(b)は、基材上に形成された導体パターン部の斜視図である。 図15(a)〜図15(d)は、セラミックグリーンシートの製造方法を模式的に示す工程断面図である。 図16(a)は、セラミックグリーンシートの平面図であり、図16(b)は、図16(a)のXVIb−XVIb線に沿った断面図である。 図17(a)は、セラミックグリーンシートの平面図であり、図17(b)は、図17(a)のXVIIb−XVIIb線に沿った断面図である。 図18(a)〜図18(d)は、セラミックグリーンシート上に導体部及びセラミック層を形成する方法aを模式的に示す工程断面図である。 図19(a)〜図19(d)は、セラミックグリーンシート上に導体部及びセラミック層を形成する方法bを模式的に示す工程断面図である。 図19(c)に示される工程断面図の他の例を示す工程断面図である。 図21(a)〜図21(c)は、多層基板の製造方法の一例を模式的に示す工程断面図である。 図22(a)〜図22(d)は、インダクタの製造方法の一例を模式的に示す工程断面図である。 図23(a)〜図23(d)は、コンデンサの製造方法の一例を模式的に示す工程断面図である。
符号の説明
1a…表面、1b…裏面、1…基材、3…離型層、5a…第1の導体層、7a…第2の導体層、7b…第2の導体層の所定部分、7…導体パターン部(第1の導体パターン部)、5…導体パターン部(第2の導体パターン部)、L…光、17a,21a,23a,25a…感光性セラミック層、9,9a,9b,9c…セラミック層、10,30,40,50,60,70,80,81…セラミックグリーンシート、120…多層基板(セラミック電子部品)、230…インダクタ(セラミック電子部品)、330…コンデンサ(セラミック電子部品)。

Claims (4)

  1. 表面に離型処理が施された光透過性の基材上に、所定の溶媒に対して可溶性を有するバインダー樹脂材料を含有する導電材料からなる第1の導体層を形成する第1の導体層形成工程と、
    前記第1の導体層上に、感光性導電材料からなる第2の導体層を形成する第2の導体層形成工程と、
    前記第2の導体層の所定部分に露光を施す第1の露光工程と、
    前記第1の露光工程の後、前記所定の溶媒を用いて、前記第2の導体層を現像することにより第1の導体パターン部を形成すると共に、前記第1の導体層をエッチングすることにより第2の導体パターン部を形成する導体パターン部形成工程と、
    前記導体パターン部形成工程の後、前記基材上に感光性セラミック材料からなる感光性セラミック層を形成する感光性セラミック層形成工程と、
    前記基材側から前記感光性セラミック層に露光を施す第2の露光工程と、
    前記第2の露光工程の後、前記感光性セラミック層を現像することにより前記基材上にセラミック層を形成する現像工程と、
    を含む、セラミックグリーンシートの製造方法。
  2. 前記第2の導体層の厚さは、前記第1の導体層の厚さよりも厚い、請求項1に記載のセラミックグリーンシートの製造方法。
  3. 前記第2の露光工程において、前記第2の導体パターン部が、露光方向から見て前記第1の導体パターン部よりも小さい、請求項1又は2に記載のセラミックグリーンシートの製造方法。
  4. 請求項1、2あるいは3項のいずれか一項に記載のセラミックグリーンシートの製造方法により製造されるセラミックグリーンシートを焼成する焼成工程を含む、セラミック電子部品の製造方法。
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