近年、前述のセラミック積層型電子部品において、一層の小型化及び薄型化が求められ、内部電極によって挟まれるセラミックス等の誘電体層をより薄膜化することが必要となっている。従って、セラミック積層体の素材となるセラミックグリーンシートを、より薄くして前述の工程を行うことが要求される。これら要求に応えるべく、現在用いられる最も薄いセラミックグリーンシートの厚さは2〜3μm程度となっている。
しかしながら、これらセラミックグリーンシート上に印刷される電極厚さは1.5〜2.0μm程度の厚さがある。このため、セラミック積層体を得た際に内部電極が重なり合う部分の厚さは、内部電極が存在しない部分に比べてその厚さが極端に大きくなり、部分的な段差が生じがちであった。また、この段差に起因して、グリーンシート積層時に積層ズレが生じる恐れもあった。
前述のように、積層体形成後に厚み方向での加圧が為されるが、この加圧工程によって、前述の段差は、好適にはほぼ解消される。しかし、そのグリーンシートと内部電極とを圧接するために、例えば1ton/cm2のプレス圧が必要となり、工程上の改善が求められている。さらに、これら圧力は内部電極が重なり合う部分にのみ局所的に付加されることから、他の領域における圧接不足あるいは加圧後の変形が生じする恐れがあった。また、このような圧力の局所的付加は、焼結後の積層体におけるいわゆるデラミネーションと呼ばれる層間剥離現象を発生せしめる場合も考えられた。
これら積層体における変形は、例えば積層セラミックコンデンサにおいては容量のばらつきを発生させる等の現象を生じさせていた。このような問題は、小型高集積化する積層セラミックインダクタ、LC複合部品、EMC関連部品等、セラミック積層型電子部品における電気特性のばらつきの発生、あるいはばらつきの拡大を助長させていた。
前述の特許文献1に開示されている技術は、このような段差の発生を抑制するために案出された方法である。具体的には、スクリーン印刷によってグリーンシート上に電極形成を行う際に、これに用いる導電性ペーストを撥水性機能を有する有機結合材と金属粉末から形成することとしている。また、電極形成後に、水系のセラミックススラリーをその上に塗布することとし、このスラリーを前述の撥水性機能によって電極上からはじくことで、電極パターン周囲に段差を埋めるためのセラミックシートを形成することとしている。
しかしながら、当該技術においては、内部電極側面と水系スラリーとの間にも隙間を生じるために、これに起因する積層ズレ発生の恐れがある。また、撥水性の電極表面と、これと圧接されるセラミックグリーンシートとの界面における密着強度は、従来の電極−シート間の密着強度と比較して劣る可能性もある。さらに、撥水性の電極に囲まれた領域においては、水系スラリーがその表面張力によって厚さを増加させる傾向も高いと考えられ、これに起因して積層精度が低下する恐れもある。
また、特許文献2には、セラミックグリーンシート上の電極形成部分に予め凹部を形成し、スクリーン印刷によってこの凹部に導電性ペーストを埋め込むことで、電極厚さによるシート上における段差発生を低減する技術が開示されている。しかしながら、グリーンシートが薄い場合にはこれを形成する基台の凸部にグリーンシートが倣い、凹部形成位置と同等位置にあたる凹部形成面の反対面において凸部が形成されたグリーンシートとなる。
このため、当該凹部に導電性ペーストを埋め込むスクリーン印刷を行った際に当該凹部が変形し、凹部の形成精度、形成位置等に問題を生じる恐れがある。従って、凹部の形成精度及びスクリーン印刷による電極形成精度を一致させることは事実上困難であり、これらの位置精度の相違、あるいは個々の形成時における位置ずれによって、シート上に段差あるいは空隙が形成される恐れがある。更に、凸部の存在は、特許文献2で述べたような、積層圧着時の成形密度差の発生を促進することになる。従って、段差発生がある程度抑制されるとしても、前述の電気特性上のばらつきは発生すると思われる。
本発明は、上記課題におよび上記背景に鑑みて為されたものであり、セラミックグリーンシート及びこれに形成された内部電極を含めた、各層における段差をより少なくするシート(以下説明を容易とするために、本明細書においては当該シートをセラミックグリーンシートと総称する。)形成方法の提供を目的とするものである。当該方法の提供により、セラミック積層型電子部品における電気特性のばらつきの低減を図り、積層体焼成時における層間剥離現象等の発生頻度低減あるいは回避を目的とするものである。
上記課題を解決するために、本発明に係るセラミックグリーンシートの製造方法は、露光および現像処理を用いたセラミックグリーンシートの製造方法であって、露光処理に用いる光を透過可能な基台に対して、その表面上に、所定の電気特性を有する粉体を含み、且つ光により露光可能な感光性材料を付着させる工程と、基台の裏面より、感光性材料に対して前記光を照射し、感光性材料が基台から所定厚さ露光される露光量にて露光処理を行う工程と、露光処理後の感光性材料に対して現像処理を施す工程とを含むことを特徴としている。
また、上記課題を解決するために、本発明に係るセラミックグリーンシートの製造方法は、露光および現像処理を用いたセラミックグリーンシートの製造方法であって、露光処理に用いる光を透過可能な基台に対して、その表面上に、所定の電気特性を有する粉体を含み、且つ光により露光可能な第一の感光性材料を付着させ、基台の裏面より、第一の感光性材料に対して光を照射し、第一の感光性材料が基台から第一の所定厚さ露光される露光量にて露光処理を行い、露光処理後の第一の感光性材料に対して現像処理を施す工程と、現像処理後の第一の感光性材料の表面に、露光処理に用いる光を透過しない部材からなる遮光部を形成する工程と、現像処理後の第一の感光性材料および遮光部の表面上に、所定の電気特性を有する粉体を含み、且つ光により露光可能な第二の感光性材料を付着させ、基台の裏面より第二の感光性材料に対して光を照射し、第二の感光性材料が第一の感光性材料の表面から第二の所定厚さ露光される露光量にて露光処理を行い、露光処理後の第二の感光性材料に対して現像処理を施す工程とを含むことを特徴としている。
なお、前述の製造方法においては、感光性材料を前記基台に付着させる工程前に、基台表面上に露光処理に用いる光を透過しない部材からなる遮光部を形成する工程が為されることが好ましい。また、感光性材料が露光される所定厚さは、遮光部の厚さと略等しいことが好ましい。
また、前述の製造方法においては、第一の感光性材料を基台に付着させ、これを露光し且つ現像する工程を行う前に、基台表面上に露光処理に用いる光を透過しない部材からなる遮光部とは異なる他の遮光部を形成する工程が為されることが好ましく、更には、第一の感光性材料が露光される第一の所定厚さは、他の遮光部の厚さと略等しいことが好ましい。あるいは、第二の感光性材料が露光される第二の所定厚さは、遮光部の厚さと略等しいことが好ましい。
また、上記課題を解決するために、本発明に係るセラミックグリーンシートの製造方法は、露光および現像処理を用いたセラミックグリーンシートの製造方法であって、露光処理に用いる光を透過可能な部分を有する、被シート形成面を表面とする部材の表面上の所定領域に対して、光を透過しない遮光部材を所定厚さ形成する工程と、部材の表面および遮光部材の表面に対して、所定の電気特性を有する粉体を含み、且つ光により露光可能な感光性材料を付着させる工程と、部材の裏面より、感光性材料に対して光を照射し、感光性材料が部材から所定厚さ露光される露光量にて露光処理を行う工程と、露光処理後の感光性材料に対して現像処理を施す工程とを含むことを特徴としている。
また、上記課題を解決するために、本発明に係るセラミックグリーンシートの製造方法は、露光および現像処理を用いたセラミックグリーンシートの製造方法であって、露光処理に用いる光を透過しない材料にて、光を透過可能な基台の表面に所定のパターンを形成し、基台および材料の上に所定の電気特性を有する粉体を含み、且つ光により露光可能な感光性材料を付着させ、基台の裏面より、感光性材料に対して光を照射し、感光性材料が基台から所定厚さ露光される露光量にて露光処理を行い、露光処理後の感光性材料に対して現像処理を施す工程を含むことを特徴としている。
なお、前述の製造方法においては、感光性材料の付着厚さは、パターンを形成する材料厚さより厚く、且つ露光処理によって露光される感光性材料の所定厚さはパターンを形成する材料の厚さと略等しいことが好ましい。また、感光性材料の付着厚さは、パターンを形成する材料厚さと略等しく、且つ露光処理によって露光される感光性材料の所定厚さはパターンを形成する材料の厚さと略等しいことが好ましい。
また、上記課題を解決するために、本発明に係る電子部品の製造方法は、積層型セラミック電子部品の製造方法であって、前述のセラミックグリーンシートの製造方法により形成されたセラミックグリーンシートを含む複数のセラミックグリーンシートを積層し、積層されたセラミックグリーンシートを、その厚さ方向に加圧して積層体を形成することを特徴としている。
また、上記課題を解決するために、本発明に係るセラミックグリーンシートの製造方法は、露光および現像処理を用いたセラミックグリーンシートの製造方法であって、露光処理に用いる光を透過可能な部分を有する、被シート形成面を表面とする部材の表面上に対して、所定の電気特性を有する粉体を含み、且つ光により露光可能な感光性材料を付着させる工程と、部材の裏面より感光性材料に対して光を照射し、感光性材料が部材の表面から所定厚さ露光される露光量にて露光処理を行う工程と、露光処理後の感光性材料に対して現像処理を施す工程とを含むことを特徴としている。
本発明は、部材表面に形成された感光性材料に対して光透過性の部材の裏面より露光処理を施すことにより、露光および現像処理後に部材上に残存する露光後の感光性材料(後述するスラリー固化部)の厚さを正確に制御できることを特徴としている。従って、光透過性の部分を有する部材の裏面より、部材表面の感光性材料を露光する工程を含む製造方法は、本発明に係る製造方法であるといえる。すなわち、実施例において詳述するように、当該工程を実施する前に、基台上に種々の層、具体的には、離型作用を得るための層、セラミック層、導体パターンとセラミック部からなる層等を形成した場合であっても、本発明に含まれる。また、部材裏面より露光および現像を行う方法を繰り返して、複数層が積層されたシートを形成する場合も、同様に本発明に含まれる。
従って、前述の製造方法においては、部材の表面に感光性材料を付着させる工程の前に、部材の表面の所定領域に対して光を透過不可能な材料からなる遮光部を形成する工程が行われることとしても良い。この場合、所定厚さは、前記遮光部の厚さと略等しいことが好ましい。さらに、前述の製造方法においては、該部材は、その表面からの前記セラミックグリーンシートの剥離を容易にするための離型処理が施されていることとしても良い。
また、前述の製造方法においては、該部材は、前セラミックグリーンシートから剥離除去される部分とセラミックグリーンシートの一部を形成する部分とを有することとしても良い。この場合、該セラミックグリーンシートの一部は、感光性材料とは異なる材料からなる層であっても良い。また、該セラミックグリーンシートの一部は、感光性材料を露光して得られる材料と、光を透過不可能な材料とからなることとしても良い。
また、前述の製造方法においては、部材表面に遮光部を形成する工程、感光性材料を付着させる工程、感光性材料を露光する工程、および感光性材料を現像する工程を行った後に、得られたシートの最表面に更なる遮光部を形成する工程、更なる感光性材料を付着させる工程、更なる感光性材料を部材の裏面より露光する工程、および更なる感光性材料を現像する工程が施されることとしても良い。なお、この場合に、遮光部を形成する材料と更なる遮光部を形成する材料とは同一である必要は無く、また感光性材料と更なる感光性材料とも同一である必要は無い。
また、上記課題を解決するために、本発明に係る電子部品の製造方法は、積層型セラミック電子部品の製造方法であって、上述のセラミックグリーンシートの製造方法により形成されたセラミックグリーンシートを含む複数のセラミックグリーンシートを積層し、積層された前記セラミックグリーンシートを、その厚さ方向に加圧して積層体を形成することを特徴としている。本発明にかかる製造方法により得られるセラミックグリーンシートは、厚さ精度等において従来の製造法により得られるシートより優れているため、高品質な電子部品を得るためには全てのシートを本発明にかかる製造方法により形成することが望ましい。しかしながら、電子部品に求められる特性に応じ、従来の製造方法により得られたシートを含めて電子部品を製造することにより、製造コストの削減等の効果が得られる。
本発明によれば、セラミックグリーンシート及びこれに形成された内部電極を含めた、各層における段差がより小さなセラミックグリーンシートの形成が可能となる。当該方法の提供により、セラミック積層型電子部品における電気特性のばらつきの低減、および積層体の焼成時における層間剥離現象の発生頻度低減あるいは回避が可能となる。
なお、これまでのスクリーン印刷や塗布コータ等によって電極やセラミックグリーンシートを形成した場合、前述したスラリーの粘度等、種々の影響もあってその表面に凹凸が発生してしまい、この凹凸は表面からの露光現像処理では通常は維持される。更には、スラリー等の塗布時においてツノあるいはカスレが発生することもあり、電子部品として組上げる際に短絡あるいは通電不良を起こすことも考えられる。更に塗布厚さを薄くしていった場合に、その粘度等の種々の条件に依存して下限が生じ、更には厚さ方向の寸法ばらつきを小さくすることが困難となってしまう。
本発明によれば、層の厚さは、層を形成する基体の表面からの距離として露光量によって正確に制御される。従って、スクリーン印刷や塗布コータによって所定の電気特性を有する粉体を含んだスラリーを用いて所望の電気特性を有する材料から為るセラミックグリーンシートを形成していたこれまでの方法と比較して、そのシート厚さ制御性が格段に向上し、これまでは不可能とされていた薄い厚さからなり且つ厚さの均一性に優れたシートを提供することが可能となる。従って、より小型であり且つ優れた電気特性を有する電子部品を、その製造ばらつきを押さえつつ得ることが可能となる。
以下に、図面を参照し、本発明の実施の形態について詳述する。図1に本発明の実施の形態に係る電子部品の製造方法に関し、電極部を含んだセラミックグリーンシート単層の形成方法を示す。図中、各工程におけるシートの断面を各々示し、矢印に従って工程が進行することとする。図中、基体1には、例えば、透明なシリコン樹脂等を用いて適当な離型処理がその表面に施されたPETフィルムが用いられる。さらに、例えば、従来から電極形成に用いられる導電性ペーストをスクリーン印刷する手法により、ステップ1において、離型処理が施された基体1の表面上に電極部3が形成される。当該電極部は、後述する露光処理に用いる紫外線を透過しない材料からなる、遮光部による、所定厚さを有した所定パターンとして形成されている。
一般的に、スクリーン印刷法による電極は、表面荒れ等により個々の電極の上面3aに凹凸が存在する。そこで、ステップ2において、この状態のシートに対して、電極上面3aより加圧を行い、上面3aの平坦化と電極部3の厚さの均一化を図る。なお、この工程は、上面3aの平坦性および電極部3各々の厚さが所望の条件を満たすものであれば、省略することとしても良い。
続くステップ3において、基体1および電極部3の上面に、セラミック層を形成するための感光性スラリー4を塗布する。この感光性スラリー4は、主として、例えば紫外線の照射によって現像液に対して不溶となるネガ型の有機結合材と、所定の誘電率等の電気特性等を有するセラミック粉末との混合物から形成されている。すなわち、当該感光性スラリーは、所定の電気特性を有する粉体を含み、且つ紫外線によって露光可能な感光性材料として用いられる。感光性スラリー4は、電極部3が形成されていない基体1の上面だけでなく、個々の電極部3の上面にも塗布形成される。
この感光性スラリー4に対し、基体1における電極部3形成面とは逆の面(裏面)から紫外線を照射し、感光性スラリー4の露光を行う。当該露光処理および後述する現像工程を経て、この感光性スラリー4はスラリー固化部5となる。当該露光工程において、電極部3は、紫外線を遮光するために感光性スラリー4に対する露光用のマスクとして作用し、電極部3の上面に存在する感光性スラリー4の露光を防止する。すなわち、次の現像工程において、電極部3の上面に存在する感光性スラリーは溶融し、除去される。また、露光時における紫外線の光量、すなわち光強度と露光時間、および現像条件の適正化を図ることにより、現像時に不溶となって残存する感光性スラリー4(スラリー固化部5)の厚さを制御することが可能となる。
以上の工程を経ることにより、基体1の表面上に一定の厚さを有した電極3部およびスラリー固化部5を形成することが可能となる。また、後述するように、本方法においてはスラリー固化部5の厚さを正確に制御することが可能であり、必要に応じて当該厚さを電極部3の厚さと正確に一致させることも可能となる。その後、スラリー固化部5と電極部3とを含む層を基体1から分離し、これを電子部品製造用のセラミックグリーンシートとして用いる。
以上述べたように、本発明においては、基体1表面上にまず内部電極となる電極部3を形成し、感光性スラリー4をその上に塗布後、基体1の背面より露光を行う。その際、露光に用いる紫外線の照射条件の適当な制御、および現像条件の最適化を図ることによって、スラリー固化部5の厚みを高精度に制御することが可能となる。従って、内部電極部3とほぼ同じ厚さを有し、且つ厚み方向での界面隙間を殆ど有さないセラミック誘電体部と内部電極とが混在するセラミックグリーンシートの形成が可能となる。
なお、以上の工程における露光、現像の処理を経たスラリー固化部5の膜厚のばらつきは、含有されるセラミック粉末等の性質により影響される。しかしながら、各工程の条件の最適化を図ることにより、およそ±2〜3%の値が得られている。通常、セラミックグリーンシートは、ドクターブレードを用いて形成されているが、その際の膜厚のばらつきは±3〜5%程度ある。すなわち、本発明を用いることにより、より均一な膜厚を有するセラミックグリーンシートの形成が可能となる。
紫外線の照射量と、露光現像後に得られるセラミックグリーンシートの膜厚との関係の一例を図2に示す。図中、横軸は、405nmの波長を有する紫外線の単位面積あたりの露光量を示し、縦軸は、現像後のシート厚さを示している。感光性スラリーは、およそ0.2μm径のチタン酸バリウム粉末を、ネガ型のバインダーと体積比1/1にて混合したものを用いている。これを不図示の基体表面上におよそ8μm厚さ形成した後に、基体裏面よりの露光処理等を行っている。露光時の紫外線の照度は、単位面積あたり50mwであり、その照射時間によって露光量を変化させている。
現像は、30℃に保持された炭酸ナトリウム1重量%水溶液からなる現像液中に試料を30秒浸漬後、引き続き30℃に保持された純水中に、試料を90秒浸漬している。図に示すように、露光量と得られるシート厚さとの間に明瞭な相関関係が得られている。また、図中エラーバーで示す様に、膜厚のばらつきとして±0.5〜2.0%の値がほぼ一定して得られている。以上述べたように、所定の電気特性を有する粉体を含有した感光性スラリーについて、露光量を変化させることでその露光厚さの制御、すなわちシート厚さの制御を行うことが可能であることが確認された。本発明は、この確認された事項に基づいて為されたものである。
以上述べた事項を勘案して、本発明の第一の応用例として、セラミック誘電体層のみからなるセラミックグリーンシートを形成する方法について、図3Aおよび3Bを参照して以下に述べる。なお、図1に示した実施の形態における各構成要素と同様の構成要素に関しては同じ参照番号を付記することとする。図3Aおよび3Bは、基体1の表面上に所定厚さのスラリー固化部5を形成する工程に関し、基体1等およびスラリー固化部5等の断面を示すものである。
ステップ11において、離型処理が為された基体1の表面上に、所定厚さ以上の厚さで感光性スラリー4を塗布する。その際、塗布方法は特に限定されない。続くステップ12において、基体1の裏面より紫外線を照射し、感光性スラリー4の所定厚さまでの露光処理を行う。更に現像処理の最適化を行うことにより、所定厚さ以上の部分となる感光性スラリー4を溶融し、除去する。以上の工程を経た後、基台1を除去することにより、膜厚のばらつきが小さいセラミックグリーンシートを得ることが可能となる(ステップ3)。
通常、基体上に直接スラリーを塗布することのみによってセラミックグリーンシートを得ようとした場合、基体上に略均一にスラリーを塗布し得る厚さはスラリーの粘度等の各種条件によって制限を受ける。このため、ある値以下の厚さからなるセラミックグリーンシートを得ることはこれまで困難とされていた。本発明によれば、塗布が容易な厚さにてスラリーの塗布を行い、その後の露光処理においてシート厚さを制御している。前述したようにこの露光処理においては塗布厚さとは無関係に露光厚さ(現像処理後に残存するセラミックグリーンシートの厚さ)を制御することが可能であり、これまでの形成方法におけるシート厚さの下限値を下回る値での厚さ制御を行うことが可能となる。
なお、前述の如く基体1の表面には、予め離型処理が施されている。しかしながら、コスト等の観点から、例えば基体1としていわゆる離型処理の施行が困難な材料が用いられる場合も考えられる。この場合、例えば図3Bに示すように、何ら表面処理が施されていない基体1の表面に対し、ステップ10にて光透過性の離型層(図中参照番号2にて示す層)を予め形成し、この上に感光性スラリー4からなる層を形成することとしても良い。また、層2として、遮光部等の形成時において当該形成部エッジ(端部)のにじみを防止する、いわゆるにじみ防止作用を有する層を形成することとしても良い。この場合、この層2は、最終的には基体1とともにスラリー固化部5から剥離、除去される。すなわち、基体1と層2とは、一体として光を透過する部分を有する部材として作用する。
また、セラミックグリーンシートを積層して電子部品等を形成する場合、例えば電子部品の最下層に対応するシートについては、所定の電気特性とは別個の特性が求められる場合も考えられる。この場合、求められる特性各々に応じた複数の層が積層されてなるシートを形成することが好ましい。図3Cに示す方法は、このような場合に対応するものである。
具体的には、基体1上に離型層2を形成し(ステップ10)、その上に例えば光透過性のセラミック層6を形成する(ステップ10’)。このセラミック層6は、後のステップにて形成するスラリー固化部5とは異なる目的のために形成されている。この場合、このセラミックス層6に対しては、スラリー固化部5の形成時に求められるレベルの膜厚の均一性等は必要でない場合も考えられる。すなわち、セラミック層6は、図3Aのステップ10〜12における工程から形成しても良く、従来の塗布方法によって形成することとしても良い。この場合、基体1および層2は剥離操作によってセラミックグリーンシートとは分離され、セラミック層6はセラミックグリーンシートの一部を形成する。
なお、本発明においては、電極上面上に付着した感光性スラリーの露光は確実に防止され、現像処理を経ることによって電極表面上のスラリーを確実に除去することが可能となる。以下に述べる、本発明第二の応用例は、当該効果に着目したものである。具体的には、電極部およびこれを内在するセラミックグリーンシートの厚さが比較的厚く、例えばその電気特性の許容範囲が従来の感光性スラリー塗布技術により充分に満たし得る場合が考えられる。以下、図4を参照して、本発明の第二の応用例について述べる。
まず、ステップ2において、離型処理が為された基台1の表面上に電極部3を形成する。なお、その際、前述の本発明の実施形態において述べたステップ1の工程を実施することとしても良い。続いて、基体1および電極部3の上面に、セラミック層を形成するための感光性スラリー4を塗布する。この感光性スラリー4は従来の塗布方法によって、電極部3の厚さと略等しい厚さだけ基台1上に塗布される。その際、当該スラリー4は、電極部3が形成されていない基体1の上面だけでなく、個々の電極部3の上面にも塗布形成される(ステップ3’)。
この感光性スラリー4に対し基体1における電極部3形成面とは逆の面(裏面)から紫外線を照射し、感光性スラリー4をその膜厚全域に渡って露光する当該露光処理および後述する現像工程を経て、この感光性スラリー4はスラリー固化部5となる。当該露光工程において、電極部3は、紫外線を遮光するために感光性スラリー4に対する露光用のマスクとして作用し、電極部3の上面に存在する感光性スラリー4の露光を確実に防止する。従って、現像処理によって電極部3の上面3aは露出し、例えば他の電極とこれとを接続する際に容易に良好な接続が得られる状態になる。
更に、本発明の第三の応用例として、セラミックグリーンシート中に、電極パターンと、当該電極パターンを他のセラミックグリーンシート中の更なる電極等と結合するためのいわゆるポストとを形成する方法を図5に示す。図中、ステップ21において、離型処理が為された基台1の表面上に、ポストとなる電極部3を形成する。当該電極部3は、露光処理における遮光部材として作用する。更に、第一の感光性材料としての感光性スラリー4の塗布、基台1裏面よりの感光性スラリー4に対する第一の所定厚さの露光処理、現像処理による余分な感光性スラリーの溶融、除去を行い、ステップ22に示す基台1、ポスト電極3およびスラリー固化部5からなるシートを形成する。
ステップ23においては、ステップ2に示すシートの上面に内部電極となるパターン電極7を形成する。当該パターン電極7は、露光処理における遮光部材として作用する。更に、パターン7電極等の上面に、再度第二の感光性材料としての感光性スラリー4を塗布する。なお、本実施例においては、第一の感光性材用および第二の感光性材料を同一としているが、所望の電気特性等に応じてこれを別材料としても良い。塗布後、基台1裏面からの再度塗布された感光性スラリー4に対する第二の所定厚さの露光処理、再度塗布された感光性スラリー4における余剰部分を溶融、除去するための現像処理を行い、ステップ24に示す、基台1、ポスト電極3、パターン電極7、およびスラリー固化部5からなるシートが形成される。
その後、基台1を当該シートから除去することにより、内部パターン電極およびポストを有するセラミックグリーンシートを得ることが可能となる(ステップ25)。なお、本例の実施においては、感光性スラリー作製時に、スラリー固化部が露光用の光を透過可能となる様な材料を予め選択し、これら材料を用いることが好ましい。なお、本実施例においては、二つの層を形成する工程を含めて一変形例としている。しかし、下層を、露光用の光を透過する部分を有する部材として、すなわち基台の一変形例として把握することも可能である。これにより、本変形例は本発明の実施例そのものを単に複数回繰り返したものとしても説明できる。
また、例えば、ポストを形成する場合、回路設計の都合上、通常のスクリーン印刷法によっては形成し得ない厚さの電極を形成することが求められる場合が考えられる。本発明は、そのような場合に対しても適用可能である。以下、本発明の第四の応用例として、より厚い電極を形成する方法を、図6を参照して以下に述べる。図中、ステップ31において、離型処理が為された基台1の表面上に、ポストとなる電極部3を形成する。続くステップ32において感光性スラリー4の塗布、基台1裏面よりの露光処理を行う。その際、電極部3の厚さに関係なく、感光性スラリー4が所定厚さまで露光されるように露光量を調節することとする。
露光終了後、現像処理による余分な感光性スラリー4の溶融、除去を行い、ステップ33に示す基台1、ポスト電極3およびスラリー固化部5からなるシートを形成する。電極部3がマスクとして作用するために、その上面3a上の感光性スラリー4は露光されず、現像処理によって当該感光性スラリー4は除去されている。すなわち、所定厚さのスラリー固化部5上に、内部電極部3に対応する貫通パターン9が自己整合的に形成されている。
ステップ34において、この電極部3の上面、すなわち貫通パターン9に対して、例えば導電性のペースト等の充填を行い、追加電極部11を形成する。これにより、スラリー固化部5の上面と同じ上面を有する内部電極が形成される。以上の工程を行うことにより、電極部を精度良く積み重ねることが可能となり、通常形成することが困難な厚い内部電極部を、比較的簡略な工程によって得ることが可能となる。
以上に述べたように、本発明を実施することによって内部電極および誘電体層、すなわち所定の特定を有する絶縁体層が混在する、均一な膜厚からなるセラミックグリーンシートの形成が可能となる。実際には、これらセラミックグリーンシートは、積層セラミックコンデンサ、積層セラミックインダクタ等、電子部品形成のための素材として用いられる。以下に、積層セラミックコンデンサ、および積層セラミックインダクタの形成方法の例を示す。なお、以下に示す図面において、前述の構成要素あるいはステップと同様の内容を有するものに関しては、同様の参照符号あるいはステップを付記して述べることとする。
図7に、積層セラミックコンデンサの形成方法の主要部分を示す。まずステップ2において、基体1上に、所定厚さの電極部3を形成する。なお、本方法における製造物はコンデンサであり、電極部3はコンデンサにおける電極として用いられる。従って、断面を示す本図では明示されないが、電極部3は平板状に形成されている。続いてステップ3および4に示される工程を経て、基体1上に所定厚さの電極部3および誘電体部(スラリー固化部5)が形成される。
なお、本方法においては、ステップ4’において、これら電極部3等の上面に、更に所定厚さの誘電体部6が形成される。その後、ステップ5’において基体1をこれら電極部3等から除去し、コンデンサ用のセラミックグリーンシートを得る。以上述べた方法により得られたセラミックグリーンシートを積層し、更にこれを厚さ方向に加圧することで、各シート間の密着性を向上させる。加圧後の積層セラミックグリーンシートを焼成し、その外部に端子電極等を形成することにより、積層セラミックコンデンサが得られる。
本方法においては、工数の削減等の観点から、ステップ4’において電極部3等の上に誘電体部6を直接形成することとしている。当該形成方法は、印刷法、ドクターブレード法等、種々の方法が適用可能である。しかしながら、誘電体部6の厚さに関し、より均一性の高いものが求められる場合も考えられる。このような場合、図8に示す様に、前述の第一の応用例によるスラリー固化部5を予め形成し、当該シート5と、電極部3と誘電体部(5)からなるセラミックグリーンシートとを用いることが好ましい。これらシートを積層し、加圧、焼成の各工程(ステップ6〜8)を経ることにより、前述の方法と比較して、より電気特性のばらつきが小さい積層セラミックコンデンサを得ることが可能となる。
更には、図9に示す様に、基台上1に本発明第1の応用例によるスラリー固化部5を予め形成し(ステップ11’および12’)、基台1およびスラリー固化部5を新たな基台としてその上に電極部3と誘電体部(5)からなる部分を形成する(ステップ2’〜4’)こととしても良い。この場合、スラリー固化部5が、露光処理に用いられる紫外線等を十分に透過する必要があるために、感光性スラリーとの材質上の制限が生じる可能性がある。しかしながら、図8に示した場合と同様に、個々のシート厚さを容易に制御することが可能であり、より電気特性のばらつきが小さい積層セラミックコンデンサを得ることが可能となる。
なお、本方法においては、基体1上に形成されるスラリー固化部5に対して基体1背面からの露光処理を施すことでその厚さを制御することとしている。しかしながら、例えば、当該方法により得られるシートが、積層コンデンサの最外層に用いられる、あるいは当該シートはコンデンサ形成ではなく配線部分にのみ用いられる場合等も考えられる。この場合、当該スラリー固化部5の厚さ精度はそれほど要求されず、従って、工程簡略化の観点から、当該層を従来から用いられる表面からの露光処理を施す等して、厳密な厚さ制御を行わないこととしても良い。
図10に、積層セラミックインダクタの形成方法の主要部分を示す。まずステップ2Aおよび2Bにおいて、基体1上に、所定厚さの電極部3Aあるいは3Bを形成する。なお、本方法における製造物はインダクタであり、電極部3Aおよび3Bはインダクタ本体として用いられる。従って、断面を示す本図では示されないが、電極部3Aは、その上面から見た場合に一部が切り欠かれた枠状に形成されている。また、電極部3Bは、当該電極部3Bを含むセラミックグリーンシートの上下に積層されるセラミックグリーンシート内に形成された電極部3Aを接続するポスト電極として用いられ、柱状に形成される。これら電極部3Aおよび3Bを順次積み重ねることによって、インダクタ本体が形成される。続いてステップ3Aおよび3Bに示される工程をそれぞれ経て、基体1および電極部3Aあるいは3B上に感光性スラリー4が塗布される。
これらシート各々に対して基体1裏面からの露光が施され、更に現像処理が施されることにより、基体1上に所定厚さの電極部3および絶縁体部あるいは磁性体部(5)が形成される(ステップ4A、4B)。これらシートから基体1が除去されることにより得られたセラミックグリーンシート(ステップ5A、5B)各々を順次積層する(ステップ6)。積層後のセラミックグリーンシートをその厚み方向から加圧し(ステップ7)、焼成を行った(ステップ8)後に、その外部に端子電極等を形成することにより、積層セラミックインダクタが得られる。
なお、図10に示す方法によってインダクタを形成した場合、所望の特性を有するインダクタを得るために積層数が増加する場合が考えられる。この場合、各層間における電極部の接続箇所が増加し、接続信頼性等が低下する可能性が考えられる。また、インダクタ本体とする電極部3Aの幅(図を示す紙面方向の厚さ)がより細くなった場合等、積層時に電極部3Aと電極部3Bとの位置合わせが困難となる場合も考えられる。図11Aおよび11Bは、このような場合に対処するためのインダクタ製造方法である。具体的には、図5に示した第三の応用例を適応している。
なお、図11Aに示す方法においては、インダクタ形成を目的とするため、図5におけるポスト電極部3がポスト電極部3Bとなり、パターン電極部7が枠状のパターン電極部3Aとなる。以下第二の応用例に示した工程に従い、ステップ25に示す、ポスト電極部3Bおよびこれに接合されたパターン電極部3Aを含むセラミックグリーンシートが得られる。ステップ6〜8に示す様に、当該シートを交互に積層し、加圧し、更に焼成した後に、その外部に端子電極等を形成することにより、積層精度のより優れた積層セラミックインダクタが得られる。当該方法にてインダクタを形成することにより、積層数が減少し、各層間における電極部の接続箇所も減少する。その結果、積層精度を容易に向上することが可能となると共に、接続信頼性の向上も可能となる。
なお、積層セラミックインダクタを形成する場合、当該方法によって得られたシートがインダクタの端部に用いられる等の場合には、図11Aにおけるポスト電極3Aの厚さ精度がそれほど要求されない場合も考えられる。この場合、工程の簡略化あるいは加工コスト削減等の観点から、図11Bに示すように、ポスト電極3Aを含む層を従来技術により形成することとしても良い。具体的には、基体1上に従来の方法によりスラリー固化部5を形成し(ステップ20’)、これにメカパンチ加工、レーザ加工等によりスルーホール3B’を形成し(ステップ21’)、当該スルーホール3B’を電極材料にて埋めることによって当該層を形成する。あるいは、ステップ20に示すように基体1上に感光性スラリー4を所定厚さ形成した後に通常の露光、パターニング処理等によりスルーホール3B’を形成することとしても良い。
以上述べたように、本発明によれば、厚さの均一性に優れた、内部電極を含むセラミックグリーンシートの形成が可能となる。本発明によるセラミックグリーンシートは平坦性に優れることから、積層後に加圧する工程におけるプレス圧力を100kg/cm2以下とすることが可能となる。当該数値は、シート内の電極の配置、感光性スラリーの材質あるいは粘度、等に応じて異なるが、条件によっては50kg/cm2以下まで低減することも可能である。従って、加圧時の変形が小さく抑えられ、所望の電気特性を精度良く得ることが可能となる。また、加圧処理に起因した焼成時におけるデラミネーション等、変形の発生頻度を、大幅に低減することが可能となる。また、プレス圧力が大幅に小さくなることから製造設備の簡略化が可能となり製造コストの大幅な削減が可能となる。
なお、内部電極形成時に用いる金属材料としてAg、Ni、AgPd、Pd、Cu、等の粉末が、また有機結合材としてエチルセルロース等が具体例として挙げられるが、本発明はこれらに限定されず電気特性、あるいは電極部の形成方法に応じて、種々の材料より適宜選択されることが望ましい。また、電極部の形成方法としてはスクリーン印刷法を例として説明したが、露光、現像の処理を行ういわゆるフォト加工によって形成しても良い。当該方法によれば、電極部の形状、形成位置等をより高精度に制御することが可能となる。
フォト加工による電極部の形成方法について、その概要を示す図12および13を用いてここで簡単に述べる。両図は基台1および電極部3等をその断面から見た状態の概略示し、図中の矢印に従って工程が進行することとする。図12において、まずステップ1にて、電極部を形成するために、基台1上に導電性の金属粉末と有機結合材からなる例えば紫外線感光性の電極部13を形成する。続いて、ステップ2において、フォトマスク15を介して紫外線を照射し、電極部3のパターンを露光する。これを現像することより、電極部3を精度良く形成することが可能となる。以上の工程の実施により、電極部の形状、形成位置等をより高精度に制御することが可能となる。また、電極の断面形状に関しても、単に垂直な側面を形成するのみならず、テーパー加工等も容易に行えることから、これらを調節することで電極とスラリー固化部との一体性の向上も見込まれる。
なお、例えば電極部3の形成領域が基台1の表面積と比較して小さい場合が考えられる。この場合、図13に示すように、感光性電極部13を、予めスクリーン印刷等を用いることでその形成部分をある程度限定することが好ましい。このように、電極部3の形成位置近傍にのみ感光性電極部13を形成することにより、感光性の電極材料、現像液等の使用量を削減し、工程としてのコストを削減することが可能となる。また、現像により除去すべき感光性の電極材料が減少することから、現像に要する時間を短縮するという効果も得られる。
また、感光性スラリーを形成する材料として、ネガ型の特性を示す有機結合材と、誘電体材料、特にチタン酸バリウムをここでは述べたが、本発明はこれら材料に限定されない。有機結合材は露光特性、粘度、剥離性等、種々の特性を勘案して適宜定められることが望ましい。さらに、本発明は、コンデンサ、インダクタのみならず、抵抗、バリスタ、サーミスタ、圧電素子等種々の積層型のセラミック電子部品に対して適応可能である。従って、本発明に対する適用粉体材料もこれら用途に応じて、所望の電気特性等を有する、誘電体材料、ガラス系材料、フェライト系材料、金属酸化物を含むその他のセラミック材料等、種々の材料を用いることが可能である。
また、露光には紫外線を用いることとしているが、用いる有機結合材の特性すなわち感光性材料の特性に応じて、適宜これを好適に露光する光と変更することが望ましい。また、本発明においては、露光処理時におけるマスクとして電極部を用いることとしているが、本発明はこれに限定されず、露光処理に用いる光を透過しない材料であれば、電極材料のみならずフェライト材料等の種々の材料を、所望の電気特性等に応じて用いることが好ましい。また、誘電材料からなる層の形成に感光性スラリーを用いることとしているが、感光性のシートを基台に付着させる等、感光性の材料を基台上に付着、形成する方法であれば種々の方法が適応可能である。
また、積層セラミックコンデンサあるいは積層セラミックインダクタ等の作製方法の例をそれぞれ示しているが、本発明は当該例への適応に限られない。複数の層の内、その一部に本発明の実施により得られた層を用いることとしても良い。本発明により得られたセラミックグリーンシートを適時用いて積層型の電子部品を形成することにより、従来技術によるシートを用いた場合と比較して、より電気的特性に優れた電子部品を容易に提供することが可能となる。