JP3570242B2 - セラミック多層基板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、種々の電子部品に用いるセラミック多層基板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、移動体通信、大型コンピュータ、パーソナルコンピュータ等の電子機器の性能向上は著しく、これらの電子機器を支える高周波セラミック部品に対しても、諸性能のさらなる向上が求められている。特に、高周波セラミック部品の小型化、高集積化、高性能化が進展するに伴って、配線基板の多層化、導体パターンの微細化、高周波特性の向上などが要求されている。
【0003】
一般に、高周波セラミック部品における配線や電極等の導体パターンは、有機溶剤中に導体粉末等を分散した導体ペーストをスクリーンマスクを介してセラミックグリーンシート上に所定パターンに厚膜印刷し、これを乾燥、焼成するといった、スクリーン印刷法によって形成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、導体ペーストの粘度、印刷条件、セラミックグリーンシートの性質等によっては、図13(A)及び(B)に示すように、セラミックグリーンシート22に厚膜印刷された導体ペースト21の端縁部23に、にじみやかすれ等による凹凸が発生し、また、セラミックグリーンシート22と導体ペースト21との接触角度(エッジ角度)θが小さくなる傾向にある。導体パターンの端縁部に凹凸が生じ、端縁部の接触角度が小さくなると、その高周波特性が劣化することがある。さらに、図13(C)に示すように、セラミックグリーンシート22上に厚膜印刷された導体ペースト21の表面24は粗く、例えば、基板上にIC等のチップ部品を搭載する場合、導体ペーストとチップ部品とをワイヤボンディングする際に接続不良等の不具合が生じることがある。
【0005】
また、セラミックグリーンシート上に加工形状の良い導体パターンを印刷、加工できた場合でも、これを積層した後、プレス処理を施すと、図14に示すように、セラミックグリーンシート22上に形成された導体パターン21’には大きな圧力がかかるので、その端縁部が伸びて導体パターンの形状が変化し、エッジ角度θ’がさらに小さくなる(θ’<θ)。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するものであり、その目的は、加工形状が良く、高周波特性に優れた微細な導体パターンを有するセラミック多層基板を製造することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、
転写用基板上に感光性導体ペーストからなる導体パターンを形成する工程と、
前記導体パターンをセラミックグリーンシート上に転写する工程と、
露光マスクを介してセラミックグリーンシート上の前記導体パターンに光ビームを照射し、前記導体パターンの所定部分を露光した後、前記導体パターンの端縁部を現像、除去する工程と、
前記セラミックグリーンシート上に、前記セラミックグリーンシートとほぼ同組成の絶縁材料を、前記導体パターンとほぼ同じ高さに設ける工程と
を経て、所定の導体パターンを有するセラミックグリーンシートを作製し、これを積層、焼成することを特徴とするセラミック多層基板の製造方法(以下、本発明の第1のセラミック多層基板の製造方法と称する。)に係るものである。
【0008】
また、本発明は、
転写用基板上に感光性導体ペーストからなる導体パターンを形成する工程と、
露光マスクを介して転写用基板上の前記導体パターンに光ビームを照射し、前記導体パターンの所定部分を露光した後、前記導体パターンの端縁部を現像、除去する工程と、
得られた導体パターンをセラミックグリーンシート上に転写する工程と、
前記セラミックグリーンシート上に、前記セラミックグリーンシートとほぼ同組成の絶縁材料を、前記導体パターンとほぼ同じ高さに設ける工程と
を経て、所定の導体パターンを有するセラミックグリーンシートを作製し、これを積層、焼成することを特徴とするセラミック多層基板の製造方法(以下、本発明の第2のセラミック多層基板の製造方法と称する。)を提供するものである。
【0009】
本発明の第1のセラミック多層基板の製造方法によれば、転写用基板上に感光性導体ペーストからなる導体パターンを形成し、前記導体パターンをセラミックグリーンシート上に転写した後、前記導体パターンの端縁部をフォトリソグラフィ法に基づいて取り除き、さらに、前記セラミックグリーンシート上に、該セラミックグリーンシートとほぼ同組成の絶縁材料を設けてセラミックグリーンシートを作製し、このセラミックグリーンシートを積層、焼成するので、表面性、端縁部形状等の加工形状が良く、高周波特性に優れた微細な導体パターンを有するセラミック多層基板を製造できる。
【0010】
また、本発明の第2のセラミック多層基板の製造方法によれば、転写用基板上に感光性導体ペーストからなる導体パターンの形成し、前記導体パターンの端縁部をフォトリソグラフィ法に基づいて取り除いた後、該導体パターンをセラミックグリーンシート上に転写し、さらに、前記セラミックグリーンシート上に、該セラミックグリーンシートとほぼ同組成の絶縁材料を設けてセラミックグリーンシートを作製し、このセラミックグリーンシートを積層、焼成するので、表面性、端縁部形状等の加工形状が良く、高周波特性に優れた微細な導体パターンを有するセラミック多層基板を製造できる。特に、前記転写用基板は厚みのバラツキが少ないので、前記導体パターンの厚みのバラツキも最小限に抑えることができる。
【0011】
なお、本発明において、前記フォトリソグラフィ法とは、露光処理と現像処理とを組み合わせた一連のパターニング工程を意味する。また、前記端縁部とは、にじみやかすれ等による凹凸が生じた部位、エッジ角度が小さな部位等を含む。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1〜図7を参照に、本発明の第1のセラミック多層基板の製造方法による第1の実施の形態を説明する。
【0013】
まず、図1に示すように、転写用基板としてシリコンコーティングを施したポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、シリコンコートPETフィルムと称する。)2を用意し、シリコンコートPETフィルム2上に、Cu、Ag、Ag−Pt又はAu等の導体成分と、感光性樹脂と、光重合開始剤とからなる感光性導体ペーストをスクリーンマスクを用いて厚膜印刷した後、乾燥処理を施して、導体パターン1aを形成する。
【0014】
次いで、シリコンコートPETフィルム2上に形成した導体パターン1aを、BaO−Al2O3−SiO2(BAS)からなる低温焼結セラミック材料をシート状に成形したセラミックグリーンシート3a上に転写する。
【0015】
次いで、図3に示すように、フォトリソグラフィ法に基づいて、所定形状の開口部を有する露光マスク4を介して、図示しない高圧水銀灯等の光源から紫外光5を照射し、導体パターン1aの所定部分を露光する(露光処理)。すると、導体パターン1aの露光部分1cが硬化する。
【0016】
引き続いて、図4に示すように、現像液噴出用ノズル6から現像液7を噴出し、導体パターン1aにおける端縁部(非露光部分)1bを溶解、除去する(現像処理)。現像液7は、感光性導体ペーストの非露光部分を溶解可能な有機溶媒を使用することができ、例えば、感光性樹脂が酸性基を有する場合は有機アルカリ溶液などが好適である。また、現像処理を行うに際しては、噴霧法の他、浸漬法等も適用できる。
【0017】
上述したように、スクリーン印刷法によって形成された導体パターンでは、その表面が粗くなり、また、端縁部ににじみやかすれによる凹凸が発生し易く、また、エッジ角度が小さくなる傾向にある。
【0018】
これに対して、本実施の形態によれば、導体ペーストを一旦、転写用基板としてのシリコンコートPETフィルム2上に印刷してから、セラミックグリーンシート3aに転写するので、導体ペースト1cの表面粗さの大きな側がセラミックグリーンシート3aとの接触面となり、セラミックグリーンシート3aと導体パターン1cとの接触面積が大きくなり、アンカー効果によってセラミックグリーンシート3aと導体パターン1cとの接着性が向上する。また、シリコンコートPETフィルム2との接触面であった表面粗さの小さな側が、チップ部品等と導体パターンとを接続するワイヤボンディング部分となるので、そのボンディングを良好に行うことができる。また、バラツキが大きく、エッジ角度が小さな導体パターン端縁部をフォトリソグラフィ法に基づいて取り除くので、基板強度や基板特性に変動を与えること無く、微細な導体パターンを高精度に形成して、加工形状が良く、高周波特性に優れた導体パターンを形成できる。
【0019】
次いで、図3及び図4に示した露光処理工程、現像処理工程に引き続いて、図5に示すように、端縁部1bが取り除かれた導体パターン(露光部分)1cの間に、セラミックグリーンシート3aと同じセラミック材料(BAS)を含むペースト8aを塗布、充填して表面の段差を埋める。
【0020】
次いで、図6に示すように、同様にして作製したセラミックグリーンシート9a、9b…を積み重ね、プレス処理して積層体を形成した後、焼成処理を施すと、図7に示すように、セラミック材料8の間、セラミック基板3上に所定の導体パターン1を形成したセラミック多層基板10が作製される。
【0021】
一般に、スクリーン印刷法によって形成された導体パターンの表面は粗く、また、その端縁部には、にじみやかすれ等による凹凸が発生し易く、エッジ角度が小さくなる傾向にあるので、加工形状の良い微細な導体パターンを有するセラミック多層基板の製造は難しい。これに対して、本実施の形態によれば、基板強度や基板特性を保持したまま、微細な導体パターンを高精度に形成し、加工形状が良く、高周波特性に優れ、IC等のチップ部品の実装に適したセラミック多層基板を作製できる。
【0022】
また、感光性導体ペーストを用いたフォトリソグラフィ法に基づいて導体パターンを形成しているので、フォトレジストの使用及びその塗布工程を省くことができる。さらに、絶縁材料8aとしてセラミックグリーンシート3aを含む材料を用いているので、セラミックグリーンシートとの接着性が良好で、安定性に優れたセラミック多層基板を形成できる。
【0023】
なお、図示省略するが、セラミックグリーンシート3aには、上下層の導体パターンを接続するビアホールを設けてもよいし、また、グランド電極、表面実装部品(SMD)などは任意に形成してよい。
【0024】
ここで、本実施の形態に基づいて作製したセラミック多層基板における導体パターンを例1(図7参照)とし、スクリーン印刷のみで作製したセラミック多層基板における導体パターンを例2(図13及び図14参照)として、温度150℃、圧力350kg/cm2でのプレス前後の加工形状を比較する。なお、印刷後の導体パターンのライン幅は300μm、端縁部を取り除いた後のライン幅は100μmである。
【0025】
下記表1に示すように、本実施の形態に基づいて作製した例1の導体パターンは、エッジ角度が大きく、ライン幅のバラツキ(端縁部の凹凸に相当)も小さい。さらに、表面粗さRz(十点平均の表面粗さ)が小さい。これは、微細な導体パターンを高精度に加工形状良く形成できると同時に、プレス処理や焼成処理等を経ても、良好な加工形状が保持され、半導体IC等の高周波部品の実装に適したセラミック多層基板、セラミック多層モジュールであることを意味する。
【0026】
これに対して、スクリーン印刷のみで作製した例2の導体パターンは、エッジ角度が小さく、ライン幅のバラツキが大きい。さらに、表面粗さも大きくなっている。
【0027】
【表1】
【0028】
次に、表2及び図12を参照に、エッジ角度とQ値、配線抵抗の関係を説明する。
【0029】
下記表2及び図12から、エッジ角度が大きくなるほど、Q値が向上し、また、配線の抵抗Rが小さくなることが分かる。即ち、例1の導体パターンのように、エッジ角度の大きな導体パターンは、Q値が大きく、抵抗が小さいので、高周波特性に優れた導体パターンであることが分かる。特に、Q値が90以上になることから、導体パターンのエッジ角度は50度以上が望ましい。また、積層、焼成後のエッジ角度のバラツキが小さくなることから、端縁部除去後のエッジ角度は90度以下(さらには80度以下)が望ましい。
【0030】
【表2】
【0031】
即ち、例えばCuを主成分とするライン幅300μmの導体パターンを形成する場合、例2の方法によれば、ライン幅のバラツキが±15μmと大きく、エッジ角度が20度と小さくなり、また、表面粗さが5μmと大きいので、500MHzの高周波信号を伝送する場合のQ値は72.1程度となる。これに対して、本実施の形態に基づく例1の方法によれば、ライン幅のバラツキを±7μm程度に抑え、エッジ角度が70度と大きく、表面粗さも1μmと十分に小さいので、500MHzの高周波信号を伝送する場合のQ値が93.1と高周波特性が大きく向上し、高周波対応のIC等の実装に適したセラミック多層基板である。
【0032】
即ち、導体パターンの形成手段としてスクリーン印刷を用いた場合であっても、一旦、感光性導体ペーストを転写用フィルム上に印刷してから、セラミックグリーンシート上に転写し、セラミックグリーンシート上にて、凹凸を有し、エッジ角度の小さな端縁部を取り除いて、ほぼ直角状であってエッジ角度が大きな導体パターンを形成するので、表面性及び加工形状が良く、高周波特性に優れた導体パターンを有するセラミック多層基板が得られる。
【0033】
次に、図8〜図11を参照に、本発明の第2のセラミック多層基板の製造方法による第2の実施の形態を説明する。
【0034】
まず、図8に示すように、転写用基板として、均一な厚みのシリコンコートPETフィルム12を用意し、シリコンコートPETフィルム12上に、Cu、Ag、Ag−Pt又はAu等の導体成分と、感光性樹脂と、光重合開始剤とからなる感光性導体ペーストをスクリーンマスクを介して厚膜印刷した後、乾燥処理を施して、所定形状の導体パターン11aを形成する。
【0035】
次いで、図9に示すように、フォトリソグラフィ法に基づいて、所定形状の開口部を有する露光マスク4を介して、図示しない高圧水銀灯等の光源から紫外光5を照射し、導体パターン11aの所定部分を露光する(露光処理)。すると、導体パターン11aにおいて、紫外光5の照射した部分11cは硬化する。
【0036】
引き続いて、図10に示すように、現像液噴出用ノズル6から現像液7を噴出し、導体パターン11aにおける端縁部(非露光部分)11bを溶解、除去する(現像処理)。現像液7は、感光性導体ペーストの非露光部分を溶解可能な有機溶媒を使用することができ、例えば、感光性樹脂が酸性基を有する場合は有機アルカリ溶液などが好適である。また、現像処理を行うに際しては、噴霧法の他、浸漬法等も適用できる。
【0037】
次いで、図11に示すように、端縁部11bを除去した導体パターン11aを、BaO−Al2O3−SiO2(BAS)からなる低温焼結セラミック材料をシート状に成形したセラミックグリーンシート13上に転写する。
【0038】
次いで、図5〜図7に示した工程と同様に、導体パターン11aとほぼ同じ高さになるように、BASからなる低温焼結セラミック材料を塗布、充填して、表面の段差を埋めた後、積層、圧着、焼成を経て、セラミック多層基板を形成する。
【0039】
本実施の形態によれば、導体ペーストを一旦、転写用基板としてのシリコンコートPETフィルム上に印刷し、バラツキが大きく、エッジ角度が小さな導体パターン端縁部をフォトリソグラフィ法に基づいて取り除いてから、該導体パターン11cをセラミックグリーンシート13に転写するので、導体ペースト11cの表面粗さの大きな側がセラミックグリーンシート13との接触面となり、セラミックグリーンシート13と導体パターン11cとの接触面積が大きくなり、アンカー効果によってセラミックグリーンシート13と導体パターン11cとの接着性が向上する。また、シリコンコートPETフィルム12との接触面であった表面粗さの小さな側が、チップ部品等と導体パターンとを接続するワイヤボンディング部分となるので、そのボンディングを良好に行うことができる。また、セラミックグリーンシート13に厚みのバラツキがある場合でも、シリコンコートPETフィルム12は厚みが均一であるので、導体パターンを均一の厚みに形成できると同時に、端縁部の除去を高い精度で実施でき、加工形状が良く、高周波特性に優れた微細な導体パターンが加工できる。
【0040】
一般に、スクリーン印刷法によって形成された導体パターンの表面は粗く、また、その端縁部には、にじみやかすれ等による凹凸が発生し易く、エッジ角度が小さくなる傾向にあるので、加工形状の良い微細な導体パターンを有するセラミック多層基板の製造は難しい。これに対して、本実施の形態によれば、基板強度や基板特性を保持したまま、微細な導体パターンを高精度に形成し、加工形状が良く、高周波特性に優れ、IC等のチップ部品の実装に適したセラミック多層基板を作製できる。
【0041】
また、感光性導体ペーストを用いたフォトリソグラフィ法に基づいて導体パターンを形成しているので、フォトレジストの使用及びその塗布工程を省くことができる。さらに、絶縁材料8aとしてセラミックグリーンシート3aとほぼ同組成の材料を用いているので、セラミックグリーンシート3aと絶縁材料8aとの接着性が良好で、安定性に優れたセラミック多層基板を形成できる。
【0042】
即ち、本実施の形態においても、一旦、感光性導体ペーストを転写用フィルム上に印刷してから、セラミックグリーンシート上に転写し、セラミックグリーンシート上にて、凹凸を有し、エッジ角度の小さな端縁部を取り除いて、ほぼ直角状であってエッジ角度が大きな導体パターンを形成するので、表面性及び加工形状が良く、高周波特性に優れた導体パターンを有するセラミック多層基板が得られる。
【0043】
なお、第1の実施の形態、第2の実施の形態において、前記感光性導体ペーストとしては、種々の導電性粉末、光硬化性樹脂又は光軟化性樹脂等の感光性樹脂、光重合開始剤、バインダー等を混合した公知の材料を使用できる。感光性導体ペーストは、ネガ型、ポジ型のいずれであってもよい。
【0044】
また、前記セラミックグリーンシートとしては、任意の材料構成のセラミックグリーンシートを用いることができ、レーザ光で還元されてしまうような材料、例えば、PbO含有のセラミック材料でも、微細な導体パターンを高精度に形成し、加工形状が良く、高周波特性に優れた導体パターンを形成できる。また、セラミックグリーンシートとして低温焼結セラミック材料を主としたグリーンシートを用いれば、銅、銀、銀−パラジウム、金等の導電性に優れた低融点金属を導体材料として同時焼結できるので、特に好適である。
【0045】
また、前記露光処理は、露光マスクを介した光ビームの照射によって、前記感光性導体ペーストの端縁部以外の部分を硬化させる処理であり、前記現像処理は、硬化していない端縁部を現像液等によって取り除く処理である。前記露光処理における露光マスクや光ビームは、前記感光性導体ペーストの特性に合わせて適宜選択できる。また、前記現像処理における現像液も同様に前記感光性導体ペーストの特性に合わせて適宜選択できる。
【0046】
さらに、前記セラミックグリーンシート上に設ける絶縁材料として、該セラミックグリーンシートとほぼ同組成の材料を用いれば、セラミックグリーンシートと絶縁材料との接着性が良好になり、また、絶縁材料とセラミックグリーンシートとの間で構成成分の相互拡散を抑えることができる。したがって、セラミック多層基板の基板特性が安定し、基板強度の大きなセラミック多層基板が形成される。なお、前記絶縁材料は、前記導体パターンとほぼ同じ高さに形成することが、セラミック多層基板の小型化の点で望ましい。
【0047】
以上、本発明を実施の形態について説明したが、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではない。
【0048】
例えば、セラミックグリーンシート上に所定の導体パターンを形成する方法としては、導体ペーストをスクリーンマスクを介して基体上に印刷するといったスクリーン印刷法以外にも、基板上に導体膜を設けた後にフォトレジストを塗布して、露光、現像するといったフォトリソグラフィ法、導体パターンをメッキ法によって形成する方法、溝中に導体ペーストを充填して導体パターンを形成する方法など、任意の方法が適用可能である。
【0049】
また、前記感光性導体ペーストはネガ型であってもよいし、ポジ型であってもよい。用いる露光マスクは、感光性樹脂の種類に応じてネガ型、ポジ型を適宜選択できる。また、感光性導体ペーストを硬化させるための光ビームとしては、可視光線、紫外光線、電子線、X線、レーザ光線等を利用でき、その光源も任意である。
【0050】
また、前記転写用基板は、ポリエステル系フィルム、ポリプロピレン系フィルムなど様々な基板を用いることができ、耐熱性や耐久性に優れたフィルム状のものが望ましい。また、転写用基板の表面には離型処理が施されていることが望ましく、例えば、ポリエステルフィルムにシリコンコーティングやフッ素コーティングすることによって、導体ペーストの離型能が向上する。
【0051】
また、導体パターンの端縁部を取り除くためのフォトリソグラフィ法は、上述した感光性導体ぺーストを用いた方法に限定されるものではなく、例えば、基板上にスクリーン印刷で導体パターンを形成し、全面にレジスト膜を設けた後、露光マスクを介してレジスト膜を所定パターンに露光処理し、さらに、所定パターンに加工されたレジスト膜をマスクとして前記端縁部を現像処理して取り除くといった方法でもよい。
【0052】
また、前記導体パターンは、キャパシタやインダクタにおける電極、ストリップライン、マイクロストリップライン等の電極、さらにはボンディングパッド用の電極等であってよい。また、本発明によるセラミック多層基板の製造方法は、電圧制御発振器(VCO)、多層ハイブリットカプラ、多層LCフィルタ、多層ディレイラインなど種々の多層デバイスの製造方法や、セラミックパッケージ、MCM等の多層モジュールの製造方法などにも適用可能である。本発明による導体パターンは、特にその表面性が優れており、ワイヤボンディング等に好適であることから、セラミック多層基板の最表層の電極形成に適用するのが望ましい。
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、転写用基板上に感光性導体ペーストからなる導体パターンを形成し、前記導体パターンをセラミックグリーンシート上に転写した後、前記導体パターンの端縁部をフォトリソグラフィ法に基づいて取り除き、さらに、前記セラミックグリーンシート上に、該セラミックグリーンシートとほぼ同組成の絶縁材料を設けてセラミックグリーンシートを作製し、このセラミックグリーンシートを積層、焼成するので、表面性、端縁部形状等の加工形状が良く、高周波特性に優れた微細な導体パターンを有するセラミック多層基板を製造できる。
【0054】
また、本発明によれば、転写用基板上に感光性導体ペーストからなる導体パターンの形成し、前記導体パターンの端縁部をフォトリソグラフィ法に基づいて取り除いた後、該導体パターンをセラミックグリーンシート上に転写し、さらに、前記セラミックグリーンシート上に、該セラミックグリーンシートとほぼ同組成の絶縁材料を設けてセラミックグリーンシートを作製し、このセラミックグリーンシートを積層、焼成するので、表面性、端縁部形状等の加工形状が良く、高周波特性に優れた微細な導体パターンを有するセラミック多層基板を製造できる。特に、前記転写用基板は厚みのバラツキを少なくできるので、前記導体パターンの厚みのバラツキを最小限に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施の形態によるセラミック多層基板の製造工程を示し、転写用フィルム上に感光性導体ペーストをスクリーン印刷した際の概略断面図である。
【図2】同製造工程における転写処理の様子を示す概略断面図である。
【図3】同製造工程における露光処理の様子を示す概略断面図である。
【図4】同製造工程における現像処理の様子を示す概略断面図である。
【図5】同製造工程において、セラミックグリーンシート上に絶縁材料を塗布した後の様子を示す概略断面図である。
【図6】同製造工程におけるセラミックグリーンシートの積層処理の様子を示す概略断面図である。
【図7】同製造工程における焼成処理後のセラミック多層基板の概略断面図である。
【図8】本発明の第2実施の形態によるセラミック多層基板の製造工程を示し、転写用フィルム上に感光性導体ペーストをスクリーン印刷した際の概略断面図である。
【図9】同製造工程における露光処理の様子を示す概略断面図である。
【図10】同製造工程における現像処理の様子を示す概略断面図である。
【図11】同製造工程における転写処理の様子を示す概略断面図である。
【図12】導体パターンのエッジ角度によるQ値の変化を示すグラフである。
【図13】一般的なスクリーン印刷法でセラミックグリーンシート上に形成した導体ペーストの状態を示す概略図である。
【図14】一般的なスクリーン印刷法で形成した導体ペーストを有するセラミックグリーンシートを積層した状態を示す概略図である。
【符号の説明】
1a、1b、1c…感光性導体ペースト
2…シリコンコートPETフィルム(転写用基板)
3a…セラミックグリーンシート
3…セラミック基板
4…露光マスク
5…紫外光
6…現像液噴出用ノズル
7…現像液
8a…セラミック材料
9a、9b…導体パターンが形成されたセラミックグリーンシート
10…セラミック多層基板
Claims (3)
- 転写用基板上に感光性導体ペーストからなる導体パターンを形成する工程と、前記導体パターンをセラミックグリーンシート上に転写する工程と、露光マスクを介してセラミックグリーンシート上の前記導体パターンに光ビームを照射し、前記導体パターンの所定部分を露光した後、前記導体パターンの端縁部を現像、除去する工程と、
前記セラミックグリーンシート上に、前記セラミックグリーンシートとほぼ同組成の絶縁材料を、前記導体パターンとほぼ同じ高さに設ける工程とを経て、所定の導体パターンを有するセラミックグリーンシートを作製し、これを積層、焼成することを特徴とする、セラミック多層基板の製造方法。 - 転写用基板上に感光性導体ペーストからなる導体パターンを形成する工程と、
露光マスクを介して転写用基板上の前記導体パターンに光ビームを照射し、前記導体パターンの所定部分を露光した後、前記導体パターンの端縁部を現像、除去する工程と、
得られた導体パターンをセラミックグリーンシート上に転写する工程と、
前記セラミックグリーンシート上に、前記セラミックグリーンシートとほぼ同組成の絶縁材料を、前記導体パターンとほぼ同じ高さに設ける工程とを経て、所定の導体パターンを有するセラミックグリーンシートを作製し、これを積層、焼成することを特徴とする、セラミック多層基板の製造方法。 - 前記導体パターンの端縁部のエッジ角度が50度〜90度となるように、前記導体パターンの端縁部を現像、除去する、請求項1または2に記載のセラミック多層基板の製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP27171698A JP3570242B2 (ja) | 1998-09-25 | 1998-09-25 | セラミック多層基板の製造方法 |
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