JP4071697B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
この発明は、液体現像剤を用いた画像形成装置に関する。
液体現像剤を用いた電子写真記録方法や静電記録方法は、乾式では実現できない利点を有しており、近年その価値が見直されつつある。
特に、微細なトナーを溶媒に分散させた液体トナー(現像剤)を用いたイメージ−オン−イメージ(Image-On-Image,以下IOIと略称する)カラー電子写真プロセスは、サブミクロンサイズの極めて微細なトナーを用いることで高画質を実現できること、少量のトナーで十分な画像濃度が得られるため経済的であるうえにオフセット印刷並みの質感を実現できること、比較的低温でトナーを用紙に定着できるため省エネルギーを実現できることなどの利点で、乾式電子写真プロセスより安いランニングコストと、印刷並みの画質のカラー記録が期待される。
液体トナーを用いた電子写真プロセスでは、現像直後の感光体上のトナー画像は、多量の余剰現像液を含むことから、用紙へのトナー画像の転写の前に乾燥工程を設けて、余剰現像液を除去しなければならない。また、従来の液体トナー電子写真プロセスでは、画像内に相当量の溶媒が残存し、かつトナーが電荷を帯びた状態で、電界によりトナー画像を用紙に転写する電界転写であるため、用紙に移送される過剰の溶媒により、転写時の画像が安定しにくいことが知られている。なお、用紙に移送された過剰の溶媒を回収して循環(再利用)するとともに溶媒が外部に排出されることを防止でき、しかも用紙に含まれる溶媒の量を所定量以下にすることが必要である。
しかしながら、溶媒の量が所定量以下となるようトナー画像を乾燥させた場合、乾燥が進んだ状態では、トナー粒子の媒体への付着力が大きいために電界力を使う電界転写は、困難である。
このため、中間転写体を用い、感光体から中間転写体への一次転写と、中間転写体から用紙への二次転写とにおいて、材料の付着力を利用するオフセット転写が有利となる。
溶媒を除去する方法として、感光体に近接もしくは接触させて配置したスクイズローラやブレードで可視像上の余剰現像液の一部を除去した後、残りの現像液を空気の吹きつけで乾燥させる方法が提案されている(例えば特許文献1)。
溶媒を除去する方法を用いる類似例として、感光体に近接もしくは接触させて配置したスクイズローラやブレードで可視像上の余剰現像液の一部を除去した後、残りの現像液を空気の吹きつけで乾燥させる方法が提案されている(例えば特許文献2)。
なお、高速エアを吹きつける方法以外の溶媒除去手段として、加熱装置(ヒーティング手段)を備え、高温のエアを吹きつける方法が提案されている(例えば特許文献3)。
米国特許第4,259,006号公報
特公平4−46426号公報
特開2002−91173号公報
特許文献1および特許文献2に記載された提案では、トナー画像および感光体上に過剰に存在する溶媒を高速で除去するため、大容量で高速のエアをトナー画像および感光体に吹きつけている。しかしながら、トナー画像および感光体上に相当量の余剰液が存在している状態で大容量の高速エアを直接トナー画像および感光体上に吹きつけることにより、画像が乱れ、画質が維持できない問題がある。なお、用紙に付着した溶媒が用紙を介して外部に排出される問題がある。
また、特許文献1におけるエアの吹き出し口は、感光体の法線方向から前段のスクイズローラ側に45度の角度で配置され、浮遊トナーを含んだ大量の余剰液がスクイズローラ側に逆流し、現像・スクイズ工程のみならず、装置を汚染する問題もある。
一方、特許文献2におけるエアの吹き出し口は、感光体の法線方向に、ほぼ垂直に配置されていて、文献1と同様、浮遊トナーを含んだ大量の余剰液がスクイズローラ側に逆流し、現像・スクイズ工程のみならず、装置を汚染する問題もある。
特許文献3に記載された提案では、送風ダクトからマニュホールド内に風を送り、ヒーティング手段で加熱し、吸入ダクトから溶媒蒸気を含んだ風を吸入している。なお、文献3では、トナー画像に直接風が吹きつけられることがなく、しかも高温環境下で溶媒の気化を促進させるため、画像の乱れが抑えられ、安定した画質の画像を得ることができる。
しかしながら、特許文献3においては、トナー画像はマニュホールド内で常に100℃の温風にさらされているため溶媒の蒸発が進みすぎ、画像を覆う余剰現像液が存在しなくなった時点でトナー画像を構成するトナー粒子の温度が急激に上昇して、画像がフィルム化し、感光体表面に固着してオフセット転写不可となる問題がある。
この発明の目的は、溶媒除去のためのエア吹きつけによる画像の乱れを抑えるとともに乾燥による溶媒除去のために加熱されたトナー画像のフィルム化を防ぎ、しかも電界転写とは異なる(オフセット)転写に適した乾燥状態を、高速で確保可能な乾燥機構を有した湿式画像形成装置を提供することである。
この発明は、像担持体表面に形成された静電潜像を、キャリア液中にトナー粒子を分散させた液体トナーによって現像し、トナー像を形成する現像工程と、前記トナー像を、前記トナー粒子のガラス転移温度以上の温度で、前記トナー粒子が相互に融着状態になる時間よりも短い時間乾燥させる第1の乾燥工程と、前記第1の乾燥工程の後に、前記トナー像を、前記トナー粒子のガラス転移温度未満の温度で乾燥する第2の乾燥工程と、前記第2の乾燥工程の後に、前記トナー像を記録媒体へ転写する転写工程とを有することを特徴とする画像形成方法である。
またこの発明は、像担持体表面に形成された静電潜像を、キャリア液中にトナー粒子を分散させた液体トナーによって現像し、トナー像を形成する現像工程と、前記トナー像を乾燥率が25wt%以上、70wt%以下の範囲内になるまで加熱して乾燥する第1の乾燥工程と、前記第1の乾燥工程の後に、前記第1乾燥工程よりも低温で前記トナーを乾燥率が75wt%以上、100wt%以下の範囲内になるまで乾燥させる第2の乾燥工程と、前記乾燥工程により乾燥された前記トナー像を記録媒体へ転写する転写工程とを含むことを特徴とする画像形成方法である。
さらにこの発明は、像担持体により保持されている静電像に、キャリア液中にトナー粒子を分散させた液体現像剤を接触させて現像する現像器と、前記像担持体を、前記トナー粒子のガラス転移温度以上に加熱可能な加熱装置と、前記加熱装置の近傍に所定風量の風を供給して、前記加熱装置からの熱により気化した前記キャリア液の蒸気を除去する第1の送風装置と、前記担持体上に残存する前記キャリア液に、前記トナー粒子のガラス転移温度以下の温度の風を供給して、残存する前記キャリア液を蒸発させる第2の送風装置と、を含むことを特徴とする電子写真装置である。
本発明の湿式画像形成装置によれば、感光体(感光層)上やトナー画像中に含まれる溶媒(キャリア液)を、トナー画像の乱れを生じさせず、しかもトナー画像がシアリング転写不能となるフィルム化も防止可能なシアリング転写に適した乾燥率まで、高速で除去(乾燥)でき、高画質の画像を安定して、高速度で出力可能となる。
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態について詳細に説明する。
我々は、液体現像剤を用いて形成した画像を転写対象に転写したのち、転写対象からの溶媒除去のためのエア吹きつけによる画像の乱れを抑えるとともにトナー画像のフィルム化を防ぎ、しかも電界転写とは異なる主にゴムの弾性力と摩擦力の作用を使う方法であるシアリング転写を開発し、良好な転写を実現した。
図1に、我々が開発したIOIカラー電子写真プロセスの概略図を示す。
像担持体すなわち感光体ドラム(潜像保持体)1の周囲には、減法混色に従う任意の色成分ごとに、帯電、露光、現像で構成されるY(Yellow、すなわち黄色)、M(Magenta、すなわち深紅)、C(Cyan、すなわち青紫)および黒を補強するためと黒一色の画像の形成に利用されるK(Kuro)の4色の画像形成ユニット(少なくとも帯電器2と現像器4のそれぞれを含む、識別のために、1色毎に添え字「−1」〜「−4」を付記する)2−1および4−1、2−2および4−2、2−3および4−3、ならびに2−4および4−4、が並んでいる。なお、各画像形成ユニットにおいて、帯電器2と現像器4との間に、任意の方法により感光体ドラム1に静電潜像を形成する画像光、例えばレーザ光3−1〜3−4が照射される。すなわち、レーザ露光により、感光体ドラム1の各画像形成ユニットの現像器4の上流側に、静電潜像が形成される。
感光体ドラム1は、例えば円筒(ドラム)状の導電性基体の上に、有機系またはアモルファスシリコン系等の感光層を設けたもので、図示しないモータ等により、外周面の軸線と平行に定義される任意の一点が所定の移動速度(以下ドラム周速と呼称する)で移動される。なお、詳述しないが、感光体ドラム1に代えて、円筒状の支持体に感光層が形成された導電性フィルムを巻き付けてドラム状としても良い。また、導電性フィルムをベルト状としても良い。
帯電器2(2−1〜2−4)は、詳述しないが、例えば、周知のコロナ帯電器もしくはスコロトロン帯電器である。
現像器4(4−1〜4−4)は、詳述しないが、現像ローラを含み、周知の石油系絶縁性溶媒などのキャリア液(例えば商品名アイソパーL、エクソン社製)に、任意の色に着色された樹脂粒子であるトナーが分散された液体現像剤(液体トナー)を用いる湿式現像器である。なお、トナーに用いる樹脂粒子は、ガラス転移点が45℃の熱可塑性樹脂に、顔料などの着色剤と帯電制御剤を添加して、例えば重合法により平均粒径が0.6μm程度の概ね球形としている。
感光体ドラム1が回転される方向に関し、第4の画像形成ユニット(ここでは、現像器4−4)の下流の所定位置には、図2他を用いて後段に詳述するが、感光体ドラム1上で積層された状態である4色のトナー画像を乾燥させる乾燥機構5と乾燥機構5により発生する溶媒蒸気を回収する溶媒回収部6が設けられており、感光体ドラム1上のトナー画像は、溶媒の残存量が所定の量になるまで乾燥された後、一次転写(中間転写)ローラ7に一旦転写され、引き続いて二次転写ローラ8と一次転写ローラ7との間に供給される用紙(記録媒体)9に転写される。
なお、一次転写ローラ7は、例えば外径100mmに形成されたステンレス鋼製の中空ローラの表面に弾性層が形成されたものである。また、弾性層は、図示しないが、厚さ0.1mmの下地樹脂層(PETすなわちpolyethylene terephthalate層)に、厚さ0.03mmのシリコーン系樹脂接着層を介して、硬度が(JIS−A、これ以降硬度の表記としてJIS−Aを省略、度数のみ示す)50°で、厚さ0.2mmのシリコーン層を積層させた弾性体フィルムとして、ステンレス鋼製のローラの表面に配置される。
一方、二次転写ローラ8は、例えば外径50mmのステンレス鋼製の中空ローラ内部に図示しないヒータが内蔵され、一次転写ローラ7との間を通過する用紙9を所定の温度に加熱できる。また、二次転写ローラ8には、一次転写ローラ7に向かう方向に、例えば100kgの荷重が付与されている。
このようなIOIカラー電子写真プロセスにおいては、第1のレーザ露光3−1により感光体ドラム1上に第1色の静電潜像が形成され、第1の色のトナーを含む液体現像剤を保持した第1の現像器4−1によって第1色の静電潜像の可視像化が行われる。第1色の静電潜像に付着した液体現像剤すなわちトナーおよび溶媒は、そのまま乾燥機構5からなる乾燥工程を経て、一次転写ローラ7および二次転写ローラ8により用紙9に転写されても良いが、図1に示した例では、引き続き第2帯電器2−2と第2レーザ露光3−2で第2の静電潜像を形成し、第1の現像器4−1に収納されている液体現像剤のトナーとは異なる色の第2色の現像剤を保持した第2現像器4−2によって、さらに現像する。
従って、第2現像器4−2により第2の現像が終了した時点で、潜像保持体1上には、2色のトナー像が形成されている。同様に、第3色の現像剤を保持した第3現像器4−3と第4色の現像剤を保持した第4現像器とにより、第3および第4の現像が行われ、感光体ドラム1には、4色のトナーによりフルカラーのトナー像が形成される。
なお、4色のトナーにより4つの画像を重ね合わせてフルカラー画像を形成する場合、本願発明者らと共同の発明者による先願(特開2001−83806)において既に公開されているように、現像後に、セットチャージャでトナー画像を感光層にセット(固定)し、感光層へのトナー画像の付着力を上げるとともに画像上の余剰現像液に含まれる浮遊トナーを減少させてもよい。この場合、図2〜図6を用いて以下に説明する第一の乾燥工程終了後のトナー画像の乾燥率は、25wt%程度であっても良い。
感光体ドラム1上に形成された4色のトナー画像は、本願発明者らにより提案され、特開2000−347520号公報等により既に公開されたシアリング転写(非電界転写)により、一次転写ローラ7に一括転写され、用紙9に二次転写される。なお、本願発明者らによるシアリング転写は、一次転写体ローラ7の表面の軸線に沿った任意の位置が移動される速度(以下ローラ周速と呼称する)を、感光体ドラム1のドラム周速と異なる速度とすることで、一次転写ローラ7と感光体ドラム1との間のニップ領域において転写ローラ7側に生じるニップ(弾性層の弾性変形領域)で、積層された状態の4色のトナー画像を一括して移し取る転写方法である。また、一次転写体ローラ7のローラ周速と感光体ドラム1のドラム周速との速度差は3%とし、ドラム周速をローラ周速よりも速めている。
以下、感光体ドラム1は、用紙9にトナー画像が転写された後に残ったトナー(トナー画像)がクリーナ10によりクリーニングされて、次の画像形成動作に利用される。
ところで、シアリング転写(非電界転写)では、現像直後に感光体ドラム1上でトナー画像を乾燥するため、電界転写のようにブロア(エアの吹きつけ)および転写工程で画像が乱されることがない。
しかしながら、乾燥により感光体ドラム1上のトナー画像から完全に溶媒が除去された時点(瞬間)から、乾燥機構5からの熱によりトナー粒子が相互に融着してフィルム化が生じ、感光体表面に固着してオフセット転写不可となる。このことは、特許文献3でも同様の問題である。
このため、非電界転写、特に本願発明者らにより実用化されたシアリング転写においては、感光体ドラム1から一次転写ローラ7に転写される直前のトナー画像の余剰現像液を高速で除去してトナー画像の乾燥率を最適範囲内に到達させることと、感光体ドラム1上のトナー画像の状態を、画像大部分のトナー粒子が粒子形状を維持し、トナー粒子同士の融着が進行していない状態であるフィルム化の生じない状態を維持しながら、トナー画像の乾燥率を上げることが重要である。
[実施例1] 図1ないし図4および表1に従って本発明の実施例その1を示す。
図2は、図1に示した湿式画像形成装置に組み込まれる乾燥機構の構成を模式的に示した断面図である。
乾燥機構5は、第一乾燥部5−1と第二乾燥部5−2とを含む。
第一乾燥部5−1は、スリット幅2mmで、スリット出口10mmの位置で計測した風速で、3〜20m/sの低速の吹きつけ風(以下低速風と呼称する)が得られるスリットノズル5−11と、感光体ドラム1およびドラム1上のトナー画像を加熱するヒータ5−12と、を有する。なお、スリットノズル5−11の前段には、ノズル5−1から吹き出される風を、50〜150℃に加熱する図示しない加熱手段が設けられている。
ヒータ5−12は、遮蔽板5−13により覆われることで、その熱を感光体ドラム1側に放射する。ヒータ5−12はまた、例えばセラミックヒータであり、その出力の一例を示すと1000W−200Vである。
第二乾燥部5−2は、スリット幅0.5mmで、スリット出口10mmの位置で計測した風速で、風速20〜100m/sの高速の吹きつけ風(以下高速風と呼称する)が得られるスリットノズル5−21と、ノズル5−21からの高速風を感光体ドラム1に沿って案内するフード5−22と、を有する。
なお、第一および第二乾燥部5−1および5−2のそれぞれにおいて、感光体ドラム1が回転される方向の下流側に位置する領域に溶媒回収管6−1が設置され、乾燥部により加熱されて蒸発した溶媒蒸気を含んだ吹きつけ風が溶媒回収部6−2に案内されて、回収される。
表1は、第一乾燥部5−1に関し、セラミックヒータ5−12のみを通電させて感光体ドラム1を連続回転させた時の感光体ドラム1表面の温度と、スリットノズル5−21による温風吹きつけを併用して感光体ドラム1を連続回転させた時の感光体ドラム1表面の温度を示したものである。なお、セラミックヒータ5−12は、表面温度200℃となるよう動作させている。また、温風は、スリットノズル5−11に、出力が0.75kWのブロアが接続されたから風速20m/s、温度50℃の吹きつけ風を、ヒータ5−12と感光体ドラム1表面との間隙に送り込んだ。
表1に示されるように、ヒータ5−12のみで加熱した場合、第一乾燥部5−1内は、高温雰囲気となり、感光体ドラム1表面の温度は、連続運転10分で、60℃以上に上昇する。なお、感光体ドラム1に用いる感光層の材料がアモルファスシリコンである場合には、感光層にダメージが生じる。また、連続運転30分では、同温度は、80℃を超えることから、感光層として利用可能な材質は存在せず、実験を中止している。
一方、温風を併用した場合、第一乾燥部5−1内に滞留した高温雰囲気が滞留すること(高温雰囲気を移動させること)ができ、感光体ドラム1表面の温度の上昇を防ぐことができた(表1から50℃まで達しないことが認められる)。なお、ヒータ5−12と温風を併用した構成では、第一乾燥部5−1出口での温風の温度は、65〜75℃で、長時間連続運転しても、ほとんど温度上昇は見られなかった。
図3は、図2および表1により説明した乾燥機構により、現像後、乾燥工程を経て転写工程に至るまでのトナー画像の乾燥率を測定した結果を示している。
乾燥率は、各工程を感光体ドラム1上のトナーが通過した直後に感光体ドラム1の回転を止め、加熱部と送風部の運転を停止した状態でブレードによりトナー画像を掻き取り、掻き取り直後のトナー画像の重量(固形分すなわちトナー粒子の重量とキャリア液の重量の合計値)と乾燥後のトナー画像の重量(固形分の重量)との比、すなわち固形分濃度である。なお、乾燥率を測定する方法としては、本願発明者を含む先願である特開2002−91174号公報に公開された画像の反射率を測定することも可能である。
本実施例の乾燥実験では、トナー画像は現像工程後に乾燥率15wt%で、第一乾燥部5−1に移行した(図3のA点参照)。
図4に、第一、第二の各乾燥工程で余剰現像液を除去する過程を模式的に示した。
現像直後のトナー画像は、図4(a)に示すように過剰の溶媒を含んでいる。
この状態で、トナー画像は、感光体ドラム1が回転されることによる外周面の移動により、第一の乾燥工程すなわち第一乾燥部5−1と対向される領域に移動される。
第一の乾燥工程内では、トナー粒子のガラス転移温度以上に保持された温風が領域内を流れるが、トナー画像上に余剰現像液が存在した状態であるため、温風から伝えられる熱量は、ほとんど溶媒の蒸発に使われる。従って、トナー画像の急激な温度上昇を防ぐことができる(図4(b))。なお、第一乾燥部5−1終端の溶媒回収管6−1入り口において溶媒蒸気を含んだ風は、風速5m/s、温度70℃であり、同位置で画像の乾燥率を測定したところ、50wt%程度であった(図3のB点参照)。
第一の乾燥工程を終了したトナー画像は、トナー画像上の溶媒がほとんど取り去られた状態(乾燥率40〜60wt%程度)すなわち重なり合ったトナー画像のトナー粒子間には溶媒が存在している状態で、感光体ドラム1が回転されることによる外周面の移動により、図4(c)に示す第二の乾燥工程すなわち第二乾燥部5−2と感光体ドラム1が対向される領域に搬送(移動)される。なお、第二乾燥部5−2では、5kWのブロアを接続したノズル5−21を用い、フード5−22を介して、ノズル出口での感光体ドラム1の近傍の風速が80m/sの高速風を感光体ドラム1およびドラム1上のトナー画像に吹きつけた。また、第二乾燥部5−2通過後に画像の乾燥率を測定したところ、90wt%であった。
第二の乾燥工程に移動されたトナー画像は、第一の乾燥工程により画像上の余剰現像液がほとんど存在しない状態に乾燥されているため、ガラス転移温度以下の大容量高速エア(高速風)を吹きつけても画像の乱れを生じることはない。また、トナー画像のフィルム化(乾燥により感光体ドラム1上のトナー画像から殆ど溶媒が除去された時点(瞬間)から、熱によりトナー粒子が相互に融着する現象)を防ぎながら、トナー粒子間、もしくは感光体ドラム1表面の余剰現像液を除去できる(図4(d))。この時のトナー画像は、画像内の溶媒をほとんど取り去った(トナー粒子の周囲に僅かな量の溶媒の膜がある)状態である。
この場合、トナー画像内の大部分のトナー粒子は、相互に融着していない状態、すなわちトナー粒子の厚さ方向においてキャリア液が実質的にトナー粒子の厚さと等しい高さに残っている状態を保ち、この状態を維持して転写工程に移行されたトナー画像が用紙9に転写される。
なお、図4(d)に示した溶媒が殆ど除去された状態は、乾燥率75wt%以上、より好ましくは、90wt%以上であればよく、必ずしも溶媒が実質的に検出できない乾燥率100wt%である必要はない。すなわち、トナー粒子の周囲には、溶媒の膜があっても構わない。また、シアリング転写に適した乾燥率は、トナー層厚、画像濃度によっても異なるが、下限値は、75wt%程度である。これに対し、上限は、特にトナー層厚、画像濃度に敏感であり、例えば4色のベタ画像の重なったトナー画像では100wt%に近い乾燥率において、トナー画像にひびわれが発生する場合がある。一方、比較的トナー層厚の少ない画像では、100wt%まで乾燥させた場合でも、良好な転写画像が得られる。よって、第二の乾燥工程では、エア吹きつけの風速、風量および風圧等を制御することにより、乾燥率を75〜100wt%の範囲に調整することが好ましい。この場合、画像のフィルム化は起こらない。
図2に示した乾燥機構5を搭載した画像形成装置により、連続5000枚の画像出力を行い、感光体ドラム1表面の温度を測定したところ、感光体ドラム1表面の温度は、ほぼ40℃近傍を保持し(表1参照)、感光層(感光体)の温度保証範囲内であることが確認された。
以上の構成の乾燥機構を用いた画像形成装置により、画像の乱れを生じさせず、画像のフィルム化も防いで、シアリング転写に適した乾燥率範囲に高速で到達することが可能となった。
なお、上述した実施例1では、第一乾燥部5−1の加熱手段としてセラミックヒータを用いたが、ニクロム線やカンタル線等に代表される合金ヒータを被覆したリボンヒータや面ヒータ等を用いても同様の効果が得られる。
また、ハロゲンランプヒータや赤外線ランプヒータ、あるいはカーボンヒータもしくは石英ヒータ等を用いることもできる。但し、これら発色(特定の波長の電磁波または熱線が発生)するランプヒータの場合、感光体ドラムの感光層に吸収帯のある発色(波長光)領域が感光層に到達することを抑止する手段や、不透光性の金属遮蔽板等をランプヒータと感光層(感光体面)との間に挿入し、発色による感光層への影響を抑える手段を講じることが好ましい。
[実施例2] 図5、6に従って本発明の実施例その2を示す。
実施例その1と同様の方法で感光体ドラム1表面に形成された静電潜像は、液体現像剤により現像され、乾燥工程5を経た後、110℃に設定された一次転写ローラ7の加圧接触によって一次転写ローラ7表面に一次転写され、二次転写ローラ8を介して用紙9に、二次転写される(図1参照)。
図5は、実施例その2の乾燥機構の構成を模式的に示した断面図で、図6は、図5に示す乾燥機構の第一乾燥工程通過後の画像を模式的に示した断面図である。
乾燥機構5は、図5に示すように第一乾燥部5−1と第二乾燥部5−2とを含む。
第一乾燥部5−1は、スリット幅2mmで、スリット出口10mmの位置で計測した風速で、3〜20m/sの低速の吹きつけ風(以下低速風と呼称する)が得られるスリットノズル5−11と、感光体ドラム1およびドラム1上のトナー画像を加熱するヒータ5−12と、を有する。なお、実施例その1と同様に、スリット(低速風)ノズル5−11の前段には、ノズル5−1から吹き出される風を加熱する図示しない加熱手段が設けられている。また、低速風ノズル5−11により感光体ドラム1に吹き付けられる風の向きは、感光体ドラム1の外周面が移動される方向に対して逆向きに設定されている。ヒータ5−12は、遮蔽板5−13により覆われることで、その熱を感光体ドラム1側に放射する。
第二乾燥部5−2は、スリット幅0.5mmで、スリット出口10mmの位置で計測した風速で、風速20〜100m/sの高速の吹きつけ風(以下高速風と呼称する)が得られるスリットノズル5−21と、ノズル5−21からの高速風を感光体ドラム1に沿って案内するフード5−22と、を有する。
なお、第一乾燥部5−1には、感光体ドラム1が回転される方向の上流側に位置する領域に溶媒回収管6−1が設置されている。第一乾燥部5−1により加熱されて蒸発した溶媒蒸気を含んだ比較的高温の風は溶媒回収管6−1に案内されて、高温蒸気回収装置6−3に運ばれ、そこで冷却機構を介して液体の状態で回収される(詳細図示せず)。また、第二乾燥部5−2には感光体ドラム1が回転される方向の下流側に位置する領域に溶媒回収管6−1が設置されている。第二乾燥部5−2において吹き付け乾燥により蒸発した溶媒蒸気を含んだ比較的低温の風は溶媒回収管6−1に案内されて、低温蒸気回収装置6−4に運ばれ、そこで活性炭等の溶媒吸収機構を通して回収する(詳細図示せず)。
現像工程通過直後に乾燥率が15wt%であったトナー画像は、第一乾燥部5−1において、150℃を保持するように設定されたセラミックヒータ5−12と感光体ドラム1との間に、低速風ノズル5−11から吹きつけられる風によりトナー層上の溶媒の一部を蒸発させて取り去り、溶媒蒸気を含んだ風は溶媒回収管6−1を経て、高温蒸気回収装置6−3に運ばれる。低速風ノズル5−11の出口近傍の風速は5m/s、温度60℃であり、第一乾燥工程通過直後の風の温度は52℃であった。
図6に示すように、平均トナー層厚約3μmの画像パターンで出力した場合、現像工程通過直後のトナー層上に存在する液膜は約12μm(図6(A)参照)で乾燥率は、概ね15wt%である。また、第一乾燥部5−1通過後にトナー層上に存在する液膜は約6μmで、画像の乾燥率は25wt%(図6(B)参照)程度であった。
第一の乾燥工程内では、トナー粒子のガラス転移温度以上に保持された温風が領域内を流れるが、トナー画像上に余剰現像液が多量に存在した状態であるため、温風から伝えられる熱量は、ほとんど溶媒の蒸発に使われ、トナー画像の急激な温度上昇を防ぐことができる。
なお、現像工程通過直後の画像が含んでいた溶媒の約45wt%が図6(B)に示した低速風およびヒータ5−12からの熱により、第一乾燥工程により最終的に除去された。この時除去された溶媒は、高温蒸気回収装置6−3においてほぼ100%に近い効率で液の状態で回収されるため、再利用が可能であった(詳細装置図示せず)。
第一の乾燥工程を終了したトナー画像は、トナー画像上の溶媒の一部が取り去られた状態で、第二の乾燥工程すなわち第二乾燥部5−2と感光体ドラム1が対向される領域に搬送(移動)される。
第二乾燥部5−2では、5kWのブロアを接続した高速風ノズル5−21を用い、フード5−22を介して、高速風を感光体ドラム1およびドラム1上のトナー画像に吹きつけた。高速風ノズル5−21の出口近傍の風速は80m/s、温度35℃であり、第二乾燥工程通過直後の風の温度も35℃であった。
第二乾燥部5−2通過後に画像の乾燥率を測定したところ、95wt%であった。
この時のトナー画像は、図4(d)に示したように画像内の溶媒をほとんど取り去った(トナー粒子の周囲に僅かな量の溶媒の膜がある)状態である。すなわち、画像内の大部分のトナー粒子は融着していない状態を保ち、この状態を維持して転写工程に移行された画像は、高画質で用紙9に転写された。
図5に示した乾燥機構5を搭載した画像形成装置により、連続5000枚の画像出力を行い、感光体ドラム1表面の温度を測定したところ、感光体ドラム1表面の温度は、ほぼ35℃近傍に維持され、感光層(感光体)の温度保証範囲内であることが確認された。
なお、既に説明したが、通常画像が溶媒を多量に含んだ状態にある場合には、高速の吹き付け風に晒されることで画像の乱れが発生しやすい。しかしながら、このような場合は、例えば現像後にセットチャージャでトナー画像をセット(固定)し、感光層へのトナー画像の付着力を上げるとともにトナー画像および感光層上の余剰現像液中に含まれる浮遊トナーを減少させることにより、第一乾燥工程終了後のトナー画像の乾燥率は、25wt%程度であっても良い。
本実施例では、第一乾燥工程通過後の乾燥率として25wt%が得られているが、特に画像濃度の極端に異なる領域が混在している出力パターンの乾燥工程に対しては、第一乾燥工程通過後の乾燥率が25wt%〜50wt%の範囲にある構成が有効である。画像濃度の極端に異なる領域が混在しているパターンの出力画像では、第一乾燥工程において、より乾燥率の高い状態、すなわち液膜のかなりな量が除去された状態にしてしまうと、現像工程通過直後にもともと液膜の薄い状態であった領域において、過剰に溶媒を取り去った状態となる。そのような領域では、部分的に表面のトナー粒子が露出し、温風に晒されることによりトナー粒子同士が融着するフィルム化が起こり、転写効率を低下させてしまう。
よって、本実施例の様に、トナー層上の液膜を一部残した乾燥状態とし、第二乾燥工程に移行させることにより、部分的なフィルム化を避けることが可能で、良好な転写画像が得られる。ただし、本実施例のように、第一乾燥工程においてトナー層上の液膜を一部残した状態としても、第二乾燥工程のような吹き付け乾燥だけで画像の乾燥率を上げる構成に比べて、乾燥に要する時間を短縮することができ、装置の高速化が達成できるのは言うまでもない。
また、吹き付け乾燥で溶媒を含んだ比較的低温の風から溶媒のみを液化させて回収し、再利用することはかなり困難であるが、本実施例のように、画像に含まれる溶媒の半分近くを液体の状態で回収することが出来るので、省資源の面からも有効である。
[実施例3] 図5、7に従って本発明の実施例その3を示す。
実施例その1及び2と同様の方法で感光体ドラム1表面に形成された静電潜像は、液体現像剤により現像され、乾燥工程5を経た後、110℃に設定された一次転写ローラ7の加圧接触によって一次転写ローラ7表面に一次転写され、二次転写ローラ8を介して用紙9に、二次転写される(図1参照)。
図7は、図5に示す乾燥機構の第一乾燥工程通過後の画像を模式的に示した断面図である。
乾燥機構5は、実施例その2と同様、図5に示すように第一乾燥部5−1と第二乾燥部5−2とを含む。
第一乾燥部5−1は、低速風が得られるスリット(低速風)ノズル5−11と、感光体ドラム1およびドラム1上のトナー画像を加熱するヒータ5−12と、を有し、スリットノズル5−11の前段にはノズル5−1から吹き出される風を加熱する図示しない加熱手段が設けられ、ヒータ5−12は遮蔽板5−13により覆われている。
第二乾燥部5−2は、高速風が得られるスリットノズル5−21と、ノズル5−21からの高速風を感光体ドラム1に沿って案内するフード5−22と、を有する。
第一乾燥部5−1を通過後の溶媒蒸気を含んだ高温風は、溶媒回収管6−1に案内されて、高温蒸気回収装置6−3に運ばれ、そこで冷却機構を介して液体の状態で回収される(詳細図示せず)。同様に第二乾燥部5−2を通過後の溶媒蒸気を含んだ低温風は溶媒回収管6−1に案内されて、低温蒸気回収装置6−4に運ばれ、そこで活性炭等の溶媒吸収機構を通して回収する(詳細図示せず)。
現像工程通過直後に乾燥率が15wt%であったトナー画像は、第一乾燥部5−1において、150℃を保持するように設定されたセラミックヒータ5−12と感光体ドラム1との間に、低速風ノズル5−11から吹きつけられる風によりトナー層上の溶媒の一部を蒸発させて取り去り、溶媒蒸気を含んだ風は溶媒回収管6−1を経て、高温蒸気回収装置6−3に運ばれる。低速風ノズル5−11の出口近傍の風速は5m/s、温度85℃であり、第一乾燥工程通過直後の風の温度は80℃であった。
図7に示すように、平均トナー層厚約3μmの画像パターンで出力した場合、現像工程通過直後のトナー層上に存在する液膜は約12μmで、第一乾燥部5−1通過後にはトナー層上に存在する液膜のほとんどと、トナー層内の液の一部が除去され、画像の乾燥率は70wt%程度であった。乾燥率70wt%では、溶媒は各トナー粒子の表面を覆った膜と、感光体表面を覆った膜として存在している。なお、乾燥率70wt%が上記の状態であるとしている根拠の参考文献1,2を以下に付記する。
[参考文献1]
A.Iida, Y.Shinjo, H.Nukada, N.Yoshikawa, S.Hirahara and M.Hosoya: “ A Study of the Relationship between Drying State of Toner Image and Transfer Performance in the Image-On-Image (IOI) Color Process using Liquid Toner ”, Proceedings of Internetional Congress of Imaging Science (ICIS’02), Tr5-051, SPSTJ, pp. 596-597 (2002)
[参考文献2]
飯田敦子、真常泰、額田秀記、吉川紀夫、平原修三、細矢雅弘:“液体トナーの画像乾燥状態と転写特性との相関” 日本画像学会誌、vol.42, no.1, pp. 24-31 (2003)
よって、第一の乾燥工程内では、トナー粒子のガラス転移温度以上に保持された温風が領域内を流れるが、温風から伝えられる熱量はほとんど溶媒の蒸発に使われ、トナー画像の急激な温度上昇を防ぐことができると同時に、トナー粒子間には溶媒の薄い膜が介在している状態であるため、トナー粒子同士の融着を防ぐことができ、フィルム化は起こらない。
A.Iida, Y.Shinjo, H.Nukada, N.Yoshikawa, S.Hirahara and M.Hosoya: “ A Study of the Relationship between Drying State of Toner Image and Transfer Performance in the Image-On-Image (IOI) Color Process using Liquid Toner ”, Proceedings of Internetional Congress of Imaging Science (ICIS’02), Tr5-051, SPSTJ, pp. 596-597 (2002)
[参考文献2]
飯田敦子、真常泰、額田秀記、吉川紀夫、平原修三、細矢雅弘:“液体トナーの画像乾燥状態と転写特性との相関” 日本画像学会誌、vol.42, no.1, pp. 24-31 (2003)
よって、第一の乾燥工程内では、トナー粒子のガラス転移温度以上に保持された温風が領域内を流れるが、温風から伝えられる熱量はほとんど溶媒の蒸発に使われ、トナー画像の急激な温度上昇を防ぐことができると同時に、トナー粒子間には溶媒の薄い膜が介在している状態であるため、トナー粒子同士の融着を防ぐことができ、フィルム化は起こらない。
現像工程通過直後の画像が含んでいた溶媒の約92wt%を第一乾燥工程により除去された。
この時除去された溶媒は、高温蒸気回収装置6−3においてほぼ100%に近い効率で液の状態で回収されるため、画像形成に用いた溶媒の大部分を再利用することが可能となった(詳細装置図示せず)。
第一の乾燥工程を終了したトナー画像は、トナー画像上の溶媒の一部が取り去られた状態で、第二の乾燥工程すなわち第二乾燥部5−2と感光体ドラム1が対向される領域に搬送(移動)される。第二乾燥部5−2では、1.5kWのブロアを接続した高速風ノズル5−21を用い、フード5−22を介して、高速風を感光体ドラム1およびドラム1上のトナー画像に吹きつけた。高速風ノズル5−21の出口近傍の風速は50m/s、温度30℃であり、第二乾燥工程通過直後の風の温度も30℃であった。第二乾燥部5−2通過後に画像の乾燥率を測定したところ、95wt%であった。
この時のトナー画像は、図4(d)に示したように画像内の溶媒をほとんど取り去った(トナー粒子の周囲に僅かな量の溶媒の膜がある)状態である。すなわち、画像内の大部分のトナー粒子は融着していない状態を保ち、この状態を維持して転写工程に移行された画像は、高画質で用紙9に転写された。
図5に示した乾燥機構5を搭載した画像形成装置により、連続5000枚の画像出力を行い、感光体ドラム1表面の温度を測定したところ、感光体ドラム1表面の温度は、ほぼ40℃近傍に維持され、感光層(感光体)の温度保証範囲内であることが確認された。
本実施例では、第一乾燥工程通過後の乾燥率として70wt%が得られるような構成としているが、特に画像濃度が広い範囲で均等に分布している出力パターンの乾燥工程には有効である。そのようなパターンの出力画像では、第一乾燥工程において、トナー層より上の液膜はいうまでもなく、トナー層内の一部の液まで除去しても画像内のトナー粒子はほぼ全域において液膜に覆われた状態を保っているため、局所的なフィルム化を防ぐことができる。よって、本実施例の様に第二乾燥工程においては、実施例その2と比べて比較的小さい容量のブロアで短時間のうちに十分乾燥率を上げることが可能になり、装置の大幅な高速化が達成される。また、画像に含まれる溶媒の大部分を液体の状態で回収することが出来るので、省資源の面からも非常に有効である。
[実施例4] 図8,9に従って本発明の実施例その4を示す。
実施例その1〜3と同様の方法で感光体ドラム1表面に形成された静電潜像は、液体現像剤により現像され、乾燥工程5を経た後、110℃に設定された一次転写ローラ7の加圧接触によって一次転写ローラ7表面に一次転写され、二次転写ローラ8を介して用紙9に、二次転写される(図1参照)。
図8は、実施例その4の乾燥機構の構成を模式的に示した断面図で、図9は、図8に示す乾燥機構に適用される熱ローラの構成を模式的に示した図である。
乾燥機構は、図2に示した実施例その1と同様、第一乾燥部5−1と第二乾燥部5−2とからなる。なお、図2により前に説明した構成と実質的に同じ構成には、同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
第一乾燥部5−1は、熱ローラ5−14と整流板5−15とノズル5−16からなる。ノズル5−16は、スリット幅2mmで、スリット出口10mmの位置で計測した風速が3〜20m/sの吹きつけ風が得られる。
熱ローラ5−14は、図9(a)に示すように、感光体ドラム1の軸線に沿って管状に形成されたハロゲンランプをヒータに用いたヒータ5−143を内蔵した直径20mmのステンレス鋼製の中空パイプ5−142に、厚さ5mmのシリコーン系ゴムの弾性層5−141が形成された構成である。
熱ローラ5−14はまた、図9(b)に示すように、両端のギャップリング5−144により、感光体ドラム1表面から20μmの間隔が保持されるとともに、ベアリング5−145を介して、感光体ドラム1の外周面が移動される方向とローラ5−14の外周面が移動される方向と等しいウィズ(with)方向(回転軸の回転方向は逆)に回転される。
整流板5−15は、感光体ドラム1表面や熱ローラ5−14表面から発生する溶媒蒸気を、ノズル5−16からの吹きつけ風により溶媒回収管6−1に回収可能に、吹きつけ風の流れを設定する。なお、ノズル5−16には、0.75kWのブロアにより風速15m/sの吹きつけ風が供給される。これにより、熱ローラ5−14および感光体ドラム1の近傍に、高温の溶媒蒸気が滞留すること、現像器4−4(図1参照)側に高温の溶媒蒸気が回り込むこと等が防止され、装置の安全性および耐久性が高められる。
図8および図9に示した乾燥機構においては、現像工程直後に、乾燥率が10wt%であったトナー画像は、第一乾燥部5−1の熱ローラ5−14がギャップリング5−144で画像上に存在する余剰現像液に近接されることにより、余剰現像液を気化されて、所定の比率まで乾燥される。なお、一部の余剰現像液は、熱ローラ5−14に付着してノズル5−16からの吹きつけ風を受けることにより、気化され、除去された。また、熱ローラ5−14の表面温度は、80℃とした。
ところで、熱ローラ5−14の表面には、余剰現像液に含まれた浮遊トナーが付着するが、例えば金属製の薄板であるスクレーパ5−146で掻き落とすことにより、熱ローラ5−14表面にトナーが積層してギャップリング5−144によるギャップ調整が損なわれることがないようにしている。
図8に示した乾燥機構を用いた画像形成装置を用いて感光体ドラム1上にトナー画像を形成し、第一乾燥部5−1を通過した時点の画像の乾燥率を測定したところ、60wt%であった。
続いて、第二乾燥部5−2により、5kWのブロアを接続したスリット幅0.5mmのノズル5−21によって、ノズル5−21出口における感光体ドラム1近傍に、風速80m/sの高速風を吹きつけ、乾燥率を測定したところ、85wt%であった。
この時のトナー画像は、図4(d)に示したように画像内の溶媒をほとんど取り去った(トナー粒子の周囲に僅かな量の溶媒の膜がある)状態である。すなわち、画像内の大部分のトナー粒子は融着していない状態を保ち、この状態を維持して転写工程に移行された画像は、高画質で用紙9に転写された。
この乾燥機構を搭載した画像形成装置により連続5000枚の画像出力を行い、感光体ドラム1表面の温度を測定したところ、感光体ドラム1表面の温度は、ほぼ40℃近傍に維持され、感光層(感光体)の温度保証範囲内であることが確認された。
なお、上述した実施例4では、第一乾燥部5−1の加熱手段すなわち熱ローラ5−14としてシリコーン系ゴム層を形成した熱ローラを用いたが、ゴム層としては、フッ素系、ウレタン系、NBR系、もしくはそれらの樹脂でも同様の効果が得られる。
なお、上述した実施例4では、第一乾燥部5−1の熱ローラ5−14の外周面に接触される書き落とし部材として、金属製のブレードによるスクレーパ5−146を用いたが、スクレーパ部材として、耐熱性の良好なフッ素系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエーテルサルホン(PES)系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)系樹脂等からなるブレードを用いたスクレーパでも同様の効果が得られる。また、スクレーパの他に、ベルト表面に当接して付着物を除去する機構、例えば、金属シャフトにポリエステル樹脂等からなる繊維をループ状に埋め込んだクリーニングブラシを押圧する構成や、不織布、フェルトを巻いたクリーニングローラを押圧する構成や、不織布、フェルトを介してゴムローラを押圧して汚れを拭き取り、不織布、フェルトを巻き取っていく構成でも同様の効果が得られる。
[実施例5] 図10、11に本発明の実施例その5を示す。
実施例その1〜4と同様の方法で感光体ドラム1表面に形成された静電潜像は、液体現像剤により現像され、乾燥工程5を経た後、110℃に設定された一次転写ローラ7の加圧接触によって一次転写ローラ7表面に一次転写され、二次転写ローラ8を介して用紙9に二次転写される(図1参照)。
図10は、図1により説明した各色の現像器の直後に配した色間乾燥機構の構成を模式的に示した断面図で、図10は、感光体ドラム表面の温度制御を行う構成を模式的に示した図である。
図10に示される通り、色間乾燥機構11は、0.5kWのブロアを接続したスリット幅2mmのスリットノズル11−1と、熱ローラ11−2と、遮蔽板11−3と、を含み、第1色の現像器4−1の直後で次色の帯電器2−2の直前、第2色の現像器4−3の直後で次色の帯電器2−3の直前、および第3色の現像器4−3の直後で次色の帯電器2−4の直前、として規定される色間部分のうちの少なくとも1カ所に配置される。
熱ローラ11−2は、遮蔽板11−3に覆われ、遮蔽板11−3の一端(終端)側は、図2または図8により説明したと同様の溶媒回収管6−1に接続されている。また、実施例その2,3で図5により説明したと同様に、第一乾燥工程からの溶媒蒸気を含んだ高温の排気を、第二乾燥工程とは別の専用溶媒回収管6−1を介して、高温蒸気回収装置6−3に運び、冷却機構を介して液体の状態で回収してもよい(詳細図示せず)。
熱ローラ11−2は、感光体ドラム101の軸線に概ね平行な管状に形成されたハロゲンランプ(図示せず)を内蔵した直径10mmの中空パイプに、図示しないが厚さ3mmの導電性ウレタン系ゴム層が形成されたもので、図9(b)により説明した構成と実質的に等しく構成された図示しないギャップリングにより感光体ドラム1の表面から20μmの間隔で感光体ドラム101に対向して配置されている。なお、熱ローラ11−2は、感光体ドラム101と対向される位置で表面の移動方向が感光体ドラム1の表面の移動方向と同じ方向となるウィズ方向(回転軸の回転方向は互いに逆)に回転される。
感光体ドラム101は、図10に示される通り、感光層(または感光体フィルム)を保持する支持体101−1内に設けられた感光体温度制御機構111の一部である流体通路111−1内に、中空あるいは図示しない流体通路が一体に形成されたシャフト111−2ならびにロータリージョイント111−3(流入側)およびロータリージョイント111−4(流出側)により、温度コントローラ111−5により所定温度に制御された液体、例えば水111−6が循環されることで、感光層すなわちドラム101表面の温度が一定範囲に維持される。
なお、感光体温度制御機構111を用いて感光体ドラム101表面(すなわち感光層)の温度を、トナーのガラス転移温度以下の一定範囲内に制御することで、感光体ドラム101上に形成されるトナー画像のフィルム化を防ぐとともに、熱ローラ11−2等に代表される加熱機構を感光体ドラム101近傍で使用する場合であっても、露光や現像工程に与える温度の影響を低減することができる。
図10および図11に示した画像形成装置においては、熱ローラ11−2の表面温度を50℃に加熱し、感光体ドラム101上にトナー画像とともに存在する余剰現像液に対して、ギャップリングにより所定の間隔で近接させることにより余剰現像液を気化させ、ノズル11−1出口近傍で風速10m/sの風を感光体ドラム101に吹きつけ、次色現像工程前にトナー画像の乾燥率を高める。なお、感光体ドラム101の表面すなわち感光層の温度は、感光体温度制御機構111により、例えば40〜42℃の範囲に制御される。
1色目の現像工程直後に、乾燥率が概ね12wt%であったトナー画像は、第1の色間乾燥機構11により、例えば乾燥率20wt%まで乾燥され、感光体ドラム101が回転されることで、2色目の現像工程に移動される。
2色目の潜像が露光されたのち、1色目のトナー画像上に、現像器4−2(図1参照)により2色目のトナー画像が形成(現像)される。これにより、2色のトナー画像が積層された状態の画像全体の乾燥率は、概ね18wt%となり、第2の色間乾燥機構11で、例えば乾燥率28wt%まで乾燥される。
同様に、2色目のトナー画像上に、3色目の潜像が露光されたのち、現像器4−3(図1参照)により現像される。このとき、3色のトナー画像が積層された状態の画像全体の乾燥率は概ね22wt%となり、第3の色間乾燥機構11により、例えば乾燥率32wt%まで乾燥される。
この状態で、所定のタイミングで露光された4色目の潜像が、現像器4−4により現像されることで、既に形成されている3色のトナー画像に、さらに4色目のトナー画像が、重ね合わせられる。なお、4色面の現像直後の乾燥率は、概ね28wt%であった。
4色目の現像工程後には、図示しないが、実施例その2により説明したと同様の第1および第2の乾燥機構5−1,5−2が設けられており、表面温度が70℃に加熱された熱ローラ5−14を感光体ドラム1の表面に近接させ、同時に0.75kWのブロアを接続したスリット幅2mmのスリットノズル5−16によって、ノズル5−16出口での風速5m/sの風を、熱ローラ5−14と整流板5−15との間隙に吹きつけることで、第一乾燥部5−1通過後に、概ね65wt%までトナー画像が乾燥される。
この状態で、感光体ドラム101の回転により、第ニ乾燥部5−2に移送されたトナー画像は、第二乾燥部5−2の1.5kWのブロアを接続したスリット幅0.5mmのノズル5−21からの、ノズル出口における感光体ドラム101近傍での風速50m/sの高速風が吹きつけられることにより、乾燥率90wt%に乾燥された。これにより、トナー画像内のほとんどのトナー粒子が相互に融着していない状態に維持され、転写工程に移行されて、高画質で用紙9に転写された。
このように、これまで、画像濃度の面内分布(感光体ドラム101上の高さ方向分布)が大きい画像モードすなわち4色のトナー画像が積層されているような状態においては、4色目の現像工程後に一括して乾燥を行う際に、画像濃度の濃い領域のトナー画像の下層からの溶媒が除去しにくく、同時に画像上層で過乾燥になりやすいという乾燥ムラが発生して、転写不良が生じることが知られているが、上述の実施例4のように、色間乾燥機構を任意の色の画像形成ユニット間に配置し、次色の重ね合わせ前にある程度余剰現像液を除去することにより、画像濃度の濃い領域でも、最終段の乾燥工程である4色目現像後の第一、第二乾燥部での乾燥能力が調整しやすくなり、良好な転写が可能となる。
また、上述の実施例5では、感光体温度調整機構111により、感光体ドラム101の表面の感光層温度が一定範囲内に制御されているため、第二乾燥部5−2による吹きつけ乾燥において、感光体ドラム101表面やトナー画像の下層トナー粒子間に存在している溶媒の気化を促進させ、中容量の吹きつけ風でも引き続く転写が良好な乾燥率を得ることでき、省電力化が可能である。
さらに、加熱ヒータや温風吹きつけ装置の異常時に、感光体ドラム表面の感光層が高温雰囲気に曝されるという事象が発生したとしても、感光層の急激な温度上昇が抑止されるので、感光層(感光体)を保護することができる。
なお、上述した実施例5では、色間乾燥機構の加熱手段として導電性ウレタン系ゴム層を形成した熱ローラ用いたが、同様の導電性のあるゴム層または樹脂層を有する熱ローラを、実施例1および2における第一乾燥部の熱ローラに適用することで、帯電したトナーがローラに付着することを防ぐ効果が得られる。
また、熱ローラとして、ゴム層に代えて金属を用いることも可能である。但し、金属を用いる場合には、その表面すなわちローラ表面に、有機あるいは無機の絶縁性の層を形成し、所望の表面抵抗値に調整して、導電性ローラと同等に機能させることが好ましい。
なお、上述の実施例5では、感光体表面の温度を制御する感光体温度制御機構として、循環水を用いたが、例えばニクロム線やカンタル線等の合金ヒータを用いたリボンヒータや面ヒータを感光体裏面に貼り付け、感光層の温度を一定の温度範囲に制御する方法でも同様の効果が得られる。
さらに、ベルト感光体等においては、加熱手段を設置した領域に対応する感光体部分の裏面にのみ温度制御装置を設けても良い。
またさらに、上述した各実施例においては、エア(低速風および高速風)吹きつけ手段として、ブロアに接続されたスリットノズルを用いて吹きつけ風を得たが、特に低速風の吹きつけを行う第一乾燥部においては、シロッコファン等の中容量で低速の吹きつけ風が得られる手段を用いても同様の効果が得られる。
さらにまた、実施例5では、色間乾燥機構を有した画像形成装置において、感光体表面の温度制御機構を設置したが、実施例1、2および3においても、同様の温度制御機構を設置することで、より確実にトナー画像のフィルム化を防ぐことができるとともに、乾燥効率が向上し、より少ない消費電力で高速乾燥が達成されることは言うまでもない。
以上説明した通り、本願発明は、像担持体上に、キャリア液にトナー粒子を分散させた液体トナーによって静電潜像を現像したトナー像を形成する現像工程と、トナー像を乾燥させる乾燥工程と、を有し、乾燥工程は、トナー粒子のガラス転移温度以上に保持された雰囲気中を、トナー粒子が相互に融着しない状態を維持した所定の乾燥率まで乾燥させる第1の乾燥工程と、第1の乾燥工程に続いて、トナー粒子のガラス転移温度以下でさらに所定の乾燥率まで乾燥する第2の乾燥工程とを有する湿式電子写真装置である。
第一の乾燥工程は、加熱ヒータと低速風を吹きつけ可能なエアノズルとにより、ヒータと像担持体表面との間隙に向かって、トナー粒子のガラス転移温度よりも高温の低速風を吹き込むことにより、像担持体表面とトナー画像の温度上昇を防ぎながら、トナー画像中および像担持体上の余剰現像液の気化を促進させて、主にトナー画像内の厚さ方向の全域および像担持体上に存在する大量の余剰現像液を除去する工程である。これにより、溶媒によりトナー画像が流れることが防止される。
第二の乾燥工程は、大容量の高速風を吹きつけるに適したノズルと、同領域内において高速風を像担持体の所定の位置に案内するに適したフードとにより、トナー粒子のガラス転移温度以下の風を吹きつけて、主にトナー画像内すなわちトナー粒子相互の隙間に存在する余剰現像液を除去する工程である。すなわち、シアリング転写に適した所定の乾燥率が維持されたトナー画像が得られる。
このように、乾燥工程を、低速風および熱を用いて溶媒を気化させる第一の乾燥工程と高速風により溶媒を除去する第二の乾燥工程により、トナー画像内の溶媒の残存量(乾燥率)を、シアリング転写に適した、トナー画像内の大部分のトナー粒子が融着していない非フィルム化状態を保つことにより、高画質の転写画像が得られる。
また、多くの画像パターンでは、トナー画像の同一面内に濃淡の異なる画像領域が存在するが、第一の乾燥工程である程度トナー画像および像担持体上の余剰現像液を除去し、第二の乾燥工程において、吹きつけ風の風速、風量ならびに風圧を制御することにより、トナー画像中に含まれる(残存する)溶媒の量を、シアリング転写に適した量(乾燥率)の範囲に調整することが容易で、転写不良が生じにくい高画質の転写画像が得られる。
また、本願発明は、乾燥工程として、トナー像の乾燥率(固形分濃度)を、概ね25〜70wt%の範囲となるよう乾燥する第1の乾燥工程と、第1の乾燥工程の後に、第1の乾燥工程よりも低温でトナー像の乾燥率が75〜100wt%の範囲となるよう、さらに乾燥させる第2の乾燥工程を有する。
なお、均一なベタ画像の場合、トナー像から余剰現像液を取り去った状態の乾燥率は、粒子形状の分布に依存して、トナー粒子の積層状態に幅を持つことから、概ね50〜65wt%の範囲の値を示す。また、実際の画像では、トナー像の厚さ方向に加えて面方向の分布もあるため、トナー像から余剰現像液をほぼ取り去った状態の乾燥率は、40〜70wt%の範囲となる。
また、現像後に、セットチャージャでトナー画像を感光層にセット(固定)し、感光層へのトナー画像の付着力を上げるとともに、トナー画像および感光層上の余剰現像液中に含まれる浮遊トナーを減少させた場合には、上述した第一の乾燥工程終了後のトナー画像の乾燥率は、25wt%程度であっても良い。すなわち、第一の乾燥工程終了後の乾燥率が25wt%程度であっても、トナー画像が感光層に固定されていることにより、第二の乾燥工程で高速エアの吹付けを行っても、十分画像の乱れは抑えられる。
よって、第一乾燥工程終了後の乾燥率の下限値は、25wt%程度を含ませることができ、第一乾燥工程終了後の乾燥率の範囲は、望ましくは、40〜70wt%となる。
次に、第二の乾燥工程において、高速エア吹きつけで乾燥が促進され、シアリング転写において良好な転写効率が確保可能な乾燥率まで、溶媒が除去(乾燥)される。
なお、シアリング転写に適した乾燥率は、トナー層厚、画像濃度によっても異なるが、下限値は、75wt%程度である。また、上限は、特にトナー層厚、画像濃度に敏感で、4色ベタ画像の重なったトナー画像では、100wt%に近い乾燥率でトナー画像にひびわれが発生する場合がある。しかしながら、比較的トナー層厚の小さな画像では、100wt%でも十分良好な転写画像が得られる。よって、第二の乾燥工程では、エア吹きつけの風速、風量および風圧等を制御することにより、乾燥率を75〜100wt%の範囲に調整することが好ましい。この場合、画像のフィルム化は起こらない。
よって、感光体(感光層)上やトナー画像中に含まれる溶媒(キャリア液)を、トナー画像の乱れを生じさせず、トナー画像がシアリング転写不能となるフィルム化も防止可能な、シアリング転写に適した乾燥率まで、高速で除去(乾燥)でき、高画質の画像を安定して、高速度で出力可能な湿式画像形成装置を提供できる。
なお、本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
1,101…感光体ドラム、2(2−1〜2−4)…帯電器、3(3−1〜3−4)…レーザ露光、4(4−1〜4−4)…現像器、5…乾燥機構、5−1…第一乾燥部、5−11…低速風ノズル、5−12…セラミックヒータ、5−13…遮蔽板、5−14…熱ローラ、5−141…ゴム層、5−142…金属パイプ、5−143…内蔵ヒータ、5−144…ギャップリング、5−145…ベアリング、5−146…スクレーパ、5−15…整流板、5−16…ノズル、5−2…第二乾燥部、5−21…ノズル、5−22…フード、6−1…溶媒回収管、6−2…溶媒回収部、6−3…高温蒸気回収装置、6−4…低温蒸気回収装置、7…一次転写ローラ、8…二次転写ローラ、9…用紙、10…感光体クリーナ、11…色間乾燥機構、11−1…低速風ノズル、11−2…熱ローラ、11−3…遮蔽板、101−1…支持体、111…感光体温度制御機構、111−1…流体通路、111−2…シャフト、111−3…ロータリージョイント(流入側)、111−4…ロータリージョイント(流出側)、111−5…温度コントローラ、111−6…流体(水)。
Claims (6)
- 像担持体表面に形成された静電潜像を、キャリア液中にトナー粒子を分散させた液体トナーによって現像し、トナー像を形成する現像工程と、
前記トナー像を、前記トナー粒子のガラス転移温度以上の温度で、前記トナー粒子が相互に融着状態になる時間よりも短い時間乾燥させる第1の乾燥工程と、
前記第1の乾燥工程の後に、前記トナー像を、前記トナー粒子のガラス転移温度未満の温度で乾燥する第2の乾燥工程と、
前記第2の乾燥工程の後に、前記トナー像を記録媒体へ転写する転写工程とを有することを特徴とする画像形成方法。 - 像担持体表面に形成された静電潜像を、キャリア液中にトナー粒子を分散させた液体トナーによって現像し、トナー像を形成する現像工程と、
前記トナー像を乾燥率が25wt%以上、70wt%以下の範囲内になるまで加熱して乾燥する第1の乾燥工程と、
前記第1の乾燥工程の後に、前記第1乾燥工程よりも低温で前記トナーを乾燥率が75wt%以上、100wt%以下の範囲内になるまで乾燥させる第2の乾燥工程と、
前記乾燥工程により乾燥された前記トナー像を記録媒体へ転写する転写工程とを含むことを特徴とする画像形成方法。 - 前記第1の乾燥工程は、加熱ヒータと低速風を吹きつけ可能なエアノズルとにより、ヒータと像担持体表面との間隙に向かって、トナー粒子のガラス転移温度よりも高温の低速風を吹き込むことを特徴とする請求項2記載の画像形成方法。
- 前記第1の乾燥工程は、トナー粒子のガラス転移温度よりも高温の低速風を、像担持体およびトナー像に吹きつけることを特徴とする請求項2記載の画像形成方法。
- 前記第2の乾燥工程は、トナー粒子のガラス転移温度以下の温度の高速風を、像担持体およびトナー像に吹きつけることを特徴とする請求項2記載の画像形成方法。
- 像担持体により保持されている静電像に、キャリア液中にトナー粒子を分散させた液体現像剤を接触させて現像する現像器と、
前記像担持体を、前記トナー粒子のガラス転移温度以上に加熱可能な加熱装置と、
前記加熱装置の近傍に所定風量の風を供給して、前記加熱装置からの熱により気化した前記キャリア液の蒸気を除去する第1の送風装置と、
前記担持体上に残存する前記キャリア液に、前記トナー粒子のガラス転移温度以下の温度の風を供給して、残存する前記キャリア液を蒸発させる第2の送風装置と、
を含むことを特徴とする電子写真装置。
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