JP4071611B2 - Lcd製造用ポジ型ホトレジスト組成物およびレジストパターンの形成方法 - Google Patents

Lcd製造用ポジ型ホトレジスト組成物およびレジストパターンの形成方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、LCD製造用のポジ型ホトレジスト組成物およびレジストパターンの形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
これまで、ガラス基板上に液晶ディスプレイ部分を形成する液晶表示素子(LCD)の製造においては、比較的安価であることや、感度、解像性及び形状に優れたレジストパターンを形成できることから、半導体素子の製造に用いられているノボラック樹脂−キノンジアジド基含有化合物の系からなるポジ型ホトレジスト材料が多く利用されている。
しかし、例えば、半導体素子の製造においては、最大、直径8インチ(約200mm)〜12インチ(約300mm)の円盤型シリコンウェーハが用いられているのに対し、LCDの製造においては、最小でも360mm×460mm程度の角型のガラス基板が用いられている。
このように、LCDの製造分野においては、レジスト材料を塗布する基板は、材質や形状の面で異なることは勿論であるが、その大きさの点で、半導体素子の製造に用いられているものとは大きく異なっている。
そのため、LCD製造用のレジスト材料には、広い基板面全面に対して形状および寸法安定性等の特性が良好なレジストパターンを形成できることが求められている。
また、LCDの製造には非常に多くのレジスト材料が消費されるため、LCD製造用のレジスト材料には、上述のような特性に加え、安価であることも望まれている。
【0003】
これまで、LCD製造用のレジスト材料として多くの報告がある(例えば、下記特許文献1〜6)。特許文献1〜6に記載のレジスト材料は、安価であり、また、例えば360mm×460mm程度の小型の基板に対しては、塗布性、感度、解像性、形状および寸法安定性に優れるレジストパターンを形成できる。そのため、比較的小型のLCDを製造する目的においては好適に用いることができる。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−160231号公報
【特許文献2】
特開平9−211855号公報
【特許文献3】
特開2000−112120号公報
【特許文献4】
特開2000−131835号公報
【特許文献5】
特開2000−181055号公報
【特許文献6】
特開2001−75272号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年、パソコンのディスプレイの大型化や液晶テレビの普及等に伴い、従来よりも大型のLCDに対する需要が高まっている。また、低価格化も求められていることなどから、LCDの製造効率の向上が求められている。
そのため、LCDの製造分野においては、スループット(単位時間あたり処理数量)向上の観点から、露光面積をできるだけ広く、少なくとも100mm程度とすることが望まれており、また、シリコンウェーハに比べて凹凸の大きいガラス基板において、広い露光範囲内におけるレジスト被膜の平面均一性を保つことは非常に困難であることから、焦点深度(DOF)を大きくとれることが望まれており、一般に、LCDの製造は、NA(レンズの開口数)が例えば0.3以下、特には0.2以下の低NA条件の露光プロセスを用いることが好ましいとされている。
しかしながら、低NA条件の露光プロセスを用いた場合、従来のLCD製造用のレジスト材料では、例えば0.3以下の低NA条件下で、形状に優れたレジストパターンを高解像度で形成することが困難であった。
すなわち、一般に、解像度(解像限界)は、次式で示されるレーリの式:
R=k×λ/NA
[式中、Rは解像限界、kはレジストやプロセス、像形成法で決まる比例定数、λは露光プロセスに用いる光の波長、NAはレンズの開口数を表す]
で表され、波長λの短い光源を用いることや、高NAの露光プロセスを用いることにより解像度を上げることができる。例えば、従来LCDの製造に用いられていたg線(436nm)露光に代えて、より短波長のi線(365nm)露光を用いたホトリソグラフィ技術を用いることにより解像度を上げることができる。
しかしながら、LCDの製造においては、上述のように、露光面積が狭くなる、また焦点深度が小さくなる高NA化は好ましくなく、低NA条件での露光プロセスを用いることが望まれていた。したがって、高い解像度を得ることは困難であった。
また、高解像度のレジストパターン、つまり微細なレジストパターンが得られたとしても、パターン寸法が微細になればなる程、焦点深度幅特性は著しく劣化する傾向があるため、微細なレジストパターンを焦点深度幅特性良く形成することは困難であった。
【0006】
さらに、現在、次世代のLCDとして、1枚のガラス基板上に、ドライバ、DAC(デジタル−アナログコンバーター)、画像プロセッサ、ビデオコントローラ、RAMなどの集積回路部分がディスプレイ部分と同時に形成される、いわゆる「システムLCD」と呼ばれる高機能LCDに対する技術開発が盛んに行われている(Semiconductor FPD World 2001.9, pp.50-67)。
この場合、基板上には、ディスプレイ部分に加え、集積回路部分も形成されるため、基板がさらに大型化する傾向がある。よって、通常のLCD製造の場合よりもさらに低NA条件での露光が望ましい。
さらに、係るシステムLCDにおいては、例えば、ディスプレイ部分のパターン寸法が2〜10μm程度であるのに対し、集積回路部分は0.5〜2.0μm程度と微細な寸法で形成されている。そのため、同一露光条件で、このようにパターン寸法の異なるディスプレイ部分と集積回路部分とを同時に形成することが好ましく、リニアリティ[同一露光条件(レチクル上のマスク寸法は異なるが露光量が同じ条件)で露光した場合にレチクル上の異なるマスク寸法に対応したレジストパターンを精度良く再現する特性]が優れた、従来のLCD製造用レジスト材料よりも高解像度のレジスト材料が望まれる。
【0007】
しかし、上述のように、従来のLCD製造用のレジスト材料は、低NA条件下で、高解像度で形成することが困難であるので、システムLCDの製造用に用いることは難しい。例えば0.3以下の低NA条件下では、形状に優れた、例えば2.0μm以下の微細なレジストパターンの形成が困難であり、得られるレジストパターンは矩形ではなくテーパー形状を呈する傾向にあり、焦点深度幅特性も劣っていた。
【0008】
具体的には、例えば特開2001−75272号公報には、アルカリ可溶性樹脂と感光性成分を含み、増感剤を含まない液晶用レジストが記載されている。
しかしながら、この液晶用レジストは、i線露光に適さない、システムLCDの製造に求められる2.0μm以下のレジストパターンの形成は困難である、リニアリティに欠ける、などの問題を有していた。
【0009】
したがって、システムLCDの製造プロセスには、リニアリティが良好であり、例えば0.3以下の低NA条件下でも、形状に優れた微細なレジストパターンを形成可能なレジスト材料が望まれていた。
【0010】
すなわち、本発明は、低NA条件下でのリニアリティに優れ、システムLCDの、ディスプレイ部分と、それよりも微細な集積回路部分のレジストパターンとを同時に良好なパターン形状で得ることができる、1つの基板上に集積回路と液晶ディスプレイ部分が形成されるLCDの製造用として好適なレジスト材料及びレジストパターンの形成方法を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明のLCD製造用ポジ型ホトレジスト組成物は、
(A)3,4−キシレノール5〜30モル%、m−クレゾール95〜40モル%およびその他のフェノール類0〜30モル%を含有するフェノール類と、ホルムアルデヒドを60モル%以上含有する混合アルデヒド類との縮合反応により合成され得るアルカリ可溶性ノボラック樹脂を含有するアルカリ可溶性樹脂成分、
(B)ナフトキノンジアジドエステル化物、
(C)分子量1000以下のフェノール性水酸基含有化合物、
(D)プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテートを含有する有機溶剤、
を含むことを特徴とする。
このLCD製造用ポジ型ホトレジスト組成物は、i線露光プロセス用LCD製造用ポジ型ホトレジスト組成物として、好ましいものである。
また、NAが0.3以下の露光プロセス用LCD製造用ポジ型ホトレジスト組成物として好適なものである。
さらに、1つの基板上に集積回路と液晶ディスプレイ部分が形成されたLCD製造用のジ型ホトレジスト組成物として好適なものである。
なお、本発明の説明においてシステムLCDという場合には、「1つの基板上に集積回路と液晶ディスプレイ部分が形成されたLCD」を指すものとする。
また、本発明のレジストパターンの形成方法は、(1)前記本発明のLCD製造用ポジ型ホトレジスト組成物を基板上に塗布し、塗膜を形成する工程、(2)上記塗膜が形成された基板を加熱処理(プリベーク)し、基板上にレジスト被膜を形成する工程、(3)上記レジスト被膜に対し、2.0μm以下のレジストパターン形成用マスクパターンと、2.0μm超のレジストパターン形成用マスクパターンの双方が描かれたマスクを用いて選択的露光を行う工程、(4)上記選択的露光後のレジスト被膜に対し、加熱処理(ポストエクスポージャーベーク)を施す工程、(5)上記加熱処理後のレジスト被膜に対し、アルカリ水溶液を用いた現像処理を施し、上記基板上に、パターン寸法2.0μm以下の集積回路用のレジストパターンと、2.0μm超の液晶ディスプレイ部分用のレジストパターンを同時に形成する工程、(6)上記レジストパターン表面に残った現像液を洗い落とすリンス工程、を含むことを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
[LCD用ポジ型ホトレジスト組成物]
<(A)成分>
(A)成分は、3,4−キシレノールを含有するフェノール類とアルデヒド類との縮合反応により合成され得るアルカリ可溶性ノボラック樹脂を含有するアルカリ可溶性樹脂成分である。
【0013】
前記フェノール類において、3,4−キシレノールを用いることにより、低NA条件での解像性の点で優れた、LCD製造用のレジスト材料の調整に好適なノボラック樹脂を得ることができる。
そして、リニアリティに優れ、システムLCD用のレジスト材料に好適なノボラック樹脂を得ることができる。
また、耐熱性も良好である、という効果が得られる。ポジ型ホトレジスト組成物において、耐熱性が良好であると、加熱処理工程後のレジストパターンの寸法変化率が少ないため、LCD用に適し、さらにレジストパターンの矩形形状が集積回路形成に良好であるため、システムLCD用に適している。
また、レジストパターン形成後のスカムの発生も少ないという効果も得られる。
フェノール類中の3,4−キシレノールの割合は、下限値は5モル%以上、好ましくは7モル%以上、上限値は40モル%以下、好ましくは30モル%以下、さらに好ましくは20モル%以下とされる。下限値以上とすることにより、良好な効果が得られる。なお、フェノール類中の3,4−キシレノールの含有量は100モル%であってもよいが、3,4−キシレノールの配合量が多いと感度が低下するおそれがあるため、上記の上限値以下であることが好ましい。
【0014】
前記フェノール類において、3,4−キシレノールの他に用いうるものとしては、一般にポジ型ホトレジスト組成物用のノボラック樹脂の材料として用いられるものから任意に1種または2種以上を選択して用いることができる。例えばm−クレゾール、p−クレゾール、3,4−キシレノール以外のキシレノール、トリメチルフェノール等のフェノール類が挙げられが、中でもm−クレゾールが感度向上の点で好ましい。
LCD用ポジ型ホトレジスト組成物においては、製造効率向上、スループット等の点から、例えば50mJ程度の高感度化が好ましいとされており、m−クレゾールを併用するとこの条件を満足するものが得られやすい。
【0015】
また、3,4−キシレノールと3,4−キシレノール以外のフェノール類と組み合わせたときには、3,4−キシレノールの含有量を5〜30モル%、好ましくは7〜20モル%とすると、3,4−キシレノールの効果を維持しつつ、3,4−キシレノール以外のフェノール類によって付加される効果をも発揮させることができ、好ましい。
下限値以上とすることにより、低NA条件下における解像性やリニアリティの点で有効である。また、耐熱性も向上し、スカムの発生抑制の点でも好ましい。上限値以下とすることにより、感度の点で好ましい。
【0016】
例えば上述の様に3,4−キシレノールと、m−クレゾールと、後述する様に必要に応じて他のフェノール類を組み合わせる場合に、3,4−キシレノールの含有量を上記割合とすることにより、低NA条件下において、高解像性、高耐熱性で、かつ高感度で、スカムの発生も抑制できるという特性を備えたものを提供できる。またリニアリティに優れたものを提供できる。
また、このとき、フェノール類中のm−クレゾールの割合は、95〜40モル%、好ましくは93〜60モル%であることが、感度の点で好ましい。40モル%以上とすることにより感度が向上し、95モル%以下とすることにより、3,4−キシレノールの配合量も確保できるので、解像性、リニアリティー等の点で好ましい。
【0017】
また、上述の様に、必要に応じて、3,4−キシレノール、m−クレゾール以外のその他のフェノール類も用いることができるが、その他のフェノール類は、特に3,4−キシレノールとm−クレゾールとともに用いる場合、フェノール類中、0〜30モル%(すなわちその他のフェノール類を用いるか否かは任意である。)、好ましくは5〜20モル%であることが、解像性、リニアリティ特性、感度の点で好ましい。
【0018】
アルデヒド類としては、一般にポジ型ホトレジスト組成物用のノボラック樹脂の合成に用いられるものであれば、特に制限なく1種または2種以上任意に選択して用いることができる。例えばアセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、サリチルアルデヒド、ホルムアルデヒド、ホルムアルデヒド前駆体、2−ヒドロキシベンズアルデヒド、3−ヒドロキシベンズアルデヒド、4−ヒドロキシベンズアルデヒド等が挙げられるが、製造上の利便性の点からプロピオンアルデヒド、ホルムアルデヒドが好ましく、特にこれらを両方組み合わせたものが好ましい。
【0019】
プロピオンアルデヒドを用いる場合、アルデヒド類の5モル%以上、好ましくは15モル%以上用いると、解像性が良好で、矩形形状のレジストパターンが得られる傾向にある点から好ましい。
ホルムアルデヒドを用いる場合、アルデヒド類の50モル%以上、好ましくは60モル%以上用いると感度の点から好ましい。
プロピオンアルデヒドとホルムアルデヒドとを組み合わせて用いる場合は、プロピオンアルデヒド:ホルムアルデヒドのモル比が10:90〜30:70、好ましくは25:75であると好ましい。この範囲内にすることにより、高感度、高解像度、高耐熱という効果が得られる。
【0020】
ここで、本発明において必須の当該アルカリ可溶性ノボラック樹脂の特に好ましい態様を整理すると以下の様になる。
すなわち、3,4−キシレノールとm−クレゾールを含有するフェノール類を用いて合成され得るアルカリ可溶性ノボラック樹脂を含むと好ましい。
また、3,4−キシレノール5〜30モル%、m−クレゾール95〜40モル%、その他のフェノール類0〜30モル%(その他のフェノール類は任意である)を含有するフェノール類を用いて合成され得るアルカリ可溶性ノボラック樹脂を含むと好ましい。
また、上記アルデヒド類として、プロピオンアルデヒドとホルムアルデヒドの一方または両方(好ましくは両方)を含有するアルデヒド類を用いて合成され得るアルカリ可溶性ノボラック樹脂を含むと好ましい。
したがって、最も好ましいものは、3,4−キシレノールとm−クレゾールを含有するフェノール類と、プロピオンアルデヒド及びホルムアルデヒドを含有するアルデヒド類を用いて合成され得るアルカリ可溶性ノボラック樹脂である。
そして、このとき、フェノール類中、3,4−キシレノール5〜30モル%、m−クレゾール95〜40モル%、その他のフェノール類0〜30モル%という条件を満足するとさらに好ましい。
【0021】
当該アルカリ可溶性ノボラック樹脂は、常法にしたがって、例えばフェノール類とアルデヒド類とを酸触媒存在下に縮合反応させることによって合成することができる。
なお、フェノール類とアルデヒド類のモル比は、例えば1:0.5〜1:0.95、好ましくは1:0.6〜1:0.9とされる。
当該アルカリ可溶性ノボラック樹脂の質量平均分子量は、塗布性、耐熱性の点からGPC(ゲルパーミネーションクロマトグラフィ)によるポリスチレン換算で、3000〜30000、好ましくは4000〜20000とされる。
なお、当該アルカリ可溶性ノボラック樹脂は、1種また2種以上組み合わせて用いることができる。
【0022】
また、本発明において、(A)成分には、必須のアルカリ可溶性ノボラック樹脂の他に、他のアルカリ可溶性樹脂を配合することもできる。
他のアルカリ可溶性樹脂の配合量は、(A)成分中、例えば50質量%以下、好ましくは30質量%以下とされる(下限値は特に限定しないが0質量%であってもよい)。この範囲内であれば、上記必須のアルカリ可溶性ノボラック樹脂の効果を阻害するおそれがなく、好ましい。
必須のアルカリ可溶性ノボラック樹脂の他に、配合可能なアルカリ可溶性樹脂は、一般にポジ型ホトレジスト組成物に用いられるアルカリ可溶性樹脂であれば特に制限なく用いることができる。例えばヒロドキシスチレンの単独重合体や、ヒドロキシスチレンと他のスチレン単量体との共重合体、ヒロドキシスチレンとアクリル酸またはメタクリル酸あるいはその誘導体との共重合体などのヒドロキシスチレン系樹脂;アクリル酸またはメタクリル酸とその誘導体との共重合体であるアクリル酸またはメタクリル酸系樹脂などが挙げられる。
【0023】
<(B)成分>
(B)成分はナフトキノンジアジドエステル化物である。
(B)成分は、一般にポジ型ホトレジスト組成物において、感光性成分として用いられているものであれば特に制限なく、1種または2種以上任意に選択して用いることができる。
その中でも特に下記一般式(I)
【0024】
【化1】
Figure 0004071611
【0025】
〔式中、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、または炭素原子数3〜6のシクロアルキル基を表し;R10、R11はそれぞれ独立に水素原子または炭素原子数1〜6のアルキル基を表し;Rが水素原子または炭素数1〜6のアルキル基の場合は、Qは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基または下記化学式(II)で表される残基
【0026】
【化2】
Figure 0004071611
【0027】
(式中、R12およびR13はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、または炭素原子数3〜6のシクロアルキル基を表し;cは1〜3の整数を示す)であり、QがRの末端と結合する場合は、QはRおよび、QとRとの間の炭素原子とともに、炭素鎖3〜6のシクロアルキル基を表し;a、bは1〜3の整数を表し;dは0〜3の整数を表し;nは0〜3の整数を表す〕
【0028】
で表されるフェノール化合物と、ナフトキノンジアジドスルホン酸化合物とのエステル化物が、i線を用いたホトリソグラフィに適し、また低NA条件下の2.0μm以下の微細なレジストパターンを形状良く形成しようとする場合に好適である。すなわち、高解像度の点で好ましく、リニアリティの点でも好ましい。
【0029】
なお、QとRおよび、QとRとの間の炭素原子とともに、炭素鎖3〜6のシクロアルキル基を形成する場合には、QとRは結合して、炭素数2〜5のアルキレン基を形成している。
【0030】
当該一般式に該当するフェノール化合物としては、トリス(4−ヒドロシキフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−2,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタンなどのトリスフェノール型化合物;
【0031】
2,4−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジル)−5−ヒドロキシフェノール、2,6−ビス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェノール等のリニア型3核体フェノール化合物;1,1−ビス〔3−(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル〕イソプロパン、ビス[2,5−ジメチル−3−(4−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−ヒドロキシフェニル]メタン、ビス[2,5−ジメチル−3−(4−ヒドロキシベンジル)−4−ヒドロキシフェニル]メタン、ビス[3−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジル)−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル]メタン、ビス[3−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジル)−4−ヒドロキシ−5−エチルフェニル]メタン、ビス[3−(3,5−ジエチル−4−ヒドロキシベンジル)−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル]メタン、ビス[3−(3,5−ジエチル−4−ヒドロキシベンジル)−4−ヒドロキシ−5−エチルフェニル]メタン、ビス[2−ヒドロキシ−3−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジル)−5−メチルフェニル]メタン、ビス[2−ヒドロキシ−3−(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−5−メチルフェニル]メタン、ビス[4−ヒドロキシ−3−(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−5−メチルフェニル]メタン、ビス[2,5−ジメチル−3−(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−ヒドロキシフェニル]メタン等のリニア型4核体フェノール化合物;
2,4−ビス[2−ヒドロキシ−3−(4−ヒドロキシベンジル)−5−メチルベンジル]−6−シクロヘキシルフェノール、2,4−ビス[4−ヒドロキシ−3−(4−ヒドロキシベンジル)−5−メチルベンジル]−6−シクロヘキシルフェノール、2,6−ビス[2,5−ジメチル−3−(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−ヒドロキシベンジル]−4−メチルフェノール等のリニア型5核体フェノール化合物等のリニア型ポリフェノール化合物;
ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)メタン、2,3,4−トリヒドロキシフェニル−4'−ヒドロキシフェニルメタン、2−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−2−(2',3',4'−トリヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2−(2',4'−ジヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(4'−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−2−(3'−フルオロ−4'−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2−(4'−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−2−(4'−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−2−(4'−ヒドロキシ−3',5'−ジメチルフェニル)プロパンなどのビスフェノール型化合物;
1−[1−(4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、1−[1−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、などの多核枝分かれ型化合物;
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンなどの縮合型フェノール化合物などが挙げられる。
これらは1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0032】
中でもビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン[以下(B1’)と略記する。]、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)メタン[以下(B2’)と略記する。]、ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン[以下、(B3’)と略記する。]の3種類のうち、1種またはそれ以上(好ましくはこれら3種)のフェノール化合物のナフトキノンジアジドエステル化物を含有するホトレジスト組成物は、高感度、高解像性、形状の良好なレジストパターンを形成できる点で好ましい。
なお、以下、前記(B1’)、(B2’)、(B3’)のそれぞれのナフトキノンジアジドエステル化物を、(B1)、(B2)、(B3)と略記する。
(B1)、(B2)、または(B3)を用いる場合、(B)成分中の配合量は、それぞれ10質量%以上、さらに15質量%以上であると好ましい。
また、(B1)、(B2)、(B3)を全て用いる場合は効果の点から、それぞれの配合量は(B1)が50〜90質量%、好ましくは60〜80質量%、(B2)の配合量が5〜20質量%、好ましくは10〜15質量%、(B3)の配合量が5〜20質量%、好ましくは10〜15質量%とされる。
【0033】
上記一般式(I)で表される化合物のフェノール性水酸基の全部または一部をナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化する方法は、常法により行うことができる。
例えば、ナフトキノンジアジドスルホニルクロライドを上記一般式(I)で表される化合物と縮合させることにより得ることができる。
具体的には、例えば上記一般式(I)で表される化合物と、ナフトキノン−1,2−ジアジド−4(または5)−スルホニルクロライドとを、ジオキサン、n−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン等の有機溶媒に所定量溶解し、ここにトリエチルアミン、トリエタノールアミン、ピリジン、炭酸アルカリ、炭酸水素アルカリ等の塩基性触媒を1種以上を加えて反応させ、得られた生成物を水洗、乾燥して調製することができる。
【0034】
(B)成分としては、上述の様に、これら例示した好ましいナフトキノンジアジドエステル化物の他に、他のナフトキノンジアジドエステル化物も用いることができ、例えばポリヒドロキシベンゾフェノンや没食子酸アルキル等のフェノール化合物とナフトキノンジアジドスルホン酸化合物とのエステル化反応生成物なども用いられ得る。
これら他のナフトキノンジアジドエステル化物の使用量は(B)感光性成分中、80質量%以下、特には50質量%以下であることが、本発明の効果の向上の点から好ましい。
【0035】
ホトレジスト組成物中の(B)成分の配合量は、(A)成分と下記(C)成分との合計量に対し20〜70質量%、好ましくは25〜60質量%とされる。
(B)成分の配合量を上記下限値以上とすることにより、パターンに忠実な画像が得られ、転写性が向上する。上記上限値以下とすることにより、感度の劣化を防ぐことができ、形成されるレジスト膜の均質性が向上し、解像性が向上するという効果が得られる。
【0036】
<(C)成分>
(C)成分は、フェノール性水酸基含有化合物である。この(C)成分を用いることにより、感度向上効果に優れ、低NA条件でのi線露光プロセスにおいても、高感度、高解像度であり、LCDの製造に適した材料、さらに好ましくはリニアリティに優れたシステムLCDに適した材料が得られる。
(C)成分の分子量は1000以下、好ましくは700以下、実質的には200以上、好ましくは300以上であることが、上記効果の点から好ましい。
【0037】
(C)成分としては、一般にホトレジスト組成物に用いられるフェノール性水酸基含有化合物であって、好ましくは上記分子量の条件を満足するものであれば、特に制限はなく、1種または2種以上を任意に選択して用いることができる。そして、中でも、下記一般式(III)
【0038】
【化3】
Figure 0004071611
【0039】
〔式中、R11〜R18はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、または炭素原子数3〜6のシクロアルキル基を表し;R20、R21はそれぞれ独立に水素原子または炭素原子数1〜6のアルキル基を表し;R19が水素原子または炭素数1〜6のアルキル基の場合は、Qは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基または下記化学式(IV)で表される残基
【0040】
【化4】
Figure 0004071611
【0041】
(式中、R22およびR23はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、または炭素原子数3〜6のシクロアルキル基を表し;gは1〜3の整数を示す)であり、QがR19の末端と結合する場合は、QがR19および、QとR19との間の炭素原子とともに、炭素鎖3〜6のシクロアルキル基を表し;e、fは1〜3の整数を表し;hは0〜3の整数を表し;nは0〜3の整数を表す〕
【0042】
で表されるフェノール化合物が、上記の特性を良く示し、好ましい。
具体的には、例えば上記(B)成分において例示した、フェノール化合物のナフトキノンジアジドエステル化物において用いられる、フェノール化合物を好適に用いることができ、中でも1−[1−(4−ヒロドキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼンが好ましい。
【0043】
(C)成分の配合量は、効果の点から、(A)成分に対し10〜70質量%、好ましくは20〜60質量%の範囲とされる。
【0044】
<(D)成分>
(D)成分は、ホトレジスト組成物に用いられる一般的なものであれば特に制限なく1種または2種以上を選択して用いることができるが、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、及び/または2−ヘプタノンを含有するものが、塗布性に優れ、大型ガラス基板上でのレジスト被膜の膜厚均一性に優れている点で好ましい。
なお、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテートと2−ヘプタノンの両方を用いることもできるが、それぞれ単独で、あるいは他の有機溶剤と混合して用いた方がスピンコート法などを利用した塗布時の膜厚均一性の点で好ましい場合が多い。
プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテートは、(D)成分中、50〜100質量%含有することが好ましい。
【0045】
プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテートは、例えば炭素数1〜3の直鎖または分岐鎖状のアルキル基を有するものであり、中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、PGMEAと略記することがある)が、大型ガラス基板上でのレジスト被膜の膜厚均一性に非常に優れるため、特に好ましい。
【0046】
一方、2−ヘプタノンは、特に限定するものではないが、上述の様に(B)ナフトキノンジアジドエステル化物として、非ベンゾフェノン系の感光性成分と組み合わせたときに好適な溶媒である。
2−ヘプタノンは、PGMEAに比べると耐熱性に優れ、スカム発生が低減化されたレジスト組成物を与えるという特性を有し、非常に好ましい溶剤である。
【0047】
また、これらの好ましい溶媒に、他の溶媒を混合して用いることもできる。
例えば乳酸メチル、乳酸エチルなど(好ましくは乳酸エチル)の乳酸アルキルを配合すると、レジスト被膜の膜厚均一性に優れ、形状に優れたレジストパターンを形成することができて好ましい。
【0048】
プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテートと乳酸アルキルとを混合して用いる場合は、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテートに対して質量比で0.1〜10倍量、好ましくは1〜5倍量の乳酸アルキルを配合することが望ましい。
また、γ−ブチロラクトンやプロピレングリコールモノブチルエーテルなどの有機溶剤も用いることができる。
γ−ブチロラクトンを用いる場合には、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテートに対して質量比で0.01〜1倍量、好ましくは0.05〜0.5倍量の範囲で配合することが望ましい。
【0049】
なお、その他に配合可能な有機溶剤としては、具体的には、例えば以下のものが挙げられる。
すなわち、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソアミルケトン等のケトン類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、あるいはこれらのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテルまたはモノフェニルエーテル等の多価アルコール類およびその誘導体;ジオキサンのような環式エーテル類;および酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル等のエステル類などである。
これらの溶剤を用いる場合、(D)成分中、50質量%以下であることが望ましい。
【0050】
本発明のポジ型ホトレジスト組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて相容性のある添加物、例えばレジスト膜の性能などを改良するための付加的樹脂、可塑剤、保存安定剤、界面活性剤、現像した像をより一層可視的にするための着色料、より増感効果を向上させるための増感剤やハレーション防止用染料、密着性向上剤、などの慣用の添加物を含有させることができる。
ハレーション防止用染料としては、紫外線吸収剤(例えば2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、4−ジメチルアミノ−2’,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、5−アミノ−3−メチル−1−フェニル−4−(4−ヒドロキシフェニルアゾ)ピラゾール、4−ジメチルアミノ−4’−ヒドロキシアゾベンゼン、4−ジエチルアミノ−4’−エトキシアゾベンゼン、4−ジエチルアミノアゾベンゼン、クルクミン等)等を用いることができる。
界面活性剤は、例えばストリエーション防止等のために添加することができ、例えばフロラードFC−430、FC431(商品名、住友3M(株)製)、エフトップEF122A、EF122B、EF122C、EF126(商品名、トーケムプロダクツ(株)製)等のフッ素系界面活性剤、R−08(商品名、大日本インキ化学工業株式会社製)などを用いることができる。
【0051】
本発明のポジ型ホトレジスト組成物は、好ましくは、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び必要に応じてその他の成分を、(D)有機溶剤に溶解することにより調製することができる。
なお、(D)成分の使用量は、好ましくは(A)〜(C)成分及び必要に応じて用いられるその他の成分を溶解し、均一なポジ型ホトレジスト組成物が得られる様に適宜調整し得る。好ましくは固形分濃度[(A)〜(C)成分及び必要に応じて用いられるその他の成分]が10〜50質量%、さらに好ましくは20〜35質量%となる様に用いられる。
【0052】
[レジストパターンの形成方法]
以下に、LCDの製造におけるレジストパターンの好適な形成方法の一例を示す。
まず、上述の本発明のポジ型ホトレジスト組成物を、スピンナー等で基板に塗布して塗膜を形成する。基板としてはガラス基板が好ましい。ガラス基板としては、通常アモルファスシリカが用いられるが、システムLCDの分野においては、低温ポリシリコン等が好ましいとされる。このガラス基板としては、本発明の組成物は低NA条件下での解像性に優れるため、500mm×600mm以上、特には550mm×650mm以上の大型の基板を用いることができる。
ついで、この塗膜が形成されたガラス基板を例えば100〜140℃で加熱処理(プリベーク)して残存溶媒を除去し、レジスト被膜を形成する。プリベーク方法としては、ホットプレートと基板の間に隙間を持たせるプロキシミティーベークを行うことが好ましい。
さらに、上記レジスト被膜に対し、マスクパターンが描かれたマスクを用いて選択的露光を行う。
光源としては、微細なパターンを形成するためにi線(365nm)を用いることが好ましい。また、この露光で採用する露光プロセスは、NAが0.3以下、好ましくは0.2以下、より好ましくは0.15以下の低NA条件の露光プロセスであることが好ましい。
次いで、選択的露光後のレジスト被膜に対し、加熱処理(ポストエクスポージャーベーク:PEB)を施す。PEB方法としては、ホットプレートと基板の間に隙間を持たせるプロキシミティーベーク、隙間を持たせないダイレクトベークが挙げられ、基板の反りを生じさせることをなく、PEBによる拡散効果を得るために、プロキシミティベークを行った後、ダイレクトベークを行う方法が好ましい。なお、加熱温度は90〜140℃、特には110〜130℃が好ましい。
上記PEB後のレジスト被膜に対し、現像液、例えば1〜10質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液のようなアルカリ水溶液を用いた現像処理を施すと、露光部分が溶解除去されて、基板上に集積回路用のレジストパターンと液晶ディスプレイ部分用のレジストパターンが同時に形成される。
さらに、レジストパターン表面に残った現像液を純水などのリンス液で洗い落とすことによりレジストパターンを形成できる。
【0053】
このレジストパターンの形成方法において、システムLCDを製造する場合には、上記選択的露光を行う工程において、上記マスクとして、2.0μm以下のレジストパターン形成用マスクパターンと、2.0μm超のレジストパターン形成用マスクパターンの双方が描かれたマスクを用いることが好ましい。
そして、本発明LCD用ポジ型ホトレジスト組成物は、リニアリティに優れているので、マスクパターンのラフなパターンと微細なパターンの両方を忠実に再現したレジストパターンが得られる。よって、上記レジストパターンを同時に形成する工程において、上記基板上に、パターン寸法2.0μm以下の集積回路用のレジストパターンと、2.0μm超の液晶ディスプレイ部分用のレジストパターンを同時に形成することができる。
【0054】
以上説明したように、本発明のポジ型ホトレジスト組成物は、低NA条件下での露光プロセスに適している。また、i線露光プロセスにも適している。そのため、LCDの製造において、少なくともディスプレイ部分のレジストパターンを、高い解像度で得ることができる。
さらに、本発明のポジ型ホトレジスト組成物は、低NA条件下でのリニアリティにも優れているので、1つの基板上に、ラフなパターンと微細なパターンとを同一露光条件で形成できる。したがって、低NA条件下でも、システムLCDのディスプレイ部分と、それよりも微細な集積回路部分のレジストパターンも、同時に高解像度で得ることができ、システムLCDの製造用として好適である。
また、(A)成分において、3,4−キシレノールを含むアルカリ可溶性ノボラック樹脂を用いることにより、耐熱性が良好となり、またアルカリ現像後の残膜性が向上するため、LCD用に適し、さらに解像性が良好であるため、システムLCD用に適している。
さらに、好ましくは必須のアルカリ可溶性ノボラック樹脂におけるフェノール類の組み合わせ等により、高感度も実現できる。
また、スカムの発生も少ないという効果も有する。
なお、LCD用ポジ型ホトレジスト組成物においては、焦点深度(DOF)の幅がある程度大きいことが、製造効率、製造条件の制御の容易性等の点から、必要とされるが、本発明のLCD用ポジ型ホトレジスト組成物は、LCD用として実用可能な焦点深度の幅(例えば15μm以上)を実現することができる。
なお、良好なリニアリティは、高解像度特性と等価ではなく、ポジ型レジスト組成物においては、解像度が良好であっても、リニアリティが不良である場合もある
これに対し、本発明のLCD用ポジ型ホトレジスト組成物は、低NA条件下での高解像度が得られる(広い面積を露光した場合でも均一で良好な解像性が得られる)とともに、リニアリティも良好なものであり、一般的なLCD用ポジ型ホトレジスト組成物としても好ましく用いることができるとともに、特にシステムLCD用として、好適なものである。
また、低NA条件下における解像度に優れた上記ポジ型ホトレジスト組成物を用いる本発明のレジストパターンの形成方法によれば、LCD製造におけるスループットが向上する。
さらに、本発明のレジストパターンの形成方法によれば、LCDの製造に適した低NA条件の露光プロセスにおいても、高解像度のレジストパターンを形成することができる。特に、基板上に、例えばパターン寸法2.0μm以下の集積回路用のレジストパターンと、例えば2.0μm超の液晶ディスプレイ部分用のレジストパターンを同時に形成することができるので、システムLCDの製造に好適に用いることができる。
【0055】
【実施例】
次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0056】
[ポジ型ホトレジスト組成物の評価方法]
下記の実施例または比較例のポジ型ホトレジスト組成物について下記の諸物性(1)〜(5)の評価方法を以下に示す。
(1)リニアリティ評価:
ポジ型ホトレジスト組成物を大型基板用レジスト塗布装置(装置名:TR36000 東京応化工業(株)製)を用いてTi膜が形成されたガラス基板(550mm×650mm)上に塗布したのち、ホットプレートの温度を100℃とし、約1mmの間隔をあけたプロキシミティベークにより90秒間の第1回目の乾燥を行い、次いでホットプレートの温度を90℃とし、0.5mmの間隔をあけたプロキシミティベークにより90秒間の第2回目の乾燥を施し、膜厚1.5μmのレジスト被膜を形成した。
次いで3.0μmラインアンドスペース(L&S)および1.5μmL&Sのレジストパターンを再現するためのマスクパターンが同時に描かれたテストチャートマスク(レチクル)を介して、i線露光装置(装置名:FX−702J、ニコン社製;NA=0.14)を用いて、3.0μmL&Sを忠実に再現することのできる露光量(Eop露光量)にて選択的露光を行った。
次いで、ホットプレートの温度を120℃とし、0.5mmの間隔をあけて、プロキシミティベークにより、30秒間の加熱処理を施し、次いで同じ温度で間隔をあけないダイレクトベークにより60秒間の加熱処理を施した。
次いで、23℃、2.38質量%TMAH水溶液をスリットコータノズルを有する現像装置(装置名:TD−39000デモ機、東京応化工業(株)製)を用いて、図1に示したように基板端部XからYを経てZにかけて、10秒間を掛けて基板上に液盛りし、55秒間保持した後、30秒間水洗し、スピン乾燥した。その後、得られたレジストパターンの断面形状をSEM(走査型電子顕微鏡)写真にて観察し、1.5μmL&Sのレジストパターンの再現性を評価した。
(2)感度評価:
感度評価の指標として、上記Eop露光量を用いた。
(3)解像性評価:
上記Eop露光量における限界解像度を求めた。
(4)DOF特性評価:
上記Eop露光量において、焦点を適宜上下にずらし、1.5μmL&Sが±10%の寸法変化率の範囲内で得られた焦点深度(DOF)の幅をμm単位で求めた。
(5)スカム評価:
上記Eop露光量において、1.5μmL&Sが描かれた基板表面をSEMにて観察し、スカムの有無を調べた。
(6)耐熱性評価:
上記Eop露光量において、1.5μmL&Sが描かれた基板を、140℃に設定されたホットプレート上に300秒間静置し、次に200℃に設定されたオーブン中に30分間静置した。その結果、1.5μmL&Sの寸法変化率が100%超〜105%以下であったものを◎、105%超〜110%以下であったものを○、110%超のものを×として表した。
【0057】
(実施例1)
(A)〜(D)成分として以下のものを用意した。
(A)アルカリ可溶性ノボラック樹脂 100質量部
A1:[m−クレゾール/3,4−キシレノール=9/1(モル比)の混合フェノール1モルと、プロピオンアルデヒド/ホルムアルデヒド=1/3(モル比)の混合アルデヒド0.86モルを用いて常法により合成した、Mw=4750、Mw/Mn=2.44のノボラック樹脂]
【0058】
(B)ナフトキノンジアジドエステル化物 40質量部
B1/B2/B3を、6/1/1(質量比)で混合したナフトキノンジアジドエステル化物
B1:B1’ 1モルと、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロライド(以下「5−NQD」という) 2モルとのエステル化反応生成物
B2:B2’ 1モルと、5−NQD 4モルとのエステル化反応生成物
B3:B3’ 1モルと、5−NQD 2モルとのエステル化反応生成物
【0059】
(C)フェノール性水酸基含有化合物 25質量部
C1:1−[1−(4−ヒロドキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン
【0060】
(D)有機溶剤
D1:PGMEA
【0061】
上記(A)〜(C)成分と、これら(A)〜(C)成分の合計質量に対して450ppmに相当する量の界面活性剤(製品名「R−08」;大日本インキ化学工業株式会社製)を、(D)成分であるPGMEAに溶解し、固形分[(A)〜(C)成分の合計]濃度が25〜28質量%になるように調整し、これを孔径0.2μmのメンブランフィルターを用いてろ過し、ポジ型ホトレジスト組成物を調製した。
【0062】
(実施例2〜6)、(比較例1〜5)
(A)〜(D)成分を、下記表1に記載したものに代えた以外は、実施例1と同様にしてポジ型ホトレジスト組成物を調製した。ただし、実施例5および実施例6は参考例である。
【0063】
【表1】
Figure 0004071611
【0064】
なお、表1中のA1、B1〜3、C1、及びD1は上記の通りである。
また、(B)成分について、B1/B2/B3(6/1/1)とは、上述の様にB1/B2/B3を6/1/1の質量比で混合して用いたことを示している。
【0065】
また、A2〜8、C2、D2〜3は以下の通りである。
A2:m−クレゾール/3,4−キシレノール=97/3(モル比)の混合フェノール1モルと、プロピオンアルデヒド/ホルムアルデヒド=1/3(モル比)の混合アルデヒド0.86モルを用いて常法により合成した、Mw=7000、Mw/Mn=3.5のノボラック樹脂
【0066】
A3:m−クレゾール/3,4−キシレノール=6/4(モル比)の混合フェノール1モルと、プロピオンアルデヒド/ホルムアルデヒド=1/3(モル比)の混合アルデヒド0.86モルを用いて常法により合成した、Mw=4000、Mw/Mn=2.5のノボラック樹脂
【0067】
A4:m−クレゾール/3,4−キシレノール/2,5−キシレノール=60/15/25(モル比)の混合フェノール1モルと、ホルムアルデヒド/サリチルアルデヒド=4/1(モル比)の混合アルデヒド0.85モルを用いて常法により合成した、Mw=7000、Mw/Mn=3.5のノボラック樹脂
【0068】
A5:m−クレゾール/p−クレゾール/2,3,5−トリメチルフェノール=45/35/25(モル比)の混合フェノール1モルと、ホルムアルデヒド/サリチルアルデヒド=2/1(モル比)の混合アルデヒド0.85モルを用いて常法により合成した、Mw=5000、Mw/Mn=3.5のノボラック樹脂
A6:m−クレゾール/p−クレゾール/2,3,5−トリメチルフェノール=90/5/5(モル比)の混合フェノール1モルと、ホルムアルデヒド/クロトンアルデヒド=2/1(モル比)の混合アルデヒド0.85モルを用いて常法により合成した、Mw=4000、Mw/Mn=3.05のノボラック樹脂
A7:m−クレゾール1モルと、ホルムアルデヒド0.85モルを用いて常法により合成した、Mw=7050、Mw/Mn=3.5のノボラック樹脂
A8:m−クレゾール/p−クレゾール/2,3,5−トリメチルフェノール=45/35/25(モル比)の混合フェノール1モルと、ホルムアルデヒド0.85モルを用いて常法により合成した、Mw=2500、Mw/Mn=1.9のノボラック樹脂
C2:m−クレゾールとホルムアルデヒドとを用いて合成したMw=1300のノボラック低分子量体
D2:2−ヘプタノン
D3:乳酸エチル
【0069】
【表2】
Figure 0004071611
【0070】
LCD用ポジ型ホトレジスト組成物としては、低NA条件下での高解像性が求められる。
また、システムLCD用としては、さらに、リニアリティが求められる。
耐熱性、感度については、LCD用、システムLCD用に共通して求められるものである。
表2に示した結果から明らかな様に、実施例1〜8の組成は、いずれもその条件を満たすものであった。
また、スカムの発生もなく、焦点深度(DOF)の幅も広く、これらの点においても良好なものであった。
【0071】
これに対し、比較例1の組成は、(A)成分が本発明のものとは異なるため、リニアリティ、感度、解像性の評価は良好であったものの、スカムの発生がみられたことから、製品として実用化が困難な材料であった。
比較例2の組成は、(A)成分が本発明のものとは異なるため、感度が100mJと非常に遅く、50mJ程度の高感度化が求められるLCD製造の分野においては、採用が著しく困難な材料であった。
比較例3の組成は、(A)成分が本発明のものとは異なるため、リニアリティが不良であった。
比較例4の組成は、(A)成分が本発明のものとは異なるため、リニアリティが不良であり、焦点深度幅(DOF)も狭かった。
【0072】
【発明の効果】
本発明のLCD用ポジ型ホトレジスト組成物及びレジストパターンの製造方法においては、低NA条件下でも良好な解像度が得られる。また、低NA条件下でのリニアリティにも優れていることから、システムLCDの製造用として好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】低NA条件下におけるリニアリティ評価のために、ポジ型ホトレジスト組成物をガラス基板に塗布し、べークし乾燥し、パターン露光した後、スリットコーターを有する現像装置で現像液を基板端部XからZにかけて液盛りする旨の説明図。

Claims (9)

  1. (A)3,4−キシレノール5〜30モル%、m−クレゾール95〜40モル%およびその他のフェノール類0〜30モル%を含有するフェノール類と、ホルムアルデヒドを60モル%以上含有する混合アルデヒド類との縮合反応により合成され得るアルカリ可溶性ノボラック樹脂を含有するアルカリ可溶性樹脂成分、
    (B)ナフトキノンジアジドエステル化物、
    (C)分子量1000以下のフェノール性水酸基含有化合物、
    (D)プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテートを含有する有機溶剤、
    を含むことを特徴とするLCD製造用ポジ型ホトレジスト組成物。
  2. 上記アルカリ可溶性ノボラック樹脂が、プロピオンアルデヒドとホルムアルデヒドを含有する混合アルデヒド類を用いて合成され得るアルカリ可溶性ノボラック樹脂であることを特徴とする請求項1記載のLCD製造用ポジ型ホトレジスト組成物。
  3. 上記(D)成分中のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテートの含有量が、50〜100質量%であることを特徴とする請求項1または2に記載のLCD製造用ポジ型ホトレジスト組成物。
  4. i線露光プロセス用である請求項1〜のいずれか一項に記載のLCD製造用ポジ型ホトレジスト組成物。
  5. NAが0.3以下の露光プロセス用である請求項1〜のいずれか一項に記載のLCD製造用ポジ型ホトレジスト組成物。
  6. 1つの基板上に集積回路と液晶ディスプレイ部分が形成されたLCD製造用である請求項1〜のいずれか一項に記載のポジ型ホトレジスト組成物。
  7. (1)請求項1〜のいずれか一項に記載のLCD製造用ポジ型ホトレジスト組成物を基板上に塗布し、塗膜を形成する工程、(2)上記塗膜が形成された基板を加熱処理(プリベーク)し、基板上にレジスト被膜を形成する工程、(3)上記レジスト被膜に対し、2.0μm以下のレジストパターン形成用マスクパターンと、2.0μm超のレジストパターン形成用マスクパターンの双方が描かれたマスクを用いて選択的露光を行う工程、(4)上記選択的露光後のレジスト被膜に対し、加熱処理(ポストエクスポージャーベーク)を施す工程、(5)上記加熱処理後のレジスト被膜に対し、アルカリ水溶液を用いた現像処理を施し、上記基板上に、パターン寸法2.0μm以下の集積回路用のレジストパターンと、2.0μm超の液晶ディスプレイ部分用のレジストパターンを同時に形成する工程、(6)上記レジストパターン表面に残った現像液を洗い落とすリンス工程、を含むことを特徴とするレジストパターンの形成方法。
  8. 上記(3)選択的露光を行う工程が、i線を光源に用いた露光プロセスにより行われることを特徴とする請求項に記載のレジストパターンの形成方法。
  9. 上記(3)選択的露光を行う工程が、NAが0.3以下の低NA条件下での露光プロセスにより行われることを特徴とする請求項またはに記載のレジストパターンの形成方法。
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