JP4071451B2 - 絞り装置および空気調和機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、絞り装置および空気調和機に関し、特に、除湿モードを有する空気調和機で除湿用絞り弁として使用される絞り装置および空気調和機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
除湿運転を行える空気調和機として、室内熱交換器が2分割され、その2個の室内熱交換器間に、弁閉状態で絞り弁となる絞り装置(除湿用絞り弁、サイクルドライ弁)が設けられ、除湿運転時には、弁閉して絞り弁として作用する絞り装置の絞り通路を冷媒が流れることにより、2分割された室内熱交換器のうちの上流側の室内熱交換器を凝縮器、下流側の室内熱交換器を蒸発器とし、室内空気に対して下流側の室内熱交換器によって冷却・除湿を行い、上流側の室内熱交換器によって加熱を行い、空気温度を下げずに除湿を行うことができる除湿モード付きの空気調和機が知られている。
【0003】
この種の除湿モード付きの空気調和機は、特開平2−183776号公報、特開平7−91778号(特許第3047702号)公報、特開平11−51514号公報等に示されている。
【0004】
上述のような空気調和機では、除湿運転時に、サイクルドライ用の絞り装置が弁閉状態になり、絞り効果を得るために、絞り装置の狭い絞り通路を冷媒が流れるため、冷媒流が乱れ、当該絞り装置が設置される室内機において、耳障りな冷媒擦過音(冷媒流動音)が発生する。
【0005】
このことに鑑みて、絞り通路に、焼結金属等による多孔質部材を設けたり、多孔質部材によって絞り通路を構成したりし、冷媒が多孔質部材を流れることにより整流化作用を得て冷媒擦過音を低減することが既に提案されている(実開平1−152176号公報、特開2000−346495号公報)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
多孔質部材が設けられることにより、冷媒擦過音は低減するが、しかし、充分な冷媒擦過音低減効果を得るためには、孔寸が小さく空間率が比較的小さい多孔質部材を使用しなくてはならない。
【0007】
しかし、冷媒流中にはコンタミネーションと云われる固形の混入物が存在するから、孔寸が小さく、空間率が小さい多孔質部材が使用されると、長期間の使用において、多孔質部材に混入物が詰まり、多孔質部材における冷媒流量が変化すると云う不具合が生じる。このため、長期間の使用において、安定した除湿運転性能を得ることが難しい。
【0008】
このような、混入物詰まりによる冷媒流量の変動は、絞り通路が、多孔質部材により構成されているもの以外に、絞り通路を螺旋状するなどして、絞り通路長を長くすることによって整流作用を得て、冷媒擦過音を低減するようなものでも起き、やはり、長期間の使用において、安定した除湿運転性能を得ることが難しい。
【0009】
この発明は、上述の如き問題点を解消するためになされたもので、絞り通路における混入物詰まりによる冷媒流量の変動を来すことなく冷媒擦過音を低減でき、長期間の使用においても、安定した除湿運転性能を得ることができる絞り装置および空気調和機を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、この発明による絞り装置は、第1の入出口ポート、第2の入出口ポート、前記第1の入出口ポートと常時連通している弁室、前記弁室と前記第2の入出口ポートとの間に設けられた弁ポートを画定する弁ハウジングと、前記弁室内に設けられて前記弁ポートを開閉する弁体とを有する絞り装置において、前記弁体は、前記弁室に連通するように前記弁ハウジングに一体形成されたプランジャチューブ部内に移動可能に設けられた電磁ソレノイド装置のプランジャに前記プランジャチューブ部内で結合され、前記電磁ソレノイド装置によって前記弁ポートを開閉するように駆動され、前記弁体に、前記弁体の側部に前記プランジャチューブ部内に向かって開口され前記プランジャチューブ部を介して前記弁室に連通する連通孔と前記弁ポートに向けて弁体先端面に開口した中空開口部とを有し弁閉状態にて前記弁室と前記第2の入出口ポートとを前記プランジャチューブ部、前記連通孔及び前記中空開口部を介して連通する内部通路が形成され、前記プランジャチューブ部内にある前記弁体の外周部に、前記連通孔の弁体側部に対する開口部を覆うように混入物捕捉用のフィルタ要素としての円環状の多孔質部材が装着され、前記内部通路に、オリフィス通路と、前記中空開口部に挿入固定された流体流動音低減用の多孔質部材とが順に配置され、弁開時に前記弁室を介して前記第1の入出口ポート及び前記第2の入出口ポート間に流れる冷媒を、弁閉時に前記弁室、前記プランジャチューブ部の内周面と前記円環状の多孔質部材の外周面との間の隙間、前記円環状の多孔質部材、前記連通孔、前記オリフィス通路及び前記流体流動音低減用の多孔質部材を介して流すようにしたものである。
【0011】
この発明による絞り装置によれば、弁閉時には、プランジャチューブ部の内周面と円環状の多孔質部材の外周面との間の隙間→フィルタ要素→オリフィス部材→多孔質部材の順に冷媒が流れ、フィルタ要素によって冷媒流中のコンタミネーション等の混入物捕捉が行われ、オリフィス部材によって絞り効果が得られ、その後に多孔質部材により整流化作用が得られる。
【0012】
また、この発明による絞り装置は、第1の入出口ポート、第2の入出口ポート、前記第1の入出口ポートと常時連通している弁室、前記弁室と前記第2の入出口ポートとの間に設けられた弁ポートを画定する弁ハウジングと、前記弁室内に設けられて前記弁ポートを開閉する弁体とを有する絞り装置において、前記弁体は、前記弁室に連通するように前記弁ハウジングに一体形成されたプランジャチューブ部内に移動可能に設けられた電磁ソレノイド装置のプランジャに前記プランジャチューブ部内で結合され、前記電磁ソレノイド装置によって前記弁ポートを開閉するように駆動され、前記弁体に、前記弁体の側部に前記プランジャチューブ部内に向かって開口され前記プランジャチューブ部を介して前記弁室に連通する連通孔と前記弁ポートに向けて弁体先端面に開口した中空開口部とを有し弁閉状態にて前記弁室と前記第2の入出口ポートとを前記プランジャチューブ部、前記連通孔及び前記中空開口部を介して連通する内部通路が形成され、前記プランジャチューブ部内にある前記弁体の外周部に、前記連通孔の弁体側部に対する開口部を覆うように混入物捕捉用のフィルタ要素としての円環状の多孔質部材が前記弁体とともに移動可能に装着され、前記内部通路に、前記中空開口部に挿入固定され螺旋状の絞り通路を画定する螺旋状絞り通路画定部材が配置され、弁開時に前記弁室を介して前記第1の入出口ポート及び前記第2の入出口ポート間に流れる冷媒を、弁閉時に前記弁室、前記プランジャチューブ部の内周面と前記円環状の多孔質部材の外周面との間の隙間、前記円環状の多孔質部材、前記連通孔、前記螺旋状絞り通路画定部材を介して流すようにしたものである。
【0013】
この発明による絞り装置によれば、弁閉時には、プランジャチューブ部の内周面と円環状の多孔質部材の外周面との間の隙間→フィルタ要素→螺旋状の絞り通路の順に冷媒が流れ、フィルタ要素によって冷媒流中のコンタミネーションの捕捉が行われ、螺旋状の通路長が長い絞り通路によって大きい擦過音を生じることなく絞り効果が得られる。
【0014】
また、混入物捕捉用のフィルタ要素である環状の多孔質部材は、柱状の多孔質部材により混入物捕捉用のフィルタ要素を構成するよりも、フィルタ要素を比較的小さい大きさとしつつフィルタ要素の表面積及び通過断面積を大きく確保することができる。
特に、環状の多孔質部材は、弁室に連通するように弁ハウジングに一体形成されたプランジャチューブ部内に移動可能に設けられている電磁ソレノイド装置のプランジャとプランジャチューブ部内で結合されている弁体のプランジャチューブ部内にある外周部に、弁体とともに移動可能に装着されている。したがって、弁開時に弁室を介して第1の入出口ポート及び前記第2の入出口ポート間に冷媒が流れても、環状の多孔質部材は、弁室に連通されていて冷媒は存在するが流れのほとんど無い空所に収容されていて、弁開時に冷媒が流れる通路に存在しないことになり、その表面が弁開時の冷媒の流れに直接曝されることがない。
【0015】
また、この発明による空気調和機は、圧縮機と、室外熱交換器と、第1の室内熱交換器と、第2の室内熱交換器と、これらをループ接続する冷媒通路と、前記室外熱交換器と前記第1の室内熱交換器との間の冷媒通路に設けられた膨張弁とを有し、前記第1の室内熱交換器と前記第2の室内熱交換器との間に上述の発明による絞り装置が接続されているものである。
【0016】
この発明による空気調和機によれば、絞り装置は、弁閉することにより、第1の室内熱交換器と第2の室内熱交換器との間で、絞り作用を行い、除湿用絞り弁として機能する。
【0017】
この発明による空気調和機においては、冷房モード時における冷媒流れで見て前記流体流動音低減用の多孔質部材より上流側に前記混入物捕捉用のフィルタ要素が位置するように前記絞り装置を接続することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に添付の図を参照してこの発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1、図2はこの発明による絞り装置10の実施の形態1を示している。
【0019】
絞り装置10は金属製の弁ハウジング11を有している。弁ハウジング11は、第1の入出口ポート12と、第2の入出口ポート13と、第1の入出口ポート12と常時直接連通している弁室14と、弁室14と第2の入出口ポート13との間に設けられた弁ポート15とを画定している。弁ポート15の弁室14の側の開口端周りには弁座部16が画定されている。
【0020】
弁室14には弁体17が図にて上下方向(弁リフト方向)に移動可能に設けられている。弁体17は、先端外周面17Aにて弁ポート15の周りに画定されている弁座部16に着座して弁ポート15を閉じる弁閉位置と、弁座部16より離れて弁ポート15の連通を確立する弁開位置との間に移動可能になっている。
【0021】
弁体17は、弁ポート15の真上位置にあり、弁ポート15に向かい合う先端面に開口した中空開口部18を有している。中空開口部18には、混入物捕捉用のフィルタ要素としての多孔質部材19と、流体流動音低減用の多孔質部材20と、オリフィス孔21を有するオリフィス部材22と、流体流動音低減用の多孔質部材23とが順に挿入固定されている。中空開口部18は中空開口部18の奥部に位置する多孔質部材19の側に内部空間部18Aを有し、内部空間部18Aは弁体17の側部に開口した連通孔24によって弁室14と連通している。
【0022】
この実施の形態では、弁体17にオリフィス通路25が直接形成されている。オリフィス通路25は、一方において弁体17の側部に開口した連通孔24によって弁室14と連通し、他方において弁ポート15に向かい合う弁体先端面に開口した中空開口部18に連通している。
【0023】
上述の中空開口部18、オリフィス通路25、連通孔24により、一方において弁室14に向けて開口し、他方において弁ポート15に向けて開口し、弁閉状態にて弁室14と第2の入出口ポート13とを連通する内部通路が構成される。
【0024】
図示のように、弁体の外周部には、連通孔24の弁体側部に対する開口部を覆うように混入物捕捉用のフィルタ要素としての円環状の多孔質部材19が弁体17とともに移動可能に装着され、中空開口部18には流体流動音低減用の2個の多孔質部材23A、23Bが挿入固定されている。
【0025】
多孔質部材19、23A、23Bは、各々焼結成形による多孔質金属等により構成され、流体流動音低減用の多孔質部材23A、23Bは、多孔質部材23A、23Bの通路断面積の方がオリフィス通路25の通路断面積より大きくなるような空間率になっており、混入物捕捉用の多孔質部材19は、多孔質部材19の通路断面積の方が流体流動音低減用の多孔質部材23A、23Bの通路断面積より大きくなるような空間率になっている。これは、混入物捕捉用の多孔質部材19の通路断面積が流体流動音低減用の多孔質部材23A、23Bの通路断面積より大きいことを意味する。
【0026】
この実施の形態では、弁閉状態時には、図4に示されているように、プランジャチューブ部の内周面と円環状の多孔質部材の外周面との間の隙間と、弁体17に形成されている中空開口部18、オリフィス通路25、連通孔24による内部通路とによって、弁室14と第2の入出口ポート13とが連通し、第1の入出口ポート12が高圧側で、第2の入出口ポート13が低圧側である場合には、プランジャチューブ部の内周面と円環状の多孔質部材の外周面との間の隙間→空間率大の多孔質部材19→オリフィス通路25→空間率小の多孔質部材23A、23Bの順に冷媒が流れる。
【0027】
これにより、空間率大の多孔質部材19によって流体流中のコンタミネーションの捕捉が行われると共に液流中の気泡の細分化が行われ、そしてオリフィス通路25によって所要の絞り効果が得られ、空間率小の多孔質部材23A、23Bにより整流化作用が得られる。これらの作用により、長期間の使用においても、多孔質部材23A、23Bや絞り通路25にコンタミネーションが詰まることがなく、安定した絞り効果が得られると共に、流体流動音が低減し、静音性が向上する。
【0028】
なお、必要に応じて多孔質部材23Aの空間率を多孔質部材23Bの空間率より大きくし、段階的に整流化作用が得られるようにすることもできる。
【0029】
弁ハウジング11には電磁ソレノイド装置30が取り付けられている。電磁ソレノイド装置30は、弁ハウジング11に弁室14に連通するように一体形成されたプランジャチューブ部31と、プランジャチューブ部31内に移動可能に設けられたプランジャ32と、プランジャチューブ部31の先端部に固定されたプラグ状のコイルガイド部材33と、プランジャチューブ部31の外側にボルト34によってコイルガイド部材33に取り付けられたコの字形の外凾35と、プランジャチューブ部31の外周囲に固定された電磁コイル部36と、プランジャ32をコイルガイド部材33側に付勢する圧縮コイルばね(弁開ばね)37とにより構成されている。
【0030】
弁体17は、図示のようにランジャチューブ部31内でステム部17Bによってプランジャ32とかしめ結合されている。これにより、電磁ソレノイド装置30は、電磁コイル部36に通電が行われていない非通電時には圧縮コイルばね37のばね力によってプランジャ32と共に弁体17を上方(弁開方向)へ駆動し、これに対し、電磁コイル部36に通電が行われている通電時には、プランジャ32が圧縮コイルばね37のばね力に抗して外凾35の下側片部35A側に磁気的に吸引されることにより、弁体17を下方(弁閉方向)へ駆動する。
なお、連通孔24は、図示のように、プランジャチューブ部31内でプランジャ32と結合されている弁体17の側部にプランジャチューブ部31内に向かって開口され、プランジャチューブ部31を介して弁室14に連通されている。連通孔24と中空開口部18とを有する弁体17に形成された内部通路18Aは、弁閉状態にて弁室14と第2の入出口ポート13とをプランジャチューブ部32、連通孔24及び中空開口部18を介して連通する。連通孔24の弁体側部に対する開口部を覆うように円環状の多孔質部材19が装着された弁体17の外周部はプランジャチューブ部32内にある。
【0031】
すなわち、電磁ソレノイド装置30は、非通電時には圧縮コイルばね37のばね力により弁体17を弁座部16より引き離した弁開位置へ駆動し、通電時には圧縮コイルばね37のばね力に抗して弁体17を弁座部16に着座させる弁閉位置へ駆動する常開型になっている。要するに、弁体17は、電磁コイル部36に通電、非通電される電磁ソレノイド装置30によって弁ポート15を開閉するように駆動される。
【0032】
電磁ソレノイド装置30に通電が行われていない状態では、図1に示されているように、電磁ソレノイド装置30の圧縮コイルばね37のばね力によってプランジャ32と共に弁体17が持ち上げられて弁座部16より離れ、弁ポート15が完全に開かれた全開の実質的な絞り作用がない弁開状態が得られる。
この弁開状態では、図示のように、冷媒は弁室14を介して第1の入出口ポート12及び第2の入出口ポート13間に流れる。このように、弁開時に弁室14を介して第1の入出口ポート12及び第2の入出口ポート13間に冷媒が流れても、環状の多孔質部材19は、弁室14に連通するように弁ハウジング11に一体形成されたプランジャチューブ部32内に移動可能に設けられている電磁ソレノイド装置30のプランジャ32とプランジャチューブ部30内で結合されている弁体17のプランジャチューブ部内にある外周部に、弁体17とともに移動可能に装着されていて、弁室14に連通されていて冷媒は存在するが流れのほとんど無い空所に収容されており、弁開時に冷媒が流れる通路に存在しないことになり、その表面が弁開時の冷媒の流れに直接曝されることがない。
【0033】
電磁ソレノイド装置30に通電が行われると、圧縮コイルばね37のばね力に抗してプランジャ32が外凾35の下側片部35Aの側に磁気的に吸引され、弁体17が弁閉方向へ駆動され、弁体17が先端外周面17Aをもって弁座部16に着座する。
【0034】
この弁閉状態では、図2に示されているように、弁体17に形成されている中空開口部18、オリフィス通路25、連通孔24による内部通路によって、弁室14と第2の入出口ポート13とが連通し、冷媒は弁室14、プランジャチューブ部の内周面と多孔質部材の外周面との間の隙間、多孔質部材19、連通孔24、オリフィス通路25及び流体流動音低減用の多孔質部材23A、23Bを介して第1の入出口ポート12及び第2の入出口ポート13間に流れる。第1の入出口ポート12が高圧側で、第2の入出口ポート13が低圧側である場合には、プランジャチューブ部の内周面と多孔質部材の外周面との間の隙間→空間率大の多孔質部材19→オリフィス通路25→空間率小の多孔質部材23A、23Bの順に冷媒が流れる。
【0035】
これにより、空間率大の多孔質部材19によって流体流中のコンタミネーションの捕捉が行われると共に液流中の気泡の細分化が行われ、そしてオリフィス通路25によって所要の絞り効果が得られ、空間率小の多孔質部材23A、23Bにより整流化作用が得られる。これらの作用により、長期間の使用においても、多孔質部材23A、23Bや絞り通路25にコンタミネーションが詰まることがなく、安定した絞り効果が得られると共に、流体流動音が低減し、静音性が向上する。
また、環状の多孔質部材19の表面が弁開時の冷媒の流れに直接曝されることがないので、長期間の使用においても、フィルタ要素である環状の多孔質部材19における混入物詰まりによる冷媒の流量の変動も来すことなく、長期間の使用において流体擦過音の低減を維持しつつ安定した除湿運転性能を得ることができる。
【0036】
なお、必要に応じて多孔質部材23Aの空間率を多孔質部材23Bの空間率より大きくし、段階的に整流化作用が得られるようにすることもできる。
【0037】
3、図4はこの発明による絞り装置10の実施の形態2を示している。なお、図3、図4においても、図1、図2に対応する部分は、図1、図2に付した符号と同一の符号を付けて、その説明を省略する。
【0038】
この実施の形態では、弁体17の中空開口部18に、雄ねじ切りされた螺旋溝形成体27が挿入固定され、螺旋溝形成体27の外周面と中空開口部18の内周面との間に螺旋状の絞り通路28が画定されている。連通孔24の弁体側部に対する開口部には混入物捕捉用のフィルタ要素としての円環状の多孔質部材19が装着されている。
【0039】
絞り通路28が螺旋通路として構成されることにより、絞り通路28の通路長が長くなり、通路長が長い絞り通路28を流体ながれることによって整流化作用が得られ、流体流動音が低減して静音性が向上する。また、空間率大の多孔質部材19によって流体流中のコンタミネーションの捕捉が行われると共に液流中の気泡の細分化が行われ、空間率が大の多孔質部材19によって流体流中のコンタミネーションが捕捉される。
【0040】
これにより、長期間の使用においても、絞り通路28にコンタミネーションが詰まることがなく、安定した絞り効果が得られる、
【0041】
図5は上述した実施の形態1又は2による絞り装置10をサイクルドライ弁として組み込まれた空気調和機を示している。
【0042】
この空気調和機は、圧縮機50と、室外熱交換器51と、第1の室内熱交換器52と、第2の室内熱交換器53と、これらをループ接続する冷媒通路55、56、57、58A、58B、59、60A、60B、61と、室外熱交換器51と第1の室内熱交換器52との間の冷媒通路(57−58A、58B)に設けられた膨張弁54と、冷房モードと暖房モードとの切換のためにループ接続された冷媒通路55〜61における冷媒の流れ方向を反転する四方弁62とを有している。
【0043】
第1の室内熱交換器52と第2の室内熱交換器53との間の冷媒通路59には絞り装置(サイクルドライ弁)10が接続されている。
【0044】
冷房モードでは、図5にて実線の矢印で示されている方向に冷媒が循環し、絞り装置10が弁開している状態で、冷房モードが得られ、絞り装置10が弁閉している状態では、当該絞り装置10が絞り弁として作用し、冷房サイクルドライモード(冷房時除湿)が得られる。
【0045】
冷房サイクルドライモードにおいては、絞り装置10の絞り部(オリフィス孔21、オリフィス通路25、絞り通路28等)より冷媒流で見て上流側にフィルタ手段としての空間率大の多孔質部材19が存在することになる。これにより、絞り部より上流側で冷媒流中のコンタミネーションの捕捉が行われ、絞り部がコンタミネーションによって汚染されることがなく、長期間の使用においても、絞り効果が変動することがなく、冷房サイクルドライモードの性能が低下することがない。
【0046】
また、絞り装置10は空気調和機の室内機に設けられるが、絞り装置10には、流体流動音低減用の多孔質部材22、23等が設けられていたり、絞り通路28自体が整流化作用を奏するように構成されているから、耳障りな冷媒擦過音が生じることもない。
【0047】
なお、暖房モードでは、図5の矢印で示されている方向とは逆方向に冷媒が循環し、通常、絞り装置10は弁開状態を維持する。
【0049】
【発明の効果】
以上の説明から理解される如く、この発明による絞り装置によれば、弁室に向けて弁体の側部に開口した連通孔と弁ポートに向けて弁体先端面に開口した中空開口部とを有する連通孔が弁閉状態にて弁室と第2の入出口ポートとを連通し、連通孔の弁体側部に対する開口部を覆うように円環状の多孔質部材による混入物捕捉用のフィルタ要素が弁体の外周部に装着され、内部通路に配置されたオリフィス通路の下流側の中空開口部に流体流動音低減用の多孔質部材が挿入固定されて配置されていることにより、あるいは、内部通路の中空開口部に螺旋状の絞り通路を画定する螺旋状絞り通路画定部材が挿入固定されて配置されていることにより、弁体の外周部に装着された環状の多孔質部材による混入物捕捉用のフィルタ要素の表面積及び通過断面積を大きく確保することができ、絞り部分における混入物詰まりによる冷媒の流量の変動を来すことなく流体擦過音を低減でき、長期間の使用においても、絞り部分にコンタミネーションが詰まることがなく、安定した絞り効果が得られる。また、環状の多孔質部材の表面が弁開時の冷媒の流れに直接曝されることがないことによっても、長期間の使用においても、フィルタ要素における混入物詰まりによる冷媒の流量の変動も来すことなく、長期間の使用において流体擦過音の低減を維持しつつ安定した除湿運転性能を得ることができる。
【0050】
また、この発明による空気調和機によれば、第1の室内熱交換器と第2の室内熱交換器との間に、上述の絞り装置が接続されていることにより、冷房モードにおいて、絞り装置が弁閉状態になることにより、除湿運転が行われる。この空気調和機に組み込まれる絞り装置は、流体擦過音が小さく、絞り部をコンタミネーションによって汚染されることがなく、長期間の使用においても、絞り効果が変動することがなく、冷房サイクルドライモードの性能が低下することがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明による絞り装置の実施の形態1を示す弁開状態の断面図である。
【図2】 この発明による絞り装置の実施の形態1の要部の弁閉状態の拡大断面図である。
【図3】 この発明による絞り装置の実施の形態2を示す弁開状態の断面図である。
【図4】 この発明による絞り装置の実施の形態2の要部の弁閉状態の拡大断面図である。
【図5】 この発明による絞り装置が組み込まれた空気調和機を示すブロック図である。
【符号の説明】
10 絞り装置
11 弁ハウジング
12 第1の入出口ポート
13 第2の入出口ポート
14 弁室
15 弁ポート
16 弁座部
17 弁体
18 中空開口部
19 多孔質部材
23A、23B 多孔質部材
24 連通孔
25 オリフィス通路
26A、26B 多孔質部材
27 螺旋形成部材
28 絞り通路
30 電磁ソレノイド装置
32 プランジャ
36 電磁コイル部
50 圧縮機
51 室外熱交換器
52 第1の室内熱交換器
53 第2の室内熱交換器
54 膨張弁
62 四方弁

Claims (4)

  1. 第1の入出口ポート、第2の入出口ポート、前記第1の入出口ポートと常時連通している弁室、前記弁室と前記第2の入出口ポートとの間に設けられた弁ポートを画定する弁ハウジングと、前記弁室内に設けられて前記弁ポートを開閉する弁体とを有する絞り装置において、
    前記弁体は、前記弁室に連通するように前記弁ハウジングに一体形成されたプランジャチューブ部内に移動可能に設けられた電磁ソレノイド装置のプランジャに前記プランジャチューブ部内で結合され、前記電磁ソレノイド装置によって前記弁ポートを開閉するように駆動され、
    前記弁体に、前記弁体の側部に前記プランジャチューブ部内に向かって開口され前記プランジャチューブ部を介して前記弁室に連通する連通孔と前記弁ポートに向けて弁体先端面に開口した中空開口部とを有し弁閉状態にて前記弁室と前記第2の入出口ポートとを前記プランジャチューブ部、前記連通孔及び前記中空開口部を介して連通する内部通路が形成され、
    前記プランジャチューブ部内にある前記弁体の外周部に、前記連通孔の弁体側部に対する開口部を覆うように混入物捕捉用のフィルタ要素としての円環状の多孔質部材が装着され、
    前記内部通路に、オリフィス通路と、前記中空開口部に挿入固定された流体流動音低減用の多孔質部材とが順に配置され
    弁開時に前記弁室を介して前記第1の入出口ポート及び前記第2の入出口ポート間に流れる冷媒を、弁閉時に前記弁室、前記プランジャチューブ部の内周面と前記円環状の多孔質部材の外周面との間の隙間、前記円環状の多孔質部材、前記連通孔、前記オリフィス通路及び前記流体流動音低減用の多孔質部材を介して流すようにした
    とを特徴とする絞り装置。
  2. 第1の入出口ポート、第2の入出口ポート、前記第1の入出口ポートと常時連通している弁室、前記弁室と前記第2の入出口ポートとの間に設けられた弁ポートを画定する弁ハウジングと、前記弁室内に設けられて前記弁ポートを開閉する弁体とを有する絞り装置において、
    前記弁体は、前記弁室に連通するように前記弁ハウジングに一体形成されたプランジャチューブ部内に移動可能に設けられた電磁ソレノイド装置のプランジャに前記プランジャチューブ部内で結合され、前記電磁ソレノイド装置によって前記弁ポートを開閉するように駆動され、
    前記弁体に、前記弁体の側部に前記プランジャチューブ部内に向かって開口され前記プランジャチューブ部を介して前記弁室に連通する連通孔と前記弁ポートに向けて弁体先端面に開口した中空開口部とを有し弁閉状態にて前記弁室と前記第2の入出口ポートとを前記プランジャチューブ部、前記連通孔及び前記中空開口部を介して連通する内部通路が形成され、
    前記プランジャチューブ部内にある前記弁体の外周部に、前記連通孔の弁体側部に対する開口部を覆うように混入物捕捉用のフィルタ要素としての円環状の多孔質部材が装着され、
    前記内部通路の前記中空開口部に、螺旋状の絞り通路を画定する螺旋状絞り通路画定部材が挿入固定されて配置され
    弁開時に前記弁室を介して前記第1の入出口ポート及び前記第2の入出口ポート間に流れる冷媒を、弁閉時に前記弁室、前記プランジャチューブ部の内周面と前記円環状の多孔質部材の外周面との間の隙間、前記円環状の多孔質部材、前記連通孔、前記螺旋状絞り通路画定部材を介して流すようにした
    とを特徴とする絞り装置。
  3. 圧縮機と、室外熱交換器と、第1の室内熱交換器と、第2の室内熱交換器と、これらをループ接続する冷媒通路と、前記室外熱交換器と前記第1の室内熱交換器との間の冷媒通路に設けられた膨張弁とを有し、前記第1の室内熱交換器と前記第2の室内熱交換器との間に請求項1又は2記載の絞り装置が接続されていることを特徴とする空気調和機。
  4. 冷房モード時における冷媒流れで見て前記流体流動音低減用の多孔質部材より上流側に前記混入物捕捉用のフィルタ要素が位置するように前記絞り装置が接続されていることを特徴とする請求項3記載の空気調和機。
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