JP4070741B2 - 貴金属又は銅の固体ゾル及び製造方法並びに塗料組成物及び樹脂組成物 - Google Patents
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Description
(1)顔料親和性基を主鎖及び/又は複数の側鎖に有し、かつ、溶媒和部分を構成する複数の側鎖を有する櫛形構造の高分子(2)主鎖中に顔料親和性基からなる複数の顔料親和部分を有する高分子(3)主鎖の片末端に顔料親和性基からなる顔料親和部分を有する直鎖状の高分子
1000mMの塩化金酸水溶液10mlをビーカーにとり、アセトン90mlで希釈した後、高分子量顔料分散剤(ソルスパース24000(商品名)、軟化温度60℃、ゼネカ社製)を1g溶解させた。高分子量顔料分散剤が完全に溶解してから、ジメチルアミノエタノールを5ml加えて、鮮やかで濃厚な赤色の金コロイド溶液を得た。得られた金コロイド溶液を減圧下に加熱し、アセトンを除去した。高分子量顔料分散剤(ソルスパース24000、軟化温度60℃、ゼネカ社製)は、水に不溶性なので、アセトン量の減少に伴い、高分子量顔料分散剤に保護された金コロイドが析出・沈殿した。上澄みの水層をデカンテーションで除去し、更にイオン交換水で沈殿物を洗浄した後、完全に乾燥させて金の固体ゾルを得た。得られた固体ゾルは、金属光沢を示した。濃度は、高分子量顔料分散剤1kgあたり、10molであった。
実施例1で得られた金の固体ゾルをトルエン10mlに加えて攪拌し、固体ゾルを完全に溶解させて、濃厚で鮮やかな赤色の金コロイドのトルエン溶液(オルガノゾル)を得た。この金コロイド溶液は、3カ月以上貯蔵しても、色の変化や沈殿の生成がなく、極めて安定であった。
トルエンの代わりにメチルイソブチルケトン(MIBK)を用いたこと以外は、実施例2と同様にして、濃厚で鮮やかな赤色の金コロイドのMIBK溶液(オルガノゾル)を得た。この金コロイド溶液は、3カ月以上貯蔵しても、色の変化や沈殿の生成がなく、極めて安定であった。
実施例2で得られた金の固体ゾルのトルエン溶液を、短油アルキド樹脂(水酸基価80、酸価6、固形分56%)25g、メラミン樹脂(ユーバン128(商品名)、固形分60%、三井東圧社製)10gと混合し、溶剤型塗料を作製した。この塗料をガラス板上に125μmのアプリケーターで塗布し、室温で15分乾燥させた後、140℃で20分焼き付けて、鮮やかな赤色の硬化塗膜を得た。
実施例1で得られた金の固体ゾルを、メチルメタクリレート(MMA)100mlに溶解させた。固体ゾルを完全に溶解させ、鮮やかな赤色の金コロイドのMMA溶液を得た。得られた金コロイドのMMA溶液に、t−ブチルパーオクトエートを0.2g加え、80℃で4時間加熱して、金コロイドの鮮やかな赤色を失っていないポリメチルメタクリレートの塊状物を得た。
塩化金酸の代わりに、硝酸銀を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、鮮やかで濃厚な黄色の銀コロイド溶液を得た。得られた銀コロイド溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、銀の固体ゾルを得た。得られた固体ゾルは、金属光沢を示した。濃度は、高分子量顔料分散剤1kgあたり、10molであった。
実施例6で得られた銀の固体ゾルを、キシレン10mlに加えて攪拌し、固体ゾルを完全に溶解させて、濃厚で鮮やかな黄色の銀コロイドのキシレン溶液(オルガノゾル)を得た。この銀コロイド溶液は、3カ月以上貯蔵しても、色の変化や沈殿の生成がなく、極めて安定であった。
実施例6で得られた銀の固体ゾルを用いたこと以外は、実施例5と同様にして、鮮やかな黄色のポリメチルメタクリレートの塊状物を得た。
1000mMの硝酸銀水溶液10mlをビーカーにとり、アセトン90mlで希釈した後、高分子量顔料分散剤(ディスパービック161(商品名)、軟化温度100℃、ビックケミー社製)を3g溶解させた。高分子量顔料分散剤が完全に溶解してから、ジメチルアミノエタノールを5ml加えて、鮮やかで濃厚な黄色の銀コロイド溶液を得た。得られた銀コロイド溶液を多量のヘキサン中に投入した。高分子量顔料分散剤(ディスパービック161)は、ヘキサンに不溶なので、高分子量顔料分散剤に保護された銀コロイドが析出・沈降した。沈降物を濾別し、更にヘキサンで洗浄した後、完全に乾燥させて銀の固体ゾルを得た。濃度は、高分子量顔料分散剤1kgあたり、11molであった。
実施例9で得られた銀の固体ゾルを、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)10mlに溶解して、鮮やかで濃厚な黄色の銀コロイド溶液を得た。この銀コロイド溶液は、3カ月以上貯蔵しても、色の変化や沈殿の生成がなく、極めて安定であった。
100mMの塩化銅(II)水溶液10mlをビーカーにとり、アセトン90mlで希釈した後、高分子量顔料分散材(ソルスパース28000(商品名)、軟化温度0℃以下、ゼネカ社製)を1g溶解させた。高分子量顔料分散剤が完全に溶解してから、2Mの水素化ホウ素ナトリウム水溶液を10ml加えて、鮮やかで濃厚な赤色の銅コロイドを得た。得られた銅コロイド溶液を減圧下に加熱し、アセトンを除去した。高分子量顔料分散剤(ソルスパース28000、軟化温度0℃以下、ゼネカ社製)は、水に不溶性なので、アセトン量の減少に伴い、高分子量顔料分散剤に保護された銅コロイドが析出・沈殿した。上澄みの水層をデカンテーションで除去し、更にイオン交換水で沈殿物を洗浄した後、完全に乾燥させて銅の固体ゾルを得た。得られた固体ゾルの濃度は、高分子量顔料分散剤1kgあたり、1000mmolであった。
高分子顔料分散剤としてソルスパース24000の代わりにソルスパース28000(軟化温度0℃、ゼネカ社製)を1g用いたこと以外は、実施例1と同様にして金の固体ゾルを得た。得られた固体ゾルは、室温では濃赤色の高粘度油状物となった。濃度は、高分子量顔料分散剤1kgあたり10molであった。
実施例12で得られた金の固体ゾルを、実施例2と同様にして鮮やかな赤色の金コロイドのトルエン溶液を得た。この金コロイド溶液は3ヵ月以上貯蔵しても色の変化や沈殿の生成がなく、極めて安定であった。
高分子顔料分散剤としてソルスパース24000の代わりにディスパービック161(軟化温度100℃、ビックケミー社製)を3g用いたこと以外は、実施例1と同様にして金の固体ゾルを得た。得られた固体ゾルは、金属光沢を示した。濃度は、高分子量顔料分散剤1kgあたり11molであった。
実施例14で得られた金の固体ゾルを、実施例2と同様にして鮮やかな赤色の金コロイドのトルエン溶液を得た。この金コロイド溶液は3ヵ月以上貯蔵しても色の変化や沈殿の生成がなく、極めて安定であった。
高分子顔料分散剤としてソルスパース24000の代わりにポリマー401(商品名)(EFKAケミカル社製)を2g用いたこと以外は、実施例1と同様にして金の固体ゾルを得た。得られた固体ゾルは、金属光沢を示した。濃度は、高分子量顔料分散剤1kgあたり10molであった。
実施例16で得られた金の固体ゾルを、実施例2と同様にして鮮やかな赤色の金コロイドのトルエン溶液を得た。この金コロイド溶液は3ヵ月以上貯蔵しても色の変化や沈殿の生成がなく、極めて安定であった。
高分子顔料分散剤としてソルスパース24000の代わりにフローレンDOPA−22(商品名)(共栄社化学社製)を2.5g用いたこと以外は、実施例1と同様にして金の固体ゾルを得た。得られた固体ゾルは、金属光沢を示した。濃度は、高分子量顔料分散剤1kgあたり10molであった。
実施例18で得られた金の固体ゾルを、実施例2と同様にして鮮やかな赤色の金コロイドのトルエン溶液を得た。この金コロイド溶液は3ヵ月以上貯蔵しても色の変化や沈殿の生成がなく、極めて安定であった。
ジメチルアミノエタノールの代わりにメチルジエタノールアミンを5.5ml用いる以外は、実施例1と同様にして金の固体ゾルを得た。得られた固体ゾルは、金属光沢を示した。濃度は、高分子量顔料分散剤1kgあたり10molであった。
実施例20で得られた金の固体ゾルを、実施例2と同様にして鮮やかな赤色の金コロイドのトルエン溶液を得た。この金コロイド溶液は3ヵ月以上貯蔵しても色の変化や沈殿の生成がなく、極めて安定であった。
ジメチルアミノエタノールの代わりにジメチルエチルアミンを5ml用いる以外は、実施例1と同様にして金の固体ゾルを得た。得られた固体ゾルは、金属光沢を示した。濃度は、高分子量顔料分散剤1kgあたり10molであった。
実施例22で得られた金の固体ゾルを、実施例2と同様にして鮮やかな赤色の金コロイドのトルエン溶液を得た。この金コロイド溶液は3ヵ月以上貯蔵しても色の変化や沈殿の生成がなく、極めて安定であった。
ジメチルアミノエタノールの代わりにN,N,N′,N′−テトラメチル−1,3ジアミノプロパンを8ml用いる以外は、実施例1と同様にして金の固体ゾルを得た。得られた固体ゾルは、金属光沢を示した。濃度は、高分子量顔料分散剤1kgあたり1000mmolであった。
実施例24で得られた金の固体ゾルを、実施例2と同様にして鮮やかな赤色の金コロイドのトルエン溶液を得た。この金コロイド溶液は3ヵ月以上貯蔵しても色の変化や沈殿の生成がなく、極めて安定であった。
高分子量顔料分散剤としてソルスパース24000の代わりにソルスパース28000(軟化温度0℃、ゼネカ社製)を1g用いる以外は、実施例6と同様にして銀の固体ゾルを得た。得られた固体ゾルは室温で濃褐色の高粘度油状物となった。濃度は、高分子量顔料分散剤1kgあたり10molであった。
実施例26で得られた銀の固体ゾルを、実施例7と同様にして鮮やかな黄色の銀コロイドのキシレン溶液を得た。この銀コロイド溶液は3ヵ月以上貯蔵しても色の変化や沈殿の生成がなく、極めて安定であった。
高分子量顔料分散剤としてソルスパース24000の代わりにポリマー401(EFKAケミカル社製)を2g用いる以外は、実施例6と同様にして銀の固体ゾルを得た。得られた固体ゾルは金属光沢を示した。濃度は、高分子量顔料分散剤1kgあたり10molであった。
実施例28で得られた銀の固体ゾルを、実施例7と同様にして鮮やかな黄色の銀コロイドのキシレン溶液を得た。この銀コロイド溶液は3ヵ月以上貯蔵しても色の変化や沈殿の生成がなく、極めて安定であった。
ジメチルアミノエタノールの代わりにメチルジエタノールアミンを5.5ml用いたこと以外は、実施例6と同様にして銀の固体ゾルを得た。得られた固体ゾルは金属光沢を示した。濃度は、高分子量顔料分散剤1kgあたり10molであった。
実施例30で得られた銀の固体ゾルを、実施例7と同様にして鮮やかな黄色の銀コロイドのキシレン溶液を得た。この銀コロイド溶液は3ヵ月以上貯蔵しても色の変化や沈殿の生成がなく、極めて安定であった。
ジメチルアミノエタノールの代わりにジメチルエチルアミンを5ml用いたこと以外は、実施例6と同様にして銀の固体ゾルを得た。得られた固体ゾルは金属光沢を示した。濃度は、高分子量顔料分散剤1kgあたり10molであった。
実施例32で得られた銀の固体ゾルを、実施例7と同様にして鮮やかな黄色の銀コロイドのキシレン溶液を得た。この銀コロイド溶液は3ヵ月以上貯蔵しても色の変化や沈殿の生成がなく、極めて安定であった。
Claims (21)
- 貴金属又は銅のコロイド粒子及び高分子量顔料分散剤を含み、
前記高分子量顔料分散剤は、顔料親和性基を主鎖及び/若しくは複数の側鎖に有し、かつ、溶媒和部分を構成する複数の側鎖を有する櫛形構造の高分子であり、
前記顔料親和性基は、第3級アミノ基、第4級アンモニウム、塩基性窒素原子を有する複素環基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、フェニル基、ラウリル基、ステアリル基、ドデシル基、オレイル基であり、
前記複数の側鎖を有する櫛形構造の高分子は、数平均分子量が2000〜1000000のものであることを特徴とする貴金属又は銅の固体ゾル。 - 貴金属は、金、銀及び白金のうち少なくとも1種である請求項1記載の貴金属又は銅の固体ゾル。
- 顔料親和性基を主鎖及び/又は複数の側鎖に有し、かつ、溶媒和部分を構成する複数の側鎖を有する櫛形構造の高分子は、顔料親和性基が1分子中に2〜3000個存在しており、溶媒和部分を構成する側鎖が1分子中に2〜1000存在している請求項1又は2記載の貴金属又は銅の固体ゾル。
- 高分子量顔料分散剤は、軟化温度が30℃以上のものである請求項1〜3のいずれかに記載の貴金属又は銅の固体ゾル。
- 貴金属又は銅のコロイド粒子は、高分子量顔料分散剤1kgあたり、50mmol以上含有される請求項1〜4のいずれかに記載の貴金属又は銅の固体ゾル。
- 貴金属又は銅の化合物を、溶媒に溶解し、高分子量顔料分散剤を添加した後、貴金属又は銅に還元して前記高分子量顔料分散剤で保護された貴金属又は銅のコロイド粒子を形成し、その後、前記溶媒を除去することにより固体ゾルとする貴金属又は銅の固体ゾルの製造方法であって、
前記高分子量顔料分散剤は、顔料親和性基を主鎖及び/若しくは複数の側鎖に有し、かつ、溶媒和部分を構成する複数の側鎖を有する櫛形構造の高分子であり、
前記顔料親和性基は、第3級アミノ基、第4級アンモニウム、塩基性窒素原子を有する複素環基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、フェニル基、ラウリル基、ステアリル基、ドデシル基、オレイル基であり、
前記複数の側鎖を有する櫛形構造の高分子は、数平均分子量が2000〜1000000のものである貴金属又は銅の固体ゾルの製造方法。 - 溶媒は、水及び水可溶性有機溶媒からなるものである請求項6記載の貴金属又は銅の固体ゾルの製造方法。
- 貴金属又は銅の化合物を水に溶解した後、水可溶性有機溶媒を添加する請求項7記載の貴金属又は銅の固体ゾルの製造方法。
- 貴金属又は銅の化合物は、50mM以上となるように水に溶解される請求項7又は8記載の貴金属又は銅の固体ゾルの製造方法。
- 水可溶性有機溶媒を、水に対する体積比が1.0以上となる割合で添加する請求項7、8又は9記載の貴金属又は銅の固体ゾルの製造方法。
- 高分子量顔料分散剤で保護された貴金属又は銅のコロイド粒子を形成した後、水可溶性有機溶媒を蒸発させて前記高分子量顔料分散剤で保護された貴金属又は銅のコロイド粒子を沈殿させ、その後、水を除去して固体ゾルとする請求項7、8、9又は10記載の貴金属又は銅の固体ゾルの製造方法。
- 高分子量顔料分散剤は、水不溶性のものである請求項11記載の貴金属又は銅の固体ゾルの製造方法。
- 水可溶性有機溶媒は、蒸発速度が水より大きいものである請求項11又は12記載の貴金属又は銅の固体ゾルの製造方法。
- 高分子量顔料分散剤で保護された貴金属又は銅のコロイド粒子を形成した後、過剰量の非極性有機溶媒を添加して前記高分子量顔料分散剤で保護された貴金属又は銅のコロイド粒子を沈殿させ、その後、溶媒を除去する請求項7、8、9又は10記載の貴金属又は銅の固体ゾルの製造方法。
- 高分子量顔料分散剤は、非極性有機溶媒に不溶性のものである請求項14記載の貴金属又は銅の固体ゾルの製造方法。
- 貴金属又は銅に還元する方法は、還元剤を使用することによるものである請求項6〜15のいずれかに記載の貴金属又は銅の固体ゾルの製造方法。
- 還元剤は、水素化ホウ素ナトリウムである請求項16記載の貴金属又は銅の固体ゾルの製造方法。
- 還元剤は、クエン酸ナトリウムであり、前記クエン酸ナトリウムを加えた後に、アルコール存在下で加熱還流することにより、貴金属又は銅に還元するものである請求項16記載の貴金属又は銅の固体ゾルの製造方法。
- 貴金属又は銅に還元する方法は、高圧水銀灯を用いて光照射を行うことによるものである請求項6〜15のいずれかに記載の貴金属又は銅の固体ゾルの製造方法。
- 請求項1記載の貴金属又は銅の固体ゾルを用いてなることを特徴とする塗料組成物。
- 請求項1記載の貴金属又は銅の固体ゾルを用いてなることを特徴とする樹脂成型物。
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