JP4070453B2 - 肉様食品素材並びにこれを用いた肉様食品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、植物蛋白原料と乳ホエイ蛋白原料を用いた、風味良好でかつ肉様食感を有している肉様食品素材並びにこれを用いた肉様食品(唐揚げ食品など)に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、乳ホエイ蛋白原料を用いた「肉様組織を有する食品の製造法」(特開昭62−14747号公報)があるが、この方法は、乳ホエイ蛋白濃縮物(WPC)を水分含量が30〜50%になるように加水調整し、エクストルーダーで加熱・加圧し、膨化を起こさないような構造のダイで押し出すことにより、肉様組織化物を得るというものである。
この方法で得られた組織化物は、乳臭が非常に強くて肉様食品素材としては好ましくはない。また、食感は、組織化物の繊維が魚肉に近く、畜肉に近い繊維は得られない。また組織化物が湿潤した状態であると、2次着味した場合の味のりが悪い。
【0003】
一方、乳ホエイ蛋白原料を用いず、植物蛋白原料を主原料に用いた組織状植物性蛋白食品の製造法はかなり以前から広く知られている。
近年これをさらに改良して風味と食感が良いとされる肉様蛋白食品の特許が出願されている(特開平6−98685号公報や特開平6−98686号公報)。これらの方法は、粉末状の植物蛋白原料(大豆蛋白や小麦蛋白)を主原料とする組成物に、調味成分を包接させた微粒シリカゲルを主原料に対し、0.5〜6.0重量%混合し(またはサイクロデキストリンを主原料に対し1/5〜1/100重量倍混合し)、水分が主原料に対して1/10〜1/1重量倍になるように水を添加しながら100〜200℃、5〜100kg/cm2の様な高温・高圧の条件下で、エクストルーダーによる混錬・溶融を行い、冷却ダイより押し出して肉様の蛋白含有組織化物を得るものである。
この方法で得られた組織化物は肉様繊維に近い組織化物が出来るが、微粒シリカゲルやサイクロデキストリン無添加系に比べ改善されているとはいえ植物蛋白原料独特の風味が感じられ食品素材としては十分満足のいくものとは言えない。また、喉通りがよくない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、栄養的に優れているにもかかわらず、有効利用されているとは言い難い植物蛋白原料と乳ホエイ蛋白原料を用いて、食感が肉に近く(繊維感があり、歯切れがよく、喉越しが良い)、風味が良好(植物蛋白原料由来の匂いが極めて少なく、乳由来の匂いも極めて少ない)で味のりが良い肉様食品素材、及びこの肉様食品素材を利用したジューシー感のある肉様食品(唐揚げ、餡かけ唐揚げ、味付食品など)の製造を目的とした。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、前記課題を解決すべく鋭意研究をするなかで、従来植物蛋白原料を主体として動物蛋白原料などを併用していたものを、乳ホエイ蛋白原料に注目し、植物蛋白原料と乳ホエイ蛋白原料を併用することで前記課題を解決できる知見を得て本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、植物蛋白原料、乳ホエイ蛋白原料及び水を主成分として押出機を用いて加熱加圧し膨化してなる肉様食品素材である。又、該肉様食品素材を着味液で戻して調理した肉様食品である。
該肉様食品素材は着味液で戻してフライして唐揚げ食品とすることができる。該肉様食品素材は着味液で戻してフライして餡にからめて餡かけ唐揚げ食品とすることができる。
糖類を該肉様食品に対し2重量%〜25重量%添加することができる。
乳化油脂を該肉様食品に対し2重量%〜25重量%添加するすることができる。
卵白を該肉様食品に対し乾燥固形分として2重量%〜20重量%添加することができる。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の肉様食品素材について説明する。
この肉様食品素材は、植物蛋白原料、乳ホエイ蛋白原料及び水を主成分として押出機を用いて加熱加圧し膨化することを特徴とする肉様食品素材の製造方法により得ることができる。
【0007】
次に、本発明に用いる原材料について説明する。
本発明に用いる植物蛋白原料としては、大豆、えんどう豆、菜種、綿実、落花生、ゴマ、サフラワー、向日葵、コーン、ベニバナ、ココナッツ等の油糧種子の蛋白、あるいは米、大麦、小麦等の穀物種子由来の蛋白等や、これらの抽出・加工蛋白、米グルテリン、大麦プロラミン、小麦プロラミン、小麦グルテン、大豆グロブリン、大豆アルブミン、落花生アルブミン等、これらの熱処理、酸処理、アルカリ処理、酵素処理蛋白等あるいはそれらの混合物からなる群を挙げることができる。
しかし、栄養特性、入手の容易性および経済性等の点からは油糧種子由来の蛋白が好ましく、大豆蛋白を用いることがより好ましく、全脂大豆、脱脂大豆、豆乳粉末、分離大豆蛋白等、あるいはそれらの混合物からなる群から選ぶことが好ましい。
乳ホエイ蛋白原料としては、牛乳からチーズ製造工程等で得られる乳ホエイ蛋白を用いることが出来るが、濃縮して蛋白質含有量を乾燥固形分中30重量%以上に高めた乳ホエイ蛋白濃縮物(WPC)を用いることが好ましい。
【0008】
本発明において、植物蛋白原料と乳ホエイ蛋白原料の割合は95/5〜45/55(乾燥固形重量比)が適当であるが、好ましくは85/15〜55/45(乾燥固形重量比)、さらに好ましくは75/25〜65/35(乾燥固形重量比)が適当である。
植物蛋白原料の割合が多すぎると、植物蛋白臭がはっきり感じるので好ましくない。
植物蛋白原料の割合が少なすぎると、強い乳臭がして肉様食品素材として好ましくないだけでなく、安定して膨化組織化物を得る事が困難となる。
【0009】
次に、本発明に用いる水について説明する。
本発明に用いる水は、エクストルーダーに供給された原料や添加水等からなる生地の中に含まれる水分が20〜50重量%、好ましくは25〜45重量%、より好ましくは30〜40重量%となる範囲で用いることが適当である。
この水分範囲で目的の膨化した肉様食品素材を得ることができる。
【0010】
以上が主成分であるが、必要により植物蛋白原料及び乳ホエイ蛋白原料以外の蛋白原料や、蛋白原料以外の原料を併用することも出来る。
該原料中の植物蛋白原料及び乳ホエイ蛋白原料以外の蛋白原料としては、動物・微生物由来の蛋白あるいはその混合物からなる群から選ぶことが出来る。
なお、該原料の乾燥固形部重量中、植物由来蛋白質と動物由来蛋白質の合計含有率が50重量%以上で肉様組織に優れた組織状蛋白とすることができる。
本発明に油脂を用いたい場合、その種類は食用であれば特に限定しない。油脂は、動物・植物・微生物由来の油脂及びその混合物からなる群から選ぶことが出来る。
例えば、植物由来の油脂としては、大豆油、オリーブ油、菜種油、落花生油、ゴマ油、向日葵油、パーム油、コーン油、ヤシ油、カカオ脂、綿実油、米油、玉蜀黍油等が挙げられ、動物由来の油脂としては、牛脂、豚脂、魚鯨脂等が挙げられ、これらの未精製、分別、硬化、エステル交換等の加工油脂等、バター、ショートニング、マーガリン、クリーム等及びそれらの混合物からなる群から選ぶことが出来る。また、これら油脂には必要に応じ、レシチン等の乳化剤、ビタミン類、味剤、香料等が含まれていても良い。
【0011】
次に、本発明に用いる押出機について説明する。
本発明に用いる押出機としては、公知の押出機が使用でき、効果確認等の為には一軸押出機でも良いが、より強い繊維構造で歯応えのある食感の製品を得るには、混練が強く組織化しやすい二軸以上の軸を有する押出機を用いる方が好ましい。
エクストルーダーは、原料供給口、バレル内をスクリューにおいて原料送り、混合、圧縮、加熱機構を有し、更に先端バレルに装着されたダイを有するものであれば利用出来る。バレルはジャケットを有していても有していなくても良く、これにより加熱するしないはあるいは冷却するしないは自由である。
【0012】
この押出機に用いるスクリューは、送り機能のあるフォワードスクリューの他、混練機能のあるカットスクリュー、リバースカットスクリュー、ニーディングスクリュー、リバースニーディングスクリュー、パドルスクリュー等を配置することが出来る他、必要に応じてリバーススクリュー、スペーサー、スチームロック等を配置することが出来る。
【0013】
この肉様食品素材の組織化条件は、目的とする肉様食品素材に応じて実験的に定めることが出来る。具体的には、本発明の組織化温度は、先端バレル温度140℃〜190℃、好ましくは145〜185℃、より好ましくは150℃〜180℃に加熱し、0〜50kg/cm2に加圧して押し出すのが適当である。先端バレル温度140℃未満であると原料の溶融が不十分なため、組織化が不十分となり、出来た組織化物は肉様食感ではないので好ましくない。また、190℃を超えると、組織化物に焦げが生じてしまい、焦げ臭が感じられ商品価値が下がるので好ましくない。
【0014】
又、肉様食品素材の組織化のために用いるダイは、スクリュー方向に押し出すダイ(いわゆるフェイスダイ)や、送りの外周方向に押し出すダイ(ペリフェラルダイ)等、公知のダイを用いることが出来る。
【0015】
以上のようにして得られた肉様食品素材は、カッターもしくは粉砕機等で適当な大きさに切断することができる。
この肉様食品素材は、乾燥して用いることができるが、この場合には、ドラム乾燥法、流動層乾燥法、棚式乾燥法、凍結乾燥法等を用いることが出来る。
【0016】
本発明の肉様食品素材は乳ホエイ蛋白原料だけでは膨化しないものを、植物蛋白原料を併用(即ち、植物蛋白原料と乳ホエイ蛋白原料の組み合わせ)を行うことにより膨化させることができる。膨化の指標としては、ダイの面積の面と同一方向の製品の切断面の面積がダイの面積の1.5倍以上になった状態である。
【0017】
以上のようにして得られる肉様食品素材は、乾燥固形重量中の蛋白質含有量が50重量%以上、組織化物の重量に対して吸水量が1重量倍以上(10倍加水し80℃で30分間水戻しし、ザルで1分間水切りした場合)、及び水分20重量%以下であり、繊維に方向性がある膨化組織化品である。
【0018】
本発明の肉様食品素材は膨化しているにもかかわらず、緻密な組織を有しており、着味液で戻して味付け肉と同様に扱える。例えばフライすることによって唐揚げ肉の様な食感を有する。さらにそれに餡をかける事により、よりジューシー感のある肉様食感を有するものとなる。
【0019】
次に、肉様食品素材を着味液で戻して調理した肉様食品について説明する。
着味液に使用する調味料の種類は特に限定しないが、醤油・酒類・食塩・香辛料・エキス類・糖類・油脂類・卵等が使用出来る。
着味液の基本組成は、醤油、酒、食塩、香辛料、チキンエキス、温水などを組み合わせて調製することができる。
特に糖類を肉様食品に対し2重量%〜25重量%、好ましくは5〜20重量%添加することが適当である。この範囲で肉様食品がよりジューシーになる。しかし糖類が多すぎると甘くなりすぎ好ましくない。
例えば、糖類は前記したものを用いればよく、特に限定するものではないが、液糖(ショ糖など)を肉様食品に対し2.3重量%配合するとややジューシー感が感じられ、7.5重量%配合すると更にジューシー感が感じられ鶏肉の食感に近づけることができる。しかし、30重量%以上配合すると甘味が強く感じて好ましくない。
また乳化油脂を肉様食品に対し2重量%〜25重量%、好ましくは5〜20重量%添加することも適当である。
この範囲で肉様食品がさらにジューシー感を有し適当である。また乳化油脂が多過ぎると油っぽくなり好ましくない。
例えば、乳化油脂としては前記した油脂(レシチン等の乳化剤入り油脂、バター、ショートニング、マーガリン、クリーム等)を用いれば良く、特に限定するものではないが、乳化剤入り油脂を肉様食品に対し2.3重量%配合すると食感にややジューシー感が感じられ、7.5重量%配合すると更にジューシー感が感じられ鶏肉の食感に近づけることができる。しかし、30重量%以上配合すると油っぽい風味を感じるので好ましくない。
また卵白を肉様食品に対し乾燥固形分として2重量%〜20重量%、好ましくは5〜15重量%添加することが適当である。
この範囲で歯切れが良くなり鶏肉の食感に近づけることができる。また、卵白が多くなると風味的に卵白の味が強くなり好ましくない。
例えば、卵白は肉様食品に対し乾燥固形分として2.3重量%配合するとやや歯切れが良くなり、7.5重量%配合すると歯切れが良くなり鶏肉の食感に近づいた。しかし、22.5重量%以上配合すると卵白の風味を感じるようになり、風味的に好ましくない。なお、卵白として乾燥卵白を使用しても良い。
【0020】
このようにして得られた水もしくは着味液で戻した肉様食品は通常の肉と同様に扱う事が出来、焼き・蒸し・フライ等の調理を施す事により、美味しく食す事が出来る。
【0021】
次に、得られた肉様食品素材をフライした唐揚げ食品、及びその製造法について説明する。
フライするに際して、この肉様食品素材に例えば、唐揚げ粉を付けることができる。
フライ条件は肉様食品の大きさや唐揚粉の有無や付着量により異なるが、例えば、市販の唐揚程度の大きさ(30×30×30mm程度)であれば 160〜180℃で1分〜3分フライして唐揚げ食品を製造することができる。
【0022】
又、この肉様食品素材に、卵液を付け、馬鈴薯澱粉を付け、160〜180℃で1分〜3分フライして唐揚げ食品を製造することもできる。
フライ後餡とからめることで食品としての完成度が高くなる。この時の餡については特に制限しない。
【0023】
【実施例】
以下、実施例により本発明の実施態様を説明するが、例示は当然単なる説明であって、発想思想の内包・外延とは直接関係の無いものである。
(実施例1)
表2に記載のサンプルNo.における各比率で脱脂大豆粉(不二製油(株)製、組成:蛋白質52% 水分6% 脂質0.5%)と乳ホエイ蛋白濃縮物(WPC)「カルプロWPC8002」(米国カルプロ社製、組成:蛋白質79% 水分4% 脂質5%)を粉体攪拌器等で均一混合し、水と共にエクストルーダー(幸和工業(株)製:KEI45-25)の原料に供した。運転条件は表1の通りで行った。
エクストルーダーから出てきた組織化物は、カッターで長さ30mm程度になる様に切断し、乾燥機にて水分10%まで乾燥させた。乾燥した組織化物に対して80℃10倍量のお湯で30分間湯戻し、1分間戻し水を切り、吸水倍率(加水前後の重量倍率)を測定した。吸水後の組織化物の品質(形状・風味・食感)評価を行った。風味・食感の評価については10名の専門パネラーにより10点法で官能評価により行い、その平均点により評価した。植物蛋白臭及び乳臭は感じにくいが10点である。食感の点数は各々の項目で焼き鶏肉と同レベルが10点である。
【0024】
【表1】
エクストルーダー運転条件
──────────────────────
原料供給量 20 kg/hr
加水量 8〜9 L/hr
スクリュー回転数 200 r.p.m.
バレル前半品温 90〜120 ℃
バレル後半品温 140〜180 ℃
──────────────────────
【0025】
【表2】
脱脂大豆とWPCの配合比率が形状・風味・食感に与える影響比較
・配合比は乾燥固形重量の比率
・形状(肉様食品として)の評価:肉塊状=鶏唐揚げ程度の肉塊状、小肉塊状=焼鳥程度の小肉塊状、小肉片状=スライスニンニクの様な小肉片状、微小肉片状=パン粉の様な微小肉片状
・風味の評価/▲1▼植物蛋白臭:植物蛋白原料由来の臭いがしないこと。▲2▼乳臭:乳由来の臭いがしないこと。
【0026】
表2の結果の様にサンプルNo.4が最も形状・風味・食感が良好な肉様食品素材となった。本発明により製造した風味良好でかつ肉様食感を有している蛋白組織化物は、これまでの常法では困難であった粒状植物性蛋白の植物蛋白臭を感じにくくすることに成功した。WPCが多くなるほど形状が小さくなったのは、組織化が不安定でフラッシュし易くなったためと思われる。冷却ダイなど膨化を抑える事の出来るダイを用いれば形状は安定するが、食感が肉としては硬く歯切れがよくない。いずれにせよWPCの配合率が60%を超えると強い乳臭がして肉様食品素材には好ましくない。組織については、植物蛋白素材のみではスポンジ感が残ってしまい困難であった肉様食感を、乳ホエイを併用することで出す事に成功した。
【0027】
(実施例2)
上記テストで得られた肉様食品素材のWPC30%配合品と鶏もも肉で、唐揚げにおける比較評価を行った。肉様食品素材の戻し液は水又は着味液を用いた。(60℃において5倍量の着味液で3時間戻した後、ザル切りし、肉様食品素材に対し3倍量の水又は着味液を保持する様に調整した。)着味液の配合は、醤油4部・酒2部・食塩1部・香辛料1部・チキンエキス2部・温水90部で行った。
唐揚げに用いた唐揚粉「醤油味S−475」(理研ビタミン(株)製)と水を1:1の割合で混合したものを用い、これを肉様食品に付け大豆白絞油(不二製油(株)製)で175℃1分30秒フライを行った。
10名の専門パネラーにより10点法で官能による食感・風味評価を行い、その平均点により評価した。食感の点数は各々の項目で鶏唐揚げと同レベルが10点である。風味の点数は、植物蛋白臭・乳臭は感じないが10点、唐揚げ味は鶏唐揚げの味と同レベルが10点である。
【0028】
【表3】
唐揚げによる比較
【0029】
表3の評価結果より、サンプルNo.10(水戻し品)は唐揚げ味に欠けているが、サンプルNo.11(着味液戻し品)は味のりが良く唐揚げ味に近づいた。しかし、ジューシー感が足りないので付与する必要がある。
【0030】
(実施例3)
実施例2の結果をもとに、WPC30%配合品での肉様食品中の糖配合効果の確認を行った。この時の糖はショ糖ベースの液糖を用いた。製法・配合・評価等は実施例2と同様に行った。
【0031】
【表4】
糖配合肉様食品による唐揚げ比較
【0032】
表4の評価結果より、肉様食品に2.3%配合することで食感にややジューシー感が感じられ、7.5%配合でジューシー感が感じられ鶏肉の食感に近づいた。しかし、30%以上配合すると甘味が強く感じるので好ましくない。
食感・風味の平均点評価より対肉様食品糖含量として、7.5%及び15%が良好であった。
【0033】
(実施例4)
実施例2の結果をもとに、WPC30%配合品で肉様食品中の油脂配合効果の確認を行った。この時の油は乳化剤入り油脂「ユニショートEF」(不二製油(株)製)を用いた。製法・配合・評価等は実施例2と同様に行った。
【0034】
【表5】
油脂配合肉様食品による唐揚げ比較
【0035】
表5の評価結果より、肉様食品に2.3%配合することで食感にややジューシー感が感じられ、7.5%配合することでジューシー感が感じられ鶏肉の食感に更に近づいた。喉通りも7.5%配合からよくなり22.5%配合でさらによくなった。しかし、30%以上配合すると油っぽい風味を感じるので好ましくない。食感・風味の平均点評価より肉様食品中油脂含量として、7.5%及び15%が良好であった。
【0036】
(実施例5)
実施例2の結果をもとに、WPC30%配合品で肉様食品中の卵白配合効果の確認を行った。この時の卵白は粉末のものを用いた。製法・配合・評価等は実施例2と同様に行った。
【0037】
【表6】
卵白配合肉様食品による唐揚げ比較
【0038】
表6の評価結果より、肉様食品に2.3%配合することで食感がややしっかりし、7.5%配合することでしっかりして鶏肉の食感に更に近づいた。しかし、22.5%以上配合すると卵白の風味を感じるようになり、風味的に好ましくなかった。食感・風味の平均点評価より肉様食品中卵白含量として、7.5%及び15%が良好であった。
【0039】
(実施例6)
実施例2から5の結果をもとに、WPC30%配合品で肉様食品中の糖・油脂・卵白併用効果の確認及び餡かけ効果の確認を行った。餡は水40部・トマトケチャップ23部・酢10部・砂糖9部・馬鈴薯澱粉5部・大豆白絞油4部・チリソース4部・濃口醤油4部・チキンコンソメ1部で作った(各材料は一般市販品をもちいた)。
【0040】
【表7】
糖・油脂・卵白配合肉様食品(餡かけ有無)による唐揚げ比較
【0041】
表7の評価結果より、肉様食品に糖・油脂・卵白を7.5%ずつ配合することで繊維感・歯切れ・喉通り・ジューシー感の全ての項目で鶏肉の食感に近づいた。さらに、餡をかけることにより完成度が高くなり、鶏肉とほぼ同様のレベルにまでなった。
【0042】
【発明の効果】
本発明により、食感が肉に近く(肉の繊維感があり、歯切れが良く、喉通りが良い)、風味が良好(植物蛋白原料由来の匂いが極めて少ない、乳由来の匂いも極めて少ない)で味のりが良い肉様食品素材の製造が可能になったものである。さらに、この肉様食品素材を利用したジューシー感に優れた肉様食品(唐揚げ、餡かけ唐揚、味付食品等)の製造が可能になったものである。
これは、植物蛋白原料を主成分としたときは膨化してスポンジ状組織となり、喉通りの悪いものが、乳ホエイ蛋白原料を併用することにより、肉様の緻密な繊維感のある組織となり、歯切れと喉通りも良くなるからである。さらに、それぞれ植物蛋白原料のみの組織化品では植物蛋白臭、乳ホエイ蛋白原料のみの組織化品では乳臭が残る。しかし、これらを併用することによりお互いに匂いが感じにくくなり、着味液の味のりが良いものとなり、風味良好な肉様食品素材に仕上げる事ができる。この肉様食品素材に様々な着味液で戻すことで、味付け肉と同様に扱うことができる。それを調理することで肉様食品とすることができる。
さらに、本発明は栄養的に優れているにもかかわらず、有効利用されているとは言い難い植物蛋白原料と乳ホエイ蛋白原料を用いた完成度の高い肉様食品への利用に道を開いたと言える。
Claims (3)
- 植物蛋白原料と乳ホエイ蛋白原料の割合が95/5〜45/55(乾燥固形重量比)である植物蛋白原料、乳ホエイ蛋白原料及び水を主成分とした原料を押出機を用いてバレル後半品温が140℃〜180℃になるように加熱加圧し押出し膨化してなる肉様食品素材。
- 植物蛋白原料が大豆由来のものである請求項1記載の肉様食品素材。
- 請求項1又は請求項2記載の肉様食品素材を着味液で戻して調理した肉様食品。
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