JP4070230B2 - スパークプラグ及びスパークプラグの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はスパークプラグ及びスパークプラグの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関点火用のスパークプラグにおいては、耐火花消耗性向上のために電極の先端にPtやIr等を主体とする貴金属チップを溶接して貴金属耐消耗部としたものが多数提案されている。特に、火花放電時に負極性に設定されることの多い中心電極側は、火花の強いアタックを受けて消耗しやすいことから、貴金属耐消耗部の使用の効果が特に大きい。
【0003】
しかし、高出力エンジンあるいはリーンバーンエンジンへの適用が進むにつれ、接地電極側についても高い耐消耗性が求められるようになってきており、貴金属耐消耗部の採用が進みつつある。例えば、近年、コージェネレーションシステムやヒートポンプの普及に伴い、ガスエンジン用スパークプラグの需要が伸びている。これらの用途は、スパークプラグの使用条件がとりわけ厳しい点で際立っている。例えば、コージェネレーションシステムは工業用の電力あるいは熱源として活用されることが多く、システム停止が前提となるスパークプラグの交換は、可及的に行いたくないという要望がある。そのため、エンジンは基本的に24時間稼動となり、1000〜2000時間もの間ノンストップで運転継続されるのが普通である。接地電極側の貴金属耐消耗部は、従来、主にPt系金属により構成されたものが使用されていたが、このような厳しい使用環境で使用されるスパークプラグについては、接地電極の貴金属耐消耗部も高融点のIr系金属にて構成したものが望まれている。
【0004】
Pt系金属からなる貴金属耐消耗部は、ニッケル合金等からなる接地電極の母材に抵抗溶接により接合されている。しかし、Ir系金属からなる貴金属耐消耗部は、抵抗溶接による接合では、溶け不足等により接合界面が不健全となりやすく、前記したクラックや剥離等がより生じやすい問題がある。そこで、特開2002−93547号公報には、電極母材にIr系金属チップをレーザー溶接により接合したスパークプラグが開示されている。具体的には、公報図2に等に開示されているように、Ir系金属チップを電極母材に形成した凹部に埋め込み配置し、その埋設部分に向けて、電極母材の外からレーザービーム照射することにより、電極母材を貫いてIr系金属チップに到達する溶接部(以下、母材貫通溶接部という)が形成されている。このような溶接部は、抵抗溶接部と比較すれば接合強度の向上が期待できる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような母材貫通溶接部を形成する際には、以下のような問題が生ずる。例えば、中心電極の貴金属耐消耗部のように、電極母材先端面に貴金属チップを接合する場合は、チップと母材の境界にまたがるようにレーザービームを照射すれば、両部分の金属が比較的よく溶け合った均質な溶接部を比較的容易に形成できる。これに対し、上記公報のような母材貫通溶接部を形成する場合は、レーザービームは、初めは低融点の電極母材にのみに照射され、母材内の溶融部が照射深さ方向に進展して、貴金属チップに到達して漸く該貴金属チップの溶融が始まる。しかし、Ni系金属よりなる電極母材はIr系貴金属チップよりも融点がはるかに低いため、通常の方法でレーザービームを照射すると電極母材ばかりが溶融し、貴金属チップ側の溶け不足による接合強度低下を招きやすい問題がある。また、貴金属チップに対して電極母材の溶融が進みすぎるので、得られる溶接部は電極母材側に偏った組成、すなわちNi含有量の高い組成となりやすい。Ir系金属とNi系金属とは線膨張係数の差が相当大きく、溶接後の冷却時に、貴金属耐消耗部のクラックや剥離を生じやすい問題がある。
【0006】
本発明の課題は、接地電極側にIr系貴金属耐消耗部が溶接により接合され、かつ、貴金属耐消耗部の界面にクラックや剥離を生じにくいスパークプラグと、その製造方法とを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】
上記の課題を解決するために、本発明のスパークプラグは、
中心電極の先端面に、接地電極の周側面を対向させることにより火花放電ギャップが形成されてなり、かつ、Niを主成分とする電極母材で構成された接地電極の火花放電ギャップに臨む部位には、Irを主成分とする接地電極貴金属耐消耗部が配置され、その接地電極貴金属耐消耗部(32)は、前記中心電極(3)の中心軸線(O)方向において少なくとも一部を前記電極母材(4m)中に埋設される埋設部(32v)で構成され、
火花放電ギャップの中心電極側から接地電極に向けて平行光線を照射したとき、接地電極貴金属耐消耗部が固着される電極母材の、平行光線を受光する表面をギャップ対向電極表面、それ以外の表面をギャップ非対向電極表面と定義し、電極母材を貫いて、先端部が接地電極貴金属耐消耗部の内部に達するとともに、ギャップ非対向電極表面に基端面が露出する形で、それら電極母材と接地電極貴金属耐消耗部との各構成金属が互いに溶け合った母材貫通溶接部が形成されてなり、
接地電極貴金属耐消耗部の埋設部の外周面と電極母材との間には、外周面の周方向の少なくとも一部区間に沿うように、母材貫通溶接部と一体となる隙間充填金属部が形成されたことを特徴とする。
このとき、該母材貫通溶接部のIr含有率が、接地電極貴金属耐消耗部よりも少なく、かつ10質量%以上50質量%以下とされてなることが好ましい。なお、本明細書において「主成分」とは、最も質量含有率の高い成分をいう。
【0008】
本発明のスパークプラグにおいては、接地電極側の電極母材を、Niを主成分とするNi系金属にて構成し、接地電極側貴金属耐消耗部を、Irを主成分とするIr系金属にて構成する。そして、この両者を接合するために、電極母材を貫通して接地電極貴金属耐消耗部に先端が到達する母材貫通溶接部を形成する。そして、該母材貫通溶接部のIr含有率を、接地電極貴金属耐消耗部よりも低く、かつ、10質量%以上50質量%以下に設定する。
【0009】
溶接部のIr含有率を10質量%以上50質量%以下に設定することにより、溶接後の冷却時(あるいは、過酷な冷熱サイクルが加わる場合)に、貴金属耐消耗部のクラックや剥離を効果的に防止ないし抑制することができる。溶接部のIr含有率を上記のように設定することで、溶接部の線膨張係数は、Ni系金属よりなる電極母材側、あるいはIr系金属よりなる接地電極側貴金属耐消耗部側のいずれかに偏りすぎることなく、適度な中間の値を示すようになり、クラックや剥離の原因となる熱応力の発生が効果的に抑制されるためであると考えられる。また、貫通溶接部はギャップ非対向電極表面にのみ露出するから、溶接部が火花のアタックを受けて消耗する心配もない。
【0010】
母材貫通溶接部は、Ir含有率が10質量%未満になっても、50質量%を超えても、いずれも前記したクラックや剥離の防止効果が顕著とならない。母材貫通溶接部のIr含有率は、望ましくは15質量%以上40質量%以下、さらに望ましくは、20質量%以上30質量%以下とされているのがよい。
【0011】
また、本発明のスパークプラグの製造方法は、上記本発明のスパークプラグを製造するために、
接地電極の電極母材の表面の、ギャップ対向電極表面として予定された領域に、Irを主成分とする貴金属チップ(以下、Ir系貴金属チップという)に対応する凹部を形成し、ここに貴金属チップ(32 ' )を嵌め込んで重ね合わせ、凹部内に貴金属チップを位置決めしつつ、電極母材のギャップ非対向電極表面からパルスレーザービームを複数回照射することにより、該レーザー照射位置から電極母材を貫いて貴金属チップに到達させる形で、母材貫通溶接部を形成すると共に、凹部の内周面と貴金属チップの外周面との間に隙間を形成し、母材貫通溶接部の形成に伴い発生する溶融金属により、隙間の少なくとも一部を充填して隙間充填金属部を形成することを特徴とする。
このとき、それら電極母材と接地電極貴金属耐消耗部との各構成金属が互いに溶け合った母材貫通溶接部は、Ir含有率が10質量%以上50質量%以下とされてなることが好ましい。
【0012】
Ir系金属よりなる接地電極側貴金属耐消耗部は融点が高いため、電極母材側からこれを貫通する溶接部を形成しようとすると、既に説明した通り、通常の溶接条件では溶接部のIr含有率が電極母材側の組成(一般にはIrをほとんど含有しない)に偏りやすい。従って、特開2002−93547号公報のような通常のレーザー溶接を用いると、本発明のように溶接部のIr含有率を10質量%以上とすることが事実上不可能だったのである。すなわち、溶接対象物の奥に位置するIr系貴金属チップを十分溶融させようとして、高エネルギーのレーザービームを連続照射すると、電極母材の溶融が進みすぎる結果、Ir系貴金属チップの溶融量は相対的に減少する。他方、レーザービームのエネルギーが低すぎると、Ir系貴金属チップの溶融が不完全となる。いずれの場合も、溶接部のIr含有率が不足することは明白である。
【0013】
そこで、本発明のスパークプラグの製造方法においては、1つの溶接部を形成するのに、一箇所に連続的なレーザービームを照射するのではなく、パルス状のレーザービームを複数回断続照射することにより、上記の問題を解決することに成功した。パルスレーザービームは、照射深さ方向への熱集中効率が高く、断続照射を繰り返すことにより、照射位置周囲の電極母材部分への熱拡散を抑制しつつ、電極母材のさらに奥に位置するIr系貴金属チップを効率的に溶融できる。その結果、母材貫通溶接部のIr含有率を10質量%以上に問題なく確保することができる。
【0014】
なお、本明細書の特許請求の範囲において、各要件に付与した符号は、添付の図面の対応部分に付された符号を援用して用いたものであるが、あくまで発明の理解を容易にするために付与したものであり、本発明における各構成要件の概念を何ら限定するものではない。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を用いて説明する。図1に示す本発明の一例たるスパークプラグ100は、筒状の主体金具1、先端部21が突出するようにその主体金具1の内側に嵌め込まれた絶縁体2、先端に設けられた中心電極貴金属耐消耗部31を突出させる形で絶縁体2の内側に設けられた中心電極3、及び主体金具1に一端が溶接等により結合されるとともに他端側が側方に曲げ返されて、その周側面が中心電極3の先端部と対向するように配置された接地電極4等を備えている。また、接地電極4には、上記中心電極貴金属耐消耗部31に対向する接地電極貴金属耐消耗部32が形成されており、それら中心電極貴金属耐消耗部31と、対向する接地電極貴金属耐消耗部32との間の隙間が火花放電ギャップgとされている。なお本明細書でいう「耐消耗部」とは、接合された貴金属チップのうち、溶接による組成変動の影響を受けていない部分(例えば、溶接により接地電極ないし中心電極の材料と合金化した部分を除く残余の部分)を指すものとする。
【0016】
絶縁体2は、例えばアルミナあるいは窒化アルミニウム等のセラミック焼結体により構成され、その内部には自身の軸方向に沿って中心電極3及び端子金具8を嵌め込むための孔部6を有している。また、主体金具1は、低炭素鋼等の金属により円筒状に形成されており、スパークプラグ100のハウジングを構成するとともに、その外周面には、プラグ100を図示しないエンジンブロックに取り付けるためのねじ部7が形成されている。
【0017】
他方、中心電極3及び接地電極4の電極母材3m,4mは、インコネル600(商標名)等のNi合金にて構成されている。一方、上記中心電極貴金属耐消耗部31及び対向する接地電極貴金属耐消耗部32は、Irを主成分とする貴金属を主体に構成されている。具体的には、Ir−Ru合金(例えばIr−1〜30質量%Ru合金)、Ir−Pt合金(例えばIr−1〜10質量%Pt合金)、Ir−Rh合金(例えばIr−5〜25質量%Rh合金)、Ir−Rh−Ni合金(例えば、Ir−1〜40質量%Rh−0.5〜8質量%Ni合金)等を使用できる。なお、Ir系の貴金属材料を使用する場合には、元素周期律表の3A族(いわゆる希土類元素)及び4A族(Ti、Zr、Hf)に属する金属元素の酸化物(複合酸化物を含む)を0.1〜15質量%の範囲内で含有させることができる。これにより、Ir成分の酸化・揮発を効果的に抑制でき、ひいては耐消耗部の耐火花消耗性を向上させることができる。上記酸化物としてはY2O3が好適に使用されるが、このほかにもLa2O3、ThO2、ZrO2等を好ましく使用することができる。この場合、金属成分はIr合金のほか、Ir単体を使用してもよい。
【0018】
中心電極3は、先端側が縮径されるとともに、その先端面に上記中心電極貴金属耐消耗部31を構成する合金組成からなる円板状の貴金属チップを重ね合わせ、その接合面外縁部に沿ってレーザー溶接することにより形成されたものである。そして、中心電極3の中心軸線O方向において、火花放電ギャップg側から接地電極4に向けて平行光線を照射したとき、接地電極貴金属耐消耗部32が固着される電極母材4mの、平行光線を受光する表面(光の回折は生じないと仮定する)を、ギャップ対向電極表面SCとし、それ以外の表面をギャップ非対向電極表面として定義する。図2に示すように、接地電極貴金属耐消耗部32は母材貫通溶接部40により電極母材4mに接合されている。該母材貫通溶接部40は、ギャップ非対向電極表面SSに基端面40eが露出し、該基端面40eから電極母材4mを貫いて、先端部40tが接地電極貴金属耐消耗部32の内部に達する形で、それら電極母材4mと接地電極貴金属耐消耗部32との各構成金属が互いに溶け合ったものとして形成されている。そして、母材貫通溶接部40のIr含有率は、接地電極貴金属耐消耗部32よりも少なく、かつ10質量%以上50質量%以下(望ましくは15質量%以上40質量%以下、さらに望ましくは、20質量%以上30質量%以下)である。なお、平行光線の照射方法については、上述したように、図1に示すような接地電極4の側面が中心電極3の先端面と対向する、いわゆる平行接地電極タイプのスパークプラグの場合には、中心軸線O方向において平行光線を照射するものと考える。その他のタイプのスパークプラグについては、中心電極と接地電極との最短距離を示す仮想線と平行に、火花放電ギャップg側から接地電極に向けて平行光線を照射すればよい。
【0019】
接地電極貴金属耐消耗部32は、以下のようにして形成できる。図11に示すように、電極母材4mの表面のギャップ対向電極表面SCとして予定された領域に、Ir系貴金属チップ32’を重ね合わせる。そして、ギャップ非対向電極表面SSからパルスレーザービームLBを照射する。レーザービームLBは、最初は電極母材4mのみに照射され、照射深さ方向にNi系金属の溶融部を生ずる。この溶融部が深さ方向に進展して貴金属チップ32’に到達すると、Ir系貴金属チップ32’の溶融が始まり、溶融部にIr系金属が溶け込む。パルスレーザービームLBは、照射深さ方向への熱集中効率が高いが、1回のパルス照射のみでは十分な溶接部を形成できない。そこで、図12に示すように、適当なピークパワーEL及びパルス幅τ1を有するレーザーパルスを同一箇所に複数回照射することにより、レーザー照射方向を法線とする面内の溶融部の拡張を抑制しつつ、溶融部の形成を段階的に深くすることができる。その結果、溶融部がIr系貴金属チップ32’に到達した後は、該Ir系貴金属チップ32’にレーザーエネルギーを効率的に集中でき、Ir系貴金属チップ32’の溶融を促進することができる。つまり、照射位置周囲の電極母材4mの過度の溶融を抑制しつつ、該電極母材4mのさらに奥に位置するIr系貴金属チップ32’を効率的に溶融でき、得られる貫通溶接部40のIr含有率を効果的に高めることができる。
【0020】
各照射位置におけるパルス照射回数及びピークパワーELを同じに設定する場合、パルス幅τ1を大きくすると、電極母材の溶融が進みやすくなり、母材貫通溶接部40のIr含有率が小さくなる傾向となる。他方、ピークパワーELを大きくすると、これとは逆の傾向となる。
【0021】
図2に示すように、母材貫通溶接部40は、深さ方向(つまりレーザービームLBの照射方向)と直交する断面積が、電極母材4m側にて大きく、接地電極側貴金属耐消耗部32内に位置する先端部40t側にて小さくなるように形成される。そして、母材貫通溶接部40は、上記の軸断面積が、電極母材4mと接地電極側貴金属耐消耗部32との境界位置にて階段状に変化するように形成されることが、電極母材4mと接地電極側貴金属耐消耗部32とを適度な混合比率にて溶融させ、前記Ir組成範囲を充足する母材貫通溶接部40を得る上で望ましい。すなわち、電極母材4m側に溶融部を多少広く形成しておけば、Ir系貴金属チップ32’との接触面中央に、該溶融部との接触により比較的高温に昇温された領域を広く確保することができる。そして、該準領域の中央にレーザービームLBを照射すれば、高融点のIr系貴金属チップ32’の溶融を効果的に促進することができる。
【0022】
なお、パルスレーザービームLBを用いた母材貫通溶接部40の形成は、希ガス(例えばアルゴンガス)や窒素ガス等の不活性ガス雰囲気中にて行なうことが、電極母材4mをなすNi合金の過度の溶融を抑制して、得られる母材貫通溶接部40のIr含有率を高める上で望ましい。電極母材4mをなすNi合金は、大気中で溶融すると酸化される。Ni金属が酸化される反応は発熱反応であり、Ni酸化物の生成が著しくなると、その反応熱により温度上昇がさらに著しくなり、電極母材4mの溶融が助長される。しかし、不活性ガス雰囲気中では該酸化反応が抑制される分だけ、反応熱による温度上昇も起こりにくく、電極母材4mの過度の溶融、ひいては母材貫通溶接部40のIr含有率の低下を抑制することができる。本実施形態では、Arガスを流通したチャンバー80内にて溶接を行なう例を示しているが、開放雰囲気中にてArガスの吹き付けにより被溶接部の周囲をシールドして溶接を行なうこともできる。特に後者の方法では、Arガスが空気よりも比重が多少大きいため、シールドを行ないやすい利点がある。
【0023】
接地電極貴金属耐消耗部32の外径Dは、0.3mm以上2mm以下とすることが望ましい。Dが0.3mm 未満では耐消耗性が不十分となり、2mmを超えると着火性が悪化することにつながる。
【0024】
次に、図2に示すように、接地電極貴金属耐消耗部32は、中心電極3の中心軸線O方向において少なくとも一部を、電極母材4m中に埋設された埋設部32vとすることができる。母材貫通溶接部40は、その先端部40tが埋設部32vの内部に達するように形成することができる。接地電極貴金属耐消耗部32の一部を電極母材4m中に埋設することにより、接地電極貴金属耐消耗部32と電極母材4mとの接合強度を高めることができ、ひいては、接地電極貴金属耐消耗部32の剥離やクラック発生がさらに生じにくくなる。また、電極母材4mとの接触面積が増加するので、接地電極貴金属耐消耗部32の熱引きが進みやすく、ひいては耐消耗性が向上する利点もある。
【0025】
上記のような埋設形態の接地電極貴金属耐消耗部32は、図11に示す工程にて形成することができる。すなわち、Ir系貴金属チップ32’に対応する形状の凹部4kを電極母材4mに形成し、ここにIr系貴金属チップ32’をはめ込む。そして、該凹部4k内にIr系貴金属チップ32’を位置決めしつつ、電極母材4m側からレーザービームLBを照射して母材貫通溶接部を形成する。このような凹部4kを形成することで、溶接中のIr系貴金属チップ32’の位置ずれが生じにくくなり、良好な母材貫通溶接部を容易に得ることができる。
【0026】
図13に示すように、電極母材4mに形成する凹部4kは、Ir系貴金属チップ32’の挿入軸断面形状に対応する開口形状を有したものとして形成される(本実施形態では円状:例えば、ドリリングやレーザー穿孔を用いることができる)。ここで、Ir系貴金属チップ32’の挿入を容易とするためには、凹部4kの内径をIr系貴金属チップ32’の外径よりも少し大きく形成しておけばよい。このとき、凹部4kの内周面とIr系貴金属チップ32’の外周面との間には、隙間4gが形成される。そして、パルスレーザービームLBの照射により母材貫通溶接部40を形成すると、母材貫通溶接部40の形成に伴い発生する溶融金属により、隙間4gの少なくとも一部を充填され、隙間充填金属部40fが形成される。この結果、中心電極3の中心軸線O周りにおいて、接地電極貴金属耐消耗部32の埋設部32vの外周面と電極母材との間に、外周面の周方向の少なくとも一部区間に沿うように、母材貫通溶接部40と一体の隙間充填金属部40fが形成された構造が得られる。
【0027】
上記隙間充填金属部40fは、接地電極貴金属耐消耗部32の接合強度向上に寄与するほか、スパークプラグ使用時には、接地電極貴金属耐消耗部32から電極母材4mへの熱伝導を促進し、接地電極貴金属耐消耗部32の温度上昇抑制ひいては耐消耗性向上に寄与する。また、隙間充填金属部40fは電極母材4mと接地電極貴金属耐消耗部32との中間の組成を有し、接地電極貴金属耐消耗部32を周方向に取り囲むように形成されることから、接地電極貴金属耐消耗部32の半径方向の熱応力を緩和する効果が高く、ひいては接地電極貴金属耐消耗部32の耐剥離性がより向上する。
【0028】
隙間充填金属部40fは、上記の効果をより顕著なものとするために、隙間4gの周方向のなるべく多くの区間に形成されることが望ましい。そのためには、前述のように、母材貫通溶接部40の軸断面積が、電極母材4mと接地電極側貴金属耐消耗部32との境界位置にて階段状に変化するように形成されること、すなわち、パルスレーザービームLBを用いた溶接時に、電極母材4m側に溶融部をある程度広く形成して、一種の溶融金属溜めを形成することが有効である。このようにすると、Ir系貴金属チップ32’の外周面が、隙間4gを充填した溶融金属と、周方向の比較的長い区間にわたって接触し、その保温効果によりIr系貴金属チップ32’の昇温が促進されて、母材貫通溶接部40へのIrの溶け込み量を増加させることができる。なお、隙間4gの幅δ(母材貫通溶接部40の幅にも相当する)は0.01mm以上0.15mm以下に調整するのがよい。幅δが0.15mmを超えると母材貫通溶接部40の形成が困難となり、0.01mm未満になると、凹部4kへのIr系貴金属チップ32’の挿入作業が面倒になる。
【0029】
母材貫通溶接部は、例えば図3あるいは図4及び図5に示すように、1つのみ設ける構成とすることができる。母材貫通溶接部の形成個数が少なければ、それだけ工程も簡略化され、製造能率を高めることができる。しかし、接地電極側貴金属耐消耗部32の接合強度をより高レベルに確保したい場合は、図2、図6、図7、図8、図9及び図10に示すように、母材貫通溶接部40,41は、中心軸線Oの周りに複数個設けることが有効である。この場合、周方向の母材貫通溶接部の形成個数が増える分だけ、隙間充填金属部40fの合計形成区間長も増加し、接地電極貴金属耐消耗部32の接合強度向上効果と、温度上昇抑制効果をさらに高めることができる。
【0030】
なお、接地電極4のギャップ対向電極表面SCの幅は、一般には2.0mm以上3.5mm以下に調整される。他方、着火性を高めるためには、図2、図3あるいは図7のように、中心軸線Oの周りに複数個の母材貫通溶接部を設ける場合は、接地電極貴金属耐消耗部32の外径Dを小さく設定することが望ましい。この場合、接地電極貴金属耐消耗部32の外径Dが過度に小さくなると、いくつかの母材貫通溶接部の深さが大きくなりすぎ、Ir系貴金属チップ32’の溶融が不十分となる場合がある。この観点において、Ir系貴金属チップ32’ひいては接地電極貴金属耐消耗部32の外径Dは、図8、図9あるいは図10に示すように、多少大きめに調整すること、例えば1mm以上2mm以下に調整することが望ましい。これにより、極度に深い母材貫通溶接部が生じにくくなり、ひいては母材貫通溶接部のIr含有率を本願発明の範囲に調整しやすくなる。
【0031】
母材貫通溶接部の形成形態は、ギャップ非対向電極表面のどこにパルスレーザービームを照射するかによって、種々の態様が可能である。図2においては、母材貫通溶接部40は、ギャップ対向電極表面SCの幅方向Wの少なくとも一方の側において、該ギャップ対向電極表面SCの端縁LEに連なる電極母材4mの側面領域SSに、母材貫通溶接部40の基端面40eが露出するように形成されている。本明細書において、接地電極4の幅方向Wは、以下のように定義する。図1に示すように、すなわち、中心軸線O方向において、主体金具1の、接地電極4が接合されている端面から1mm隔たった位置にて、中心軸線Oと直交する平面P2にて切断したときの、接地電極4の断面の幾何学的重心位置をKとする。そして、該位置Kを通り、かつ、中心軸線Oと直交する基準方向Fを定め、中心軸線Oと基準方向Fとの双方と直交する向きを、接地電極4のギャップ対向電極表面SCの幅方向Wと定義する。側面領域SSは幅方向Wの両側に生ずるので、図2にように、各ギャップ対向電極表面SCに1つ、計2つの母材貫通溶接部40を少なくとも形成することができ、接地電極側貴金属耐消耗部32の接合強度向上に有効である。
【0032】
また、図3に示すように、基端面41eを接地電極4の先端面STに露出させた母材貫通溶接部41を形成することもできる。特に、着火性向上効果を優先するために、接地電極貴金属耐消耗部32の外径Dを小さく設定する場合、ギャップ対向電極表面SCにおいて、接地電極貴金属耐消耗部32の外周縁から接地電極4の先端側の端縁TEまでの距離をt2、同じく幅方向Wの端縁LEまでの距離t1としたとき、t2がt1よりも小さく設定することができる。これにより、先端面ST側から形成する母材貫通溶接部41の溶接深さを小さくすることができ、ひいては母材貫通溶接部41のIr含有率を本願発明の範囲に調整しやすくなる。外径Dを例えば0.3mm以上1mm以下に設定する場合、t1を0.5mm以上1.5mm以下、t2を0.3mm以上1.0mm以下に設定することが望ましい。
【0033】
また、図4に示すように、中心軸線O方向において、電極母材4mのギャップ対向電極表面SCと反対側の面SBに基端面42eが露出するように、母材貫通溶接部42を形成することもできる。この態様は、例えば埋設部32vの埋設深さ(つまり、図11の凹部4kの深さ)の調整により、接地電極貴金属耐消耗部32の外径Dに関係なく、母材貫通溶接部41の溶接深さを削減できる利点がある。また、電極母材4mの厚さが比較的薄い場合は、図5に示すように、凹部を形成せずにIr系貴金属チップを電極母材4mに重ねて溶接すること、つまり、埋設部32vを省略することも可能である。
【0034】
また、図6、図9及び図10においては、電極母材4mの先端角部にテーパ面4jを形成した電極母材4mの幅を減少させ、そのテーパ面に基端面40eが露出するように、母材貫通溶接部40を形成している。図6では、接地電極貴金属耐消耗部32の外径Dが小さく(例えば0.3mm以上1mm以下)設定されているが、テーパ面4jにより、形成される母材貫通溶接部40の深さを縮小することができる。また、中心軸線Oの周りに複数個の母材貫通溶接部を形成する場合は、例えば、図7あるいは図8に示すように、2つの側面領域SSと先端面STとのそれぞれから溶接を行なうことにより、3つの母材貫通溶接部40,41は比較的容易に形成できる。しかし、さらに多くの母材貫通溶接部が必要な場合は、図9あるいは図10に示すように、テーパ面4jを設けることにより、溶接深さの比較的小さい母材貫通溶接部40を、電極母材4mの先端角部に比較的容易に増設することが可能となる。
【0035】
【実施例】
本発明の効果確認のために、以下の実験を行なった。
図1に示すスパークプラグ100(母材貫通溶接部の形成形態は図8)の種々の試験品を以下のようにして準備した。すなわち、Ir−5質量%Pt合金により、図11に示すIr系貴金属チップ32’を、厚さが1.0mm、直径Dが1.8mmとなるように作製した。これを用いてインコネル600よりなる電極母材4mに、図11の工程に従い溶接した。なお、電極母材4mには切削(エンドミル)により深さ0.5mm、内径1.85mmの凹部4kを形成した(なお、隙間4gの幅δは0.25mmである)。また、溶接は、アルゴンガスの吹き付けによるアルゴン雰囲気中にて、YAGレーザー光源により、表1に示す種々のピークパワー及びパルス幅を有するレーザービームを、各溶接部に3パルス照射して行なった。そして、溶接により得られた接地電極貴金属耐消耗部32を周辺部分とともに切断し、溶接部の平均的なIr含有率をEPMA面分析により測定した。その結果、表1に示すように、溶接条件によりIr含有率が5〜55質量%の範囲にて変動していることがわかった。
【0036】
【表1】
【0037】
他方、中心電極貴金属耐消耗部31は、Ir−20質量%Rh合金からなる直径1.2mm、高さ0.8mmの貴金属チップを、インコネル600よりなる中心電極3の先端面にレーザー溶接することにより形成した。図15は、表1の番号4の試験品における接地電極貴金属耐消耗部32の断面光学顕微鏡観察画像である(図中、黒っぽく表れている楔状の領域が母材貫通溶接部である)。いずれの母材貫通溶接部も、先端部が接地電極貴金属耐消耗部32の内部に達している。また、母材貫通溶接部の軸断面積(あるいは母材貫通溶接部の幅)は、深さ方向において、電極母材と接地電極側貴金属耐消耗部との境界位置にて階段状(つまり不連続)に変化している。さらに、凹部の内周面と接地電極側貴金属耐消耗部の外周面との間には隙間が形成され、ここに溶接金属が略全周にわたって充填されている。
【0038】
そして、それら接地電極4及び中心電極3を用いて、図1に示すスパークプラグ100を、火花放電ギャップgのギャップ長Gが0.8mmとなるように組立てた(接地電極貴金属耐消耗部32の各組成毎に10個ずつ)。そして、該スパークプラグを試験用エンジン(6気筒、総排気量2000cc)に取り付け、スロットル全開、エンジン回転数5000rpmにて1分運転した後、エンジン回転数700rpmにて1分アイドリングするサイクルを100時間繰り返す冷熱サイクル試験を行った。そして、試験後、接地電極貴金属耐消耗部32に剥離を生じたスパークプラグの個数から、剥離率を求めた。図14にその結果を示す。これにより、母材貫通溶接部のIr含有率を10質量%以上50質量%未満とすることにより、接地電極貴金属耐消耗部32の剥離が効果的に抑制されていることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスパークプラグの一実施例を示す縦断面。
【図2】接地電極貴金属耐消耗部に対する母材貫通溶接部の形成形態の第1例の説明図。
【図3】同じく第2例の説明図。
【図4】同じく第3例の説明図。
【図5】同じく第4例の説明図。
【図6】同じく第5例の説明図。
【図7】同じく第6例の説明図。
【図8】同じく第7例の説明図。
【図9】同じく第8例の説明図。
【図10】同じく第9例の説明図。
【図11】母材貫通溶接部の形成工程の説明図。
【図12】パルスレーザービームの波形を模式的に示す図/
【図13】隙間充填金属部の形成過程を説明する図。
【図14】冷熱サイクルテストの試験結果を示すグラフ。
【図15】表1の番号4の接地電極貴金属耐消耗部の断面光学顕微鏡観察画像。
【符号の説明】
3 中心電極
4 接地電極
4m 電極母材
g 火花放電ギャップ
32 接地電極貴金属耐消耗部
32v 埋設部
SC ギャップ対向電極表面
SS,ST,SB ギャップ非対向電極表面
SS 側面領域
ST 先端面
40e,41e,42e 基端面
40t,41t,42t 先端部
40,41,42 母材貫通溶接部
LB パルスレーザービーム
Claims (12)
- 中心電極(3)の先端面に、接地電極(4)の周側面を対向させることにより火花放電ギャップ(g)が形成されてなり、
かつ、Niを主成分とする電極母材(4m)で構成された前記接地電極(4)の前記火花放電ギャップ(g)に臨む部位には、Irを主成分とする接地電極貴金属耐消耗部(32)が配置され、その接地電極貴金属耐消耗部(32)は、前記中心電極(3)の中心軸線(O)方向において少なくとも一部を前記電極母材(4m)中に埋設される埋設部(32v)で構成され、
前記火花放電ギャップ(g)の前記中心電極(3)側から前記接地電極(4)に向けて平行光線を照射したとき、前記接地電極貴金属耐消耗部(32)が固着される前記電極母材(4m)の、前記平行光線を受光する表面をギャップ対向電極表面(SC)、それ以外の表面をギャップ非対向電極表面(SS,ST,SB)と定義し、前記電極母材(4m)を貫いて、先端部(40t,41t,42t)が前記接地電極貴金属耐消耗部(32)の内部に達するとともに、前記ギャップ非対向電極表面(SS,ST,SB)に基端面(40e,41e,42e)が露出する形で、それら電極母材(4m)と接地電極貴金属耐消耗部(32)との各構成金属が互いに溶け合った母材貫通溶接部(40,41,42)が形成されてなり、
前記接地電極貴金属耐消耗部(32)の前記埋設部(32v)の外周面と前記電極母材(4m)との間には、前記外周面の周方向の少なくとも一部区間に沿うように、前記母材貫通溶接部(40,41,42)と一体となる隙間充填金属部(40f)が形成されたことを特徴とするスパークプラグ。 - 前記母材貫通溶接部(40,41,42)のIr含有率が、前記接地電極貴金属耐消耗部(32)よりも少なく、かつ10質量%以上50質量%以下とされてなる請求項1記載のスパークプラグ。
- 前記母材貫通溶接部(40,41,42)のIr含有率が、前記接地電極貴金属耐消耗部(32)よりも少なく、かつ15質量%以上40質量%以下とされてなる請求項1記載のスパークプラグ。
- 前記母材貫通溶接部(40,41,42)のIr含有率が、前記接地電極貴金属耐消耗部(32)よりも少なく、かつ20質量%以上30質量%以下とされてなる請求項1記載のスパークプラグ。
- 前記接地電極貴金属耐消耗部(32)の外径Dが0.3mm以上2mm以下である請求項1ないし4のいずれか1項に記載のスパークプラグ。
- 前記接地電極(4)の基端部は主体金具(1)の端面に結合されてなり、前記中心軸線(O)方向において、該主体金具(1)の、前記接地電極(4)が接合されている端面から1mm隔たった位置にて、前記中心軸線(O)と直交する平面にて切断したときの前記接地電極(4)の断面の幾何学的重心位置(K)を通り、かつ、前記中心軸線(O)と直交する基準方向(F)を定め、前記中心軸線(O)と前記基準方向(F)との双方と直交する向きを、前記接地電極(4)の前記ギャップ対向電極表面の幅方向(W)と定義し、
前記幅方向(W)の少なくとも一方の側において、前記ギャップ対向電極表面(SC)の端縁(LE)に連なる前記電極母材(4m)の側面領域(SS)に、前記母材貫通溶接部(40)の前記基端面(40e)が露出してなる請求項1ないし5のいずれか1項に記載のスパークプラグ。 - 前記接地電極(4)の基端部は主体金具(1)の端面に結合されてなり、前記中心軸線(O)方向において、該主体金具(1)の、前記接地電極(4)が接合されている端面から1mm隔たった位置にて、前記中心軸線(O)と直交する平面にて切断したときの前記接地電極(4)の断面の幾何学的重心位置(K)を通り、かつ、前記中心軸線(O)と直交する基準方向(F)を定め、前記中心軸線(O)と前記基準方向(F)との双方と直交する向きを、前記接地電極(4)の前記ギャップ対向電極表面の幅方向(W)と定義し、
前記ギャップ対向電極表面(SC)において、前記接地電極貴金属耐消耗部(4)の外周縁から前記接地電極(4)の先端側の端縁(TE)までの距離をt2、同じく前記幅方向(W)の端縁(LE)までの距離t1としたとき、t2がt1よりも小さく設定され、かつ、前記母材貫通溶接部(40)の前記基端面(40e)が、前記接地電極(4)の先端面(ST)に露出してなる請求項1ないし5のいずれか1項に記載のスパークプラグ。 - 前記母材貫通溶接部(40,41)が、前記中心軸線(O)の周りに複数個設けられている請求項1ないし7のいずれか1項に記載のスパークプラグ。
- 前記母材貫通溶接部(42)が、前記中心軸線(O)方向において、前記電極母材(4m)の前記ギャップ対向電極表面(SC)と反対側の面(SB)に前記基端面(42e)を露出している請求項1ないし8のいずれか1項に記載のスパークプラグ。
- 請求項1ないし9のいずれか1項に記載のスパークプラグの製造方法であって、
前記接地電極(4)の前記電極母材(4m)の表面の、前記ギャップ対向電極表面(SC)として予定された領域に、Irを主成分とする貴金属チップ(32 ' )に対応する凹部(4k)を形成し、ここに前記Irを主成分とする貴金属チップ(32')を嵌め込んで重ね合わせ、
前記凹部(4k)内に前記貴金属チップ(32 ' )を位置決めしつつ、前記電極母材(4m)の前記ギャップ非対向電極表面(SS,ST,SB)からパルスレーザービーム(LB)を複数回照射することにより、該レーザー照射位置から前記電極母材(4m)を貫いて前記貴金属チップ(32')に到達させる形で、前記母材貫通溶接部(40,41)を形成すると共に、
前記凹部(4k)の内周面と前記貴金属チップ(32 ' )の外周面との間に隙間4gを形成し、前記母材貫通溶接部40の形成に伴い発生する溶融金属により、前記隙間(4g)の少なくとも一部を充填して隙間充填金属部(40f)を形成することを特徴とするスパークプラグの製造方法。 - 前記電極母材(4m)と前記接地電極貴金属耐消耗部(32)との各構成金属が互いに溶け合った母材貫通溶接部(40,41,42)は、Ir含有率が10質量%以上50質量%以下とされてなる請求項10記載のスパークプラグの製造方法。
- 前記パルスレーザービーム(LB)を用いた前記母材貫通溶接部(40,41,42)の形成を、不活性ガス雰囲気中にて行なう請求項10または請求項11に記載のスパークプラグの製造方法。
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