JP4069381B2 - ドープ合成石英ガラスの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種元素をドープしたドープ合成石英ガラスの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
各種元素をドープした合成石英ガラスの利用分野は多岐にわたっている。例えば、光ファイバでは、そのコア部の屈折率を高くするためにゲルマニウム等の元素がドープされ、クラッド部の屈折率を低くするため、フッ素等の元素がドープされている。エルビウム等がドープされた光ファイバも、増幅器等へ利用されている。また、半導体製造プロセスの酸化、拡散工程及びCVD工程で使用される合成石英製炉芯管、ボートには、耐熱性を向上させるためにアルミニウムがドープされている。更に、半導体素子製造時のリソグラフィプロセスでの露光光源の短波長化が進み、将来的にF2エキシマレーザ(157nm)への移行が、その後は激紫外光(13nm)を使用したプロセスへの移行が有力視されているが、このようなプロセスに使用される光学系には、それぞれフッ素、チタン等をドープした合成石英ガラスの使用が検討されている。
【0003】
従来、合成石英への各種元素のドープ法としては、ケイ素源原料ガス、水素ガス及び酸素ガスをバーナーから供給し、ケイ素源原料ガスの火炎加水分解反応により生成したシリカ微粒子を基板上に堆積して作製した多孔質シリカ母材をドープ元素を含む溶液に浸潤し、乾燥させた後、加熱ガラス化する手法(特許文献1:特開平3−193637号公報参照)が採用されてきた。しかし、この手法では、溶液への多孔質シリカ母材の浸潤時にドープ元素が多孔質シリカ母材表面に吸着され易く、結果として作製されたガラス化インゴットの表面にドープ元素が偏在し易い等の問題があった。
【0004】
また、その他のドープ法として、ケイ素源原料ガスをバーナーに供給するラインにドープ元素を含む化合物のガスを混合して作製した多孔質シリカ母材を加熱ガラス化し、ドープ元素を含む合成石英ガラスを製造する手法(特許文献2:特開平2−275724号公報参照)が提案されている。しかし、この手法は、ケイ素源原料とドープ元素を含む化合物の反応によりライン内に固形物が生成する場合があり、閉塞の原因となる問題があった。
【0005】
そこで、上記閉塞の問題を改善する方法として、多孔質シリカ母材作製時にケイ素源原料ガス及びドープ元素を含む化合物のガスを個々のラインより同心多重管バーナーに供給して多孔質シリカ母材を作製し、これを加熱ガラス化する希土類元素ドープ合成石英ガラスの製造方法(特許文献3:特開平5−279050号公報参照)が提案されている。この希土類元素ドープ合成石英ガラスの製造方法は、ケイ素源原料ガスとドープ元素を含む化合物のガスとの反応性を考慮に入れる必要がないため簡便であるが、一般に多孔質シリカ母材作製時の火炎内のガス流速は非常に高速なため、ケイ素源原料ガスとドープ元素を含む化合物のガスが混合されないままに基材まで到達してしまう場合があり、この場合は結果として、合成されたドープ合成石英ガラスが、ドープ元素の大きな濃度分布を有することになってしまうという問題がある。
【0006】
従って、ドープ元素の濃度分布の発生をも抑制し得る更なる技術の確立が望まれる。
【0007】
【特許文献1】
特開平3−193637号公報参照
【特許文献2】
特開平2−275724号公報
【特許文献3】
特開平5−279050号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、ライン内の閉塞が生じることがない上、ドープ元素の濃度分布の発生を抑制し得、簡単かつ安定に合成石英ガラスにケイ素原子以外の元素を均一にドープすることができるドープ合成石英ガラスの製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者は、上記目的を達成するため種々の検討を行った結果、同心多重管バーナーを使用して、基材上にケイ素源原料ガスの火炎加水分解反応により生成したシリカ微粒子にドープ元素をドープさせて堆積させた多孔質シリカ母材を作製し、加熱ガラス化するドープ合成石英ガラスの製造方法において、ケイ素源原料ガス、ケイ素原子以外のドープ元素を含む化合物のガスのいずれか一方を同心多重管バーナーの中央ノズルに、他方を前記中央ノズルと同心円状に配置された外周ノズルに供給し、かつ前記中央ノズル内部にガスの流れを乱す遮蔽物を配設してノズル内部形状を変化させることで、ケイ素源原料ガスと、ケイ素原子以外のドープ元素を含む化合物のガスとが別のノズルから供給されるので、バーナー内部やノズル先端、配管途中等のライン内に閉塞が生じることがない上、中央ノズルに供給されるガスが、ノズル内の遮蔽物により大きな乱流を生じて放射状に拡がるなどして基材に到達するので、外周ノズルから供給されるガスと十分に混合され、その結果、多孔質シリカ母材内のドープ元素の濃度分布の発生を抑制でき、簡便かつ安定にケイ素原子以外の元素を合成石英ガラスに均一にドープし得、ドープ合成石英ガラスを工業的に有利に製造できることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
【0010】
即ち、本発明は、ケイ素源原料ガス、ケイ素原子以外のドープ元素を含む化合物のガス、水素ガス及び酸素ガスを同心多重管構造を有するバーナーから反応域に供給し、基材上にケイ素源原料ガスの火炎加水分解反応により生成したシリカ微粒子に上記ドープ元素をドープさせて堆積させた多孔質シリカ母材を作製した後、該多孔質シリカ母材を加熱ガラス化するドープ合成石英ガラスの製造方法において、ケイ素源原料ガス、ケイ素原子以外のドープ元素を含む化合物のガスのいずれか一方を同心多重管バーナーの中央ノズルに、他方を前記中央ノズルに同心円状に配置された外周ノズルに供給し、かつ前記中央ノズル内部にガスの流れを乱す遮蔽物を配設することを特徴とするドープ合成石英ガラスの製造方法、及び、上記遮蔽物が平板を90°以上捩った形状の遮蔽物である上記ドープ合成石英ガラスの製造方法を提供する。
【0011】
以下、本発明につき更に詳細に説明すると、本発明のドープ合成石英ガラスの製造方法は、ケイ素源原料ガス、ケイ素原子以外のドープ元素を含む化合物のガス、水素ガス及び酸素ガスを同心多重管構造を有するバーナーから供給して、火炎加水分解により基材上に生成するシリカ微粒子にドープ元素をドープさせて堆積させた多孔質シリカ母材を作製し、加熱ガラス化する製造方法において、ケイ素源原料ガス、ケイ素原子以外のドープ元素を含む化合物のガスを特定条件で特定内部構造を有する同心多重管バーナーに供給し、ドープ合成石英ガラスを製造するものである。
【0012】
ここで、ケイ素源原料ガスのケイ素源原料としては、高温での酸化、加水分解により二酸化ケイ素が生成するケイ素化合物であれば特に制限はなく、例えば四塩化ケイ素、トリクロロシラン、メチルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン等のクロロシラン類、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン等の環状体などの有機ケイ素化合物が挙げられる。なお、これらのケイ素源原料ガスは、水素やメタン等の可燃性ガスと酸素や空気等の支燃性ガスよりなる燃焼ガス炎に導入されるが、この場合、ガス炎は可燃性ガスと支燃性ガス以外のガス、例えば窒素やアルゴン等の不活性ガスを上記可燃性ガス、支燃性ガスに加えたものでも良い。
【0013】
また、ドープ元素を含む化合物としては、ケイ素原子以外の元素のハロゲン化物、アルコキシド等のケイ素原子以外の元素を含む化合物であれば特に制限されず、バーナーまで同化合物を運ぶキャリアーガスと反応せず、かつ揮発性を有し、火炎加水分解によりドープ元素をドープした多孔質シリカ母材を作製し得るものであれば種々のものを使用できる。例えばアルミニウム、ゲルマニウム、リン、ホウ素等のハロゲン化物やこれらのアルコキシドなどが使用され、具体的には塩化アルミニウム、塩化ゲルマニウム、塩化リン、トリエトキシアルミニウム、テトラエトキシゲルマニウム、リン酸トリエチルなどが挙げられる。更には、フッ素、チタンを含む化合物、希土類元素化合物なども用いることができる。
【0014】
なお、ドープ濃度は、特に制限されないが、多孔質シリカ母材の製造を著しく困難としない範囲が望ましく、ドープ元素を含む化合物の揮発温度及びキャリアーガスの流量によって操作し得る。ここで、多孔質シリカ母材の製造を著しく困難としない範囲とは、ドープ元素を含む化合物のガス供給によってケイ素源原料ガスの加水分解反応により生成するシリカ微粒子が基材上に堆積しない場合又は堆積する量が少量で商業的にみて不適当である場合にならない範囲をいう。また、キャリアーガスとしては、ヘリウム、窒素、アルゴン等の不活性ガスや酸素などが選択し得る。
【0015】
本発明においては、上記ケイ素源原料ガス、ケイ素原子以外のドープ元素を含む化合物のガス、水素ガス及び酸素ガスを、同心多重管構造を有するバーナーから反応域に供給し、基材上にケイ素源原料ガスの火炎加水分解反応により生成したシリカ微粒子に上記ドープ元素をドープさせて堆積させた多孔質シリカ母材を作製する際、ケイ素源原料ガス、ケイ素原子以外のドープ元素を含む化合物のガスのいずれか一方を同心多重管バーナーの中央ノズルに、他方を前記中央ノズルと同心円状に配置された外周ノズルに供給し、かつ前記中央ノズル内部にガスの流れを乱す遮蔽物を配設し、同心多重管バーナーからガスを反応域に供給する。
【0016】
具体的には、中央ノズルよりケイ素源原料ガスを供給し、この中央ノズルに同心円状に配置された外周ノズルよりケイ素原子以外のドープ元素を含む化合物のガスを前記シリカ微粒子の堆積と同時に供給することができる。また、上記製造方法においては、ケイ素源原料ガス及びドープ元素を含む化合物のガスが供給されるノズルは、それぞれ上記の場合と反対であってもよい。つまり、中央ノズルにドープ元素を含む化合物のガスを供給し、かつ外周ノズルにケイ素源原料ガスを供給し、多孔質シリカ母材を作製することも可能である。
【0017】
なお、多重管は4重管以上であればよく、ドープ元素を含む化合物(又はケイ素源原料ガス)を外周ノズルから供給する場合、中央ノズルから2番目のノズルより供給することが好ましい。
【0018】
本発明の製造方法においては、中央ノズルより噴射されたケイ素源原料ガス(又はドープ元素を含む化合物のガス)が、ノズル内部に設置された遮蔽物により大きな乱流を生じて、放射状に拡がりながらバーナー前方に設置された基材に到達する。この間、ケイ素源原料ガス(又はドープ元素を含む化合物のガス)は、同時にバーナーより噴射された酸素及び水素ガスによって加水分解反応を起こし、シリカ微粒子(又はドープ元素の酸化物)となり、基材上に堆積される。
【0019】
一方、外周ノズルより噴射されたドープ元素を含む化合物のガス(又はケイ素源原料ガス)は、中央ノズルより噴射されたケイ素源原料ガス(又はドープ元素を含む化合物のガス)に比べ、直線的に基材へと到達する。この間、ドープ元素を含む化合物のガス(又はケイ素源原料ガス)は、同時にバーナーより噴射された酸素及び水素ガスによって加水分解反応を起こし、ドープ元素の酸化物(又はシリカ微粒子)となり、基材上に堆積される。
【0020】
結果として、本発明では、バーナーより基材までの空間で、中央ノズルより噴射されたガスと外周ノズルより噴射されたガスとが十分に混合されるため、多孔質シリカ母材内のドープ元素の濃度分布の発生が抑制され、その後の加熱ガラス化によって均一にドープがなされたドープ合成石英ガラスの製造が可能である。
【0021】
本発明において、同心多重管バーナーの中央ノズル内部に配設される遮蔽物は、ガス流れを乱すものであればその構造に制限はなく、ノズル内に設置する遮蔽物の数や大きさについても、多孔質シリカ母材の作製において著しい障害を生じるものでなければ、特に制限はないが、ガス流に大きな乱流が生じて放射状に拡がりながらバーナー前方に設置された基材に到達し得るような遮蔽物であることが好ましく、特に遮蔽物の形状が平板を1回又は複数回捩った形状を有するもの、例えば90°以上、とりわけ180〜360°捩った形状であることが好適である。具体的には、図1に示すような形状の遮蔽物5を配設した同心多重管バーナーを使用することができる。
【0022】
即ち、図1は、本発明の製造方法で使用することができる同心四重管バーナーの構造及び中央ノズルに配設される遮蔽物の構造を示す概略図である。中央ノズル1の外周に同心円状に外周ノズル2,3,4が配置され、その中央ノズル1の内部には、細長い平板を90°以上捩った形状の遮蔽物5が、円形の中央ノズル口に配設されて、ノズル内部が仕切られている。
【0023】
なお、本発明の製造方法において、同心円多重管バーナーの他の構造に何ら制限はなく、中央ノズルの外周に複数の外周ノズルが設置されていればよい。また、多孔質シリカ母材製造時のガス流量は、通常の条件において操作し得る範囲とすることができるが、ガス流量は通常の条件において、多孔質シリカ母材の製造を著しく困難としない範囲が好ましい。
【0024】
上記のようにして火炎加水分解反応により生成したシリカ微粒子にドープ元素をドープさせた多孔質シリカ母材は、反応域に例えば回転可能に配置された基材上に堆積される。次いで、ドープ元素を含む多孔質シリカ母材は、高温ガラス化炉内で加熱ガラス化されるが、ガラス化の方法も公知の方法、条件を採用し得、例えば不活性ガス混合雰囲気下又は真空ガラス化炉内で1200〜1700℃まで加熱し、ガラス化することができる。不活性ガスとしては、例えばヘリウム、アルゴン、窒素等を使用することができる。
【0025】
ガラス化後は、通常の方法でガラス化炉内で急冷、徐冷又は放冷にて室温まで冷却することにより、ドープ合成石英ガラスを得ることができる。
【0026】
【実施例】
以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。また、本発明は、下記実施例に記載されている種々の製造条件に限定されるものではない。
【0027】
[実施例1]
ケイ素源原料としてのテトラメトキシシランを1000g/Hrで図1に示すノズル構造を有する同心円多重管バーナーの中央ノズルへ供給し、塩化アルミニウムを120℃に加熱し、1.0L/minの窒素ガスで第2ノズルに供給し、O2ガスを4.0m3/Hr、H2ガスを2.8m3/Hrで第3、第4ノズルにそれぞれ供給して、酸水素火炎での加水分解により多孔質シリカ母材を製造した。この際、製造時のラインの閉塞はなかった。
次に、多孔質シリカ母材を真空ガラス化炉内において1450℃まで昇温し、溶融ガラス化して、直径100mmのドープ合成石英ガラスを得た。
【0028】
上記条件で製造した合成石英ガラスを切り出し、中心より5mm間隔で半径方向に45mmまでのアルミニウム濃度を二次イオン質量分析装置(カメカインスツルメンツ社製IMS−6F)で測定した結果、アルミニウム濃度は中心部で29ppm、中心より半径方向に45mmの位置で20ppmであった。得られたアルミニウムの濃度分布測定結果を図3に示した。
【0029】
[実施例2]
塩化アルミニウムを120℃に加熱し、この塩化アルミニウムを1.0L/minの窒素ガスで図1に示すノズル構造を有する同心円多重管バーナーの中央ノズルへ供給し、ケイ素源原料としてのテトラメトキシシランを1000g/Hrで第2ノズルへ供給し、O2ガスを4.0m3/Hr、H2ガスを2.8m3/Hrで第3、第4ノズルにそれぞれ供給して、酸水素火炎での加水分解により多孔質シリカ母材を製造した。この際、製造時のラインの閉塞はなかった。
次に、多孔質シリカ母材を真空ガラス化炉内において1450℃まで昇温し、溶融ガラス化して直径100mmのドープ合成石英ガラスを得た。
【0030】
上記条件で製造した合成石英ガラスを切り出し、中心より5mm間隔で半径方向に45mmまでのアルミニウム濃度を実施例1と同様に二次イオン質量分析装置で測定した結果、アルミニウム濃度は中心部で31ppm、中心より半径方向に45mmの位置で19ppmであった。得られたアルミニウムの濃度分布測定結果を図3に示した。
【0031】
[比較例1]
図2に示すような中央ノズル11の外周に同心円状に外周ノズルとして第2,ノズル12、第3ノズル13、第4ノズル14が配置された同心多重管バーナーを使用して、下記方法によりドープ合成石英ガラスを製造した。
ケイ素源原料としてのテトラメトキシシランを1000g/Hrで図2に示すノズル構造を有する同心円多重管バーナーの中央ノズルへ供給し、塩化アルミニウムを120℃に加熱し、1.0L/minの窒素ガスで第2ノズルに供給し、O2ガスを4.0m3/Hr、H2ガスを2.8m3/Hrで第3、第4ノズルにそれぞれ供給して、酸水素火炎での加水分解により多孔質シリカ母材を製造した。次に、多孔質シリカ母材を真空ガラス化炉内において1450℃まで昇温し、溶融ガラス化して直径100mmのドープ合成石英ガラスを得た。
【0032】
次に、この条件で製造した合成石英ガラスを切り出し、中心より5mm間隔で半径方向に45mmまでアルミニウム濃度を二次イオン質量分析装置で測定した結果、アルミニウム濃度は中心部で30ppm、中心より半径方向に45mmの位置で4ppmであった。図3にアルミニウムの濃度分布測定結果を示した。
【0033】
[比較例2]
塩化アルミニウムを120℃に加熱し、この塩化アルミニウムを1.0L/minの窒素ガスで図2に示すノズル構造を有する同心円多重管バーナーの中央ノズルに供給し、ケイ素源原料としてのテトラメトキシシランを1000g/Hrで第2ノズルへ供給し、O2ガスを4.0m3/Hr、H2ガスを2.8m3/Hrで第3、第4ノズルにそれぞれ供給して、酸水素火炎での加水分解により多孔質シリカ母材を製造した。
次に、多孔質シリカ母材を真空ガラス化炉内において1450℃まで昇温し、溶融ガラス化して直径100mmのドープ合成石英ガラスを得た。
【0034】
上記条件で製造した合成石英ガラスを切り出し、中心より5mm間隔で半径方向に45mmまでアルミニウム濃度を二次イオン質量分析装置で測定した結果、アルミニウム濃度は中心部で33ppm、中心より半径方向に45mmの位置で4ppmであった。図3にアルミニウムの濃度分布測定結果を示した。
【0035】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、製造時のライン閉塞の心配がない上、合成されたドープ合成石英ガラスにおけるドープ元素の濃度分布の発生を抑制することができ、従って、簡便かつ安定してケイ素以外のドープ元素を均一にドープしたドープ合成石英ガラスを工業的に有利に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法において、多孔質シリカ母材作製時に使用される同心四重管の一実施例であるノズル構造及び中央ノズルに配設される遮蔽物の構造を示す概略図である。
【図2】従来の多孔質シリカ母材作製時に使用される同心多重管バーナーのノズル構造の一例を示す概略図である。
【図3】実施例及び比較例で製造した合成石英ガラスのアルミニウム濃度を二次イオン質量分析装置により測定した結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1 遮蔽物が配設される中央ノズル
2 第2ノズル
3 第3ノズル
4 第4ノズル
5 遮蔽物
Claims (2)
- ケイ素源原料ガス、ケイ素原子以外のドープ元素を含む化合物のガス、水素ガス及び酸素ガスを同心多重管構造を有するバーナーから反応域に供給し、基材上にケイ素源原料ガスの火炎加水分解反応により生成したシリカ微粒子に上記ドープ元素をドープさせて堆積させた多孔質シリカ母材を作製した後、該多孔質シリカ母材を加熱ガラス化するドープ合成石英ガラスの製造方法において、ケイ素源原料ガス、ケイ素原子以外のドープ元素を含む化合物のガスのいずれか一方を同心多重管バーナーの中央ノズルに、他方を前記中央ノズルに同心円状に配置された外周ノズルに供給し、かつ前記中央ノズル内部にガスの流れを乱す遮蔽物を配設することを特徴とするドープ合成石英ガラスの製造方法。
- 上記遮蔽物が、平板を90°以上捩った形状の遮蔽物である請求項1記載のドープ合成石英ガラスの製造方法。
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