JP4068760B2 - 複合樹脂押出成形体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、植物系充填材や表面の性状に由来する、ソフトな木質感を呈した押出成形体を、比較的簡便に提供し得る複合樹脂押出成形体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、熱可塑性樹脂に木粉のような植物系充填材を混入した複合樹脂組成物を押出成形することによって、木質感のある成形体を得ようとする試みが種々行われてきたが、成形体表面はやはり樹脂分の割合が高いためにプラスチック特有の艶が残り、充分な木質感のある成形体を簡便に得ることは、実際上困難であった。
そこで、例えば、熱可塑性樹脂とセルロース系充填材とによって形成した木質合成板の表面に、サンダーで研削処理を施して多数の傷条を形成し、次いでこの表面に着色剤を塗布し、最後に木目柄を印刷することにより、天然木に近い木目等の模様を形成する方法が提案されている(特開平9−216500号公報参照)。
【0003】
この方法によると、印刷インキが表面の木粉に含浸すると共に上記傷条深部に浸入して、インキがにじむことになるので木質感のある木目柄を得ることが出来るとされており、この様な効果は確かに好ましいものである。
しかし、この方法は、多数の傷条を形成する第1研削工程、着色剤塗布工程、凹部着色層を残して研削研磨を要する第2研削工程、及び、前記研磨面に木目柄を印刷する工程を必須とする煩瑣な工程からなり、実際に工業的に採用するには、複雑で大がかりな各種装置を必要とするもので、木質感のある成形体を簡便に得ることができる方法とは言い難いものであった。
【0004】
一方、熱可塑性樹脂と木粉との複合樹脂成形体表面に凹凸を付与して木目柄を得る方法も古くから知られており、例えば、特開昭62−117724号公報には、発泡性熱可塑性樹脂に所望により木粉を含有させた複合樹脂組成物を押出成形する際に、口金内周部に流れ方向の溝を設けた押出機を用いることにより、天然木に類似した柾目模様を有する成形体を得ることが開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、本発明者等の検討によれば、特開昭62−117724号公報記載の方法では、樹脂の押出し方向に対し真っ直ぐな線を付与をすることは可能であるが、凹凸からなる真っ直ぐな線は、天然木に類似した柾目模様とは趣きを異にしているので、微妙なゆらぎを有する天然木の柾目により類似した成形体が望まれていた。
【0006】
本発明は、上記従来の、木質感のある複合樹脂成形体の製造方法における問題点に鑑みてなされたもので、植物系充填材や表面の性状に由来する、ソフトな木質感を呈した押出成形体を、比較的簡便に提供し得る複合樹脂押出成形体の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の本発明は、熱可塑性樹脂と植物系充填材を含有する複合樹脂組成物を押出成形する際に、加熱賦形型、冷却賦形型及び表面加熱型をこの順に直付けされてなる押出成形装置によって押出成形することを特徴とする複合樹脂押出成形体の製造方法を提供する。
【0009】
また、請求項2記載の本発明は、上記表面加熱型が、粗面に形成された内面を有する表面加熱型を有するものであることを特徴とする請求項1記載の複合樹脂押出成形体の製造方法を提供する。
【0010】
また、請求項3記載の本発明は、上記複合樹脂組成物が、熱可塑性樹脂100重量部に対して、植物系充填材100〜400重量部、α,β−不飽和カルボン酸系モノマー1〜40重量部及び重合開始剤を含有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の複合樹脂押出成形体の製造方法を提供する。
【0011】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明における、上記複合樹脂組成物に用いられる熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、フッ素樹脂、ポリフェニレンサルファイド、ポリスチレン、ABS、アクリル系樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリフェニレンオキサイド、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の市販の熱可塑性樹脂が挙げられる。
また、熱可塑性樹脂の平均粒径は、押出機のクリアランスを通過できるものが使用可能であるが、余り細かすぎると混練しにくくなるので、10〜1000μm程度が好ましい。
【0012】
本発明に使用される植物系充填材は、得られた成形品の外観が植物調となり、ソフトな感触を与えるもので植物からなる充填物であれば、その種類は特に制限されるものではないが、例えば、材木、木板、合板、パルプ、竹材などの切削屑、研摩屑、切断鋸屑、粉砕物のような木粉;籾殻、胡桃殻のような穀物もしくは果実の殻またはその粉砕物等が挙げられる。
【0013】
また、一般に植物系充填材、例えば木粉には含有水分が存在し、成形品の表面性に影響を与える。押出成形温度が150℃以上では、植物系充填材中の含水率は10重量%以下であることが望ましく、押出成形温度が120〜150℃では、含水率は20重量%以下であることが望ましい。
植物系充填材の配合量は、熱可塑性樹脂100重量部に対して50〜500重量部迄技術的に可能であるが、得られる成形体の木質感や押出成形性を考慮すると、100〜400量部が好ましい。
【0014】
上記複合樹脂組成物には、以下に示すようなα,β−不飽和カルボン酸系モノマーと重合開始剤とを配合すると、α,β−不飽和カルボン酸系モノマーが熱可塑性樹脂への可塑化効果を奏すると共に、可塑化後に重合開始剤がモノマー重合してより高物性の成形体を提供し得る点で好ましい。
【0015】
本発明に使用されるα,β−不飽和カルボン酸系モノマーとしては、α,β−不飽和カルボン酸、α,β−不飽和カルボン酸エステル、α,β−不飽和カルボン酸アミド等が挙げられ、好ましくは沸点が102℃以上のものである。沸点102℃未満のα,β−不飽和カルボン酸系モノマーは、押出成形時、揮発して成形品の表面性を低下させる嫌いがある。また、α,β−不飽和カルボン酸系モノマーとしては、押出成形温度以上の沸点を有するものを選ぶことが好ましい。
【0016】
上記α,β−不飽和カルボン酸系モノマーの具体例としては、先ず、α,β−不飽和カルボン酸としては、メタクリル酸、アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、イタコン酸等が例示される。
【0017】
メタクリル酸エステルとしては、メタクリル酸エチル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸−i−ブチル、メタクリル酸−t−ブチル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル・メチルクロライド塩、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、メタクリル酸アリル、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸トリエチレングリコール、ジメタクリル酸テトラエチレングリコール、ジメタクリル酸−1,3−ブチレングリコール、ジメタクリル酸−1,6−ヘキサンジオール、トリメタクリル酸トリメチロールプロパン、メタクリル酸−2−エトキシエチル等が例示される。
【0018】
アクリル酸エステルとしては、アクリル酸アリル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸−2−(5−エチル−2−ピリジル)エチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸−2−シアノエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−t−ブチル、βハイドロキシエチルアクリレート、ハイドロキシプロピルアクリレート等が例示される。
【0019】
α,β−不飽和カルボン酸アミドとしては、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミドが例示される。
【0020】
α,β−不飽和カルボン酸系モノマーの配合量は、熱可塑性樹脂100重量部に対して1〜40重量部が好ましい。1重量部未満であると、熱可塑性樹脂を充分に可塑化できず、熱可塑性樹脂に植物系充填材を高い割合で含ませられないことがあり、逆に40重量部を越えると、組成物の粘度が低下しすぎ、成形品の表面性が悪くなる嫌いがある。また、必要に応じて数種のモノマーを併用して用いてもよい。
【0021】
本発明における上記複合樹脂組成物としては、請求項5記載の如く、熱可塑性樹脂100重量部に対して、上記植物系充填材100〜400重量部、α,β−不飽和カルボン酸系モノマー1〜40重量部及び重合開始剤を含有していることが、木質感及び熱可塑性樹脂の可塑化効果の発現や押出成形性の点で好ましい。
より詳しくは、上記配合により、α,β−不飽和カルボン酸系モノマーが熱可塑性樹脂を可塑化し、木粉の分解を抑制しつつ成形体に高充填することができ、又、混練性向上によって均一な表面性が確保された成形体が得られる。
【0022】
本発明に使用される重合開始剤としては、加熱によりα,β−不飽和カルボン酸系モノマーの重合を引き起こすものであれば、いずれも使用可能であり、ケトンパーオキサイド系、パーオキシケタール系、ジアルキルパーオキサイド系、ジアシルパーオキサイド系、パーオキシエステル系、パーオキシジカーボネート系の重合開始剤が例示される。
【0023】
重合開始剤としては、10時間半減期温度が60℃以上であるものがより好ましい。この半減期温度が60℃未満であると、押出成形時にα,β−不飽和カルボン酸系モノマーとしてのアクリル酸エステルモノマーが急速に硬化し、押出成形性が低下する場合がある。
【0024】
重合開始剤の具体例は、下記のとおりである。
ケトンパーオキサイド系重合開始剤として、メチルアセトアセテートパーオキサイド等が挙げられる。
【0025】
パーオキシケタール系重合開始剤としては、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(86.7℃)、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン(87.1℃)、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(90.0℃)、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン(90.7℃)、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン(95.0℃)、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン(103.1℃)、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレイト(104.5℃)、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン(94.7℃)等が挙げられる。
【0026】
ジアルキルパーオキサイド系重合開始剤として、ジ−t−ブチルパーオキサイド(123.7℃)等が挙げられる。
【0027】
ジアシルパーオキサイド系重合開始剤として、ラウロイルパーオキサイド(61.6℃)、ステアロイルパーオキサイド(62.4℃)、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド(52.8℃)、オクタノイルパーオキサイド(61.5℃)、ベンゾイルパーオキサイド(73.6℃)等が挙げられる。
【0028】
パーオキシエステル系重合開始剤として、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(65.3℃)、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン(66.2℃)、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(67.5℃)、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(69.9℃)、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(72.1℃)、t−ブチルパーオキシイソブチレート(77.3℃)、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(95.0℃)、t−ブチルパーオキシマレイン酸(96.1℃)、t−ブチルパーオキシー3,5,5−トリメチルヘキサノエート(97.1℃)、t−ブチルパーオキシラウレート(98.3℃)、2,5−ジメチル−2,5−ジ(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサン(98.5℃)、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(98.7℃)、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート(99.0℃)、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート(99.4℃)、2,5−ジメチルー2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン(99.7℃)、t−ブチルパーオキシアセテート(101.9℃)、t−ブチルパーオキシ−m−トルオイルベンゾエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート(104.3℃)、2,4,4−トリメチルペンチル−2−ハイドロパーオキサイド等が挙げられる。上記例示化合物において、括弧内の数字は10時間半減期温度を示す。
【0029】
本発明において、重合開始剤としては、10時間半減期温度が、押出機の押出温度に対して、押出温度−70℃<重合開始剤の10時間半減期温度<押出温度−10℃、となる関係を有するものを用いることは、硬化速度を制御し易いので、特に好ましい。
【0030】
重合開始剤とα,β−不飽和カルボン酸系モノマーの組合わせ、および重合開始剤の配合割合は、押出温度と同じ温度条件でのゲルタイムテスター(「No.153式」、安田精機製作所製)による測定で、ゲル化時間が30〜600秒になるように決めるのが好ましい。
【0031】
本発明の複合樹脂組成物には、必要に応じて、公知の滑剤を含ませることもできる。その滑剤の例としては、 炭化水素系(流動パラフィン、 天然パラフィン、マイクロワックス、ポリエチレンワックス等)、脂肪酸系(ステアリン酸系等) 、脂肪酸アミド系(ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド、メチレンビスステアロアミド等) 、エステル系(プチルアレート、 硬化ヒマシ油、エチレングリコールモノステアレート等) 、アルコール系(セチルアルコール、ステアリルアルコール等) 、金属石鹸系(ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸鉛等) が挙げられる。
【0032】
滑剤は、使用する樹脂種により異なるが、 外部滑性を強く示すものほど好ましい。その理由は、フィラーを高充填した熱可塑性複合材の押出成形では、 冷却成形時、 金型との抵抗が小さい方が、 成形性が格段に向上することによる。外部滑性を強く示す滑剤としては、例えば炭化水素系、 高級脂肪酸系、 金属石鹸系等が挙げられる。滑剤を添加する場合、その添加量は、 1〜25重量部が好ましい。1重量部に充たないと添加効果が明確にならず、 25重量部を越えると、 物性の低下が見られる。
【0033】
上記複合樹脂組成物には、必要に応じて、更に、ガラス繊維、炭素繊維等の補強材、大理石粉、石粉、金属粉、非植物系充填材等、可塑剤、発泡剤等の添加剤を配合することができる。
【0034】
本発明の複合樹脂組成物には、必要に応じて、以下に示すような公知の発泡剤を添加することもでき、これにより、同組成物を押出しつつ発泡させたり、成形後、発泡させたりすることで、別異の木質感を発現させることが可能となる。
使用できる発泡剤としては、炭酸アンモニア、重炭酸ソーダ等の無機発泡剤;ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソテレフタールアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、p−トルエンスルホニルヒドラジド、P,P’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、3,3’−ジスルホンヒドラジドフェニルスルホン、アゾビスイソブチロニトリル、アゾジカルボンアミド、アゾジカルボン酸バリウム、ジエチルアゾジカルボキシレート等の有機系発泡剤が例示される。
【0035】
押出機としては、一軸および二軸の何れの押出機も使用可能であるが、混練性の面から二軸タイプ、特に二軸同方向押出機が好ましい
押出機の押出成形温度は、好ましくは120〜180℃である。この温度が120℃未満であると本発明による複合樹脂組成物の押出成形ができず、180℃を越えると、植物系充填材が押出成形中に変色を起こし、表面性が低下し易い。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の複合樹脂押出成形体の製造方法を図面を参照しながら説明する。
図1は、請求項1又は2記載の本発明の実施に用いて好適な押出成形装置の1例を示す模式的側面図である。二軸同方向押出機等の押出機1には、下流末端に、加熱賦形型2、冷却賦形型3及び表面加熱型5がこの順に直付けされて押出成形装置10が形成されている。
【0040】
表面加熱型5は、加熱賦形型2により加熱賦形され冷却賦形型3により冷却固化された押出賦形体を、再度加熱することによって、賦形体表面のスキン層(図示せず)を取り除いて、木質感を発現し得る微妙な凹凸を表面にのみ与えるのである。
【0041】
押出機1、加熱賦形型2及び冷却賦形型3については、押出成形装置6において用いられたものと同様なものが使用可能である。表面加熱型5は図2に拡大正面図が示されている如く、賦形部断面はT字型とされ、粗面に形成された内面51を有している。
表面加熱型5の内面51が、例えば、メッキ加工が施されて表面平滑性が高いと樹脂分の割合が高い賦形体表面を充分に荒らすことができず、結局木質感を有する成形体が得られないからである。
【0042】
表面加熱型5が粗面に形成された内面を有しているとは、例えば、JISB0601に準拠した表面粗さRmax が10μm以上であることが好ましく、且つ通常はRmax が1000μm以下の表面状態のものが用いられる。
1000μmを越える場合は、押出成形時に表面粗さが抵抗となって押出成形性が低下して、良好な外観を備えた成形体が得られ難いからである。
【0047】
(実施例1)
熱可塑性樹脂としてホモポリプロピレン100重量部に、植物系充填材として米栂の木粉( 平均粒径200μm)100重量部、及びステアリン酸亜鉛5重量部を図1に示すホッパー9に投入し、二軸同方向押出機1からなる押出成形装置10によって、混練同時成形を行い、押出成形体を得た。
尚、押出機1先端に取り付けた加熱賦形型2の出口断面形状はT字形でその水平部及び垂直部の幅は何れも6mmであり、冷却賦形型3及び表面加熱型5の断面形状も同様であった。但し、表面加熱型5の内面51は研磨処理によって、JIS B 0601に準拠した表面粗さRmax が300μmに調整されていた。
また、押出機及び加熱賦形型の温度を190℃、冷却賦形型の温度を90℃、表面加熱型の温度を150℃とした。
得られた押出成形体表面の光沢度はHORIBA光沢度計により測定したところ、9%であり、いわゆる艶を有しない、木質感を充分備えたものであった。
【0048】
(実施例2)
実施例1において、ホモポリプロピレン100重量部に対し、植物系充填材として米栂の木粉(平均粒径200μm)を300重量部とし、新たにα,β不飽和カルボン酸系モノマーとしてメタクリル酸シクロヘキシルモノマー5重量部及び重合開始剤として2,4,4−トリメチルペンチル−2−ハイドロパーオキサイド(化薬アクゾ社製TMBH)を0.1重量部を加えたこと以外は、同様にして成形体を得た。
得られた押出成形体表面の光沢度は3%であり、いわゆる艶を有しない、木質感を充分備えたものであった。
【0049】
(比較例1)
実施例2において、表面加熱型5を備えていない押出成形装置を用いて成形したこと以外は、同様にして成形体を得た。
得られた押出成形体表面の光沢度は41%であり、いわゆる艶の残った、木質感の不充分なものであった。
【0050】
【発明の効果】
請求項1記載の本発明においては、熱可塑性樹脂と植物系充填材とを含有する複合樹脂組成物を押出成形する際に、加熱賦形型、冷却賦形型及び表面加熱型をこの順に直付けされてなる押出成形装置によって押出成形するので、加熱賦形型2により加熱賦形され冷却賦形型3により冷却固化された押出賦形体を、表面加熱型で再度加熱することによって、賦形体表面のスキン層を取り除いて、比較的簡便に、木質感を発現し得る微妙な凹凸を表面に有する複合樹脂押出成形体を提供し得る。
請求項2記載の本発明においては、上記表面加熱型が、例えばJIS B 0601に準拠した表面粗さRmax が10μm〜1000μmの表面状態の如く、粗面に形成された内面を有する表面加熱型を有するものであるので、適度の表面粗さ、すなわち、微妙な凹凸を賦形体表面に形成することが出来、木質感を有する複合樹脂押出成形体を簡便に提供し得る。
請求項3記載の本発明においては、上記複合樹脂組成物が、熱可塑性樹脂100重量部に対して、植物系充填材100〜400重量部、α,β−不飽和カルボン酸系モノマー1〜40重量部及び重合開始剤を含有しているので、上記の効果をより一層確実に奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 請求項1又は2記載の本発明の実施に用いて好適な押出成形装置の1例を示す模式的側面図。
【図2】 図2に示す装置の表面加熱型5の1例を示す拡大正面図。
【符号の説明】
1・・押出機
2・・加熱賦形型
3・・冷却賦形型
5・・表面加熱型
10・・押出成形装置
Claims (3)
- 熱可塑性樹脂と植物系充填材とを含有する複合樹脂組成物を押出成形する際に、加熱賦形型、冷却賦形型及び表面加熱型をこの順に直付けされてなる押出成形装置によって押出成形することを特徴とする複合樹脂押出成形体の製造方法。
- 上記表面加熱型が、粗面に形成された内面を有する表面加熱型を有するものであることを特徴とする請求項1記載の複合樹脂押出成形体の製造方法。
- 上記複合樹脂組成物が、熱可塑性樹脂100重量部に対して、植物系充填材100〜400重量部、α,β−不飽和カルボン酸系モノマー1〜40重量部及び重合開始剤を含有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の複合樹脂押出成形体の製造方法。
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