JP4068389B2 - 電線余長吸収装置とそれを用いたスライドドア用給電装置 - Google Patents

電線余長吸収装置とそれを用いたスライドドア用給電装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のスライドドア等に適用され、可動側と固定側の電線ガイド部材に沿って電線を引き出し及び引き込ませることで電線の弛みを吸収させる電線余長吸収装置とそれを用いたスライドドア用給電装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
接続部側の移動に伴って電線を伸長させ、接続部側の復帰に伴って電線を収縮させる構造の電線余長吸収装置の一例として、従来、例えば図11に示す電線余長吸収装置とそれを用いたスライドドア用給電装置が提案されている(特開平12−264136号公報参照)。
【0003】
この電線余長吸収装置71は、一対のリンクアーム72と、リンクアーム72の一端に連結されたスライダ73と、リンクアーム72の他端を連結し、且つスライダ73をスライド自在に係合させたガイドレール74とで構成されている。
【0004】
電線余長吸収装置71はスライドドア75に配設され、ガイドレール74は金属製のドアパネル76に水平に固定され、一対のリンクアーム72はドアパネル76と合成樹脂製のドアトリム(図示せず)との間で開閉自在となっている。
【0005】
電線はワイヤハーネス(複数本の電線を収束させたもの)77として一対のリンクアーム72に沿って配索されつつスライダ73に固定され、ワイヤハーネス77の一方はスライダ73から大きく湾曲して車両ボディ78のステップ部79の近傍で固定されつつ車両ボディ側のワイヤハーネス80にコネクタ接続され、ワイヤハーネス77の他方はリンクアーム72の端部からスライドドア75に沿ってスライドドア側の電装品等の補機にコネクタ接続されている。
【0006】
このスライドドア用給電装置によって車両ボディ側(バッテリ側)からスライドドア側の補機類に常時給電が行われ、スライドドア75の開閉に関係なく補機類に信号電流や電源電流が供給される。補機としては例えばパワーウィンドモータやドアロックユニット、スイッチユニットやオートドア開閉ユニット等が挙げられる。
【0007】
スライドドア75を矢印Aの如く前方へスライドさせて閉じるに伴って、一対のリンクアーム72が「へ」の字状に開いて、スライダ73がガイドレール74の後部側に位置する。また、スライドドア75を後方へスライドさせて開けるに伴って、一対のリンクアーム72が閉じて、スライダ73がガイドレール74の前部側に位置する。このようにして、スライドドア75の開閉時におけるワイヤハーネス77の余長(弛み)が吸収される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の電線余長吸収装置71にあっては、長いガイドレール74と一対のリンクアーム72によって構造が大型化・重量化したり、リンクアーム72に他の部品等が干渉しないようにスライドドア内の部品配置等に制限が加わると共に、車種に応じてガイドレール74やリンクアーム72の長さを変えなければならず、設計や製造にかかる工数が増し、コスト高になるという懸念があった。
【0009】
本出願人はこれらの点に鑑み、構造が簡単且つコンパクトでしかも汎用性のある電線余長吸収装置を得るべく、ケース内に一対の電線ガイド部材をばね付勢のもとで可動自在に設け、一対の電線ガイド部材に沿ってワイヤハーネスを巻き付けて、ワイヤハーネスの一方をケース側に固定し、ワイヤハーネスの他方をケースから導出させて引張及び揺動可能とした構成の電線余長吸収装置を特願2002−63603で提案した。
【0010】
本発明は、特願2002−63603の構造をさらに改良して、一層簡素で且つコンパクトで且つ動きのスムーズで確実な電線余長吸収装置とそれを用いたスライドドア用給電装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る電線余長吸収装置は、ワイヤハーネスを収容するケースと、該ケース内で弾性付勢されつつ移動自在に設けられた可動側の電線ガイド部材と、該ケース内で該可動側の電線ガイド部材に対して付勢反対方向に配置された固定側の電線ガイド部材と、該ケースに覆設されるカバーとを備え、ワイヤハーネスが一方の口部から該ケース内に導入されて該可動側の電線ガイド部材に沿って折り返され、さらに該固定側の電線ガイド部材に沿って屈曲されつつ他方の口部から該一方の口部に接近する方向に導出されることを特徴とする。
上記構成により、可動側の電線ガイド部材が付勢方向に最も移動した状態で、ワイヤハーネスはケース内で一方の口部から電線ガイド部材を経て他方の口部に向けて略U字状に折り返されて収容される。その状態から電線が他方の開口から固定側の電線ガイド部材に沿って折り返されつつケースの外面に沿って引き出される。それに伴って可動側の電線ガイド部材が付勢に抗して付勢反対側に移動する。その状態からワイヤハーネスの引張が解除されると、可動側の電線ガイド部材の復元作用でワイヤハーネスが他方の口部からケース内に引き込まれる。ワイヤハーネスは常に弛みなく張った状態に維持される。また、可動側の電線ガイド部材が付勢に抗して固定側の電線ガイド部材に接近しつつ、ワイヤハーネスが一方の口部から可動側の電線ガイド部材と固定側の電線ガイド部材とを順に経て他方の口部から導出され、ケース内からケース外にかけて略ループ状に屈曲する。これにより、ワイヤハーネスの屈曲形態が簡素化され、ワイヤハーネスにかかる曲げストレスが軽減される。
【0012】
請求項2に係る電線余長吸収装置は、ワイヤハーネスを収容するケースと、該ケース内で弾性付勢されつつ移動自在に設けられた可動側の電線ガイド部材と、該ケース内で該可動側の電線ガイド部材に対して付勢反対方向に配置された固定側の電線ガイド部材と、該ケースに覆設されるカバーとを備え、ワイヤハーネスが一方の口部から該ケース内に導入されて該可動側の電線ガイド部材に沿って折り返され、さらに該固定側の電線ガイド部材に沿って屈曲されつつ他方の口部から導出される電線余長吸収装置であって、前記可動側の電線ガイド部材が大径に形成され、前記固定側の電線ガイド部材が小径に形成され、両電線ガイド部材が前記ワイヤハーネスを沿わせる湾曲面を有することを特徴とする。
上記構成により、可動側の電線ガイド部材が付勢方向に最も移動した状態で、ワイヤハーネスはケース内で一方の口部から電線ガイド部材を経て他方の口部に向けて略U字状に折り返されて収容される。その状態から電線が他方の開口から固定側の電線ガイド部材に沿って折り返されつつケースの外面に沿って引き出される。それに伴って可動側の電線ガイド部材が付勢に抗して付勢反対側に移動する。その状態からワイヤハーネスの引張が解除されると、可動側の電線ガイド部材の復元作用でワイヤハーネスが他方の口部からケース内に引き込まれる。ワイヤハーネスは常に弛みなく張った状態に維持される。また、ワイヤハーネスが大小の各電線ガイド部の湾曲面に沿って折れ曲がりなく滑らかに屈曲しつつスムーズに摺動する。
【0013】
請求項3に係る電線余長吸収装置は、請求項記載の電線余長吸収装置において、前記ケース又はカバーに電線浮き上がり防止壁が設けられ、該電線浮き上がり防止壁の外側を前記ワイヤハーネスが通り、該電線浮き上がり防止壁の内側を前記可動側の電線ガイド部材が通ることを特徴とする。
例えば小径の固定側の電線ガイド部材に沿ってワイヤハーネスが持ち上げられるが、電線浮き上がり防止壁でワイヤハーネスが押さえられて、可動側の電線ガイド部材の軌道上におけるワイヤハーネスの浮き上がりが防止される。
【0014】
請求項4に係る電線余長吸収装置は、請求項2又は3記載の電線余長吸収装置において、前記固定側の電線ガイド部材に沿って前記ワイヤハーネスが前記一方の口部とは離間する方向に導出されることを特徴とする。
上記構成により、ケースからワイヤハーネスが引き出される際に、例えば小径の固定側の電線ガイド部材に沿ってワイヤハーネスが導入側の一方の口部とは反対側に屈曲されつつ折り返され、ワイヤハーネスがケース内からケース外にかけて略S字状に屈曲しつつケースの外面に沿ってスムーズに引き出される。
【0015】
請求項5に係る電線余長吸収装置は、請求項1記載の電線余長吸収装置において、前記固定側の電線ガイド部材が前記可動側の電線ガイド部材と同程度ないしそれ以上に大径に形成され、両電線ガイド部材が前記ワイヤハーネスを沿わせる湾曲面を有することを特徴とする。
上記構成により、可動側の電線ガイド部材が付勢に抗して固定側の電線ガイド部材に接近しつつ、ワイヤハーネスが固定側の電線ガイド部材の湾曲面に沿って大きな曲率半径で折れ曲がりなく屈曲されて、スムーズに外部へ引き出される。
【0017】
請求項に係る電線余長吸収装置は、請求項1又は5記載の電線余長吸収装置において、前記他方の口部に続いて前記ケース及び/又は前記カバーに電線方向規制部が設けられたことを特徴とする。
上記構成により、ケースからのワイヤハーネスの導出方向が一定の範囲に規定され、ワイヤハーネスが電線方向規制部の範囲でのみ揺動可能となる。また、ワイヤハーネスの導出部が電線方向規制部で覆われて外部との干渉等から保護される。
【0019】
請求項に係る電線余長吸収装置は、項請求項1〜の何れか1項に記載の電線余長吸収装置において、前記可動側の電線ガイド部材が弾性付勢手段を兼ねることを特徴とする。
上記構成により、可動側の電線ガイド部材がスライド移動ではなく弾性的に移動して、ワイヤハーネスを引き入れ方向に付勢する。ワイヤハーネスの引き出し時には電線ガイド部材自体が固定側の電線ガイド部材の方向に圧縮されつつ移動してワイヤハーネスの引き出しを許容する。
【0020】
請求項に係る電線余長吸収装置は、請求項1,5,6の何れか1項に記載の電線余長吸収装置において、前記可動側の電線ガイド部材に弾性部材保持部が突設され、前記カバー及び/又はケースに該弾性部材保持部をスライド自在に係合させるスライド用ガイド部が設けられたことを特徴とする。
上記構成により、可動側の電線ガイド部材の弾性部材保持部が例えば圧縮コイルばね等の弾性部材の端部を内側に安定に保持する。可動側の電線ガイド部材の弾性部材保持部の突出部分がカバー及び/又はケースのスライド用ガイド部にスライド自在に係合する。
【0021】
請求項に係る電線余長吸収装置は、請求項記載の電線余長吸収装置において、前記固定側の電線ガイド部材に、前記弾性部材保持部内に進入する弾性部材支持部が設けられたことを特徴とする。
上記構成により、ワイヤハーネスの引き出し時に可動側の電線ガイド部材が固定側の電線ガイド部材に接近し、弾性部材保持部内に弾性部材支持部が進入することで、両電線ガイド部材が位置決めされつつ、より接近して、可動側の電線ガイド部材のストロークをかせぐことができる。
【0022】
請求項10に係る電線余長吸収装置を用いたスライドドア用給電装置は、請求項1〜の何れか1項に記載の電線余長吸収装置が自動車のスライドドア又は車両ボディに縦置き又は横置きに配設され、該電線余長吸収装置の前記一方の口部にスライドドア側又は車両ボディ側から前記ワイヤハーネスが導入され、前記可動側と固定側の両電線ガイド部材の接近状態で前記他方の口部から前記ケースの外面に沿ってワイヤハーネスが車両ボディ側又はスライドドア側に導出されることを特徴とする。
上記構成により、スライドドアの開き時にワイヤハーネスがケース内で略U字状に折り返されてスムーズに引き込まれ(収容され)、スライドドアの閉じ時にワイヤハーネスがケースの内から外にかけて略S字状又は略ループ状に屈曲されつつスムーズに引き出される。ワイヤハーネスは常に弾性付勢され、弛みなく張った状態で余長が吸収される。ワイヤハーネスにより車両ボディからスライドドア側に常時給電が行われる。
【0023】
【発明の実施の形態】
図1〜図2は、本発明に係る電線余長吸収装置とそれを用いた自動車のスライドドア用給電装置の第一の実施形態を示すものである。図1はスライドドアの全開状態、図2はスライドドアの全閉状態をそれぞれ示している。図1,図2で符号1は、スライドドア2に対する車両ボディ3側の下部ガイドレール、符号4は、ガイドレール1にローラ部5を係合させたスライドドア側のスライドブラケットをそれぞれ示している。電線余長吸収装置6はスライドドア2の金属製のドアパネルと合成樹脂製のドアトリムとの間に配設されている。
【0024】
この電線余長吸収装置6は、図1の如く、一側壁7の上部にハーネス導入口(一方の口部)8、下部にハーネス導出口(他方の口部)9をそれぞれ有する横長矩形状の合成樹脂製のケース10と、ケース10内にスライド自在に設けられた一つの可動式(可動側)の電線ガイド部材(スライダ)11と、電線ガイド部材11をケース長手方向に付勢する圧縮コイルばね(付勢部材又は弾性部材)12と、ハーネス導出口9の内側に隣接してケース10に設けられた小径な円弧状の固定式(固定側)の電線ガイド部材(電線折り返し部材)13と、両電線ガイド部材11,13の間でケース10の基板部14から突設された電線浮き上がり防止壁15と、ケース10の正面側の広い開口を封止する合成樹脂製のカバー(図示せず)とで概ね構成されている。
【0025】
ケース10は垂直な基板部(基壁)14と、基板部14の周囲で矩形枠状をなす上下左右の壁部16〜18,7とで構成され、基板部14の中央に、可動式の電線ガイド部材11を案内する長手方向のスライド用ガイド部(ガイド溝ないしスリット状のガイド孔)18が形成され、一側壁(車両の方向で言えば前側の壁部)7に矩形状の電線導入口8と切欠状の電線導出口9とが上下対称位置に形成され、基板部14と下側の水平な壁部17と一体に固定式の小さな電線ガイド部材13が樹脂成形されている。電線導出口9は固定側の電線ガイド部材13に至るまで下側の壁部17が短く切欠されている。
【0026】
固定式の電線ガイド部材13は短円柱の外周の一部を切欠した形状を呈し、円弧状(湾曲状)の滑らかなガイド面(湾曲面)13aを有している。ガイド面13aの一部は電線導出口9に近接して対向している。固定式の電線ガイド部材13はケース10とは別体に樹脂成形してボルト等でケース10に固定してもよい。
【0027】
浮き上がり防止壁15は固定側の電線ガイド部材13の比較的近傍で下側の壁部17と平行に且つ同じ突出長さで矩形状に形成され、浮き上がり防止壁15と下側の壁部17との間隔はワイヤハーネス19の外径よりも少し大きく設定され、浮き上がり防止壁15の上面は可動側の電線ガイド部材11の下面よりも若干下側に位置して、スライドした可動側の電線ガイド部材11と干渉しないようになっている。
【0028】
可動側の電線ガイド部材11は半円状の部分11aと略矩形状の部分11bとを合わせた形状を呈し、半円状の部分11aは外周に円弧状の電線ガイド面(湾曲面)11cを有し、略矩形状の部分11bは上下の真直で平行な電線ガイド面11dと角部の湾曲面11eとを有して、ワイヤハーネス19を滑らかに折り返した状態に支持している。
【0029】
可動側の電線ガイド部材11の裏面には、ケース10のスライド用ガイド部18にスライド自在に係合する突部20が形成されている。電線ガイド部材11の表面に突部20を設け、カバー(図示せず)に長孔や溝等のスライド用ガイド部18を設けてもよい。スライド用ガイド部18はケース10及び/又はカバーに設けられる。圧縮コイルばね12の一端はワイヤハーネス19と干渉することなくケース10の一側壁7方に当接支持され、圧縮コイルばね12の他端は可動側の電線ガイド部材11の側面方に当接支持されている。各電線ガイド部材11,13をハーネスガイド部材と呼称してもよい。
【0030】
ワイヤハーネス19は上側の電線導入口8からケース10内に導入され、上側の壁部16に沿って水平に延び、可動側の電線ガイド部材11の外側のガイド面11cに沿って下向きに湾曲状に折り返されて、下側の壁部17に沿って水平に延び、浮き上がり防止壁15の下側を通って固定側の小径な電線ガイド部材13に向けて少し上向きに傾斜して延び、電線ガイド部材13のガイド面13aに沿って下向きに湾曲状に折り返されつつ、電線導出口9から外部に導出されている。
【0031】
電線導出口9から導出されたワイヤハーネス19aは車両ボディ3とスライドドア2との間の渡り部(空間)21を経て、車両ボディ側のハーネス固定具(ハーネス固定部)22で周方向回動自在に支持され、且つ長手方向不動に固定されて、車両ボディ側(電源側等)のワイヤハーネス(図示せず)にコネクタ接続される。ケース10の上側の口部8から導出されたワイヤハーネス19bはスライドドア側に固定されつつスライドドア側のワイヤハーネスや各補機(図示せず)にコネクタ接続される。ワイヤハーネス19bを口部8の近傍においてケース10やカバーに固定してもよい。口部8は側壁7の近傍で上壁16に設けることも可能である。
【0032】
ワイヤハーネス19は外周を合成樹脂製のコルゲートチューブ(図示せず)で覆われて構成されている。コルゲートチューブは周方向の凹溝と凸条を長手方向に交互に配列したもので、屈曲性に優れている。保護チューブとしてコルゲートチューブに代えて編み目状チューブ等を用いたり、保護チューブを用いずに、複数本の電線をテープ巻き等で収束させた状態で使用することも可能である。また、ワイヤハーネス19として一本のキャブタイヤケーブルを用いることも可能である。これらは後述の各実施形態においても適用可能である。
【0033】
図1のスライドドア2の全開状態で可動側の電線ガイド部材11は圧縮コイルばね12の付勢に抗して少しハーネス導出口9側に移動して位置している。圧縮コイルばね12は図3の左側の三角状の線図231の如く少し圧縮されている。ワイヤハーネス19はばね付勢により電線導入口8(図1)からハーネス固定具22にかけて弛みなくピンと張った状態となっている。
【0034】
図1のスライドドア2の全開状態からスライドドア2を車両前方にスライド移動させる途中で、ケース10の電線導出口9がハーネス固定具22に最接近し、その時点で可動側の電線ガイド部材11がばね12の付勢力で完全に後方(図で左側)に移動し、ばね12の付勢力(ばね荷重)はゼロとなる。この状態を図3のばね荷重0(ゼロ)の位置24で示す。図3で縦軸はばね荷重、横軸は可動側の電線ガイド部材11のストロークを示している。
【0035】
図1でスライドドア2をさらに車両前方(閉じ方向)に移動させると、電線余長吸収装置6はスライドドア2と一体に前方に移動し、図2の如くワイヤハーネス19がハーネス固定具22を支点としてケース10の電線導出口9から長く引き出されつつ、可動側の電線ガイド部材11がワイヤハーネス19に押されて前方へスライド移動し、図2のスライドドア2の全閉状態となる。ワイヤハーネス19は固定側の電線ガイド部材13の外周面13aに沿って小さく湾曲しつつスムーズに電線導出口9から折り返した状態に引き出される。
【0036】
圧縮コイルばね12は圧縮されつつ可動側の電線ガイド部材11を後方に押圧している。図3の右側の大きな三角状の線図232で示す如くワイヤハーネス19は常に圧縮コイルばね12で後方に付勢されて弛みなくピンと張った状態を維持している。これにより、ワイヤハーネス19がスライドドア2と車両ボディ3との間に挟まれたりする不具合が確実に防止される。ワイヤハーネス19はケース内からケース外にかけて略S字状に屈曲している。
【0037】
図2の全閉状態からスライドドア2を開方向(後方)にスライドさせると、電線余長吸収装置6はスライドドア2と一体に後方へ移動しつつ、ワイヤハーネス19が圧縮コイルばね12の付勢力で(可動側の電線ガイド部材11で後方に押されて)ケース10内に引き込まれて、弛み(余長)が常に吸収される。ワイヤハーネス19は固定側の電線ガイド部材13の外周面13aに沿って引っ掛かりなくスムーズにケース10内に収容され、ハーネス固定具22から最短の全開状態となる。
【0038】
上記第一の実施形態によれば、一つの大径な可動側の電線ガイド部材11と一つの小径な固定側の電線ガイド部材13とでワイヤハーネス19を略S字状に屈曲させるから、例えば一対の可動式の電線ガイド部材(図示せず)に沿ってワイヤハーネスを巻き付ける構成に較べて、構造が簡素化・低コスト化される。また、電線導出部9を一カ所に小さく定め、固定側の電線ガイド部材13でスムーズに折り返してケース10の下側の壁部17に沿ってほぼ水平に導出させたから、ワイヤハーネス19を揺動させる構造に較べてワイヤハーネス19の配索スペースが小さくて済み、且つ常に圧縮コイルばね12の付勢力でワイヤハーネス19を弛みなく張った状態に維持するから、スライドドア2と車両ボディ3との間へのワイヤハーネス19の噛み込みも確実に防止される。
【0039】
なお、上記実施形態において、固定側の電線ガイド部材13を円形で小径なローラ状に形成してケース10やカバーに回動自在に軸支させることも可能である。ローラ状の電線ガイド部材の外周両端面をケース10とカバーの各環状リブ(図示せず)の内面で支承させてもよい。これにより、電線ガイド部材13に対するワイヤハーネス19の摺動抵抗が一層低減され、ワイヤハーネス19の伸縮動作(余長吸収)が一層スムーズ化すると共に、圧縮コイルばね12の設定ばね力を小さくできて、圧縮コイルばね12の小型化が可能となり、これらにより、スライドドア2の開閉がストレスなく一層スムーズに行われる。
【0040】
また、可動側の電線ガイド部材11を円形に形成して例えばガイド溝やガイド孔18に回動自在に軸支させることも可能である。これによってもワイヤハーネス19との摺動抵抗が低減され、一層スムーズなハーネス余長吸収が可能となる。
【0041】
また、圧縮コイルばね12に代えて引張コイルばね(図示せず)を用い、可動側の電線ガイド部材11をハーネス引き込み方向に引張付勢してもよい。この場合、引張コイルばねはワイヤハーネス19と干渉しない位置に設けられる。また、圧縮コイルばね12に代えてシリンダとピストンロッドでなる空気ばねやガスばねを用いることも可能である。
【0042】
また、可動側の電線ガイド部材11に代えて(として)湾曲状の板ばねや渦巻きばねといった弾性部材(図示せず)を用い、ワイヤハーネス19をこれら弾性部材で直接支持させてもよい。板ばねや渦巻きばねはワイヤハーネス19を折り返した状態に支持し、ワイヤハーネス19の引き出し時(図2の状態)に撓んで、ワイヤハーネス19を後方へ付勢する。圧縮コイルばね12は不要となる。これにより、部品点数が削減され、構造が一層簡素化される。
【0043】
また、図1の電線余長吸収装置6はスライドドア2内に縦置き(垂直)に配置されているが、横置き(水平)に配置することも可能である。横置きの場合は、スライドドア2の開閉時にワイヤハーネス19の捩れを生じないから、ハーネス固定具22に捩れ吸収用のハーネス周方向の回動機構を設ける必要がない。また、図1の電線余長吸収装置6をスライドドア2ではなく車両ボディ3側に縦置きないし横置きに配置することも可能である。この場合は、電線余長吸収装置6が固定され、ワイヤハーネス119がスライドドア2の開閉に伴って引き出されたり引き入れられたりして伸縮する。
【0044】
これらの使用形態(回動式の電線ガイド部材、引張コイルばねやガスばね、可動側の電線ガイド部材に代わる弾性部材、電線余長吸収装置の配置場所や方向)は後述の各実施形態においても適用可能である。
【0045】
図4〜図5は、本発明に係る電線余長吸収装置とそれを用いた自動車のスライドドア用給電装置の第二の実施形態を示すものである。
この電線余長吸収装置25とそれを用いたスライドドア用給電装置は、図4の如く、合成樹脂製のケース26の一側部の下側からスライドドア28側のワイヤハーネス27をケース16内に導入させ、ケース26の下側の壁部30に沿って後方に水平に配索しつつ、ケース26内の可動側の電線ガイド部材32に沿って上向きに折り返し屈曲させ、ケース26の上側の壁部29に沿ってワイヤハーネス27を前方に水平に配索しつつ、ケース26の一側部の上側から固定側の電線ガイド部材33に沿って下向きに屈曲させてケース26外に導出させ、車両ボディ34側に配索するものである。
【0046】
上記第一の実施形態と較べると、電線余長吸収装置25におけるワイヤハーネス27の取入方向と取出方向が逆になっている。また、固定側の電線ガイド部材33は可動側の電線ガイド部材32と同程度ないしそれ以上に大径な略半円状に形成され、外周のガイド面33aの上端とケース26の上側の壁部29との間に電線導出口(他方の口部)35が設けられ、電線導出口35はガイド面33aに沿う略扇状の空間36に続き、ガイド面33aの下端はケース26の下側の壁部30に接している。ガイド面33aの下端から高さ方向中間部にかけて電線ガイド部材33は切欠され、その切欠部37内で下側のワイヤハーネス27aが傾斜状に屈曲しつつ、切欠部37の外側の薄肉湾曲状の壁部33bの側端に乗り上げてケース外に導出されている。ケース26の一側部に外壁はなく、固定側の電線ガイド部材33のガイド面(湾曲面)33aが外壁を兼ねている。
【0047】
ケース26には合成樹脂製の板状のカバー38が覆設され、カバー38にはワイヤハーネス27をケース内に導入させる切欠孔(一方の口部)39が設けられている。ワイヤハーネス27aは切欠孔39の外側で、ガイド面33aに沿う上側のワイヤハーネス27bの表側を通ってスライドドア28に固定されつつスライドドア側のワイヤハーネスや補機(図示せず)にコネクタ接続される。ワイヤハーネス27aは切欠孔39の近傍でカバー38に固定されてもよい。
【0048】
固定側の電線ガイド部材33はケース26と一体に樹脂成形してもよく、あるいは別体に形成してケース26の基板部40にボルト等で固定してもよい。カバー38は例えば係止枠片と係合突起といった係止手段(図示せず)でケース26の外壁29〜31に固定される。
【0049】
可動側の電線ガイド部材32は略半円形に形成され、外周に円弧状のガイド面(湾曲面)32aを有し、第一の実施形態と同様に圧縮コイルばね(付勢部材又は弾性部材)41でケース長手方向(後方)に付勢されている。電線ガイド部材32は第一の実施形態と同様にスライドガイド部(スリット状のガイド孔やガイド溝)に係合突部といった係合手段でケース26やカバー38にスライド自在に位置決めされている。圧縮コイルばね41の一端は固定側の電線ガイド部材33の内側面方に当接支持され、圧縮コイルばね41の他端は可動側の電線ガイド部材32の内側面方に当接支持されている。図4で符号42は車両ボディ側の下部ガイドレール、43はスライドドア側のスライドブラケットをそれぞれ示している。
【0050】
図4のスライドドア28の全開状態で、下側の口部39からケース26内に導入されたワイヤハーネス27はケース下側の壁部30に沿って水平に長く延び、可動側の電線ガイド部材32の外周面32aに沿って上向きに折り返し屈曲されてケース上側の壁部29に沿って延びつつ、固定側の電線ガイド部材33の上側の口部35から導出されて、車両ボディ側のハーネス固定部22(図1参照)に向けて延びている。可動側の電線ガイド部材32は第一の実施形態と同様に圧縮コイルばね41で付勢されつつ最後端位置よりも少し手前に位置し、ワイヤハーネス27はばね41の付勢でピンと張った状態となっている。
【0051】
図4の状態からスライドドア28を閉じ方向(前方)に移動させると、ケース上側の口部35がハーネス固定部22(図1)に最接近した時点で圧縮コイルばね41が最伸長され、電線ガイド部材32がケース後端側に位置し、次いでワイヤハーネス27が上側の口部35から引き出されつつ、可動側の電線ガイド部材32がワイヤハーネス27cに押されて圧縮コイルばね41を圧縮させながら前方にスライド移動し、ワイヤハーネス27は固定側の電線ガイド部材33の外周面(湾曲面)33aに沿って大きな径でスムーズに屈曲しつつ、図5のスライドドア28の全閉時に半円状に後方に折り返されて符号27dの如くケース26の下側の壁部30の外側面に沿ってほぼ水平に延ばされて位置する。ワイヤハーネス27dは車両ボディ側のハーネス固定部22(図2)に続いている。ワイヤハーネス27は常に圧縮コイルばね41の付勢力で弛みなくピンと張った状態に維持されている。
【0052】
図5の全閉状態からスライドドア28を開くことで、可動側の電線ガイド部材32が圧縮コイルばね41の付勢力で後方に移動しつつ、ワイヤハーネス27が電線ガイド部材32で押されて上側の口部35からケース26内に引き入れられ、それによってワイヤハーネス27の余長(弛み)が吸収される。ワイヤハーネス27は常にばね付勢されているから弛みなくピンと張った状態を維持される。そして図4のスライドドア28の全開状態となる。
【0053】
上記第二の実施形態によれば、第一の実施形態の効果に加えて、固定側の電線ガイド部材33が第一の実施形態のものよりも大径であるから、ワイヤハーネス27の折り返し時の径が大きくなり、ワイヤハーネス27にかかる曲げストレスが低減され、ワイヤハーネス27の摩耗や傷みが確実に防止される。また、第一の実施形態の電線浮き上がり防止壁15(図1)が不要になり、構造が一層簡素化される。また、固定側の電線ガイド部材33の外周面33aがケース26の一側壁面を兼ねるから、ケース26の樹脂成型が容易化し、構造も簡素化される。
【0054】
なお、第一の実施形態でも述べた如く固定側の電線ガイド部材33及び/又は可動側の電線ガイド部材32を円形に形成して、ケース26やカバー38に回動自在に支持させることも可能である。固定側の電線ガイド部材はワイヤハーネス27との干渉なく回動するようにし、可動側の電線ガイド部材は例えば長手方向のガイド孔内で軸部(図示せず)で支持されるようにする。また、可動側の電線ガイド部材32を湾曲状の板ばねや渦巻きばね等で代用させることも可能である。
【0055】
図6〜図7は、上記第二の実施形態の改良例として、本発明に係る電線余長吸収装置の第三の実施形態を示すものである。図6と図7は同じものをそれぞれ相反する方向から見た図である。上記第二の実施形態(図4)に対応する部分には便宜上同一の符号を用いて詳細な説明を省略する。
【0056】
この電線余長吸収装置45は、第二の実施形態において固定側の電線ガイド部材33の径方向外側(前方)において略扇状の電線方向規制部46を合成樹脂製のケース26と一体に設け、また、図8にも示すように可動側の電線ガイド部材32に圧縮コイルばね41に対する保持部(弾性部材保持部)47、固定側の電線ガイド部材33に圧縮コイルばね41に対する支持部(弾性部材支持部)53をそれぞれ設けた構造としたことを特徴とするものである。
【0057】
図6でケース26は、可動側の電線ガイド部材32をスライド自在に支持する基板部40と、ワイヤハーネス27を沿わせる上下の水平な壁部29,30と、可動側の電線ガイド部材32に対向する垂直な側壁31とを有し、基板部40の一側方が延長されて前記方向規制部46の扇状の基壁49をなし、上側の壁部29が斜め下向きに屈曲延長されて方向規制部46の傾斜壁50をなしている。基壁49と傾斜壁50とは直交して続いている。ケース下側の壁部30は固定側の電線ガイド部材33の円弧状の外周壁33aに一体に続いている。固定側の電線ガイド部材33の上端とケース上側の壁部29との間に第二の実施形態と同様の電線導出用の口部35が設けられ、口部35は、電線ガイド部材33の外周面33aと方向規制部46の傾斜壁50とで囲まれた略扇状の空間51に続いている。
【0058】
ワイヤハーネス27は第二の実施形態と同様にケース26の下部側においてカバーの口部39(図4)からケース26内に導入され、可動側の電線ガイド部材32の外周面32aに沿って折り返されてケース上側の口部35から導出されている。導出されたワイヤハーネス27bは方向規制部46によって導出方向が扇型の範囲に規制されている。方向規制部46の傾斜壁50はワイヤハーネス27bの上方への移動を阻止し、同じく基壁49はワイヤハーネス27bの裏面側(スライドドア厚さ方向)への移動を阻止する。
【0059】
特にスライドドアの全開時(図6の実線で示す状態時)にワイヤハーネス27bが方向規制部46に沿って傾斜状に導出され、ワイヤハーネス27bが方向規制部46で囲まれて外部との干渉等なく安全に保護される。また、方向規制部46によって例えばスライドドアの急激な全開時におけるワイヤハーネス27bの踊り(うねり)が防止され、スライドドア側の他の構造物との干渉が防止される。図6,図7で実線はスライドドアの全開状態、鎖線はスライドドアの全閉状態をそれぞれ示している。
【0060】
カバー(図示せず)は後方規制部46に対向する部分を有することが好ましく、表裏両側からワイヤハーネス27bを囲むことで、ワイヤハーネス27bの保護が一層確実化する。カバーには第二の実施形態と同様な電線導入用の切欠孔(口部)39(図4)が設けられる。切欠孔39の内側で固定側の電線ガイド部材33の切欠部37が位置している。
【0061】
図8の如く、固定側の電線ガイド部材33は半環状の外周壁52と、外周壁52の中央内側で径方向に突出したばね支持部53とを有している。ばね支持部53は略T字状の交差壁で構成され、交差壁53の両側に垂直な隔壁54が位置している。交差壁53は圧縮コイルばね41の内径部内に挿入され、圧縮コイルばね41の一端部を安定に保持する。
【0062】
また、可動側の電線ガイド部材32は表裏及び前後の各壁部55〜57を有し、中央にばね保持部としての円筒状の筒壁47を有している。筒壁47の一部47aは径方向に電線ガイド部材32の正面側の壁部57から突出している。また、筒壁47は電線ガイド部材32の内面側の壁部56から突出した大径部47bを有し、大径部47bの一部は切欠(58)されてケース厚さ方向の省スペース化(小型化)が図られている。大径部47b内に圧縮コイルばね41の他端部が挿入されて安定に保持される。筒壁47内には固定側の電線ガイド部材33の交差壁53が進入可能である。隔壁54は大径部47bの外周面を案内する。
【0063】
圧縮コイルばね41の端部が可動側の電線ガイド部材32の筒壁47内に収容されることで、ケース26やカバーと圧縮コイルばね41との擦れが防止される。また、大径な圧縮コイルばね41を使用することで、ハーネス付勢力を確保しつつ、ばね41の座屈を防止し、安定したハーネス付勢を行うことができる。また、スライドドアの全閉時に交差壁53が筒壁47内に進入することで、電線余長吸収装置45の全長の短縮化が可能となる。
【0064】
また、筒壁47の一部47aを径方向に突出させてカバーに対するスライド用の位置決め部とすることができる。この場合は第二の実施形態(図4)におけるケース26のガイド溝やガイド孔は不要となる。この例については図9の実施形態で説明する。
【0065】
図9〜図10は、本発明に係る電線余長吸収装置の第四の実施形態を示すものである。第三の実施形態(図6〜図8)との共通部分には共通の符号を用いて詳細な説明を省略する。
【0066】
この電線余長吸収装置60は、ケース61内に可動側の電線ガイド部材32と固定側の電線ガイド部材33とを設け、可動側の電線ガイド部材32を圧縮コイルばね41で電線引き入れ方向に付勢し、可動側の電線ガイド部材32にばね端保持用の筒壁47を形成し、固定側の電線ガイド部材33にばね端支持用の交差壁53を突設し、筒壁47の一部を可動側の電線ガイド部材32からカバー62側に突出させ、カバー62に、筒壁47に対するスライド係合用のガイド凹部63を外向き凸形状に形成し、筒壁47をガイド凹部63内にスライド自在に係合させ、ばね端保持用の筒壁47で可動側の電線ガイド部材32のスライドガイドをも兼ねたことを特徴とするものである。
【0067】
第三の実施形態(図6)の電線方向規制部46は第四の実施形態では設けていないが、設けることも無論可能である。カバー62にはワイヤハーネス27をスライドドア側に導出させる切欠孔(口部)39が設けられている。ワイヤハーネス27は第二,第三の実施形態と同様に車両ボディに向けてスライドドアの全開時に実線27bの如く傾斜状に延び、スライドドアの全閉時に鎖線27dの如く固定側の電線ガイド部材33の半円状の外周面に沿って折り返される。
【0068】
第四の実施形態によれば、圧縮コイルばね41の径を大きくしてワイヤハーネス27の付勢すなわち余長吸収を安定且つ確実に行えることは勿論のこと、ばね端保持用の筒壁47でスライド用の位置決め部を兼ねることで、ケース61内の構造が一層簡素化される。
【0069】
なお、可動側の電線ガイド部材32のばね保持部47を第一の実施形態(図1)の電線ガイド部材11に適用し、カバー62のスライド用ガイド部63を第一の実施形態のカバー(図示せず)に適用することも可能である。この場合、図1のガイド孔18や突部20は不要となる。また、ばね保持部47の突出部分47aをカバー62でなくケース61の凹部にスライド係合させたり、突出部分47aを電線ガイド部材32の表裏両側に突出させ、カバー62とケース61とに凹部63を設けることも可能である。
【0070】
【発明の効果】
以上の如く、請求項1記載の発明によれば、ワイヤハーネスがケース内で略U字状にスムーズに屈曲されつつ固定側の電線ガイド部材で折り返されてケース外に導出されるから、ワイヤハーネスをケース内で重なるように巻回する必要がなく、ケース内でのワイヤハーネスの配索形態が簡素化され、構造がコンパクト化、軽量化される。また、ワイヤハーネスが口部からケース外面に沿って導出されるから、ワイヤハーネスが揺動することがなく、ワイヤハーネスの揺動に伴うストレスや外部との干渉等が回避されると共に、揺動のためのスペースが不要で、取付側が省スペース化される。また、ワイヤハーネスは常に張った状態に維持されるから、弛みを生じることがなく、ワイヤハーネスの噛み込み等の心配が解消される。また、一対の可動式の電線ガイド部材を用いる場合に較べて、構造が簡素化、低コスト化され、動きも一層スムーズ化される。また、ワイヤハーネスがケース内からケース外にかけて略ループ状に屈曲されるから、略S字状に屈曲される場合よりもワイヤハーネスの屈曲形態が簡素化され、ワイヤハーネスの引き出し及び引き込みに要する力が軽減され、余長吸収が一層スムーズ化し、操作性が一層向上し、且つワイヤハーネスにかかる曲げストレスが一層軽減される。
【0071】
請求項2記載の発明によれば、ワイヤハーネスがケース内で略U字状にスムーズに屈曲されつつ固定側の電線ガイド部材で折り返されてケース外に導出されるから、ワイヤハーネスをケース内で重なるように巻回する必要がなく、ケース内でのワイヤハーネスの配索形態が簡素化され、構造がコンパクト化、軽量化される。また、ワイヤハーネスが口部からケース外面に沿って導出されるから、ワイヤハーネスが揺動することがなく、ワイヤハーネスの揺動に伴うストレスや外部との干渉等が回避されると共に、揺動のためのスペースが不要で、取付側が省スペース化される。また、ワイヤハーネスは常に張った状態に維持されるから、弛みを生じることがなく、ワイヤハーネスの噛み込み等の心配が解消される。また、一対の可動式の電線ガイド部材を用いる場合に較べて、構造が簡素化、低コスト化され、動きも一層スムーズ化される。また、ワイヤハーネスが大小の各電線ガイド部の湾曲面に沿って滑らかに摺動し、電線余長吸収がスムーズ且つ確実に行われると共に、ワイヤハーネスの引き出しや引き込みに要する力が小さくて済み、付勢手段の小型化による全体構造の小型化と操作性の向上が図られる。
【0072】
請求項3記載の発明によれば、可動側の電線ガイド部材の軌道が確保されるから、電線余長吸収が一層正確に行われる。
請求項4記載の発明によれば、ワイヤハーネスがケース内からケース外にかけて略S字状に屈曲しつつケースの外面に沿ってスムーズに引き出されるから、ワイヤハーネスが揺動せず、ワイヤハーネスの揺動に伴うストレスや外部との干渉等が回避されると共に、揺動のためのスペースが不要で、取付側が省スペース化される。
【0073】
請求項5記載の発明によれば、ワイヤハーネスが固定側の電線ガイド部材の湾曲面に沿って大きな曲率半径で屈曲されるから、ワイヤハーネスの引き出し及び引き込みすなわち余長吸収が小さな力でスムーズ且つ確実に行われ、付勢手段の小型化により全体構造の小型化、軽量化が可能となる。
【0075】
請求項記載の発明によれば、ワイヤハーネスが電線方向規制部よりも外側には飛び出さないから、外部とのワイヤハーネスの干渉等が防止され、且つワイヤハーネスが電線方向規制部内で保護されて、経時的なワイヤハーネスの摩耗や損傷が確実に防止される。
【0076】
請求項記載の発明によれば、弾性付勢部材が不要となり、部品点数の削減により、構造が小型化、軽量化され、且つコストが低減される。
【0077】
請求項記載の発明によれば、電線ガイド部材の弾性部材保持部がカバー等に対するスライド用位置決め部を兼ねるから、構造が簡素化、低コスト化される。
請求項記載の発明によれば、弾性部材保持部内に弾性部材支持部が進入することで、可動側の電線ガイド部材のストロークが増し、その分、ケースを短縮することで、全体構造が小型化される。
【0078】
請求項10記載の発明によれば、ワイヤハーネスの引き出し時にワイヤハーネスが口部からケース外面に沿って導出されるから、スライドドアの開閉に伴ってワイヤハーネスが揺動することがなく、ワイヤハーネスの揺動に伴うストレスやスライドドアや車両ボディとの干渉等が回避されると共に、揺動のためのスペースが不要で、スライドドア側又は車両ボディ側が省スペース化される。また、ワイヤハーネスは常に張った状態に維持されるから、弛みを生じることがなく、スライドドアと車両ボディとの間へのワイヤハーネスの噛み込みが確実に防止される。これらにより、スライドドアへの常時給電の信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電線余長吸収装置とそれを用いたスライドドア用給電装置の第一の実施形態を示すスライドドア開時の斜視図である。
【図2】同じく第一の実施形態を示すスライドドア閉時の斜視図である。
【図3】電線余長吸収装置内の弾性部材の特性を示す荷重−ストローク線図である。
【図4】本発明に係る電線余長吸収装置とそれを用いたスライドドア用給電装置の第二の実施形態を示すスライドドア開時の斜視図である。
【図5】同じく第二の実施形態を示すスライドドア閉時の斜視図である。
【図6】本発明に係る電線余長吸収装置の第三の実施形態を示す斜視図である。
【図7】同じく第三の実施形態を図6とは反対の方向から見た斜視図である。
【図8】第三の実施形態で使用する各電線ガイド部材を示す分解斜視図である。
【図9】本発明に係る電線余長吸収装置の第四の実施形態を示す斜視図である。
【図10】同じく第四の実施形態を示す概略縦断面図である。
【図11】従来の電線余長吸収装置とそれを用いたスライドドア用給電装置の一形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
2 スライドドア
3 車両ボディ
6,25,45,60 電線余長吸収装置
8,39 導入用の口部(一方の口部)
9,35 導出用の口部(他方の口部)
10,26,61 ケース
11,32 可動側の電線ガイド部材
11c,13a ガイド面(湾曲面)
12,41 圧縮コイルばね(弾性付勢手段)
13,33 固定側の電線ガイド部材
15 電線浮き上がり防止壁
19,27 ワイヤハーネス
32a,33a ガイド面(湾曲面)
38,62 カバー
46 電線方向規制部
47 筒壁(弾性部材保持部)
53 交差壁(弾性部材支持部)
63 スライド用ガイド部

Claims (10)

  1. ワイヤハーネスを収容するケースと、該ケース内で弾性付勢されつつ移動自在に設けられた可動側の電線ガイド部材と、該ケース内で該可動側の電線ガイド部材に対して付勢反対方向に配置された固定側の電線ガイド部材と、該ケースに覆設されるカバーとを備え、ワイヤハーネスが一方の口部から該ケース内に導入されて該可動側の電線ガイド部材に沿って折り返され、さらに該固定側の電線ガイド部材に沿って屈曲されつつ他方の口部から該一方の口部に接近する方向に導出されることを特徴とする電線余長吸収装置。
  2. ワイヤハーネスを収容するケースと、該ケース内で弾性付勢されつつ移動自在に設けられた可動側の電線ガイド部材と、該ケース内で該可動側の電線ガイド部材に対して付勢反対方向に配置された固定側の電線ガイド部材と、該ケースに覆設されるカバーとを備え、ワイヤハーネスが一方の口部から該ケース内に導入されて該可動側の電線ガイド部材に沿って折り返され、さらに該固定側の電線ガイド部材に沿って屈曲されつつ他方の口部から導出される電線余長吸収装置であって、前記可動側の電線ガイド部材が大径に形成され、前記固定側の電線ガイド部材が小径に形成され、両電線ガイド部材が前記ワイヤハーネスを沿わせる湾曲面を有することを特徴とする電線余長吸収装置。
  3. 前記ケース又はカバーに電線浮き上がり防止壁が設けられ、該電線浮き上がり防止壁の外側を前記ワイヤハーネスが通り、該電線浮き上がり防止壁の内側を前記可動側の電線ガイド部材が通ることを特徴とする請求項記載の電線余長吸収装置。
  4. 前記固定側の電線ガイド部材に沿って前記ワイヤハーネスが前記一方の口部とは離間する方向に導出されることを特徴とする請求項2又は3記載の電線余長吸収装置。
  5. 前記固定側の電線ガイド部材が前記可動側の電線ガイド部材と同程度ないしそれ以上に大径に形成され、両電線ガイド部材が前記ワイヤハーネスを沿わせる湾曲面を有することを特徴とする請求項1記載の電線余長吸収装置。
  6. 前記他方の口部に続いて前記ケース及び/又は前記カバーに電線方向規制部が設けられたことを特徴とする請求項1又は5記載の電線余長吸収装置。
  7. 前記可動側の電線ガイド部材が弾性付勢手段を兼ねることを特徴とする請求項1〜の何れか1項に記載の電線余長吸収装置。
  8. 前記可動側の電線ガイド部材に弾性部材保持部が突設され、前記カバー及び/又はケースに該弾性部材保持部をスライド自在に係合させるスライド用ガイド部が設けられたことを特徴とする請求項1,5,6の何れか1項に記載の電線余長吸収装置。
  9. 前記固定側の電線ガイド部材に、前記弾性部材保持部内に進入する弾性部材支持部が設けられたことを特徴とする請求項記載の電線余長吸収装置。
  10. 請求項1〜の何れか1項に記載の電線余長吸収装置が自動車のスライドドア又は車両ボディに縦置き又は横置きに配設され、該電線余長吸収装置の前記一方の口部にスライドドア側又は車両ボディ側から前記ワイヤハーネスが導入され、前記可動側と固定側の両電線ガイド部材の接近状態で前記他方の口部から前記ケースの外面に沿ってワイヤハーネスが車両ボディ側又はスライドドア側に導出されることを特徴とする電線余長吸収装置を用いたスライドドア用給電装置。
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